innocent時空のユーノくん短編集(CP雑多)   作:形右

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 今回のお相手はティアナ。
 しかし、今回はどちらかというと前のシュテルと同じように、ヒロイン側の視点多めです。
 ツンデレガンナー可愛いよ。マジ可愛い。
 ただ、今回は今後へ繋げるための接ぎの回ですね。
 ホントはもっとデレデレの甘々にしてもよかったんですけど、ちょっとINNOCENTのティアの惚れっぽいトコをネタにしてみました。
 ポンコツっぽいのを後追いで書きたくて。
 ……関連でヴァイスさんとかも出したいなぁとか思ってたり(笑)

 あと、何となくこれ書いてて「しゅごキャラ」の亜夢ちゃん思い出しましたね。
 素直じゃなくて、ちょっと恋多き乙女だったりするとことか、結構似てるような気がして。
 なので、今回の短編はちょっと普段に比べるとパワー不足感はありますが、今後の関連含めで楽しんで頂けたらと思います。

 それと、今回からPixivの方と投稿が完全に並んだので、此方でもアンケート取ってみようかなと思います。
 活動報告の方で取ってるので、よろしければお気軽にどうぞ。
 https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=191921&uid=140738
 〆切は大体一週間かそこらを予定しています。長編の方と一緒に投稿しているので、そちらの進行具合とも兼ね合いで変わりますので、その辺りはご了承ください。

 それでは、本編の方をどうぞ――――


憂う茜色の空模様

 命短し恋せよ乙女 A_fickle_of_the_love.

 

 

 

 海鳴市にある、某図書館の一角にて。

 少女、ティアナ・ランスターは沈むようにして唸っていた。

 もちろん喚くようなほどではないのだが、静かにすべき場所ではあまりよろしくない。

 普段ならば、こんなところで声を上げるような質ではないのだが、それでもこう唸ってしまうのには理由があった。

 

 ――――事は、数日前に遡る。

 

 元々は比較的一人でいる事の多い彼女だったが、クラスでも人気のあるスバルを始め、BDなどを通して色々な人と知り合って少し丸くなった。そのおかげというべきか、最近では普通にクラスで友人の輪に混じることが多い。

 これは、そんな矢先の出来事である。

 

『ねぇねぇ! ランスターさんは、好きな人とかいる?』

 

 ……ベタだ。非常にベタな展開だった。

 クラス内で段々クールだけど、実は優しくて素直じゃない照れ屋だという情報(出所は当然ながら中島家の四女)が出回り始めたせいもあって、ティアナに興味を持つ子が増え始めたのが、これの原因だったといえるだろう。

 スバルよりも判り易く優等生な彼女に、何となく憧れだすタイプが増えた。要するに、ちょうど二年生になったばかりの頃のスバルと同じようなタイプの子に絡まれる機会が増えたのである。

 時はちょうど夏休み。

 集まりやら。お泊りやら。集合してのイベントやら。

 こんな話が飛び出すのも必然。何もかもが、実にタイムリーに重なっていた。

 そうして飛び出してきた話題に、ティアナは巻き込まれていく。

 

『な、なんでいきなり……』

『だって、ランスターさん大人っぽいから! ね?』

『そうそう! だから、ランスターさんならどんなタイプが好きなのかなーって!』

『そ、そんなコトいわれても……』

 

 困惑。

 恋に恋する乙女たち(同級生)に囲まれてしまった彼女の心境を表すなら、まさしくこの一言に尽きる。

 ……生憎だが、ティアナはそういった話題には弱い。

 元々興味が薄いというのもなくもないが、ハッキリ言うと憧れはある。ただ、その代わりにあまり運に恵まれていない。

 端的に言おう。彼女は恋愛を毛嫌いしているのではなく、単純にこれまで恋らしきものに恵まれていなかったのだ。

 友人たちに詰め寄られ、仕方なしに自身の恋の記憶をたどってみた。

 すると、最初は兄の顔が浮かぶ。

 しかし、家族の間での恋愛は出来ない道理はとっくに理解できている。

 で、次になんとなく気になったのはクラスメイト。なんだか妙にアプローチを駆けてくるから気になってしまったけど、……結局、向こうが同性だと知って二度目の初恋らしきものも不発に終わった。

 そんな事情が話せるはずもなく、誤魔化すしかない。

 結果としてはなんだかやっぱりクールだとか、何やら意中の人は胸に秘めておくタイプだとか言われてしまったが、違うのだ。単純に言えないだけである。

 

 ――で、現在。

 

 へし折られた心に悶えるティアナが完成である。

「…………んぁ~~っ」

 兄に同性とか、どんな初恋事情だ。ありがちかも知れないが、ここまで成就しないとなると純情乙女の心も折れそうである。

 というか二人目に関しては紛らわしすぎるのよ! と、あんまりインドア趣味でない為、此処にはいない親友に文句を言ってみたり。

 そりゃ、女の子だもの。恋に興味がない筈も無い。

 しかしだ。逆にここまで運が悪いと、何かに呪われてるんじゃないかとさえ思えて来るのだから不思議なものである。

 とどのつまり、柄にもなく図書館まで来て恋愛云々の本を読み漁る程度には、ティアナも乙女であった。

 夏休みはまだ中盤。

 如何な真面目な生徒とはいえ、図書館に噛り付いているものは少ない。そもそも、真面目なら序盤に宿題など終わらせているだろうし、ずっと図書館にいるなど、それこそ本の虫な子ぐらいだろう。

 そんなわけで特に見つかることもなく、ティアナは色々読めていたのだが――生憎、運命という奴はあまり優しくない。

 

「――あれ、ティアナ?」

「ひぅ!?」

 

 ……何の因果なのか。

 ティアナは本の虫――どころか、書架の主的な少年と巡り合ってしまった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 にこやかに声を掛けて来たのは、翡翠の瞳と蜂蜜色っぽい髪の少年。ちょうどこの間、グランツ研究所でディアーチェと一緒にティアナとスバルのBDの練習に付き合ってくれたユーノだった。

「珍しいね。今日は一人?」

「は、はい」

「そうなんだ。なんとなくいつもスバルと一緒にいるイメージだったけど、こんな日もあるのかな」

 そういって納得したようにユーノは再び微笑む。

 ティアナはそれを見て、何となく柔らかい印象を受ける。いきなり声を掛けられたことへのこわばりも忘れて、話を始めた。

「そういうユーノさんも、今日は一人ですか? シュテルさんたちは……」

「ああ、うん。シュテルたちは今日学校。登校日なんだって」

 それで、と納得したような顔で頷くティアナ。彼女自身は小学生なのであまり縁がないが、中学生以上になると偶にあるらしいことは知っていた。

 兄のディーダや姉のリニスも、時々夏でも学校に行っていたのを朧げに覚えている。

「それで一人で来たんだ。ちょうどユーリも借りてきてほしい本があるって言ってたし、そのお使いもかねて」

 ほら、とユーノは手に持っている本を見せる。何となくユーリのイメージに合った、ほんわかとした女の子らしい本がたくさんあった。

 へー、と感心してしまうほどらしいチョイスである。

 何となく自分には縁がなさそうだな、と思いつつ本のタイトルを見ていると、今度はユーノの方がティアナの読んでいた本に気づいた。

「そういえば、ティアナはどんな本を読んでたの?」

「え、あー……っ!?」

 この時、ティアナはぼうっとしていた三十秒前の自分を叩き起こしてやりたかった。

 しかし、時すでに遅し。ユーノの視線は既に、机の上に置かれていた何冊かに注がれてしまっている。

 寄りにもよって、こんなとこを男の人に見られるなど、あまりに酷すぎやしないか。

 運命を呪ってみるも、現実が覆る筈も無い。

 笑われるか、温い目で視られるか、或いは……なんにせよ、ティアナ的には大ダメージ必死である。

 

(いやぁー! みられたぁ~~~……ッッッ!!!???)

 

 脳内はもう大パニック状態。

 余りの恥ずかしさに卒倒しそうになったが、そこは意地で何とか耐える。

 寧ろこういうのは、恥ずかしがった態度を外に見せた時点で負けだ。毅然としていれば、話題など直ぐに流れてしまう。

 とにかく落ち着けと自分に激を飛ばすも、生憎とティアナの気合はから回ることに。

「ティアナもこういう本好きなの?」

「…………ふぇ?」

「いや、何というかティアナって大人びてるイメージだったんだけど、やっぱり女の子なんだなぁ~って思って」

「……なぁ……ッ!?」

 二度目の驚愕。だが、ユーノは気づきもしない。

 ニコニコした顔のまま、ティアナを見てくるだけだ。

 穏やかな空気に耐え兼ねて、ティアナはついこんなことを聞く。

「へ、ヘンとか……思わないんですか?」

「??? なんで?」

「らしくないかなぁ……とか」

「そう? でも、前にリニスさんたちが――――」

「あ、良いですその先は」

 良くない予感がしたので、先を聞くのはやめておいた。

 しかし、ともかくなんだか無し崩し的に自分の風評が漏れている気がしたが、それもとにかく気にしないことにした。

 と、ティアナが微妙そうな顔をしていたので、ユーノは不思議そうにこう言ってのける。

「なんだかよく分からないけど、普通に可愛いと思うよ?」

「うぇ――っ!?」

 三度目の驚愕。

 しかも今度は不意打ち過ぎる。いや、改めてみるとベタ過ぎる。

 なんだこの甘ったるい展開は。運命という輩は実にやさしくないのか。

 ティアナが混乱の極みにいると、ユーノは結局不思議そうな顔のまま首をかしげている。

 するとそこへ、メールが届く。どうやら、そろそろ帰ってこいコールだった。

「あ、ごめんティアナ。そろそろ帰らなきゃ。じゃあね」

 ポン、と頭に乗った手に気づくよりも早くユーノは歩いていってしまった。というか、ティアナの方が呆けていただけかもしれないが。

 ともかく、この日を持ってティアナは改めて自覚する。

 ……どうにも、気が多い癖は未だに治っていなかったらしい、と。

 

 

 

 

 

 

 ――――その後も、ティアナの受難は続く。

 

 茜色の恋模様。

 それは、実に色多きもの。

 ……尚、そのラインナップはだいたい年上のお兄さんだったらしいが。

 

 

 

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