声を失った少年の物語   作:風根三波

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6.出発そして襲撃

 

 

 

 

 

友人達へ別れの挨拶を告げてから一夜が明け、出発の日となった。

 

 

 

時刻は朝8時頃、普通なら日は昇っていてもいいぐらいの時間なのだが今日は

 

雲がかかっており薄暗い。

 

 

 

朝からは馬車への食糧の積み込みや護衛の人達の配置の話などをしている様子が窺えた。

 

 

 

ここからお父様の友人の所へは早く見積もって3日~4日はかかるとの事だ。

 

結構距離があることからアルグース領に住んでいる人と推測している。

 

 

 

「クロック、準備が整った。そろそろ出発だ。」

 

 

 

お父様から声がかかったので返事の意を込めて頷く。

 

色々と考えているうちに準備が整ったようだ、いよいよ出発か治るといいな。

 

また実の声でお父様やお母様、ナリィ達皆と話がしたい。

 

 

 

そう思いながら馬車へと乗り込もうとした時隣から声をかけられた。

 

 

 

「クロック様少しの間ですが周りの警護は私たちにお任せください。

 

 魔物などは一切近づけません。」

 

 

 

そんな力強い声を聞き、僕はその人とその周りにいる人たちに向け優しく微笑み

 

深く礼をして馬車へと乗り込む。

 

 

 

護衛の人達は見た感じだと5名ほどかな、今の僕は無力なただの人間だからとても心強い。

 

 

 

そして馬車は動き出し、後ろを見るとお父様とお母様。そして使用人の方たちが手を振っている。

 

私は馬車の窓を開け顔を出し手を振り返す。

 

 

 

そして屋敷が見えなくなると顔を中へ戻し窓を閉めた。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

あれから少し経った後空からはぽつぽつと雨が降ってきた。

 

 

 

荒れなければいいがと心の中で思いながら、馬車へ乗る前に屋敷の書庫から持って来た1冊の古い本を取り出した。

 

題名は『静かなる魔法使い』。これは私が一番好きなお伽噺の本だ、昔エリーンという女魔法使いがいたというその魔法使いは詠唱もせずに何もない所から魔法を放つという所からその異名がついたらしい。尚このお伽噺が書かれた日時などは明記されていない。

 

 

 

このような詠唱を唱えずに魔法を使えたらどんなにいいことか、万が一私の声が戻らなくてもこの方法を使えばお父様達の役に立てる。

 

しかし、便利すぎるものには何か裏があるはずだから安心はできない。

 

 

 

そしてその本を開こうとした時馬車が揺れた。

 

いや違う、馬車が揺れたんじゃない。地面が揺れたんだ!

 

 

 

急いで外を見ると護衛の人達が慌ただしく「クロック様をお守り城しろ!傷をつけたら依頼主からひどい目に合う。」依頼主とはお父様のことだろう。

 

 

 

「グォォォォッ!」

 

 

 

そして周りを見渡している途中遠くから何かが鳴く声が聞こえた。

 

 

 

この周りには脅威になるような魔物は生息していなかったはず、そうお父様からは習った。

 

 

 

しばらくするとその声の主があきらかになった。

 

 

 

「ガァァァッ!」

 

 

 

「「ド、ドラゴンだッ!」」

 

 

 

ドラゴンだって!?この付近にはドラゴンなんていなかったはずだ。普通ならドラゴンは標高が高い山などに生息し滅多に下へは降りてこないと文書で読んだことがある。

 

何が起こっているんだ…。

 

 

 

「クロック様をお守りしろ、なんとしてもドラゴンを近づけさせるな!」

 

 

 

護衛の人達は真剣な表情で他の人達と連携を取っている。

 

 

 

護衛の人のうちの一人が弓矢で攻撃するもドラゴンの皮膚へは刺さらない、その次に剣を持った隊長格の人が剣を手にドラゴンへ向かって行ったがドラゴンだって何もしないわけがない。

 

 

 

ドラゴンは大きな尻尾を振り周りを薙ぎ払う、その衝撃で護衛の人達の半数は吹き飛ばされる。

 

何とかしがみついて逃れた人に向けドラゴンは大きな牙を持つ口で襲い掛かった。

 

 

 

その人は躱しきれずその攻撃を受けてしまった、辺りには赤い血が飛び真っ赤に染まっている。

 

 

 

私は恐ろしくなり咄嗟に馬車の中で屈み込む、体は恐怖を覚えガタガタと震えている。

 

私も守られるだけではなく出て戦うべきだと思うが、思うように体が動かない。

 

 

 

魔法が使えなくても剣が使えるが、引き抜く勇気がなかった。

 

 

 

いきなり馬車の前の方からドラゴンの叫ぶ声が聞こえたかというと、乗っていた私ごと馬車は吹き飛ばされ私は気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 




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