「しかしすごい話だったよな。今でも信じられない自分がいるぜ。」
「上鳴くん!黒精くんの言ってたことが信じられないと言うのかね!!」
「いや、そーいうわけじゃねえけどさ…」
霊也が相澤先生に会いに行くために教室を出て行った後他の生徒達は先程の霊也の話を思い出していた。
「でもあんな顔されちゃ信頼を裏切るわけにもいかないよな。」
「そうですわね…とても眩しい笑顔でした」
「ちくしょーー!ただでさえイケメンのくせにあんな顔しやがって!!ずるすぎだろ!」
全員の頭に思い出されるのは先程お礼を言われた時に彼が見せた笑顔、それは思わず見惚れてしまうほど輝いていた。それと同時に自分達に向けられている信頼を思いしることとなったのだがここにいる全員それを不快とは思っていない。
「しっかし精霊から力を借りてるとはいえあのパワーはずっけーよな!」
「そんな単純なことじゃないと思うけど…」
思わずそんな言葉が出てしまう上鳴に緑谷が曖昧にだが反対の意を唱える。
「……緑谷の言う通りだ」
「どういうことですの?轟さん?」
それに同意をしたのは今まで会話に参加せずにいた焦凍だ。急に喋りだしたことに驚きはしたがそれも一瞬、皆は焦凍の言葉の方が気になりすぐに疑問を口にする。
「霊也の個性は精霊を見ることが出来る。それは決して力を貸してもらえるってことじゃねえ。」
「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」
「お、おいそれって結局何がどう違うんだ?」
焦凍の言葉に何人かは気づいたような表情を見せるがまだ分かってない人もいるらしい
「前に俺が初めて霊也の個性の話を聞いた時だが一通り聞いた俺は気になったことがあったからそのことをあいつに聞いた…」
「なんて聞いたんだ?」
「勿体ぶってねーで教えろよ!」
「??勿体ぶってるつもりはないが、俺はその時…
「え?この力を俺以外の人間が使えるようになれるかって?今の話だけですぐそれを思いつくとかやっぱお前頭いいな」
場所は山の中にある彼の家だった、彼の個性の話を聞き焦凍は自身の疑問を口にした。
彼の力はつまるところ彼の個性ではない、個性を使って全く別のところからエネルギーをもらい力にしている。それはつまりエネルギーを他人に与えることも可能ではないのか…
「別に普通だろ、それよりどうなんだ?」
「いーですよーどーせ俺はバカですから..」
「?お前がバカだなんて言ってないが?」
「お前…その天然早めに治さないといつか痛い目にあうぞ?」
「??」
「はぁ、まあいいかそれも焦凍の良いとこだしな。…質問の答えだけど一言で言えば出来ないことではない。難しいとは思うけどね」
「やっぱりか…じゃあそれを使えば他人の身体能力を上げることができるんだな」
「でも、それは無理なんだよ…」
「なんでだ?できるんだろ?」
「はじめに言ったけどこれは俺の力じゃないんだ。力を渡す渡さないを決めるのは俺じゃない、精霊たちなんだよ。そこを誤解しちゃいけない。それに精霊は基本的に人間には干渉しない、してはいけないって決まりなんだ。」
彼のそんな言葉に少なからず納得する焦凍だがすぐにその話の矛盾点に気づく。
「それだとまずお前も力を貸してもらえないことになるんだが、現にお前は力をかしてもらってるそうだろ?」
焦凍のその疑問は最もである。本来干渉してはいけない決まりなのなら目の前にいる彼が力を使えるのはおかしなことである。
「それなんだけどね…その、なんというか..」
「??」
何処か歯切れの悪い感じの友人に首をかしげる焦凍。そこまで戸惑うことではないように思えるのだが…
「心当たりが無いんだよ、力をかしてもらえる心当たりが…」
「!!」
しかしそれは次の彼の言葉により一蹴されてしまう。心当たりがない彼は今そう言ったのだ。
「どうゆうことだ?」
「俺から言えるのはある日突然力を貸してやるって言われたってことしか言えないかな」
「精霊達には聞かなかったのか?」
「一応聞いてみたよ、何で力を貸してくれるのって...そしたら何か俺のことを認めたとかどうとか手を貸したくなったとか言ってたけど結局力をかしてくれる要因は教えてもらえなかったよ」
「そうか…」
「でもまあそれでもいいかな思ったんだ…」
「?」
「あいつらはさ、他の人には見えないけど俺にとっては大事な友達なんだよ、だからあいつらがそう言ってきてくれた時はさなんていうか嬉しかったんだよな、それと同時にその力を絶対物にしてやるって決めたんだ。まあまだ全然だけどね」
「そうか……」
そう話す彼の何処か嬉しそうな表情を見ながら焦凍は自分が彼に救われた時を思い出す。
最初に抱いた印象は"変なやつ"だった。
人の頼みは二つ返事で受けるし、困ってるやつがいたら自分のことを後回しにしてまで助けにいく。そんなやつだった……
彼と関わってくなかでその行動にどれだけ困らされたことか数えたくもない...しかしそんな彼に自分は救われた。父親に対する強い恨みにより自分を見失ってた俺を彼は無理矢理にでも気づかせてくれた。
今ではずっと会いに行けなかった母親との関係も少しずつだが改善していってる。そんな彼に精霊が力を貸す理由が何となくだが分かってしまう。 結局その話をそれ以上深くは聞かなかった。彼と精霊との間に何があったのかは今も知らないままだ。ただ彼は認められ力を渡されているそのことが何故かとても俺は羨ましく思えてしまった。
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「…つまり精霊は黒精さんのことを認めたからこそ力を貸したそういうことですの?」
「ああ、何があったかは知らないが干渉しないっていう決まりを破るほどのものを霊也は精霊達に見せたってことだ。」
「「「「「「・・・・」」」」」」
焦凍の言葉に黙ってしまうクラスメイト達
彼はそのことに気づいてないのか何も言わずに元の席に戻っていく。
「何かすげーな黒精のやつ……」
「うん!なんかこうかっこいいよね!」
「ずっけーとか言ってたのが途端に恥ずかしくなってきやがった...」
「…精霊を見ることが出来る個性…異形型かな…いや発動型の可能性も…それに力はどのくらいもらえるんだろう……力はすぐに溜められるのかな?もし溜められないとすると戦闘中に切れたら逆にピンチに……」
「うお!どーした緑谷!」
「あははデクくんまたやってるよ」
ブツブツと念仏を唱えるような緑谷に周りが驚愕をしめす。
これまでの話を聞いて、彼らが黒精 霊也という人間をどう意識したかは分からない。ただこれから同じヒーローを目指す者として負けられないと思ったのは当然であろう。
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「悪い!遅くなった!…他のみんなは帰ったみたいだな..」
1人を除き誰もいなくなった教室に、職員室に行っていた彼が戻ってくる。
「ああ、それにしても随分遅かったな」
1人教室に残り彼を待っていた焦凍だが職員室からの帰りがやけに遅かった訳を聞く。」
「い、いやーまあいろいろありまして...」
「大方先生からの頼みを受けたんだろいつものことだ」
「な、なんでわかったんだよ…」
そう言って驚く彼を見て無意識に微かにだが柔らかな笑みを浮かべる焦凍。
「なんだよニヤニヤして何かあったのか?」
「?笑ってたか?俺」
「自覚なしか…まあいいや帰ろうぜ!待たせたお詫びに帰りになんか奢るよ」
「蕎麦がいい」
「お前ほんっと蕎麦好きだよな!」
そう言いながら荷物を取り教室を後にする
誰もいない教室を夕日が照らすなか微かにだが机が揺れる。
「全く、すっかり仲良くなっちゃって少し嫉妬しそうだわ…」
夕陽が彼女の銀髪を照らすなか彼女のそんな呟きは誰にも届くことなく消えていった。
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(まさか、あのような個性を持っているとは予想外だった…)
霊也と焦凍が教室を出て行った頃、職員室では1人の男が柄にもなく焦りに焦っていた。
「どうかしたんですか、オールマイト?」
「!?な、なにかな相澤くん」
「いや、何はこっちのセリフです。
珍しいですね、考え事ですか?」
「HAHA!私だってたまには考え込むこともあるさ!」(特に最近はね…)
相澤先生が声をかけたのは先程初めての授業をしてきたオールマイトである。ヒーローとしては超一流の彼でも教師としては新米。
慣れない教師生活が始まり悩みがあるのも頷ける。しかし、彼が現在直面していた問題は教師の仕事のことではなく自身の個性のことであった。
時刻は少し前に遡る。
(やっぱり、教師って難しい…)
自身が初めてとなる授業をカンペを見ながらではあるものの何とか終えた彼だったが、改めて教師という仕事の大変さを実感していた
先程、今日の授業中に落ち込んでいたと思われた爆豪のとこに向かい励まそうとしたのだが無駄足に終わり現在は職員室までの廊下を歩いている。
(緑谷少年は当然として、教師として他の子達も立派なヒーローになれるように頑張って教えないとな)
そんな決意を密かに胸に抱きながら、廊下の角を曲がるとちょうど職員室の扉から1人の生徒が出てくるのが見えた。それは偶然にも先程まで授業をしていた生徒の1人であった。
「あっ!お疲れさまですオールマイト偶然ですね!」
「ああ!黒精少年も授業お疲れさま!それにしてもこんな時間に職員室にだなんてどうしたんだい?」
「あ、あははは…実は今朝遅刻しちゃいまいてそれの罰掃除が終わったんで相澤先生に報告をしてきたとこなんです。」
こちらに気づき駆け寄ってきた彼はどこかばつが悪そうな顔でそんなことを言いながら頬をかいている。
「HAHAHA!2日目から遅刻とは問題児だな君は!だが相澤くんが罰掃除だけで許すとは意外だな」
「それに関してはほんとにギリギリの遅刻でしたし1回目だから大目に見てやるってさっき言われました。次は覚悟しとけも…」
そう言いながら目に見えて落ち込んでいる彼を見て相澤くんに相当絞られたことを理解する。
「ま、まあ除籍にならないだけ良かったじゃないか!次から気をつければ大丈夫さ!!」
「そ、そうですよね!頑張ります!」
そう言葉をかけ励ますとこれまた分かりやすいように元気になる彼を見て少し可笑しな気持ちになる。
「さて!私はそろそろ行くよ!黒精少年も気をつけて帰るんだぜ!!」(そろそろ活動限界が近いからね…)
そう言いながら去ろうとするオールマイトだったが次の瞬間に呼び止められる。
「あ!待ってください!!オールマイト!」
オールマイトは後ろを振り向きながら自分を呼び止めた彼を見る。すると彼は先程までの明るい感じではなくどこか真剣な表情で自分のことを見つめていた。
「どうかしたのかい?黒精少年?」
そう問いかけるオールマイトに彼は少し戸惑いながらも覚悟を決めたようにオールマイトに言葉を発した。それはオールマイトにとってあまりにも予想外の言葉であった。
「オールマイト、敵がいない時までも無理をするのはやめてください。」
そこにあったのは自分を見つめるどこまでも真っ直ぐな瞳だった。
主人公の個性についての補足
霊也の個性は精霊を見ることのできる個性です。ここでの精霊は前話にある通り丸っこいフワフワした感じのものであり話したりすることはできません。イメージとしてはケサランパサランみたいな笑
ですが例外は存在しイヴのように話せる精霊もおり霊也は普通に会話することができます。しかし、人間から精霊に干渉することは出来ません。精霊から人間に干渉することは出来ますが基本的には禁止されています。とまあ色々独自の設定が多い個性ですので何か質問などがあればどんどん受け付けます。
それでは皆さんまた次回!感想、評価よろしくお願いします!!