弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? 作:へたペン
ブルマにホイポイカプセルに入れたポット型宇宙船と戦闘服を渡すと、「相変わらず凄い技術の持ってくるわね」と興味津々に調べ始めた。
「そうだ。ブルマ。傭兵か料理の仕事紹介してくれ。金がない」
「あんたね……家はカプセルや反重力を扱っている会社なんだからそんなの紹介できる訳ないでしょ? あ、そう言えば銀河パトロール、だったかしら。宇宙でいいならそれっぽいの紹介できるかもしれないわね」
「銀河パトロールはダメだ。おそらくサイヤ人ってだけで攻撃される」
「じゃあ適当にストリートファイトとか腕相撲とか、後はフードファイターでも目指してみたら?」
「弱い奴と戦ってもつまらん。フードファイターは食い過ぎて店主に帰ってくれと土下座された」
金がなければ美味しい物は食べられない。
ブルマなら何かいい仕事を知っているのではないかと思ったがそう簡単にはいかないようだ。
「この宇宙船の技術をお金にしてあげてもいいわよ? 多分反重力装置が発展して利益になると思うし」
「ありがたいが、友人の紐になっているようでなんか嫌だ」
「あんたってめんどくさい性格してるわよね」
「めんどくさい性格をしてるからこうして悩んでるんだろ」
ただ暮らすだけならば今まで通り自給自足でいいのだが、それだけでは味気ない気もする。
それに将来的にはカカロットに家族が増えるのだ。
家族が増えたら食費もかさむのにカカロットが働く未来なんて想像できない。
やはり私がある程度稼ぐ必要が出て来るだろう。
「キャロって、絶対男に貢いじゃうタイプでしょ。変な男に引っ掛けられたりしたらダメよ?」
何だかものすごくブルマに心配されてしまった。
私が男に貢ぐなどと一体どこからそんな発想が出てきたのだろう。
「そうそう、あんたのスカウター壊れちゃったでしょ? 新しいの通信機つけて作っておいたわ」
「通信出来るのか!?」
「通信と言っても家との連絡用よ。大本の通信機能が丸ごとなくなってたんだから連絡先の再現なんて出来る訳ないじゃない」
どうやらスカウターに地球の通信機を取り付けてくれたようだ。
一瞬惑星ベジータと連絡が出来るのかと思ってしまった自分が恥ずかしい。
「惑星ベジータ、だっけ? あんたと孫君の母星。やっぱり今でも帰りたい?」
「出来る事ならな」
「そっか。そうよね」
「だが、今の暮らしも良いと思っている。だから仕事を探してるんだろ」
迎えが来なくても幸せに暮らしていけるように土台は整えていきたい。
宇宙船が直っても、迎えが来なければ帰りたくないくらいにはこの地球が好きなのだ。
だから私もこの地球では当たり前の仕事をして暮らしていきたいと思ってしまった。
戦っているだけでは暮らしていけない不便さが心地よいと思えるのは良い事だと思いたい。
どんどんサイヤ人離れしていくキャロットでした。