銀灰の神楽   作:銀鈴

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魔を断つ剣、勇なる心、受け継ぐべき最後の光/The Brave【08】

 時は、僅かに遡る。

 ミーニャ女王が、リィンが撃墜された直後。私たちも、覚醒を果たした勇者に敗北した。防御の上から斬撃を貫通されて、拘束の檻から斬撃を縫い通されて。なす術もなく。

 

「そん、な……」

 

 加えて、私たちの知る最強の一角(アヒムさん)すら撃墜される姿を見ながら。私たちは絡れるように落ちていく。崩壊した城下町へ。未だ赤々としたマグマが煮沸る地獄の熱界へ。

 

 減速、停止、マグマの冷却──何れも間に合わない。地表までの距離が短か過ぎる。

 如何な魔剣の担い手、聖剣の担い手とはいえ、マグマに落ちては助からない。限界駆動やそれに類する能力は、無限を授けてはくれても不死身を授ける訳ではないのだから。

 握る剣を手放せば、或いは首を刎ねられれば死は避けられない。無論、魔剣が壊れた場合も同様に。よって、私たちの命はもって数秒。マグマへの着弾以降は、熱で魔剣が融解し加護が途切れてしまう。

 

「駄目……です、か」

 

 当然、墜落の速度は私が上だ。

 災いしたのはその重量。軽い体重という自覚し続けてきた欠点が、ここでも初速という点に差を付けた。結果、同時に弾かれたアインとの距離が離れていく。明滅する意識が足を引き、ただでさえ不可能な聖剣での減速も間に合わない。

 

「来い!」

 

 そうして、あわやマグマの海に飛び込む直前。

 一瞬、意識が暗転する。

 直後私はマグマの中ではなく、何故かアインの腕の中へと移っていた。

 

「精霊の力、使ったと謝罪する!」

 

 アインの言葉で思い出す。半精霊である私が持っている『契約者に呼ばれた場合、その近辺に転移出来る』という精霊の基本能力。使う機会がなく忘れてた能力が、初めてその性能を活かしていた。

 

「ありがとう、ごさいます!」

 

 叫びながら、聖剣の力を全力で起動。1人の力より2人の力。当たり前の理屈によって、単独で飛ばされていた時よりも遥かに強力に速度が落ちていく。落ちていくが……しかし。

 

「対ショック体勢!」

 

 依然、距離が短いという問題は解決されていない。

 転移によって稼ぐことが出来た時間はごく僅か。

 よって必然、墜落は免れ得ない。

 減速は不十分、着弾点の冷却も不十分、対応の為の時間すら不十分。あまりにもないない尽くしの中、未だ数百℃を誇る粘性の液体に私たちは着弾する。

 響くどぷん、という粘着質な音。

 満足な抵抗すらできず、灼々たる溶岩が視界に満ちた。

 

「っ、ギぃ……ッ!」

 

 そんな音に反して、私たちの被害はあまりにも甚大だ。

 まず襲ってきたのは衝撃。溶岩流に叩きつけられた衝撃が全身を蹂躙していく。十分な速度さえあれば水面ですら人の命を奪えるのだ。僅かだが熱を奪われ冷え始めていたマグマにおいては言うまでもない。

 身体の内側から響く破砕音、常人であれば間違いなく即死する勢いで身体が砕かれていく。折れた骨は数知れず、この分だと内臓だって無事ではない。まず間違いなく、魔剣/聖剣の起動中でなければ助からない致死の傷だ。

 

「か、ぁ……!?」

 

 次に襲ってきたのは熱。800℃近い高温にされされて、生身が焼け焦げ、義体が異様な熱を持ち始める。呼吸を整えようとして喉が、肺が焼ける。聖剣のおかげでこの程度では死ねないけれど、熱を帯び始めた義足がその時間も長くはないと警告している。

 

 そして現実は非情にも、追い討ちの手を緩めてはくれない。

 

 溶岩流という半液体に着弾した私たちを中心として、形成された巨大な陥没。液体を押し退けて出来たクレーターがどうなるかは、言うまでもない。寄せては返す波のように、陥没を飲み込む大波が発生する。

 

「最大、出力……ッ!!」

「間に合わないと、警告する!」

 

 死はすぐそこに。抗うべく行った最大出力の聖剣による力の行使、運動力制御による強制冷却。それは確かに一部の溶岩を冷え固めることに成功したが、悲しいかな質量差があり過ぎた。

 冷却によって作られた岩の洞窟が震える。マグマの流れを押し止められない。止められない。数秒もしない間に、岩の壁は溶岩に敗北した。薄暗い洞穴の底に、赤い光が降ってくる。

 これはもう、間に合わない。よってここに、私たちの死が確定し──

 

「目標を視認した、回収する」

 

 ──なかった。

 轟く雷鳴、そして閃光。溶岩流が私たちを飲み込む直前、強烈な加速と浮遊感が私たちを襲った。探知を振り切り、致命傷を負った体には堪える速度が総身に降りかかる。

 だがその代わりに、溶岩窟からは脱出出来たらしい。流れていく崩壊した街並みが、その現実を証明していた。

 

「ここならば、暫くは問題ないだろう」

 

 そんな殺人的な加速で行われた数秒の移動の後、私たちは王都の外縁部に降ろされた。空からは決して見えぬ瓦礫の下、ギリギリ安全圏と言える場所に私たちを運んできた人物は……

 

「お久しぶり、ですね。バルトさん」

 

 焼けた喉で、なんとかその名前を呼んだ。

 瓦礫に背中を預けながら見上げるは威丈夫。狩猟豹(チーター)族らしい斑の毛並みと色を持ち、精霊術の奥義である完全転身を継続し砂と一体化している男。かつての敵。

 この人物が何者であるかは、その手に握る銃剣の取り付けられたマシンガン──II型魔剣ペルケレと、そこに刻まれた『蛇の絡みついた翼』のエンブレムが明確に示している。

 

「どうして暴風貪団(ボレアス)が、ここにいるのかと、疑問する」

 

 それは人間界突入後、気がつけば行方不明となっていた傭兵団。魔剣の本数や練度から、今や国軍よりも戦力を持つ無法にして無双の集団。その主力メンバーの1人が何故か、いる筈のない人間界の王都(ここ)に姿を現していた。

 

「無論、我らが首領の命令だ」

「その首領……セプテントリオさんは、今、何処に?」

 

 主力メンバーだけを向かわせて、自分が出てこないなんて筈がない。そんな確信を持って問いかけた質問に、バルトは無言で空を指した。その指の先では、何故か戦場に介入したセプテントリオと墜星・勇者が言葉を交わしている。ここからでは、一体何を話しているのか分からないけれど。

 

「助けてくれたことは、感謝します。でも、戻らないと」

 

 それがマズイということだけは分かる。

 刃を交えて分かった。墜星・勇者はマトモじゃない。技量の怪物どころではなく、なんというか根底から別の存在だ。あんな別の生き物を相手にしては、セプテントリオさんでも長くは保たないだろう。

 

「いいや、駄目だ。今の貴様らが戦場に戻ったところで、足枷以外の何物でもない」

「それは……そうですが」

「ならば言葉を変えよう。自らと、自らのパートナーの現状を見てなお、同じ言葉を吐けるか?」

 

 自分でも自覚している傷の深さに口をつぐむ。私もアインも、共に自動回復のお陰で治癒は始まっている。だがそれは文字通り焼け石に水でしかない。

 砕けた骨は繋がっておらず、全身の火傷も癒えぬまま。出血だって止まっていないし、そもそも立ち上がることすら出来ていないのだ。聖剣の起動を解除した瞬間、私たちは間違いなく死に至るだろう。

 

「だとしても、と否定する」

 

 普通であれば手遅れの重体だ。戦闘なんてもっての外、集中治療で安静にしているべきだろう。

 だがそれでも、いま立ち上がらないと勇者は止められない。あんな意味不明な、それこそ覚醒でもしたかのような急成長に、もう2度と私たちは追い付けなくなってしまうから。

 

「当方は、アヤメと共に、決着を付けねばならない」

 

 戦意の炎は消えていない。

 

「やはり、貴様ら()そう言うか」

 

 そんなアインの視線を受けて、納得と落胆の混じった様子でバルトが呟いた。

 

「も、というと。やっぱり」

「ああ。魔王、獣王、我が国の大将、撃墜された全員が同じことを口にしていた」

 

 それを聞いて、少しだけ安心した。

 まだ誰も心は折れていない、勇者に勝つということを諦めてはいない。それならきっと、可能性は0じゃないから。

 

「そして安心したぞ。貴様らに戦う意思があるならば、我々の準備も無駄ではなかった」

 

 準備。その言葉に嫌な予感を感じた直後、その人物は姿を表した。

 黒衣の袈裟に、無造作に伸びた黒髪、何より特徴的なのは下半身が蜘蛛であること。口元にタバコを揺らし、草臥れたとしか言いようのないその女性を私は知っている。

 

「闇医者……」

「失礼ね、今は暴風貪団(ボレアス)所属よ」

 

 本名は不明、冒険者時代から何度か世話になった通称闇医者。金烏と戦った後、私の余命宣告をした医師でもある。

 どうやら医療という部門まで、セプテントリオさんは取り込んだらしい。獣人界、もう駄目なんじゃないだろうか。

 

「当方たちは、現在殆ど資金を持っていないと否定する」

「今回だけはロハ(無料)で治療してやるわ。全く、ウチの最高戦力な癖に揃いも揃って……」

 

 私の知る限り、噂でもビタ一文まけたことのない闇医者が無料で治療行為をする。その事実に一瞬、頭がフリーズした。けれどすぐに、今はそれほどの事態なのだと認識し直して。

 

「すみません、助かります」

「謝られる理由はないわ。あの化け物を倒したら、ちゃんと請求してやるもの」

 

 即座に評価を改めた。即金の支払い限定から、後日請求に変わっただけであったらしい。しかし、そんな態度が許される程この人は腕がいい。

 

「主目的は外傷の治癒、5分でオペは終わらせるわ。

 限界駆動(Over Drive)──鋼の天使よ、総ての穢れを禊ぎ祓え(Hospitaly Nightingale “I.C.U” )

 

 なにせ彼女は世にも珍しい治療・医療・回復特化型魔剣、Ⅱ型魔剣ナイチンゲールの担い手なのだから。

 魔剣の起動と同時、私たちを純白の空間が包み込む。それはアラクネの糸が作り出し、魔剣が殺菌した治療空間。その中で。

 

「薬物耐性のせいで、あなた達には麻酔が効かないわ。糸を噛んで耐えなさい」

 

 残酷な宣告が静謐に響き、私たちに糸が殺到した。

 

「ッ──!!!」

 

 糸が皮膚を突き破り、身体の中を動き回る。想像を絶する激痛に、口元に回された糸束を噛み締めることしか出来ない。だがその分、治療の速度は尋常の域にない。

 透視や探知の魔法に加え、人の身にはない蜘蛛の身体を最大限に活用した、絶技としか言いようのない超高速の修復術。

 千切れた血管が繋ぎ合わされる。砕けた骨が纏められ接合される。破れた皮膚を糸が覆っていく。壊れていた身体の中身が1秒ごとに矯正され修繕されていく。

 

「──4分29秒、執刀終了」

 

 そうして、本当に宣言通りに。5分も経たないうちに、私たちの傷は全て処置されていた。ご丁寧に、歪んだ義手まで外してくれている。

 

「アヤメ・キリノ、義手に関しては専門外よ。自分でやりなさい」

「りょうかい、です」

 

 内部フレームが多少歪んでいるが、この際文句は言うまい。スペアの義手を即座に取り付ける。稼働確認、問題なし。そこまでやって漸く、自分の動きが普段と遜色ない形に戻っていることに気が付いた。つい数分前まで、マトモに立つことすら出来なかったのに。

 

「終わったのなら、さっさと戦いに戻りなさい」

「言われずとも」

 

 激痛の残滓こそ残っているものの、これならもう戦える。そう思い、一緒に行こうとアインに手を伸ばして──その手を闇医者にはたき落とされた。

 

「何のつもりです?」

「ドクターストップよ。アイン・ティアードロップはあと10分は安静にしていてもらうわ」

「理由の説明を要求する」

 

 交錯する視線。一瞬だけ治療室の中に満ちた剣呑な空気を突き破り、押し殺したような声音でアインが問い掛けた。

 

「傷の具合からしてこの子を庇ったのでしょう。その分よ、甘んじて休みなさい」

「認識、した」

「あなたも良いわね、たかだか5分で死の淵から生還できるの。それを無に帰さないで頂戴」

「…………了解です」

 

 私だって、アインを死なせたくなんてない。重ねていうが、この闇医者の腕は確かなのだ。緊急時とはいえ、僅か5分。戦闘には長過ぎる時間だが、我慢するしかない。

 

「……他の人たちの容態は、どうだったんですか」

「獣王様は右腕切断、縫合再生にはあと25分。

 大将は胸部損壊と心臓切断、今日1日は戦闘禁止。

 魔王様はあなた達と同じようなものよ。もうそろそろ復帰出来るわ」

 

 (じれ)ったい待ち時間に聞いた他3人の負傷は、やはり酷いものだった。なによりアヒムさんという、最大戦力に頼れなくなったことがキツい。それは勇者の放つ無限の魔力からなる極光斬、アレに対する対抗策が消えた事を意味している。

 

 ならば一体、どうやって勇者と戦うか。そんな思考を回し始めた直後。

 

 ゾッッと、背筋を悪寒が走り抜けた。

 

「ッ!?」

 

 予感に駆け出し、見上げた空の向こう。

 そこでは無数の幻想世界を従えたセプテントリオさんと、追い詰められている勇者の姿があって。

 

装填(Loading)──《幻想世界・黒白二剣》』

 

 聞こえない筈の距離があるのに聞こえた言葉に、アレを使わせてはいけないと確信した。

 

「バルトさん、私を射出して下さい!」

「だが、」

「いいから早く!」

 

 バルトの持つ魔剣ペルケレ──その能力は『指定した物体を雷速にまで加速する』という、人の身には耐えられない超加速能力。

 使えば無事では済まないが、これでも私は半精霊。精霊術の奥義である完全転身とまでは行かずとも、大部分の影響は無視できる。

 

『我が刃は聖なる(つるぎ)なり

 我が前に在るモノは全てが邪悪なり』

 

 黒白の2色に世界が染め上げられる。

 伝わってくるのは、もう何も考えたくないという嫌気の思い。白と黒、善と悪、世界なんてそれだけで構わない、その形でしか世界を見たくないという最も簡単な思考放棄。()()()()()()()()誰かの祈り、願い、想い。

 

限界駆動(Over Drive)──汚辱を漱げ、堕ちた猛き雷神よ(サタナヴィットゥ・ペルケレー)!」

 

 そんな幻想(もの)を使った攻撃が直撃すれば、どんなロクでもない結果を引き起こすか分かったものじゃない。

 

『聖剣執行ーー次元操りし破邪の聖剣(ディ・ガランティン)!』

 

 だからこそ、白と黒に染め上げられた世界の中。

 解き放たれた古き聖剣に銀灰色を以って介入した。

 

「シィッ!」

 

 付与された雷の速度を最大限に利用して、凍てつく空の戦場に私は到達する。軽い私の身体と拳に、重い加速の力を乗せる。

 生憎と私は、戦闘中に技名を叫べるほど余裕を持って戦えるタイプじゃない。でもだからこそ、静かに、鋭く、銀と灰の幻想も込めて。この技だけは高らかに。

 

「ロケット、パンチッ!!」

「なっ──!?」

 

 勇者とセプテントリオさんの中間地点、その直上。

 あの白黒の剣に触れてはいけないという直感に従って、聖剣での完全制御を行いながら義手を発射した。デストロイ級に撃った時とは違い誘爆は見込めないが、それでも暴走した炉心の起爆だ。

 

 振われる剣の軌道を逸らすくらい、なんてこともない。

 

「吹き飛べ!」

 

 言葉を合図に、発射した義手が自爆する。不死殺しの幻想も乗ったそれに、当然勇者も対応せざるを得ず。必然、古き聖剣の刃がズレた。

 

「え……?」

「あ?」

 

 瞬間、解き放たれた聖剣が義手を斬り裂き──当然のように大爆発が巻き起こる。が、その後が大問題だった。

 モノクロの世界が解けた後。何の前触れもなく。振われた聖剣の太刀筋をなぞるように、全く光を反射しない黒い板のようなものが出現していた。

 視覚ではそれ以上の情報なし、嗅覚も、聴覚にも一切の反応がひっかからない。魔法の探知に至っては、そこにあるのは“無限”そのものとかいう意味不明な結果を示している。

 

 そして私は、その現象を知っていた。

 

 あくまで記録文献越し、実物は見たことはない。だがこんな、無と無限が入り混じったような闇が他にある筈がない。即ち──

 

「大消滅──!?」

 

 英雄戦争よりもずっと昔、大罪スキルと元徳スキルという相反する性質の能力を同時に取得した者がいた。

 取得したスキルは不明。しかし優秀な冒険者であった彼は、スキルの獲得後十数秒後に相反する力に飲み込まれて消滅したと言う。魔界という大陸とそこにあった物全て、直径15kmの空間を完全に消しとばして。

 これが俗にいう大消滅。欲張りは身を滅ぼす教訓話として、ある程度学のある子供なら誰でも知っている話。過去に実際起きた事実。

 

 その時、偶然取られていた記録文献。

 そこに記述されていた反応と、目の前から消えつつある無限の闇は、9割型その性質を一致させていた。

 

「ハッ、大昔の童話が相手ってか。アンタの義手(それ)といい、随分と心を躍らせてくれるじゃねえか。なあ炎金の」

「仮にも学者の端くれとしては、全くですよ。あんな物の再現なんて、どうかしてます」

 

 するりと幻想の氷嵐の内側に降りたって、セプテントリオさんの隣に並び立つ。義手のスペアを新たに付けながら、爆炎の中心からは目を逸らさない。

 

「それはそうと、ロケットパンチに関しては同意します。カッコいいですよね、これ」

「義手の最大の強みだな、生身の人間とは迫力が(ちげ)え」

 

 言いつつ、拳を突き合わせる。

 あくまでアインとは別ベクトルだが、私とセプテントリオさんは相性がいい。感性しかり、思想しかり、戦闘の相性だって。あくまで私の一番はアインだけど!

 

「で、増援はどうよ」

「リィンはそろそろ、私のアインは10分後、ミーニャ女王は25分、アヒムさんは生きてますが駄目だそうです」

「そうかいそうかい。だったら、俺らでヤツを倒しちまっても構わねえってことだ!」

 

 爆炎の内側から放たれた黄金の極光斬、それを苦もなく躱しながら歓喜の笑いが溢れていた。戦うことが楽しいと、一度勧誘をハネた私と轡を並べて戦えて嬉しいとでも言うかのように。

 

「新婚なので、あんまりご一緒はしたくないんですけどね!」

「冗談はいけねえぜ炎金の。手前も笑顔な癖によ!」

 

 私たちの前に出現した光の槍を、幻想の氷嵐が打ち砕く。

 私たちの内側から発生仕掛けた斬撃を、銀灰の炎で呪い滅する。

 発生した斬撃の流星雨を、私は拳で、セプテントリオさんは脚で弾き砕く。

 

「まあ、私たちだけで倒せれば幸いですかね」

 

 即席コンビの相性は、無論最高。

 別の世界ではあり得たもしれない幻のツーマンセルが、勇者という敵を打ち倒すべくここに結実した。

 




アヤメ   残り12日
アイン   残り25日
残存正規兵 約2,000人
残存人口  約280万人

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《Ⅱ型魔剣 ナイチンゲール》
 白色の糸型の魔剣……ではなく体内に埋め込まれた、ボビンのような円柱体型の魔剣。
 生体融合型魔剣の特徴として、常時通常駆動にあり、限界駆動の能力も一部解放されてしまっている。装着者の負担も周囲への影響も鑑みることなく。
 所持者:なし
 
【能力】
 不明
 
【詠唱】
 不明
 限界駆動(Over Drive)──鋼の天使よ、総ての穢れを禊ぎ祓え(Hospitaly Nightingale “I.C.U” )
 
【効果】
 ①通常駆動
 ・自身のステータス上昇150%
 ・生物特効100%
 ・悪魔特効500%
 ②限界駆動
 ・対象の自己治癒能力の超活性化
 ・一定領域内の完全殺菌
 ・概念的な手術室の権限
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