銀灰の神楽   作:銀鈴

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月は全てを照覧す、汝██████る█【04】

 現実が書き換えられるという意味不明な狂乱の中、アインとリィンが辿った道は短いようで異様に長いものとなった。

 アヤメの危惧していた現実改変については、警告していたアヤメ本人があのスラム街で禁制品扱いの薬品込みで食い止めている。代償としてアヤメの流す鼻血と血涙でアインの右肩は紅に染まっており、当人自身も浅く激しい呼吸を繰り返すだけで言葉すら話せない状態に陥っているがそれはそれ。本来起きてしまうことに比べれば、遥かにマシな被害でしかない。

 そして強制的にでもここまでの情報処理を経験してしまえば、例え薬や聖剣の加護が抜けようと、脳が莫大な情報の処理能力を身につける。結果的に、意識を取り戻せば魔法使いとして格が跳ね上がる成長をアヤメは遂げているだろう。

 

 だがそれも、無事逃げおおせることが出来ればの話。

 

 アヤメが防いでいる現実改変は、あくまで自分と、アインと、リィンの3人のナニカを直接書き換えたり、歪めたりするような物のみ。それ以外の改変を打ち消すには致命的に手が足りていない。

 故にそれ以外は当然、野放図に解き放たれたまま。ヒトの生み出した悪意と慟哭と停滞に満たされた地獄が、慈愛に保護されながら世界を侵蝕し顕現していた。

 

「ええい、埒が開かぬ! アインよ、もう少し手数を増やせぬのか!」

「不可能だと否定する! アヤメに聖剣のリソースを譲り渡している以上、これ以上の展開は解除後の当方達の枯死に繋がる!」

 

 それは、言葉で言い表すのならば汚泥で作られた銀河とでも言うべき光景だった。そこに既にヒトとしての形はない。色欲の大罪が放つ黒煙よりも、なお醜い穢れた祈りに満ちた泥。物質化した穢れとでも言うべきそれが、王都全体を襲う波濤として荒れ狂っていた。

 その泥の本質は、誰かを妬み、憎み、足を引かざるを得ないヒトの醜さ。戦乱の傷が癒えぬ時代の平和に隠された、あまりにも深く腐り切った致命の傷跡。

 

 痛い、苦しい、辛い、こんな筈じゃなかった、幸せになりたい、誰か助けて欲しい、自分よりも下を見て安心したい、もう何もしたくない、生きていたくない、死んで欲しい、いくらでも叩ける生贄が欲しい、恋人を寝取りたい、ひたすらに女へ溺れたい、犯したい、汚したい、いっそ世界が滅んで欲しい、でも自分だけは死にたくない。

 

 例え溢れ泥に触れずとも、見ただけで伝わってくるのはそんな腐臭を放つ思いばかり。まるでそれは、悪感情を煮詰めた蠱毒で坩堝だ。ただ近くに寄るだけで、ヒトの善性なんてものを信じられなくなる。信じたくなくなってしまう。

 だからこそ、泥の増殖は止まらない。こんなものを見て耐えれる一般人など居やしないのだ。当てられて、引き摺り下ろされ泥に変わる。嫌悪の感情を向けることができるのは大罪者の烙印を押された(スキル持ちの)同類か、行き過ぎた聖者の証を持つ(元徳スキル持ちの)同類程度。

 結局のところそれも、同じ穴の狢以外の何者でもなく……これが一切を偽らぬ世界の現状にして惨状だった。

 

 誰も幸せになれない、なろうとしない。他者(だれか)を甚振り悦に入って、弱者を踏みつけそこで終わり。一瞬だけ気持ちよくなって、はいおしまい。

 

 ああでも【悪魔】は怖いから誰かが倒して欲しいし、大罪人の娘も何をするか分からないから殺して欲しい。出来ることなら自分達で尊厳をぐちゃぐちゃに凌辱してから、ギロチンで首を落としたら面白そうだ。凌辱を公開ショーにしてもいいかもしれない。苦しみ泣き叫ぶ面を肴に酒でも煽れば気持ちいいに違いない。ああ神様、哀れな我らを助け給え。

 

 自分には出来もしない、よしんば出来る実力があろうと()()()()()()()()()()()()。責任を負いたくないから、失敗して傷つきたくないから、他者(だれか)にやってくれとそんな言葉を厚顔無恥にも言葉を吐き捨てる。ゲヒャゲヒャゲヒャと、下卑た笑い声の大合唱さえ聞こえてくる気がした。

 

「これで……こんな、こんな獣以下の畜生共が、どの口でアヤメを大罪人の娘と呼ぶか! 七英雄を大罪人と呼ぶか! 悪魔を悪魔と呼ぶか! 貴様らの方が、余程悪魔らしい大罪人ではないか!」

「……」

 

 もう我慢の限界だと言うかのように、涙を散らしてリィンが叫んだ。

 そんな気炎に呼応するように、龍の魔力が吹き荒れる。穢らわしい、近寄るなと、地上に満ちる泥を押し退けていく。対するアインは唇を噛み無言を貫きながら、聖剣の力で押しのけられた泥を空間へ磔に固定する。凍結させた泥により一時的な防波堤を形成し、最後にリィンが消しきれぬ泥を竜の吐息(ドラゴンブレス)で焼き尽くす。

 

 何処かの誰かが願った『あの店がもっと近くにあれば』『あいつの家が遠ければ』『あの子の家が隣なら』『もっと馬車が通る道に家があれば』等の数えきれない祈りによって、理路整然と区画整理されていた王都はまるで大迷宮のような様相を呈している。

 ある道は引き伸ばされ/縮められ、ある家は豪邸となり/貧家となり、ある店は存在が消え/知らぬ店が生まれ、道は転移魔法が掛けられているかのように滅茶苦茶な接続となり──ああ最早、何がどうなっているのかもわからない。唯一何も変わっていないのは、優しい光に包まれた王城だけだ。

 

「貴様らは、誰かを貶す以外、何もしておらぬではないか!!」

 

 ディーアボロスの振るわれる軌跡をなぞり放たれた、龍魔法の極致である竜の吐息(ドラゴンブレス)。収束されたその圧倒的熱量の光線は、黒泥のみならず軌道上にあった建造物すら巻き込み、一切合切を蒸滅させていく。だがリィンの心にそれを気にかけるような余裕は……否、遠慮は欠片も存在していなかった。

 

 何せアインもリィンも、共に冒険者型人造人間(エクスプローラー)だ。種類の違いはあれど『ヒトを悪魔から救うため』に改造され、或いは人工的に産み出された存在なのだ。

 だというのに、何なのだこれは。救うべきとされているヒトは、こんな程度の存在だというのか。

 それは、あまりにも醜く耐えがたい現実だった。当然、アインもリィンも既にいち個人として精神は独立している。製造時の命令や制限に従う理由など無く、縛られることも無いいが……あまりに、()()()()()()。こんな連中が救うべきヒトなどと認められない。認めたくない。

 

「これ以上──」

「そこまでだ、と否定する。無駄に力を使う必要はない」

 

 穢らわしい言葉を囀るな、とリィンが極大のブレスを薙ぎ払う直前。苦虫を噛み潰したような表情で、アインが肩に手を当て動きを止めた。

 

「だが!」

「否定する。そこまで白熱して、当方達まで取り込まれたら終わりだ。当方達にとって、無二の矛であるリィンを欠くことは死に直結する」

 

 暴発しかけたリィンの魔力を冷気へ変換し、押し寄せる泥の波濤を凍結させながら。自分自身に語りかけるように、言葉を選びながらアインが語りかけた。

 アインとて腸が煮え返る思いはある。だが実際、現実改変により変貌した【王都 シヤルフ】改め【魔都 シヤルフ】でリィンの殲滅力を欠けばどうなるかは明らかだ。聖剣一振りと試作型一振りでは担い手が1人が欠けている今、確実に泥へ呑み込まれる。目に見えている物量という現実に、心を割り切らずにはいられない。

 

「ならばアインよ、お前様はこう言うのか!? あんな連中は無視しろと。好きなように言わせておけと。ここまで余やお前様の生まれを貶し、アヤメをも汚す畜生共を! 好き放題に言わせて、悔しいとは思わぬのか!?」

「肯定する」

「ふざけるでない!」

「ふざけているのは、リィンの方だと否定する!」

 

 慟哭のようにも聞こえるリィンの言葉に、普段なら……否、これまでならば絶対に見ることがなかった、憎悪という感情を見え隠れさせながらアインが答える。心を割り切る為、噛み切ってしまった口の端から赤い血を溢しながら。

 

「当方とて、悔しさがあることを否定しない。かつての当方であるアルブレヒトを、そしてアヤメ・キリノを生贄にして、何も変わらない連中に報復したい感情も否定出来ない!」

 

 当然だ。最愛の人に対してあんな妄想をぶつけられ、さらには自分達を貶され穢されて。その上、過去から変わっていない連中に対し何も思わない程、アイン・ナーハフートは無感情な人間ではないのだから。

 

「だがそうして、報復を掲げ好き放題に殺し回る当方やリィンと連中に、一体何の差が存在する!」

「ッ、それは──」

 

 何も違わない。リィンが言い淀んだように、優しい「差異」などと言う答えは存在しない。

 好き放題にされたから、好き放題にやり返す。実行するための力があり、大義名分もある。故に誰にも文句は言わせないし、やればさぞかし気持ちが良いことだろう。

 だがそんなのは、その場限りの幸福だ。最後に残る結果は、一方的に誰かを嬲り殺した暗い愉悦と自己嫌悪、罪悪感だけだ。血に染まり、心の歪みに気付いた自分だけだ。そして、現実(それ)に気が付いた瞬間が終わりの始まり。元が善良なヒトであればあるほど、心の崩壊は一瞬だ。気づいてしまった現実(つみ)から逃げるには、再び報復(あやまち)を犯して一時の快楽に溺れるしかない。

 

「当方は、そんな結末を否定する。そしてリィンにも、そんな決断はして欲しくないと懇願する」

 

 だからこそ、普段からアヤメは一般人へ手を貸すのだ。反吐が出るほど嫌いな連中であろうと、助けてと手を伸ばされればその手を掴む。例え自分(アヤメ)を殺し、別人の姿(アヤかアイリス)となる必要があろうとも。同類になど成ってたまるかと、時代錯誤に血を吐きながら吼えている。

 

「頼む」

 

 今のアインには、それがどれだけの苦痛と優しさを伴うことかが理解できる。かつての自分(アルブレヒト)がそれを実践できず、忙殺という結末に至ったことを思い出した(知っている)から。故に、このままリィンが感情のまま進んだ先、何が待っているかも推測出来てしまう。

 

「…………アインの言い分を、認識は、した」

 

 数秒間の沈黙の末。普段表に出ることのない、冒険者型人造人間のベースとなる口調でリィンが答える。

 

「だが、ならば、だというのならば、余のこの感情はどう吐き出せば良い!」

 

 次瞬、堰を切ったかのような激情の叫びが上げられた。

 

 だがそれは同時に、当たり前の感情の発露だった。

 

 リィン・M・D・ラーグルフリョゥトリムルンは、アヤメ・キリノやアイン・ナーハフートと違い心が壊れていない。ごく普通の、健全な少女なのだから。

 

 そも人生を滅茶苦茶にされているとはいえ、アヤメは15年間の時間を生きている。アインも記憶を取り戻した今、20数年の時間を生きた記憶がある。

 それに対しリィンはどうか?

 精神年齢は15歳程にチューニングされて製造されている。肉体年齢は10代の若さに設定されている。──だが、リィンはまだ6年という僅かな期間しか生きていない。そのうえ人生の大半を、あの小さな花畑で墓守のように、独り魔界の浄化をしながら過ごしていた。

 喜びの記憶は無数にある。

 哀しみの記憶も無数にある。

 楽しかった記憶も同様だ。

 だが、喜怒哀楽のうち最後に残った怒りだけは……身を焦がすような赫怒の念だけは記憶がない。

 

「この、何もかも壊してしまいたい昂りを、どう鎮めろと言うのだ!? 答えよ、アイン!!」

 

 涙を散らして少女が叫ぶ。リィン・M・D・ラーグルフリョゥトリムルンという名の少女が持つ本質は、魔王でもなければ戦闘者でも、ましてや人造人間でもない。持っているものは、そこらの村娘と何ら変わらない。

 当たり前に何かに心を動かし、花を愛でることができ、料理は少し苦手で、魔法は得意な年頃の女の子。あれよあれよという間に余計な肩書きを背負わされ、生まれから十字架を背負わされているが、その本質は変わらない。

 

 結論、感情を処理する術を知らないのだ。

 

 無論、頭では理解している。アインの選択が正しいと、己もそれに従うべきだと。そう作られた(インプットされた)知識が告げている。だが、度を越した感情を理屈では縛れない。掛けた枷を、心は容易に突破する。怒りとは、熱なのだ。不満や抵抗が生む熱は、読んで字の如く身体も頭も焼き焦がす。

 そんな感情の奔流を収める術……つまり自分と折り合いをつける術を身に付けるには、年齢という時間を重ねる他にない。だからこそ子供は納得がいかないと不満を示す為に泣き暴れ、大人はどんな感情も一度心に秘め選別して表へ出すのだ。

 

 だが、リィンはそのどちらにも振り切れない。設計(デザイン)された知性が子供としての動きを許さず、育ち切っていない情緒が大人としての冷静さを掻き乱す。故にこそ、誰かの助けが必要で──

 

「なるほど、凡そ事情は把握した。魔王リィン。一時、貴様に(つるぎ)を託す」

 

 当たり前のように英雄(ヒーロー)は現れる。

 魔都に鳴り響く軍靴の調べ。最早さまよわぬ女王の剣が、少女の涙に応えるかのように鋼の圧力を知らしめす。

 

「納得出来ぬと言うのであれば、存分に試すがいい」

 

 空間に舞い始める青白い絶死の燐光。不浄な黒泥は焼き尽くされ、静寂が訪れる。キィンという甲高い音を鳴らし現れた絶滅の魔剣、大罪を滅ぼす青白い光の獣、皆殺しの最終兵器、その1つの名は──

 

「アヒム・ロイス・ケラウノス……!」

 

 呻くようなアインの言葉に、意識を彼方に飛ばしている筈のアヤメが怯えたようにアインへしがみ付く。迷いを振り払った最強が、不浄を祓い舞い降りた。

 そこに居るだけで心臓を鷲握みされているような悪寒と圧力に、思わずリィンも閉口する。青白い光から感じる根源的な死の予感に、燃え上がっていた心が強制的に冷却される。

 

「それでは直接手を下さないだけで、何も変わらないと否定する……!」

「いいや、違う。俺は本来の役目として、大罪に飲み込まれた連中を殺すことを請け負っている。そもそも殺す以上、命じられようがられまいがその方向以外は変わらない。結果は既に、鏖殺のみだ」

 

 そう、結果は変わらない。リィンが指示を出そうと出すまいと、黒泥は光に駆逐される。アヒムが出撃した以上、それは既に確定事項なのだ。

 だが、引き金を引いたという結果は残る。剣は既に構えられ、限界駆動の光は灯り、ひとりでに全てを殺す魔剣であろうと、斬るべき相手を定めた結果は残る。

 だからこそ問題は、それで何を感じるか。

 そして、それで何も感じないほど暗愚な王でもないだろうと、暗にアヒムは伝えていた。

 

「さあ、どうした魔王。何を呆けている。

 どうした、リィン・M(メディウム)D(ドラッヘ)・ラーグルフリョゥトリムルン。

 憎いのだろう? 壊したいのだろう? ならば一言、俺に命じるがいい。『焼き払え』と!」

 

 お膳立てはした。言い訳も用意した。何も悪くないのだから、盛大に失敗して後悔してしまえと。そうアヒムが告げる。

 嗚呼何せ、これが一番手っ取り早い。人間だろうと獣人だろうと魔族だろうと、失敗することこそが最大の成長に繋がることは変わらない。開戦から戦後までを生きた者として、無数の成功と失敗を繰り返した者としてそれを知っているから。

 

「ッ、──焼き払え!」

「了解だ、魔王陛下」

 

 追い立てられ叫んだリィンの言葉に合わせて、青白の光が世界を穿った。初めの一撃で、王城の大門まで続く道を絶光が一直線に抉り出された。二撃目で、溢れ出る泥が輝きに触れ浄滅する。三撃目、四撃目と、絶滅剣は止まらない。

 加減など、汚染の有無程度しか出来ない魔剣が故に。『何もかも壊してしまいたい』という思いが反映されたかのように荒々しく、かつてヒトであった黒泥と歪められた街並みが、次々と青白い光に消えていく。

 

「あ……」

 

 頭から冷や水を浴びせられたように、急速にリィンの思考が冷めていく。瞬きの内に更地となった街の一角に、生き物のように蠢き再生しようとする街を眼前に、胸へ飛来する感情は何もない。満足も、怒りも、後悔と虚無感を除いて、何も手元には残っていない。

 あまりにも分かりやすい、失敗だった。

 

「……感謝する、アヒム殿」

「そう思うのであれば、そこの技師に感謝をすることだ」

 

 しかしリィンも、修羅場を潜り抜けてきた数はさるものだ。たっぷり数秒の時間をかけたものの、切り替えが付いたのかスッキリとした表情でアヒムへ告げた。

 

「うむ。そうするとしよう」

「ならば、ソイツが潰れる前に疾く行くがいい」

 

 アヒムの言葉に頷きを返し、礼として強化の元徳を飛ばす。殿を任せることになるのだ、その程度は最低限恩を返さなければならない。そんな絶光を背に、リィンはアインに視線を向け直す。

 

「今が好機、余たちは王城へと撤退する。構わぬな?」

「肯定する!」

 

 自国の領民だった存在に魔剣を振るい続けるアヒムを背に、リィン達は抉られた道を駆け出した。推定安全圏である王城まで辿り着けば、少なくとも対策を練ることが出来る。

 

「皆さん、早く城の中へ! 長くは保ちません!」

 

 優しい光に包まれた王城の、最も堅牢かつ巨大な大門を背に。限界駆動を果たした獣王剣を片手に、ミーニャ女王がリィン達に声を飛ばす。当然、そんな輝きは認めないと黒泥は女王を穢さんと押し寄せるが──

 

「精霊の方々、私に力を──!!

 

 呼び掛ける言葉と同時、色取り取りの輝きが乱舞した。

 リィンの持つ真魔剣ディーアボロスが、限界駆動時に生者死者問わず全ての秘呪が使えるように。ミーニャが握る獣王剣ライオンハートも、そして今は失われた人間界の王が持つ人理剣アーメンテースも、対悪魔を除いたその能力は共通している。

 ──即ち、純血種のみに許される力の収束。

 

『──!』

 

 秘呪か。精霊か。武技か。

 王にのみ許された、在るべき力が吹き荒れる。

 乱舞する輝きは、その1つ1つ全てが精霊。

 最下級の言葉を解さぬ獣型のものから、7英雄ティア・クラフトのように最上位である人型まで。獣の王が下した号令により、ある者は推参し、ある者は分霊を使わせ、またある者は冥府より黄泉がえり、力を捧げんと現れる。

 

 その姿こそ、戦場で靴輪を並べた者から『精霊王』と称された獣王が真なる姿。有象無象に言葉を許さぬ絶対者が現代へ再誕し、不浄なる黒泥を寄せ付けることなく君臨した。

 

 順調に。そう、実に順調に。

 墜星の……玉兎の描いた図面のまま、局面は進行していく。

 




アヤメ 残り89日
アイン 残り91日

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《アヤメの現在の所持魔剣》
【Ⅰ型魔剣】(たくさん)
・スラッシャー ・ピアッシャー
・クラッシャー ・ディフェンダー

【Ⅱ型魔剣】(23振り)
・ユメウツツ  ・チョーク
・コドク    ・レッドキャップ
・ルンペルシュテルツヒェン
・マンチニール ・アヴァロン
・オネイロイ  ・アムネシア
・ユビキタス(子機)
・オモイカネ  ・ツルカメ
・オオエンマ  ・オプティマイズ
・アモルファス ・未鑑定(8振り)

【試作型魔剣&同格魔剣】(3振り)
・無限炉心ジークフリート
・剣琴噴嘆エターナル・ツヴァイ
・躯永剣脚アイリス

【聖剣】(3振り)
・戴雨神剣アマノムラクモ
・比翼天昇アイン
・輪廻転生シャラソウジュ 
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