~魔法少女リリカルなのはReflection if story~   作:形右

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 夜空(そら)を染める星の光が、先への道を手繰ろうと輝きを増す。――しかしその度、これまで悲しき運命(さだめ)を砕き続けた光を、悪魔(てんし)が黒く塗り潰していく。

 拮抗し合う力は、先を見据える真っ直ぐな心と、傷だらけの心。
 救いの手を差し伸べたくて伸ばし続けるも、救われてはいけないとその手を払う。

 ……悔しさと。悲しさと。苦しさと。
 様々な感情が混然となり、ただ涙だけが零れ続ける。

 だが、それでもまだ。少女はまだ、手を伸ばし続けていた。
 何時か届くと、そう信じながら――――先を示す光を信じながら、決して諦めずに明日を目指す。




第二十章 紡がれ行くモノの果てに

 舞い散る星の煌き

 

 

 ……赤く染まった視界の中で、星の光が瞬いた。

 嘗て共に在ったものとは違う鮮烈な光。思わず見とれそうな程美しい輝きだが、支配されたままの身体は寸分の狂いなくそれを迎撃する。

 翳した手の動きに合わせ『魄翼』がユーリを守り、激突した盾と光がぶつかり合うが、拮抗は崩れることなく終わった。――しかしそこへ、青い魔導砲から伸びる桜色の切っ先が、ユーリの身体を貫かんばかりの勢いで迫って来る。

「せぇええええいッ!」

 強く響く叫びと共に、なのはがユーリの懐へと飛び込んだ。

 凄まじい勢いでの突進は、先程シュテルを下した戦法であるが――ユーリは、そんな一撃さえも真正面から受け止める。

「っ……!?」

 攻撃を止められ、なのはは思わず声を漏らすが、それを悔しがる暇もなく、そのままユーリはなのはへ向けて迎撃を掛けた。

「……〝ヴェスパーリング〟」

 ユーリがそう呟くと、先程攻撃を受け止めた『魄翼』から、小さな射撃魔法が放たれる。

 輪の形をとったそれは、非常に小さなものに見えた。

 だが、そんな見た目とは裏腹に、防ぎに回った盾に当たった途端、なのはの身体を大きく後方へと飛ばした。

 想像以上の威力に驚愕を露わにしながらも、なのはは次撃に備える。

 交戦を始める前に、フェイトとシグナムを呆気なく海中まで沈めたスピードを警戒し、どこから来るのかと持ち前の空間把握を全開にして待ち構えていたのだが――。

 それを、

「〝エターナルセイバー〟」

 ユーリは、たったの一撃で意味を消し去っていく。

「な――ッ!?」

 驚愕再び。なんと、『魄翼』から飛び出した光が剣の様に、なのはを左右から挟み撃ちに掛かった。

『ヴェスパーリング』を受けた衝撃に吹き飛ばされていた為、空中での軌道をまだ上手く変えられない。結果、左右の挟み撃ちを喰らうことになった。

 ぎしぎしと『フォートレス』から悲鳴があがる。

 軋む盾が破られる焦燥に駆られながらも、意志だけはユーリから照準を外すまいと歯を食いしばり、負けじと砲撃を撃ち放つ。

「ディバイーン……バスタァーッ!」

『ディバインバスター』――純粋な魔力砲であるがゆえに、超弩級の威力を持った砲撃であるとともに、なのはの十八番の直射砲撃魔法でもある。

 そして、そんな得意な魔法を用いて漸く――最初の一撃以来、一切揺らぎを見せなかったユーリがやっと体制を崩した。

 ここだ、と確信を露わにしたなのはは、一気に攻め上げる為に拘束魔法(バインド)を発動。

 桜色の光を放つ二重の輪がユーリの身体を締めつける。師匠譲りの強力な拘束魔法による捕縛を為したなのはは、相手の反則じみた防御を削るために先程よりも更に強力な砲撃魔法を発動させる。

 ただでさえ膨大な彼女の魔力が、いっそう魔導砲の先で膨れ上がり、悪魔(てんし)を守り続ける鉄壁の『魄翼(たて)』を撃ち抜かんと猛り狂う。

 そうして、

「〝ハイペリオンスマッシャー〟ッ!」

 叫んだ声と共に放たれた桜色の砲撃が再び夜の空を照らした。

「――――っ」

 闇を裂く閃光が、ユーリの硬い守りを上から削り、彼女の従えた『魄翼(つばさ)』がギシギシと呻く。絶対的な防御も、魔法が通じないというハンデも、何もかもを埋めてやると言わんばかりに様々な力を掻き集め続け――。

 なのはは今、ユーリと互角と言える所にまでやっと辿り着いた。

 力の上でも、物理的な距離に置いても、二人の間は縮まりつつある。

 ――ならばあとは。

 言葉を伝えられるところまで、

 心を通わせられるところまで、

 伸ばした手を取ってもらえるところまで、残された心の距離を手繰るだけだ―――!

 

「――――っ、ぁ……ああああああああああああああああッッッ!!!!」

 

 なのはの叫びに呼応するように、手に抱えた『レイジングハート』がカートリッジを上乗せでロード。読み込まれたのは、魔力の弾丸。込められた魔力が彼女の機構の中で炸裂し、己が主の魔法を更に強く輝かせる。

 ――だが、それ自体は()()()()と何ら変わりない行為。

 ここまで紡がれてきた物語の中で、幾度となく起こって来たものである。

 初め、そこには交わるはずのない二つの世界があった。真逆の道を辿りながら、同じくヒトを育んできた二つの世界。

 そこで生まれた少年と少女が、『魔法』によって紡がれた出会いを果たす。

 偶然起こった発掘と事件が、二人の絆を結び、ある母娘との出会いへと誘った。そうして通い合う内に、少女と少女は絆を生み、……同時に、決して自分では救えなかった母親(ひと)の終わりを目撃する。

 この始まりを経て、少女は段々と己の本懐を理解し始めた。

 次いで起こった事件で、誰かが誰かを助けたいと願う心や誰かが誰かを守りたいと願う心は同じ気持ちであっても、ズレてしまえば悲しみを生んでしまうことを知った。そして、届いたはずだったのに、掌から零れていってしまった女性(ひと)がいて――。

 どちらも同じだけ、伸ばせるようになった手が、決して絶対ではなかったと知る。

 ――――だからこそ。

 今度は必ず、届いた手から誰も零れさせはしないと決めた。

 悲しみに暮れたまま、諦めてしまうなんて。

(……そんなのッ)

 そんなのは嫌だ。……もちろん、これは所詮エゴでしかない。

 誰しもが同じ〝しあわせ〟を享受するわけでもない。自分がみんなといる事を幸福だと感じるのと同じように――。

 たった一人の為に全てを賭けることも。

 自分の家族の未来を願い自らの死を是とすることも。

 何一つとして、間違いであるわけがない。遍く全てに置いて、人の幸せの形というのは等しく異なっている。

 当たり前だ。違うのが当たり前なのだ。

 だが、それでもと少女は――なのはは願った。

 目の前にあることだけより。

 終わりに満足するだけより。

 未来(さき)を生きて、新しいものを見つけられるかもしれないという、そんな可能性を信じ願っている。

 だから諦めない。これまでがそうだったのだから、その上で今度は――。

 

「きっと、あなたを助ける……ッ!」

 

 決意は変わらない。変わって行くのは、ひとえにこれまで積み上げて来た経験からくる己の力。

 至らないからこそ積み上げる。

 足りないからこそ高め続ける。

 求め続け、成してきたものを信じれば、今度こそ――零れ続けた涙を拭うことも、苦しんでいる子を救うことだって出来るはずだ。そうしたなのはの心が、徐々にユーリの中へと溶け始めた。

 残された意識に、その心が沁み始める。

 生命(いのち)を侵す苦しみを与えるために残された心に、なのはの心がぶつかり、沁み始めたのだ。……だが、それは。

「…………どう、して……」

 小さく漏れた呟きが、ひしひしと悲しみをなのはに伝えてきた。

 期待する分だけ、同じだけの苦しみが彼女を苛む。

 救われてはいけないのではないかという、ユーリの苦しみを煽り、逡巡する思考がいっそう彼女を苦しめる。

「…………だめです、わたしは……」

 許されない存在だ。これまであった全ても、もしかすると間違いでしかなかったのかもしれない。

 思い返せば、友だった少女が言っていた。

 

 〝――これは、星を殺す悪魔だから――〟

 

 居るだけで全てを喰らう悪魔。

 無差別に命を奪い、自らの中に蓄え、己だけは永久の輪に置き続ける。

 望まれてなどいない。それどころか、こんなモノが、この世界で生きていて良い筈がないのだ。

 〝全ては私の思い通り。――抵抗は不可能。心も身体も、自由になんてさせないわ〟

 償えない罪がある。

 報いを受けるだけなら、甘んじて受け入れよう。

 だが、

 〝これは復讐よ。わたしは、アンタからすべてを奪う……。アンタがあたしにそうしたように〟

 自分の力が――全てを殺してしまう、この力が。

 〝意思も力も、自由になんてさせない。

 大切な命も、無関係な命も、その何もかもを全てを殺し尽くして……。誰もいなくなった世界で、独り泣き叫びなさい――――〟

 この世界を殺してしまうのなら、

「…………わたし……なんか、を……」

 自分を助けるより、もういっそ……一思いに自分を消してしまって欲しい、と。

 そう思った。

 しかし、それをなのはは。

「あきらめちゃ……ダメだよ」

 未だ尽きぬ光を放ちながら、自分の全てを吐き出す様にしながらも、なのはは絞り出すように言葉を紡ぐ。

「……大丈夫」

 ゆっくりと。苦しさを押さえつけ、柔らかな声で伝える。

「絶対に、大丈夫……だから、諦めないで……? まだ何も終わってなんかない――もしかしたら、まだ始まってないことだってあるかもしれない。……だから……ッ」

 希望を失わないで欲しい、と。

 居場所がない、なんていう事はない。

 自分がこうして手を伸ばす様に、ユーリには帰る場所がある。

 だから――消えてしまいたいだなんて、そんなことを思わないで、と、なのははユーリにそう告げた。

「…………」

 その言葉に、僅かにユーリの表情が緩む。しかし、微かな光明だ。なのはの言葉の通り、必ずかどうかなどという保証はない。

 ……ただ、もしかしたら、と。

 自然と手がなのはの方へと伸びかけ――――

 

 

「――――っ、~~~ぅ、ぁ…………ぁ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっっっ!!!!!!」

 

 

 僅かに生まれた希望さえも握り潰す様にして、緋色の呪いは再び、ユーリの視界を染め上げた。

 ――そして、その瞬間。

 視界を染めた(あか)と、ユーリの紫色(ししょく)の波動がまた、戦いの場を震わせた。

 

 

 *** 守護者(あね)VS侵略者(あね)

 

 

「――ふん、都合の良い幻想に浸ろうとするからそうなるのよ」

 

 空気を伝わる緋と紫。

 二つの色が混ざり合った波動が星の光を散らして行くのを感じながら、イリスはぽつりとそう呟いた。表情は相も変わらず無機質に、どこか諦めにも似た感慨を覗かせている。

 だが、無気力そうに見える面持ちとは裏腹に、イリスの戦いは温くなかった。

「はぁ……はぁ……っ」

 それは、その背後で荒息をついているアミタの様子からも明らかである。ユーノと別れてからの、僅か十分足らずの間ではあるが、二人の戦いは苛烈を極めていた。

 

 開幕直後からの銃撃。

 弾道が交錯する刹那から、二人の〝戦い〟は始まった。

 

 共に〝エルトリア〟に深い縁のある『フォーミュラ』の使い手同士。それ故か、自然と闘い方も似通っていた。尤も、アミタの得物は主に銃。イリスがメインに用いた得物は鞭だったが──。

 それにしても、と、アミタは悔しげにイリスを見据える。

(……不規則な動きを成す武器が、ここまで戦いにくいとは……)

 歯ぎしりをしながら、イリスの手に持った鞭を睨む。

『ストームエッジ』のものと似た柄の先から、生物の触手のように自在に動く先の別れた黒い縄。それが不規則に迫り、アミタを追い詰めてきた。エルトリアで戦った危険生物の中には触手を持つモノもいたが、それらはあくまでも生物の器官。手や足の延長として動くものが多く、またパターンが単純であったこともあり、そこまで苦労せずに打破出来ていた。

 しかし、今の敵はただ外敵を殺すだけの本能で動く怪物ではない。……否。怪物、なんて言葉では足りないかもしれない。

「く────っ」

 手強い。改めてそう認識する。

 開幕直後の銃撃からも判っていたが、イリスも『ヴァリアントシステム』を用いるようである。はやてとの戦いで『機動外殻』を用いた点からも予想は出来ていたはずだったが、そもそもアミタがイリスとまともに顔を突き合わせるのはこれが初めてだ。

 初対面ゆえに癖が読みにくい。

 アミタは年齢の分、キリエほどではなかったが――『エルトリア』の過疎化に伴い、全くの他人と関わるというのはあまり経験がない。どのつまり、対人戦という点に置いて、アミタは全くの未知との戦いというのをしたことがなかった。

 しかし、危険生物や環境の荒廃に伴ったイレギュラーとの対面はいくらでも経験がある。

 そういう意味では、〝相手を探る〟点において変わりはない。となれば、時間を掛ければある程度の成果は得られるだろう。

 尤もそれは、

「あら、まさかもう終わり? 随分と呆気ないわねぇ……」

「――ッ」

 相手が、自分の情報(データ)を一切知らないような、五分の状況に置いては、だが。

 知られてしまっている以上、生半可な攻撃は通らない。それは先程までの攻防で嫌という程理解した。

 となれば、この状況を打破するために必要な条件は二つ。

 決して盤上を見失うことをしないという事と、何か一点、アミタがイリスを凌駕する必要があるという事。

(幸い、補給自体は皆さんのご厚意で万全……。あとは、〝ナノマシン〟の残量がどこまで持つかですが――)

 なのはとユーノへの供給でアミタの持っていた予備(ナノマシン)はほぼ全て尽きた。

 背負うにはハンデはやや重い。とはいえ、このまま睨み合っているだけでは埒が明かないというのも分かっている。

 ならば、残る問題は一つ。

 この一見破れかぶれにも思える蛮行を、どこまで貫き通せるかということだけだ。そして、その覚悟は――当然の如くアミタの中に存在していた。漸く出番を得た舞台袖の役者の様に、舞台に上がるまでの時間を待ちわびながら。

 ──後は、実行するのみ。

 その意思を固めた瞬間、アミタの周囲で風が起こる。

 次いで、青い燐光を放っていた防護服(フォーミュラスーツ)を、新たに巻き起こった薄紅色の光が彩った。そうしてアミタは、微かな赤い軌跡を残しながら――

 

 

「フォーミュラドライブ――〝アクセラレイター〟ッッッ!!」

 

 

 青い風となって、イリスへと猛攻を開始した。

「――――!?」

 影を引いて疾走(はし)る青い風。

 瞬く間もない速さで、強化加速の波に乗ったアミタを、イリスは一瞬視界の中から見失ってしまう。その隙を突いてアミタは限りなく高速の狭間を駆け抜け、目前に捉えたイリスに拳を叩き込んだ。

「ぐ……っ、このぉ――ッ!!」

 もちろんイリスとて、やられたまま黙っているつもりはない。

 迎撃を試みて、拳を突き出す。――が、それさえ掻い潜り、アミタはイリスへ次撃を見舞った。

 二人の用いている『フォーミュラ』は、基本的には魔導師の様な『空戦』を想定しているわけではない。靴底に備え受けられたブースターによる飛翔は可能だが、あくまでそれは魔導師でいうところの、『空戦機動』とは遠いものである。

 しかし、だからこそ――このタイミングで強化加速を用いたアミタの判断は正しい。

 本来のイリスの意図がどうであるかは分からないが、海上に躍り出ている以上、戦う場所は必然的に空中。魔導師たちの持つアドバンテージを推してでもこの場を選んだのは、おそらくユーリの持つ力が大きな要因を占めていたはずだ。

 だが今、イリスはユーリという最強の守り手を欠いている。

 尤も、それでも『フォーミュラ』は『魔法』に対し、有り余るほどの有効性(アドバンテージ)を持つ。通常の射撃魔法程度ならあっさりと無力ができるのだろうが、イリスが相対しているのは、同じ『フォーミュラ』の使い手であるアミタだ。

 そうなれば、用いる術式に置いて差は生じない。

 広域防御や転移、或いは細やかな応用の術式を有しない『フォーミュラ』同士がぶつかり合うのなら、より高い機動力がものをいう。

 が、

「――いい、加減に……しな、さいッ!!」

「……!?」

 何時までも敵側の懐に飛び込んでいれば、動きを捉えられてしまうのは当たり前。

 また、エルトリアの人間は身体機能が非常に高い。イリスについてアミタは知る由もないが、自身と同等の反射や腕力を持っていると想定するのは悪いことではない。……とはいえ、一度離れてしまえば、先ほどの様な不意を突いて直接的な攻撃は警戒され通じなくなる。

 そこでアミタは、離れてもなお高速で動き回り、イリスを翻弄しにかかった。加えて納めていたアームズを再度『ザッパー』形態に戻し、エネルギー弾を自身の移動の軌跡を残す様にして放つ。

 空を彩る星のように煌めき、天から注ぐ雨粒となって緋色の天使(あくま)を襲う。

 一つ一つの威力は低い。だが、それもさみだれのように注げばまるで滝。単一の光弾の群が、弾幕となって襲いくるのだ。それゆえ、アミタが駆け抜けた場所から迫る光弾にも気を配らねばならず、イリスは非常に動きづらい状況を強いられた。

 一つ防ぐたび、また更に次弾が別の方向から遅れて迫る。

 時間差攻撃というのも『フォーミュラ』にはない攻撃手法であるが、魔導師たちの戦いを見ている内にアミタはこうした攻撃の手段を有効と判断し、自らの戦闘に取り入れた。

 届かせるためになら、自分の取りうる全てを賭ける。その姿勢をアミタは、二人の小さな〝魔法使い〟たちから学んでいた。

 そして、遂に――

(――ここです……ッ!)

 アミタは、イリスの守りが崩れた隙間へ攻撃を叩き込む。

 拳銃形態(ザッパー)から片手剣形態(フェンサー)へとアームズの型を変え、超速で間合いに飛び込むや、一閃。

 完全に決まったかに思えた一撃だったが、

「!」

「……ツメが甘いわね……!」

 イリスは、その一撃を防いできた。

 防御に回されたイリスの武器(アームズ)は砕けていたが、完全に入ったはずの一撃を止められてしまった。

 自身の防御が成功し、敵を間合いに踏み込ませたことに、イリスはほくそ笑む。

 『アクセラレイター』によって翻弄されたのは事実だが、同じ術式の使い手同士が追いつけないほどに速い動きで翻弄できるという事は、裏を返せば敵側にも同じことが言えるという事になる。

 急激な移動ができないのは、高速で移動しているアミタも同様。つまり、迎え打つ準備をしておけば迎撃は可能という事だ。

「残念だけど、わたしに届かせるには、あと一歩足りな――が、な……ッッ!?」

 が、得意げに講釈を垂れながらアミタへ仕掛けようとしたイリスの肩に、青い光弾が直撃した。

(もう、一発残ってたっていうの……っ、しま――!)

「せぇ――えええええいッッッ!!」

 渾身の叫びと共に。驚愕に苛まれたイリスの胴へ、横薙ぎに振り払われた『フェンサー』が直撃する。

 今度こそ、完膚無きまでの見事な一撃が決まった。

 凄まじい威力である。身体中に走る衝撃もさることながら、アミタの渾身の一閃によりイリスは大きく飛ばされてしまった。

 自分が切っていく風の音と、胴部に残る痛みによる脈動がうるさいくらいに耳を埋めるのが煩わしい。

 その上敵は、自身が流れを手繰り寄せたと()()()()()()()()。事実アミタは、更に畳み掛けられると踏んで、此方へ向けて飛びかかって来た。

 それに伴い、イリスの中にあった思考は真っ二つに分かたれる。

 目的を忘れるわけではないが、今はまず──目の前の小娘を叩き潰してやりたくてたまらない。何よりも、あの「()った」と確信した顔を歪めさせないことには、この苛立ちは収まりそうになかった。

 故に、

「調ぉ、子にぃ……乗るなぁああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁあああッッッ!!!!!!」

 ここへ来て初めて、イリスは激昂を露わにした。

 そんな彼女の感情に呼応するように、その身体からは緋色の光が噴出し始める。同時にそれは、アミタにとって覚えのある忌まわしいものでもあった。

「──〝システム・オルタ〟……!?」

 キリエが魔導師たちを相手に取り、たった一人で全滅させた時に使用した、アミタの『アクセラレイター』とは異なる、もう一つの出力強化(ドライブ)

「ハッ! 持ってるのがキリエだけだとでも思ってたの?」

 加速した思考を叩き斬る様に、飛び込んできた球を打ち返さんばかりの勢いで、イリスはアミタに拳を見舞う。

「……お生憎様ね。

 奥の(切札)っていうのはいつだって、自分の手の中に納めとくモノよ──!!」

 確かに、元が緊急離脱用ということもあり、『アクセラレイター』の速度は驚異的である。しかし、〝システム・オルタ〟の本質は出力強化。何も速度だけに頼る必要などなく、むしろ速度を売りに出して舞い上がっている敵を潰すならば、ただ向かってくる軌道に合わせ、拳を突き出すだけで事足りる──!

 完全に軌道を読まれたアミタは、攻撃の姿勢のままイリスの迎撃を喰らった。

 あとは先ほどの再現だ。

 但し、今度は両者の立場を入れ替えた上で、だが。

 

「────ごば、ッ……が────!!!???」

 

 メギバギィ! と、胴に吸い込まれた拳が肉を抉り鈍い音を発した。

 内臓(なかみ)をかき混ぜられた様な衝撃に合い、アミタは先ほどのイリス以上の勢いで後方へと飛ばされる。

 目の前で火花が散る。息が吸えない。そうして次第に意識が途切れ始め──

「ッ──、……げほっ……ごぼ、っば……!」

 刹那の暗転。

 が、意識だけは決死の意地で繫ぎ止めた。もしここで失神してしまえば、取り返しがつかない。

 それだけの予感。けれど、それは正しかった。

 血反吐を吐き、咳き込みながらも、アミタは必死で視界から消えたイリスを探すが──。

 

「──あら、余所見してるなんてずいぶん余裕ね」

 

 見つけるまでもなく、相手の方からこちらへきた。

 霞んだ視界に響く声の出所を探すが、見えない。そして、

「ど、こに……っ、ぐ……が────ぁ!?」

 休む間も無く追撃が来た。イリスはいつのまにか戻した鞭形態(ウィップロッド)で、アミタの首を捕らえに掛かる。

 絡みついて来た鞭に咄嗟に反応するも、振りほどくも引き千切るも出来ず、アミタはイリスによって振り回されてしまう。

(なんて──チカラ……!)

「ほらほら、あんまり意識ボカしてると、首が吹っ飛ぶわよ!」

 獲物を煽り立てる様に、抵抗するアミタを振り回すイリス。

 ギリギリと締め付けをかける鞭に抵抗するも、解くことができない。かといって、片手でも離してしまえば──それは死を意味している。

 活路を塞がれたアミタは、ひたすらに耐えるしかない。

 耐え忍びながら、意地でも見つけ出さなくてはならない。

 光明。その片鱗を、刹那の狭間に。

 そしてそれは、彼女の身体が海面に叩きつけられた瞬間に訪れた。

「がほ──、っぐ……ば──っ、ぁぁああああああああああああああああッッッ!!!!」

 叩きつけられた衝撃は凄まじい。またも意識を失いかけたが、衝撃が凄まじいということは、実際の振り下ろしとの間に遊びが生まれるということでもある。

 その緩みをどうにか利用し、アミタは漸く鞭の手から逃れることが出来た。

 しかし、

「ゲホ──ゴホッ、ぇあ──ぼがッ……」

 度重なるダメージは彼女の身体に容赦なく積もり続けている。塵なんてものではなく、それこそ豪雨に晒された後の紙切れの様に、自身の身体の方が削られていく。

 濡れた髪が視界を遮り、身体を滴る海水の水気が鬱陶しい。

 だが休んでいる暇はない。

 微かに虚ろぐ視界でも、アミタはイリスから目を外さない。二度目を喰らう気はなく、これ以上やられる気などないという意思を見せつける様に──弱り始めたはずの視線は、戦いの前よりも鋭さを増していた。

 それをイリスは愉快そうに見ている。そうでなくては面白くないとでも言わんばかりに、獰猛な獣の様に戦いを愉しんでさえいた。

 激しい攻防の合間に生まれたその睨み合いは、まさしく意地のぶつかり合い。

 開戦直後、そうしたものを下らないと称したイリスだったが、そんなものはもう取り消しだ。

 ここまで散々な程に行く手を阻んでくれた相手なのだ。こんなところで簡単に倒しても、なんの気晴らしにもならない。

 無意味な闘争だ。

 だが、有意義な闘争である。

 合理性を謳うのがヒトであるように、同じく不合理を愉しむのもヒトなのだから。

 そう、自らがヒトである意味を感じられるのは、実に良い。失って来たものをだんだんと取り戻して行くような感覚だ。

 黒に染まるのならばどこまでも染まれ。

 あの時に得た感情は、たったこれだけの闘争でも激しく燃え上がる。

 

 苦しげなアミタとは裏腹に、自らの裡で燃えていた火を感じ、イリスは実に愉しそうに笑っていた。

 

 二人の戦いはまだまだ終わらない。

 どちらかが折れるまで止まらない。

 これは、始めからそういう戦いであるのだから。

 

 ────そうして、再び火花が散り始めた。

 緋色と青色。目指す先を手繰り寄せるのは、果たしてどちらなのか。

 

 運命の行方は未だ、女神にさえも分かってなどいない。

 

 

 *** 『槍』と『剣』、そして『王』

 

 

 星の光と〝悪魔(てんし)〟の激突。

 (あか)と青の闘争の裏で、翡翠と三つの魂が衝突する。

 

 他二つと異なり、強いられた戦いではない。争いを要する戦いでもない。

 しかし、それでも交える刃を止められないのは(ひとえ)に、懸けている前提の違いから。

 勝敗によって喪失するものは、己が矜持のみ。実に無意味であるが、それでなお、他二つにも劣ることはない。

 であればこそ、自らを阻む運命(さだめ)の鎖を、思う存分砕き合え────

 

 

 

「――行くぞ。シュテル、レヴィ!」

 

「うん!」

「心得ました」

 シュテルとレヴィが、ディアーチェの声を受けてユーノに迫る。

 課せられたのは、敵であるユーノを一息の内に沈めること。そうした王の命を受け、星光と雷光が二重となって翡翠へ襲い掛かった。

 その間に、ディアーチェは広域攻撃の準備を行う。

 この三人の組み合わせであれば、単独でも十分に相手を沈めるだけの力は持っている。しかしその上でこうして役割を分け合うのは、この三人が生まれながらに在るべき『役』を冠されているからだ。

 閉ざされた道を(ひら)くは雷光の剣。

 開かれた道を照らすは星光の槍。

 そうして為された道と、底にいる全てを統べるは闇の王。

 三人の在り方はこうだ。そして、彼女らは自らの成り立ちを好み、受け入れている。

 

 ――故に今、剣と槍は、王の宣言した命題を成し遂げるために空を翔ける。

 

「行きますよ、レヴィ」

「オッケー、シュテるん!」

 合図を交わし、二人は射撃魔法を同時に発動させる。

「〝電刃衝〟!」

「〝パイロシューター〟!」

 水色の紫電を伴った光球と、(ほむら)を散らした朱色の光球。

 共に直射型の射撃魔法であり、その威力は折紙付きだ。牽制目的とはいえ、まともに当たればダメージは必至である。

 

『ファイア(スパーク)――ッ!!』

 

 発射の合図(トリガー)を告げるや、それらは高速で目標へと襲い掛かる。

 しかし、そう簡単にやられはしないと、ユーノは二人の放った八発の光弾に対し盾を張り防いだ。

 制御の甘かったレヴィの『電刃衝』はそれで防ぎ切る事が出来たが、シュテルの放った『パイロシューター』の幾つかは軌道を変え、盾の死角を狙って来る。――が、その動きはユーノとしては非常に馴染みあるものだった。

 盾を消し、自分の周囲を球体状のバリアで覆う。そしてそのまま、ユーノはシュテルの魔法を突っ切った。

「な……っ!?」

 ユーノの取った戦法に驚き、シュテルは思わず自信の目を疑った。

 確かに、防護膜を張るバリア系の魔法には〝触れた物を弾く〟性質がある。しかしだからといって、仮にも高位にある魔導師の射撃魔法を真っ向から受け止めるだけのバリアを維持しながら突進するというのは、かなりの荒技と言わざるを得ない。

 が、そんな感心の理由はどちらかと言えば戦法(・・)の方であるが――。

「くっ……!」

 逡巡を重ねる暇さえ置かず、ユーノは二人の懐へと飛び込んだ。

 これでもし、ユーノが攻撃――特に近接戦闘(クロスレンジ)に長けた技を持っていたのだとすれば、勝負は一気に動き出したことだろう。けれど、彼は攻撃系統の魔法をほぼ使えない。精々が初歩的な射撃魔法である『シュートバレット』くらいである。

 故に、彼が近接の距離に飛び込んだからといって、戦いを一気に動かすことは出来ない。

 むしろそれは、逆に相手側の餌食になりえる行為だ。とりわけ、向こうには近接に長けたレヴィがいる上、シュテルも砲撃型ながら、近接には自信がある。……しかし、先程の戦法を見た瞬間から、何故かシュテルは何か嫌な予感を感じていた。

 そして、それは――。

「この……ッ!」

 単なる杞憂ではなかった。

 得意とする領域に飛び込んできた相手に、不意を突かれた分攻撃が逸ってしまったレヴィが『バルニフィカス』を振り下ろそうとした瞬間。ユーノは何故かプロテクションを解除し、二枚の盾を張った。

 パワーに自信のあるレヴィ相手だからかとも思ったが、それならばバリアを解かずに回避でも良い筈だ。それに、わざわざ二枚も同じ盾を張るよりも、一枚に込めた魔力を増やした方が効率は良い――。

「――っ!?」

 と、違和感の正体にシュテルが気づいた時にはもう遅かった。

「レヴィ……ダメです!」

「へ?」

 制止の叫びも虚しく、レヴィが振り払った『バルニフィカス』の刃はユーノの一枚目の盾を物の見事に砕き割り、二枚目の盾にもしっかりと当たっていた。

 ――そして、次の瞬間。

 水色の刃を受け止めた盾から翡翠の鎖が飛び出し、レヴィの身体を瞬く間に縛り付けた。

「んぁっ!? まぁたコレなのぉぉぉ~~ッッッ!!!???」

 ジタバタと藻掻くレヴィだが、ただ力任せなだけでは鎖が外れることは無い。しかもその上で、ユーノはレヴィに重ねて幾つかの拘束魔法(バインド)を掛けた。

「ごめん。でも、少しそこで大人しくしてて――」

「そんなぁ~!?」

 虚しく響くレヴィの泣き言に、後方で見ていたディアーチェは頭痛を禁じ得ない。

 だが、そうはいっても場を動くわけにも行かない。広域魔法の展開の準備は相応の時間が掛かるのもそうだが、放つ方向によっては、ユーノの傍にいる二人を巻き込みかねないからだ

 ここまで積んだ布石を放棄して参戦する――という選択もあるにはあるが、それをしてしまっては宣告を放棄することになる。それにまだ、自分たちの中でも戦いにおける『理』に長けたシュテルが布石を放棄すべきだと考えていない以上、ディアーチェの方から放棄するという選択肢はない。

 自らの臣下に信を置くべきと判断し、ディアーチェは時を待つ。

 この場で誰よりも今、敵の傍にいるシュテルが描いているであろう、その好機を。

 

 そんな王の信頼を感じ取ったかのように、シュテルもまた動き出す。

 己が王と認めた相手の信頼と期待に報いるため、目の前の()()を撃墜する道を開く為に。

 

(彼の守りを突破するには、小手先では通じそうにありませんね……。となると、砲撃型のわたしが取り得る道としてはやはり、防御の上から削り捨てる様な攻撃と言うことになりますが――)

 その戦法を取ってしまうと、先程のディアーチェの宣言からは遠いものになってしまう。

 もちろん、効率を取るのであれば正しい判断ではある。しかし、王の信に応えたいという矜持もまた、シュテルの中にあった。

 戦いにおける判断を付けるべき身ではあるが、自信の全力を絞りもしない内から妥協案に結果()を委ねるなど、あってはならない。……両立するのは難しい事柄同士ではあるが、自分でも不思議なほどに、シュテルは今――王の期待に応えると言うことと、目の前の少年を越えることに執着のような感情(モノ)を抱いていた。

 胸に宿した誇りと、魂の様相である炎が急き立てる。逃げの姿勢ではなく、誇り高い王の臣下(しもべ)として。

 目の前にいる少年を、自らの限界(すべて)を以て越えて行け、と。

 ……らしくない。実にらしくない選択ではあるが、決して間違いではない。

 シュテルはこの選択の上で、勝敗の行方を投げたつもりも、敗北の可能性が高い方に掛けようとしている訳でもない。

 当然である。

 越えるべき壁を前にして、妥協する気など起こりえない。

 ならば、この胸を弾ませる鼓動(ねつ)はなんなのか。――恐らくそれは、越えるべき壁を前にした〝挑戦〟と言う名の高揚感。

 つまるところ、シュテルは今――。

 道理(ことわり)の上でも感情(こころ)の上でも、何時か必ず越えるべき壁を前にしている。

 となれば、後は進むのみ。

 己の足が踏み抜くは地獄か極楽か。

 そんな答え合わせは後回し。今はもう、留め置けない熱量を、此処でただひたすらにぶつけて行くのみ。

 

「――――…………ッ!!」

 

 言葉は無く、音もないままシュテルはユーノへと攻撃を仕掛けた。

 先程までとは比べものにならない数の射撃魔法(パイロシューター)を発動させ、一気にユーノへと弾幕の雨を降らせる。そして、そのまま一気に接近し、シュテルは左手の篭手で張られたバリアを突き破り、ユーノに直接攻撃を掛けた。

 それをギリギリで盾を張って防がれるが、しかし、先程の様な捕縛の術式を加えた物ではない。

 つまり今、僅かにではあるが隙が生じている。そもそも、ユーノの根本的な魔力量(チカラ)はシュテルたちに比べれば非常に劣る。

 だというのにここまで食い下がり、自分の有利を確立させようとした彼の意地に経緯を評し。

 此処で彼を全力でねじ伏せ、その矜持を越えていく――!

「ヴォルカニック……ブローッ!」

 篭手と拮抗していた盾を魔力で吹き飛ばし、爆発の勢いで引いた拳を再度当てる。そうして相手を弾き、自らも身を後方へ引いた。

 だが、それはただの逃げに非ず。

 単にそれは、それだけの距離が必要だったと言うだけ。

 結局のところ、盾を砕くのであれば――槍である自分にはこのやり方こそが一番だと感じ取ったと言うだけのこと。

「ブラスト……ファイアァァァ――ッッッ!!!!」

 灼熱の尖角より放たれた、炎の渦がユーノに迫る。しかし、まだ盾は炎の中で抗っていた。

 けれどそれでいい。寧ろそうでなくては、意味が無い。

「はぁ――は――、……っ」

 何故なら、それはまだ布石。

「バインド……!?」

 強固な盾。或いはちょうど、自身の引き連れてきた隷の二つ名に同じ――城塞を崩すため、一つ一つの壁に孔を開け続けたようなものであるのだから。

「ええ、〝ルベライト〟という炎の檻です」

 捕えられたユーノの声に、シュテルはそう応えた。

 彼を拘束したのは、シュテルの炎熱変換資質により炎の特性を持った、なのはの『レストリクトロック』と同じ集束系の拘束魔法『ルベライト』。ユーノを吹き飛ばす位置を調整し、あらかじめ遅延発動する様に仕掛けておいたのだ。

 『フォーミュラ』を用いている今のユーノに対して、馬鹿正直に昏倒を狙うには少々分が悪い。だが、槍としての役を果たすと決めた以上、逃げると言う選択肢はない。であるからこそ彼女は、先に攻撃を加えることで解析を走らせる前に拘束すると言う手段に出た。

 まだユーノはシュテルのバインドを目撃してはいない為、解析を即座にと言うわけにも行かない。僅かであろうと、解除までの間をあけることになる。

 故に拘束は可能。

 となれば後は、どうやって拘束にまで持って行くかだ。

 ユーノは防御と演算処理に優れている。敵ながら見事としかいえない魔導運用からもそれは明らかだ。しかも、そこに『フォーミュラ』による〝魔力無効化〟や〝エネルギー分解装甲〟が加わってくる。

 そうなると、射撃魔法などによる威嚇・牽制から不用意に飛び込めば、先程のレヴィと同じく自身が餌食にされてしまう。逆に遠距離の砲撃を使っても、次第に成れて対抗されてしまうのは必然。

 そこでシュテルは敢えて弾幕をばらまき、ユーノが防御を張ったところ――もしくは、先程と同じように此方へ突っ込んでくる隙を狙った。左手の篭手(クロー)によって敵の防御を叩き割り、追撃を為すためだ。

 実のところ、ユーノ本人の防御自体はそこまで高くない。

 彼があそこまで鉄壁に見えるのは、あくまでも〝魔導〟に寄るところが大きい。であれば、それを突き破った上で相殺しきれない攻撃を加え、拘束すれば動きを完全に止めることが出来る。

 そう考えたシュテルは、己が策謀を巡らせこの場に実現させた。

 

 ――――これで漸く、此処に全てが整った。

 

「大義であったぞシュテル。流石は我らが槍、見事な采配であった」

 臣下へ労いの言葉をかけるディアーチェ。

 それを受けたシュテルも「お褒めに預かり光栄です」と言葉を返し、詰めの一手を王に委ねる。

「では(ディアーチェ)、あとはお任せします」

「言われるまでも無い。汝らの働きと、そこの小僧――いや、ユーノ。貴様の健闘に敬意を払い、この一撃で以てそれに応えてやろう」

 信頼を置いた分だけ、今度は自身が臣下からの期待に応えよう。

 と、そう意志を固めた王の御許に、闇が集い始めた。

 足下に円形の魔方陣が展開され、王の下を訪れた闇を掲げられた杖先の三角形の魔方陣へと誘う。そうして一つの渦となって唸りを上げ、猛り狂ったようにさざめきを放つそれは、王が王足る所以の力。

「さあ、我が永劫の闇に滅せよッ!」

 此方の世界における、常勝の王が有したとされる剣と同じ名を有しながらも――彼女は希望を守る光ではなく、自らの統べる深淵を謳う。

 

 

「深淵の内に散れ――〝エクスカリバー〟ぁぁぁッッッ!!!!!!」

 

 

 告げられた真名()と共に、王の闇が翡翠の守護者へ降り注ぐ。

 咄嗟に防御を行うが、そんな盾程度では防ぎきれないほどの闇色の光が、ユーノを完全に呑み込んだ。

 

 

 ***

 

 

 闇が全て注がれ、場には再び静寂が訪れた。

 そんな場に唯一響くのは、上空より放たれたディアーチェの『エクスカリバー』によって、開けられた穴を埋める波の音のみ。

 未だに水面は荒れており、沈んだであろうユーノの姿は見えない。

 生憎と、彼女らの側には敵の感知に長けた者はいないが、ある程度の反応の有無くらいは確認できる。少なくとも、ユーノが直ぐに何かを起こそうとしている様な魔力の反応は見受けられなかった。

BJ (バリアジャケット)や『フォーミュラ』の恩恵で死んではいないだろうが、少なくとも完全に意識を保ち切れてはいないだろう。意識喪失(ブラックアウト)は確実と言って良い。

「…………」

 あれだけ手こずったものの、終わってしまえばどこか物悲しい。

 そうした感慨を僅かに覗かせながら、シュテルは段々と波を消していく海面から目を逸らし、ディアーチェの元へ向かおうとした。

 だいぶ魔力を使ってしまったが、飛行魔法や後数度の砲撃なら何とか使えなくもない。直ぐにユーリと相対する事が出来るかどうかについては難しいところだが……未だ囚われたままのレヴィを解放して、この中では元のデータからして膨大な魔力量を誇るディアーチェからの補助(きょうきゅう)を得られれば或いは――。

 と、そこまで考えて、ふとシュテルは自身の思考に在った違和感に気づく。

(レヴィが……まだ、囚われている……?)

 それ自体はさして違和感を持つところではない。設置型の拘束魔法は、術者がいなくてもある程度の時間は機能する者も多い。だが、と上方を見上げれば、そこにはディアーチェがいて、更にその上には彼の張った淡く緑色の光を放つ結界が未だ展開されている。

 それにどこか、違和感を覚えた。

()()()()()……()()()()()()?)

 かなり複雑な術式で組まれたそれは、ユーリの能力に対抗するためのものだ。

 自らの内にエネルギーを蓄積させ使用する『魔導師』という存在に対し、致命的な〝生命エネルギーの結晶化〟という能力。

 それを解消する為に、ユーリの結晶樹を阻害する守りと奪われたエネルギーを魔導師に戻す役割を両立させているのが、ユーノがこの一帯に生成した結界魔法――〝リベレーションフィールド〟の本質的な効果である。

 とりわけ、ただでさえ個別の〝守護〟と〝回復〟を維持するのは難しい。

 それだけの結界(モノ)を作り維持していた術者がいなくなったというのに、こうも結界が維持され続けるものだろうか。

 

 ――――そして、彼女の違和感(よかん)は的中する。

 

「な、ぁ……っ」

 瞬間。シュテルの左右に魔方陣が展開され、そこから鎖が飛び出した。

「――シュテル!?」

 ディアーチェの声が聞こえたときにはもう、既に彼女は捕縛されてしまっていた。

 数にして、実に八本。四本ずつ左右の魔方陣から飛び出した鎖が、右往左往に蛇のように這い、蜘蛛の巣の如く張り巡り、シュテルの体躯(カラダ)を拘束する。

 なのはとの戦いから、先程の戦闘。

 度重なった疲労はシュテルの反応を鈍らせ、相手を倒したはずだという油断が、この刹那に綻びを生んだ。

 そう。生まれたその隙を突き、ユーノは最後の一手を完遂させたのである。

 そうして、巡らせた布石を全て揃え終えた差し手が再び、海の底から盤上へと姿を現わした。

「は――あ、はぁ……はぁ――っ」

 荒れた息を押さえつけるようにしながら、ユーノが姿を現わす。しかしその姿は、今この場に置いて二人の強者を出し抜いたとは思えぬほどにボロボロである。……否。そうであるからこその、この結果なのかも知れない。

「レヴィにも言ったけど……少しだけ、大人しくしてて……」

 魔力砲の余波で焼けたようになった防護服や、傷さえ顧みず、ユーノはまた魔法を構築する。すると、既に鎖に囚われたシュテルを更に囲うようにして、三角錐型の(ケージ)が作り出された。

 ――何がそこまで、彼を突き動かす?

 裡に生まれた疑問に気付き、シュテルはハッと我に返る。

 目覚めて以降、どうにも自分の為そうとする事柄を幾度となく阻む者たちは、皆このような疑念をいちいちシュテルに対し与えてくる。なのはにしても、ユーノにしてもそうだ。いったい何がそこまで、強く先を望む力に繋がっているのか。

 シュテル自身、懸けた矜持において劣るとは思っていない。だというのに――だというのに何故、どうして彼らは一歩自分を越えてゆくのか。

 向こうに在って、自分に足りないモノは何なのか。

 分からない。

 護るべきモノの有無だとでも言うのか? ――いや、そんな筈はない。

 なのはもユーノも、根本的な指標は同じだ。しかし、あの二人の目指す場所は近いようで遠い。

 背中合わせのようで、並行に進み続ける交わらない線。

 ただ、底にある執念じみたものはどこか似ている。……が、だからといって自らを賭しただけで得られる結果ではないだろう。それを言うのなら、シュテルの抱いた覚悟とて変わらないはずである。

 分からない。解せない。この結果がどういうことなのか理解できない。

 あのとき、なのはとの戦いに敗れたとき――何かを得た様な気がした。

 だが、あれは支える側と進む側の誇り故のものだと思っていた。役割は初めから決まっていて、それに沿うことで生まれる物であると。

 けれど、目の前で起こった事は少し違う――

 それゆえにシュテルは、自分が拘束されている事さえも忘れ、目の前に現れたユーノに思わず問いを投げていた。

「いったい、なにを……どうやって……あなたは」

 彼女の問いに対し、ユーノはこう答える。

「あそこから逃げられたのを訊いてるなら、悪いけどそんな大層な事じゃない。僕はただ、あそこで〝転送魔法〟を使っただけ」

 返ってきた答えにシュテルは逆に戸惑いを深め、信じられないといった面持ちで、ぽつりぽつりと呟きを漏らす。

「……転送、魔法……? あのタイミングで、しかもこの結界を維持しながら――?」

「確かに、あの攻撃を喰らいながらっていうのは正直キツかった」

 そう前置くとユーノは、「ただ」と更に言葉を続けていく。

「ちょうど似たような事が今朝(さいきん)あってね……。似たような魔法と戦って、訓練(れんしゅう)ではあったけど――想定は似ていたから、出来ないわけじゃないと思った」

 自分の知り合いと同じ基礎(ベース)から派生した魔法。

 術式や防ぎ方、自分の防御がどれだけ持つのか。その間の時間はいかほどであるのか。

 判断する上では、十分すぎるほどの経験(データ)だった。また、今のユーノにはその時にはなかった付加要素があったのも幸いした。

「それに〝フォーミュラ〟のエネルギー分解装甲があったから、どうにか転送魔法の術式を走らせる時間を確保できた。

 ――――おかげで、こんな僕でも隙を見つけられたよ」

「…………っ」

 ユーノの弁に、もうシュテルは唖然とするほか無かった。

 当の本人は事も無げに言うが、やった事柄はどれも「こんな」という形容に見合ってなどいない。

 攻撃の上では確かに、ユーノは自身らの誰も上回ってなどいなかった。

 一度見せた盾を張っての突進も、実戦においては繰り返せば効果は次第に薄まってくる。そもそも元の魔力量が違うのだから、長期戦となれば魔力切れを起こしたユーノの方から勝手に自滅するだろう。シュテルが突破を試みた通り、あくまでも彼の強みは魔力運用による緻密さ故の鉄壁なのだから。

 その上で尚、長引けば不利という中で尚も、ユーノは抗い続けた。

 そして掴み取った。レヴィとシュテルを退け、残すディアーチェと一対一というこの状況を。

「これでようやく……一対一だね」

「貴様……。何処が戦うつもりがない、だ。いつからか知らぬが、完全に仕込みは済ませておったのではないか」

「さっきの言葉は嘘じゃないけど、それでも墜とされるわけには行かないんだ。

 だって僕は、みんなを守るためにここに来た。なのに、自分から先にやられてちゃ意味が無い。……弱いからとか、戦えないからなんて、理由(いいわけ)にもならないし」

 その言葉に、思わずゾッと背筋を旋律が駆け抜ける。

 言っていることはごくごく単純だ。

 要するに、自分が出来ると信じたことであるならば貫き通すべきだと言うことである。しかし、それを一体――どれだけの人間が出来るんだろう。

 周りには自分よりも優れた才能を持つ者ばかり。

 おまけに、自分は最も求められるべき力を持ち合わせていない。

 この条件下において、果たしてどれだけの人間が自分の弱さに向き合っていられるのだろうか。

 いったいどれだけ、周りを一途に信じ続け、自分を使えるのだろうか。

 ……寒気の正体はきっとそれだろう。

 あまりにも重い決意を抱いた、戦闘能力皆無(たたかえないはず)の少年は今――やっとその道を、完全に拓いた。

 上空へと昇り、相対したのは『闇の王』と『翡翠の守り手』――既に、その瞬間において二人を阻むものは何もない。

 が、しかし。

「……我が臣下を封じた手腕は褒めてやろう。通常であれば、我が寵愛の末席くらいには加えても良いほどの功績だともいえる。

 だがな、この程度で図に乗るなよ? 塵芥。

 所詮こんなものは、ただの時間稼ぎに過ぎん。とどのつまり、墜とされるのが遅いか早いかの違いでしかないのだからな」

「……そうだね」

 その通りである。実際、ここまで耐え切れたのは奇跡にも等しいまぐれに過ぎない。

 いくら出来ると判断できた可能性であっても、あくまで戦う者でない以上は、ユーノがこれ以上抗い続けられる道理はない。

 魔導師ランクで言えば、ユーノはAランク。

 数値の上だけであれば部隊長クラスではあるが、それはあくまでも武装局員といった戦闘型の話だ。攻撃魔法に分類されるものを殆ど使えないユーノは、戦うならば本来は後方支援役でこそ真価を発揮する。

 前が良いか後ろが悪いかではなく、あくまでも本来の形がそうだと言うだけだ。

 こうして前に出て状況を作ることが出来ようと、自分以上に戦える人間を支えながら自分も戦う方が得られる利は大きく、勝算も遙かに高い。敵にせよ味方にせよ、傷も少なくて済む。

 必要か否かで言えば、その通りであるが――

「でも……今は必要だったんだ」

「必要、だと?」

「うん……。僕は、絶対に君たちを止めておかなきゃならなかった。

 本当ならイリスさんもそうだったんだけど……アミタさんが協力してくれたおかげで、一番良い形でここまでこれた」

 ここまで積み重ねたものを噛み締めるようにして、ユーノはそう呟く。だが、それを聞いたディアーチェは、何を言いたいのかが分からず、訝かしむようにこう訊いた。

「……何を言っておるのだ? 貴様は」

 問われ、ユーノは応える。

「簡単な話だよ。君たちにも望みがあるからこそ、その為に協力して欲しいと思ってたっていうだけなんだ」

 自分にも描いていた過程があるのだ、と。

 そして、その為にはディアーチェたち三人の協力が必要である可能性が高く――けれど、彼女らが大人しく待つに足るだけの理由が存在しない。だからこそ、戦う可能性は想定しており、更にはその先で明かすべき事柄があった。

「……もちろん、それはあくまでも僕の推測の範疇だから、全然見当外れになる可能性もある。

 ――――だけど、」

 そう前置きをして、ユーノはこう言った。

「きっと、それでも間違ってないって信じたから、ここまで来た。……なら後は、何時もと変わらない」

 自分が魔法を伝えた少女が胸に抱くそれと同じく。

 ユーノもまた、彼女が守りたいと思ったものや、自分の目で見た悲しみを拭いたいと思った。

 決意の根本は、そんなもの。

 だが、そんなものが仲間たちの心には深く根付いていた。

 世界が綺麗なものだけではないからこそ、そうした綺麗なものを守りたいと願う心もまた同じだけ存在している。

「……だから必要だったんだ。この時間稼ぎも」

「だから、なにを――ッ!?」

 

 ――――そうして、漸くそれは訪れた。

 

「遅くなって済まない」

 そう言って場に現れたのは黒衣の魔導師だった。ユーノより幾分か年上で、青年と少年の間くらいの年頃に見える風貌をしている。

 彼の登場に、ユーノは口元に隠しきれていない笑みを浮かべながらも、皮肉な事を宣いだした。

「本っ当だよ……。いつまで寝ぼけてたのさ、クロスケ」

「だから済まないと言ってるだろう? まったく、相変わらず根に持つ奴だな。君は」

「うるさい。……でも、ちょうど良かったから、文句は後回しにするよ」

「それは良い。漸く分別が分かってきたじゃないか、フェレットもどきにしては」

「……オイ」

「そう吠えるな。場を和ませるための軽いジョークだ」

 緊迫した場であるのに、年頃の少年同士らしい口喧嘩を始めた二人に、思わず拘束されたシュテルやレヴィのみならず、ディアーチェまでもが面食らった。

 とりわけ、ユーノに関しては先程までとはまるで異なる印象を受けてしまう。

 ただ、それはふざけているわけではない。

 寧ろそれは、刃を研ぎ澄ますための研鑽の如く。

「……はぁ……。もういいよ。それより頼むよクロノ。さっきみたいにへばってる暇はないんだから」

「言われるまでも無いさ。

 君の方こそ、肝心なときに結界を解かれて逃げられた、なんてことにだけはならないでくれよ?」

「分かってる。――それじゃあ、頼むよ?」

「ああ、任せろ。伊達に遅れたわけじゃ無い」

 二人のやり取りは、次第に研ぎ澄まされた刃のように収束していく。

 そうして、最後に二人は軽く手をパンと張り合い、互いの意志を確認し合い、自身の相棒(あくゆう)の名を口にした。

 

 

「「――前(後ろ)は任せたぞ、ユーノ/クロノ……!!」」

 

 

 欠けていた役者が舞台に上がった。

 二人の少年が抱いた決意が、物語(たたかい)の第二幕を開け放つ。

 

 ――――そうして、過去(いんねん)未来(あす)を賭けた戦いは、また更に加速していく。

 

 

 




 どうも、駄作者こと形右でございます。
 今回は少し節目と言うこともあり、こちらでも『あとがき』を書かせて頂こうかと思います。とはいえ、第十八章のまえがきの警告にもあったとおり、どっちかというと後書きのメインは言い訳タイムな感じですけれども(汗)

 兎も角、まずは読者の皆様方に感謝を。
 話数で言うとちょうどコレで三〇話目になり、UAも四〇〇〇を突破致しました。
 此方でも投稿を始めて約二ヶ月……。非常に多くのものを頂けたと思っております。特に、こちらで文字の感想を貰える機会が多くなったのは、話を書く上で非常に励みになりました。
 ここまでお付き合い頂けて光栄です。そして、今後も楽しんで頂けるようなものを書いて行ける様に頑張りますので、よろしくお願い今します。

 と、感謝の意を表した後には何なのですが、ここからは今回の話の補足と言う名の言い訳タイムになります。
 とはいっても支部のほうと説明は同じなのですが……。恐らく伝わりづらかった、もしくは個人的に多分此処は説明しておくべきかなと思ったところや、話の流れなどをざっくり解説していきます。もし突っ込むべき部分がありましたら、今後出す活動報告へのコメントやメッセージなどで頂ければお答えできるかと思います。

 では、話の流れに踏まえながらところどころの解説は以下の通りでございます。

『なのはVSユーリ』のパートから入ったのはここまで出番なかったからというのもあるのですが、最後のシーンで二十章を終わりにしたかったからというのが大きいですね。加えて、そこになのはちゃんからユーノクンへ向ける信頼と自分の相手を助けたい執念をいれたいというのも。
 あとは、あまり台詞を交えない戦闘の勢いを出そうと藻掻いた部分もあります。
 ただ、そういう意味で言うと、戦闘が一番書きやすかったのは『アミタVSイリス』かなぁと個人的には思います(……まあ、イメージを文にしきれているかはちょっと不明ですが)。
 でもとりあえず、『アクセラレイター』と『システム・オルタ』をぶつけたかったというのが先行した部分もあります。イリスの防護服(スーツ)である『アスタリア』は腕力などの補助に秀でている様な感じの説明があったので、回避システムと単純な強化の戦いの差を出してみたいなぁと。
 なお、イリスがアミタにした腹パンはまんま『NARUTO』の少年編における終末の谷がイメージ元ですね(笑)
 速度が速くても、結局は捕えられれば吹っ飛ばせるみたいな感じで。
 その先はとりあえずアミタお姉ちゃんボロボロになっても諦めないシーンと、イリスが邪悪に嗤ってるのを書きたかった……。光を失わない鋭い瞳と、それを嘲る瞳の交錯ってよくないですか?(オイ
 で、そこから更にマテリアルズとの戦いに行く訳なんですけども……。
 ユーノくんが善戦しているような書き方しましたが、実際はすっごいズタボロです。前にヴィータちゃんに言わせたとおり、思い切りは良いので『必要であるなら』なのはちゃん同様に自分を省みなさそうだなと思ってこうしてみました。
 ただ、そんな状態でも死中に活を求め続けるユーノくんの執念を書いてみた感じです。
 ……何か今回全体を通して執念出したがりだったと今気づきました(人はそれをワンパターンと呼ぶ。……すみませんでしたっ)。
 なお、ディアーチェの使ったのが『ジャガーノート』ではなく『エクスカリバー』なのはシュテルとレヴィに合わせた結果です。
 シュテルのLBはあまり違和感ないですが、レヴィはRefの元であるGoDでは本来FDBは『雷刃封殺爆滅剣』なんですが……Refで出たのは(恐らく)BoAの方の『空雷刃滅殺極光斬』を元にしたと思われる『蒼破・極光斬』だったので、多分Detではなんだか仕切り直しが入るっぽいのでそこでパワーアップが行われるんじゃないかなぁと。
 それで今はまだ、きっと最強技が究極技になってない前段階かなぁと思いこうしてみました。
 なお、はやてちゃんとのエキシビションが布石になったのはかなり偶然です。シーン運びをしていて、一息で葬る宣言からなんとなく想像して行き、こう言う流れにもっていったらそれっぽいかなぁと思い使ってみました。
 で、そこから更に悪友登場で〆です。これがこの節目に持ってきたかったシーンでも、ナンバーワンでした……本当に此処で出せて良かった。
 マジでほっとんど出番作れずにクロノくんを、ただのやられ役で終わらせたくなかったと言う気持ちが逸りこんな感じに。Detでもイリス戦にでるらしいので、ならもうコレは相棒ポジに置くしかないでしょう! と。……大丈夫かな。SLBこないよね? LBも。大丈夫です最後の方でもっかい矛と盾のパートある筈だから!

 はい、寒いギャグ入ったところで今回の補足は大体終了でございます。

 こちらではページ分けの機能が無いので、後書きとしてはそこそこ長いので載せるべきかは迷ったのですが……今回は色々細かいところを書いてみたつもりでも、勢い重視で書いてたため粗が多く、説明はしておくべきかなと思い載せることにしました。
 ですが、そういった部分も踏まえて今後をよりよくする為に繋げていこうと思っているので、今後も楽しんで頂けるように頑張ります。

 長々と後書きを書いてしまい申し訳ありません。
 今回もお読み頂きありがとうございました。
 次回以降も楽しんでいただけるように頑張りますので、今後もよろしくお願いいたします!


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