ちゅーか、俺様がこんなとこにいるのは間違ってる絶対   作:ビーム

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クリスマスプレゼントです。(大遅刻)


俺様はどこから来たのか

カイドウ・ナオヤ。

 

不思議な男だ。

私が初めて彼を見たとき、雰囲気からとんでもない甲斐性なしがひしひしと伝わってきた。

シルの優しさにつけ込んだダメ男だと。私はこういう輩からシルを守らなければと胸に誓ったほどだ。

 

しかし、今となっては幾分かマシになり、仲間ともよく打ち解けている。アーニャとシルに至っては彼の立案で我流の飲料に思考を巡らせるなど、店への貢献も促している。

コレも彼の性格がなせる技なのだろうか?

 

また、戦闘能力も高い。

とてつもなく強いわけではないが暴漢を叩き伏せるまでの腕っ節はあるようだ。

 

この前ルノアと彼が力比べをしているのを見た。確かアレは、彼がルノアに使いを頼まれた日だった。

 

向かい合って互いの手を握り、肘をテーブルにつける。

審判者が開始の合図を告げると同時に相手の手の甲がテーブルに着くまで腕を押し合うというもの。

 

カイドウは

『俺様はもう負けるわきゃいかねぇんだよッ!!』

と息巻いていたが、アーニャの開始の合図がされると同時にカイドウの手の甲は打ち付けられた。

 

さらに、アーニャ、クロエ、ミア母さんもこの力比べに参加し、カイドウの拳とプライドはボロボロだった。憔悴しきった彼は後から参加したシルにも負けた。

 

力はあるが……、どうにも頼りない。

さらに精神的にも彼は打たれ弱いところがある。この前に勝手にダンジョンに行った時、彼は身体よりも心がひどく傷ついているように見えた。

 

この店は食事の他に酒も提供する場だ。あまり考えたくはないが、トラブルはやはりつきものである。

そんな中で彼のような人間がうまくやっていけるのか心配だ。

今はうまくやっていても、いつ何が起こるかわからない。そのためにも彼には強くなってもらうべきだろう。

 

そう思いながら、カイドウを横目で見る。今は休憩の時間。

少しばかり鍛錬に付き合ってもらえればと思ったが、何やら忙しそうだ。

荷物の入ったバッグをテーブルの上に置き、あれじゃねぇ、コレじゃねぇと乱暴に詰められた荷物を散乱させている。 元に戻すのに骨が折れそうだ。

時折見えるよくわからない彼の私物を見ると、やはりあの疑問が浮かんでくる。

 

一体彼は、どこからきたのだろう?

 

私達の見たこともない物や言葉を彼は使う。逆に、私達の常識を彼は知らない。

まるで、全く異なる世界から来たようだった。

最初は近辺の浮浪者かと思ったが、どうにも雰囲気が違う。

この店に勤めてからはかなり馴染んできているが、どこか異質だ。

 

それを裏付けるのが、彼の私物。

 

「あぁ〜? どこに行っちゃったんですか俺様のキャメラァ?」

 

「なおやん、なに探してるニャ?」

 

アーニャが興味津々の様子で彼の肩から荷物を覗く。

私も隣で眺めることにした。

皆も気になっていたようだ。アーニャの言葉を皮切りに彼の元に集まっていく。

 

「おう、猫吉。値打ちモンがねーか探しているんだわ」

 

「値打ちものって……、売るってことですよね?」

 

シルは彼の私物に好奇心の目を向ける。見たところ鍵のような物や、金属製のアクセサリーなどそこかしこに置かれている。

特にシルが気になっているのは小さめのポーチのような箱だった。

細長い動物の刺繍が入っている。

 

「おうよ、どーせ使わねーしカメラでも売ってやろうと思ってな。もともと木場の家からパクってきたやつだし」

 

「カメ、ラ…?なんですかそれ?」

 

ルノアが散らかった彼の着替えを綺麗にたたみながら聞きなれない言葉を呟く。カメラ、多分この都市でも聞いたことのある人はいないだろう。私たちは彼から告げられる未知の存在に少々胸踊る心地だった。

 

「ちゅーか前にも見せたよな? ほーらコレだ。ありがたーく拝みなさい」

 

彼は胸の内ポケットを探り、自信満々に私たちにある一枚の紙を見せびらかした。

 

それは前にも一度見たことがあった。カイドウと男性と女性が描かれた絵。あまりの精巧さに驚いたものだ。

 

「この絵が、カメラってことかニャ?」

 

クロエは絵をじっくりと見つめながら彼に尋ねる。

 

「だ、ちっがぁ〜う! コレは写真だ!しゃーしーんンンンン。 ほんっとお前ら非常識だなぁ!?えぇ!?」

 

「一人で勝手にダンジョンに潜って、皆に迷惑かける方が非常識だと思いませんか」

 

「おっしゃる通りです…」

 

大きくうなだれるカイドウ。

あの罰はかなりこたえたようだ。

 

ミア母さんが腕を組みながらカイドウに聞いた。

 

「じゃあカメラってのはどこにあんだい?」

 

「それを今探してるっちゅーわけで……!おっ! あったあったァ!」

 

先ほどの落ち込みはどこに行ったのやら、嬉々としてカバンに手を突っ込みカメラとやらを取り出した。

 

不思議な形をしていた。

大きさは掌を覆うほど。

平たい箱の形で、中に物は入りそうにない厚さ。

縁は銀色、上部は茶色で不自然な出っ張りがある。

この箱のようなものがカメラなのだろうか。

他の皆も不思議そうにカイドウが持つ箱を眺めていた。

 

カイドウは皆それぞれの反応に満足そうな頷くと、出っ張りの部分をつかみ、引き上げた。

カチリと小気味よい音が鳴り、上部の出っ張りは斜めに起こされている。

カイドウはさらにその部分を引き上げる。

箱の上部ごと上に起こされ、カメラは箱の形を崩し、横倒しの三角柱の形に変形した。

例えるなら…大きな煙突のついた家のような形。

 

「これが…カメラですか」

 

「ずいぶんとおかしなモンを持ってんだねぇ」

 

皆がカメラの周りをじっくり見て回る。正面から見ると、中央に一際目立つ黒い穴が空いており、左には赤い丸型のくぼみと、右にも黒い同じようなくぼみが…。

 

「一体どうやって使うニャ?」

 

アーニャがしびれを切らしたようにカイドウに詰め寄る。

やはり一番気になるのはそれだ。

形も不思議だが、コレをどのように使えば、あの精巧な絵が産み出せるのか。

休憩もあまり長くはない。

早く見せて欲しいものだ。

 

「まあ見とけよぉ? えーとそうだなそうだな、おいリュー! こっち向けこっち」

 

「え?」

 

いきなり呼ばれて少し驚いた。

カイドウはカメラの正面をこっちに向けている。

なんだか中央の穴からジロジロ見られているようで気に入らない。

出来るだけ無表情で、カメラの穴から体ごと背ける。

 

カイドウは「なんじゃその顔は!もっと笑え笑えィ!」と宣うが、さらに無表情を貫く。

彼は諦めがちにため息を吐くと、上部の出っ張りに目を当て、左の赤いくぼみを中指で押し込んだ。

 

不思議な行動をとるカイドウに周囲も困惑気味だが、さらに困惑することになった。

ジーという日常では聴くことのないような音がカメラから唸りだす。

するとカメラの下部から一枚の紙が出てきたのだ。

 

「ほらよ」

 

出てきた紙を私に手渡す。

一応受け取るが、何も描かれていない。無地の紙だ。いや、写真と言ってたか。

 

「カイドウ」

 

「あいあいわかってますって! あと10分くらい待っててくれぃ」

 

「時間がかかるんですね…」

 

「あったりまえよ、こういうのは時間をかけてこそ良いもんなんだよ」

 

 

そういってカメラを元の箱型に畳み込み、テーブルの上に置く。

どうしたものかと写真を眺める。

依然として無地のままだ。

もしかして壊れているのだろうか。

とにかく10分待つしかないと思い、机の上に置いた。

 

「ナオヤさん!この箱は何が入ってるんですか?」

 

気がつけばシルが先程から目をつけていた小箱を持っていた。

 

「おうおう、開けてみろ開けてみろ」

 

シルが小箱を開ける、中には眼鏡が入っていたが、普通と異なるものだった。

 

「黒い…」

 

「かけても何も見えなさそうだニャ」

 

「なんだなんだァ? この都市は眼鏡はあってサングラスはねーのか? お前ら太陽眩しいなぁ〜って思ったことねーのかよ?」

 

カイドウは黒い眼鏡をルノアにかけてみろ、と促した。

言われるままに顔を下に向けてかける。

 

次にルノアが顔を上げると、なんとも言えない空気が流れた。

 

 

「……!?」

 

「なんなのニャ…この威圧感は…!」

 

「目が見えないせいで余計に表情が読めないニャ…」

 

「ちょ、ちょっと怖い…かな?」

 

「そ、そう? 私はなんか、全体的に周りが暗くなったなーって…」

 

「なるほどね、遮光のための眼鏡かい。しかし、相手をビビらせるのにも役立つねぇ」

 

ふと、カバンの中にある本が目につく。

手に取ってみると、

『おれさまのダイアリー』と大きく手書きで書かれており、右下に小さく、『勝手に読むな!!』と注意書きがあった。

 

 

どうやら日記帳のようだが、たしかに勝手に読むのは忍びない、元の場所に置いておこう。

 

「あっ! なおやん!日記書いてるのかニャ?」

 

しまった、置いた場所が悪かった。

アーニャに見つかってしまいページが開かれる。

 

「へっ? あだ、だぁぁあ!ちょっ!オイオイッ!!えっ!?!?いつの間に出てきたンなもん!?」

 

奪い返そうと躍起になるが、クロエに押さえ込まれてしまう。

 

「なにすんだ、ちょ痛痛痛痛痛、スミマセンっ、やめてぇ!ちょやめてぇ!」

 

「ちょっとくらい読ませて欲しいニャ! 」

 

「あんまり良くないけど…、やっぱり気になっちゃいます!」

 

「ガキじゃねぇんだからよお!」

 

「アーニャ!読み上げて!」

 

「了解ニャ!」

 

アーニャが開いたページをじっくりと読み込む。が、一向になにも始まらない。

 

「う〜ん? う〜〜〜ん……」

 

それどころか、悩むようなな声が聞こえてくる。

 

「アーニャ、どうしました?」

 

「読めないニャ」

 

「なにぃ!? 読めねぇだと!? ンなわけあるか!よこせそれ!」

 

カイドウが焦り気味に拘束から逃れようとするが、どうにも動けない。

 

読めないとはどういうことだろうか。

私たちの知らない言語を使っているのだろうか?

ルノアとミア母さんが横から日記を覗く。

覗いた瞬間にため息をついている。

 

「あー、コレはたしかに読めないね」

 

「読めないニャ」

 

「読む気が失せるねぇ」

 

「どういうこと?」

 

「字が汚いってことさ」

 

「ふっ」

 

ちょっと笑ってしまった。

 

「おい…! 今笑ったな? 笑っただろ!!今!! 」

 

「笑ってません」

 

「こんにゃろ!しらばっくれんじゃ……」

 

「あーっ!わかった!」

 

シルが突然大きな声を出す。

皆の注目がシルに集まる。

 

「どうしたの?何かわかった?」

 

「うん!ナオヤさん! このページに書かれてるのって、恋文ですよね!」

 

「はぇ?」

 

 

カイドウは目を大きく見開き、日記とシルを交互に見やる。

 

あたりが凍りついたように静まる。

 

その静寂を裂く一言。

 

「んちっ、ちっちっちっ、違うよ?」

 

カイドウの額から尋常じゃない汗が流れ出ている。

 

あまりにも図星の様子で皆が噴き出すのも時間の問題だった。

 

「あっはっはっはっ!なんだいなんだい!ずいぶんとロマンチストじゃあないか!ええ?」

 

「くっ……図星すぎる…!くっ…ふふ!」

 

「ヘェ〜、そんニャことしてたのかニャ〜」

 

追い討ちをかけるようにアーニャも大声を出す。

 

「あ〜っ!読めたニャ!なになに、『君の瞳はまるで夜空に浮かぶ…』」

 

「ぐぁぁぁぁあやめろぉおぁあぉぉぉぉ!!!!!!!いたたたたた!心が痛い!あー痛い!」

 

「暴れると痛いニャ!」

 

カイドウが暴れ出し、ルノアが大きく笑い出す。

 

「アッハハ!も、もうやめて!アーニャ!ストップ!もうだめなの!これ以上は!」

 

「『俺様は君のおかげで、変の花を咲かせた』 字間違えてるニャ、ココ」

 

「あーっはっひっはっひっひっっ!!もっ、だめ!やめてぇ!これ以上耐えられな…はっひ!」

 

多分恋の花と書きたいのだろう。

彼の新しい一面が見れた気がする。

恋の花、恋の花…

 

変の花。

 

「ふっ」

 

また笑ってしまった。

落ち着こう。

 

冷静な指摘をするアーニャに馬鹿笑いするルノア、こんな姿は初めて見た気がする。

カイドウはまだ暴れている。

 

「ちょお!お前らほんと! ……あっー!痛い!膝!膝折れた!複雑骨折!!痛い!ねー膝!膝骨折だよー! 膝膝膝っ!病院連れてってー!」

 

急に動きを止めたカイドウ。

大げさに痛がるそぶりを見せている。

 

「そこまで力は強くしてニャ…」

 

「引っかかったなバーローィ!」

 

緩まった拘束をするりと抜けだし、彼は日記に手を伸ばす。

 

「『俺様のデートプランその1、喫茶店で紅茶を飲む。その2、公園で遊ぶ。その3…』危ニャっ!?」

 

アーニャは器用に日記を読みながらカイドウの手を避ける。

 

「ちょお!逃げんなっ!てめ猫吉ィ!」

 

「『好き、嫌い、好き、嫌い、好き、好き、好き、大好き』ニャんだこれ?」

 

「あっ、それ花占いの結果……、ってどうでも良いだろっ!返せホラッ!

トゥ!」

 

カイドウがアーニャの目の前で大きく手を叩き鳴らす。

唐突な衝撃に面食らったアーニャは目を閉じてしまう。

 

「っ!!! ……しまったニャ!」

 

一瞬の隙を突き、カイドウはアーニャから日記を奪い返した。

やり遂げた表情だが、かなり息が切れている。

 

「はっ、はっ、はっ、ハイもーやめやめっ!なっ!?ミア母さんにも教わったろが!?人の恋文は勝手に読んじゃいけませんって、な!はぁ、はぁ…」

 

「はて、そんなこと教えてたかね」

 

「す、スミマセンでしっ……ふっふ」

 

この場が落ち着くのに少々時間が必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかりほとぼりが冷めた頃、シルがカイドウに聞きたいことがあると手を挙げた。

 

「はいっ!ナオヤさんに質問です!」

 

「なんでしょーかシル嬢。言っとくけどさっきの日記の話は無しだかんな」

 

「はい! ナオヤさんはどんな恋をしたんですか!?」

 

そういえばそうだ。

恋文からして、随分と情熱的な恋愛をしていたのだろう。

やはりクラネルさんに想いを寄せているシルにとって、同じ恋をした仲間として話がしたいのだろう。

 

なぜかわからないが、私も聞いてみたかった。

 

「そっ、そのォ、俺様の恋はだ、な?」

 

「うんうん」

 

「あん… えー、やめた」

 

「なるほどやめたんですか! って、ええ!?やめちゃったんですか!?」

 

「奥手な男だニャー」

 

「そうニャ。恋文書くだけ書いてやめちゃうとか情けないニャ」

 

「ばっきゃろ!ちゃんとアタックしたに決まってんだろぃ!」

 

憤慨するカイドウ。

彼のような奇抜な男に迫られるなど、悪夢でしかない。

言い寄られた女性が気の毒だ。

 

「まあ、ことごとく断られたがな…。俺様がきれーな花束渡してやっても喜びやしねーんだ」

 

「花束って…」

 

笑いそうになる口元を押さえるルノア。

それをみて、大きくため息をつくカイドウ。

 

 

「せっかく人間らしく生きよーとしたんだがなぁ……」

 

 

「? なおやんはどう見ても人間だし、人間以上に人間らしいニャ」

 

「おっ、だよなぁ!俺様恋なんざしなくて正解なんだよ、なっ!」

 

 

唐突に聞き逃せない言葉が飛び出る。

 

「……」

 

「ナオヤさん…」

 

シルと私以外は彼の発言を気にも留めないようだった。

 

私は時折、彼が人間ではないように思えてしまう。行動は人間だが、ところどころ妙な雰囲気がある。

前に街の紹介をした時もそうだ。

 

どこか、彼は異質だ。

 

どう見ても彼は人間にしか見えない、だが。

 

「…ちゅーかそろそろできてるんじゃねーのか?」

 

彼は私がテーブルの上に置いた写真というものを拾い上げる。

 

「…っ!」

 

驚いた。

そこには、精巧な私の絵が描かれていた。

先ほどまでは全くの無地だった筈なのに。

写真は淡い雰囲気を感じさせる色合いとなっている。空間をそのまま写しとれるわけではないようだ。

描かれている私は無表情のままそっぽを向いている。

 

……もっと笑ったほうが良かっただろうか。

 

「すっごい綺麗だニャ!空間をそのまま切り取ったみたいニャ!」

 

「ミステリアスさに拍車がかかってますね!」

 

「ほんとだ…すっごい…」

 

「へーえ! 本当に大したモン持ってんだねぇ! しかしこんなお宝を本当に売っちまうってのかい?」

 

ミア母さんはもったいない視線をカメラに向けている。

たしかにこれを売ればあっという間に大金が入ってくるだろう。

 

大金を手に入れたい理由。なんとなくわかる。

 

「たりめーだ。それにこのカメラも、フィルムがもう少ねーしな。価値があるうちに売らねぇと」

 

「フィルム…?」

 

「その写真を撮るのに必要なもんだよ。残り枚数も少ないんでな。使えるうちに売らねーとただの骨董品だろ」

 

そういうと、彼はその写真を私に押し付けた。

 

「やるよ、それ」

 

「……自分を描いて欲しいとは一言も言っていませんが、一応、貰っておきます」

 

 

そう言って受け取るが、近くで見ると本当に大したものだ。

まるで今にも動きだしそうな。

数少ない物を使ってまで出来たものだ。大切にしない道理がない。

 

私はシワがつかないようにポケットにしまった。

 

「なおやーん!今度はミャーをカメラで描いてニャ!」

 

アーニャがカイドウの腕をぐいっと引っ張る。

カイドウはカメラを大事そうに抱えて猫のように威嚇した。

 

「フシャーッッッ!!!ダメだダメだぁっ!フィルムが少ねぇつったろぃ!!いちいちお前なんか撮ってられるかっ」

 

「うにゃぁぁぁあ!! なんでミャーはダメでリューは良いのニャ!? 」

 

「だぁからっ!フィルムが少ないの!おわかり!?」

 

「わかんニャいニャ!」

 

アーニャとカイドウの奪い合いがまたも始まった。

休憩もそろそろ終わりがけだ。

こんなところであまり体力を使って欲しくはない。

 

 

 

 

これでまた一つわかったことがある。

彼の持っていたカメラというもの。

彼がこの都市の人間ではないということの決定的な証拠だ。

 

ますます興味が湧く。

 

では彼は一体どこからやってきたのだろうか。

 

常識はずれで未知の存在。

しかし、危険というわけでもない。

 

なぜ彼は恩恵もなしにここまで高い戦闘能力を有しているのか。

 

なぜ、私達の理解が及ばない物体を所有し、利用しているのか。

 

なぜ、あの楽器に執着しているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ、時折悲しそうな眼をしているのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の疑問だけは、彼に聞けそうにない。




来年もよろしくお願いします。
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