またまた更新遅くなってスンマソン
アニメ版のゲットバッカーズ観るので忙しかってん
「十一……で、最近はっ……十二……上手く、いってんのかッ?」
「はいです」
天井辺りの壁の縁に指を引っ掛け、腕力のみで全身を持ち上げて五秒間キープ、それからゆっくり下ろす。テント内じゃ懸垂はできねぇし有効活用させてもらおう。
ボロ家屋の和室はあちこちが痛んでいたが、見た目とは裏腹に存外頑丈らしかった。長年雨風に晒されて老朽が目立つものの原型は保たれている。むしろ年季が入っており、ちょっとやそっとで倒壊するほどヤワではない。
自主トレの片手間に世間話に興じる。話し相手の引っ込み思案な猫娘が壁にへばり付くオレを物珍しそうに見上げた。チビッ子の周りには何匹もの野良猫が群がる。
日暮れ時。場所はマヨヒガ。
藍ネーチャンからマジモンの偽電気ブランを貰った時にコイツが会いたがっているとか言われちまった手前、ちょっくらやってきたのだ。我ながら律儀なこって。
しかしいくらオレが夜に生きる男つっても、生粋の都会人が夜遅くにド田舎異世界の山奥に出向くのはちぃとばかし無理がある。そのため日が沈む前から行動開始するハメになった。
ま、そこはしゃーねぇ。霧の湖と違ってマヨヒガは山奥の秘密基地。フラリと寄るには真夜中は分が悪い。マエリベリーの一件は例外中の例外だ。
「おにぃさんの服、この前のとは違うですね」
「あぁ。トレーニングウエアつって運動するとき用のモンだ。似合うか?」
「コクコク」
言わずもがなコレも黒カラーなのは譲れない。
トレーニングウエアなんざいつ以来だったか。さすがにいつものスタイリッシュなコーディネートで筋トレはできまい。ちなみにここに来る道中も一っ走りしてきた。傍からはアスリートにでも見えたりして。
ついでに橙にも筋トレに付き合ってもらった。重しがあった方が効果あるだろとコイツを背中に乗せて腕立て100回。それが終わると懸垂にシフトしたのだが、猫娘に足にしがみついてもらった瞬間、壁の方からミシミシとヤベェ音がしたので降りてもらった。
「八十八、八十九……ぐぉおお……!」
指先どころか腕全体がプルプルと震えてきた。前はもっと回数をこなせていたハズだ。ちょっと間が空いただけでこのザマかよ。
「おにぃさん大丈夫ですか?」
「へっ……こんぐらい余裕だっつの」
ついにはガキんちょにまで心配される。我ながら情けねぇ。こんなんハードボイルド語れんだろうが。ただのモヤシじゃねーか。チクショウめ。
「九十七……九十八……」
この幻想郷において悪徳妖怪の退治は専ら博麗の巫女の仕事。極々偶に些細な揉め事が起こるレベルの人里にいる限り、繁華街と比べて平和ボケしやすい予感はあった。
あの日も、クソデカイ猪を前にしてアホみてぇに突っ立ってることしかできなかった。オレに実力胆力行動力があればもっと上手く立ち回れただろうに。失態。苦い記憶。
ギリィ、と歯ぎしりして悔しさをバネにラストまで一気に駆け上る。
「九十九……百ッ! オイ、降りるから猫ども退かせろ」
「は、はいっ。ほらみんな、下がって下がって」
たどたどしい内気な命令にニャンコ連中はニャーニャーと鳴き声を上げながら素直に退いた。どうやら本人の言う通り、上手く統制がとれつつある模様。
ただし、足元にいた猫どもが時折飛びついて引っ掻いてきやがったせいでトレーニングウエアに解れができてる。どうすんだコレ。つーかオレは猫じゃらしか。
「よっと」
畳の上に着地すると若干凹んだ感触がした。危ねぇ、フローリングだったら突き抜けていたかも。気が向いたら補強修理してやってもイイ。ひょっとしたら第二第三のアジトになるかもしれねぇし。
「精が出ますわね」
橙とは似ても似つかない成熟した女の声。嗚呼、久々にお出ましってか。
「ミス八雲」
「お久しぶりですわ」
波打つ長い金髪を靡かせて謎めいた美女が妖しく微笑む。
神出鬼没なヤツばかりの中でもトップレベルに君臨する、底の見えない女。スキマなる亜空間を繋げ、どこからともなく現れる幻想郷の創造主。今も空間の亀裂から上半身だけ出しており、ファンタジーより若干ホラー寄りな演出になっておった。
「紫しゃま」
「橙。上手くやれているようね。さすが私の式の式」
「あー……そういやそーゆー繋がりだったか」
言っちまえば上司の上司みてぇな存在なんだろうか。ま、猫娘がまだちんまいガキんちょなのもあってさほどスパルタにはなってなさそうだが。いや、山奥で野良猫と共同サバイバル生活させてる時点で結構ハードなのか……?
八雲一家が定期報告にも似た会話を終えると、八雲紫が再度オレに視線を向ける。
「藍からも聞いているわ。なかなかどうして愉快にやっているそうね。私の見込んだ通りですわ。本当に、面白い」
「フッ、そいつぁどーも。こっちも楽しませてもらってんぜ?」
「そうでしょうね。真夜中に見晴らしのいい道端で茨木華扇に押し倒されて乳繰り合っていたらしいし」
「それは忘れろ……ッ! つーか事故だし誤解だわ!」
クールかつニヒルにキメたのが一転、感情表しのツッコミが炸裂した。
藍ネーチャンが報告したんだろうけどよりによってそこかよ。もっと他にも見せ場あんだろうが。マエリベリーの件とかあるやんけ。
ありのままを主に告げた忠義溢れる九尾サマのインテリスマイルを思い浮かべて苦々しいツラになる。そこに妖怪の賢者サマは笑みを崩さず容赦なく追い打ちをかける。
「私としましては二人の仲の進展に興味があるのですけれど」
「ったく、どいつもこいつも下世話な勘繰りしやがって。別に何にもねぇよ。あっちが不法侵入して朝っぱらから叩き起こしてきたり、何か知らんが行く先行く先でバッタリ出くわしたりするぐれぇだわ」
「それはそれは……」
「ホントによぉ、昼夜逆転の逆転が起こりまくって逆に不健康になりそうだぜ」
大変ですわね、薄っぺらい同情の籠った声音で相槌を打たれる。ホントにわかっとんのか、この賢者サマは。こちとらそのうちワンオペで二十四時間営業になりそうなんだが。かえって不規則だよコンチクショウめ。
すると、八雲紫から思いもよらぬ提案があった。初めて出くわしたときのように、どこからともなく取り出した扇子をパッと開き、
「でしたら、今度はそちらから出向いてみてはどうでしょう。聞けば先回りや先手を打たれてばかりのようですし、いつまでもやられっぱなしでは面白くないのではなくて?」
「へぇ……そりゃいいなオイ」
その悪巧みにはさしものオレも嗜虐心をくすぐられた。
小者臭いと蔑むなかれ。夜を生きる男、ハードボイルドな何でも屋として毎度毎度あの女にペースを握られたのでは沽券にかかわる。
最近じゃ人里の主婦層から「若いわねぇ」「青いわねぇ」などと生暖かいコメントすらいただく始末。青くねぇよこちとら黒岩じゃい。黒衣といいつつ青いヤツなんぞ工藤新一だけで十分だろ。
悪人ヅラで笑い合うオレたちを穢れを知らない猫娘が気の毒そうに見ておったが気にしてはならない。大人ってぇのは時として小狡いモンだと知っとけ。
「善は急げ。早速仕掛けるとしましょうか」
わりと悪戯好きなのか八雲紫がノリノリで新たなスキマを開く。
コレを目の当たりにするのは幻想郷に拉致されたあの日以来だが、つくづく悪趣味なこって。真っ暗な空間に無数の目玉とか。
ま、夢の国ばりにファンシーな光のイルミネーションが煌めくトンネルだったらそれはそれで通り辛いけど。オレのキャラ的にもキツ過ぎる。独り身の野郎が単独でキラキラワンダーランドを体感ってぇのはもはや拷問に近い。
「この先は彼女の屋敷に繋がっていますわ。さ、いってらっしゃいな」
「っかー、仕事が早くて感心だこと」
「お褒めに預かり光栄ですわ」
余裕綽々な八雲紫とキョドる橙に軽く別れを告げてからスキマに身を投じる。
距離感も広さも掴めない亜空間に留まっていた時間は数秒にも満たなかった。身構える暇もなく、一瞬の間に闇が晴れる。
「う……」
短時間で明転と暗転を繰り返したせいで眩暈がしそうになり、思わず顔をしかめた。眼球が明るさに馴染んだところで少しずつ視界を確保する。
木々がさわさわと枝葉を揺らし涼し気な流れを生む。小鳥のさえずりが頭上を通り過ぎていった。穏やかな気候はここを天国と錯覚させる。厳しい暑さとは無縁の快い空気に包まれる。
そしてご立派な屋敷も見間違えるハズもなし。動物たちと暮らすあの女の家であった。
「こっちも久し振りか。ま、オレだけじゃ来れねぇしな」
つい独り言をぼやく。
ちょうど屋敷の裏手からのっそりと姿を見せる大きな体躯があった。黄金色の毛皮を纏った力強い迫力。マトモに暮らしていれば動物園でしかお目にかかれないであろう肉食獣。
「よう、寅さん」
華扇のペットでもある虎がオレを見つけてこっちに来る。
初遭遇時はトンデモねぇのを放し飼いにしてやがると度肝を抜かれたモンだ。あれから……そんなに経ってねぇのが驚きだ。
奴さんもオレをちゃんと覚えていたらしく問答無用で飛びかかってくることもない。マジメな飼い主によってよく手懐けられているうえに、こっちの言葉も通じる。挨拶代わりに低く喉を鳴らして応じてくれた。
「華扇はどこだ?」
雷獣のときといい、オレまで動物に話しかけるのがフツーになってきちまった。
すると虎は無言で踵を返し、今しがた通った道をこれまたのっそりと歩き出した。ついてこい、ってか。
黄金色の猛獣に導かれるまま、屋敷の裏手にまで回る。かくして探し人見つけたり。
大きな木に背中を寄りかからせて根元に座る茨木華扇がいた。膝の上に雷獣を乗せ、撫でていた手がそのまま残されている。天気が良かったから日向ぼっこでもしてたんだろうか。もう夕方だけど。
「すぅ……すぅ……」
女は眠っていた。
口うるさい説教を垂れ流すときとは打って変わって、静かに寝息を立てている。
瞼を閉じて、小さく開いた口から吐息を零す彼女の桃色に色付くミディアムヘアをせせらぎのような優しい風が梳いていく。
「んだよ。寝てんのかい」
木漏れ日が差し込み、きめ細かく色白な肌が照らされる。日焼けしなければイイが、そこまで強い日差しでもないし問題なかろう。
すぐ傍にまで歩み寄ってその場に屈む。不良座り(ウ〇コ座りともいう)で目線の高さを合わせれば女の顔がよく見える。ついでに起きる気配もなし。
そらそうか。特殊な術でセキュリティ対策してるうえに警護の虎もいる。油断っつか気が抜けるのも当然といえよう。第一、気が休まらないアジトなんぞクソの役にも立たない。
「ぉーぃ」
「…………」
試しに呼びかけるが反応なし。いや、わざと小声で言ったからなんだが。
目を閉じているおかげでまつ毛の長さが際立っている。そんなところからも女らしさを感じる。毎度ながら美人だと思う。繁華街でもここまで顔立ちの整った女は知らない。
知らず知らずのうちに華扇の寝顔に見入ってしまう。言うほど珍しいものでもねぇだろうに、どうしてか目が離せなかった。
「ったく、いつもは人を叩き起こしやがるクセによぉ」
やれやれと苦笑いで肩をすくめる。口では文句を垂らすが全く悪感情は湧いてこなかった。
何となく手を伸ばし、軽く指先で桃色の前髪を横に掻き分ける。指に沿った髪は滑らかな手触りで、絡まることなくさらりと零れ落ちた。
飼い主の膝の上で寛いでいた電気ネズミがモゾモゾと動いた。つぶらな瞳がオレを見上げ、パチッと控えめな静電気を放つ。こっちが先に起きやがったか。
「悪ぃがポップコーンは持ってきてねーぞ」
オレがそう告げるとヤツは「チッ……しけてんなぁ」と言いたげに華扇の膝から下り、ちょろちょろとどっかへ行ってしまった。オレ=ポップコーンの図式が疑われた。
「ん……、んん」
「お」
オレが前髪に触ったり雷獣が動いたりしたせいであろう。華扇がおもむろに身じろぎし、瞼が微かに震えた。
仙人サマの瞼がゆっくりと開かれ、宝石めいた赤みがかった瞳が露わになる。まだ微睡みの中にいるようで目の焦点は定まっていなかった。
「………ぁ」
「よぉ、夢は見れたかよ」
「ふふ……」
「あ? どうし――」
フッとニヒルに気取って茶化すオレに、桃色の仙人サマはふにゃりと緩んだ笑顔を浮かべた。そして何を思ったのか左右の手をこちらへ伸ばす。
不意打ちに意表を突かれている間にも、それぞれの手のひらが両頬を挟み込む。さらに華扇はオレのデコに自分の額を重ねた。女の体温が直に伝わる。
「ちょおまッ、何してんねん!?」
「んぅ♪ んふふ~」
って、コレ完全に寝ぼけてるやつじゃねーか!?
さながら風邪をひいたときみたく、おでことおでこをくっ付けて体温測定ごっこ。やがてそれだけじゃ飽き足らずスリスリと擦り合わせてきやがった。華扇から甘い匂いがますます鮮明になる。
「オイオイオイオイ……ッ!?」
これまでも手を繋がれたり腕を組んできたりはあった。が、顔が近いことはあっても実際に触れるまでは至らず。こんな猫のマーキングみてぇなマネゴト未だかつてない。それがオレの理性を揺さぶる。
いつもの無防備さとも違う感じの隙だらけな表情が数センチ先にあった。夢心地に蕩けたどこか色っぽい笑みと目と目が合う。不覚にもドキリとしてしまった。落ち着け、オレ。
「わたまべ……」
「お、おぉ」
ようやく華扇の額が離れていったが、両手は相変わらずオレの頬を抑えている。互いの吐息が当たるほどの間近で、眩いガーネットを彷彿させる瞳に映される。
華扇が再び瞼を閉じた。まさか二度寝か?と思ったがそうじゃなかった。
「んー……」
「――ッ!?」
瑞々しい唇をすぼめて華扇がもう一度だけ顔を近づけてくる。
桜色の蕾のようなソレが当たるまであとちょっと。このままでは食われると悟ったオレは、女の唇が届く前に肩を強めに掴んで揺すった。
「だーもう起きろって! さっきから食い放題の夢でも見とんのかオノレは!?」
「んー……んぅ? ぁ……ぇ?」
その甲斐もあってお寝ぼけ仙人サマがギリギリのところで動きを止める。虚ろだった瞳に少しずつ光が宿った。
おぼろげな口調で仙人サマがオレの名前を口にする。
「わたまべ……?」
「おう、目ェ覚めたかよ」
「は……え、えぇ?」
状況が飲み込めていない様子で疑問符を出しまくっている仙人サマ。が、意識は順調に覚醒しつつあるようであった。そういやさっきもオレの名前を呼んでいたような気もするのだが、聞き間違いか……?
やがて華扇が完全に目が覚めたのを見計らって、溜息がてら真っ先に一言。
「とりあえず手ェ離せ」
「へ? あ、あっ!? あぁああ……!?」
今もなおオレの頬っぺたを挟み込んでいやがるおかげで全く動けんワケで。
そこでようやっと自分が何してんのかを理解したらしい。目を見開き声を震わせながら華扇の身体が硬直した。いやだから固まんなよ逆だよさっさとどかんかい。
二人の鼻先がぶつかりそうなところまで差し迫ったまま見つめ合いが続く。その直後、桃色な乙女のお顔がボッと火山の如く一瞬にして燃え上がった。
「はわぁあああああああああッ!?」
とても寝起きとは思えぬけたたましい悲鳴が敷地内に響き渡った。
あとはもううるせぇの何の。
湯気を沸騰させた顔色でオレをドつき飛ばした女仙人は、いかにも生娘っぽく身を掻き抱いて喚き始めた。オレが地面を転がっていることに思うところはない模様。
「な、な、な、なんでここにいるんですか!?」
「いたら悪ぃかよ。お前だってオレのアジトに勝手に上がり込んでるじゃねーか。お相子だ、お相子」
「それとこれとは話が別ですッ! それに屋敷には決まった道を通らなければ辿り着けないのに、一体どうやって……」
「フッ、ミス八雲の助力のおかげだ。偶にはこっちから仕掛けてやれってな。どんなモンよ」
「んなぁ!? あんのスキマ妖怪ぃぃい!」
白いシニョンで括られた頭を抱えて仙人サマが呻きつつ蹲る。ミニスカで膝立てんなよ。下着見えたらどうすんだ。
しかしまぁ、これはもうドッキリ大成功と言わざるを得ない。ナイスなリアクションにニマニマとあくどい笑みが迸る。
そう勝ち誇っていると、ウンウン唸っていた華扇が恨みがましい目つきになってジロリと睨んできた。
「…………見ましたよね?」
「あ? 何を」
「で、ですから……私の、その……ね、寝顔、とか」
「んだよ、別に心配すんなっつの。涎も垂らしてなかったしアホ面でもなかったし、綺麗なモンだったぜ? ま、寝ぼけてうっかり食われそうになったのはヤバかったがな」
「な――!?」
人を肉まんか何かと見間違えたか知らんが、危うくパックリいかれるところであった。これで顔面に歯型でも付けられようものならギャグにしかならんわな。禁書目録かよってぇハナシだ。
ふと華扇を見やれば、先ほどよりも顔を真っ赤にして再び硬直しておった。パクパクと口を開閉して面白いことになっていやがる。ついでだし写メっておこうか。
しかし結論から言えば、この間にでもさっさと逃げるべきだったのだ。
いつしか華扇の身の回りに修羅の如き怒気が滲み始めた。それはあたかも空に暗雲が立ち込めるかの如く。不穏な予兆が空気を乱す。
そして、
「こっ、こんの……馬鹿者ォォオオオオオ!!」
さっきまで寝ぼけていたとは到底信じられない叫び声。突然の大音声に気圧され仰け反った。さらに続く矢継ぎ早な怒涛の説教と非難の嵐。
「綿間部! そこに直りなさい! いいですか、まず人の寝顔をまじまじと覗き込むこと自体デリカシーに欠けます! ましてや男性が女性の寝顔をじっくり観察するなど、何を考えているのですか!? まったくもっていやらしい! だから綿間部はいつまで経っても破廉恥なのが治らないんですッ!」
「いやオメーだってオレの寝顔ぐらい見てんだろ。あと破廉恥じゃねーよ」
「口答えしない! 男と女では状況が違います!! まさか、私が眠っている隙に変なことしてませんよね?」
「変なことって何やねん……マジックペンも持ってねぇし落書きもしとらんわ」
その手があったかと思わなくもないが、よくよく考えたらコイツの顔を汚すのは気が引ける。まぁ、その、何だ。綺麗な顔だしよ。
むぅう、と頬っぺたを最大限にまで膨らませた仙人サマが逃がさんとオレの手首を掴んだ。頬を挟んだ時のソフトタッチではなく、拘束っつー表現がピッタリの力強さで握り締められる。痛ぇよ。
「いいでしょう。今度こそその性根を叩き直してみせます。覚悟なさい」
「オ、オイ……何させる気だ」
「決まっているでしょう? 修行です。なんだか動きやすそうな恰好してるし丁度良いわね」
「待った待った! 鍛錬ならさっき済ませたばっかだから必要ねぇって。あと今回のはアレだ。ほんの出来心だ。だから大目に見てくれ。な?」
「つーん、知ったことですか。私の寝顔を見た責任とってもらいますから」
「うせやろ」
このあとメチャクチャしごかれた。
つづく
しごかれた(健全)
淫ピな想像した人はあとで職員室に来なさい