バ烏さんには「時間は止まってくれない」で始まり、「だから、その瞬間までは」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば8ツイート(1120字)以内でお願いします。
shindanmaker.com/801664

 こちらのサイトでの課題(?)をやってみました。
 ツイッターで腐らせとくのもアレなので、せっかく1000文字以上だったし上げてみようと。

※語り手は癌です。その表現を不快に感じる方、バックをお勧めします。

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病床に臥す

 

 ‪時間は止まってくれない。‬

 

 ‪それは絶対的な事実。‬

 ‪だから、どんなに私が嘆き、怒り、絶望しようとも、私のタイムリミットは刻一刻と近づいてくるのだ。‬

 

「末期のすい臓がんです」

 

 お医者様から告げられたその言葉を、私は受け入れることができなかった。

 

 ある朝、背中に走った激痛。

 その激痛に跳ね起きた私は、息も絶え絶えに母を呼び。

 母に連れられるまま、なんとか病院へとついた私。

 

 そんな私が宣告されたであろうのはステージIV。

 私の身体は、全身に癌が転移し、既に治療困難なレベルまで侵されているようだった。

 

 両親やお医者様は私にショックを与えぬよう、『検査入院だ』なんて言ってくれたけど、自分の身体は自分が一番わかってる。

 

 ……本当は、気づいていたのだ。

 明らかに異常なペースで減っていく体重に、ズキズキと痛む身体。

 

 心配かけまいと、黙っていたのは駄目だったようだった。

 

 ——唐突な話だが、私には幼馴染がいる。

 

 この世に生を受けてからずっと、18年間……そうか、18年。もうそんなにと喜ぶべきか、もうあと少ししか無いと嘆くべきか。

 

 まあ、その間ずっと連れ添った……いや、やめよう、なんか夫婦みたいだし。

 その間一緒に過ごして来た男の子がいる。

 

 髪を目元まで伸ばし、伊達のくせに丸眼鏡なんてかけて、クラスの隅っこにいるような男子。

 

 自分でも謎だけれど、私はいつの間にか彼に惚れてしまっていたようだ。

 

 誰よりも気弱で、軟弱で。

 そのくせ誰よりも優しくて、私のために——。

 

 そう、私より弱っちい……あはは、もう弱っち"かった"になっちゃってるのかな。

 私より弱っちかったくせに、私が苛められていたとき真っ先に助けてくれたヤツ。

 

 その後私の代わりに虐められるようになって、でも抵抗出来るだけの力なんて持ってないのに。

 それなのに、予想できたはずなのにそれでもあの時助けてくれた、バカな奴。

 

 そんな彼に、私は惚れてしまっていた。

 

 毎日傷を増やして帰ってきて、私が手当てしてあげても『なんでも無いよ』なんて笑って言っていた彼。

 私に、心配かけまいと。

 

『ばーか、気づいてるっつーの』なんて心の中でいっつも思ってた。

 笑っちゃうくらいお人好しで、笑っちゃうくらいウソがヘタな彼。

 

 ——ああ、やだなぁ。

 死にたく、無いなぁ。

 

 学校に行けなくても、部活がもう出来なくても、お菓子がもう食べられなくても。

 

 彼と過ごす時だけは、残して欲しかった。

 

 ほら、彼が今日もお見舞いに来てくれた。

 弱ってるところなんて見せられない。

 

 精一杯強がろう。

 それで、精一杯彼に甘えて、赤面させてやるのだ。

 

 私に残った時間は、もう幾ばくもないけれど。

 

 ああ神様。せめて、この短い時くらいは、幸福でいさせてくれますか?

 

 私の60年を奪ったんです。

 だから、その瞬間までは。

 

 

 


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