千年の祈り   作:ドラ麦茶

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幻視

 ある日の夕方。

 

 上粗戸から教会への帰り道、眞魚教の求導女・八尾比沙子は、子供たち数人が公園に集まっているのを見た。特に気に留めることもない光景で、普通ならば、「暗くなる前にお家に帰るのよ?」と声をかけるくらいなのだが。

 

「――ホントだよ! ホントに、秀幸君や、真奈美ちゃんが見ているものが、見えるの!!」

 

 そんな声を聴いて、比沙子は足を止めた。

 

 公園にいたのは、羽生蛇村幼稚園に通っている子供たちだ。六人の男児女児が輪になり、一人の女児を囲んでいる。その、輪の中にいる女児――さきほど、他の子供が見ているものが見えると言ったのは、この近所に住む四方田家の一人娘・春海ちゃんだ。小さなてのひらをぎゅっと握りしめ、泣きそうな顔でうったえている。しかし、他の子供たちは春海の言うことを信じていないようだ。

 

「ウソだ。そんなもん、見えるはずない!」春海の家の隣に住む、ひとつ年上の秀幸君が言う。

 

「そうよ」と、秀幸君の妹の真奈美ちゃんが同意した。「春海ちゃん、ウソつく子は、『特別な病院』に閉じ込められるんだよ? お母さんが言ってたもん」

 

「春海、ウソなんてついてないもん! ホントにホントに、見えるんだもん!!」

 

「じゃあ、何が見えたのか言ってみろよ!」春海を挑発するように言う秀幸君。嘘をついているんだから何も言えないだろう、と、高をくくっているようだ。

 

 しかし、春海は、「いいよ?」と、得意げに頷き、続けた。「秀幸君は、昨日、台所の棚の奥にあったクッキー、お母さんに内緒で、一個食べたでしょう?」

 

 そう言われ、秀幸君は「……え?」と、表情をこわばらせた。しかしすぐに、「ウソだ! クッキーなんて食べてない!!」と、否定する。もっとも、その慌てぶりから察するに、春海の言うことはウソではないようだ。

 

 春海は、今度は真奈美ちゃんを見た。「真奈美ちゃんは、その日の朝、おねしょをしちゃってお母さんに怒られてた!」

 

「ち……ちがうもん! 春海ちゃんウソつかないで!! 真奈美はもう年長さんだから、おねしょなんてしないもん! あの日は、寝る前にジュースを飲んじゃって、それに、お兄ちゃんが怖い話をするから、夜にトイレに行けなかっただけだもん!」

 

 つまり、これも本当のことのようだ。

 

 その後も春海は、他の子供たちの行動も言い当てていく。「おじいちゃんが大切にしていた庭の木の枝を折った」とか、「友達に借りた絵本にジュースをこぼした」とか、子供ならば誰でも経験がありそうなことばかりだが、言われた子たちはみんな青ざめ、そして、「ウソだ!」と、むきになって否定する。どうやら、春海の言っていることはすべて当たっているらしい。

 

 春海がこっそりみんなのことを物理的な方法で覗き見していた可能性も無いわけではない。だが、それよりも春海が言う「他の人が見ているものが見える」と考える方が現実的だ。常識的に考えれば荒唐無稽な話だが、この村では起こりうることだった。

 

 幻視――。

 

 村に古くから伝わる、他人の視界を覗き見る特殊能力だ。本来は屍人が使う能力だが、異界で赤い水を摂取すれば、生きている人間にも使うことができる。

 

 もっとも、異界で赤い水を摂取した人間は、基本的に現世に戻ることはできない。幻視は屍人化の兆候であり、屍人は、異界に留まり常世へ旅立つ準備をしなければいけない存在なのだ。

 

 だが村では、幻視の能力を持って生まれる子供も少なくない。それらは本来の幻視のように鮮明なものではなく、自分の意思によって行えるものでもないため、ほとんどの場合現実だとは思わず、夢を見たと思うはずだ。そして、大抵は物心がつく前に能力は消え、普通に暮らすことができる。

 

 しかしまれに、大きくなってもこの能力が消えない場合もある。もしかしたら春海は、そんな特殊な例なのかもしれない。

 

「ウソだウソだウソだ! 春海ちゃんはウソツキだ!!」

 

 秘密をばらされて恥ずかしいのだろう。秀幸君と真奈美ちゃんは必死で否定し、春海をウソツキ呼ばわりする。他のみんなも秀幸君にならい「ウーソツキ! ウーソツキ!」と、手を叩きながら煽る。

 

「春海はウソなんてついてない! ついてないもん!!」

 

 春海も、必死になって否定する。

 

「うるさい! ウソツキはこうだ!!」

 

 秀幸君は、両手で春海を突き飛ばした。尻餅をついて転ぶ春海。秀幸君は、更に拳を握って振り上げた。

 

「コラ! 秀幸君! なにしてるの!!」

 

 比沙子は、大きな声で言って、公園に入った。

 

「あ! きゅうどうめさま!」

 

 秀幸君は振り上げた拳をどうしようか迷った挙句、背中に隠した。

 

 比沙子はみんなを見回して、「春海ちゃんをいじめちゃダメでしょ」と、強い口調で言った。

 

「いじめてないもん。ただ、春海ちゃんがウソをつくから……」と、真奈美ちゃん。

 

「春海はウソなんてついてない!!」春海はあくまでも譲らない。

 

「何を!」秀幸君が、また拳を振り上げる。

 

「やめなさい!」

 

 比沙子は、普段は絶対に出さないような大きな声で一喝した。効果はテキメンで、子供たちは驚き、その場に立ち尽くした。

 

 比沙子は、大きく息をついた後、秀幸君を見た。「秀幸君? 春海ちゃんは、本当に、ウソをついているの? ウソツキは、『特別な病院』に閉じ込められるんでしょ? だったら、その病院に入れられるのは、春海ちゃんと秀幸君、どっちかしら?」

 

「そ……それは……」秀幸君は力なくうなだれた。

 

 比沙子は春海を見た。「春海ちゃんも、ウソはついてなくても、お友達が嫌がることを言っちゃ、ダメでしょ?」

 

 春海はしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。

 

 比沙子は満足げに頷き、そして、にっこりと笑った。「じゃあ、みんなでごめんなさいをして、仲直りしましょう」

 

 春海と秀幸君は少しためらっていたものの、やがて、「ごめんなさい」と、謝り合った。真奈美ちゃんのおねしょには触れないでおいた。

 

「じゃあ、もうすぐ暗くなるから、今日はもう帰りなさい」

 

 そう言うと、子供たちは「はーい」と手を上げて、走って公園から出て行った。

 

「あ、春海ちゃん?」

 

 比沙子は春海を呼び止めた。

 

 呼ばれた春海は、ビクンと身体を震わせ、恐る恐るという感じで振り向いた。

 

「家まで送るわ。一緒に帰りましょう」

 

 優しい口調で言ったが、春海は身体を強張らせたまま、わずかに首を横に振った。「大丈夫。一人で帰れ、ます」

 

「そう? でも、春海ちゃんのお話、聞きたいし。ね?」

 

 春海は、どう答えたらいいのか迷っているような顔だ。どうも、比沙子のことを怖がっているようである。それは、さっき怒られたから、という訳でもなさそうだ。春海の怖がり方は、怖い大人を前にしたようなものではなく、例えるならば、子供を『特別な病院』に閉じ込めようとしている大人を前にしたような怖がり方だ。怯えている、と言ってもいいかもしれない。

 

 春海の両親は、多くの村人たちと同じく眞魚教の信者である。春海が生まれた時には洗礼を行ったし、毎週教会にも足を運んでくれている。知らない間柄という訳ではない。だが春海は、物心ついた頃から、比沙子のことを怖がるようになっていた。村で比沙子は、基本的には優しい求導女で通っており、子供たちから怖がられるようなことは無いはずだ。もしかしたら春海は、比沙子の心の奥底に潜む闇の部分に気が付いているのかもしれない。

 

 とはいえ、今の比沙子はあくまでも優しい求導女の比沙子だ。春海は、しぶしぶという感じではあるが、頷いた。

 

「じゃあ、帰りましょう」

 

 比沙子は、春海の手を取った。

 

 

 

 

 

 

「――他の人が見ているものが見えるのって、ウソじゃないんだよね?」

 

 帰り道、比沙子は改めて訊いてみた。春海は、コクンと頷いた。

 

「どういう時に見えるの?」

 

 春海は、少し迷った後に、「わかんない」と言った。「眠っている時に見えることもあるし、起きていて、目を閉じたら見えることもあるの。でも、ぜったいに見えるってワケじゃなくて、ほとんどは、見えないの」

 

 つまり、自分ではコントロールできないのだろう。

 

「そっか……じゃあ、ちょっと、試させてくれる?」比沙子は立ち止まった。

 

「え?」春海は不思議そうな顔で比沙子を見上げる。

 

「目を閉じてみて」

 

 そう言うと、春海は素直に目を閉じた。

 

「そのまま、あたしの方に意識を飛ばしてみて」

 

「いしきを……とばす……?」

 

「うーんと、そうね……あたしが『いる』と思う方向を、頭の中に思い浮かべてみて」

 

「……はい」

 

 春海は、言われた通り意識を比沙子の方に向けているようだ。

 

「何が見える?」しばらくして、比沙子は訊いた。

 

「……真奈美ちゃんと、手を繋いで歩いてる」

 

 比沙子は目を閉じ、素早く周囲に意識を飛ばした。千年以上もの長い間、数えきれないほど異界と現世を行き来している比沙子は、赤い水の影響を受けない現世においても、幻視の能力を使うことができた。

 

 周囲にいくつかの気配を見つけた。春海の言う「真奈美ちゃんと手を繋いで歩いている」のは秀幸君だろう。春海の背後、ここからかなり離れた場所に、その視点を見つけた。春海から見て、比沙子のいる方向とは真逆だ。

 

「あ……」と、春海が声を上げた。「今度は、部屋でテレビを見ています」

 

 比沙子は素早くその視点を探す。今度は、春海から見て右手側だ。少し離れたところに小さな家がある。恐らくそこの住人だろう。

 

 その後も春海は、目を閉じて意識を集中しようとしているが、なかなか比沙子の視点を捉えることができない。どうやら春海は、幻視の能力を持ってはいるものの、うまく使いこなすことはできないようだ。

 

「ありがとう。もういいわよ、春海ちゃん」比沙子は優しく言った。

 

 春海は目を開けた。「……きゅうどめさま。あたし、ウソはついていないです」

 

「もちろんよ。春海ちゃんはウソなんてつかない。それは、判っているわ。でもね、このことは、他の人には言わない方がいいわね」

 

「……なんで?」

 

「これはね『幻視』って言って、すごく、特別な力なの。他の人には使うことができないから、みんな、怖がっちゃうわ。それにね。誰にだって、他の人に見られたくないことや、知られたくないことがあるの。春海ちゃんだって、そうでしょ?」

 

「……はい」

 

 素直に頷く春海。いい子だ。この村に生まれなければ、幻視なんて呪われた能力が備わることもなく、普通の子供らしく、たくさんの友達ができたはずだ。

 

 比沙子は春海の頭をなで、そして、その日は家まで送ってあげた。

 

 

 

 

 

 

 それから比沙子は、折につけ春海のことを気にかけるようにしていた。だが、その日以降、公園や広場などで春海の姿を見かけることはほとんどなくなった。毎週欠かさず来ていた教会での礼拝式にも姿を見せない。両親をはじめ、秀幸君や真奈美ちゃん、他の友達などに話を聞くと、春海は幼稚園が終わった後や休日などでもずっと家に引きこもったままで、外に出て他の子供たちと遊ぶことが無くなったという。

 

 あまりよくない傾向だ、と、比沙子は思った。春海のように幻視の能力を持った者が村に現れることは少なくないが、その多くは、痛ましい結末を迎えている。

 

 幻視の能力を持って生まれた者は、自分の意思で操ることができない場合がほとんどだ。だから、不意に他人の視点が現れる。春海のような子供ならば、幻視のことを周囲の人に話してしまうこともあるが、ある程度分別のつく年齢の者の場合、黙っていることがほとんどだ。誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまう。そのうち能力が消えればよいのだが、消えない場合、ずっと他人の視点を見続けることになる。ずっと、誰かの生活を覗き見している気分になる。やがてそれは、自分も誰かに見られている、という疑心暗鬼に変わるのだ。そして、自分で自分の心を追い詰め、精神を病む。行きつく先は宮田医院の地下牢への隔離だ。比沙子はこれまで、そんな哀れな村人たちを、何人も見てきた。このままでは、春海もそうなってしまうかもしれない。なんとかしなければ。誰か、幻視のことを気軽に相談できる相手がいればいいのだが。あたしではダメだ。春海は、あたしのことを怖がっている。どんなに上辺を取り繕おうとも、あの子は、あたしの正体を見ぬいている。決して、あたしを信用しないだろう。では、他に適任がいるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

 比沙子は、春海と一緒に、村の西端にある西ヶ原に来ていた。幼稚園が終わり、帰宅したところを、比沙子が誘ったのだ。

 

「……あの、きゅうどうめさま」不安げな表情で、春海が言う。「あたし、お父さんお母さんから、西ヶ原の方で遊んじゃいけませんって、言われてます」

 

「そう? 大丈夫よ。ちゃんと、許可はもらってるから」

 

「…………」

 

「あ、でも、他の子には内緒にしておいてね。二人だけの秘密だよ?」

 

「……なんで、ですか?」

 

「春海ちゃんに新しいお友達を紹介してあげようと思うの。その()もね、幻視の能力が使えるのよ」

 

「――え?」

 

「だから、きっと、春海ちゃんと仲良くなれると思う。でもね、その娘のことは、幻視の能力以上に、他の人に話しちゃいけないの。もし、話しちゃったら……」

 

「……話しちゃったら?」

 

「うふふ。別にどうもならいから、安心して。でも、やっぱりその娘のことは、秘密にしておいてね」

 

「……判りました」

 

 どうにも不信感をぬぐえない様子の春海だが、帰る、とは言わず、素直について来る。

 

「その娘はね――」と、比沙子は話を続けた。「ちょっと理由があって、生まれてからずっと、家の中にいるの。外に出ちゃ、いけないのよ」

 

「えっと……病気とか、ですか?」

 

「まあ、そんなところね。だから、お友達がいないの。春海ちゃんがお友達になってあげれば、きっと、喜ぶと思うな」

 

 やがて、道の先に大きな屋敷が見えてきた。この村で最も大きな屋敷、最も大きな力を持つ家・神代家だ。正面の門は固く閉ざされている。その前を通り過ぎ、比沙子は屋敷の裏に回った。しばらく歩いたところで。

 

「この辺でいいかな。春海ちゃん。ちょっと、待っててね」

 

 比沙子は目を閉じ、意識を屋敷の中へ送った。すぐに、目的の視点を見つけた。

 

「……美耶子様、聞こえますか? 美耶子様?」

 

 比沙子は、視点の主に呼びかけた。幻視の能力は、相手の視覚だけでなく、聴覚も共有することができる。もちろん、こちらが相手を幻視しているだけでは、こちらの声は相手には聞こえない。だが、恐らく相手は、すでにこちらを幻視しているはずだ。

 

 つまり、能力を持つ者同士がお互いを幻視し合えば、携帯電話のように話すことができるのだ。

 

《比沙子……? やっぱり、比沙子だ。もう! ずっと来てくれないから、あたしのこと忘れちゃったのかと思ったよ!》

 

 視点の主が返事をした。春海よりも少し年上の少女の声。神代家の次女・美耶子だ。神の花嫁となることを宿命づけられ、生まれてからずっと、神代家の奥にある座敷牢に囚われている。その存在は極秘とされ、知っているのは神代家の一部の者と、求導師や宮田医院の院長など、村の有力者のみだ。比沙子も求導女という立場上知ってはいるものの、簡単に会うことはできない。ただ、お互い幻視ができるため、こうやって屋敷の内外から話すことはできた。

 

「ごめんなさい、あまり来られなくて」比沙子は笑顔で言った。「お詫びという訳じゃないけど、今日は、美耶子様に紹介したい子がいるの」

 

《その、隣にいる子?》

 

「ええ、そうです」

 

 比沙子は幻視をやめ、春海を見た。「春海ちゃん。この前やったみたいに、目を閉じて、意識を、この壁の向こうに飛ばしてみて?」

 

 言われた通り、春海は目を閉じた。幻視能力を上手く使えない春海だが、幸い、この神代家に近づく者は滅多にいない。美耶子のいる座敷牢には、家族さえあまり近寄らない。いるのは、美耶子と、その飼犬だけだ。だから、春海でも容易に幻視することができるだろう。

 

「……あ」

 

 目を閉じたまま声を出す春海。どうやら、うまく美耶子を幻視で来たようである。

 

「春海ちゃん、ご挨拶して」

 

 比沙子が言うと、春海は、目を閉じたまま、「こんにちは」と言った。

 

「美耶子様? この子が、紹介したい子です」比沙子は、美耶子に向かって言った。「幻視の能力が使えるようなんです」

 

《え? そうなんだ!? すごい!!》

 

「ええ。良かったら、お友達になってあげてください」

 

《うん、もちろんだよ! えっと……あなた、名前は?》

 

 春海は、少しもじもじした後、「四方田……春海です」と、答えた。

 

《春海ちゃんか。あたし、美耶子。ずっと一人でいるから、寂しかったんだ! よろしくね、春海ちゃん!》

 

「あ……はい……よろしくお願いします」

 

 頬を赤らめる春海。ずっと悲しげだった春海の顔に、ひさしぶりに笑顔が戻った。

 

 

 

     ☆

 

 

 

 ――それにしても。

 

 比沙子の心の奥底で、彼女とは別の存在は、思う。

 

 なぜ、春海は、そして美耶子は、幻視を行えるのだろう?

 

 村人が幻視の能力を持つことは、決して珍しくはない。しかし、それらは非常に弱い力だ。自分の意思で操ることはできず、鮮明な映像でもない。

 

 それなのに。

 

 春海は、幻視をうまく操ることこそできないが、かなり鮮明な映像で見えているようである。美耶子に至っては、完全に幻視の能力を操っているのだ。

 

 ここまで強い幻視能力を持った子供が、同時期に二人も生まれたことなど、今までなかったことだ。比沙子が生きてきた一三〇〇年の間、一度も。

 

 美耶子を神に捧げた時、いったい、何が起こるだろう?

 

 判らない。判らないが、一三〇〇年の間起こらなかったことが起こる――そんな予感がしていた。

 

 ただ、はたしてそれが、良い結果となるのか、悪い結果となるのか、比沙子にも、彼女の内に潜む別の存在にも、誰にも判らない。

 

 美耶子は、今年十歳になる。

 

 神の花嫁になる日は、そう遠くない。

 

 

 

 

 

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