緋色の軌跡   作:断頭台

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act04

リィン達と別れた後、クリアは己の獲物であるブレードライフルを肩に担いでのんびりと歩いていた。時折現れる魔獣は肩に乗せたブレードライフルで屠り、先へと進んでいく。

 

「はぁ……メンドくせぇ」

 

クリアはそう言いながら次々に襲ってくる魔獣を己の獲物で切り伏せ、周りを囲まれれば銃弾を囲んでいる魔獣相手にばら撒き、それで体制を崩した魔獣から次々に屠っていく。襲ってくる魔獣の攻撃を紙一重で避け、ブレードライフルを持っている手とは逆の手で制服の中に隠していたナイフで魔獣の頭を切り落とす。そんな事が数十分かはたまた数分か分からないが続いたあと、そこには魔獣の死骸とクリアが一人立っていた。

 

当の本人である、クリアはというと、多数の魔獣を倒したにも関わらず息を切らすこと無く立っている。その様子はどこか物足りなさそうにしているようにも見えた。

 

「ま、所詮学院内の魔獣って訳だし雑魚でも、仕方ねぇか」

 

ぶつくさ言いながらもクリアは進んでいく。しばらく進んでみるとクリアが進んでいる方向から剣戟のような音が響いている。女子のチームだろうかと足早に進んで行こうとして、ある気配に気付き足を止め、この部屋を支えている柱の一つを睨んで

 

「バレバレだぞフィー」

 

「……やっぱり、クリア相手に気配を隠すのは難しい」

 

睨んでいた柱から出てきたのは先ほど広間ほどの広さがあった部屋でラウラの誘いを無視して先に進んでいったフィーが居た。

 

「…ま、前よりは精度は上がってたと思うぜ? まだまだだけどな」

 

「褒めるのか落ち込ませるのかどっちかにして欲しい」

 

「ま、精進しろってこったよ。……で、最奥(さき)見てきたんだろ? 」

 

「ん。そう遠くないところに上に続く階段があった。多分そこから上がれるけど…」

 

「何かありそうだったってか? 」

 

クリアがそう問うとフィーは静かにコクリと頷く。その答えはクリアも予想できていたので、驚きはなかった。寧ろ、『あの』サラのことだ。何もないと言うことは無いと踏んでいる。

 

「…あの人のことだから簡単には終わらせてくんねーんだろうな。…はぁ、メンドくせぇ」

 

「同感。サラもめんどくさい事をする」

 

 

クリアたちが奥の方へと到着すると、そこでは既に戦闘が繰り広げられていた。少し大型の魔獣をクリアたちを除く全メンバーで戦っているのだが、どうも有効打を与えられていない様子だ。

 

「俺らが一番最後かいな」

 

 

「だね。 左右から奇襲をかけるよ 遅れないでね」

 

「ハ、フィーこそ遅れんなよ? 」

 

リィンたちがひるませた魔獣に向かってクリアとフィーはそれぞれ左右に分かれて魔獣を挟むようにして接近していく。

 

そして、魔獣が体制を立て直そうとしたまさにその直後に、フィーが自分の獲物である小銃剣から導力弾を打ち出し動きを鈍らせ、そこにクリアがブレードライフルを魔獣に向かい振り下ろす。魔獣は醜い悲鳴を上げながらクリアが居た場所を尻尾でなぎ払うが、それを読んでいたかのようにクリアはバックステップでそれを回避して離脱したところをユーシスのアーツが魔獣を襲うが、あまり効いたようには見られない。

 

「げぇ、メンドくせぇ程タフだな 」

 

「ああ、さっきから何度も攻撃しているんだが、正直有効打を与えたれた気がしない」

 

「どうする、このままじゃ不味いぞ 」

 

「と言っても、どうもできないじゃないッ! 」

 

疲労が限界に来ているのか、既にチームワークと呼べるような連携は取れなくなっており、殆どが個々人の攻撃で何とか魔獣を怯ませる程度になってしまっている。会話ですら互いの意思疎通ができなくなっている状況だ、早々に何とかするべきだろうとクリアは考えてはいるのだが、何も思いつくことはない。

そんな中、

 

「一旦、落ち着こう。恐らく、あの魔獣は俺たちが、連携しないで倒すことは殆ど無理だろう。きっと、教官もその事を見越してあの魔獣を此処に置いているんだ。それなのに俺たちが争っていたら、倒せるものも倒せないと俺は思う。だから、此処はみんなでうまく連携をとって、あの魔獣を倒そう。俺たちはまだ始まってもいないんだ。始まってもいないのに終わるのは嫌だろう? 」

 

そんな、リィンのセリフを聞いいたメンバーたちは一瞬硬直したように黙った。そして、一番最初にクリアが大声を上げて笑い始めた。

 

「フクッ……ハハハハっ! リィ、おめ、どんだけ恥ずかしいこと言ってんだよ! クサいわ! 」

 

「なっ 」

 

「確かに。クリア程大爆笑するのもどうかと思うが、リィンのセリフも体外だな」

 

「聞いているこっちが恥ずかしくなってきちゃったよ」

 

と言われ、思い返してみると自分でも漸くどれだけ恥ずかしいことを言っていたのか理解し、顔を真っ赤にして黙り込む。が、戦闘中なので立ち止まる、なんて自ら的になるような愚かな真似だけはしないが。

 

「……だが、確かに私たちはまだ何も初めてはいないな」

 

「ええ、教官に一言文句言ってやらないと気がすまないわ。それに個人的にも聞きたいことがあるしねッ」

 

「私も気になることがあるので此処で諦めるわけにはいきませんね」

 

先程まで折れかかっていた心がリィンの言葉で再び力を得たようにメンバーの勢いが増してきた。それこそ、先ほど攻撃を加えていた時よりも、だ。

 

 

そして、唐突にクリアたちⅦ組のメンバーの体が青白い光に包まれる。それぞれが青白い光に包まれていることに驚きを隠せないでいるが、現在は戦闘中で一瞬の気の油断が致命的な隙になりかねないため、動きを止めることなく魔獣へと向かっていく。

 

「エリオット、マキアスッ! 」

 

「うん! 」

 

「任せたまえッ! 」

 

リィンを含むエリオット、マキアスが先行して魔獣に攻撃を仕掛ける。マキアスが武器であるショットガンを魔獣にめがけて撃ち込み、怯んだ好きにリィンが刀で切りつけ、続けざまに詠唱を終えたエリオットのアーツ《アクア・ブリード》が魔獣を捉える。

 

「■■■■■ーーーッ!! 」

 

連撃のダメージは流石に効いたようで、魔獣は悲鳴のような咆哮を放つ。

 

「くっ、なんて咆哮だッ」

 

「耳がっ 」

 

「ちと、五月蝿すぎんじゃねーのッ!? 」

 

直接的なダメージは皆無だが、あまりの大声にクリアたちは一瞬怯んでしまう。魔獣がその好機を逃すはずもなく、一番近くに居たリィン達にしっぽを叩きつけた。

 

「グッ!? 」

 

「ぐはっ!? 」

 

「うわぁぁっ!」

 

当然、咆哮で怯んでいたリィン達は防御をしようとするが、間に合うことなく魔獣の尻尾を叩きつけられ、後方へと飛ばされる。

 

「だ、大丈夫!? 」

 

「ち、治療します!! 」

 

「あ、ありがとう 」

 

「ぐ、すまない……」

 

「流石に、効いたな……ッ」

 

アリサとエマが治療に向かうと同時に止めを刺そうと魔獣がリィン達の方へと向かおうとしたところに、跳躍したフィーとクリアによる上からの一撃で魔獣はなすすべもなく地に伏し、リィン達への追撃は妨害される。

 

「ハッ、そう簡単にさせるとでも思ってんのかよ」

 

「舐められてるみたいで、気に食わないね」

 

「さて、このクソ魔獣。まだまだ勝負はこれからだぜ? 」

 

地に伏す魔獣にブレードライフルを向け不敵な笑みを浮かべてクリアはそう告げる。魔獣の方も、心なしか目つきを鋭くしてクリアを睨んでいるように感じられた。

 

 




またまた、二週間ぶりの投稿となってしまいました(-_-;)
しかも、終わり方が何とも後味が悪い、尾切トンボみたいになってしまいました。……うーん、やはり次第に質低下してきているような気がするなぁ……

文才が欲しいです。切実にw

まぁ、それはさて置き、未だにヒロインに悩んでいるこの状況……どうしようw 今はまだ大丈夫ですが、後々大丈夫じゃなくなってくるので、今のうちに考えておきたいのですが中々決まらない。

いつからこんな優柔不断になってしまったんでしょう。

と、まぁそんなどうでもいい愚痴は此処にはいないダドリー捜査官に拳骨で潰してもらうとして、出来ればヒロインの候補を上げて欲しいなぁーなんて…都合のいい事考えてますはいw←:(;゙゚'ω゚'):
オイ

もし、ヒロイン候補を上げてくれるのであれば、感想欄ではなく、メッセージを飛ばしてもらえると嬉しいです。前回注意されたんですよね反省反省。

ということなので、もし、協力していただける方がいらっしゃれば、メッセージを飛ばしてください。お願いします。

あ、ついでにですけど、自分のオリジナルキャラ使って欲しいなんて方がいたら是非その設定も飛ばしてもらったら嬉しいです。どこかで絶対使いますので。

長々となってしまいましたが、それではまた次回ノシ

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