ゴリラの下りはカットしました。
一夏以外に発見された男性操縦者が一人はガチムチのオッサン、もう一人がモノホンのゴリラという衝撃にして笑撃の事実が判明してから数日後、
未だそのショックから冷めない一夏達を余所に、IS学園に新たな騒動の種が舞い込もうとしていた。
「ココがIS学園……。
庶民が通う学校らしく、小汚い所ですわ」
金髪に縦ロールのロングヘアという出で立ちで、校門前に仁王立ちする一人の少女。
彼女の名はセシリア・オルコット(16歳)。
イギリスの名貴族、オルコット家の一人娘にして、母は日本に多数存在する外国人学校の理事を務める権力者である。
セシリアはこれまで数多くの学校を日英問わず支配し、遂にIS学園にもその手を伸ばしたのだ!
「フフッ……これで記念すべき20校目ですね。
今度はどんな間抜けな無礼者がお嬢様の権力に屈して這いつくばるか、楽しみですわ」
ちなみに子分のメイドも一緒である。
「大衆は豚か猿でしかありませんわ!!
無能な者共に私の理想を叩き込み、支配して差し上げましょう!!」
かなり危ない発言と共に、セシリアは学園へと足を踏み入れた。
そこで待つ地獄のような混沌も知らずに……。
・ ・ ・ ・ ・
「ココがお嬢様の在籍なさる1年1組です」
「フフフ……では、早速下々の者達の間抜けな顔を見てあげるとしましょうか」
そしてセシリアは勢い良く扉を開いた。その先には……
「…………フンッ!」
筋肉ムキムキのオッサン(アームストロング少佐)が謎のポージングを決めていた。
「ちょっと少佐!アンタは違うクラスでしょうが!」
そしてそんな彼を引っ張っていく小柄な中国人の少女(鈴音)。
「……………………」
セシリアは何も言わずに扉を閉めた。
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ……今何かとんでもないものを見たような……。
例えるなら美少女達の輪の中に1人だけ中年のマッチョおじさんがいたような……」
「あ、あの……お嬢様、言ってる意味がよく分からないのですが……。
まぁでも、この学校は馬鹿の集まりで有名ですから……」
「いや馬鹿とかそういう次元の話ではありませんわ!!」
セシリアは混乱してしまった。
「と、とにかく落ち着いて、もう一度見てみましょう。今度は私も一緒に見ますから」
「え、ええ……では、せーの!」
そして再び扉を開けたその先は……
「この馬鹿姉がぁーーーーっ!!テメェ、俺を舐めてるのか!?
何回教えりゃ理解出来んだコラァッ!!
この…………ド低脳がぁーーーーっ!!!!」
某パープル・ヘイズのスタンド使いばりにキレた少年と、その少年に締め上げられる初代ブリュンヒルデの姿だった……。
「…………やっぱりおかしいですわ!!
何ですの今の光景は!?
何で初代ブリュンヒルデが学生服着てますの!?
何で初代ブリュンヒルデが締め上げられてますの!?
何であの男はあんなにキレてますの!?」
セシリアは更に混乱してしまった。
「あ、落ち着いてくださいお嬢様!!
た、確かに異様な光景でしたが、ここで尻込みしてたらこの学校を支配する事なんて出来ません!!」
「ハッ!そ、そうでしたわ。
…………いや、でも、アレはさすがに……」
「しっかりしてください!!
いくらムキムキのオッサンでも、ブリュンヒルデとその弟でも、
結局は同じ人間です!必要以上に恐れる事はありません!
お嬢様には権力という強力無比な武器があるではありませんか!!」
「そ、そうでしたわ……。
私とした事が何たる醜態を……申し訳ありません。感謝しますわ」
子分メイドの必死の説得でセシリアは漸く落ち着きを取り戻し、再び扉に向き直る。
(そうですわ。私には権力がある!権力程人間が抗えない力は無い……。
とどのつまり、私に敵う者などこの学園にいないのですわ!!)
そして、セシリアは三度扉に手を掛ける。
誰が支配者なのか、誰が女帝なのかを大衆に解らせるために!
「さぁ、このセシリア・オルコットの前に跪きなs『ンゴッ?』…………」
目の前に映るゴリラの姿にセシリアは三度、扉を閉めた。
「人間ですらありませんわ……」
「もしもしお父様!教室には入れませんわ!お母様に代わってくださいまし!!」
セシリア、やっぱり大混乱。
セシリアとその子分メイドの受難は続く。
登場人物
鳳鈴音
ポジションは前田彰。
原作とは違い1組所属でIS適性はC。両親は離婚してない。
一夏の幼馴染の日中ハーフ。
勉強は苦手だが、基本的にまともな常識人。
しかし、周りが常識から剥離した馬鹿が多いため、必然的にツッコミ担当になってしまう不憫な娘。
本作では一夏とは友人止まり。
(逆に一夏のドス黒い一面にはドン引きしてる)
代わりに弾と付き合ってる。
彼女の父親にはある秘密が……。