Fire Emblem ~漆黒の灰色 炎の紋章に導かれて~   作: ノーリ

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おはようございます。

前回の続き、今回は24章外伝となります。

他の外伝はその章を迎える前に味方が一定数以下ならば自動的に進むのですが、ここはちょっと特殊な条件があります。ですが、それを満たす要件はこの物語上では無理なので、他の外伝と同じく特に何も制約のない形でここに進んでいる形です。

ここで会う最後の仲間との出逢いがどういう形で落ち着いたかは、是非本編をご覧になってご確認ください。

では、どうぞ。


NO.30 もう一人の竜姫

自分があるべき場所とは異なる世界、異なる空間。マルスに率いられた一部隊がそうとしか呼びようのない場所に今いた。その目の前にそびえ立つのは、荘厳な雰囲気を醸し出し、そして何者の侵入を拒むかのような白亜の塔。

マルスたちは今、その中へ足を踏み入れようとしている。この中にいるはずのとある存在の助力を求めて。

 

 

 

 

 

ドルーア城周辺の制圧を終え、いよいよドルーア城へと乗り込もうとする解放軍。その指揮をとろうとするマルスの頭に響いてくる声があった。

 

“マルス、マルスよ。聞こえるか?”

「その声は、ガトー様?」

“うむ”

 

ガトーがテレパシーを使い、マルスに話しかけてきた。

 

「何でしょうか?」

“これからどうするつもりじゃ?”

「このまま城内に乗り込み、メディウスと戦うつもりです」

 

ハッキリとマルスがそう宣言する。

 

“ふむ…じゃが今のそなたたちの力では荷が重すぎよう”

「! ファルシオンも手に入れ、チキも仲間にしたのに…ですか?」

“うむ”

「メディウスの力は、それほど強大だと?」

“その通りじゃ”

「……」

 

ガトーの指摘にマルスは口を噤んでしまった。驕りではなく、今までの戦いの経験や共に戦ってきた頼れる仲間たち。そして、神剣ファルシオンを取り戻したことでメディウスと互角までとはいかずとも、それなりに対抗できるだけの力は有していると思っていたからだ。そして、その力を結集すればメディウスの打倒も決して夢物語ではないと思っていただけに、ガトーの指摘に出鼻をくじかれるような気がしたのだ。

 

“故に、そなたたちに儂からの最後の助力を与える。マルスよ、そなたの部隊の中から精鋭を数名選ぶのじゃ”

「え?」

“それを、これより閉ざされた空間へ送り込む”

「閉ざされた空間…ですか?」

 

予想していなかった展開に、マルスが戸惑いながらもガトーに尋ねた。

 

“この世界とは、全く異なる次元に存在する空間じゃ。そこにそびえる塔に入り、守り人の試練を乗り越え棺を探すのじゃ”

「棺…ですか?」

“うむ。そしてかの方の御意を得られれば、メディウスとの戦いに臨むそなたたちにとって大いなる助力となろう。急ぐのじゃ、マルス”

「は、はい。ガトー様」

 

突然のことに困惑を隠しきれないマルスだったが、これから相手にするのはメディウスということもあり、戦力は多いことに越したことはないのでガトーの指示通りに精鋭を選んだ。

そしてマルスとその選ばれた精鋭たちは再びガトーのワープによってとある場所へと運ばれた。それが、この塔のそびえ立つ異世界なのである。

 

 

 

 

 

「ここが、ガトー様の言っていた塔…」

 

塔に一歩足を踏み入れたマルスが思わず呟いていた。まるで長い悠久の時間、一人の侵入者も許さなかったかのように室内に満ちる空気は澄んでいたが、どことなく圧力を感じさせる雰囲気にも満ちていた。そして、マルスの呟きが何処までも反響するかのように静寂に満ち満ちていた。しかし…

 

「王子、塔の中には見知らぬ輩が待ち構えているようですぞ」

 

付き添いで共にこの世界にやってきたモロドフがそう忠告する。流石に多くの場数を乗り越えてきた老兵だけあって、その嗅覚は衰えていないのだろう。そして、それと前後するかのようにマルスと共にこの世界にやってきた精鋭たちが纏っていた雰囲気を一変させ戦闘態勢になる。

 

「…成る程、守り人の試練というわけか」

「はい。どうなさいますか?」

「立ち止まっている余裕はないよ。戦おう。まずは、塔内の制圧を目指すんだ」

 

マルスの命令に、精鋭たちが各々答える。その中には当然、黒騎士ガレスの姿もあったのだった。

 

 

 

 

 

「ハッ!」

 

目の前の敵兵を斬り捨てたガレスが、その感触にフルヘルムの下で不機嫌な表情になっていた。

 

(全く…)

 

敵の手ごたえにイライラが募っている。別にここの敵兵が弱いというわけでもない。強さ的にはガレスを満足させてくれているのだが、敵自体に不満があるのだ。まるで影や霞でも切っているかのように消え去っているのである。

 

「ここの連中は幽霊か?」

 

手ごたえの全くない感触に、ガレスは不満を隠せなかった。

 

「文句があるなら後ろに引っ込んでいろ」

 

ガレスの態度やその戦闘の様子から不満タラタラなのが見て取れたハーディンが牽制するかのようにガレスを睨み付ける。

 

「ハーディン公の言う通りだ。気に入らないなら下がれ」

 

いつの間にか視界に入ってきていたアストリアも同じようにガレスを睨み付けた。もうこの戦争も終わりを迎えようとしているのだが、最後の最後まで彼らとはこういった関係のままだった。

 

(面倒な連中だ)

 

辟易しながらも、ガレスから歩み寄るつもりは毛頭ない。そして事を荒立てて余計に面倒なことになったらもっと鬱陶しいので、ガレスはこれ幸いと押し付けることにした。

 

「そうか。だったら貴様らに任せる。俺は殿に回る」

「さっさと行け」

「邪魔だ」

 

邪険に扱われるガレスだったが、そのまま引っ込んだ。昔のガレスだったら、今頃ハーディンとアストリアの首と胴は離れていただろうが、そんなことになってないあたり随分とまともになっていたものである。

 

(やれやれ…)

 

辟易しながら前線から引っ込んだガレス。と、

 

「あの…」

 

それを見計らったかのように誰かが話しかけてきた。

 

(ん?)

 

声のした方向に振り返ると、そこには見慣れないシスターの姿があった。

 

(いや…)

 

見慣れはしないが見たことないわけではないその姿を記憶から呼び起こす。そして、思い出した。

 

「これはこれは…」

 

そして、わざとらしく恭しく応対する。

 

「マルス王子の姉のエリス王女ではありませんか。私めに何か御用ですかな?」

「え…あの…」

 

エリスもガレスに話しかけるにあたり、色々と脳内で会話のシミュレートをしたのだろう。だが、予想とは違った反応が返ってきて戸惑い、二の句が継げないようだった。その二人の間に入るように…いや、正確にはエリスをかばうように緑髪の魔道士が割って入る。

 

「マリク?」

 

割って入った、自分のよく知る幼馴染の顔を見上げるエリス。そしてそのマリクは、いつになく厳しい表情でガレスを睨んでいた。

 

「エリス様、少しお下がりください」

「え? でも…」

「お願いします」

「わ、わかりました」

 

あまり見たことのないマリクの表情とその強張った口調に、エリスが呑まれたように頷くと数歩下がる。そして、ガレスとマリクの対峙になった途端、

 

「ククククク…」

 

いつもの様子になってガレスが咽喉の奥で笑いだした。その一変した雰囲気にエリスが小さくだが身を震わせる。

 

「お姫様を護る騎士の登場か。お前の想い人か?」

「! 無礼な!」

 

あてずっぽうではあるが、実は結構いい線をついていたガレスの指摘に、マリクが厳しい表情になって睨んだ。内心ではエリスにとってもマリクにとっても嬉しく、そしてこそばゆいのだが、二人とも流石にそんな心境の変化は表情に出すことはなく、一見は先ほどまでと変わらずにガレスと対峙していた。

 

「…自分が置かれた立場を考えれば、貴方がこのように扱われるのは当然でしょう」

 

心境を落ち着かせるためだろうか、コホンと一つ咳ばらいをするとマリクは厳しい視線を更に厳しくする。置かれた立場というのが何なのか一瞬引っかかったエリスだが、先ほどガレスが醸し出した雰囲気を思い出しすぐに理解した。

 

「ましてエリス様はマルス様の姉君であり、アリティアの王女であらせられる御方。無駄な危険は排除せねばいけません」

「危険…?」

「ええ」

 

エリスの問いかけにマリクが頷いた。

 

「エリス様はまだ御存知ではありませんか? この人物の…ガレスのことを」

「テーベでマルスのところに向かうときに少し顔だけ合わせました。以降、お話をする機会もないので御挨拶だけでもと思って」

「それはありがたいな」

 

ガレスの返答に、マリクはムッとした表情になった。

 

「接点がないのはエリス様がこの軍に加入してからまだ時が経ってないこともありましょうが、恐らくはマルス様の指示もあるのでしょう」

「だろうな」

「この通り、本人も認めています」

「? どういうことです?」

 

今一つ概要が掴めないのだろう、エリスが首を傾げた。

 

「…ハッキリ申し上げればこの御仁、黒騎士ガレスは我が軍に力を貸してはくれていますが危険人物としてみなされているということです。故に、マルス様としても極力エリス様とガレスの接点を作りたくないのでしょう」

「危険人物?」

「はい。先ほどの一変した空気、エリス様も肌で感じられたはずです」

「それは…」

 

言葉を飲み込み、エリスが頷いた。マリクが言った通り、身が震えた恐怖を確かにガレスから感じ取ったからだ。

 

「クックックッ…」

 

それを察したのか、ガレスの楽しそうな笑い声にまたエリスが震えあがった。

 

「まあ、そういうことだ」

 

そして、そう続ける。

 

「怖いか? 俺が」

「い、いえ、そんなことは…」

「クク、無理をするな。人間であれば当然の感情だからな。自分の理解できないものに恐怖するのは。それに、お前が恐怖を感じていることは正しい」

「え?」

「その気になれば、貴様らをまとめてこの場で殺すことぐらい簡単にできるという意味だ」

「!」

 

エリスが固まり、マリクが戦闘態勢に入るかの如く構えた。

 

「ククク、心配するな」

 

だがガレスは一向に意に介した様子もなくそう答える。

 

「え?」

「『その気になれば』と言っただろう? 俺にその気はないから安心しろ。お前たち二人をここで殺したところで何がどうなる。死体が二つ増えるだけだ」

「…随分乱暴で尊大な物言いですね」

「クク、今更だ」

「……」

 

今更なのはそれはその通りだと思ったマリクだが、だからといってこんなことを堂々と言われて気分がいいわけもなく、相変わらずムッとしていた。エリスはマリクの後ろから顔をひょこっと覗かせて二人の様子を窺いながら、どうしたらいいかといった感じで戸惑っている。

 

「まあ、そういうことだ」

 

そして、そのエリスに気付いたガレスが不意にエリスに視線を向けた。

 

「えっ!?」

 

不意に話を振られ、エリスは普段の彼女らしくない驚いた様子と口調でガレスに答えた。あまりに驚いたため、マリクでも聞いたことのないような声色で、驚いてマリクが振り返ったほどである。

 

(何をそこまで驚いていることやら…)

 

エリスのパニクった感じの様子に内心で呆れながらも、ガレスはそれを億尾にも出さずに淡々と続ける。

 

「…御挨拶は丁重に頂戴しよう。だが、コイツが言っている通りお前が俺に近づくことを快く思わない連中が多いからな。これ以上は無用だ」

「え…でも…」

(ん?)

 

エリスの態度にガレスが少し引っかかるものを感じた。これだけ諭したのに、それでも何か言いたげなその態度が腑におちなかったからだ。

 

(まだ何かあるのか?)

 

そう思ったガレスだが、下手に藪をつついて蛇を出すのも面倒なのでそれに気付かないふりをして黙殺することにした。妙な緊張感を孕んだ独特の空気が三人を包む。と、塔の上部の方から歓声が上がってくるのが聞こえた。

 

「…終わったようだな」

 

振り返って見上げると、ガレスはゆっくりと歩き出した。

 

「あの、どこへ?」

 

その足をエリスが止める。

 

「ここに来た目的を忘れたわけではあるまい。奴らのところに行って目当てのものがあるか確認しに行く。なければ、探さないといけないからな」

 

そのまま、ガレスはマリクとエリスの許を去って行った。

 

「はああああああっ…」

 

ガレスの姿が見えなくなったのを確認したマリクが、大きく息を吐きながらその場にへたり込む。

 

「ま、マリク!」

 

エリスも慌てて屈みマリクと視線を合わせると、心配そうな表情になってマリクを気遣う。

 

「大丈夫?」

「エリス様…」

 

苦笑しながらマリクが微笑んだ。

 

「お恥ずかしいところを…」

「そんなことはいいの。それより、どうしたの?」

「どうしたもこうしたも…」

 

苦笑したまま何とかマリクが立ち上がり、それに追随するかのようにエリスも腰を浮かせた。

 

「彼と…ガレスと相対していればこうもなりますよ」

「そんなに?」

「ええ」

 

力なくマリクが頷く。

 

「マルス様たちのような歴戦の戦士ならともかく、私は一介の魔道士ですからね。戦えば間違いなく殺されるのは目に見えますから。…正直、逃げるのをこらえるので精一杯でした」

「でも、あの方が仰っていたように敵じゃないんだから、そんな心配は無用でしょう?」

「…どうですかね。それに、例えそうだとしてもあの威圧感やプレッシャーを真正面から受ければ消耗もしますよ」

「そうなの? でも、そんなそぶりは見せなかったじゃない」

「それは当たり前ですよ。なにせエリス様が後ろにおられるのですから、退くわけにはいかないじゃないですか。例え、この生命を懸けることになっても」

「え? それって…」

「あ…」

 

言葉の意味を察してしまったエリスと、思わず深いところまで言及してしまったことに気付いてしまったマリクが、お互い真っ赤になって俯いてしまった。どこからともなく甘酸っぱい空気が流れるものの、状況がそれを許してはくれない。

 

「と、とりあえず私たちもマルス様に合流しましょう」

「そ、そうね」

 

真っ赤になりながらもマリクが思わずエリスの手を握ってそのまま二人は歩き出した。テンパっているマリクは気付いていないが、手を握られてエスコートされる形になったエリスはなお一層顔を赤くするのだった。

 

 

 

 

 

「…女性?」

 

塔を制圧した解放軍が見たものは、玉座から続く隠し階段だった。恐る恐るもそこを進んでいった解放軍は、とある一角に辿り着く。そこは、少し開けた不思議な空間だった。そしてその中央に、恐らくガトーが言っていたであろう棺が安置されていた。近づいて調べようとしたマルスたちだったが、そうする前に不思議なことが起こった。まるで意思でもあるかのように棺がひとりでにゆっくりとその蓋を開いたのである。そして中から現れたのは、マルスが今呟いたように妙齢の女性の姿だった。

 

「…あなたが、ガトー様の言っていた?」

「…あなたは…誰?」

 

マルスの問いに答えるでもなく、棺から姿を現した謎の女性がゆっくりと呟いた。

 

「僕はマルス。アリティアの王子です。あの、君…あなたは?」

「わたし…? わたしは…ナギ」

 

ここでようやく、彼女…ナギが名前を名乗った。

 

「ナギ…ガトー様に言われて、あなたを探していました」

「ガトー…聞いたことがある。でも、思い出せない…」

 

額を抑え、少し苦悩するような表情をナギが見せる。

 

「もしや、記憶を?」

「…わからない。何も、思い出せない。…でも、わかることがある。わたしは、あなたに呼ばれて目を覚ました…」

「え!? 僕は何も」

 

マルスが戸惑う。実際に何もしていないのだから仕方のないことではあるが。だが、それを否定するかのようにナギが小さくゆっくりとだがしっかりと首を左右に振った。

 

「あなたの魂が…わたしに救いを…だから…目覚めた…。わたしの力を…必要としている…あなたの魂が…」

「あなたの…力?」

「わたしも…共に戦います。さあ…行きましょう…はるか昔…やり残したことを…成し遂げるために…」

 

こうして、神秘の雰囲気を纏った不思議な女性、ナギが解放軍の仲間になった。そして、ナギがそっと手を差し出す。

 

「手を…」

「え?」

「手を…取ってくれるかしら…」

「あ、え、ええ」

 

慌ててマルスがその手を取ろうとするが、

 

「ううん、違うの…」

 

ナギが再び首を左右に振った。

 

「え?」

「あなたではなくって…そちらの…」

 

ナギがマルスの背後に視線を向けた。マルスをはじめ、この塔の攻略に出陣していた者たちの視線が集まった先にいたのは…

 

「…俺か?」

 

いつの間にかここへやってきたガレスの姿だった。

 

「ええ…」

 

ニッコリと微笑み、嬉しそうに頷くナギ。それとは対照的に、どうするのかとハラハラ二人の顔を見比べている周囲の面々。そして、もう一方の当事者となったガレスは一呼吸置いた後、ゆっくりと前に進む。少し驚いた表情で道を開けたマルスの横を素通りすると、ガレスは徐に石畳に膝を着いた。

 

『!!!』

 

まさかそんな真似をするとは誰も露ほども思わなかった解放軍の面々が固まってしまった。が、ガレスはそんなことを気にすることもなく、寧ろそんな周囲の面々を小馬鹿にするかのようにその手を差し出す。

 

「どうぞ」

「ありがとう…」

 

ナギがガレスの手を取ると、ガレスがナギが棺から出てくる介助をした。が、永い眠りから覚めた影響なのか、足がもつれてしまう。

 

「あ…」

「おっと」

 

足のもつれから倒れてしまいそうになったナギをガレスがそのまま受け止めた。

 

(軽いな…)

 

正直な感想を抱きながら、ガレスはナギがちゃんと立っているのを確認した後に離れた。

 

「大丈夫か?」

「はい…ありがとう…。あなたは…?」

「お前を支えただけだ。何があるわけでもない」

「ううん…違うの…」

 

また、ナギが首をフルフルと左右に振った。

 

「ん?」

「名前を…知りたくて…」

「そうか。これは失礼したな」

「いいの…。それで…?」

「ガレス。黒騎士ガレスだ」

「ガレス…不思議…。あなたには…他の人にない何かを感じる…」

「そうか…」

 

直感で感じたことを素直に言っただけなのだろうが、それでもガレスの本質を見抜く辺りは流石に只者ではないとガレスは内心で舌を巻いていた。もっとも、周囲にとってもあの男はどうしてこう節目節目にこういった役回りが回ってくるのかと苦々しくも不思議な様子だったが。

 

「よろしく…お願いね…ガレス」

 

そんな周囲の思惑などわかろうはずもなく、ナギがニコリと微笑んだ。

 

「ああ…」

 

頷くガレス。この場にチキとマリアがいないことに心底感謝しながら、この異界の空間での旅路は終わったのだった。

残すは、最後の戦いのみ。

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