化け物は笑う   作:SAMUSAMU

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 こちらは第24回電撃大賞に応募して、二次で落ちた作品です。
 お蔵入りにするよりも、多くの人に読んでもらいたくて掲載しました。
 加筆修正を加えながら、少しずつ連載させていただきます。
 どうか、最後までよろしくお願いします。



その少女の名は――

 

 笑うという行為には、様々な意味合いが込められている。

 

 楽しい、嬉しい、といった気持ちを表現する際の笑顔は勿論のこと、人はそれ以外の感情を抱いたときにも『笑み』というものを浮かべるものだ。

 

 危機的状況にあっても、無理やりにでも笑みを浮かべて、自身を鼓舞する。

 

 悔しさや怒りを押し殺す場合にも、『仮面』という名の笑顔を作って周囲を誤魔化す。

 

 辛く、苦しいときこそ笑って生きろという前向きな意見もあれば、笑ったところで何も解決などしないと、己を律する者もいる。

 

 笑いの種類も、実に多種多様である。

 

 愛想笑い、含み笑い、忍び笑い、泣き笑い、思い出し笑い、作り笑い、照れ笑い。

 馬鹿笑い、薄ら笑い、せせら笑い、誘い笑い、貰い笑い、すまし笑い、半笑い。

 失笑、冷笑、微笑、哄笑、歓笑、艶笑、爆笑、嘲笑、憐笑、嬉笑、巧笑、軽笑。

 目笑、朗笑、嗤笑、戯笑、窃笑、顰笑、一笑、談笑、言笑、絶笑、嬌笑、放笑。

 

 これら複数の笑みを、その時々で使い分けることができる動物は人間だけだという。

 その時々にふさわしい感情を、それぞれの『笑み』にのせ、人は他者へと(おの)が想いを伝える。

 

 で、あるならば――

 

 彼らは――()()()()()()()()()()()()()()()

 

 我が国、日本が誇る『妖怪絵巻』には数多の妖怪、化け物たちが名を連ね、その雄姿が描かれているが、その大半が笑みを浮かべての出演となっている。

 

 今まさに、人間に襲いかかろうと、恐ろしい形相の笑みを浮かべているもの。

 柱や天井に隠れ潜み、通りかかる人々を脅かしてやろうと、虎視眈々と笑いを堪えるもの。

 泥酔しきった人間の飲丘衛(のんべえ)のように、陽気に羽目を外したゲラゲラとした笑い顔。

 

 あの恐ろしく、おぞましい、それでいてちょっと間抜けな、あの化け物どもが浮かべる『笑み』には、いったいどのような意味が存在するのであろう?

 あの『笑み』にはどんな感情がのせられ、その心の奥底に、どのような想いを秘め隠しているというのだろう?

 我々人間がそれを知るには、妄想を膨らませるか、自らが化け物になるか、あるいは当人たちに聞いてみるしかないのだろうが、いずれにせよ覚悟しておくことだ。

 

 なにせ、相手は化け物なのだ。

 

 下手に関わりを持とうものなら、命がいくつあっても足りはしないだろう。

 

 

4月上旬 東京都渋谷区 渋谷駅前

 

 

「――お~! 何とも見事な光景よのう!」

 

 地下の出口から駆け足で外に飛び出してきたその少女は、陽の光に目を瞬かせながらも、前方に広がる光景に心奪われ、感嘆の声を上げていた。

 見たこともない巨大な建造物が立ち並ぶ中を、大勢の人々が行き交う姿に、言葉にならぬ感動の波が彼女へと押し寄せる。

 

 特に、少女の関心を引いたのが人の流れだ。

 急ぎ忙しなく足を動かす者もいれば、犬コロの像の周りに集まり、お喋りに興じている者もいる。規則正しい列を作っている一団があるかと思いきや、次の瞬間にも一斉に動きだし、先ほどまで鋼鉄の箱が走行していた白線の上を小走りで駆け出して行く。

 

 行き交う多彩な人々の種類にも彼女は目を見張る。

 これまで、同年代の若い衆を引き連れ、何度も人里を物見遊山したことはあったが、近くにあった農村の住人は、その大多数がお年寄りで埋められていた。日々、やることも顔ぶれも変わらない村の様子は、全体的にのほほんとした雰囲気を保ちつつも、どこかやるせない、寂寥感のようなものを常に漂わせていた。

 

 しかし現在、少女の眼前を埋め尽くす人々には活気がある、賑わいがある。老若男女問わず、様々な人たちが、それぞれの目的のために縦横無尽に動き回っている。

 彼らにとっては当たり前のことだが、彼女にはそれがとても新鮮なものに感じられ、それまで処理したことのない圧倒的な情報量を前に、少女の脳内がぐるぐると渦を巻いていた。

 

 話に聞いていたこの国の首都。その一角に過ぎない渋谷の『街』の雑踏。

 知識としては知っていたつもりだったが、話に聞くのと実際に見てみるのとでは、やはり違うものだと、少女はひたすら感銘を受けていた。

 

 しきりに感心するその少女の様子を見て、すれ違う人々の何人かがクスリと笑う。道行く人々から見れば、彼女は『初めての都会に戸惑う田舎者』に映ったことだろう。

 

 事実、少女は田舎者だ。

 彼女の住む村にはカラオケもなければコンビニもなく、それどころか、電気や水道すら全く通っていない。正真正銘のド田舎から、彼女はやって来たのだ。また、少女の()()()()()がさらに通行人たちの笑いを誘っているのだが、本人はそんなこともお構いなし。飽きもせず、キョロキョロと周囲を見回していた。

 

「――おいおい、どうしたお嬢ちゃん。迷子か? どこの忍者村から抜け出してきた?」  

 

 すると、お上りさん全開の彼女に、血気盛んなチンピラたちが冷やかし交じりに声をかける。

 ちょっと間違った渋谷ファッションとやらで、己を着飾る彼らの服装も、少し上の年代の人から見れば少女の奇抜な格好と五十歩百歩なのだが、彼らもそんなことお構いなしである。

 

「場違いにも程があるだろうがよぉ、つーか、んだよ、その恰好はっ!」

「コスプレしたけりゃ、秋葉原行けや。ハロウィンにはまだ早すぎんぜぇ!」

 

 好き勝手に嘲りの言葉を、唾と一緒に飛ばしてくるチンピラたち。そんな彼ら相手に、少女はただただ不思議そうに首を傾げる。

 

「こすぷれ? はろうぃん? 何を言っているのか理解できぬ。日本語(ひのもとことば)で喋ってくれ。それから、もっとはっきり発音せんか。呂律が回っておらんようで、よう聞き取れんわい」

「「「なーに!?」」」

 

 馬鹿にされたとでも思ったのだろう、彼らは一斉にその顔を不快に歪める。

 

「いい度胸じゃねぇか、田舎もん! これなら聞き取れんだろ、んん?」

 

 グループのリーダー格と思しき、鼻にピアスをつけた男が、少女に厳つい顔面を寄せる。男は鼻輪をつけられた牛のように、モーモーと少女の間近で息を荒げる。

 だが、吹きつける鼻息に少女は顔色一つ変えることなく、おもむろに彼の額に右手を翳した。男たちが「?」と訝しがるのにも構わず、少女はそのまま、おはじきを弾くようにデコピンをかます。

 

「――がぁっ!?」

 

 突如、()()()()()()()()()

 およそ、少女の細腕から繰り出されたとは思えぬような強烈な一撃が、男の足を地面から浮き上がらせ、力士に張り倒されたかのような勢いで、彼を仰向けに転がす。

 

「「や、やっさん!?」」

 

 騒然とする鼻輪の仲間たち。触らぬ神に祟りなしと、無関係を決め込んでいた通行人たちも足を止め、俄かに騒ぎだす。

 ただ一人、少女だけが無様な醜態を晒した鼻輪――やっさんと呼ばれた男に、呆れ果てたとばかりに、しかめっ面を浮かべていた。

 

「おいおいおい! ずいぶんと自信ありげに突っかかってきよるから、てっきり腕に覚えがあるものとばかり思ってしまったぞ。指先一つでこのざまか? そのような脆弱さで、よくもまあ、我が物顔で街中を歩けるものよ。……ふむ、どうやら貴様らには、身の程を弁えるという言葉の意味を、体に直接分からせてやる必要がありそうだな」

「んだとぉ!」

 

 少女の言いように、得体のしれない彼女の膂力に若干怯みながらも、殺気立つ男たち。今にも飛びかかりそうな彼らの形相に、野次馬の一人が近くの交番まで走り出していた。

 一分もしないうちに、駐在している警官が駆けつけてくれる筈であった。だが――

 

「――Stop! Stop the War!!」

 

 一触即発の少女とチンピラたちの間に、どこか疲れた様子で一人の少年が割って入る。

 

「ん、どうした、テッド。何をそんなに慌てておる。便所はもう済んだか? まさか漏らしたか?」

「漏らしてませんよ! 失敬な!」

 

 少女からテッド、と呼ばれたその少年はブロンドヘアの外国人だった。高校生ほどの少女より幾分か年下の、中学生と思われる男の子だったが、かなり流暢な日本語で言葉を紡いでいく。

 

「まったく! 目を離すとすぐこれだよ! こんなところで油売ってないで、早く行きましょう。九十九さんが首を長くして待っていますよ」

「うむ、そうだな。これ以上待たせるのも悪いからのう。案内(あない)せよ、小僧」

 

 少女は何事もなかったように踵を返す。テッドは「ご迷惑をおかけしました」と、チンピラと通行人たちに頭を下げ、少女と共にその場から立ち去ろうとした。

 

「ま、待ちやがれ!」

 

 そこへ制止の声が飛ぶ。

 先の一撃で沈められたやっさんが、真っ赤に腫れあがった額を抑えながら、身を起こそうと奮闘していた。だが、ダメージを引きずっているのか、なかなか上手く起き上がれない。

 やっさんは悔しそうに歯軋りする。

 

「て、テメェ……いったい、なに、もんだ……」

 

 一方的に喧嘩を吹っかけてきたヤンキーの問いなど、いちいち答える義理はない。

 だが、少女は足を止め、振り返り、律儀にその問いに答えてみせた。

 

神宮寺鈴鹿(じんぐうじすずか)だ。故あって暫しの間、この地に滞在することと相成った。まあ、これも何かの縁だ。宜しく頼むぞ、()()()()()

 

 

 櫛田衿那(くしだえりな)は『不幸』な少女だった。

 

 日本という国は世界から見ても、比較的裕福な国である。

 戦争という苦い記憶を遠い昔に捨て去り、飢餓や貧困により餓死する心配も、アフリカや中東に比べればずっと低い。教育環境もしっかりと整っており、誰もが等しく学ぶ場を与えられている先進国だ。

 しかし、どんなに恵まれた環境にいようと、平和な国に生まれようと、それを幸せと感じられるかどうかは、その人の心の在り方次第である。

 そして、衿那という少女は、確かに自分は『不幸』であることを自覚していた。

 

 事の始まりは三年前――彼女が中学生になったばかりの頃だ。最初は本当に些細なことから始まった。

 

 何もないところで躓く、犬に噛まれる、お気に入りのカップがひび割れるなど。

 

 日常生活においても起こりうるであろう、些細な不運が立て続けに彼女を襲う。

 その頃はまだ、衿那も周囲の人々も、それほど深刻に考えてはいなかった。

「そんなこともあるだろう」と、持ち前の明るさと勝気さで、衿那はこれらの不幸を笑い飛ばしていく。洒落や冗談で済まなくなったのは、さらに一年経過してからだ。

 

 ひったくりにあったり、車に轢かれそうになったり、頭上から花瓶が落ちてきたりなど。

 

 この辺りから、周りの友人たちが「おかしい」と訝しがり、一人、また一人、距離を置くようになった。さらに、不幸は三年目に突入する。

 

 通り魔に刺されたり、自動車の玉突き事故に巻き込まれたり、入院先の病院が停電したり。

 

 もはや、収拾のつけられない事態にまで発展していき、遠巻きに見ていた者たちまで、衿那を迫害し始め、何の罪もない彼女を蔑みだした。

 あの女が『不幸』を呼び寄せている、と。

 

 しかし、理不尽な扱いや不幸にも、櫛田衿那は決してめげなかった。

 支えてくれる家族や親友から力を貰い、己の運命に抗おうと、果敢に立ち向かったのだ。

 

 だが――そんな家族の存在が、最終的に衿那の心を抉りとる結果となる。

 

 その運命の日、衿那を励まそうと、櫛田一家は久方ぶりに家族旅行へと出かけた。

 行き先は都会の喧騒から離れた温泉旅館。誰も衿那を疫病神と蔑む者がいない地で、疲れを癒すため、有名な老舗旅館に宿泊するべく一家はやって来た。

 目的地に到着して早々、長時間の車の運転で疲れた父が道中の土産屋で車を止める。

 夫に献身的に尽くす母が、彼のために何か飲み物でもないかと店の中に入っていく。

 すると、両親の目を盗み、幼い男の子が車の中から飛び出した。

 

 櫛田家長男――衿那の弟の(しょう)くんだった。

 

 まだ小学生の彼にとって、車の中でじっとしていることは、ちょっとした苦痛である。

 久方ぶりの外の空気に無邪気にはしゃぎ出し、両親の目を離れ、一人山の中へと駆け出していき、姉である衿那は慌ててその後を追いかけた。

 暫しの間追いかけっこは続き、ようやく弟の手を掴んだ衿那は、すこしきつめの口調で彼を叱り、急ぎ両親の元へ戻ろうとその手を引き――

 

 刹那――突然の地響きが二人を襲う。

 

 それはまるで、二人が揃うタイミングを見計らったかのように発生した土砂崩れだった。

 土砂の波が姉弟(きょうだい)を飲み込むべく、津波の如く迫る。

 突如として襲いかかる『不幸』を前に、姉である筈の衿那は、ただ立ち尽くすことしかできずにいた。

 

 そんな彼女を――叫び声を上げながら真っ直ぐ突っ込んでくる、翔くんが突き飛ばした。

 

 まだ小学生と未成熟な体躯だが、度重なる不幸により、ストレスでやせ細っていた少女の体を突き飛ばすには、十分の一撃だった。

 

 絶望が――衿那の視界を埋め尽くす。

 

 弟に突き飛ばされたことで、一人安全地帯へ逃れることができた彼女は見た。

 土砂が弟を飲み込んでいく、その光景を。

 土砂に飲み込まれる寸前まで、弟は笑っていた。

 姉の無事を喜ぶ無邪気な笑みで、彼は笑っていたのだ――。

 

 その後、崩れ落ちた土砂の中で、翔くんは意識不明の重体で救助される。

 怪我の後遺症か、彼は今も植物状態のまま、病院のベッドで点滴を受け続けている。

 それまで『不幸』に対し、頑なに抵抗を続けてきた衿那の意思が、完全にへし折られた。

 

 両親は衿那を責めようとはしなかったが、その優しさが逆に彼女を苦しめる。

 このまま家族と一緒に暮らし続ければ、弟だけではない。両親までも、自分の『不幸』に巻き込んでしまう。

 衿那は中学卒業を機に、一人親の下を離れ暮らすことを決意する。

 親には「東京の高校に進学する」と、もっともな理由をつけ、事故のことを聞きつけてなお、自分を心配してくれる親友とも一方的に縁を切り、失意のどん底に落とされたまま、彼女は生まれ育った町を離れ、この街へと逃げ出したのだ。

 

 それでも彼女の――櫛田衿那の『不幸』が止まることはなかった。

 

 

渋谷区 某ファミレス内

 

 銀行強盗による『立てこもり事件』。

 それが今現在、衿那が直面している不幸である。

 和気藹々わきあいあいとした空気に満ちていたファミレス内が、見る影もなく冷え込んでいる。店の中央に店員や客たちが押し込められるように座らされ、人々は暗い表情で目出し棒を被った男たちへと、窺うような視線を向けていた。

 

 彼ら――主犯の梅咲輝美(うめざきてるみ)率いる五人組の強盗犯は、綿密な計画の元、この一大事業に挑んだとのことだった。狙いの銀行を絞り込み、行員の動きや警備員の配置を頭に叩き込み、入念に装備の確認をして、逃走経路を練りに練った。

 だが、たった一つのアクシデントによって、それら全てが水泡に帰すこととなる。

 

「――糞がぁ!!」

 

 強盗犯の一人が近くの椅子を蹴飛ばし、その乱暴な振る舞いに人質たちが肩を震わせる。

 

「……落ち着け」

 

 リーダーの梅咲が仲間の行動を制止しようとするが、その効果も薄く、男たちは口々に叫んだ。

 

「うるせぇ! だいたい、なんでこんなことになっちまったんだよ!」

「俺が知るか! そもそもコイツが運転をとちってなきゃ、警察に追い詰められて、こんな店に逃げ込む必要もなかったんだからよ!」

「と、とちってねぇよ! い、いきなり車が動かなくなっちまったんだよ!」

 

 逃走中、計画用に用意した盗難車が、何故か急に動かなくなってしまったらしい。

 エンジントラブルと思われるが原因は不明。梅咲たちは、やむを得ず立ち往生する車を乗り捨て、たまたま目に留まった、このファミレスへと逃げ込む羽目になった。

 櫛田衿那がいた、このファミレス内に。

 

 ――これも、私が原因か……。

 

 強盗犯たちの醜い言い争いを虚ろな目で眺めつつ、衿那は一人冷静に思考する。

 もはや、この程度の不幸で彼女の心が揺るぐことはない。目の前で飛び交う怒号を、どこか遠い出来事のように感じながら、ただ時が過ぎ去るのを彼女は待つのみだった。

 

「――う、うぁあああああん!」

 

 そのとき、一際甲高い泣き声がした。

 衿那が振り返ると、一箇所に集められた人質たちの中心で、小学生にも満たないであろう男の子が、顔面をぐちゃぐちゃに泣きじゃくっていた。

 

「うるせぇぞ、ガキ! 静かにしろ!」

「す、すみません。ほら、タケルちゃん、いい子だから泣き止んで!」

 

 先ほど椅子を蹴飛ばした短気な男が、少年とその母親らしき女性に怒鳴り散らす。

 女性は男の子を泣き止ませようと必死に宥めるが、少年はさらに大声で泣き続ける。

 

「この糞ガキっ――!」

 

 収まりがつきそうにない子供の喚き声に、とうとう男の痺れが切れた。

 人質たちが一斉に息を呑むも、苛立ちげに床を踏み鳴らす男の進路を、誰も阻むことなどできない。

 

「静かにしろ――って、言ってんだろがぁぁあっ?」

 

 男は親子の目の前まで近づき――事も有ろうに、その拳銃の矛先を少年へと突きつけた。

 

 ――……!!

 

 その光景を目に焼きつけた瞬間、衿那の心臓の鼓動が激しく高鳴る。自分の招いたかもしれない『不幸』に、今まさに奪われようとしている小さい命。

 その男の子の姿が――土砂に飲まれていく弟の姿と重なる。

 

「――やめなさいよ!」

 

 気がつけば、衿那は立ち上がり叫んでいた。

 強盗犯と人質、双方が驚いた表情で彼女を見ているが、正直彼女自身の胸中にも「何故?」という疑問があった。抵抗する術などないだろうに。贖うことなど、止めた筈だというのに。

 だが、それでも――衿那はその光景を、黙って見ていることなどできなかった。

 

「馬鹿じゃないの? ガキの泣き声なんかにムキになって! アンタ、それでも男なの!」

「な、なんだと、てめぇ!」

「だいだい何なのよ、アンタら! こんな平日の真っ昼間から銀行強盗? そんなことする暇があったら、もっと建設的なことに時間を費やしなさいよね! この暇人共!」

 

 自分でも「何を言っているのだろう?」と後悔するが、既に手遅れだ。驚いた表情のまま固まっていた他の男たちまでもが、衿那へ怒りの視線を注ぎ始める。男たちの視線を一身に浴びながら、衿那は腹を括り、さらに捲し立てていく。

 

「それができないなら、せめて人様に迷惑かけないよう、家にでも引きこもりなさいよ!」

「おい、だまれよ……」

「もっとも、警察の厄介になれば嫌でも引きこもることになるわ。牢屋の中、でね!」

「黙りやがれ! このクソアマが!」

「――っ!」

 

 短気な男は衿那まで詰め寄り、彼女の頬を殴りつける。上唇が切れ、頬を真っ赤に染め、床に転がされながらも、衿那は最後までヤケクソ気味に吐き捨てる。

 

「……暴力に頼らなきゃ、女一人黙らせることもできないなんて……情けない男たち。アンタら、それでも男なの? キン○マちゃんとついてんの?」

 

 自分でも思わず笑ってしまいそうな安い挑発だが、強盗犯たちの意識をこちらに向けさせるには、十分すぎる言葉だったようだ。もはや彼らの目に、泣きじゃくる男の子など映ってもいない。男たちの怒りの矛先は、完全に衿那に集中していたのだから。

 

「……ずいぶんと、舐めた口きいてくれるじゃないか」

 

 それまで、終始無言であった梅咲が衿那の眼前に立ちはだかる。

 他の仲間たちのように、露骨に態度にこそしていないが、その瞳にはしっかりと、彼女への殺意を滾らせていた。

 

「そこまでの大口を叩くんだ。当然、覚悟はできているんだろうな?」 

 

 梅咲はゆっくりと、だが、確かの動作で黒光りする拳銃を衿那へと突きつける。

 人質たちから、ざわめきと悲鳴が上がる。

 

 ――ああ……これで私もお終いか……。

 ――あっけないものね、人生なんて……。

 

 だが男の子のときと違い、かえってこちらの方が他人事のように衿那には感じられた。

 無機質な瞳で、黙ってその瞬間が来るのを、じっと待ち構える。

 

 そして――耳をつんざくような破壊音が、彼女の耳に届いた。

 

 しかしそれは、どう聞いても銃声とは全く別の音響。窓ガラスが硬質な音を立てて、盛大にぶち破られる音であった。音の聞こえてきた方向へと視線を向ける衿那。強盗犯も人質たちも、誰もが揃って同じ方向へと目をやる。そして、その視線の先で彼らは――

 

「――そこまでだ。痴れ者どもが……」 

 

 テーブルの上で仁王立ちした、少女――神宮寺鈴鹿の姿を目撃することになる。

 

 

 数分前のことであった。

 

「――ん、なんだ? 何やらあちらの方が騒がしいが、祭りでもやっておるのか?」

 

 テッドの道案内に従いながら、鈴鹿は目を爛々と輝かせ、街中を歩いていた。

 到着してすぐ、ざっと周囲を見回して、その雄大さを肌で感じ取ったばかりだったが、歩きながらだと、街の風景もまた違って見えてくる。様々な店が立ち並び、すれ違う人々が個性豊かな表情を見せる。足音を立てて歩く人々の雑踏のリズムを、街頭のいたる所から響く音響がさらに盛り上げる。旨そうな食い物の香りに混じり、ときおり鼻が曲がりそうな不快な匂いも香ってくるが、これはこれで新鮮な気分だった。

 目新しいものを目にするたび、駆け寄って見てみたい誘惑に駆られるが、鈴鹿は何とか自制心を働かせる。

 しかし道中、なにやら物々しい雰囲気で人々がとある建物を取り囲んでいる光景に、とうとう好奇心が抑えられなくなる。誘蛾灯に誘われる虫のように、ふらふらと近づき、野次馬の列に加わった。

 

「だから、勝手にうろつかないで――って……なんでしょう?」

 

 慌てて鈴鹿を追いかけたテッドも、その空気に首を傾げる。彼は野次馬の一人に事情を聴き、その建物――ファミレス内に銀行強盗たちが逃げ込んだという話を聞いた。

 

「銀行……強盗……。おいテッドよ。銀行強盗とはなんだ? 説明してみよ!」 

 

 鈴鹿はその言葉の意味がわからず、テッドに詳しい説明を求める。テッドは鈴鹿のため、ざっとではあるが、それが()()()()()()()であるかを解説する。

 しかし――最後まで説明を聞き終える前に、鈴鹿は行動を起こしていた。

 

 群衆の頭上を跳び越え、制止する警官隊を蹴り飛ばし。

 そのまま、窓ガラスを蹴破り――彼女は騒ぎの中心点へと足を踏み入れたのだ。

 

 

「……なんだ……お前?」

 

 卓上に飛び散ったガラス片を、踏みつけながら店内に侵入してきた鈴鹿の存在に、梅咲は消え入りそうな声で問いかける。衿那相手に向けていた殺意も、怒気も、すっかり霧散してしまっていた。

 それは鈴鹿の異様な風体を前に、誰もが抱いた戸惑いのせいだろう。目出し棒で顔を覆い隠していた強盗犯たちから見ても、彼女の出立ちは奇抜なものだった。

 

 長い黒髪のポニーテールに、全体的に黒を強調とした和風の衣装。

 その服は着物のようでもあったが袖がなく、太ももを大きく露出していたが不思議といやらしさを感じさせない。色気を振りまくためより、動きやすさを考慮した格好のようだった。

 首にはボロボロの布切れがマフラーのように巻かれ、手甲を装着し、草鞋わらじまで履いている。

 

まるで漫画やアニメ、一昔前の時代劇に登場する、くノ一が着ているような忍び装束だ。

この緊迫した状況下でその恰好は確実に浮いており、完全にフロアが静まり返る。

 

「お主らか? 銀行強盗とやらは?」

 

当の本人はそんな彼らの戸惑いを気にも留めず、卓上に立ったまま問いを投げる。

 

「……だったら、どうだってんだ、ああん?」

 

 困惑から脱した強盗犯の一人が、何とか言葉を絞り出して回答する。するとその返事に、鈴鹿は表情を厳しく引き締め直し、腕を組み、堂々たる態度で己の用件を切り出した。

 

「知れたこと! 他者の財産を力ずくで自らのものとする主ぬしらの蛮行! 許容し難いものがあるぞ! 地獄の閻魔に代わり、今この場で、儂わし自らがお主らの罪を裁いてくれよう!」

 

 カカン、と効果音でもつきそうな、歌舞伎役者顔負けの大見得切りに、店内の全員が沈黙する。鈴鹿のあまりに常識離れした態度には、強盗犯たちも怒りを通り越して呆れてしまっていた。

 梅咲は、衿那に突きつけていた拳銃を下ろしながら、見せつけるように溜息をつく。

 

「…………最近の女子は、ずいぶんと威勢がいいもんだな……おい!」

 

 皮肉っぽく呟きながら、リーダーらしく仲間に目で合図を送り、指示を受けた仲間の一人が頷き、銃口を鈴鹿に突きつけながらゆっくりと彼女へと近づいていく。

 

「おら、こっちで大人してろ! テーブルの上に立つんじゃねぇ、さっさと降りねぇ――」

 

 現在進行形で銀行強盗などしておきながらも、やけに常識的のことを口にしながら、強盗犯がテーブルに立っている鈴鹿を無理やり引きずり下ろそうと、その足に手をかけようとし――

 

 その男の体が――景気よく()()()

 

「……がっ!?」

 

 短い呻き声を上げ、男はそのまま空中で二回、三回と回転し、仰向けに倒れ伏す。

 

「――!?」

 

 男たちの間に緊張が走る。

 倒れた男の顔面は血だらけ。歯も何本かへし折れるなど、見るも無残な有り様だった。そして、テーブルに立った鈴鹿は、腕を組んだまま()()()()()()()()()()()()()()()()()をゆっくりと下ろす。

 

「ふむ、確かに貴様の言うとおり……卓袱台ちゃぶだいに足をつけるのは、作法に反するもの……」 

 

 鈴鹿はテーブルからそっと飛び降り、毒気のない表情で倒れた男へと尋ねる。

 

「よっ、と……これでよいか?」

 

 ピクピクと痙攣した男がその問いに答えられるわけもなく、代わりに、他の強盗犯たちが少女の相手をすることになるのだが――勿論、その方法が穏便に済む筈もない。

 

「――殺せぇえええっ!」

 

 激昂する梅咲の叫びと共に、残りの男たちが一斉に鈴鹿へと銃口を突きつける。それまでの脅迫や威嚇とは違い、筒先からは濃厚な殺気が立ち上っている。

 

 ――あれは鉄砲か? 御祖父様おじいさまに教わった物と、随分と形状が違うようだが?

 

 しかし、男たちの膨れ上がった殺意にも、鈴鹿は全く動じない。彼らがこちらへと向けた凶器。それに関する自分の知識を照らし合わせながら、余裕の表情で迎え撃つ。

 

 男たちが放つ一斉射撃を放つ。

 轟音と共に銃身から飛び出たその弾丸を、その瞳に映しながら、鈴鹿は首に巻いていた布切れに手をかけ、それを空中へと放り投げる。布切れは、男たちから彼女の姿を覆い隠すように広がり、高速で飛来する弾丸によって、蜂の巣となった。

 だが、その先に鈴鹿の姿はない。

 布を広げると同時に、彼女は天井すれすれまで跳躍していた。宙に舞った鈴鹿は、そのまま万有引力の法則に従い、一直線に落下していく。布の先にある筈の死体がないことに驚愕した男たちは、すぐに周囲を見渡す。男の一人が頭上から差す彼女の影に気づき、顔を上げてしまったのが運の尽き。

 

「がべぇっ!?」

 

 鈴鹿はその男の顔面に着地。顔を踏まれた彼の体は、そのまま力なく倒れていく。さらに、彼女は倒れゆくその男の顔面に軸足を乗せながら、もう片方の足で両隣にいた男二人の面めがけ、華麗に回し蹴りを叩き込んでみせる。

 

「がぁっ!」「ぎゃっ!」

 

 似たような呻き声を上げ、吹き飛ばされる男たち。流れるような鮮やかな手際に、ほぼ同じタイミングで三人の男が沈黙する。

 

「なっ……!」

 

 残りの一人、梅咲がその手並みに呆気に取られ立ち尽くす間にも、鈴鹿は次の動作に入っていた。倒した男たちを一瞥することもなく、最後の生き残りへと一直線に特攻。慌てて銃を構える梅咲だったが、それよりも早く鈴鹿は懐に入り込み、その腹めがけてアッパーカット気味のストレートを叩き込んだ。

 

 いったい、どれほどの力が込められていたのだろう?

 鈴鹿の拳の直撃を食らった梅咲は、まるで自動車に跳ね飛ばされたかのような勢いでぶっ飛び、後方のテーブルや椅子を巻き込みながら、盛大な音を立てて崩れ落ちていった。

 

 

 ――な……なによ、こいつ?

 

 突如現れた謎の少女による、快刀乱麻を断つが如き、電光石火の活躍。衿那は叫び声を上げる暇すらなかった。

 他の人質たちも呆気にとられ、歓声すら湧き上がらない。拳銃という名の絶対の凶器を持った男たちを、素手で制圧した彼女の手際に、誰もが二の句を継げられずにいたのだ。

 

「――す、すごい、すごいよ! お姉ちゃん! カッコイイ!」

 

 整然と静まり返る店内で唯一、先ほどまで泣きじゃくっていた男の子だけが、浮かれた様子で少女の元まで駆け寄る。某特撮ヒーローのような活躍をした少女に目を輝かせ、純粋に喜びを、称賛を口にしていた。

 

「ふっ……かっこいいか。苦しゅうない! 童わらしよ! もっと褒め称えるがいい!」

 

 その賛美に、謎の少女も満更でもない様子で偉そうにふんぞり返っている。

 さらに少年は、目を輝かせながら「お姉ちゃん、ひょっとして忍者?」と、彼女の恰好に誰もが抱いた疑問をぶつけるが、それを駆け寄る母親が、「こらっ!」とたしなめていた。

 

「……あの、その………ありがとうございます」

 

 母親は息子のように無邪気に喜ぶことができないのか、おっかなびっくりといった様子だ。

 それでも、母親は謎の少女に頭を下げて礼を述べる。その場面だけを切り抜けば、実に微笑ましいやり取りに見えなくもない。次第に周囲の人々からも、緊迫した空気が抜けていく。

 

「た、助かった……のか?」

 

 誰かの安堵の呟きに、それぞれ互いの無事を確認し合う人質たち。もっとも、一人で入店していた衿那にはそんな相手などいはしない。居心地の悪さに落ち着きなく視線を外す。

 そして――ふと、向けた視界の先で、衿那は目を見開く。

 

 そこには、瀕死によろめきながらも、必死に起き上がろうとする梅咲の姿があった。

 

 実はこの強盗犯たち、服の下に防弾チョッキを着用していたのだ。

 念には念をと、リーダーである梅咲がわざわざ海外の専門店から取り寄せたもの。並みの打撃なら、むしろ少女の拳の方が破壊されてしかるべき代物なのだが、それを貫通し、梅咲に多大なるダメージを与えた少女の腕力は、なるほど凄まじい。

 しかし、防護服でも防ぎようのない顔面をやられた他の男たちならいざ知らず、梅咲が殴られたのは腹部。苦しみに悶えながらも、彼は何とか意識を保とうと歯を食いしばる。

 

 せめて自分たちの邪魔をした、憎き少女に一矢報いるべく、再び拳銃を握り締めて――。

 

「――危ない!」

 

 衿那の必死な叫びは店内全体に轟き、彼女と同じく梅咲に気づいた人質からも悲鳴が上がる。

 だが、何もかもが手遅れだった。

 衿那が叫ぶのと、ほぼ同時に拳銃は火を吹く。飛来する弾丸は、衿那の警告に振り向いた少女の額に、吸い込まれるように引き寄せられ――

 

 ()()()()()()()()()()

 

「! あ……ああ……」

 

 そのまま体を傾け、倒れゆく少女を前に、衿那の瞳からは絶望の涙が滲み出る。

 衿那はこれまで、数多くの不幸に晒されてきたが、不思議と人の死に目にあったことは一度もない。

 あるいは、自身の知らないところで彼女が招いた『不幸』によって、命を落とした者もいたかも知れないが、少なくとも、彼女の目の届く範囲でそれはなかった。

 

 故に今、目の前で起きた悲劇に、途方もない罪悪感でいっぱいになる。

 自分のせいで、一人の名も知らぬ少女が死ぬ。

 何もかも捨て去って、大切な人々のいない地へ来たのに、これでは何の意味もない。

 永遠とも思える時間の中、衿那はただひたすら、後悔の念に苛まれ続けていた……いたのだが――

 

 ダンッ、と地面から伝わってくる音と衝撃に、衿那の表情は固まる。

 

 銃弾を受けた少女の顔は上を向いて仰け反ってはいたが、倒れるかと思った体は、右足を前に踏み留まっていた。そして――少女はガバっと顔を上げ、梅咲に向かって怒気をはらんで言い放った。

 

 

「い、痛いではないかぁぁぁ!」

『………………はい?』

 

 

 図らずも、その場にいた少女以外の全員の心が一つになった。

 梅咲も、人質たちも、絶望のどん底に叩き落とされていた衿那でさえ、少女のありえない現状に目が点になっている。

 

「……お、お前 な、な、な、な、なんで?」

 

 発砲した当の本人である梅咲は狼狽する。「何故? 何で死なない?」。そんな疑問に包まれているであろう、彼の心中が手に取るように伝わってくる。

 無論、それは衿那たちも同じ。「ひょっとして、銃弾は彼女に当たっていなかったのでは?」と、何人が予想しただろう。

 しかし、その考えを否定するかのように、少女の額からポロリと、彼女の額に着弾して潰れた鉛の玉が床に転がり落ちる。

 

「…………」

 

 梅咲も人質も、顎が外れたように口をあんぐり。そんな彼らの唖然とする様に気付いた様子もなく、少女はおでこをさすり、痛みに顔を顰めて、ぶつぶつと独り言を呟き始める。

 

「むむむ……まさか、鉄砲とやらにこれほどの威力があるとは……些か侮っていたぞ……当たり所によっては、確かにこれは致命傷になりかねんな……」

 

 今まさに致命的な一撃を食らったという自覚もなく、呑気にそんなことを口にする少女。

 だが次の瞬間、少女は不敵な笑みを浮かべるや、梅咲へと一気に間合いを詰めた。

 

「――へっ?」

 

 未だに現状を理解しきれず固まっている梅咲が、その動きに反応できる筈もない。少女は彼の下顎めがけ、躊躇なく掌底を叩き込んだ。

 

「がひゃっ?」

 

 下から打ち上げられるように放たれた一撃に、梅咲の体が跳ね上がる。首がもぎ取られるかのような衝撃に、彼は白目を剥き、完全にその意識を手放した。

 

「ふむ、少し慢心が過ぎたようだ。いい勉強になった、感謝するぞ! 名も知れぬ銀行強盗!」

 

 床に転がる梅咲へ、何故か少女は礼を言いながら、今度は人質たちに目を向ける。

 

「さて……それでは儂は失礼させてもらう。これでも、先を急ぐ身の上なのでな!」

 

 自分から首を突っ込んでおきながら、一方的にそう告げ、少女はその場で回れ右をする。再び窓ガラスを蹴破り、後ろを振り返ることもなく、その場を走り去っていった。

 

 

 

 こうして、暴れたいだけ暴れ、嵐のように立ち去った謎の少女。

 彼女と入れ替わるように突入してきた警官隊が、梅咲輝美率いる五人組の強盗犯たちを拘束、あえなく彼らは御用となった。

 死者は0、負傷者が六人。その内の五人が被疑者だというおかしな内訳である。

 唯一、強盗犯から暴行された櫛田衿那は、殴られた痛みを感じながらも、さらに自分の頬をつねり、これが夢かどうかを確認せずにはいられなかった。

 

 

「……何だったのよ……あの女……」

 

 

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