太古の昔より、人類は飽くなき欲望や願望、或いは探究心、好奇心を抱き、その果てに様々な技術や知識を生み出し、得て、そして学んで来た。そしてその果てに、人類は従来神の領域とされ禁忌として認識されていた分野、即ち人の根幹たる遺伝子、生殖に関わる分野に迄手を伸ばして行った。

 その結果誕生した、新たな人類。

 人の根幹たる遺伝子を、望むがまま、思いのままに調整(コーディネート)して生まれる彼等を、人々はコーディネーターと呼んだ。

 人類の欲望、願望、探究心、好奇心の末、人々から必要とされて生み出されたコーディネーターの存在は、人類の輝かしい未来の新たな幕開けになるかと思われた。だが、そのコーディネーターの誕生はそれまでの人類、即ち遺伝子操作を為されずに自然な形で生まれた者(ナチュラル)の存在を同時に生み出し、それは間もなく新たな対立構造を招く。

 ナチュラルはコーディネーターに対し羨望や嫉妬、劣等感を抱き、コーディネーターはナチュラルに対し優越感や侮蔑感、差別感情を抱く。

 両者が抱いた負の感情は、やがて互いに対する憤り、そして憎悪へと変化していく。





 そして迎えた、運命の日。C.E.70年、2月11日。

 この日、ナチュラルを中心とした旧プラント理事国を核とする地球連合が、コーディネーターを中心とするプラントに対し、宣戦を布告した。

 遂に開かれた、決して開けてはならぬ筈のパンドラの箱。

 飛び出した悪夢は否応なく、多くの人々の運命を翻弄し弄び、災厄を振り撒いて、時には甘美な夢を見せ、そして最後に奈落の底へと突き落とす。誰であろうと、何処にいようと。

 そんな災厄に満ちた世界を、時代を、それでも2人は駆け抜ける。この地獄のような戦場を。悪夢のような運命を。

 地球連合軍に所属する少年、レンダ・ラザフォードとザフト軍に所属する女性、ルーチェ・ベルナドット。

 この物語は、何十年も前に生み出された技術によって運命を翻弄され、心を切り刻まれ、傷付きながらも悪夢のような世界を、時代を駆け抜けた2人の戦士の物語である。

 
序章
  第0話:プロローグ()
開戦編
  第1話:開戦(1)2013年10月10日(木) 22:28()
  第2話:開戦(2)2013年11月30日(土) 22:15()
  第3話:開戦(3)2021年10月16日(土) 11:15
  第4話:開戦(4)()
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