innocent時空のユーノくん短編集(CP雑多)   作:形右

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 どうも、ひっさびさの短編集の更新でございます……! が、今回もちょっと、いや結構短めです。
 どうにもギャグ調の勘が取り戻せてない気がするので、長編の番外編と並行してこちらも書いてみることにしました。しかし、本当に今回の混浴パートはあんまりえっちくない感じに仕上がったので、次はその辺りを強化していけるように頑張るのが課題ですかね……。
 次回はお風呂後、そして二日目の部分に漸く到達していく感じなると思いますので、よろしくお願い致します。

 と、前書きはこのくらいにして、こちらもひさびさにアンケートを設置してみようかと思います。
 今回のアンケはこちらになります。
 https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=203990&uid=140738


 その他にも皆様からのご意見やアイデア、ご希望のシチュエーションなどありましたらお気軽にお寄せください。
 では本編の方をどうぞ―――!



湯処での物語の始まり 結

 宵の混沌 Sweet_time.

 

 

 

 シュテルとヴィータの熱線(?)の(のち)―――。

 二人の激戦はお説教により終結を余儀なくされ、そこからしばらくの時間が過ぎて、舞台はついに夕食へと雪崩れ込む。

 しかし、その合間に紆余曲折というほどのこともなく、ひと段落した騒動に呼応するように夕食の運びとなった。なお、シュテルとヴィータは未だにぽわぽわとしており、まるで雛鳥のようにレヴィやはやてからの「あーん」を謹んで受けている。ちなみに五十人くらいの収容ができる小広間があったので、夕食はそこでということになった。

 そうして平和なひと時が過ぎていくかに思われていたのだが……生憎と、和やかだったのは最初だけ。

 

 保護者陣に酒が入るごとに場は混沌(えんかい)と化していった。せっかくの旅行と無礼講な雰囲気に流されて、普段はそうでもない面子が次第に崩れ始める。

 尤も、それは別段悪いコトというわけでもなく、どちらかと言えば取るに足りないものではあったのだが……。

「いやー、やっぱり桃子は酒が入っても美人だなぁ~」

「あら~、やだー、あなたってばぁ~♪」

 大したことないとはいえ、それもいくつも集まれば多少の毒に成り得る。いや、毒という表現は些か適切さに欠けるかもしれないが、高町夫妻のイチャつきを皮切りに、段々と愛電波的なものが伝播していく。

「本当に仲良くて羨ましいわねぇ~。はぁ……クライドもそろそろ、こっちに顔見せに帰って来てくれないかしら。

 いっつも仕事モード入ると、終わるまで中々帰って来ないんだもの」

「そうよねぇ……。でも、クライドの方はまだいいじゃない? 割とまめに連絡送って来てるみたいだし。ウチの旦那(ヒト)ってば研究(しごと)ばっかりで、ホントそういうトコ無精で困るわぁ……」

「たはは……。なんとなく耳が痛い様な」

 リンディとプレシアの言葉に、傍らで聞いていたグランツ博士はバツが悪そうな顔をしていた。どうやら研究職として、しかも同期の友人の話題となるとどうにも共感せざるを得ない部分もある様だ。

 しかし、

「あら、グランツ博士はマメな方だと思いますよ?」

「そうそう。この間も、エレノアさんに会いに、娘さんたちと北海道に行ってきたって聞きましたよ?」

「いやぁ、アレはその……何というかまぁ、お恥ずかしながら」

「「あら~ッ♪」」

「エンツォも博士くらい追い駆けて来てくれる人ならいいんだけどねぇ~」

「あ、ねぇプレシア。こうなったらいっそこっちから追い駆けない? ちょうど、今度のシステム点検の日とか」

「いいわねぇ~!」

「「―――だって会いたいんだもの~ッ♪」」

 『T&H』のW店長から以前の話を持ち出され、どこか初々しい反応を覗かせるグランツ博士に、すっかり心境乙女(スイーツモード)な二人は黄色い歓声を上げている。

 しかも、そこに共感して後日の夫の元への突撃プランまで立て始めているあたり、容姿以上に心から若返ってしまっている母親陣(てんちょうたち)であった。

 と、そんな黄色いような桃色の様な空気の傍らで、逆にごちゃごちゃとした内乱が起こり始めている。

 例えばそれは、

「ほらぁ~しぐなむものんでのんでー♪」

「いや、シャマル……わたしはだな……(これでもまだ二十歳前)」

「ぇえ~、シグナムはわたしの御酌じゃあ呑んでくれないのォ~?」

「そういうわけではないが……おいアインス、ちょっと助けてく―――れっ⁉ な……おいシャマルのしかかるな、というかあんまり酒気を掛けないでくれ……うっぷ(飲む前から下戸)」「(あせあせ)―――――(おろおろ)」

 普段は頼りになる優しいお姉さん的な人たちが、すっかり団子になって酒という渦に呑まれている光景であったり―――

「……あぁ、エレノアに会いたいねぇ」

「博士、その辺りでいったん落ち着かれた方が……」

「そうよん、お姉ちゃんの言う通りに―――『二人も、最近すっかりパパって呼んでくれないしなぁ』―――あらん、そっちッ⁉」

 だんだんと、沈んでいく博士に翻弄される娘たちの姿だったりした。……なんとなく、その姿を見て、子供たちは言葉を失いつつも生ぬるい視線で微笑んだ。

 そんな保護者陣の姿は、日ごろ溜め込んだ疲れの解消なのだと理解している。

 故に、

 

「「「…………(そっ)」」」

 

 子供たちは、保護者陣の織り成す目の前の混沌を前に、戦略的撤退(やさしくほうち)することを選ぶのだった。広間は幸い朝までは明けておいてもらえるということなので、心配はいらないだろう。少なくとも理性を失って暴れ出すわけでもないのだから。

 ……ちなみに、あまり酒は飲めない下戸の恭也が、酒が出て来た時点でさっさと忍を連れて外へ出て行ったことに気づいたものは誰もいなかったという。御神の剣士は、抜き足の精度さえすさまじいという事だろうか……?

 

 

 

 *** 一難去ってまた一難 Merry_Bad_time?

 

 

 

 と、そんなこんなで外へと逃れた子供たちは、早速就寝前のお風呂へと向かうことになったのだが……当然のことながら、嵐は過ぎ去った後にこそ爪痕を残すものであるという事を、彼ら彼女らはまだ知らずにいた。

 

 広間からお風呂場のある区画へ向かう途中、談笑しながら歩いていた一同の前に各温泉への案内板が一つ立っていた。

 思えばこれが、地獄への入り口―――いや、より正確に言うならば、限りなく天国へ近い煉獄であったとのちに少年たちは語る。

 己の業と絆を天秤にかけて、いろんな意味で悔い改める場所のようであった、と。

 

 ───そうして無邪気さと好奇心の狭間で、少年たちの悲鳴が響き渡る。

 

 

 

「「「無理無理無理ぃぃ~~~ッッッ‼‼‼」」」

 

 

 

 ……何故こんな事態になったのかというと、話はほんの数秒前に遡る。きっかけは、ある無邪気さと好奇心であった。

 

 

 

 事の起こりは、廊下で見かけた案内板。

 そこに在った、様々な浴場の説明書きの中にあった一文を余興担当(おもしろがり)なアリシアが発見したのが始まりである。

 

「―――あ。ここって混浴もあるんだね」

 

 そう、些細な発見。しかし、ここが温泉街であると知っているのならば、在り得なくはなかった展開(シチュエーション)でもあったそれを、ここまですっかり頭から抜け落ちてしまっていた事を、少年たちは何よりも悔いるのだった。

 

 まず初めに顔を青くしたのがエリオ。

 雷閃の如く視線を案内板の安全圏に巡らせ、そこからそそくさと逃げ出そうとしたところを、これまた神速で腕を掴まれ止められる。

「ッ⁉」

 ぎぎぎっ、とどこか油の切れた機械関節みたいな音が聞こえそうな程固まった首を動かし振り向くと、そこにはいい笑顔で待ち構えるキャロとルーテシアの姿が。―――一方は純粋に、もう一方はどこか悪戯っぽく、この流れに明らかに身に覚えのある者の反応であった。

 そんな諦めた様に弛緩していくエリオを他所に、傍らでトーマがリリィの何かを訴える眼差し(純粋)に晒されて言葉に詰まっている。なお、助け船を求めたい姉たちはいま自分よりも幼く、アイシスもリリィに弱いので何も言えなくなっている模様。……ちなみにだが、彼らは十二歳なので女湯には入れないけれど、混浴か、もしくは家族風呂ならば何も問題は無かったりする。

 が、ここまではまだ被害は小さい方だ。極めつけは、むしここから―――好奇心も厄介であるが、何よりも恐ろしいのは、無邪気さという名の残酷さである。

「おねーちゃん、いっしょにはいろ」

 ヴィヴィオの傍らでぽわぽわしていたハイトが、この流れに準じるかの如く、こんなことを言い出した。

 ……邪気も何もないそのお願いに、姉の心はとっくに折れていた。というか、生まれたときから勝てない様な気がするのが困りどころであるが。

 ともかく、そんな弟のお願いを無碍にできなかったヴィヴィオは色んなものを天秤に掛けながらも、頷くことしかできなかったとかなんとか。

 で、そこから始まる悪乗りタイム。

「そだね~ハイトがそういうんならぁー……みんなで入ろうっかぁ~(ニヤニヤ)」

 面白がってノリを加速させていくのはルーテシア。そこに更にアリシアが悪乗りをして加速させていく。

「うんうん、裸の付き合いってやつだね!」

「いや、ちょっと落ち着こう? 流石におかしいよ?」

 と、ここで冷静に突っ込む余裕が残っているあたり、ユーノはどうやら自分が墓穴を掘っていることを理解していなかったようだ。

「えー、そーんなこと言ってー。ひどいねぇ、ハイトぉ~? ユーノお兄ちゃん(ハイト)と入りたくないってぇー(棒)」

 そこのルビの振り方は間違っている、と猛烈に抗議したいところではあったが、生憎とアリシアにはお見通しである。―――尤も、既に最終兵器は目の前にいるのだから、結局は遅いか早いかの違いでしかないのだが。

「……ふぁーた、いや……?(うるる)」

「……………………(汗)」

 

 

 

 ―――――そして、冒頭に立ち戻る。

 

 結論から言うと、ちょっとだけ危ない発言もなくはなかったが、基本的に流れは正しく進んでいるので問題はありませんでしたとさ。

 というわけで、

「ほーらぁ、悪あがきしないのー。だいだい十一歳までは一緒に入っていいって書いてるし」

「それでも無理無理無理……ッ‼ そ、それにほら! 皆だってヤでしょッ?」

 最後の救いを求め皆の方を振り向くも、生憎と困ったような笑い以上の反応が得られなかった。

 フェイトは完全に姉のペースに呑まれており、はやては面白そうに笑っている。他の面々は気にしていないか、苦笑しつつも仕方がないと思っているらしき様子が覗えた。まあ、気にしている面子もいないではなかったが、年下のお願いや案内の表示から仕方ないかなという雰囲気になってしまっている。

 

 ───で、結局。

 

 カポーン、と昔ながらのししおどしの音に誘われる大浴場に、一同はのんびり(一部はどぎまぎしながら)と浸かることになっていたのだとさ。

「……なんでこんなことに」

「ねぇ、ふぁ―――『ハイトくん!』―――ゆーのさん、あらいっこしよ」

「…………うん」

 しかし、断り切れない辺り結局付き合いがいいのか押しが弱いのか。微妙な顔をしながらも、ユーノは甲斐甲斐しくハイトの髪を洗ってあげることに。

「かゆいとこない?」

「ないよ~」

 自分より長い金髪を洗いながら、ユーノは極力無心になるように努めようとした。

 しかし、

 

「わー、ひろーい‼」

「れ、レヴィ……」

「コラァっ! 湯船で泳ぐでないわ‼」

「…………これはチャンスこれはチャンス臆してはいやしかしでも……(ぶつぶつ)」

 

「フェイト~髪洗ってあげるよー」

「あ、ありがと、お姉ちゃん……」

「ティア~わたしたちも洗いっこしよ~」

「ちょっとは落ち着きなさいってば……あんまりはしゃいでると恥ずかしいじゃない……」

「えー、いいじゃんいいじゃん。ほーら、チンクねぇたちも~」

「…………う、うむ……。姉として、正直この状況はあまり芳しくないと思うのだが……まぁ、致し方ないか。――よしディエチ、ウェンディたちのことも洗ってやろうではないか」

「うん」

「別にあたしら自分で洗えるッスけどねぇ~」

「まぁ……でも、こういう時は仲良く……」

「ああ、ノーヴェの言う通りだな」

 

「ノーヴェ姉ぇがオンナノコしてる、だと……ッ⁉」

「……トーマ、あんたそんなこと言ってると未来でぶっ飛ばされるわよ~?」

「うぐっ……それは―――ってェ⁉ アイシス、少しは隠せよ!」

「あー、なんかもうここまで来たらいいかなぁ~って。万が一の時はわたしらのことお嫁に貰ってね♪」

「なんでそうなる……⁉」

「トーマ、わたしがお嫁さんじゃ……いや?」

「ンなわけ―――……、ぁ」

「「………………」」

「相変わらずだねぇ、二人共」

 

「はぁ~なのはちゃん髪解くと結構長いんやねぇ。ヴィヴィオと同じくらいや」

「あ、そういえばそうだね~。この前来たときはあんまり気にしてなかったけど、確かにお揃いかも!」

「えーと、あはは……。そうですねぇ~(い、言えない……。姉弟(きょうだい)揃って真似してるなんて言えない……ッ⁉)」

 

「でも、それを言うならリインとヴィータも長いよなぁ~。アタシも伸ばしてみよっかね」

「あ、良いですねアギトちゃん! そうしたら一緒にお揃いの髪型とかに出来そうです~」

「アタシはパスだな。あんまり弄れねぇんだよ、癖毛だから……」

「あら、そんなこと言ってないでやってみればいいじゃない。きっと可愛いわよ。ねぇ、すずか?」

「うんっ! きっと可愛いと思うなぁ~。それに、わたしもちょっと癖っ毛だからお揃いにしやすそうだし」

「あ、アリサ……すずかさんまで……」

 

「二、三、五、七、十一 十三 十七 十九 二十三 二十九 三十一……」

「エリオくん……?」

「エリオ~、素数なんて数えても気持ちは落ち着かないぞ~? ほらほら~、素直になって、ねぇ……?」

「⁉ ちょ、ルーくっつかないで―――」

「あー、ルーちゃんズルい!」

「キャロまで⁉」

 

 

 

「――――――カオスだ」

 だが、現実(じじつ)である。

 ちょっと逃避気味にそんなことを呟いたユーノであるが、ハイトの頭を洗う手は滞りなく動いている。この辺りは、昔ユーリの頭を洗ってたりした経験からだろうか。……その時点で慣れが入っている部分もあるかもしれないが、若干でもブランクが入ればそりゃ気恥ずかしいものであるとユーノは思った。実際、ユーノよりも慣れてそうな(ハプニング的な意味で)エリオの反応を見ていると少々居た堪れない気持ちになる。やはり、無邪気さは往々にして罪であると教訓を得たユーノであった。

 ちなみに、誰かを忘れていると思ったそこのあなた。

 ご心配なく。先見性を発揮して早期離脱したクロノくんは、ちゃーんとエイミィさんの巡らせた策謀にハマって混浴ENDに落ち着ました。

 

「ぐふふ………! 三歳のころからお姉さんに育てられてきたボディを今年も拝んでたのさ~(ツヤツヤ)」

「…………こうなるから嫌だったっていうのに……ッ‼」

「にゃははは~! おねーさんに勝つなどまだ十年早い!(幼馴染)」

 

 なお、この教訓を得て二日目以降は警戒を強めた男子陣であったが、余興担当であるアリシアやエイミィ、ルーテシアの魔の手からは逃れられず……今回以上のハプニングを経て彼ら彼女らのお風呂ライフは過ぎ去っていくのだったとさ。

 

 

 

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