死の支配者《モモンガ》は古き知恵の悪魔《マヨ✩マヨ》と笑う   作:布施鉱平

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ナザリックへの帰還

「またどこかで、か…………」

 

 ログアウトしたヘロヘロの席を見つめたまま、モモンガは呟いた。 

 久しぶりに仲間に会うことが出来、また一緒に遊びたいという言葉を聞くことができた。だが、その心に芽生えた感情は喜びからはほど遠いもの。

 

「どこで会うって言うんだ」

 

 吐き捨てるように呟いた。

 このアインズ・ウール・ゴウンの全てを結集させたナザリックですら、今はモモンガ一人しか残っていないのだ。

 

 ユグドラシルを引退したギルドメンバーたちには、皆それなりの理由があった。

 

 転職した、結婚した、夢が叶った、子供が生まれた────

 全て一過性の理由ではなく、これから先もそのことに時間と情熱を傾けなければならないからこそ、ユグドラシルに割く分がなくなったのだ。

 

 だから、もしユグドラシルⅡが発売になったところで、かつてのメンバーがまた揃うなんてことはありえない。

 

「────ふざけるなっ!」

 

 怒号と共に、骨だけの両手が黒曜石のテーブルに叩きつけられる。

 

「ここは皆で作り上げた地下大墳墓だろ! 俺たちの拠点(ホーム)だろ! なんでそんな簡単に棄てることが出来る!」

 

 激しい怒りが通り過ぎ、あとに残るのは寂寞(せきばく)とした気持ちだけ。

 

現実(リアル)が忙しいっていうなら、俺だって同じだ。それでも、こうやって時間を作ることは出来るじゃないか。一日一時間、いや、週に一時間でもいい。ナザリックに愛着があるなら、来れるはずだろ?」

 

 疲れたようなため息をつき、席から立ち上がる。

 壁にに向かい、飾られた一本のスタッフ────アインズ・ウール・ゴウンを象徴するギルド武器を手に取ると、仲間と共に冒険をした最も輝かしいころの記憶が蘇った。

 

 

 たっち・みー、死獣天朱雀、餡ころもっちもち、ウルベルト・アレイン・オードル、ヘロヘロ、ペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜、タブラ・スマラグディナ、武人健御雷、ばりあぶる・たりすまん、あまのまひとつ────マヨ✩マヨ…………

 

 

 いくつもの仲間の顔が、声が、浮かんでは消えていく。

 そして最後に思い出したのは、止めたくないと泣きながら去っていった六腕の悪魔の姿。

 

 彼とは未だ頻繁に連絡を取り合っていた。

 

 あまりに頻繁すぎて、マヨ✩マヨに関してはナザリックから去ったという感じがしないくらいだ。

 

「マヨ✩マヨさんも、辛いだろうな…………」

 

 抗ナノマシン障害を発症してしまったマヨ✩マヨは、戻りたくても戻ってくることができない。

 自分に合うナノマシンを探してみせると意気込んでいたが、結局見つからないままユグドラシルは終了の日を迎えてしまった。

 

「…………そうだ、王座の間にNPCを全部集めて、スクショでも撮って送ってあげよう」

 

 マヨ✩マヨに送るスクショは、ナザリックの各階層の光景やNPCのアップが多かったが、全てを一枚に収めたスクショを撮ったことは一度もなかったはずだ。

 

「よろこんで、くれるかな」

 

 ハリウッドの映画に出てくる昆虫型宇宙人みたいな顔を思い出しながら呟いた、その時だった。

 

 

 

 ────ギルドメンバーのログインを告知する、システム音が鳴ったのは。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「マ、マヨ✩マヨさん!?」

 

 円卓の間に転移してきたのは、タブラ・スマラグディナと並ぶナザリックの大錬金術師。

 紫色の肌をした六腕の悪魔────【古き知恵の悪魔/エルダー・グノーシス・デヴィル】であるマヨ✩マヨだった。

 

 最も来るはずのない人物が現れたことで、モモンガの精神は大いに動揺する。

 

「来ちゃいました」

 

 だが、うろたえて続く言葉も出ないモモンガとは裏腹に、マヨ✩マヨは実に楽しそうな声でそう言った。

 

「き、来ちゃいましたって…………マヨ✩マヨさん、大丈夫なんですか? その、体は…………」

 

 そう、マヨ✩マヨが発症した抗ナノマシン障害は、治療法の確立されていない難病。

 連絡を取り合っていた中でも、マヨ✩マヨの体質にあうナノマシンを発見したなんて報告はなかったのだから彼の病は治っていないはずなのだ。

 

「ああ、いえ、大丈夫…………ではないんですけど、まあログアウトしてからすぐにナノマシンを除去したら大丈夫ですよ」

「全然大丈夫じゃないじゃないですか! 何やってるんです、どうするんですか、症状が急に悪化したりしたら…………!」

「いえ、うん、ほんとに大丈夫なんですよ。抗体の異常発生を抑える薬も飲んできてますし、あと数時間はナノマシンが体に入ったままでも問題ありませんから」

「だからって…………」

 

 モモンガが心配するのも当然のこと。

 これが少し具合が悪くなるくらいの病気なら、モモンガだってマヨ✩マヨが来てくれたことを素直に喜んだだろう。

 だが、抗ナノマシン障害は命に関わる病気なのだ。

 いくら薬で症状を抑えているとは言っても、楽観視していいわけがない。

 

「まあまあ、来ちゃったものはしょうがないじゃないですか。そんなことより、いいもの持ってきたんですよ。一緒に見ましょう」

「そんなことって、マヨ✩マヨさん…………もう少し自分の体を大事にうわぁ! そそそ、それ、世界級(ワールド)アイテムじゃないですか! しかも五つも!?」

 

 マヨ✩マヨが現れた時と同じくらいの衝撃が、モモンガの不安を塗りつぶす。

 

 ニヤニヤとしたアイコンを浮かべながらマヨ✩マヨが取り出したのは、同じものは一つとして存在しない究極のアイテム────世界級(ワールド)アイテムだったのだ。

 それも、五つも。

 

「凄い! 【死ぬべきか死なざるべきか(トゥビー・オア・ノット・トゥビー)】だ! あっ、イ、イ、【神の贋作(イミテーション・オブ・ゴッド)】!! それに【静謐(せいひつ)なる墓標(ぼひょう)】まである!!!」

 

 モモンガが子供のように目を輝かせる(マヨ✩マヨが見た幻視)のも無理はないことだった。

 マヨ✩マヨが持ってきた世界級(ワールド)アイテムは、モモンガが名前を上げた三つ以外の残り二つも合わせて、どれもモモンガが欲しい欲しいと常日頃から言っていたものばかりなのだから。

 

「ど、どうしたんですこれ。確か【死ぬべきか死なざるべきか(トゥビー・オア・ノット・トゥビー)】は五宝連珠(ウーバォ・リィェンジゥ)、【神の贋作(イミテーション・オブ・ゴッド)】はマジックランタン、【静謐(せいひつ)なる墓標(ぼひょう)】はWGW(ワイルド・ガンズ・ウエスト)と、どれも大手ギルドの所有物だったはず…………マヨさん一人で奪ってこれるはずもないし…………」

 

 やや失礼な断定ではあるが、それも当然のことだ。

 大手ギルドから世界級(ワールド)アイテムを、しかもそれぞれ所有ギルドの違うものを一日で五つも奪ってくるなんてことは、ワールドチャンピオンやワールドディザスターを保有していた全盛期のナザリックであっても不可能な偉業である。

 

 そのうえ、マヨ✩マヨは戦闘職ではないのだ。

 生産特化のキャラビルドをしたマヨ✩マヨでは、大手どころか弱小ギルドから何かを奪うことすら出来はしない。

 

「ふふふ…………」 

 

 マヨ✩マヨは、未だ衝撃の冷めやらないモモンガに対し不敵な笑み(のアイコン)を浮かべると、

 

「買って来たんですよ…………現金(リアルマネー)で!」

 

 そう断言した。

 

「いや、何やってくれてんだ!? マジで!!」

 

 衝撃に続く衝撃により、モモンガは病気を押してまで来てくれた仲間を怒鳴りつける。

 だがそれも仕方のないことだと言えるだろう。

 

 色々と規制の厳しいユグドラシルにおいて、現金(リアルマネー)のやり取りは18禁行為以上の禁則事項である。

 

 もし運営にバレれば、即座にBANされても文句が言えない行為なのだ。

 

「ふふふ、まあ、いいじゃないですか。今更ですよ」

「…………そう、ですね。確かに、今更ですね」

 

 今更だというマヨ✩マヨの言葉を正確に理解して、モモンガは深く息を吐いた。

 

 今日はユグドラシルの最終日なのである。

 たとえ現金のやり取りがあったという報告が運営に届いたとして、事実確認もなくいきなりBANされることなどありえない。

 

 まず疑いのある当事者に話を聞き、データをさらって証拠を集め、それが事実だという確認が取れて初めてBANされるのだ。

 

 調査には、どれだけ運営の調査部が優秀だろうと三日以上は掛かるだろう。

 つまり、事実上マヨ✩マヨの行為が問題視されることはありえないということだった。

 

「ふふふ」

「は、はははっ」

 

 マヨ✩マヨの楽しげな笑いに、モモンガも釣られて笑う。

 

 その脳裏に浮かぶのは、かつて何度も繰り返された光景。

 

 手に入れたアイテムに一喜一憂し、その使い道を決めるために何時間も話し合ったこともあった。

 どうしても欲しいアイテムのためにボーナスを丸々ガチャに注ぎ込んだら、仲間の一人が数回で手に入れてへこんだこともあった。

 

 このナザリックにある全てのものには、そういった仲間との思い出が込められている。

 

 そしてそこに今日、新たなエピソードと共に五つのアイテムが加わったのだ。

 

 

 

 

 ────そうだ、これだよ。俺が求めていたのは、こういうものだ。

 

 

 

 

 現実(リアル)に友人も家族もいないモモンガにとっては、このナザリックで仲間と過ごす時間こそが唯一の楽しみであり、癒しであったのだ。

 

 もしユグドラシルに涙を流す機能が付いていたなら、モモンガの頬は濡れていただろう。

 それぐらい、嬉しかった。

 

 一人きりでナザリックを守り続けたこの二年間で、今日が一番嬉しい日だった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 ひとしきり笑い合い、過去の思い出話に花を咲かせていると、時間は瞬く間に過ぎていった。

 

「おっと、もうこんな時間ですか」

「あぁ…………終わってしまいますね」

 

 しみじみとつぶやきながら、モモンガは鬱屈としていた気持ちが晴れている事に気づく。

 

(最後にマヨ✩マヨさんが来てくれて、本当によかった…………)

 

 マヨ✩マヨが来なければ、モモンガは沈んだ気持ちのままユグドラシルの終了を迎える事になっていただろう。

 こんなにも情熱を注いだというのにそんな終わり方をしたら、後で絶対に後悔したはずだ。

 

 楽しい気持ちのままユグドラシルを終えられるのは、自分の健康状態を無視してまでログインしてくれたマヨ✩マヨのおかげだ。

 

「あっそうだ、せっかくだからNPC全部…………は時間的に無理か。せめて戦闘メイド(プレアデス)だけでも集めて、王座の間でスクショ撮りませんか?」

「いいですねぇ。せっかくだから移動可能な世界級(ワールド)アイテムも全部引っ張り出してきて、王座の周りに並べてやりましょうか」

「ははは、マヨさんが五つも増やしてくれましたしね。やりましょうやりましょう。それで撮ったスクショを連絡がつく他のメンバーに送りつけてやりましょう」

「みんな、驚くだろうなぁ」

「いやいや、マヨさんが居ることの方が驚きですよ、絶対」

「…………それもそうですね」

「あははははは」

「ふふふふふ」

 

 いつまでもこうして語り合っていたかったが、終わりは近い。

 モモンガとマヨ✩マヨは、時間内に完璧なスクショを撮るためにそれぞれ行動を開始する。

 

 モモンガは宝物庫から世界級(ワールド)アイテムを。マヨ✩マヨは九階層で戦闘メイド(プレアデス)と、執事のセバスを回収することにした。

 

「では、また後で」

「はい、後で」

 

 短い別れの為に挨拶を交わすと、モモンガはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを発動させてその姿を消し、マヨ✩マヨは歩いて円卓の間を後にした。

 

 

 ────そして五分後。

 

 

 先に王座の間に着いたのはモモンガだった。

 

 王の帰還を祝福するように掲げられたギルドメンバーの旗の間を通り、王座へと近づく。

 十数段の低い階段の前で立ち止まり上を見上げると、そこにあるのはナザリックの頂点であるギルドマスターが座るべき水晶の王座。

 

「おおぉ…………」

 

 何度も見ているというのに、モモンガの口からは感嘆のため息が漏れた。

 まさに、最後を迎えるにふさわしい場所である。

 

 視線を王座から自分の横にずらす。

 その先にいるのは、純白のドレスをまとった美しい女性────ナザリック地下大墳墓階層守護者統括のアルベドだ。

 

 金色に輝く瞳は竜を思わせる気高さ。僅かな微笑を浮かべた顔は女神の如き美しさを誇り、腰のあたりまで届く黒髪は濡れるように艶やかだ。

 

 そしてなにより巨乳である。

 そしてなにより巨乳である。

 

「ないないと思ったら、こんなところにあったのか…………まったく、タブラさんめ」

 

 視線を胸元にチラチラと送りながら、その白い手に世界級(ワールド)アイテムが握られているのを見て、モモンガはため息をつく。

 

 宝物庫から無断で世界級(ワールド)アイテムを持ち出しアルベドに持たせたのは、間違いなく彼女の創造者であるタブラ・スマラグディナであろう。

 

 モモンガの脳裏に、海洋生物(タコ)頭の友人の姿が浮かんだ。

 

 だが、怒りや苛立ちといった負の感情は湧いてこない。

 

 本来であれば、超希少アイテムである世界級(ワールド)アイテムは過半数の決をとらない限り動かしてはいけない決まりなのだが、それを言ってしまえば自分たちも同罪だ。

 

「そういえば…………」

 

 タブラ・スマラグディナの姿を思い出した流れで、彼が設定魔だったことをモモンガは思い出す。

 そして、思い出してしまうと彼の作ったNPC────アルベドにどんな設定が施されているのか、気になって仕方がなくなってきた。

 

「さて、どんな設定をしていたかな?」

 

 好奇心に胸が躍るのを感じながら、コンソールを操作する。

 すると、視界に膨大な量の文字が現れた。

 

「うわぁ……」

 

 さすが、としか言い様がない。

 一大叙事詩のごとき長大な文章である。

 

 じっくりと読んでいたら、マヨ✩マヨが来てしまうだろう。

 長い交流の中で、アルベドの外見が自分の好みにどストライクであることはマヨ✩マヨに知られてしまっている。

 好みの女性の内面を覗き見しているところを友人に見られるのは、流石に恥ずかしかった。

 

 文章というのは最初と最後を読めば大体の感じは掴めるものだと諦めて、モモンガは一気にスクロールしていく。

 

 そしてたどり着いた最後の文章を見て、モモンガの思考は停止した。

 

 

『ちなみにビッチである。』

 

 

「タブラさん…………ギャップ萌えとはいえ、これはいくらなんでも…………」

 

 知らなければよかったと、モモンガは頭を抱えた。

 NPCの頂点がこれでは、なんというか救われない。

 

 マヨ✩マヨと撮る最後のスクショは、ナザリックの頂点としての威厳を存分に発揮したものにするつもりだったのだ。

 

 だというのに、王座に座る自分の横に立つのがビッチでは…………

 

「うーむ」

 

 悩む。

 

 モモンガとしては、タブラ・スマラグディナの設定をいじるのは気が進まない。

 かと言って、このままスクショを撮っても見るたびにモヤモヤしてしまうだろう。

 

「うーーーーむ」

「なに唸ってるんです?」

「うわっ! おわあっ!

 

 突然聞こえた声に振り返ると、そこには紫色の凶悪な顔があって二度驚いた。

 

「いま、二度目の方が驚いてませんでした?」

「い、いえ、そんなことは…………それよりマヨさん、いつの間に?」

「うーむ、辺りからですね。普通に歩いてきたんですけど、なにか集中してるみたいだったんで…………って、アルベドの設定見てたんですか」

「あ、はい、ちょっと気になって見てたんですけど…………」

 

 歯切れの悪いモモンガの言葉に、マヨ✩マヨはモモンガが何に対して唸っていたのかに気づく。

 

「ああ、ちなみにビッチである、ですか?」

「マヨさんは知ってたんですか?」

「ええ、タブラさんとは錬金術師同士、色々と話すこともありましたしね」

「そうですか…………」

 

 あっさりと告げるマヨ✩マヨの声には、特に否定的な感情は浮かんでいない。

 マヨ✩マヨがいいなら、そのままでいいかと納得しかけるモモンガだったが、

 

「変えちゃいましょう、設定」

「え?」

 

 何でもないことのように、マヨ✩マヨが言う。

 

()()があればクリエイトツールもいらないでしょ。ギルド長特権で変えちゃいましょう」

「え、え、いいんですかね…………そんなことしちゃって」

「いいんですよ。タブラさん、NTR(ネトラレ)()きですから」

「うわぁ」

「さ、NTR(ネトり)ましょう、NTR(ネトり)ましょう」

「え、あ、はい」

 

 勢いに負け、モモンガはコンソールを操作して『ちなみにビッチである。』を消去した。

 

 すると、すかさずマヨ✩マヨがモモンガの横からその細い腕を伸ばし、六本の指を器用に動かして代わりの文章を打ち込んだ。

 

 

『モモンガを愛している。』

 

 

「ちょっ! マヨさん!?」

「いいじゃないですか。モモンガさんアルベドの見た目がどストライクだって言ってましたし。それに友達からNTR(ネトる)んなら、ちゃんと相思相愛にならないと」

「いやだからって」

「ぽちっとな」

「あ」

 

 エンターキーが押され、設定の変更が確定された。

 

「さ、これで二人を阻むものはありません。存分にイチャコラするといいですよ」

「いやいや、18禁行為はシステム上不可能ですから」

「ちょっと、神聖な王座でナニするつもりですか!」

「いやあんたが言ったんだろうが!」

 

 互いに声を張り上げて睨み合い…………

 

「ぷっ」

「ふふ、あはははははっ」

 

 そして同時に吹き出した。

 

「あ~、今日は本当に楽しい。こんなに楽しいのは久しぶりですよ」

「僕もですよ、モモンガさん。これで最後なのが、本当に悔しいです」

「ええ、本当に…………」

 

 

 ────楽しかった。そう、本当に楽しかったんだ。

 今だって、仲間がいてくれるだけで、俺はこんなにも楽しい時間を過ごすことができる。

 

 

 

 

 23:58:32

 

 

 

 

「あっ! マヨさん! 時間が!」

「えっ、あっ! やばっ、話しすぎた!」 

「ど、どうします!?」

「ん、んん~…………無理ですね!」 

「諦めた!?」

 

 

 

 

 

 23:58:56

 

 

 

 

「もう世界級(ワールド)アイテム並べてベストポジション探ってる時間もないし、こうなったら諦めるしかないでしょ」

「あぁ~…………最後の最後でこれか…………」

「ま、これはこれで僕ららしいんじゃないですかね」

「…………それもそうですね」

「せめて最後は王座に座ってくださいよ、モモンガさん」

「ええ、そうします」

 

 

 

 

 23:59:17

 

 

 

 

「名残惜しい。本当に、名残惜しい…………そう思える僕らは、幸せなんでしょうかね」

「少なくとも、俺は今、少し幸せですよ」

「…………そうですか。よかったです」

 

 

 

 

 23:59:35

 

 

 

 

「…………ありがとうございました、マヨ✩マヨさん。最後に付き合ってくれて」

「お礼を言うのはこちらの方です、モモンガさん。ナザリックを、僕の帰る場所を最後まで守り通してくれて、本当にありがとうございました」

 

 

 

 

 23:59:51

 

 

 

 

「じゃあ…………また」

「ええ、必ず」

 

 

 

 

 

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 ……………………

 

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 

 

 

「「あれっ?」」

 

 

 




 オリジナルの世界級アイテムは────

 ・死ぬべきか死なざるべきか(トゥビー・オア・ノットトゥビー)
 ・神の贋作(イミテーション・オブ・ゴッド)
 ・静謐(せいひつ)なる墓標(ぼひょう)
 ・(しん)の二枚貝
 ・万里鵬翼(ばんりほうよく)

 の五つです。

 性能についてはそのうち出てくる…………と思います。

 あとさらっと出てきた大手ギルドも当然オリジナルです。
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