「ならばどうする、死にたがりの死神よ!」
「全霊で殺す。だから、そっちも全力で殺しにくるがいい!」
啖呵を切って、始まった大激突。
その最初の一撃の時点で、リィンは目の前の死神に勝つことを半ば諦めていた。
伝わってきた差に絶望したとも言えるだろう。出力が違う。技の冴えが違う。練度が違う。魔剣の扱いが違う。何もかもが、自分の遥か上を行っている。
リィン・M・D・ラーグルフリョゥトリムルンとして積み重ねてきた経験が、
勝てないと。
相手は未だ手札を複数持ち、全力ではない程度の力しか出していないと。それでも尚、既に限界すら超えた
「ああ、そうだ。先に言っておくよ」
冷や汗が一筋、気圧された様子のリィンを見てイオリが告げる。
「勝てないよ。でも出来れば足掻いて欲しい」
それは悪い意味で“神”らしい、人心を鑑みない自らの
「私だって、人の可能性と輝きは信じてるんだ。だからどうか、その煌めきを見せて欲しい。私が貴女を斬り裂く前に」
結果として始まったのは、辛うじて蹂躙でないだけの一方的な戦闘行為。分かりきった結末へ向かう、予定調和が始まった。
一合──共に空を蹴り最高速で飛び出した。
リィンの大鎌が空間を割き、イオリの背負う剣の曼荼羅を破壊。加えて背負う棺桶のうち1つを完膚なきまでに両断する。だがその代償は甚大。周囲の空間をひび割れさせる激突に巻き込まれて、リィンの右足が空を飛ぶ。
二合──イオリの大鎌が雲を引きながら加速。際どいタイミングで間に合った秘呪による防壁を、数百の秘呪ごと消滅突破する。
斬撃自体は頭部の角に阻まれるも、巨大な質量体による頭部打撃はそれだけで致命傷になり得る。首が千切れ飛ぶことだけは避けながらも、揺れた脳が混乱停止。正常な指示を出すことを放棄した。
三合──砕け散った人体や悪魔の残骸、時の止まったそれらを足場にイオリが加速。
迎撃で放たれた秘呪群をバレルロールのように回避しながら、断頭台の刃のように大鎌が振り下ろされる。
迎撃したのはリィンの尾。斬撃を横合いから叩くことによる軌道修正。強引な修正により刃の軌道は首から肩へ。尾の一部と片腕が無惨に切断されるだけに抑え込まれた。
四合──時間が止まる前に回収した腕を接続しつつ、リィンが大鎌の石突きを射出。
上級の悪魔ですら穿つ砲撃じみた一撃は、しかしイオリの眼前で静止する。『獣』が纏い、アヤメと共に解析した空間装甲。それが呆気なく必殺を押し留めた。
代償の反撃は凄烈。ポールダンスのように小柄な体を回転させ、全ての力を乗せたドロップキックが炸裂する。
「戦技ーー
「秘呪解放──
五合──追い討ち。
眩く煌めく銀の三日月と、仄暗く揺れる呪いの三日月が激突する。吹き荒れた余波だけで辺り一面の悪魔を粉砕し、斬り裂いて、その状態で再度停止した悪魔を足場に戦線がさらに広がっていく。
勝負に競り負けたのはリィン。内臓が爆発したような衝撃の中、どうにか繰り出した苦し紛れの一撃は届かない。
聖剣が無事であり手から離れていないのは、戦士の矜持か或いは偶然か。だが誰がどう見ても、既に趨勢は明らかだった。
「私を止めたいのなら! 命を奪うのなら! その10倍は無いとね!」
「だとしても、余は、余は負けられぬのだ!!」
六合──リィンが解き放った秘呪の弾幕を突き破り、破砕し、無効化し、斬月の軌跡がその尾を完全に切断した。
七合──大鎌での迎撃が間に合わない。防御に動いた全てをすり抜けて、銀月の刃が片足を斬りとばす。
八合、九合、十合──魔法が砕ける。腕が壊れる。角が砕け、視界が回る。
十一合──反射的な攻撃すら読み切られ封殺。まだ死んでいないだけで、リィンに切れる手札はどこにもない。
「過去よ、余の手の内で書き換わ「それを誰の技だと思ってるの?」れッ!?」
十二合──起死回生の過去改変。如何なる術理を以ってか、それすら未然に砕かれる。
同格だった速度が一瞬の遅れに変わり、一瞬の遅れは一手の先読み分に、先読みは現実に。削られ、遅れ、上回られ、既にどうしようもない差として結実してしまった。
「すまぬ、アヤメ。アイン。やはり余は、ここまでのようだ」
十三合──故に最早、成す術はなく。
「お疲れ様、気高い魔王。だけど私は、貴女の“神”としての部分も見たかったな」
振り下ろされる
「だが」
それは断頭台の刃の如く、問答無用でリィンに向けて落下して。リィンの握る大鎌の聖剣を柄ごと切断。そのまま腕を巻き込み、胴を輪切りに振り抜いた──
「舐 め る な」
──瞬間だった。
定められた敗北に至り、死が確定する直前。寸毫の時間だけ生まれた油断の時間。そこにたった1つだけ許された、最後の反撃が捩じ込まれる。
それは名前もない原初の秘呪。
自分が受けた傷を相手に返すという、ごくありふれた報復の呪い。自らが致命の傷を受けることを前提とした、欠陥設計の応報の牙。だが今回に限って、それは最大の効力を発揮する。
ここに至るまでにリィンが負った負傷は絶大。片腕、両足の切断、頭部の強大、内臓破裂、胴体の切断etcetc……その全てが、下手人であるイオリに反射する。
「……やるじゃん」
無論、死の間際にあっての窮余の一策だ。油断はありながらも万全な相手に、10割の反射は通らない。返った呪いは半分だけ。だがそれでも十分過ぎるほど、呪いは易く癒えぬ傷として顕現する。
イオリの四肢から吹き出す鮮血。突如額が裂けどろりとした血が流れ出し、ごぽりと堪らず血塊が口から溢れ出した。耐え難い頭痛は脳のダメージだろう。これでは暫く、動けない。
飛行の維持に失敗し、墜落していくリィン。その顔が笑顔を浮かべていたように見えたのは、きっと錯覚ではないのだろう。
人間の残骸だったものが、時の止まった水面へと落ちていく。
深く深く、ゆっくりと静かに沈んでいく。
魔王と呼ばれたその姿は、もう何処にもない。
「これで、あの未来からは外れた筈」
力なく大鎌を下げ、痛みを堪えるように片腕で額を抑えてイオリが呟く。
先程見せつけられた繰り返される世界の記憶。その中に、自分が魔王を殺めた記憶は存在していなかった。ならば今こうして手を下したことで、また新たな分岐点となる筈なのだ。
「でも覚醒には至らず……か」
小さく呟いたその言葉に込められたのは、魔王に対する微かな落胆と失望。或いは、遠い昔から付き合いのあった女神への別れの言葉か。
浮かび上がってくることのないリィンから視線を外し、いざ自分の愛娘と向かい合おう。
そう確信した刹那。
イオリの脳内に溢れ出した、
「な……あ……!?」
自らの聖剣が持つ『捕食による自己進化』能力。それがリィンを斬り裂き喰らったことで流入した幻想が、外傷ではない頭痛の原因が無数に浮かび上がってくる。
幾千、幾万、次から次へと溢れる記憶の数はリィンが抱えていた数と変わらない。これまでのループの観測能力、解放された権限が秘されていた事実を無限に暴いていく。
「ち、がう。これ、は、コレは……!!」
ただ唯一違う点は、リィンの行っていたループと違い中心に居る人物がバラバラであること。
「ループの核は、1つじゃなかった……!??」
ミーニャ女王を核としたループがあった。
リィンの存在を核としたループがあった。
リュートやレーナを核としたパターンもあった。
何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、時間が繰り返されていた記憶が溢れ出す。
この僅か1年にも満たない時間をいったい何度繰り返せば、『獣』に対する特効などという特殊な体質が付くのだろうか。10回? 100回? 1000回? そんな程度で足りるはずがないだろう。
世界がコレをそういうものだと定義するにはまるで足りていない。
リィンが核として繰り返されてちたた数百回に加え…………本来のループ回数はその数百倍をゆうに超える。
──合わせて、数千数万回の
ループの観測能力が解放されたことによって、全ての繰り返しの記憶がイオリの頭に叩きつけられる。記憶が氾濫する。
視界の全てが既視感に塗り潰される。
「これじゃあ、
震える声でイオリが呟く。
だって
魔剣で喰らった結果取り込んでしまった、否、こうして取り込むことを既に知っている《転生》の幻想世界による副作用。
視界に写る全てに、体が感じる全てに
何もかもが1回見たことがあるように思えて──いや、事実他の繰り返しの中で見続けてきた。
頭がおかしくなりそうだった。
この展開で進んだ世界は失敗すると、未来は分からないはずなのに知っていて、諦観と停滞と絶望で胸が凍りつく。
この先。自分が娘に対して攻撃を仕掛けた先、何が起こるかを知っている。
──抗いきれずにアヤメは凶刃に倒れ、諦めた自分が世界をやり直す。
この先。自分が娘婿に対して攻撃をしかけた先、何が起こるかを知っている。
──2対1の状況に均衡は崩れ、アインは凶刃に倒れアヤメもそれに追従する。諦めた自分が世界をやり直す。
この先、自分が首を切った先に何が起こるかを知っている。
──死んだ筈のリィンへ幻想が戻り、認められないと世界がやり直される。
何処にどう、何が進んでも解決しない八方塞がり。
この世界が失敗して繰り返される未来を、イオリ・キリノは数百万の過去として認識と経験が終わっている。
全てが既知の内に収まって、未知の可能性が何処にもない。
未来へ進む光がない。
剪定される枝のように、何処まで行っても世界が行き詰まってしまっている。
そして、全てを思い出したからこそ。
自分がこうして動きを止めた時に何が起きるのかも、イオリは既に知っていた。
「…………………………やりなおさなきゃ」
◇
そんな強制的な理解に思考がフリーズする数分前。
「剣聖流、ロイド・キリノ。推して参る」
「戦場流、アイン・ティアードロップ。推して参る」
もう片方の戦場でも、最後の戦いが始まっていた。
共に構えるのは剣と剣。
実力は片方が劣り、しかして戦場は静かな拮抗状態にあった。
ロイドが先に動いた場合、確実に後の先を取られ敗北する。
アインが先に動いた場合、確実に先の先を取られ敗北する。
もう片方の戦場が出力任せの派手な叩き合いだとすれば、こちらは技量とタイミングが制する刹那の戦場だ。
瞬き1つ、汗1つに気を取られ、或いは注意がそれた瞬間に致命の刃が飛んでくる。
共に既に間合いの内側。偶然ながら成立した一騎討ち、一撃必殺の場だからこそ双方は動けない。
「……」
「……ッ」
構えが切り替わる。
双方どのような動きにでも対応できる中段から、それぞれが示し合わせたように。
ロイドは片方の刃を天高く、もう片方の刃をアインに向けた攻撃寄りの構えに。
アインは両の手で握る刃をそれに合わせ、カウンター狙いの防御寄りの構えへ。
「ッ……」
「……」
構えが切り替わる。
ロイドは片腕を防御に偏らせ、片腕を背後に引いた突撃系統の構えへ。
アインは半身になり刃を立て、すれ違いざまに負傷覚悟の一刀を繰り出す形へ。
構えが切り替わる。
構えが切り替わる。
構えが切り替わる。
何度も。何度も。何度も。何度も。お互いの手札を晒しながら、向かい合った剣士の2人にしか分からない静かな激戦が続いていく。
「楽しいな。蘇った甲斐がある」
「肯定する。冥土の土産と考えれば、これほどの物もない」
未だお互い一歩も踏み出せないのは、その一撃で確実に刃を振るう未来が見えないから。そして【悪魔】や暗殺剣、魔法使いや魔物相手では絶対に起こり得ない、読み合いという何よりも辛く苦しくも楽しい時間を最後の一時まで刻みたいから。
「全く年長者として情け無い話だが……やはり男というものは、
「全くもって同意する。当方は銃を握った時間が長いが、こういった立ち合いも悪くない」
口元に浮かぶのは共に笑顔。
恐らく人生最後の立ち合いに、満足のいく相手がいて、その相手も義父/義息子だ。仲も良好であった以上、悪く思う筈がない。
「俺には才能がなかったが、銃も立派な良い武器だ。剣とは違った美しさと浪漫がある」
「当方にとっては血と激痛の記憶だが、それもまた間違いないと認識する。だが銃の場合、当方が勝つ」
構えが変わる。
「だろうな。10発撃って8発外れる俺が、お前に勝てる未来が見えない。だが剣ならば俺が勝つ」
「妥当な認識だと首肯する。当方はあくまで、剣“も”使えるだけの一兵卒だ。その道を極めた貴方に勝てる筈もない」
構えが変わる。
「極めた……か。剣の頂きは、死と蘇りを経ても終ぞ見えなかったよ。そっちこそ、後方援護は極めたんじゃないのかい?」
「否定する。当方の技術は極みには程遠い。何せこれまでただの1度も、愛する者にすら合わしきれていない」
構えが変わる。
「そうか……娘が迷惑をかけたね」
「否定する。当方は、そういう所にも惚れている」
構えが変わる。
「ははは……そうか、そうか。改めて、君みたいな男の子に惚れられたアヤメは幸せ者だ」
「その点は寧ろ当方が幸せだと認識している。愛する者が自分だけに向けてくれた無防備な笑顔ほど、変え難いものはない」
構えが変わる。
「ああ、分かるよ。自分の隣だけで見せてくれる安心しきった顔とかな。壊れそうなほど頑張っている時、甘えてくれたのにどれだけ安心したか」
「同意する。悪夢に魘されている時、手を握ると安心した顔になってくれるのは素直に嬉しい」
構えが変わる。
「俺の自慢の嫁と娘だ」
「当方の自慢の嫁だ」
構えが変わる。
「さて……本当なら、こんな楽しい時間を終わらせたくはないが」
「そろそろ決着の時間だと、認識する」
構えが変わる。
轟音と共にリィンとイオリが激突する光景を尻目に、共に最後の構えへと切り替える。
選ばれたのは奇しくも同じ構えだった。
正確にいえばそれぞれ、構える剣の形は違う。
だがその意味は同一。
共に相手の首を最速で落とす為に研ぎ澄ました、一撃に全てを賭けた最速の構え。
「合図は」
「なしで良いと提案する」
左の刃を逆手に、右の刃を引き絞った弓のように構えるロイド。
右肩を前に出し、左の腰だめに刃を構えるアイン。
刃が閃く刹那の先、生き残れるのはどちらか一方のみ。
無粋な横槍が入る余地はなく、刻一刻と2人の間に満ちる空気に緊迫感だけが満ちていく。静かに火花を散らしながら、一撃必殺の時を待ち──偶然が重なり一瞬、戦場に完全な静寂が訪れた。
刹那、雲耀の時間を貫いて。
瞬きよりも速く2人の影が交錯し、剣を振り切り位置を入れ替えた状態で静止した。
「……そういえば、君の心臓は魔剣だったな」
「……そちらこそ、義手の硬度が魔剣だと抗議する」
撃ち抜かれたロイドの魔剣の先。
そこにあるのは、抉り取られたアインの心臓。無限炉心ジークフリート。
振り切られたアインの魔剣の閃。
それが刻まれたのは、左切り上げの一文字。斜めに胴を切断した証拠。腕も翼も断ち切った痕。
「もっと平和な世界で、君と出会えれば良かったのにな」
「同意する。酒でも交わしながら、話したいことがもっとあった」
その言葉を最後に、2人の聖剣の能力が停止。
「「お見事」」
ロイドは首を含めた上半身をズルリと滑り落としながら。
アインは抉り抜かれた胸の中心から血を噴き出しながら。
力と言葉が小さくなり、揃って海へと墜落していく。
愛する女のことを胸に、愛した男たちが落ちていく。
あり得た未来を切り裂いて、残骸となって沈んでいく。
時の止まった水面へ、世界の終わりの刻限へ。
◇
そうして、相打ちによって最愛のパートナーを失った2人が対峙する。
アヤメとイオリ、そのどちらの目にも満ちているのは諦めだ。
2人が辿った最後に文句はない。そういうのは、理解できるつもりでいるから。
故に問題なのは、それ以外。
アヤメにはもう、この状況を巻き返す手がない。
イオリにはもう、この状況が幾度も見た失敗の光景にしか見えない。
そして分かりきった決着を付けないと、何も終わりも始まりもしないこと。
「やっぱり勝てませんか」
「そうだね、アヤメ」
舞台から降ろされた巫女が
激闘は一瞬だった。
アヤメの手繰る乱射弾幕とその間を縫うような狙撃を、イオリが真っ向から粉砕し勝負にもならずに肉薄。
それで戦闘は終わり。
特筆すべきこともなく、完全に実力差で押し潰された。
アヤメの持つ技術は複数技能のハイブリッド……聞こえは良いがそれは、未熟であればただの下位互換でしかないのだ。
アヤメの技の根幹にあるのは両親の技術、自らの技術は年月の差という壁に阻まれ届かない。分かりきっていた結末に、分かりきっていた終わりに辿り着いた。
「……そんな悲しそうな顔、しないでよママ。せっかく言葉遣いまで他人行儀にしてるのに」
イオリが描いていた理想の絵図は破綻した。今まで自分が行ってきたことが、何度も繰り返された失敗の道だったと示されて。
アヤメが描いていた夢想の絵図は崩壊した。誰も悲しませないで済む方法を見つけられないまま、非情な現実に追いつかれて。
もう、誰も救われることはない。
全員が不幸に成ってハイ終わり。
そんな最悪の結末が、すぐそこまで迫って来ていた。
「最初は、アヤメに生きて欲しくて始めたのに。どうしてこうなっちゃったんだろうね」
「運が悪かったとか、そういうのだと思うよ」
何せ家族揃って、ステータスシステム上の幸運値は低迷して久しい。
だからきっと、運が悪かった。
そういう結果でいいのだと、微かに笑ってアヤメが言う。
「ごめんね……ごめんねぇ……今度は絶対、忘れない。忘れないから!
今度こそ絶対、上手くやる。間違えない。世界を優しい方向に、救ってみせるから」
ゆるして、と。
恐らくちゃんと前も見えていない程、大粒の涙を溢しながら。
心の底から助けてと、叫んでいる思いを隠すようにして。
俯いたカミサマの、
斯くしてたった一輪、世界に咲いた希望の花は手折られた。
世界に残ったのは1人だけ。
悲しみと、後悔と、絶望に泣きじゃくる、願いが反転し、大切なものを全て失くしてしまった神様だけ。
故にこそ、慟哭が響く中、完成した幻想が無機質に駆動を始める。
チクタクチクタク、動いていた筈の時計を逆向きに。世界の全てを巻き戻し始め─────
まだ、終わらない