Fire Emblem ~漆黒の灰色 炎の紋章に導かれて~   作: ノーリ

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おはようございます。

前回の続き、今回はカダインの戦いになります。

ここで出てくるのはこのシリーズの敵役の二大巨頭であるあの暗黒司祭。通常ならばやり過ごすしかない敵ですが、このお話では当然そうはなりません。

ではどうなるかは、本文をご覧になって確認してください。

では、どうぞ。


NO.15 闇の因縁

グラ王国との戦に辛くも勝利した解放軍は、一路、アリティアへの道のりを進んでいく。残る主要な敵はドルーア、マケドニア、グルニアの三か国。アカネイアを取り戻し、今またグラまで制圧したことで解放軍の士気は大いに上がっていた。次の目的地であるアリティアも、遠い目標ではなくなっていた。

だがその前に、避けては通れぬ場所があった。その名は魔道の国カダイン。魔道士たちの聖域であるこの地を牛耳っているのは、ドルーアの総帥であるメディウスと並ぶ解放軍の怨敵、魔王の異名をとる闇の司祭ガーネフであった。

だが解放軍にも、本来は相容れないはずの強烈な闇が一つ。どちらの闇が勝るのか、間もなく巡り合うときが来ていた。

 

 

 

 

 

(さて…)

 

グラ城を制圧してカダインが目前に迫ったある日、ガレスは陣中を当て所もなく散歩していた。

 

(グラ城からここまでの間、多少の小競り合いはあったものの戦闘らしい戦闘はなし。被害がないのは結構なことだが、つまらんな…)

 

この頃戦闘らしい戦闘がないため、ガレスは暇を持て余していた。と、

 

「あの…」

 

不意に、誰かに声をかけられる。だがガレスはそれを無視した。

 

(次の戦場では楽しめればいいのだが…)

 

そんな不穏なことを考えながら歩を緩めることなく進んでいく。と、

 

「ねえ…」

 

また、誰かに声をかけられた。先ほどとは違う声色だ。しかし、ガレスは相変わらず立ち止まろうとしない。と、

 

「ちょっと! そこの真っ黒!」

 

怒気を孕んだ声が周囲に響き渡った。その言葉に、周囲の面々がビクッとしながら声の主に視線を向ける。周囲の面々が視線を向けた先…すなわち、己の背後にガレスが振り返った。そこにはそれぞれ、ムッとした表情と、苦笑を浮かべている女性の姿があった。

 

(…誰だ?)

 

見覚えのないその二人の姿に、ガレスは訝しがる。青と緑の髪色のその二人は、これまで会ったことがなかったように思えた。が、

 

(いや…)

 

良く見ると、どこかで見覚えがあるような気もしてきた。周囲の面々がハラハラしている様子の中で、ガレスは彼女たちに答えることにした。

さっきの一言はどちらが言ったのかはわからないが、この状況から考えてガレスに向けての言葉だったのは間違いないからである。

 

「何だ」

 

いつもと変わらぬ様子で口を開く。と、

 

「あのねえ!」

 

青い髪の娘がムッとしたまま噛みついた。その姿に、周囲の面々が驚いて固まってしまう。

 

「何で話しかけているのに無視するのよ!」

「何?」

 

青い髪の娘の言っていることが一瞬理解できず、その横に立っている緑の髪の娘にガレスが視線を向けた。

 

「ええ、まあ、その通りです」

 

察した…と言うわけでもないのだろうが、彼女が頷いた。

 

「貴様ら、俺に用があったのか」

 

ガレスの問いかけに、

 

「そうよ!」

「はい」

 

二人が頷いた。と、

 

「そうか、それは…」

 

ガレスが一拍置く。そして、

 

「失礼したな」

 

そう謝罪すると、深々と二人に頭を下げたのだった。

 

『えっ…』

 

予想もしていなかったガレスの行動に、二人は驚いてしまう。周囲の面々もガレスのとった行動に目を丸くしてビックリしていた。

 

『……』

 

予想外の行動に固まってしまったままの二人に、ガレスは頭を上げると話しかけた。

 

「何しろ俺は未だにこの軍では厄介者でな。声をかけてくる者など皆無に等しいので、まさか俺を呼んでいるとは思わなかったのだ。許してほしい」

「あ、う、うん…」

 

青い髪の娘が頷いた。先ほどまでの怒りは何処へやら、毒気を抜かれたかのようにコクリと素直に頷いたのだった。

 

「それで?」

 

改めて、ガレスが二人に話しかける。

 

「え?」

 

緑の髪の娘がキョトンとした表情で小首を傾げた。

 

「いや…呼び止めたからには何か用があってのことだろう? 何の用だ」

「え、あ、ああ…」

 

そこでようやくそのことに思い至ったのか、彼女はコホンと一つ咳払いをした。そして、

 

「貴方にお礼を言いに来たの」

 

と、目的を話したのだった。

 

「礼だと?」

 

しかし、ガレスはピンとこない。それもそのはずで目の前の二人はどこかで見たような気はするものの、逆に言えばその程度の印象しか持ち合わせていない。そんな良く知らない連中に礼を言われるようなことはしていないからだ。

 

「何かの間違いだろう」

 

そう判断したガレスは身を翻してその場を立ち去ろうとした。が、

 

「マリア様の件よ」

 

青い髪の娘の一言でその動きを止めた。

 

「マリア?」

 

身を翻したまま首だけを二人に向ける。と、

 

「ええ」

「はい」

 

二人がコクリと頷いた。

 

「ディール要塞で、マリア様を救ってくれたそうね」

「ああ」

 

そのことについてはその通りなのでガレスが頷いた。

 

「そのお礼」

「そうか。…と言うことは、貴様らはマケドニア白騎士団。ミネルバの直属か」

『そう』

 

二人がほぼ同時に頷いた。そこでガレスは、ようやく彼女たちが自分を呼び止めた理由がわかった。

 

「そうか」

 

そしてそれと同時に、何故見覚えがあるのか思い至ったのだった。

 

「思い出したぞ。貴様ら、レフカンディでミネルバと共に攻めてきたあの天馬騎士たちだな」

「ええ」

 

緑の髪の娘が頷いた。そして、自分の胸に手を当てる。

 

「私はパオラ。こっちは妹のカチュアよ」

「お久しぶりね」

 

緑の髪の娘…姉であるパオラに紹介されて、青い髪の娘…カチュアが軽く頭を下げた。

 

「ガレス。黒騎士ガレスだ」

 

返礼とばかりにガレスも名を名乗った。と、

 

「良く知っているわよ。名前はここに加わって初めて知ったけど、貴方自身のことは良くね」

「ほぉ?」

 

カチュアの言った内容に、面白そうな口調になってガレスが尋ねた。いつの間にか、パオラ自身も表情がムッとしたものに変わっている。

 

「貴方のせいで、妹が…エストがひどい目になったからね」

「そんな名は知らんが、あの時俺が真っ二つにしてやろうと狙ったあのピンクの髪の小娘か?」

「ええ」

 

パオラがムッとしたまま不満ありありな口調で頷いた。

 

「クク、そうか…」

 

対してガレスはいつも通り、楽しそうに咽喉の奥で笑っていた。

 

「戦士として使い物にならなくなったか?」

「なりかけたわよ。お陰様でね」

「今は何とか戦線に復帰してるけどね」

「クク、そうか。それで、その小娘はどうした」

 

ここにはいないエストのことをガレスが尋ねた。関わり合いたくないから隠れているのだろうか。

 

「あの子は別任務」

 

しかし、パオラから返ってきたのはガレスの予想を裏切る言葉だった。

 

「だから、今ここにはいないわ。いずれ合流するでしょうけど」

「ほぉ、成る程」

 

ガレスが頷いた。こちらとしてはあの時は敵同士だったし、あの行動は何ら恥じるものではないと思っているが、相手が怯えているのだったら無理に接触する気もなかった。

 

(本当に、俺も甘くなったものだ…)

 

しみじみそう思いながら、

 

「合流したら、俺に接触しないように気を付けるのだな」

 

と、パオラとカチュアに忠告した。

 

「勿論、そうするわよ」

「ええ。ただ、それとマリア様の御命を救ってくれたことは別だから。その点に関しては感謝しているわ」

「それと、おかげでミネルバ様が意にそわぬ戦いをしなくて良くなったこともね」

「わかった。それと、礼ならマルスに言うんだな。ディールに進軍を決めたのは奴だからな」

「ええ」

「わかっているわ」

「クク、ならばいい」

 

最後にそれだけ言うと、用件はもう済んだとばかりにガレスはパオラとカチュアの許から立ち去った。その後ろ姿を、パオラとカチュアは少しの間黙って見送ったのだった。

 

 

 

 

 

進軍の準備を終えた解放軍は、一路カダインを制圧するために出撃していく。魔道の国であるカダインの主兵力は当然魔道士で構成されている。それともう一つ大きな特徴として、カダインは砂漠の国であった。

ジリジリと炎天下の太陽が地上に照り付けている。そんな地理的要因もあり、解放軍の今回の主兵力は地形を苦にしない飛兵と、砂に脚を取られにくい歩兵や魔道士であった。騎兵や重装兵などはお休みということになるため、当然、今回もガレスの出番はなかった。

 

「……」

 

進軍が始まったばかりのため、まだそう遠くには行っていない友軍の姿を見ているガレス。軍のはずれでそうしていたのだが、そんなガレスを見張るような視線がいくつかあった。最初の頃よりは数が減ったものの、まだ幾つかこういった視線はある。

 

(ご苦労なことだな)

 

鬱陶しいが、一々相手にしていたらきりがないためガレスは捨て置いていた。先日のリンダのようなあまりに露骨なものだったら対処しようかとも思うのだが、本当に見張っているだけで何もしてこないためにガレスは黙殺することにしていたのだ。

 

(オレルアンか? アカネイアか? あるいはアリティアか?)

 

自分を探らせそうな勢力を次々と思い浮かべながらいつものように鎧の下で咽喉を鳴らして忍び笑いをするガレス。と、

 

「!」

 

ガレスの背筋に急に悪寒が走ったのだった。それもかなりの。

 

(何だ、今のは!?)

 

その悪寒はまさに今解放軍が戦場としている場所の近くから感じ取ることができた。先日のリンダとの会話がすぐに頭に浮かぶ。

 

「…」

 

後方とは言え戦場ということで得物を持っていたことに僥倖を感じると、ガレスは そのまま戦場へと向かっていった。そしてその行動を、ガレスを見張っていた幾つかの影がそれぞれの主人に報告すべく戻ったのだった。

 

 

 

 

 

「状況は?」

 

一方、こちらは戦場の本隊。緒戦を制したマルスは周囲を見渡しつつ状況を確認した。

 

「被害は軽微。重傷者や戦死者はおりません」

「肉眼で見る限りには、視界内にはもう敵もいないようだな」

 

答えたのはオグマとナバールだった。今回は軒並み騎兵がお休みということでジェイガンたちやハーディンたちですら編成していない。そのため、参謀役的なポジションにこの二人がついていた。と、

 

「マルス様!」

 

上空から四つほど舞い降りる影があった。東西南北へと偵察へと向かわせていた、シーダ、ミネルバ、パオラ、カチュアの四騎である。

 

「みんな、ご苦労さま」

 

マルスの労いに表情を崩してそれぞれ礼をする。

 

「姉様!」

 

無事戻ってきたミネルバにマリアが飛びついた。

 

「マリア」

「無事だったんだね、良かった!」

「当たり前でしょう、偵察なのだから。それより、報告がまだなのだから離れなさい」

「あっ、ご、ごめんなさい!」

 

申し訳なさそうに慌ててミネルバから離れるマリアの姿にほっこりしながら、マルスはシーダたちに向き直った。

 

「どうだった?」

「はい」

 

全員が普段の面持ちになって報告を始める。

 

「先ほど合流したときに情報を交換し合ったのですが、伏兵の存在は確認できませんでした」

「航空戦力の増援もありません」

「残存兵力は砂漠で迎え撃つ姿勢を見せている現有戦力だけで間違いないかと」

「そうか。わかった」

 

シーダ、パオラ、カチュアからの情報を聞き、次の一手を考えるマルス。と、

 

「マルス王子」

 

ミネルバがマルスに話しかけてきた。

 

「何かな、ミネルバ王女」

「うむ、残存の敵兵力の少なさとこの立地、増援の気配がないことか迅速な行動が望ましいと思われるが、如何かな」

「そうだね。それは僕もそう思っていた」

 

ミネルバの私見にマルスも賛同した。

 

「ここは何せ魔道の国であるカダイン。これまでとは違って気候も大きな敵になる。魔道士であるマリクたちはともかく、軽装とはいえ鎧を着こんでいる皆には辛いだろう」

「そうですな」

 

オグマも同意した。

 

「それに…大物が出てこない保証もないしね」

「ガーネフ、か」

 

ナバールの呟きに側にいたリンダの身体が僅かに震え、表情が強張った。

 

「うん…」

 

そして、マルスの表情も強張る。

 

「ここはガーネフの、言ってみれば庭みたいなものだ。出張ってこないならそれに越したことはないけど、そんな保証はどこにもない。それに、今の僕達にはガーネフに対抗できる術はない。…だったよね、リンダ」

「はい…」

 

悔しそうに歯噛みするリンダに周囲の視線が集まった。

 

「ガーネフの持つマフーの魔道書には普通では太刀打ちできません。対抗策を見つけなければなりませんが、それまでは悔しいですがやり過ごすしか…」

「となれば、もしここにガーネフが現れたら尻尾を巻いて逃げるしかないな」

 

ナバールの指摘にリンダがますます悔しそうにした。

 

「そうだね。そしてその間に、僕が拠点を制圧するしかない。そのために、今回は身軽なメンバーで出撃したからね。さて、それじゃあ行こうか」

 

そしてマルスが指示を出す。

 

「オグマ、先陣は君の部下たちに任せたい」

「はい」

「ナバール、シーザとラディ、アテナにもオグマの部下たちと同じく先陣を務めるように伝えてくれ。オグマとナバールは彼らの両翼についてサポートを」

「わかった」

「マリクやリンダたちは後方から先陣の援護を、シーダたちは引き続き哨戒と伝令、撃ちもらした敵の掃討を頼む」

「はい」

「マリア王女やレナにリフたちはマリクたちの更に後ろで負傷者の治療にあたってくれ」

「わかりました!」

 

一通りの指示を出す。そして、行動を開始しようとした時だった。

 

『ふふふ…』

 

どこからともなく笑い声が聞こえる。

 

「ッ!」

「誰だ!」

「……」

 

マルスが表情を強張らせ、オグマが周囲に視線を走らせた。ナバールは既に腰の剣の柄に手を掛けている。

 

『ここまで御苦労なことよの』

 

その不気味な声は鳴りやまず、再度周囲に響き渡った。マリアなどは姉様ぁ…と、身を震わせながらミネルバに抱き着いていた。そして、ある一点にどこからともなく闇が集合し、それが具現化し始めた。そして、その闇が人の姿を象る。

現れたのは、およそ生きている人間として認識するのすら怪しい顔色の壮年の魔道士だった。そして、この場でその人物が誰かを知っているのは只一人。

 

「ッ! ガーネフっ!」

 

憎しみに満ちた表情でリンダがその壮年の魔道士…ガーネフを睨み付けたのだった。もっとも他の面々も今の話の流れから、この、いかにもヤバそうな気配の魔道士が誰なのかは容易に察することができただろうが。

 

「小娘…」

 

姿を現したからだろうか、先ほどまでと違ってハッキリと声が聞こえるようになった。そして名前を呼ばれたためにガーネフはリンダに視線を向け、にやあっと怖気の走るような笑みを浮かべたのだった。

 

「その顔には見覚えがあるな。確か…」

「忘れたとは言わせないわ」

 

恐怖と憎悪と怒りがないまぜになった感情を持て余しながらもリンダがしっかりとガーネフを見据えた。

 

「お父様が殺された時のことは、今でもこの目に焼き付いている」

「…そうか、貴様、ミロアの娘か」

 

ようやく思い出したのか、ガーネフが楽しそうに笑った。

 

「ええ!」

「ふふふ、成る程な。それで、敵討ちでもするつもりか?」

「当然!」

 

言うが早いか、リンダがオーラを詠唱してガーネフに放とうとする。が、突然身体が硬直して動けなくなった。

 

「! か、身体が…」

「愚か者め」

 

ガーネフが侮蔑しながら吐き捨てた。その手に持つ不気味な魔道書が暗く明滅している。

 

「ふん!」

 

ガーネフの右手から暗黒の思念体のようなものが現れるとそれがリンダに襲い掛かった。

 

「きゃああああっ!」

 

リンダがその思念体に包まれて悲鳴を上げながら吹き飛んだ。

 

「リンダ!」

 

マルスが慌てて駆け寄る。かなりの深傷だった。

 

「う…う…」

 

苦しそうにリンダが表情を歪ませて呻く。先ほど自分で、今の状況ではガーネフに対抗できないと説明したのに、感情が制御できなくなってしまって迂闊な行動に走った結果がこの様である。

 

「リフ、回復を!」

「お任せください」

「わ、私もお手伝いします!」

 

リフと、ミネルバにしがみついていたマリアが恐怖に駆られながらも勇気を出してリンダの許に駆け寄ってライブをかけた。

 

「ふふふ…」

 

再び聞こえてきたガーネフの嘲笑に、リンダたちを除くその場にいた全員が身構える。

 

「忘れたのか。儂の手にこのマフーの書がある限り、何人も儂に刃向かうことなど出来んわ」

「ガーネフ…!」

 

マルスが剣を抜いて構えた。だが、不用意に突っ込むことはしない。それは今のリンダの状況を見て、ガーネフが言ったことがハッタリでも何でもないとわかったことが一つ。そしてもう一つは、総大将である自分が万が一にも倒れてしまったら解放軍が瓦解しかねないという危惧があったからだ。

それをわかっているからだろうか、周りの他の面々も油断なく武器を構えながらもジリジリとマルスを護るようにその周囲を固めていく。

 

「ふふふ…」

 

だが、その程度のことがわからないガーネフではない。相変わらずの厭らしい笑みを浮かべ、マフーを今度はオグマとナバールに向けて放った。

 

「ぐおっ!」

「ぬうっ!」

 

二人とも先ほどのリンダと同じく身動き一つすらできずに、まともにマフーの直撃を受けて吹き飛んだ。

 

「オグマ! ナバール!」

「ふふふ、マルスを護ろうとしておるのだろうが無駄なことよ」

「マリア王女、彼女は貴方にお任せします」

「は、はい!」

 

リンダの状態が落ち着いたのを確認し、リフが今度はオグマとナバールの許へと向かった。

 

「リフ、二人の容体は?」

 

ガーネフに相対しながらマルスがリフに尋ねる。

 

「かなりの深傷です。すぐに治療に入ります」

「頼む。死なせないでくれ」

「…やってみます」

 

リフがすぐにオグマとナバールの治療に取り掛かる。その言葉の端々から、かなり難しい状況であるのが察することができた。元々魔法に弱い戦士系の二人だから魔道士であるリンダよりもダメージは大きいのだろう。

そしてそれは、ガーネフも重々承知しているのだろう。だからこそ、リンダを潰した後の標的をオグマとナバールにしたのだろう。

 

(的確なのは間違いないけど、厭らしい真似をするな)

 

眼前のガーネフにマルスは内心で悪態をついたのであった。

 

「ふふふ…」

 

それを見透かしたかのようにガーネフがまた笑う。

 

「何時までもここで貴様らと遊んでいる暇はない。だがマルスよ、貴様を殺せば終わるのもまた事実。邪魔な芽は摘んでおくに限る」

『!』

 

その言葉で、標的がマルスに移ったことがわかったマリクたち、残りの面々が襲い掛かろうとする。だが、やはり身体が硬直して動けなくなった。

 

「これは!」

「くうっ!」

「マルス様!」

「お逃げください!」

「ふふふ、無駄なことよ。既に我が術中。貴様らと同じく動くことはできんわ」

「! そんな!」

 

何とかシーダが振り返ったが、ガーネフの言った通り、自分たちと同じように身体が硬直して動けなくなっているようだった。

 

「ガーネフっ!」

 

それでもマルスの瞳は光を失っていない。が、ガーネフはそれすら愉悦のように楽しそうに笑った。

 

「ふふふ、いい目をしているな。その目が何も映さなくなったとき、他の連中がどうなるか見物だな」

「や、やめて!」

 

シーダが訴えるものの、それでガーネフが止めるわけもない。

 

「死ねい!」

 

そしてマフーがマルスの生命を刈り取るために放たれた。

 

(ここまでなのか!?)

 

瞳の光は失わずとも、何もできない自分に歯噛みをしながら迫りくるマフーと、その後ろに見えるガーネフを睨み付けるマルス。そして、もう少しでマフーが届こうかというところで、不意にマルスの視界が真紅に染まった。

 

「え!?」

 

突然のことに驚いたが、すぐに気を取り直してよく見てみると、それは真紅にたなびくマントだった。そして、風で翻ったその先にあるのは漆黒の鎧。すぐに思い浮かぶ顔があって見上げると、そこには果たして予想通りの人物の姿があった。

 

「が、ガレス!」

『え!?』

 

未だ意識が朦朧としているオグマとナバール以外の全員が驚く。マフーから回復したリンダもその名前に驚いていた。そこには、今回は出撃していないガレスの姿があったからだ。

 

「どうしてここに!?」

「……」

 

だがガレスは何も答えない。その代わり、

 

「ほぉ…」

 

ガーネフが楽しそうに厭らしい笑みを浮かべた。

 

「木偶人形が壁になったか。どこの馬の骨かしらんが、見上げた忠誠心よ」

「……」

 

侮蔑するようなガーネフの揶揄だったが、ガレスはやはり何も答えなかった。マフーの直撃をくらったガレスは、ガーネフの揶揄するような木偶人形のようにジッと突っ立っている。

 

「だが…邪魔だ!」

 

そして止めを刺さんとばかりにもう一度マフーをガレスに喰らわせた。

 

「ふふふ、苦しかろう」

 

ガーネフが愉悦に満ちた表情で笑う。そんな中、

 

「…ク」

 

マフーの直撃を受けながらもガレスが徐に口を開いた。そして、

 

「ククククク…」

 

と、いつものように笑い出したのだった。

 

「ふふふ、恐怖に狂ったか? 何が可笑しい」

 

ガーネフはそれをそう判断したようだった。だがすぐに、それが間違いだったということを思い知ることになる。

 

「ククク、可笑しいさ」

「何?」

 

怪訝そうな表情になるガーネフに向けて、ガレスは真紅の瞳を光らせた。そして、ゆっくりとガーネフに向かって歩いていく。

 

『えっ!?』

 

その行動に、マルスを始めとする解放軍の面々は驚きを隠せなかった。

 

「な、何だと!?」

 

だが、誰より驚いたのはガーネフである。反撃どころか一切の行動が許されないはずのマフーをくらいながら、平然とガレスが歩いてきたのだから。

 

「き、貴様、何故動ける!?」

「ククククク…」

 

驚きに気が動転しながらもガーネフは問い質した。ガレスは相変わらず笑っていたが、

 

「理由は二つ」

 

ゆっくりとガーネフに迫りながら、死刑宣告でもするかのようにそう述べた。

 

「一つは俺が貴様と同じく暗黒道の住人だからだ。後ろの連中のようにまともな奴らだったらどうにかなったかもしれんが、俺のような外道には貴様御自慢の魔法も効果が薄いようだな」

「くっ!」

 

ガーネフが悔しそうに歯噛みしながら何度もマフーを唱えるが、それでもガレスは歩みを止めない。正確にはダメージ自体は入っているのだが、マフーの最大の特徴である相手の行動を無力化するという効果が出ていなかった。と、

 

「フン」

 

突然、ガレスが己の得物であるサタンブローバ―をその場の地面に突き立てた。その行動にマルスたちはまた驚き、ガーネフは怪訝な表情になる。

 

「何のつもりだ、貴様」

 

怪訝な表情そのままにガーネフが問い詰めた。

 

「貴様には、これを使うまでもない」

「何だと!?」

 

ガレスの侮蔑したような言い方にガーネフが怒気を孕ませる。しかし、ガレスは少しも気にする様子はなかった。どころか、更に挑発するような言葉を投げかける。

 

「どうした? 気に入らないなら、俺を殺してみせろ」

「言われるまでもないわ!」

 

憎悪と怨念の感情を増大させ、ガーネフが再度マフーを放った。だが、ガレスの足を止めることはできない。

 

「くそ! 何故だ! 何故倒れん!?」

「教えてやろうか? それは、先ほど俺が言った二つの理由のうち、未だ明かしてないもう一つの理由の答えでもある」

「っ! 調子に乗りおって!」

 

引き続きマフーを放つものの、ガレスの足はやはり止まらない。と、ガーネフの隙をついてガレスが急に移動速度を上げた。

 

「!」

 

ガーネフがそれに気付いたとき、ガレスは既にガーネフの目の前まで来ていた。そして、右拳を握り締めて振りかぶっている。

 

「俺が倒れないもう一つの理由はな」

 

ガレスの真紅の瞳がその鋭さを増した。

 

「貴様が弱いからだ」

「なん」

 

それ以上、ガーネフは言葉を続けられなかった。何故ならガレスの右拳が恐ろしい速さと重さを纏ってガーネフの顔面に炸裂したからである。

 

「ぎゃっ!」

 

ガレスのストレートをくらってまともにガーネフが吹き飛んだ。その光景を、マルスたちはまるで夢でも見ているかのように呆然と見ていた。そんな中、治まらないのが一人。

 

「これが暗黒の力だと…」

 

ガレスだった。ガーネフの魔道に心底苛立ちながらガレスがそう吐き捨てる。そして、

 

(ふざけるな!)

 

怒気を孕ませながら歩を進めた。

 

「わ、儂が弱いだと!?」

 

砂に塗れながら、ガーネフが憎しみを露わにして立ち上がってガレスを睨み付けた。

 

「そうだ」

 

ガーネフに近づきながら、ガレスが心底忌々しそうに吐き捨てる。

 

「貴様も暗黒道に堕ちた者。俺も暗黒道に堕ちた者。同じ穴の狢なら、単純に力量の強い方が勝つ。シンプルな道理だ」

「ふざけたことを言うな!」

 

ガーネフはガレスの言ったことを真っ向から否定した。到底そんなことは認められないのだろう。

 

「この儂が、貴様のようなどこの馬の骨ともわからん奴に劣るわけがなかろう!」

「下衆が…ああ、そう言えば貴様は師匠に己の心の弱さを見抜かれ、兄弟子に光の魔道書を渡されたことが原因で嫉妬に狂って暗黒道に堕ちたんだったな。戦いもせずに逃げ出した腰抜けなら、弱くて当然か。いや、失敬失敬」

「き、き、貴様ぁ!」

 

一番触れてほしくない古傷を抉られ、ガーネフは半狂乱のようになってガレスにマフーを連発した。だが、狂いっぷりならガレスも負けてはいない。先述のようにダメージは身体に蓄積しているが、怒りがそれを凌駕していた。

 

(気に入らん…)

 

マフーを正面から浴びながら、それでもガレスは前進を止めない。目の前の男が心底気に入らないからだ。何故なら…

 

(まるで、かつての俺を見ているようで、実に気に入らん!)

 

我儘な同族嫌悪だった。目の前のガーネフは、在りし日の自分をまるで目の前に突き付けられたかのようだった。あの時の自分をまざまざと見せつけられているようで、目障りなことこの上なかったのだ。

 

「くそっ! 何故だ! 何故倒れん!」

 

ガーネフはそんなガレスの内心など知る由もなく、相変わらず半狂乱になってマフーを連発していた。そんなガーネフを、更にガレスは挑発する。

 

「大体、これが暗黒魔法だと?」

 

そう吐き捨てると、ガレスが嘲笑した。

 

「何が可笑しい!」

「クク、笑いたくもなるさ。こんなものが暗黒魔法とはな」

「何だと!?」

「俺は純然たる戦士だが、それでも貴様より余程まともな暗黒魔法を使えるぞ」

「どこまでも馬鹿にしおって! 貴様は絶対に許さん!」

「それはこっちのセリフだ、負け犬がぁ!」

 

素早く横に移動して何度目かのマフーをいなしたガレスが、追撃のマフーが来る前に先手を打った。

 

「ナイトメア!」

 

黒い霧がどこからともなく現れ、ガーネフの身体を包んだ。

 

「ぐうっ!」

 

ダメージを受け、ガーネフが苦悶の表情を見せる。

 

(ば、馬鹿な!)

 

マフーを封じるあの魔道書がないのにダメージをくらったことに、ガーネフは愕然としていた。そして、その隙を見逃すガレスではない。

 

「デスクラウド!」

 

ガーネフの足元から毒ガスが吹き上がり、その身体を跳ね飛ばした。幸い砂漠だったからよかったものの、それでも全身を地に打ち付け、ダメージが更に蓄積する。

 

(わ、儂が、あんな三下に!)

 

苦悶の表情を見せながらガレスを憎しみの籠った目で見据えるガーネフ。そのガレスは、追撃の手を緩めなかった。

 

「ダーククエスト!」

 

マフーもかくやとばかりに 周囲が暗黒に包まれた。そして、どこからともなく現れた多数の怨霊がガーネフ目指して飛んで行き、その身を吹き飛ばす。

 

「ぎゃっ!」

 

ガーネフが悲鳴を上げて吹き飛んだ。そんなこれまでの戦いを、マルスたちは未だに呆然と見ていた。最初にこの場にいた面々だけではなく、指示がないために戻ってきた他の連中…すなわち今回の出撃に参加していた全員がガレスとガーネフの一騎討ちを見ている。

 

「…本当に、とんでもないな」

 

マルスはそう呟くことしかできなかった。

 

「僕たちが手も足も出なかったガーネフを、あんなに一方的に…」

 

マリクも信じられないといった表情でマルスに追随する。

 

「…この場にエストがいなくて本当によかったわ」

「そうね、姉様」

 

パオラとカチュアは心底そう思っていた。

 

「目には目を、刃には刃をと言うが、暗黒には暗黒をということか」

「だが、実力が違い過ぎる。今更ながらあの男、規格外もいいところだ」

 

オグマとナバールも呆気に取られていた。シーダとマリアは少なからず恐怖を感じているのか、身を震わせている。ガレスに好意的なシーダとマリアですらこれなのだから、他の面々の感じている恐怖は更に強かった。そんな中、一人感情のベクトルが違うのがリンダだった。

 

「……」

 

リンダは唇を噛み締めながら悔しそうにしている。父の仇を目の前にして何もできなかった自分と、その仇を圧倒しているガレスを比較して忸怩たる思いに囚われていたのだ。

周囲のそんな様子を気にかけることもなく、ガレスは前進をやめない。ぼろ雑巾のようになりながらそれでも立ち上がり、憎しみと狂気に彩られた表情で未だガレスを睨んでいるガーネフに己の鬱憤を叩きつけるために。

 

「ま、マフー!」

 

性懲りもなくガーネフがマフーを唱える。しかし、今までと同じようにガレスの足を止めることはできなかった。それは先ほどガレスが言った、単純に力の強い者が勝つという理由が一つ。そしてもう一つ、こうして相対して肌で感じたものがあった。だが、

 

(恐らく、この馬鹿には死んでもわからんだろうな)

 

ガレスはそう確信していた。そして、それがわからない以上はどう転んでもこいつはいずれ負けるだろうと。だったら、

 

(俺がここで潰しても、何ら不都合はないだろう)

 

かつての己を見ているようで嫌悪感が増すばかりの目の前の三下…ガーネフを潰すべく、ガレスは走り出した。

 

「マフー!」

 

ガーネフは相変わらずマフーを唱えているが、結果は変わらなかった。そして、

 

「あの世で兄弟子に詫びてこい!」

 

ガレスのストレートが再びガーネフの顔面にを捉えた。

 

「ぐぎゃあああああっ!」

 

吹き飛ぶガーネフ。しかし、吹き飛んだ先にガーネフの姿は残っていなかった。

 

「逃げたか…」

 

忌々しそうにガレスが呟いた。確かにガーネフを捉えた感触はあったが、クリーンヒットではなかった。フィニッシュの瞬間、拳にかかっていた圧が消えたのを感じたのだ。案の定、吹き飛んだ先にあったのはガーネフが纏っていたローブだけで、ガーネフの姿はもうどこにもなかった。

 

(ああいう手合いはしぶとさと執念深さだけは人一倍だからな。…もっとも、俺が言えた義理でもないがな)

 

かつての自分を思い出し、ガレスは忌々しさを感じながら自嘲した。と、

 

「やったのかい?」

 

背後からマルスの声が聞こえてきた。戦いに集中していたから気がつかなかったが、他の連中も集まってガレスの許にやって来たようだった。

 

「いや…」

 

ガレスが吐き捨てる。

 

「痛めつけはした。が、とどめは刺し損ねた」

「そうなのか…」

 

残念そうな口調になるマルス。背を向けているからその表情まではわからないが、恐らく口調と同じく残念な表情をしていることだろう。

 

「そう言えば…」

 

次に口を開いたのはミネルバだった。

 

「何だ?」

 

相変わらず、ガレスは背を向けたままミネルバに答えた。

 

「何故貴様がここにいる。今回の出撃では貴様は声がかかっていないはずだが」

「あ、そ、そうね」

 

シーダもそれに気付いたのだろう。ハッとした表情になってミネルバに追随した。

 

「それについては、この戦いの後に話そう。お前たちはもう行け。まだ戦いの途中だろう」

「! そうだった!」

 

マルスが現在の状況を思い出した。あまりにもガレスとガーネフの一騎討ちが激しかったので忘れていたが、今はまだカダイン制圧の途中なのである。のんびりしている暇はなかった。

 

「皆、さっきの作戦通りに展開してくれ!」

『はい!』

 

マルスの指示で各人が己の任務を遂行するために散らばっていく。この辺りの迅速さは流石に歴戦の兵たちというべきであろうか。

 

「後で話は聞かせてもらうよ、いいね?」

 

最後、去り際にマルスがガレスにそう伝えた。いつものような親しみを感じる口調ではなく、指揮官として部下に詰問するような態度だった。

 

「好きにしろ。俺は逃げも隠れもせん」

「わかった」

 

ガレスからの了承を取ったマルスが、自身も戦列へと復帰していく。そうしてこの場は喧騒から一瞬で静寂へと変わった。後に残されたのはガレス一人。

 

「……」

 

砂と共に吹き付ける風の中、ガレスはゆっくりと動き出した。そして、先ほど地面に突き立てた自身の得物、サタンブローバーをゆっくりと引き抜く。

 

「……」

 

ガレスはその近くに、結構な大きさの岩があるのを見つけた。引き抜いたサタンブローバ―をゆっくりとその岩に向けて構える。そして、

 

「がああああああっ!」

 

裂帛の気合と共にサタンブローバ―をその岩めがけて振り下ろした。

 

「な、何だ!?」

 

もの凄い衝撃音に、思わずマルスたちも振り返る。土煙が晴れたその場所から現れたのは、粉々になった大岩の前で肩をゆっくりと上下させているガレスの姿だった。

そこにいたのがガレスだとわかったマルスたちは、再び進軍を再開する。見て見ぬふりをしたという言い方の方が、或いは適当かも知れないが。

 

「本当に…気分が悪い…」

 

ここに堕ちてから…いや、もしかしたら今までで一番気分の悪い相手との戦いにガレスは業腹だった。ガーネフ自身が気分が悪いというのもあるが、一番腹立たしかったのはとどめを刺せずに逃がしてしまった自分への失望だった。

 

「…逃がさんぞ。次こそは確実に潰してやる」

 

未だ風に舞い、あちこちに飛んでいるガーネフのローブを睨み付けながらガレスはそう吐き捨てたのだった。

 

 

 

 

 

「はあっ…はあっ…はあっ…」

 

テーベ。幻の街と言われる、人知れぬこの秘境の最奥部にある不気味な神殿。ガーネフはそこで乱れた呼吸を落ち着けていた。その最中、顔面に鈍い痛みが走っていることに今更ながら気付く。

鏡…なんて洒落たものはないため水面に映った己の姿を確認すると、酷く腫れあがった己の顔がその水面に映った。

 

「くっ!」

 

苛立ち紛れにその水面を殴って波紋を起こし、すぐにその場を立ち去った。そしてどかっと椅子に座る。

 

「ええい、忌々しい!」

 

怒気を孕みながら肘掛けをダン、と叩きつけた。そんなことをしても怒りが治まるわけもなく、増すばかりである。

 

「何なんじゃ、あの男は!」

 

ガーネフは怒りながらも屈辱に塗れていた。或いはかつて師であったガトーが自分を選ばずにミロアにオーラを託したとき以上の屈辱を感じていた。

 

「この儂を小物扱いしおって…!」

 

実際、散々にあしらわれているだけに尚腹が立った。その上、マフーに手を出したきっかけのことまで指摘されたのである。これで怒るなという方がガーネフにとっては無理があるというものだろう。

 

「殺す! 必ず殺してやる!」

 

憎悪を滾らせながらガーネフが何度も殺すと唸っていた。その憎しみ、負の感情に呼応するかのようにマフーが暗く明滅している。

光の中にある闇と、闇の中にある闇。二つの闇はこうして相対した。その死闘の結果は、今はまだ先の話。

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