ちゅーか、俺様がこんなとこにいるのは間違ってる絶対   作:ビーム

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俺様、お金の計算をする。

よお。俺様だぁ諸君。海堂直也様だ!俺様はただいま、お金の計算ちゅーのをやりくりしてる最中だ。シル嬢から紙と書くモン借りてきてな?脳みそとペン先をフルスピードで走らせてるワケなのよ。ちょうど休憩中なんでな。有意義な過ごし方だろ?

 

今いる場所は、俺様向けにしつらえられた俺様だけのプレシャスルーム。ちなみに男だっちゅーもんでオナゴと相部屋なんちゅーのは特にない。隣から和気あいあいとして女子どもの世間話が壁から漏れ出る空っ風吹いた部屋。まだまだ俺様らしさが足りない部屋だ。

 

よなよな、壁に耳を当てては盗み聞きターイムなんてのも堪能できる。だがよ、この前いきなり緑髪の悪魔にドア開けられてからはご法度になっちまった。

 

 

 

『何をしていたんですか?』

 

『違う。弁明の時間をくれ』

 

『一応、どうぞ』

 

『うん、これはだな。その‥‥ワタベアツシの建物探訪ごっこ…っちゅー遊びだ!な!?壁の素材を堪能する遊び、です。俺様んとこで流行ってたのよ~これ!地元の小学生みぃんなやってた』

 

『‥‥‥』

 

 『見ててほら、こう遊ぶんだよぉ?い~ぃ壁ですねぇこれ。材質から違うってすぐわかるンだわ、キスしたくなるような滑らかさですよホントマジ、ちゅっちゅ』

 

 

 

そのあとの顛末は、皆さんもおわかりの通り。めり込むほど濃厚なキスが余儀なくされました。いまだ熱いヴェーゼの跡がくっきりと残る壁を背にして、静謐な部屋にガリガリと受験生みてーな筆音だけが耳に入る。夜になったら、また騒音にもまれながら重労働が待っている。こんな繊細な作業は昼前にやるに限るわ。

 

 

「えー、日々の収支が宿代飯代もろもろ引かれて300ヴァリスぅ…ぐれーか?」

 

うん、安月給。とんでもなく。

1日で300ヴァリス、1週間で2100ヴァリス、んじゃあ単純計算で30万ヴァリスに到達するにゃあ、何日働きゃいい?

 

 

「‥‥えー、えー、…なんっ、めンどくせぃっ。あ、電卓カモンナゥっ!」

 

 

脳内で組み立てた数式が音を立てて崩れだす。俺様、みみっちい計算などやらない主義なのだ。時代の利器があるならば、それを使うに越したこたぁねえ。カバンから、お手軽サイズの電卓を持ち出す。なんで、こんなそぐわねぇモン持ってるかっちゅーと、木場んとこから預かってきたもんだ。ちゅーか、持たされた。無理やりね、無理やり。

 

いうに事欠いて『海堂はもう少し金銭管理に気を付けたほうがいい』だとよ!はっ!笑わせんな!自分の金なんだから好きにつ、か、わ、せーっろってんだ!

いいかみなさん、よく聞けよ。俺様、宵越しの金など持たんのだ。ハイ、復唱!

 

 

「俺様、宵越しの金などぉ‥‥ン持たんのだ…」

 

 

ペンを素早く回し、渋いダンディボイスで独り言ちる。俺様の周りにはだれもいないから、気兼ねなく独り言が飛び出してくるのだ。皆さんもありませんか?あるよね?こういう経験。誰もいないから、勝手にしゃべりだす現象。どっかの大学で研究されてるだろ。

 

 

話を戻すと、ここにきてからそんな刹那主義の俺様は鳴りを潜めて、これからはインテリエコノミーライダー、海堂さんの活躍にご期待くださいっちゅうわけだ。

働くことになってから、この電卓を重宝しだした。いままで食わず嫌いしてたのがなんだっちゅーぐらいに便利すぎる。ニッポンのおっかあたちも手放せない代物っちゅーのが身に染みたぜ。さらに、こいつは太陽光で充電するエライ機能付き。充電切れの心配もなく大っぴらに使い放題だ。ほーれポチポチポチっとな。

 

1000という計算結果。

 

 

「・・・・・・・・・ぇ」

 

 

はじき出された計算結果を消去ボタンで抹消。いったん立ち上がってロングブレス深呼吸。落ち着け。落ち着きなさい俺様。

わざとらしく大きな声で肺にためた空気を吐き出した。あのポンコツの計算結果には、俺様が見たくもない数字の羅列が並んでいた。

 

「かぁ‥‥マジかよ」

 

受け入れがたい現実。

だが、何となくわかってた。わかってたんだわ俺様。

 

や、待てよ…

もしかすると天文学的確率で、この文明の利器様がまちごうてる可能性がある。

確認の余地あり。意気揚々と座りなおす俺様。とりあえず筆算でもっかい計算してみるか。

 

そうしてまで俺様が書き出した鮮やかな真夏の数式。

 

紙面上には5桁の計算結果。

つまり、10000である。

 

どうみても計算ミスだな。1000が正解だわ。本当にありがとうございましたってやつだ。でっかく舌打ちしておいてやろう。

 

 

「チッ!…ったく」

 

 

走らせたペンをなげっ転がして椅子にもたれかかり、両手を万歳して天井を仰ぐ。所在なさげにぶらつかせる両手は、ちょうど俺様の心境を表現するにぴったりだ。つまりお手上げってやつだ。

なんてこった。どうやら俺様は、あいつを手に入れるまで・・・・ぇーっと、そうだ。2年だ。2年間ぐれーはたらかなきゃいけねーらしい。んで、プラスあと7か月ぐらい?

へっ!バカげてらぁ!

相当そんときになったら俺様はどれだけウェイターとして成長しているんだっちゅーの。あ、いつしか自分の店とか開いてそうだな。

 

 

『いらっしゃいませ、お客様。2名でよろしかったでしょうか?あ、3名?じゃあこちらの席にどうぞー。今日のお勧めはパスタなんでパスタ提供しますね。ハイ3番テーブル、パスタよろしくぅ!!!!』

 

『『『『『はい(ニャ!)』』』』』

 

『おまたせしました。パスタにございます。よく噛んで音を立てずに頑張って食べてください』

 

『見直したよ…やっぱりアンタただのウェイターじゃなかったようだね』

 

『へ…?いや、嘘だ・・・ま、まさか、あんたは・・・・!?』

 

『…免許皆伝だ。これからは豊穣の蛇主人を名乗りな!』

 

『うおっおっおっ‥お、おっかぁ‥‥!』

 

妄想はここまでにしておく。

笑えてくるぜ。俺様はウェイターとして一人前になる幻想をいつの間にか刷り込まれちまったらしい。そんな暇ないんだよ俺様によ。

 

 

「‥‥っは。んだこれ。あほくさ‥‥」

 

 

下らねー妄想を鼻で笑い、胸にしまい込むと、大きくため息をつく。そもそも3年も働いてたまるかってんだ。俺様は今すぐ金が必要だ。悠長なことはあんまし言ってられん。いつ売り切れるかわからないものをほっぽっておく性分じゃあねえ。

 

「ふ…くぁ……あふ」

 

 

溜息ついでに漏れ出たあくびを噛み殺し、ケツ掻きながらドアに向かう。大金の稼ぎ方はすでに知ってる。ダンジョンに潜って、稼ぐ手段。こいつが一番性に合っている気がする。しかしまぁ、勝手に行くことは許されないので、下の階の連中に許可をもらいにいくとするかね。

 

この空のどこか下にいる俺様ファンクラブの諸君なら知っていると思うが、俺様は以前、勝手気ままにダンジョンに潜り込んだところ、ものごぉっつ叱られた経験がある。

怖いよね、見知った知り合いにどんよりと叱られるのは。どうせなら、烈火のごとく蹴りつけるかのように切れてくれと心ン中で懇願したぜ。

 

 

「待てよ?そっちのほうもそっちのほうで…」

 

 

怖ぇ。

 

…だぁもう、とにかく、もうそんな恥ずかしい経験やらはもう犯したくないワケ。カエルスーツでトイレ掃除なんか、恥辱の日々だったぜ。

だが、お金集めの相談なら乗るとも言ってくれた。全く人間できた連中だよ。

 

あ、人間じゃねぇんだっけか。俺様もだけど。じゃあ、あれか。心ができてんだ。なんにせよ、木場にも紹介してやりたかったぜ。

 

ちゅーわけでよ。真摯に対応してくれるなら、真摯にダンジョンに潜りてぇって頼むしかねえわけだ。

俺様は今そのために、この尊いお頭を下げに行くんだぜっと。

 

とんとんとんと一段飛ばしで階段をおりれば、ちょうどシル嬢と恐怖のエルフが出発する手前だった。

補充してぇもんでもあんだろうな。

ミアの女将特有の豪快で読みやすく書かれたメモを片手に身支度を整えている。

 

 

「なんだなんだ、買い出しか?」

 

 

階段の手すりに寄りかかりながら、何気なく一声かけてみた。

 

 

「あっ、ナオヤさん。そうなんですよ。ちょうど頼まれちゃって…」

 

 

アハハまいっちゃいますよと言いたげに笑うシル嬢。たしかに面倒っちゃ面倒ではあるよな。

ご苦労なこった。

心の中で労いながら、俺様はもう1人の麗人…いやエルフだっけか。

リューを見やる。

 

 

「カイドウも、なにか必要なものはありますか」

 

 

手際のいいエルフ様はテキパキとメモに書く準備をする。俺様そんなつもりで声かけたんじゃないんだけど。ダンジョンに行く許可をもらいに来ただけ。しかしバッドタイミングとはこのことだな。話はあいつらが帰ってきてからでもいいか。

 

 

「えー、あ、そうだな。ジャガま、るン‥‥あっ、待て」

 

 

いきなり首を回して、あいつらから顔を背ける。なかなかナイスな作戦が思いついたんで、思わず顔がにやけちまった!バレないよう、慌てて隠したってわけ。

そうだよ、この状況を利用しない手はねぇだろ!ここはひとつ、男としてあいつらにいい所見せてから、話を始めりゃあ、すんなり受け入れてもらえるんではなかろうか?

よくあるだろぉ?相手の機嫌が悪い時と、いい時とでは、失敗を報告したときの差がデカいっちゅーことがよぉ!!

 

ふたたび勢いよく振り替える。おっと冷静に。俺様はあくまでポーカーフェイスで。バレたらしょうもねぇ。

 

 

「‥‥スゥーっ、あの。だな。」

 

 

きょとんとするシル嬢と静かに返答を待つリューを前にいろんな言葉が頭の中を流転する。

今現在、頭から適切な言葉をとりだしている最中だ。頬を人差し指でカリカリする。カリカリカリ。

 

ちなみにこれは考えながらもの喋るときに、身体が左右に揺れ動く人間のクセのようなもんだ。俺様は無意識の状態だと、身体は頬を掻くようになるのだ。

 

嘘だ。どうでもいい解説なぞ考えるな俺様。まずは、提案という形でアプローチをかけよう、そうしよう。なるべく怪しまれない程度にだな…うん。というわけでオホン。

 

 

「…あのな。まあこれは、俺様からのミラクルでセンシティブなアイデアなんだが…」

 

「…」

 

 

リューの小さな口が、『せんし…てぃぶ?』と音も出さず動く。瞳は怪訝なまま。なんかすみません。

 

 

「うん、そのぉ。俺様、の?俺様、がぁ。お前たちの買い出し、手伝ってやろっか?…っちゅー、話でッヘ」

 

「…え?」

 

「や、だからぁ、重い荷物あるんだったらぁ、俺様が引き受けてやる。うん。」

 

 

軽くなんともないようにその言葉を口にする。

今日は腕の調子がいい。肩を小気味よく回しながら確かめた。ウン、100キロぐらい行けるだろ。

 

 

「………」

 

「…………」

 

「………………ぇ」

 

え?

なんだ?

 

俺様がせっかく運んでやるってんのに、あいつら無反応で動かねぇ。目の前のウェイトレス二人は、耳を疑っているのか、唖然とした表情のままだ。いや、普通に話せた、と思うんだけどな。

 

 

「‥‥」

 

「…」

 

「‥‥‥‥え、なんだ。なんかおかしなこと言ったか、俺様」

 

 

急に不安になって思わず声に出る。

お二方は我に返ると、笑いだしていた。思わず飛び出た笑いって感じ。

ちゅーか何を笑えることがあんだ、ったく!

居心地悪そうに眼をそらす。

逆に荷物持たせてやってもいいんだぞこいつらめ。

 

 

「あ、…いえ、手伝っていただけるのなら助かります」

 

「ごめんね。ナオヤさん、あんまりらしくなかったから、びっくりしちゃいました」

 

「‥‥ンだよな!ははっ!ありがたーく思いなさーい!」

 

 

愛想笑いを繰り出す中、俺様は心の中でガッツポーズをとる。

いよしゃあ!結構らくちんにいきそうだなこりゃ!あとは、なるべくあいつらの機嫌がよくなるように荷物持ち、太鼓持ち、ケツ持ちして、頼みやすい雰囲気に持ってってやる!

そっからなんとなーく、自然な感じで切り出して、うまいことダンジョンに行く許可をいただけりゃ文句なしだ!

手すりの勢いよく飛び乗って、スライダーのように一階に飛び立つ。体操選手のように決めポーズを一瞬取ると、すぐさま準備をした。

 

 

「んじゃま!どこ行きゃいんだ?教えなさい。」

 

 

‥‥んでもやっぱ、あんまり重いものじゃないといいんだがな。オルフェノクでも腰をやられるとたまらん。

とかなんとか考えながら連ちゅーの買い出しに付き合うことになった。

 

 

 

 

 

 

時は流れて、正午を過ぎた。

 

 

「ありがとうございます。ナオヤさん。その、色々持ってもらっちゃって」

 

「んあぁ気にすんな。これくらい大したこたぁない。これからもドンドン、俺様を頼りなさい!」

 

「ふふっ、そうですね。じゃあ、これからも色々と付き合ってもらおっかな~」

 

「以前よりも積極的ですね。ミア母さんの教育の成果でしょうか」

 

「違うねぇ。俺様が決めたことだ。俺様は真人間として生きる道を選んだ。こっからの俺様はあっという間に成長するっ。ぼやぼやしてっとぉ、置いてかれんぞ?」

 

「…ふ。そうですね、私たちも、負けていられません」

 

 

他愛のない雑談を交わしながら、材料の入った袋を小脇に抱え直す。

太陽は雲間からゆっくりと照り付けたり隠れたりして温度変化が著しい。俺様、これでも一応変温動物なんで。そういう違いの分かる男なんですよ。

 

まぁ、そういうどうでもいい話は置いてといて、ちょうど目星のもんは買えた。たったいま、店から出たトコだ。

 

そういや気づいてたか?ここに来るまでの途中、俺様の黄金のセンスがあるものを複数キャッチしていた。

 

そう、道行く冒険者や市民どもの羨望と憤怒のまなざし、および愚痴である。

 

連中は、「豊穣の女主人に居座る不届き野郎」だか、「美人ウェイトレスをつけ狙う変態」、「ハーレムドグサレウェイター」だとかなんとかのたまい、ひたすら熱い眼差しを俺様に照射しやがる。

 

怨嗟、怨恨、全て諸行無常。んなもんどこ吹く風だぜ。

 

そういう嫉妬にゃあ学生時代になれっこだった。つまり、耐性がついている。いくら罵倒を受けようが、俺様には効きゃあしない。むしろ心地のいいもんだった。

 

だがな、今回はちがう。逆にな?俺様は、なんでか酒場での立場が低いのだ。

ハーレムだ?とんでもございません。ナメられとるよ若造どもに。

 

そんな苦労もわかっとらん野郎どもには俺様が直々にお尻ぺんぺんしてやるからそこに並べ!ったく!

 

愚痴を脳内でこぼしにこぼしながら、右にシル嬢、左にリューと並んだ状態で街路を歩く。

 

こんなの、どこが美人ウェイトレスだってんだ?連中の内面を知ったらお前らだって、『大変だったねぇ海堂さん』とか労うようになるぜ?ちゅーか知ってんだろあいつらの苛烈さを、知っててなお俺様に嫉妬心を向けてくる奴は相当の変態に違いねぇ。見てみろ、きれいな花にはトゲがあるもんなんだよ。

 

俺様、トゲの確認はとっくに済んでいるため、改めて美しい花の部分をチェックしてみる。談笑を交わす二人に適当に相槌を打ちつつ、左右の顔をチラチラ見やってみた。

 

‥‥改めて見ると、レベル高ぇな。透明感のある18とクールビュティな21ね…

俺様といい勝負ができるってとこかな?とこだな!

 

 

「‥なんですか」

 

 

あっという間に気づかれた。本当になんかの達人なんじゃねーのか?と思うくらいの反応速度。思わず目を背けて、なんでもない、と小声で口にする。

 

だがこれは羨望のまなざしも仕方ねぇ。マジに美しいうえに強いってか。そんな間に挟まれる俺様はまさに両手に花っちゅーわけだ。

 

右手が白銀の百合。

左手が深緑のバラってとこだな。トゲあるし。真ん中は俺様こと黄金のマリーゴールド。

 

完璧。

 

クリーニング屋の店主、きっと俺様のこと見たら妬いちゃうぜ?そう考えると案外俺様はなかなかの楽園を過ごしているのかもしれない。 すまんな寂しい冒険者諸君。熱い掌返し。これも俺様のいいところなのだ。

 

 

「もう帰ってる途中だけど…みんな他の用事とか、なかったよね?」

 

「私は特に。カイドウは」

 

ここだ、と確信する。さすがシル、ナイスパス。

ここで俺様はいよいよ相談の打ち明けをするとしよう。

ぅうん。咳払いを小さく済ませて、手を挙げる。

 

 

「うむ、俺様も帰宅に賛成だ、が!ちゅーかお前ら、歩きながらでいいからちょい聞いてくれ」

 

 

挙げた指でちょいちょいと手招きする。自然と二人は俺様の言葉に耳を傾ける。

 

 

「どうしたんですか?ナオヤさん」

 

 

カワイく首を傾げるシル嬢と静かに聞くリュー。いよいよ正念場だな。切り出しにかかるとしますかい。

エヘンヘン!う‘‘ん!ん!

 

大きく咳払いすると、優しいまなざしで二人を見つめ、話し出す。

 

 

「…お前らに、相談したいことがある。俺様」

 

 

一呼吸置く。

 

 

「お金が欲しい」

 

「…はい」

 

「お金、ですか」

 

「そ、そ。金、コレ」

 

 

そういって、上がった指は輪っかをしきりに示す。

双方の反応はさまざまだ。

む〜、と識者ったらしく唸る銀髪と、あえて何も言わなくなる緑髪。

リューは何かを察したようだった。

 

指をピンと立てたシルは、俺様にわかりきった指摘を飛ばす。

 

 

「‥‥でもナオヤさん。お給金があるじゃないですか」

 

「だぁから!それだけじゃあ足りないのよ!俺様にはもっと活動資金っちゅーのが必要、なの」

 

 

今度は両手の指で輪っかを作り、より強調しながら、適当な御託を並べ我を押し通す。活動資金っちゅーのは、あながち嘘でもない。

 

突然、何かを思いついたように、あっ、と声を漏らすシル嬢。

明るそうな表情からして俺様に何かしらアイデアをくれそうだ。

 

 

「んむ。何か思いついたようですね。よし、言ってみなさい」

 

「はい。じゃあ、私が他の仕事を紹介するというのはどうでしょう?」

 

「シル、それはいつもの業務に支障が出るのでは」

 

「…んー、でも手早くお金が欲しいなら…多少の犠牲はつきものかなぁって」

 

 

ンなるほど。シル嬢からは、バイトの掛け持ちの提案だ。

なかなかのスタイリッシュなアイデアだな。俺様が過労死するかもということを除いて。

ちゅーか、最後の発言残酷すぎない?

 

 

「シル、シル嬢よ。あの、すでに私が働いてる職場はブラックを極めているんですけども」

 

 

イヤミったらしくネチネチとした言動。表情はいかにも『嫌です辞退願います』っちゅー顔で抵抗、拒否の姿勢を見せてみる。見てこの顔。絶対やりたくないって顔だよ。

 

 

「いえ、毎日ずっとじゃなくて、えっと、朝から昼まで他のお仕事して…それから酒場のほうの開店時間まで休憩をとってコッチに参加してもらえれば‥‥いけるかな?」

 

「では、店内準備などは、カイドウが来る以前のように私たちが担当しましょう」

 

「そうだね」

 

「……あの」

 

 

目の前の美女二人にこの顔は通じない。むしろ、意見を押し通してきた。この顔が見えねぇのかな?

さっきのリューさんだってさ、なにかしら察して目を伏せてたじゃん。あの機敏さはどこにいったんだよオイ。

 

 

「大体お昼をずっとすぎたあたりから店内準備が始まっちゃうから…あんまり休憩できないかもしれないけど。辛かったら教えてくださいね」

 

「あ、あ、あ、おぉん…」

 

「…待ってください。やはり朝方のバイトだとカイドウの生活習慣的に無理があるかもしれません。始業時間に遅れて台無しにする可能性を考慮して、昼からにしておいたほうが安定しているのでは」

 

 

話がドンドコ進みだす。

勝手にドコドコ走り出す。

俺様の声ははるか彼方。

2人に何故か届きゃしない!

敷かれたレールの上を走らされてる気分だ。第二次反抗期が来るよコレ。なめんなよぉ。

 

‥‥ちゅーかやだ、俺様の具体的な生活リズムまで把握されてる…!?

 

 

「…いや、おめーにそんなこと心配される筋あ‥‥」

 

「でも、夜からの仕事にしか参加できないから、多少コッチのお給料も下がっちゃうし…ナオヤさん連続で働く流れになっちゃうよ…お客さんの相手には、やっぱり事前の休憩が必須かも」

 

 

3人の会話から、2人だけの会話になる。いつの間にか世界から孤立したようだ俺様。

存在が透明にでもなっちまったのか?まったく会話に参加できねぇ。

 

 

「きいてる?おれさまのはなし」

 

「…それは確かに、そうですね。というよりカイドウ、これからは早く起きるようにしてください」

 

「ナオヤさん、起こすの大変なんですから」

 

「あ、あ、あ、あさ、オキル!?オコスっ!?」

 

「30分も時間を取らせないでください」

 

「昼まで寝てるのは、ちょっと…」

 

「だからちょぉっとまてぇい!」

 

 

止まらないブラック労働計画の進行を想わずさえぎる。びく、と身を揺らす二人。

全員が立ち止まっちまった。

ちゅか、おまえらは俺様の母ちゃんか何かですか?

なんだ!朝早く起きるって!

母ちゃんか何かか?

2回言ったぞ俺様!

 

 

「さっきからなんだぁ!?無理がある!あります!さすがにぃ!俺様ァやるとは一言も言ってねーぞ!!ストップストップ!」

 

「…すみません。肝心の本人の意見を忘れていました」

 

「…んでも!一応、聞いとく!それってぇ、どんなバイトだ」

 

「ナオヤさんの大好きなジャガまるくんのバイトです!売り子の人の」

 

 

俺様はさらに顔を歪める。

あー、だめだ。ただでさえサービス業の嵐を夜に迎えてるっちゅーのに、昼からも接客とか勘弁だ。

 

呆れたように天を仰ぎ、空を見つめる。

ああ、空って青いな。白って雲いな。

この空はいつまでも続くんだろな。

 

進む足は、路地裏へと続く。

少々治安がデンジャラスだが、もっとデンジャーなのが横についてるので問題ない。

 

 

「ちゅーか!そもそもだな!俺様今から大事な話するから、よく聞けよムスメっ子ども」

 

 

20代のやつ1人いるけど。

 

俺様の講釈が始まる流れを機敏に感じ取り、エルフはまた始まったのかと言いたげに静かにため息を漏らした。オメー、俺様の話はちゃんと聞いといた方がいいぞ。今回はマジのやつだからな。

 

 

「あのな、いいか?確かに俺様ァ、ジャガ丸くんは好きだ。だがな、好きなものを仕事にするとろくなことねぇんだ。ロクなこっちゃねぇ」

 

「ろくでもない、ですか」

 

「そーう。ロクでもない、だぜ。人間ってのは不思議でな。おんなじことの繰り返しは大抵あきるっちゅーんだ」

 

「はぁ、はい」

 

「いくら俺様がジャガ丸くんフリークでもな?長時間顔つき合わせてるとな。好きなものが嫌いになっちまうんだ。いやだろ?やだね!俺様は!」

 

 

だから俺様、この仕事はキャンセルだと、大袈裟な身振りで熱の入った講釈を垂れる。

優秀なシルさんは納得したような面持ちでポンと手を叩き、リューさんは前方を見据えて、聞いてるのか聞いてないのかわからん。

 

 

「飽きる、ってことですよね。確かに、ずっと同じだったら、ちょっと、ね」

 

「うんうん、わかってくれたか。それでな、ここからが本題なんだよ」

 

そう、ここからが本題。俺様の次の言葉を待っている二人だったが、うち一人が、何かに気づき、声をあげた。

 

 

「…まさか」

 

「そう、そのまさか、だ」

 

 

察しがいいな、リュー。そういうとこは、お前のいいところだ。

 

 

「…」

 

「俺様を、その、ダンジョンに行かせてほしい、わけ」

 

 

声のトーンが幾ばくか下がる。俺様は今、無理を承知で正直に話してみた。

空気が、しんと静まり返る。誰にとっても気まずい、いやな雰囲気が流れだしたのを感じた。

どうにもいたたまれなくなって、髪の隙間から覗けば、シルの表情は驚きと心配の影を見せていた。あのとき、相当心配させちまった。そんな顔するのもしょうがねぇ。

 

 

「そ、そんな、いきなり…」

 

 

思わずシルの言葉を手で遮った。

 

 

「わかってる。わかってんだ。でも、聞いてくれ」

 

 

勝手に潜った手前、何を抜かしてんだと思われるかも知れねぇ。

両手を付き合わせて、いつになく熱弁する。

 

 

「あの楽器のこと、ですね」

 

「そう。前にも話したろ?俺様天才だったのよ。いろんなコンテスト回ってさ、賞なんざバンバカ獲ってた」

 

 

今、俺様はすべてを話すつもりだ。

饒舌に回る語りとともに、俺様の脳裏にあの青春が流れていく。本当にいい時代だった。

逆に言やぁ、俺様にはあれしかなかったわけだが、それでも、譲れない何かを持っていたことは誇らしかった。

 

 

 

 

 

「あれな、ギター、っていうの。あれで、世界中のだれかを感動させてやれる。そんなギタリストになるのが俺様の夢だったんだ」

 

 

 

 

 

思い出を語る俺様と、静かに聞くオーディエンス2人。ひっそりとした告白だった。

どこまでも続く遠い空。見つめる俺の目には、黄金のような夢の続きが流れていた。

 

大学の前で頬を叩き、気合をいれた思い出。

 

立派な先生に熱心に技術を教わって。

 

後輩や同期どもの、尊敬のまなざしや注目を受けて。

 

賞だって獲った。

 

いくつもぶんどってやった。

 

それでもって真摯に向き合い続けた。

 

そして。

 

どれも今はまぶしくてまともに見れそうにない。

 

 

 

俺の左手を雑に揺らして見せた。黒いグローブが付けられた、俺様の黄金の指。

花火のように、ぱっと開いた。

 

 

 

「ここ、事故でダメにしちまってよ。全部パァになったんだ」

 

「そんな…」

 

 

 

悲し気な声が返ってくる。それでも、俺の心は穏やかだった。前に木場たちに話したときは、張り裂けそうなくらい辛かったというのに。

 

 

「そして今は、俺とおんなじ指をしてるやつが来て、代わりに‥‥弾いてくれてる」

 

 

あの一年坊、元気してっかな。そんな言葉を心に呟く。この遠い地で、俺の言葉が届いてるかどうかなんて、わかりゃしねぇがな。少しばかり、自嘲する。そのときに生まれた笑みを浮かべたまま、話を続けた。

 

 

「だから、良かったんだ。俺を縛る呪いを外してやることができたんだからな」

 

 

だから捨てた、ということも軽く笑いながらつぶやいた。

窓から放り投げて、跡形もなく。これが、俺なりのケジメの付け方だった。もう二度と迷わないようってな。

いきなりのことに驚いたのか、二人の表情が、険しくなったのを感じた。

 

 

「そんでもって、外したはずのあいつが、あんときのまんま、置き去りになってんだ」

 

 

重々しくリューが口を開く。

 

 

「どうするつもりですか」

 

「っはん、決まってんだろ。あいつのケジメはもう、俺様つけてあるからな」

 

 

黄金だった指を強く握りこんだ。

 

 

「ですが、そのようなことは」

 

「俺が認めるだれかが使ってくれるんなら、1から教育してやるよ。でもな、多分、ダメだろ。そんで、骨董品扱いされるくらいだったらよ。せめて俺の手で」

 

 

頼む、という言葉を、消え入りそうな、というより、すでに消えている音量で唇にのせる。

目の前の二人は、もう何もしゃべってはくれなかった。

 

 

「…そのぉ、…俺様が悪かったよ。前の件とかさぁ、色々。な?すまん」

 

 

頭を微妙に下げてるため、2人の顔は伺えない。一体、アイツらがどんな顔してどんな気持ちで俺様の話を聞いているのかはわからん。

 

ただ、俺様の周りの温度だけが上がっていくのを感じる。

 

俺様はもう一度、顔を上げて、二人の目を見つめた。

どこか迷っているような瞳をしていた。あの一件があってのことだ。うれしいことだが、今の俺様には前に進む必要がある。

 

 

意を決したように、うなずき、俺は深々と頭を下げた。

 

 

「…っ」

 

「頼む。俺様に…その。許可、許可をくれっ。ダンジョンに行く許可をっ。ンン迷惑だけはぁ!かけねぇからよっ」

 

 

さらに頭を下げる。

ぺっこりと90度。誠意だけでも伝わるように。

 

 

「頼む。お前らからも、…他の奴らの説得に、協力してくれっ」

 

 

静寂は続く。

その間、数秒ほど。

わずかだが、倍以上の体感を俺様は一身に受ける。

遠くからは往来の喧騒がゆっくりと遅れてやってきた。

 

 

「ナオヤさん。頭を、あげてください」

 

 

何か声が聞こえたような気がした。

一度だけ頭を上げかけるが、もう一度下げたまんまにしとく。

 

 

「…よ、夜の仕事にはキッチリ間に合うように、する。約束する!その、朝、早く起きるようにも…努力すっから」

 

「カイドウ」

 

「お前らがぁ、やって欲しいことがあんなら、その、先んじてやっから!なんでも手伝っちゃう!手伝いますからね俺様!」

 

「カイドウ」

 

「はっ、ははあいっ!」

 

 

 

 

肩にあったかい何かが触れられる。

掌だった。

 

 

飛び上がるように頭を上げ、後ろに跳ねる。

 

 

視界には、柔和な笑みの仲間が2人。

俺様の肩に視線をずらしてみたが、もうそこに掌はない。

 

 

結局誰が、俺様に触れたのかはわからなかった。

 

 

「…えっと、これは何かお叱りでも受けるながれ…」

 

「ありがとうございます。私たちに、話してくれて」

 

「へっ?」

 

 

ありがとうございます?

何がだ。

俺様、なんかいいことしたか?

納得のいかない顔がつい、表に出ちまう。

対するシル嬢は、見るものが安心できる笑みで答えてくれた。

 

 

「ナオヤさんって、ずっと、ずっと悩んでいたじゃないですか」

 

「……ばっ、バレ、とる」

 

「みんな、わかっていましたよ」

 

「そっ、そーなの…」

 

 

…確かに、思い起こしゃあ、確かに俺様、休憩時間にいちいち見に行ったりとか、値段確認したりとか、チューニングしに行ってたもんな。

 

どこに行くかなんて伝えてないのに、どうやらあのシル・フローヴァにはお見通しだったらしい。

 

いや、リューの言う通り、全員にほぼバレてるだったか。

 

 

「でも、ナオヤさんって全然私たちを頼ってくれなくて……」

 

 

いつも明るく振る舞ってくれるけど、とシル嬢は困ったように微笑んだ。

 

 

「みなさん、カイドウのことを心配していたんです」

 

「……あー、うん」

 

 

ちょっとした気恥ずかしさで生返事になる。頭をぽりぽり掻きたくなるが、荷物を抱えているので、どうにもならなかった。

 

 

「やっと、やっとナオヤさんが頼ってくれたみたいで、私…嬉しくなっちゃって」

 

「……あっ、そか。そっか、はは。ンなら、いんだ」

 

 

なるほど…な。本当に根が良くできたやつだ、シル嬢。木場も長田もきっと気にいるぜ、こんな人間は。

 

…いきなり、ずっしりとのしかかっていた肩の荷が、降りた気がした。

実際、持ってる荷物は重いわけだが、精神的なものはもっと、ずっと楽になった。

 

もっと早く楽になれそうな気はしていたが、俺様のプライドが、まだ降ろすなと邪魔をしていたのだ。

 

 

「それに、気持ちもわかります。どうしても欲しいものがあって、それを手に入れようとするところ!私もありますから。昔の夢なら、なおさらですよね!」

 

「…ん?そうか!わかってくれるかシル嬢ぉ!」

 

 

そんな気は全く感じられねぇが。

シル嬢って実は肉食系?

そういうなら?

ちゅーか、何が欲しいんだ。とか聞いてみるが、秘密です!とかなんとか言って教えてくれなかった。

ケチ。

 

 

…まあいい!

 

とにかく、これって、つまりさ。

そういうことだっちゅー話だよな。

そういういい流れに、なってきてるな。

俺様とシルは晴れやかな笑顔を互いに向けながら、言の葉を交わす。

 

 

「…つまり。俺様は、ダンジョンにぃ、潜って良いと。いうわけだな!」

 

「あ、ダメです」

 

「あっ、ダメぇ、なのォ!?!?!?」

 

 

思わず大きくずっこける。2人の視界から、俺様は勢いよく下にフェードアウト。

あ、荷物は無事です。ちゅーかコレそういうフラグだったの!?なんだっ!新喜劇かよ!勘弁してくれぇ!

 

 

「だ、大丈夫ですか!?今、顔から突っ込んで…」

 

「あ、いやいやいや大丈夫大丈夫ヘイキヘイキ。ホラ、なんともない」

 

 

心配してしゃがむシルを横目になんとか立ち上がる。身体のほうにも心配かけるわきゃいかんだろう、俺様は丈夫で名を馳せてるところあるからな。

 

んで。 

 

 

「んで、ダメ、っていうのは、ん、なんなんだ。納得できる理由、理由を述べてください。はい」

 

「…理由としてはあなたを危険な目に晒すのは本意ではない」

 

 

凛とした表情で最もな理由を突きつけられる。ぅぐ、と声にならない呻きが喉から響く。

 

悔しいが正論だ。俺様の玉のような肌を傷つけるのは、国宝級の損害に等しいからな。その辺わかってるのはリューのいいところだ。

 

 

「…本来、ダンジョンというものはギルドが管理しており、登録を行わなければ、門前払いが決まってます」

 

「…ぼ、冒険者ってやつか。まあそういうルールがあんのね」

 

 

にしては、俺様、なんでか入れたよな。結構杜撰だったのか?警備員はいるにはいたが、俺様のことは見えてねぇようだった。

 

 

「んじゃ話ははえーや!俺様はそのギルドに登録する必要があるっちゅーわけね?」

 

「その前に」

 

 

ん?前に?

リューが一呼吸を置いて俺様に向かう。

 

 

「う…」

 

 

嫌な予感しかしねぇ。

生唾を飲み込んで、次の言葉を待つ。

 

 

「カイドウはミア母さんに認めてもらう必要があります」

 

「…ああ、やっぱそう?副業は店主に一言入れとかねーと…」

 

「さらに」

 

「さらに?」

 

「他のメンバー全員から、あなたがダンジョンでやっていけるかどうか、認められるまで許しません」

 

 

な…に?

 

思わず口からな…に?が漏れ出す。

 

文句も出そうになる。

そんな認められるとか必要あるか普通?

 

あいやまたれぃ!

寸前で唾にして飲み込んだ。

いや、必要あんだろうな。きっと。

コイツらが言うんだもん、多分間違いはねぇだろ?大人しくいうことを聞いておくにこしたこたぁねぇ。

 

 

だが、認められる?

どういうこった。

認めてもらうにはなにをすりゃいい。

 

 

「…じゃあ、認められるにはどうしたらいい、俺様。床磨きの世界記録更新でもするか?」

 

「……そうですね、まずは」

 

 

 

 

 

私たちと模擬戦を受けてもらいましょうか。

 

 

 

 

は?

 

 

今度は、はっきりと文句が出た。

 


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