スカーレット家長男の憂鬱   作:ユウキです

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ちょっと書き直します、あの展開好きだったのにという方はすみますん


28話

 

「ガフッ…あっ、ミスったなこれ…」

 

自分の胸の辺りに突き刺さる刀を呆然と見ることしかできない自分に情けなさを抱きつつ、自重するように言葉を選んだ。

 

あー、これはマジでやばいかもな…死にたくねぇとはいつも言ってるけど、まさかこんなところで死ぬとは思ってもなかった。と、意識を手放すアルク。

 

「あ、アルク…?」

 

震えた声で紫は名前を呼ぶ、どうしても目の前の光景を現実と認めたくないようだった。事実他の者たちも時が止まったかのように愕然とした目でただ見ることしかできていない。

 

そう、()()()()()()()()()()()()()()

 

「死ね」

 

爆発的な踏み込みと恐ろしい魔力を込めたその拳打は、レミリアが今まで放ったどんな攻撃よりも殺気を帯びていた。

そして、今まで放った「死ね」という言葉がおままごとに聞こえてくるほどにその言葉は憎悪に満ちていた。

 

「ぱギュ」

 

言葉を発させる暇すら与えずに夜刀は遥か後方へ吹き飛ばされていった。だが、その溜飲は収まる兆しを見せず、ただ増幅していくのみだった。固まっていた他の者達も、その衝撃によりようやく現実を受け入れ、アルクのもとへ走る。

 

「ありったけの妖力をアルクに回しなさい!!刀は抜かないで!出血のショックで即死しかねない!!」

「紫様、私は治癒の結界を張ります。ですので()()()()()()()()

「許可なんかいらないわよ!いいからやりなさい!!」

 

八雲紫の錯乱した声が木霊する。その横でまるで能面の様な顔をした、()()()()()()()()()八雲藍が正確無比な妖力操作で治癒結界を作っていた。

 

「あ…ダメ…アルク…しなないで…」

 

青白い顔になりながら戯言のようにアルクの手を握るフラン、まるで本当に何もできない幼い少女のようだった。

ただ、弟の死に怯えることしかできないそんなフランの様子に、古明地さとりが黙っているわけがなかった。フランの横っ面にさとりの張り手が飛ぶ。

 

「っ!?」

 

「死なないで、じゃないでしょうが!!今必死でアルクさんは戦ってるんです!!あなたが、いまかけるべき言葉は「がんばれ」以外になにがあるんだ!!」

 

「フランちゃん、厳しいようだけど私も同じ意見だよ。今ここで私達がアルクくんを応援しないでどうするのさ」

 

 

「…っ!!うんっ!アルク、頑張れっ!!」

「私達の妖力も全部あげますから、早く戻ってきてください!!」

「アルクくん!私の親友を泣かせたら地獄まで会いに行ってお説教だからね!!」

 

全員必死だった、心臓を大きく突き刺され、もはや蘇生作業と言っても過言ではない。

紫は脂汗を吹き出しながら能力を使い、必死でアルクの【死と生の境界】を曖昧にしている。そこに割り込むように治癒結界による回復でようやく魂を現世に繋ぎ止めているような状況だった。

 

「カハッ!!」

 

アルクが血を吐く、明らかに魂が死の方に寄ってきている。状況は悪くなる一方だった。そのとき、夜刀を痛めつけていたはずのレミリアがフラフラと戻ってきた。

 

「れ、レミリア姉様!あいつは!?」

「知らん、死なない程度に痛めつけて放置した」

 

「なっ、お姉様なんで殺さなかったの!?」

「そんなことはどうでもいい」

 

「どうでもいいって」

「いますぐ私の魂を生命エネルギーに変換してアルクに注ぎ込め」

 

あまりに急な話に、そこにいた全員の思考が一時停止する。

 

「は?」

 

「私は、私はアルクにまだ何もしてやれてない。だが、ここでアルクを生かすには、血が繋がっている姉である私の魂を捧げてアルクを蘇生するしか方法は無い」

 

「そっ、そんなの私にだってできる!!レミリア姉様よりよっぽど私の方が…」

「一番年長者の私がやるのが筋だろう。それに、お前も私にとって大切な妹なんだ。みすみすこの役割にさせると思うか?」

 

「そ、そんなのずるいっ!そんなこと言われたら…何も言えないじゃん…」

 

涙を流しながら、イヤイヤと首を横に振るフランにレミリアは薄く笑うと、フランの頭を撫でる。

 

「では、行ってきま」

「おい、バカ姉」

 

フーッ、フーッ…っと、明らかに異常な呼吸音を出しながら、しゃがれた声のまま、ありえない人物の声が聞こえる。その人物は血走った目でレミリアを睨みつけていた。

 

「「「「アルク(さん)(くん)!!」」」」

 

「あ、アル」

「なに、しようとしてた、いま」

「え」

「何を、しようとしてたかと聞いてるんだ…ぐ、カハッ!」

「あ、アルク!もう喋るな!死ぬぞ!」

 

能面のような顔をしていた藍が、流石のこの事態に焦りを隠せなくなってきていた。いきなり意識が回復したこともそうだが、もし、怪我が無かったら、レミリアに掴みかかっていただろうというほどの威圧感がアルクから出ていたからだ。

 

「何も嬉しくない、から、やめて。もし、次同じこと言ったら…」

「わかった、もう言わない、約束する。だからもう、喋るのをやめて…」

「あと、夜刀さんは殺さないで…僕が、俺が、決着をつけるから…」

「そ、それは…」

 

できるわけがない、そう言いかけたレミリアだった。世界で一番大切な弟が拉致され、さらにこんな殺されかけているのに。殺すな、なんてあまりにも酷な話だ、ならばこの渦巻いた殺意と敵意はどこにぶつければいい!!と、レミリアは言いたかった。

 

「我慢できたらなんでも一回いうこと聞いてあげるから…」

「わかった」

 

レミリアはチョロかった。

 

 

 

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