「そ、それは本当か…。」
お父様は気の抜けたような声を出し依然慌てたような顔をしている。
それもそのはずだ、これから貴族として上に立って行くものとして魔法使いであるということは
絶対条件であるのだ。過去の歴史などを見てきた中でも魔法を使えないものが貴族になった例はない。
この声が熱による一時的な失声ならいいのだが障害的なものとなればそれこそ本当にまずい。
この国の国王は魔法の絶対主義を掲げていて、貴族の中に魔法の使えない声の出ない貴族がいると分かれば処罰、最悪の場合『処分』される可能性が高い。
それはその者を匿っていた者たちも同罪となるだろう、どんなに貴族としての階級が高いとしてもその結果は免れないだろう。そのためお父様は焦っているのである。
「ひとまずは、メイド達はクロックの身の回りの事と家にある薬も持ってきて飲ませること。
私は、『声』に関する医師がいないかどうか調べてみる。マリーは一緒にいてやってくれ。」
お父様はメイドの人達に指示を出し、自分自身も私のために医者を探してくれようとしている。
お母様は私の手を握り悲しそうな顔をしている。
「大丈夫です、きっと治りますわ…。」
そう今私が考えねばならないことは薬を飲み熱を下げること、熱が原因であればそれで治るはずだから。現状は医師を探す段階であるが、もしもいなかったら次は薬を探すしかないがそれは難しいだろう。
万能の薬というものは、幻の草から作られるというとても希少なものらしいのだ、それ以外には声に効くという薬など聞いたことが無い(もしかしたらあるかもしれないが)。
万が一医師が見つからず、声に効く薬がなかったとする。そうなれば家から追い出される可能性が高い。私の家は貴族の家系だ、私一人のせいで絶やすわけにはいかない。
そうなることも視野に入れておかないといけない。
しかし、今は休まないと…。
メイドの持って来た熱を下げる薬を飲み寝ることにした。
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急な発熱より3日、あれから薬などを飲み続け休んだ結果熱を下げることに成功した。
しかし、恐れていたことが起こった。
熱が下がって尚も声が出ないのである。
まずは、熱が下がった事などを報告しにお父様たちに会いに行こう。
だけど、喋る事が出来ないので紙を数枚とペンを持って行かなければならない。
部屋から廊下に出てしばらくするとお父様の部屋の近くまで来た所で何やら話し声が聞こえた、
「仕方がないだろう、そ….クのためだ。」
「そ…あの子は大….しょうか…。」
何やら言い合っているようだが、よく聞こえない。
盗み聞きをするために来たのではないので、部屋に入ることにする。
「クロックか熱は下がったようだな、それで声は…。」
『残念ながら回復しませんでした、それでこれから私はどうすればいいのでしょうか。』
返事を紙に書きお父様に見せる。
「声は戻らなかったか…マリーやはりさっきの話の事をしなくてはならない。」
さっきの話の内容か、どんなことだったのかな。
「仕方がないですね…それがこの子のためですもの。」
「クロック、さっきマリーと話していたことはある人の所へお前を預けるということだ。」
預けるということはこの家にいられないという事だ、お父様達は私を国から守り隠蔽するつもりではないだろうか。そうなれば、ばれれば大変なことになる。
「お前の考えていることは大体は分かっている、だが安心しろ根回しはしっかりしておく。」
そうは言うが大丈夫なのだろうか…
「出発は明日だ、今のうちに準備をしておくといい。」
『分かりました。』
誰に会いに行くのかは分からないがお父様がこのような事態に何の関係も無い人の所へ
行かせるとは考えられない。
まずは、部屋に戻り私は準備をすることにした。
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