食戟の守護者   作:シエロティエラ

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予告とちょっと予定を変更し、新作を投稿しました。が、ハリポタの更新の前に、しっかりとこちらの小説の更新をしようと思いました。


それでは拙い文ですが、どうぞ。




漆ノ皿:丼研はどげん?

 一色との料理勝負があった夜から数日後、特に大きなことはなく、創真は二度目の高校生活を過ごしていた。料理以外の学問に案しては、生前師やハッチャケ爺さんに叩き込まれたこともあり、特に苦労することなく過ごせている。勝負の翌日、「牛筋の煮込み」を作る際に多少の妨害を受けそうになったが、される前に不届き者を下がらせたため、特に問題はなかった。

 しかし問題が起きた。何と無しに田所恵とともに丼研の部室に立ち寄ったのだが、そこにいたリーゼントの先輩が、明日のジョーばりに真っ白に燃え尽きていた。

 

 

「……どうやら拙い時に来たようだな」

 

「ああ……せっかく来てくれて嬉しいけど……この部はおしまいだ」

 

「おしまい? どういうことだ?」

 

 

 先輩の言葉を聞き、少し創真は疑問に思った。仮にもここは料理学校、しかも専門分野が多彩であり、丼ものの研究をしていても可笑しくない。それが研究自体が出来ないとなると、なにやら妙なことが起きていることは想像に難くない。

 

 

「ああ。えりな様からの書状だ。この研究室を手に入れるために食戟を挑んできたのさ」

 

「それがなぜ終わりなんだ?」

 

「お前知らないのか!? 『神の舌』をもつえりな様に、食戟で勝てるわけないだろう!?」

 

「ただ正確な舌を持っているだけだろう? 無論技量もそれに見合ったものだろうが、端から諦めるのはいかがなものだ?」

 

 

 勿論、技量は相応に高いのだろう。話を聞く限り、彼女は今まで負けなしだったようだ。それに八百長などではなく、己の実力の身で勝ち上がっているようだ。だが上を目指す以上、彼女のような壁は必ずぶち当たると思うのだが。

 

 

「それで恐れをなした部員は逃走、残るはあんただけというわけか」

 

「すごいことに、相手の得意分野で勝負して勝つんだよ、薙切さんは……」

 

「成程な。このノートを見る限り、他の同好会や研究会も相当研究していることがわかるが……」

 

 

 創真は机に置かれた研究ノートをめくりながら、一人考え事に耽った。ノートには様々な丼のレシピが書かれており、オーソドックスなものから、生前では思いつきもしなかったものまで、事細かに研究されていた。これらがなくなってしまうのは、ハッキリ言って惜しい。自身が見たことのないレシピや世界を、たった一度の勝負事で失うのは、余りにもむなしいことである。

 

 

「……先輩、提案があるんだが」

 

「ああ? 何か欲しいのか?」

 

「いや違う。私が食戟に代わりに出よう。その代わり、この部活の研究成果(レシピ)をいくつかいただきたい」

 

「別にいいが、お前勝つ算段はついているのか?」

 

「ふむ……薙切えりなが試験官を務めた編入試験で、唯一私が合格した。とすればどうする?」

 

 

 創真の言葉に、僅かにリーゼント、小西部長に色が戻った。心なしか、しおれていたリーゼントも元気を取り戻したかのように立ち上がっている。

 

 

「そ、それなら喜んでお願いしたい!! 食戟は一週間後だ、テーマは丼だからなんでも使ってくれ」

 

「ふむ、交渉成立といったところだな」

 

 

 ノートを手に、教室から出るために扉へと向かった。そんな創真の背中に、小西は立ち上がったまま声をかけた。

 

 

「なぁ、なんでこんなに協力してくれるんだ? 俺たちはついさっき会ったばかりだぞ」

 

 

 彼の疑問は至極真っ当と言える。条件を付けているとはいえ、会ったばかりの人間に対して、ここまで協力するのは奇妙である。人は、否、生き物は得体のしれないものに対し、必然警戒態勢をとる。小西が少し警戒するような目で創真を見るのも、そう言った節理から見ると仕方のないものであった。

 

 

「別に大した理由はないさ。ただ、こつこつと積み上げられてきたものが、私の知らない世界がたった一人の欲望に蹂躙されることに、異議を唱えたかった。ただそれだけの個人的な理由さ」

 

 

 まぁもっとも、あの我儘少女の欲しがりは少々度が過ぎているようだがね。

 と言葉を発する創真に、小西は若干末恐ろしいものを感じた。今まで薙切えりなのやり方に陰ながら異を唱える者はいても、堂々と言ってのける度胸を持ったものはいなかった。

 しかしこの編入生は違う。決して世間知らずというわけではないだろう。料理についての知識も豊富に持っているに違いないし、料理界についても知らぬはずがないだろう。料理に関係しているならば、彼女の存在がどれほどのものか、わからぬ者はいないはず。

 そんな食の上流階級にいる薙切えりなを、あろうことか「我儘少女」と口にしたのだ。本人の耳に入ればどうなるか、想像したくもない。

 

 研究室を離れて時刻は夕方。空は夕焼けに彩られ、道は茜色に染まっていた。そこに極星寮方面に向かう道に、一台のバイクが走っていた。車体は夕方でもわかる深紅色に、装甲の内側は黒色に塗装されていた。その上に一人の男子生徒と一人の女子生徒が乗っていた。

 

 

「さて、期限は一週間後、時間は少ない。恐らく丼ものは庶民料理として根付きがちだから、彼女本人が出張る可能性は低いだろう。ならはせいぜい、審査員がド肝を抜き、且満足いくものを作らねばならんな」

 

「だ、大丈夫なの創真君? 負けたら丼研はなくなっちゃうし、創真君もただじゃすまないかもしれないんだよ?」

 

「まぁなるようになるさ。さて、そうと決まれば早速試作だな。済まないが、今晩の夕食は丼になるがいいか?」

 

「え? う、うん。たぶんふみ緒さんもOK出すと思うよ」

 

 

 夕暮れで日が沈む中、二人を乗せたバイクは止まらずに道を走っていた。

 

 






はい、ここまでです。
はぁ~データ消えたのがここまで響くとは。実は今回の話、元々は展開を早くするために、いきなり食戟の描写から始まるはずだったのですよ。それがこんなことに。

というわけで申し訳ありませんが、この小説は更新優先度を下げて、新しく投稿したダンまちと同程度のペースで更新しようと思います。

これからも私の拙作をよろしくお願い致します。

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