東方扇仙詩   作:サイドカー

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ちょっとシリアスっぽい話したかと思えば、その反動でコレだよ! ←前作に前科あり

【上映に関するお知らせ】
・本編とは一切合財まったく関係ないっす
・作者の発作による妄想回なの
・おkですか?


番外特別回 「るんるんびより 前編」

 飛行機雲を見つけた。

 絵に描いたような青空に、真っ白い一本線が引かれていく。アレは何処へ行くのだろうか。柄にもなく感傷に浸った思考を浮かべながら、オレはどこまでも伸び続けるホワイトラインの行方を目で追った。

 チャイムが鳴る。学び舎お約束のあのメロディ。今のは本日ラストとなった授業の終了を意味する。しかしながら、こちとら何十分も前から校舎の屋上で耽っていた。それが意味するのは、まぁそういうこった。なぜならオレはちょいワルな男。

 フェンスの金網に背中を預ける。夏服のワイシャツは生地が薄く、背もたれとするには好ましくないジグザグした感触がより鮮明に伝わってくる。些か不満だが、こればかりは我慢するしかない。

 

「ん……んん」

 

 ふと、すぐ近くのベンチを占領して惰眠を貪っていた、もう一人のサボり魔がモゾモゾと身動ぎし始めた。どうやらお目覚めらしい。同学年の女子生徒だった。

 解けばセミロングくらいありそうな赤い髪を、丸粒の飾りが付いたゴムで左右に結っている。一般女子の平均よりも背は高い。だらしなく着崩したセーラー服からは胸元が覗く。何気にデケぇ。短いデザインのスカートから伸びる足を大胆におっ広げ、なかなか整った顔は寝顔でも気さくさが伺える。

 小野塚小町。同学年といったが、そもそもクラスメートである。オレを上回るほどのサボり魔で、此処に来たときには既にコイツがいやがった。おかげで地面に直座りを余儀なくされる始末。椅子取りゲームはヤツの勝ちだった。

 くぁ、と欠伸しながら居眠り娘が起き上がる。

「ふぁ~あ……もう放課後?」

「ああ。つーかお前、こんな場所で寝んなよ」

「襲っちゃいそうだから?」

「けっ、んなワケねーだろ」

 うしし、と悪戯っぽく笑いながら茶化してくる女子を一蹴する。とはいえ、彼女の容姿レベルの高さは偽りなく、オレじゃなかったら割と危ういところなのかもしれない。ま、この女に限ってそんな安っぽい失敗はねぇとは思うけど。

 突如、バァン!と盛大な物音がいきなり響き渡った。

 

「コラーッ! やっぱりここでサボっていたんですね!?」

 

 凛とした綺麗な声が屋上を突っ切る。出入り口の扉が開け放たれ、その先ではプリプリと怒った様子の女子生徒が立っていた。

 初夏の風にさらりと靡く、柔らかな桃色に色付いたミディアムヘアは花弁のように淡く。彼女の特徴たる二つのシニョンも健在であった。マジメさが滲み出ている顔立ちは美しく、赤みがかった瞳はガーネットを彷彿とさせる瞬きを宿す。

 さらに、小野塚小町と同等か下手すりゃそれ以上の大きな膨らみが、白いセーラー服の胸元あたりを押し上げていた。膝丈に届かないスカートはキチンと穿いたとしてもどうにもできず、キメ細やかな素足が露わになる。太腿に至るまで。

「んだよ、華扇かい」

「なっ……私じゃ不満なんですか!?」

「その言い方やめーや」

 オレのぼやきも聞き逃さず、怒りの形相で委員長サマがズンズンと歩み寄ってくる。

 

 この女子生徒の名は茨木華扇。ニックネームは茨華仙。オレや小野塚小町と同じクラスの委員長を務める。性格は見ての通りで大真面目ってかクソマジメ。容姿もスタイルも成績も良いと三拍子揃った、どこまでも優等生の模範みたいな女だ。

 

 来るなり早々にこのテンションなのはいつものこと。ま、どうせ上白沢女史から捜索依頼でも受けたんだろ。わざわざ面倒事を買って出るとは、相変わらず物好きなこって。

 入学してからの付き合い(ただし、()()()の付き合うではない)なのだが、オレが素行不良していると決まって口出ししてくる。やや不良なオレとコイツとでは凸凹コンビも甚だしい。そのハズなのだが、どういうワケか周りの連中は何にも言ってこない。むしろ日常の一コマとして受け入れていやがる。ったく、どうなってんだか。

 華扇が乗り込んできたのを見て、もう一人のサボりが口笛を吹く。

「ひゅぅ、嫁さんが迎えに来ちゃったね?」

「誰の嫁だコラ」

「誰が嫁ですか!」

 オレ達のツッコミ声が重なってしまい、赤髪の女子が「ほーら、息ピッタリ」としたり顔で指差す。うるせぇよ。

 初心なうえに堅物な委員長サマは、どうにもこの手の煽りに耐性がない。オレが辟易した態度でツッコむのに対し、彼女は毎度毎度とも真に受けて大袈裟に反応するというのが、もはやテンプレとなっていた。そいつは今日も変わらずで。ったく、小学生か。

 あの女が余計な一言を口走ったせいで、華扇がますますヤル気になって闘牛の如く息巻いている。この後の展開が読めてしまって溜息が出る。勘弁してくれ。マジで。

 

「二人とも正座しなさいッ! 先生に代わって私がみっちりお説教してあげます!!」

 

 ほら見ろ、誰も得しない世界の完成だ。

 案の定、彼女の十八番「説教」が飛び出してきた。一に説教、二に説教。この女はそれが趣味なんじゃねぇかってぐらい、とにかくソレが多い。大抵の場合、何かやらかした愚か者が標的となる。

 だというのに、どうも最近オレばかりに向けられている気がしてならない。そこまでガチ不良じゃねーよ。ちょいワルってぇ絶妙な力加減がわかんねぇかな。この女は。

 プンスカと効果音が付きそうな表情の委員長サマとは正反対に、サボり女生徒はニカッと白い歯を見せると、体操選手染みた身のこなしでベンチから飛び跳ねた。ミニスカートが風圧で捲れた瞬間、華扇が慌ててオレに目隠ししてきた。

「オイコラ」

「み、見ちゃダメですッ! エッチ!」

「何でやねん……」

 視界が黒く染まる中、濡れ衣もいいところな罵声を浴びせられた。お前はオレはどんだけスケベ野郎だと思ってんだ。そこまで飢えてねぇよ。こちとらハードボイルドだっつの。

 再び世界が色を取り戻す。小野塚小町は見事な着地をキメられたらしく、満足げなツラをしていやがった。しかも逃げる準備も整っており、

「あたいは遠慮しとくよ。説教なら映姫先輩で間に合ってるからさ」

「あっコラ! 待ちなさい!」

 桃色少女が包帯の巻かれた(その割には難なく動かせている)右手を伸ばすが、直前までオレに引っ付いていたせいで出遅れてしまう。するりと躱した赤髪少女が「じゃーねー」と片手をヒラヒラ振りながら去り往く。

 さすがサボりの常習犯の王座を維持し続けているだけある。こういう時の逃げ足の速さはお手の物ときた。是非とも見習い……たくねーわな。

 出入り口の向こうで、陽気にステップを踏む足音が遠ざかっていく。数秒とかからずに階段を下る音が聞こえなくなり、マジメな女生徒が悔しげに地団駄を踏んだ。

「もうっ逃げられるなんて……!」

「あーあ、ドンマイだな」

 他人事のように――というか実際に他人事なワケだが、適当に声をかけてやると、彼女はオレの隣にすとんと腰を下ろした。隣の席よりも近い距離。「あなたは逃がしませんからね」と目が物語っておった。ったく、別に逃げねーよ。

 

「小町と一緒にいたんですね、綿間部」

 どことなく拗ねたように頬を膨らませて、さらにジト目のオマケ付きで桃色の髪をもつ少女が言葉を落とす。いかにも面白くなさそうにして。さっきまで怒っていたかと思えば今度はイジケやがった。

「偶然だっつの。大体、先にいたのはあっちだ。サボりの罪ならあの女の方が重てぇだろ」

「だからといって綿間部が授業を受けなかった事実に変わりはありません。このままだと留年するわよ?」

「フッ、オレがそんなヘマすると思うか? 言うほど成績も悪くねぇし」

「本当ですか? 俄かには信じがたいですね」

 ミニスカの裾を下から押さえた体育座りの膝に頬を乗せて、からかいの眼差しを投げてくる。何か腹立つな。いっそデコピンでもかましてやろうか。

「お前……テスト期間中ずっと付きまとっていたヤツがそれを言うなや」

「なぁ!? ひっ、人を重い女みたいに言わないでくださいッ!!」

「へーへー」

 一転してまたギャーギャーと騒ぎ始める華扇を適当に聞き流す。

 というか、そこでストーカーっぽい発想にいくあたり、この女もなかなか妄想力豊富だわな。普段はマジメない委員長サマは耳年増ってか。いや、高校生にもなればそれがフツーなのかもしれん。

 

 さて、と。

 改めて自己紹介でもしとくか。

 オレこと綿間部将也は、この学校に通う二年生の男子高校生である。あだ名は黒岩。華扇とは……ま、友人ってぇところか。それ以上でもそれ以下でもない、ハズだ。

 

 二人きりの屋上。

 桃色のミディアムヘアがそよ風と戯れる彼女と肩が並ぶ。わざわざ放課後になって屋上に来る物好きはいない。オレ達を除いて。

 何気なしにフェンス越しに見下ろせば、帰宅する学生連中の後ろ姿がチラホラとあった。その一つに目が留まる。金髪でショートヘアの女子生徒と茶髪ツンツン頭の男子学生。密かに手を繋ごうとしてあと一歩のところで手を引っ込めてしまう、というのをどっちも繰り返している。お互いに、相手が同じコトをしているとまるで気付いてない。っかー、青春してんなぁ。

「どうかしましたか?」

「いや、何もねぇわ」

 初夏に入れば日も長くなる。これから部活動に勤しむ輩も多かろう。が、生憎こっちは帰宅部である。特にこれといって決まった予定もなし。暇人? 自由を謳歌していると言って欲しい。

 華扇が立ち上がり、綺麗な顔を綻ばせながら手を差し伸べる。

「帰りましょうか」

「そーだな」

 幸せそうに微笑む彼女の手を取る。女子らしい、オレの手よりも小さくて柔らかな手のひらだった。

 

 校舎を後にして、帰り道を歩く。つっても、ちょいワルな不良学生やってるオレが真っ直ぐ帰宅するワケなく。むしろ寄り道してこそ帰宅部の醍醐味といえよう。

 最初の頃は「寄り道なんて……ッ!」と渋っていたマジメな委員長サマでさえ、買い食いの味を占めてからというもの、今やすっかりその誘惑に勝てなくなっちまっていた。そして今日も。

 

「いらっしゃい、お二人さん」

 

 和菓子屋「夜雀」は、定番ルートにあるオレ達にとってはお馴染みの店でもあった。

 店構えがどことなく屋台っぽい作りというか、街角のタバコ屋に近いだろうか。通行人からも見えるように、軒先にショーケースを置いて店頭販売しているのがウリだ。まさに買い食いのためにあると言っても過言ではない。

「よう」

「こんにちは。いつもアルバイトお疲れ様です」

「ふふっ、そうでもないわよ。好きでやっていることだもの」

 ニコッと愛らしく、そしてあざとくもある笑顔とともに、店番の女がオレ達を出迎える。この少女もまた、同い年の女子高生。名をミスティア・ローレライという。

 可愛らしい容姿をしており、そのうえ性格も明るく親しみやすい。おかげで男子共から密かに人気を集めている。学業よりもアルバイトを頑張る、勤勉なんだか不真面目なんだかよく分からんタイプでもある。まだJKのクセして早くも社畜の素養を秘めてんだよなぁ……

 現在彼女はピンク色のショートヘアに藍色の頭巾を被り、焦げ茶色の和服に小豆色の帯を締めている。若女将を連想させる格好も見慣れた。しかし、コレがまたよく似合うのだから性質が悪い。

 この女子店員を目当てに買いに来る客もいることだろう。ま、オレは違うが。

「今日のお勧めは新作メニューね。最近始めたの、蒲焼き」

「って、和菓子屋で蒲焼きかよ!」

「だって夏だとスタミナ要るでしょ? それに甘いのだけじゃなくてしょっぱいの食べたいってお客さんもいるもん」

「先ほどから炭火の煙が上がっているのはそれだったんですね……」

 華扇がポツリと零した通り、和菓子屋だというのに狼煙が上がっていた。目立ち過ぎだろ。

 一応、他の商品に匂いが付かないための配慮であろう。店の隅っこでやっているとはいえ、明らかに気になる。そのうえ、炭の爆ぜる音と香ばしい白煙を見てしまうと、少なからず食欲を刺激される。考えてみれば、昼飯を食ってから大分時間が経っている。

 それに、余所とは一味違った個性を出すその姿勢は嫌いじゃない。

「じゃ、本日のイチオシにしとくか」

「私にも同じものをお願いします」

「はーい。毎度どうも」

 鼻歌を口ずさみながら若女将(アルバイト)が板についた手さばきで仕事をこなす。その様子には華扇も感心していた。さすが、週五でシフト入っているだけのことはある。もう正社員でイイんじゃねぇかな。

 少女の歌声をBGMに聞いていると、ほどなくしてブツが来た。仕事の速さも変わらない。

「はい、どうぞ」

「サンキュ」

「ありがとうございます。お代はこちらに」

 いただきます、オレと華扇の声を合図にいざ出来立ての蒲焼きをその場で食す。

 照って滴るタレを服に零さぬよう注意しつつ、一口。ほろりと解れる白身に染み込んだ旨味が瞬く間に舌の上に広がった。ギュッと凝縮された味わいが隅々まで解放される。特製のタレが絡まり、甘いのにしょっぱいという矛盾が、独特な風味へと膨らんでいく。

 濃く、されどしつこくない美味さ。まさに逸品。これは白米が欲しくなる。

「……ッ!」

 華扇も目を輝かせて夢中になって頬張っていた。ただでさえ美味しいモノには目がない女だ。言葉に出ずとも食べっぷりが如実に感想を述べていやがる。いつもながら惚れ惚れする食べっぷり。今回に限っていえば、それはオレも似たようなものだった。

 がっつくオレ達を、ミスティアはニコニコと満足そうに眺めていた。一つ一つに愛嬌があって彼女が人気なのも頷ける。ったく、あざといなオイ。

 

「そうそう知ってる? バンキさんのアルバイト先なんだけど、今一番忙しいんですって。大丈夫かなぁ……」

「ま、酒屋ならそらそうなるわな。夏祭りもありゃビアガーデンもあるしよ。大量発注の一つや二つぐらい来るだろ」

 食った後は世間話で適当に駄弁る。この日はミスティアと類友のバイト女子が話しのネタになった。

 バンキさんこと赤蛮奇は、若女将とは真逆にクールでポーカーフェイスな同級生を指す。短い赤髪に私服も赤がほとんどという、名は体を表すを再現した女子高生だ。あと結構美人でもあり。

 今にして思えば、この学校っつかこのクラスにおける女子の容姿レベルが異様に高いのが謎過ぎる。無論、華扇もその一人なのは言うまでもなし。喜怒哀楽と表情が豊かなこの女も、男共からの注目を集めていそう。

 その割には誰一人とアピールしてこないのだが。どいつもこいつも、まるで初っ端から自分には勝算がないと分かっているみたいに。所謂、高嶺の花と思われているのかもしれない。つーか、オレがフツーに喋っとるがな。

 ちなみに赤蛮奇もか弱い?女子なのでビールケースを運ぶなどと力仕事はしない。専ら接客を担う。あの冷めた対応で問題ないのか疑問を抱かないでもないが、意外と客受けは良いらしい。それはそれで需要がある模様。

「ま、これからクソ暑くなるし。キンキンに冷えたビールは旨かろうよ」

「どうして綿間部がそんなこと知っているんですか……? まさか!」

 聞き捨てならないと、眉間にしわを寄せて委員長サマが一歩詰め寄る。発育が良過ぎるせいで些細な仕草でも当たってしまうことに、未だに本人は自覚していない。あまりに無防備でコイツの将来が不安になる。悪い奴に騙されないことを願いたい。

 ……ま、オレの目が届く範囲では絶対にそんなコトさせねぇけどよ。

 むにむにと柔らかく豊満な膨らみにイロイロと反応してしまわないうちに、ぶっきらぼうな雰囲気を装って肩を押し返した。

「ったく、一般論だろうが。テレビのCM見てりゃ誰だって分かるわ」

「それなら良いです」

 なぜかドヤ顔で「ふふん」と許しを施してくださりやがった委員長サマに嘆息する。腰に手を当て、胸を張った拍子にたわわな果実が揺れた。このシーズンは夏服でそういうのが余計にハッキリ分かってしまう。

 もう勝手にしろと言わんばかりに目を逸らす。ついでに肩の力も抜いた。こうでもしなければやってられん。

「……けっ」

 とりあえず、ホントに呑んだ経験があるってぇコトはしばらく黙っておこう。ほんの少し、味見しただけ。けど、この女の方が将来的に酒豪になりそうな気がすんだよな。何となく。

 

「ホント相変わらず仲が良いわね。羨ましい」

 ガラス張りのショーケースの上で腕を組み、ちょこんと顎を乗せたミスティアが生暖かい目をしながらほのぼのと言った。

「ったく、どこがだ。大体そーいうお前だってモテんじゃねぇかよ。それこそ気になる野郎はいねぇのか?」

「そうねぇ……強いて言うなら?」

 おもむろに言葉を区切って、同い年の和服女子がチラチラとこっちに意味ありげな眼差しを投げかけてくる。まるで「察して」と言いたげなアイコンタクトに固まる。え――

 

「だっだだッ! だめっダメですぅうううううッ!!」

 

「ぬおぅっ!?」

「あらあら」

 唐突に且つ凄まじい声量で華扇がテンパった勢いで叫んだ。かと思えば、バスケのディフェンスのようなポーズでオレとミスティアの間に身体を滑り込ませた。ご丁寧に両腕を左右に真っ直ぐ伸ばして、えらく俊敏な動きで割って入る。何やってんだ、お前。

 突拍子もない行動にオレは只々意表を突かれるだけであったが、どうやら和服な彼女はそうでもなかったらしい。何つーか、一言で言うならメッチャ楽しそう。あざとい。

 ふつふつと込み上げる笑いを押し殺せていない表情で「やぁねぇ」と声を弾ませながら手で仰ぐ。井戸端会議の主婦かよ。

「ふふ。冗談、ちょっとした冗談よ。誰も取ったりしないから安心してね?」

「――ッ!? も……もぉおおおお!! 綿間部の馬鹿者ぉ!!」

「って、オレか!?」

 どういうワケかこちらの所為にされた。嗚呼、本日も理不尽なり。

 じんわりと頬っぺたを赤くして華扇が恨めしそうにオレを見上げてくる。そんな彼女に代わり、オレがミスティアに文句を込めてガン飛ばす。パチッとウインクで返された。違う、そうじゃない。

 それから委員長サマの機嫌を直したのは、からかったお詫びという名目の和菓子の試食サービスであった。ったく、花より団子とは上手い事言ったもんだわ。

 

 なお、華扇とミスティアの二人がかりによる「買ってほしいの」なキラキラ眼差しに根負けし、彼女らが気に入った和菓子をなぜかオレが買わされるハメになったことを、最後に記しておく。

 フッ、これだから男ってヤツはよぉ……

 

つづく




こんだけやっといて後編も残ってんやけど、続けちゃって大丈夫なん?(謎方言)
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