弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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何かが壊れる話。


其之八『亀裂走る』

 燃料補給で立ち寄った街で人参にされたりしたが今は五体満足な姿で旅を続けられている。

 

 御託はいいから掛かってこいと街を恐怖で支配していた兎獣人を挑発し、拳を受け止めたところで私は人参に変えられたらしい。

 触れた相手を人参に変える能力なんて初見殺し過ぎる。

 

 カカロットと後ろからストーカーのようにずっと着いて来ているヤムチャが居なかったら今頃兎の胃袋の中だ。

 この二人に助けられたのは複雑な心境だが素直に感謝しておくとしよう。

 

 

 そして今、最後のドラゴンボールを目指している訳だが、スカウターに頼っていた私は戦闘機械による不意打ちに気付けず砲撃を迎撃することが出来ず、乗り物への直撃を許してしまった。

 吹き飛ばされる中、ドラゴンボールが入ったトランクとブルマどちらを優先すべきか一瞬迷ったが、一応依頼は護衛なので車体から投げ出されたブルマの体を抱え着地する。 

 

 

 その間に襲ってきた戦闘機械はドラゴンボールの入ったトランクを持って逃走。

 どうやら狙いは最初からドラゴンボールだったようだ。

 

 すぐさまカカロットに筋斗雲で後を追わせるが途中で戦闘機械を乗り捨てたようで、おつむの弱いカカロットは乗り捨てられた戦闘機械だけを倒して帰って来た。

 意地にならず今度からはある程度の常識を叩き込んでおこう。

 

 ドラゴンボールを5つ奪われてしまったが、幸いカカロットが爺様の形見である四星球を持っているので、奪った相手が願いを叶える事は出来ない。

 偶然を装いヤムチャがやって来て壊れた乗り物の代わりの足を用意してくれるが、ドラゴンボールが奪われたタイミングで出てきたという事はヤムチャもまたドラゴンボールを狙っていると考えるべきだろう。

 

 足としてなら利用価値はあるし、人参にされた時に助けてくれた借りもあるので、まだ八つ裂きにはしないでおいてやろう。

 

 

 

 レーダー頼りに辿り着いた城に入ると床に矢印が書いてあった。

 明らかに罠だが、あえて罠にはまって相手が四星球を取りに来たところを抑え込むのもありといえばありだ。

 だが一度人参にされた身としては未知の能力や罠にはまるというのは抵抗がある。

 

 

「ちょっとキャロ。何ぼーっとしてんのよ。あんた私のボディーガードでしょ?」

「少しは罠の可能性を考えろスポーツ用パンツ」

「平気平気。あんた達とヤムチャ様がいれば何があっても大丈夫よ」

 

 

 どうやら道を変えるつもりはないようだ。

 実力を認めてくれるのは嬉しいがこいつらのこの能天気さはどうにかならないものだろうか。

 呆れながら矢印の先へと進むと行き止まりに辿り着き後ろの通路が閉まる。

 

 

 

「おいお前達!! 私はピラフ大王だ!!」

 

 

 

 壁に設置されているモニターに小柄な男が映りピラフと名乗りを上げた。

 残り一つのドラゴンボールを要求し、渡さなければ後悔する事になるぞと脅しをかけているが、構わずにエネルギー波を壁に向かって放ってみると壁は抉れ破片が飛び散った。

 連続で同じ個所を狙えば問題なく壊せるだろう。

 

 

「お前人の話を聞け! やめろ! やめろと言っているだろう! ええい、睡眠ガスを早く出せ!」

 

 

 噴出口からガスが噴き出してきたので慌ててエネルギー波で壊すが、勢いは緩むもガスは漏れ出し続けている。

 やはりブルマたちの能天気さを無視してでも罠は避けて通るべきだったと後悔してももう遅い。

 

 

「悟空! お前もかめはめ波だ! かめはめ波を使え!!」

「あ、そっか。でも何でヤムチャがそんなこと知ってんだ?」

「そんなことどうでもいいから早く何とかして頂戴! ガスがまだ漏れてるのよ!?」

 

 

 遅いと思ったのに、私がエネルギー波を連射して徐々に砕いていた壁をかめはめ波一発で吹き飛ばした。

 私の攻撃で壊れかけていたとはいえ戦闘力の一点集中はやはり威力が段違いのようだ。

 これ以上カカロットとの差が広がる前に戦闘力の一点集中を覚えなければ姉の威厳が不味い。

 

 色々思うところはあるが今はガスが充満しようとしているこの場所から逃げることが先決だ。

 私達はガスを吸い込まない内にカカロットが吹き飛ばした壁の穴を潜り抜けて走り出す。

 

 

 ピシリ、と何かが砕けて崩れる音がしたがきっと後ろの壁がさらに崩れた音だろう。

 

 




かめはめ波の威力が高くて罠を脱出できてしまったり、歴史が本格的に壊れ始めました。
次回最初の大きな改変が始まります。

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