結局、
寝れるだけ寝て身体を休めつつつ、翌朝には朝食を済まし、身を清めて衣類を整え王城へ。そうして私は今、"貴族"としてではなく"業者"として王城にいる。
「これは、オーバーワークでは無いのかと提言する」
「いえ、少し疲れてはいますがあんまり。数時間ですけど眠れてますし、ご飯も食べられてるので」
「比較対象がおかしいと否定する。それに当方は、そのような状態のアヤメを知らないのだが……」
「そうですねぇ、スラム時代と冒険者始めたての頃の話ですから」
スラムの奥の奥、大罪人の娘がいてもバレない地獄の底。そこで土でも虫でも腐った物でもなんでも食べながら、血反吐を吐き魔法を駆使して生き残っていた頃の話。王城で話せる内容じゃないし、私自身あまり思い出したくない。
「流石にアインにも、ちょっと。最後の方『スラム街の姫』なんて呼ばれ始めた頃からなら、話せる内容も多くなりますけど……聞きます?」
「否定する。そのような顔をしているアヤに、無理を強いることはしたくない」
「……ありがとうございます」
どうやらアインにそんな心配をさせてしまう程、私の顔色は悪くなっていたらしい。ありがたいけど、かと言ってこんな空気のまま仕事はしたくない。
「因みに、昨日ギルドで私のことを『お
「あの、異質な雰囲気を纏っていた人達がと疑問する」
「ええ、まあ。事情は探らないで下さいね。私とカンザキ家で色々やってるので」
周囲に誰もいないことを確認した上で、音漏れのしない結界を一瞬だけ展開して耳打ちする。アヤメ・キリノが落ち延びて生きていられたような場所に、元から住んでた連中なのだ。なんやかんやで冒険者をしてくれているが、私と同じかそれ以上に危険な素性の人も多い。
例えば、かつて人間界を震撼させた大規模麻薬販売カルテルのボス──の、お酒が大好きな愛娘とか。
王都シヤルフの夜を恐怖に震え上がらせた古い時代の連続殺人鬼──の、直弟子だった執事とか。
そういった連中を纏めていた、魔界の方にあった小国を滅ぼして追放された傾国の美姫──だった、若者に見える魔族のおばあちゃんとか。
少しでも探ると、世界を滅ぼした大罪人の娘クラスの連中がゴロゴロいる。もし知ったら本当に危ないので、これはいくらアインにも伝えることができない。
「認識した。やぶ蛇を踏まぬよう注意する」
そうして談笑しながら歩くこと暫く、ようやく私達は目的地へと辿り着いた。獣王国王城旧玉座の間、現大陸艦隊システムコントロールルーム。この獣人界という大陸の心臓部、その硬く閉ざされた扉の前に。
「こういう場所って、大体門番とか警備の人がいると思ったんですが……」
「単純な話ですよ、お恥ずかしい限りですが。警衛を出来るような人材すら、もう獣人界には満足にいないんです」
どうなのだろうか、と疑問を口に出しかけた瞬間だった。以前とは違い扉が壁の内側に吸い込まれるように開き、覇気がなく死にそうな声音になったミーニャ女王が姿を現した。釣られ思わず視線を向ければ、その後ろにはかつて謁見した玉座の間とはかけ離れた光景が広がっていた。
部屋の最奥にある玉座を中心として、私たちの居る入り口側に向けた三方向に投影された巨大な魔法陣。そして部屋の壁と床は、恐らく船を守る結界の外が映し出されるモニターなのだろう。日の光が翳りきった雷雲のように黒い空と、黒曜のように煌めく海、そしてその全てを埋め尽くすほどの【悪魔】の軍勢が犇めいている光景が映し出されていた。
「侵入してきた賊は私が斬り捨て、丁重に首を送り返しましたので問題ありません。そんなことよりも、色々と事情は聞かせてもらいました。その上で手を貸して貰います。構いませんね? 元王家お抱え技師、アヤ・ティアードロップ」
「ええ、このような状況ですから。一度追放された身ではありますが、可能な限りの手を尽くさせていただきたく存じます」
一番最初の物騒な発言は聞かなかったことにし、この前の謁見時とは違い臣下としての礼をする。わざわざ此処で礼を失して、いると警告された敵に隙を見せる必要はあるまい。
「アヤは、獣王国でもそのような扱いだったのかと驚愕する」
「最後にはクビになっちゃいましたし、そもそも同じ役職の人は結構居ましたから。そこまで特別じゃありませんよ」
やっていたことといえば、一般的な軍人用の武具の納品と魔剣の整備が精々だ。そして私以外にも結構な人数、市政の人や本職の人達がいた。それなりに名誉なことではあるが大したことではない。
「アヤさん、当時の貴女が何歳だったか覚えていますか?」
「はい、今年で15になったので……大体2年前ですし、時期的に12歳の後半から13歳の前半くらいですね」
「あの時招集していた方達は、各種族で分かれますが人族を基準とすれば40〜50程の老練な技術者たちです。貴女はその中で若過ぎて、十分過ぎるほどに優秀でした」
「今にして思えば、あまりにも未熟な仕事でした。褒められることじゃありません」
魔剣の整備にしても、量産品の武具の納品にしても、あの頃の私は程度が低過ぎる。今の自分達の道具の整備以外はしていない衰えた腕よりも、圧倒的に低品質な完成度。あんなものを納品していたなんて、追放されて当然だし迷惑料を払いたいくらいだ。
そんなことを考えていると、背後で鈍い音を立てて扉が閉まった。それと同時にミーニャ女王から堅苦しい雰囲気が抜け、ついでと言わんばかりに本人も大きなため息をこぼした。
「いいえ、ぶっちゃけアヤさんは優秀過ぎました。貴女より上の技量か負けない心を持っていた一握りの職人を除いた、全員のプライドを粉砕したんですよ、貴女は」
「情けないですね。私なんて歳下でもいいので後継が欲しいくらいなんですが」
「あら、貴女にそんな願望があるなんて初めて聞きましたが」
「実際問題、あと2ヶ月もすれば私は死にますけど──Ⅱ型と試作型の魔剣を整備できる人、私以外にいますか?」
「それは……」
前を歩くミーニャ女王が口籠った。沈黙が答えとは、誰の言葉かよくいったものだろう。そもそも魔剣に関しては、戦争と戦後の焚書により正しく継承がされなかった遺失技術。私自身、基礎と発展の知識を頭に入れつつ残りを勘と手応え、そして私固有の魔法でごり押しているに過ぎないのだ。
当たり前に技術者がいない。よしんば存在したとしても、玉兎の術式で数が減ったことは確実で──いや、そもそもそんな人材が他にいるなら、ここまで私に仕事が集中している筈がないか。
「いてくれたら、良かったんですけどねぇ……」
「ミーニャ女王もそう思います?」
「ええ。貴女と同格……いえ、それ以下でも魔剣を扱える技師がいたなら、どれだけ睡眠時間が確保出来たことでしょう」
「ふふふ……もしかして徹夜ですか?」
「あはは……いけませんよアヤちゃん。徹夜は作業効率も下がるし、肌や髪に天敵なの。ほら見て、私の尻尾の円形ハゲ」
「それなら私の尻尾は、枝毛と毛玉が凄いことになってます」
「「うふふふ」」
乾き切った笑い声が、虚しくも玉座の間に響き渡った。女子として本来あって然るべきものが、私からもミーニャ女王からも欠落している。ああ、げに恐ろしきはストレスと過労。最早食生活での改善が不可能ないま、荒れを隠す装飾品を用意した方が良いのかもしれない。
「ひょっとしてだが、これは非常に不味い状況ではないかと進言する」
「どういうことですアイン?」
「獣人界の王が過労で倒れる寸前かつ、魔界の王も過労で倒れる寸前。当方は兎も角アヤメは戦闘が不可能な域の疲労状態で、獣人界最強も王城に釘付けにされている。いま襲撃を受けた場合、対応が出来ないと推定する」
「本当じゃないですか!? うっ……」
大声を出したせいで血が上ったのか、倒れそうになったミーニャ女王の肩を支える。『あらゆる英雄は過労で死ぬ』なんて諺が人間界にはあったらしいけど、全く笑えない。
「必要な時は呼びますので、それまでミーニャ女王は休んでてください。アイン、蒸しタオルと栄養剤のストックをお願いします」
だが、楽しい雑談の時間は此処で終わり。技師として招かれ報酬も貰ってる以上、その役割を果たすべき時が来た。
「認識した。アヤはどうする?」
「もちろん仕事です。ただこれ、想定していたよりもかなり手強そうです」
暫くは泊まり込みで調査する必要がありそうだ、とミーニャ女王に聞こえるように溜息と言葉を吐き出した。こんな仕事をするのなら、せめてベッドくらいは良い物を使いたい。
「専門分野、違うんだけどなぁ……」
それでも術者が私しかいないのだから、無理だろうとやるしかないだろう。そう腹を括りまずは、三面鏡のように展開されている魔法陣に目を通す。陣の内部を流れ続けているのは、莫大な魔法陣と術式によって現された艦隊の情報──の、筈だ。
ざっと見た限りその内容は、中央モニターが火器管制、左モニターが船体運動、右モニターが戦域探知……で、いい筈なのだが暗号化されていて自信はない。
「よし無理!
そんな明らかに1人の人間が行える限界を越えた作業量に、私は早々に魔剣という切り札を切ったのだった。
◇
システムの暗号化を解除するのに1日。
記号の羅列でしかなかったものを、しっかりとシステムとして立ち上げるのに3日。
私の手癖で組み上げたシステムを、一般人にも使えるように整備するのに1日。
モニターとコントローラーを合わせた空間投影型のコンソール等、実際に使うために必要なハードを用意するのに1日。
アヤメがアヤ・ティアードロップとして王城に来てから僅か5日。毎日12時間は魔剣に接続して、ぶっ通しで作業をした結果がそれだった。そして6日目となる今日。午前中に地中深くに存在する機関部・動力炉の確認を済ませ報告書も書き上げ、今は城一番の貴賓室で眠っている。
「──以上が、現在の獣人界の状況になります。ここまで獣人界が復興すことは、貴女の魔王国の助力なしには有り得ませんでした。本当にありがとうございます」
『余らとしても、いま獣人界に倒れられては困るのだ。あまり気にせずともよい』
生気の抜けたようなミーニャの言葉に、虚ろな目をしたリィンが答える。この1週間で開通した長距離通信のテスト兼獣王国と魔王国の定期通信は、未だ事態の改善には至らないことをありありと示していた。
『此処からは世辞も建前も、探り合いも抜きの話だ。実際問題、獣人界は何処まで動けるようになった?』
「……火器管制と防衛システムは、元々英雄戦争時のシステムがあったので問題なく。アヤメさんがエネルギーラインを変えてくれたお陰で、アヒムが城に常駐する必要も消えました」
尤も、悪魔に対する一方的な優位性が消えるので非常時には変わらずアヒムの力が必要ですが、とミーニャ女王は言葉を区切る。
エネルギー源を魔剣から炉心に変えたことで、格段に兵装としての利便性は増した。代償に殲滅力は失ったものの、最高戦力が自在に動く自由を得ている。
『稼働率は?』
「攻撃兵装が4割、防御兵装が6割程ですね。古い区分に当てはめるなら大陸航空艦隊は機動要塞、そちらのユ=グ=エッダは重戦艦でしょうが……防衛力は、さして変わらないかと」
『であるか。ユ=グ=エッダも、兵装ブロックである右舷・左舷旧一番艦を失っておる。各艦の武装は進めておるし、防御に関しては護虹剣ビフレフトもある故悪いものではなかろうが……厳しいことには違いあるまい』
「「はぁ……」」
決戦兵装たる魔剣はなく、大地も国も損耗し、兵士は足りず、国民は腑抜け、それでいて敵たる悪魔は英雄戦争時に引けを取らない数。溜息も吐きたくなるというものだ。
『まるで死神の鎌が首に掛かっているようであるな』
「
『人間界ではなんと言うのであろうなぁ』
「もしかすれば、アヤメさんなら知ってるかもしれませんね」
『アヤメの知識は深淵であるからな』
本人が此処にいれば『そんなことはない』と否定するような話だが、束の間の軽口に笑みが咲く。しかしそれで、現実という絶望が薄れる筈もなく。ひとしきり大きく笑った後、再度2人の口から溜息が溢れた。
『して、大陸航空艦隊──長いしニライカナイで良いか? これは何処まで動けるようになっておるか?』
「速度はそちら程出せませんが、辛うじて。システム上での最高速度は
『全く分からぬのだが?』
「簡単に言えば、最大全速でも私たちの10分の1以下、安全を考えるならば野生のクマ程度です。序でにそちらのように、空中で宙返りするような曲芸飛行も不可能です」
『ふぅむ……緊急回避も出来ぬではないか』
「その為の重装甲とのことです。気休め程度の話ですが」
鼻で笑いながらミーニャ女王が言う。重装甲なんて物が意味をなさないことは、戦争帰りであれば誰でも知っている常識だ。それでも大陸そのものを浮かせると言う無茶を通している船なので、不満点の1つや2つや3つや4つ黙っているしかない。
『相分かった。ならばこれからはどう動く? 余とお前様で魔界を運用したことで、獣人界も安定してきておる。そろそろ何か、新たな動きをせねばならぬと思うが?』
「分かってます。仕事が増えて地獄を見ることになりそうですが、そろそろ動かなければ国民に示しがつきませんから」
元々王権が未だに極めて強く市国程度の範囲しかない魔界と違い、未だ獣人界の政情は荒れている。大陸が突如空に浮かんだことによる混乱、悪魔という恐怖に不安、人手不足により対応が滞った王城。
玉兎の襲来から凡そ2週間、民衆の限界はすぐそこまで迫っているのは明らかだった。
「本当なら月衛星砲との接続まで待ちたい所でしたが……仕方ありません。私たち獣人界は、人間界へ向けて発進します」
『──正気であるか? お前様も墜星・玉兎の言葉を、余からは八岐の言葉を共有しておる筈だが』
「"アヤメ・キリノを人間界へ向かわせる"、それが墜星の目的の1つであることは疑いようもありません。それでも尚、私たち獣人界は人間界へ向かわなければなりません」
『言ってみよ。大した理由でなければ、容赦はせぬ』
「端的に言って、このままだと獣人界は墜ちます」
目を細め敵意を激らせるリィンに対して、毅然とした態度でミーニャ女王が言葉を返す。それは今日、アヤメ達が調査し提出したレポートによって発覚した事実。
あと1週間
それが獣人界墜落までのタイムリミットだった。
『それは……なるほど大事であるな。だがそれと人間界行きの、どこがどう繋がるのだ? 確かにユ=グ=エッダの炉心も燃費は悪いが、燃料ならば別途用意出来るであろう?』
「順を追って話すので、少し聞いてください。
確かにニライカナイには鉱山も地脈も載っている以上、そちらのエンジンの使用に限界はありません。サブ動力として搭載もされていました。……ですが同時に、獣人界を飛ばす炉心は完全に別物でした」
『うむ?』
首を傾げたリィンに対して、まるで知りたくなかったと言わんばかりの表情でミーニャ女王が告げる。
「獣人界の飛行・インフラ・迎撃・防衛を担う動力は、錬金術式の触媒焼却型炉心ではありません。全てを担っているのは遺失技術式の完成形である、
『余の知識が確かならば、それは暴走の危険性と得られるエネルギーが釣り合っておらぬ技術の筈だが』
「だから完成形だって言ってるんです。悪魔を燃料に従来の3倍はエネルギーを生み続ける、それこそ悪魔のような機関。アヤメさんが間違いないと、エネルギー切れの時期を含めて断言してくれました」
少し前アヤメが受け取った、紅頭巾の少女が残した遺品に残された禁忌の設計図。それを見ていたからこそ断言できて、同時に理解した瞬間アヤメは顔を顰めて目を逸らした。こんな代物が、この世界に生き残った人類の生命線だという事実に。
『であれば、この場で悪魔を狩り続ければ良いのではないか? 幸い結界の外には、数えきれぬほど悪魔がおろう』
「無理なんです、それじゃあ。消費に追いつかないのもそうですが、国民が納得してくれない」
進歩もなく、奪われた物は取り返せず、現状維持だけをする選択。一見すると賢く、生存には最適な戦略かもしれない。だけどそれで納得できないのが、人衆という群体だ。
今の暮らしは嫌だ。前の暮らしをさせて欲しい。悪魔なんてどうでもいい。武器を取れ? そんなの要らない、使いたくない。もう我々は十分我慢した。今度は政府が我々の暮らしを取り返す番だ。さっさと規制を緩めろゴミ王家が。
少し耳を澄ませれば、そんな声は飽きるくらいに聴こえてくる。
だというのに、国民を守る為の騎士団が悪魔の群れを狩る為遠征する? 出来るはずがない。そんなことをすれば、自分たちを守る戦略に何をさせると暴動が起きるのは目に見えている。
何せ既に、悪魔なんて倒せるとほざいて結界から脱出し10秒でミンチにされた者。こんな世界で生きていたくないと自殺する者。挙句"全てはアヤメ・キリノの復讐だ"などの、陰謀論すら世論には飛び交っているのだ。地獄は……いや、
『……なるほど、把握した。嵐の壁を使うのだな?』
「誰が見ても一目で分かる安全圏となると、もうアレしか残っていませんから」
だからこそ墜星の策略に乗り、アヤメに更なる負担をかけると知っていてもそう選択せざるを得ない。
世界がこうなる以前、戦後すぐに白き嵐の壁に包まれた人間界。今尚1匹たりとも悪魔を寄せ付けぬ金城鉄壁を誇るそこに、不躾ながら逃げ込むしか取れる手段が残っていない。
「こうなるのが見えていたから私は! ずっと、ずっとこんな王権体制は捨てようとしていたんです。民が民のためだけに運営される国、民主主義国家。昔イオリさんが聞かせてくれた世界を、実現させようとしてたのに……」
『やめよミーニャ。未熟極まる余が言うのはなんであるが、今お前様が王を辞した場合世界は終わるぞ。現在の獣人界がカリスマ1つで保たれておることに、気付かぬお前様ではなかろう』
「分かってますよ。だからこそ、人間界に逃げ込もうと話しているんです」
人間界と嵐の壁に逃げ込み安全をアピールしつつ、一部が悪魔を狩り燃料として補給する。戦後の人間界がどうなっているのかも不明だが、そうしなければ起こることは1つ。
『……ままならぬな』
「ええ、本当に」
民衆による現政権の打倒、クーデターに他ならない。
「もし、何もかもが駄目になったら。命を賭して、アヤメさんはそちらに送り届けます」
『拒否する。お前様とアヒムも共に来なければならぬ」
「……その時が来たら、甘えさせて貰いますね」
叢雲が晴れた月夜は未だ暗く、
白き虹が月暈として掛かっていた。