勇者の記録   作:白井最強

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勇者と太陽と未完の大器#4

「時間ギリギリ」

 

 サキーはゴドルフィンの施設にある広報室で雑誌取材を終えると、早歩きで応接室に向かう。内装は世界有数のチームで資金力も確かなゴドルフィンだが、質素ながら質の高い調度品が揃えられており、落ち着いた空間になっている。

 応接室に着くと急いでもてなしの準備をする。紅茶とコーヒーはある。砂糖ある。茶菓子もある。準備が終わるとサキーはソファーに座り息をついた。

 ドバイミーティングまで後二日、サキーは多忙を極めていた。トレーニングに雑誌やテレビ取材にトークショー、それにゴドルフィンに融資している出資者との会合。まさに分刻みでスケジュールが組まれていた。そんな多忙のなか何とかして作った1時間の自由時間で客人を招きお茶会を開くことにした。すると扉からノック音が聞こえてくる。姿勢を正し招き入れる。

 扉が空くと二人の人物が入室する。一人は黒鹿毛の髪色に白のメッシュが入ったウマ娘、もう一人は赤髪に赤い大きなリボンをつけたウマ娘だ。

 

『アグネスデジタルさん、スペシャルウィークさん、よくお越しくださりました』

『サキーちゃん誘ってくれてありがとう。今日はよろしくね』

 

 デジタルは自然な足取りで歩み寄り、英語で言葉を交わし挨拶の握手をする。一方スペシャルウィークは初めての場所と人物に会う緊張のせいか、キョロキョロと周りに視線を向けていた。するとサキーの視線はスペシャルウィークに向けお互いの視線が合う。

 

「ハイ、ハーワーユー、マイネームイズスペシャルウィーク。ナイストゥミートゥー!」

 

 デジタルが拙い英語で挨拶をする。英語で会話をしているなら、自分も英語で話すべきだろうと、スペシャルウィークは脳内から英単語を検索し、引き釣り出したのがこの言葉だった。

 デジタルはスペシャルウィークを生暖かい目線で見つめる。日本に来た当初は日本語が理解できず、道に迷った時に通りがかりの親切な人に案内されたことがある。その人は英語が苦手なのか、今のスペシャルウィークのように片言の発音だった。

 

My name is ○○ nice to me too

 

 この文章は恐らく日本人が最初に覚える英語の会話の文言である。実際スペシャルウィークも英語の授業で何度も音読し体で覚えており、緊張状態でも瞬時に出たものだった。それは俗に言うカタカナ英語と呼ばれる発音だった。

 その拙い英語に対しサキーは不快感を示さず、笑顔で応える。不慣れながらも一生懸命に喋ったスペシャルウィークの英語は、その人柄を表しているようでサキーにとって好感が持てるものだった。

 

『では、茶菓子を用意しますのでおかけになってお待ちください。飲み物は紅茶とコーヒーどちらがいいですか?』

「スペちゃん、飲み物はコーヒーと紅茶どっちがいいだって」

「えっと紅茶で」

『スペちゃんは紅茶で、あたしは……牛乳ある?有ったら牛乳でなければ紅茶で』

『ありますよ。ではコーヒーと紅茶と牛乳で』

 

サキーは注文を聞くと飲み物を作り始める。その後姿を見ながらスペシャルウィークはデジタルに話しかける。

 

「今牛乳を頼んだのですか」

「うん。正確には牛乳が無ければ紅茶でって。甘いものを食べるなら飲み物は牛乳でしょ」

 

 デジタルはチョコレートだろうが餡子だろうが、甘いものはすべて牛乳と一緒に食べている。そのせいかエイシンプレストンには子供舌とからかわれていた。

 

「牛乳ですか。私も北海道に住んでいたので、よく牛乳を飲んでいました。実は紅茶やコーヒーはあまり飲まないので、牛乳にしておけばよかったです」

「そうなんだ。じゃあサキーちゃんに頼んでおこう」

 

 デジタルはサキーに声をかけて牛乳に変更してもらうように頼み、サキーは了承のサインをデジタルに送る。

 

「念の為に聞くけど、サキーちゃんのことは無論知っているよね」

 

 デジタルはサキーが準備している間手持ち無沙汰なのか、スペシャルウィークをまじまじ見ながら質問する。するとスペシャルウィークはその視線に耐えかねたのか、顔を背けた。するとしょうがないと言わんばかりと表情を作りながら説明を始める。

 

「よし、じゃあ軽く紹介してあげる。ゴドルフィン所属のサキーちゃん。主な勝ち鞍はイギリス国際Sに凱旋門賞。凱旋門賞の着差は最多タイの6バ身。そしてブリーダーズカップクラシック2着。まあこれが基本情報で。サキーちゃんの魅力は何といってもその人間性だよね!

暇さえあれば小さなイベントやローカルテレビに出て広報活動をおこなっているの!働き者!ファンサービスも神対応で、触れ合った皆がサキーちゃんファンになっちゃうらしいよ!そんなサキーちゃんだから、人気者で国内の好感度ナンバー1スポーツ選手に選ばれたとか。まあ当然だよね!

そしてチームメイトにも優しくて、チームメイトが困っていることがあれば、誰にもでも分け隔てなく助けてくれるんだよ。例えば初勝利をなかなかあげられなかったウマ娘ちゃんにマンツーマンで指導してあげて、初勝利をあげたときは一緒に泣いていたシーンはこっちも泣いちゃったよ!ファンやチームメイトを明るく笑顔にさせてくれる、まさに太陽!そんなサキーちゃんだから皆『太陽のエース』って呼んでいるだよ!それで……」

 

 デジタルはまくし立てるように早口で説明する。スペシャルウィークはその情報量と熱量に圧倒される。そのせいか肝心の情報は全くと言っていいほど入っていなかった。、サキーを知るためには充分な情報を話すが止まらず、情報ではなくサキーに対しての個人的な感想を中心に移り始めている。スペシャルウィークはいつまで続くのだと辟易し始めるが、サキーが飲み物と茶菓子を用意しテーブルに置くとデジタルは話を終わらせた。

 

『お待たせしました』

「サンキュー、えっとワット……デジタルちゃん通訳お願いします」

 

 スペシャルウィークは用意されたクッキーを一口食べる。その味は日本では食べたことがない味だった。このクッキーに入っているフルーツらしきものが原因だろう。何が入っているか聞こうとしたが、英語が出なかったのでデジタルに通訳を頼み、デジタルが英語で茶菓子について尋ねる。

 

『これはデーツと呼ばれるドライフルーツが入っています』

「デーツですか、うん、デーツ イズ デリシャス」

『うん、濃厚で美味しい』

 

デジタルもビスケットを手に取り食べる。味はドライプルーンに似ており、それ以上にねっとりと甘い濃厚な味にしたような感じで、二人の舌に合うものだった。

 

『お口に合って何よりです。土産で売っていますのでよろしければ、店でも出来立てを売っている店もありまして、それはさらに美味しいので機会があればどうぞ』

『うん。美味しいよこれ。牛乳と相性ばっちりだよ』

『そうですね。私もよく牛乳と一緒に食べています』

『そうなんだ。もしかして甘いものを食べる時の飲み物は牛乳派?』

『はい。アグネスデジタルさんもですか?』

『うん、あたし達気が合うかもね』

『そうですね』

 

 二人は同時に笑顔を作り、場の空気は和やかなものになる。するとサキーが話を切り出す。

 

『改めて、本日はお越しくださりありがとうございます。誠に申し訳ありませんが、一時間後には別の用事が入っていますので、このお茶会は一時間で終了させていただきます』

『そっか、残念。そんなに忙しいの?』

『はい、この一時間も何とか作ったぐらいで、それ以降の自由時間はありません』

「凄いですね。自由時間がないほど予定があるなんて」

 

 サキーの言葉にスペシャルウィークは感心の相槌をうつ横で、デジタルはサキーに悟られないように落胆のため息をつく、サキーとならば夜通しでもお喋りできるが、わずか一時間か。サキーの活動が多忙なのは知っており、地元のビッグレースを走るとなれば、取材などもさらに増えるだろう。しかし一時間程度の自由時間すら確保するのに苦労するほど多忙とは思わなかった。

 

『それじゃあ、しょうがない。じゃあ一時間おしゃべりを楽しもう。しかし、あの番組で言っていたことを覚えていてくれて嬉しいな』

『ネット中継を見ていたのですか?』

『もちろん』

 

 サキーは僅かばかし驚きの表情を作る。以前のネット放送した番組でデジタルとお茶をしたいと言ったのは覚えているが、あの番組を見ていたのか。あれは自身のツイッターでもチェックしていないと存在に気づかないものだ、自身のファンなら分かるが、対戦相手が見ているとは思ってもいなかった。

 

『ドバイに着いてから、ちょっと期待していたけど本当に誘ってくれるなんて。改めてありがとうサキーちゃん』

『なら尚更誘えてよかったです。そうでなければ嘘つきになってしまうところでした』

 

 

 三人のお茶会が始まる。会話はドバイについてから始まり、日本や日本のレース事情について、アメリカやヨーロッパのレース事情や小話など話が広がり会話は弾んでいく。するとそれまで聞き役に徹していたスペシャルウィークが口を開く。

 

「サキーさんはどんなトレーニングをされていますか?」

『どんなですか…恐らく皆さんと変わらないと思います。補強運動したり、走りこんだり、フォームチェックをしたりです』

「それはどんな内容ですか?」

 

 スペシャルウィークが質問し、サキーが回答する流れが続く。内容はレースについてのことや食事についてまで熱心に聴いていた。今まではデジタルが喋っていたが、スペシャルウィークが熱心に質問するので、その熱意に押されてか今度はデジタルが聞き役に徹していた。一方サキーもスペシャルウィークの質問に、答えられる範囲で包み隠さず答えていた。

 10分程度経つが、スペシャルウィークとサキーの質疑応答が続く。デジタルの本心としてはもっと緩いガールズトークをしたかったが、場の流れは結構シリアスだ。恐らくトレーナーがトップレベルと話せば今後の為になるという話を真面目に聞いたからだろう。好きな流れではないが、スペシャルウィークがしたいというなら尊重しよう。デジタルは引き続き通訳に徹した。

 

「スペシャルウィークさんは真面目ですね」

 

 サキーはお互いが一息つく間を作るように喋りかける。だがこれは本心でもあり、日本人は勤勉で真面目だというステレオタイプなイメージを持っていたが、まさにその通りだ。

 

「すみません。私ばかり聞いてばかりで」

『構いませんよ。でも何だか焦っている気がします。何があったんですか?』

『いや、ウチの白ちゃんがさ、ウマ娘界のトップであるサキーちゃんと話せば色々と得られるだろうって言ってさ、たぶんそれを真面目にこなそうとしているんだよ』

『なるほど、でもそれ以外に何かあるように見えます。よろしければ話してもらえますか?そうすれば相談に乗れるかもしれません』

 

 スペシャルウィークは僅かに目を見開く、初対面でここまで自分の胸のうちが分かるのか。その観察力を持つサキーならば自分の悩みを解決してくれるかもしれない。サキーの言葉に促されるように、自分の悩みを話し始める。

 

「私にはサイレンススズカさんという、どうしても超えたいウマ娘がいます。その人とはチームが一緒で、練習メニューもほぼ一緒です。なので自主練習しようと思いましたが、練習は自分の限界ギリギリで組まれており、それ以上はオーバーワークになると制限されました。ですからサキーさんにトレーニングの話を聞いて、少しでも追いつきたいなって」

 

 スペシャルウィークはポツリポツリとサキーに意見を伝えると、サキーはすぐさま自分の意見を述べた。

 

『それはスペシャルウィークさんのトレーナーに相談すべきです。スペシャルウィークさんのことを一番理解しているのはトレーナーだと思いますので、自分の気持ちを伝えれば、きっと最善の道を示してくれるはずです。それに練習や食事の事を聞いていましたが、伝えたことは私にとってベストであって、スペシャルウィークさんにとってはベストではないかもしれません。ですのでトレーナーを信じて、練習や食事メニューを守るのが強くなる一番の近道であると思います』

 

 スペシャルウィークはサキーの言葉に大きく頷く。トレーナーは自分のことを自分以上に考えてくれている。そのトレーナーが考えるメニューが一番良いはずだ。それにサキーからのアドバイスを聞いたのも、自分だけ恩恵を得て強くなろうというよこしまな考えが合ったかもしれない。それでサイレンススズカに勝ってもズルイ気がする。

 

「分かりました。アドバイスありがとうございます」

 

 話した事で迷いが晴れたのか、スペシャルウィークの声は先ほどより明朗になっていた。そしてスペシャルウィークはふとデジタルの顔を見ると、デジタルは笑顔を見せる。スペシャルウィークの悩みが解決したことがデジタルにとっては嬉しく、笑顔を見せていた。一方スペシャルウィークはデジタルの表情を見て失敗に気付く、

 喋りすぎた。デジタルが待ち望んだサキーとのお喋りだが、時間は一時間しかない。それなのに自分の質問でそれなりに時間を潰してしまった。あとはデジタルが会話を楽しむ時間にさせようと最後の質問をする

 

「最後に一つだけ聞いても良いですか?」

『はい、どうぞ』

「凱旋門賞に勝つための攻略法や必勝法とか有りますか?」

『そうですね。有ると言えば有ります』

「それを教えてもらえますか?」

『それは困りました。私も今年も凱旋門賞は勝ちたいですし、強力なライバルがさらに強くなってしまってはとても大変です』

 

サキーはおどける様に喋り、デジタルは思わず笑みをこぼす。その言葉にスペシャルウィークは慌てながらも弁解する。

 

「私は出ないから問題ないです、ただエルちゃんのために聞いておきたいなって」

 

 スペシャルウィークの友人エルコンドルパサーは凱旋門賞を勝つ事を目標にしており、レースにも走っている。その経験からコースの特徴や攻略法を知っているかもしれない。だが勝った事ある人間の話を聞ければ、それは成功例であり貴重な意見だ。エルコンドルパサーのために是非聞いておきたかった。

 

『スペシャルウィークさんは凱旋門賞には出ないのですか?私の見立てでは充分に勝てる見込みはあると思いますが』

「日本一のウマ娘になるのに苦労しているのに、世界一を決める舞台に出るなんて正直ピンと来ません」

 

スペシャルウィークの言葉を聞き、サキーは数秒考え込む。すると何かを思いついたようでに提案する。

 

『ではこう考えてみてはどうでしょうか、凱旋門賞を世界一ではなく、日本一を決める舞台だと思えばいいのです。さきほどああ言いましたが、私個人としてはスペシャルウィークさんが出てくれれば、レースが盛り上がりますし一緒に走りたいです』

「凱旋門賞が日本一を決める舞台」

 

 スペシャルウィークはサキーの言葉を繰り返し呟く。日本所属で凱旋門賞に勝ったウマ娘はいない。その偉業を成し遂げれば日本一のウマ娘になったと言ってかもしれない。それに日本のレースではGIを何勝もしなければ日本一と認めてくれないが、凱旋門賞を勝てば一レースだけで済んでしまう。これは目から鱗かもしれない。

 

「そうだよスペちゃん。凱旋門賞に出て世界一になって日本一になっちゃおうよ!あたしも応援に行くよ……あれ凱旋門賞っていつだっけ、サキーちゃん?」

『十月の二週目の日曜で、日にちは分からないです』

「一週間後に南部杯だ!他のレースはともかく、南部杯前にフランスに行って応援する余裕はないな、ごめんねスペちゃん」

 

デジタルはしょげかえりながら謝り、スペシャルウィークは恐縮そうに気にしないでと口に述べる。その微笑ましい光景を見てサキーは思わず微笑んだ。

 

『アグネスデジタルさん、スペシャルウィークさん、貴女達にとってレースとは何ですか?』

 

 サキーが二人の様子を見計らって、質問を投げかける。随分と哲学的ともとれる質問だ。スペシャルウィークに翻訳すると頭を悩ませて、考え込んでいる。その間にデジタルは自身の考えを述べる。

 

『そうだね、ディズニーランド』

『ディズニーランドですか?』

『うん、私はウマ娘ちゃんと触れ合うのが一番好きで、お喋りしたり一緒に遊んだりしてウマ娘ちゃん達と交流できるけど、レースではそこでしか見られない表情や感情を見せてくれる。一緒に走ることで心を通じ合わせる感じ、分かるかなこの感覚?』

『何となく分かります』

『それを感じるのが楽しくてたまらなく幸せ。この感覚は子供の頃ディズニーランドで遊んだ時の感覚に似ている。だからレースはあたしにとってのディズニーランド』

『面白い回答ですね』

 

 サキーは予想外の回答に面を食らうが笑みを作る。それは相手をバカにしたのではなく、面白く愉快なものを見たときのような朗らかで爽やかなものだった。

 

「私は……トレーニングも辛い時も有りますし、負けたら泣きたくなるほど悔しいです。ですが楽しいこともいっぱいありますし、そういうのを全部引っ括めてレースは楽しいです!」

 

 スペシャルウィークの言葉をサキーに伝える。その答えはサキーにとってある程度予想通りだが、人柄通り純粋で真っ直ぐな答えは気持ちいいものだった。そしてサキーも自らの答えを話す。

 

『お二人共素敵な答えでした。そして私の答えですが、レースはウマ娘レースの魅力を周りに伝えるアピールの場です』

 

 サキーの答えを聞き二人は首を傾げている。それを見て言葉を付け足す。

 

『ウマ娘は素晴らしいものであり、レースは世界で1番面白いスポーツだと思っています。他を寄せ付けない圧勝でも、ライバル達との手に汗握る接戦でもいい。私たちのレースを見れば魂を震わせ、ウマ娘レースが好きな人はさらに夢中に、知らない人は興味が引かれていくと思っています。それをアピールできるのがレースです。だからレースはアピールの場だと思っています』

 

 レースとは魅力を伝えるためのアピールの場、サキーの考えは二人に全くなかったもので新鮮だった。そのサキーの答えを聞き、是非聞いてみたいことができた。デジタルは質問を投げかける。

 

『サキーちゃんの将来の夢って何?あたしはトレーナーになってウマ娘ちゃんのハーレムを作ることかな』

「私は日本一のウマ娘になることです」

 

 デジタルの答えに触発されるようにスペシャルウィークも自身の夢を語る。サキーは少し考え込むような仕草を見せたあと口を開く

 

『そうですね。私の夢は世界一のウマ娘になることです。そのためにドバイワールドカップ、キングジョージ、凱旋門賞、ブリーダーズカップクラシックの4大レースに勝つことです』

『それ、本当?』

『と言いますと?』

『サキーちゃんの夢はそんな個人的なことじゃなくて……何というか……皆のためというか……ウマ娘ちゃんラブ感がある夢だと思うんだよね』

 

 日本語訳を聞いたスペシャルウィークは不思議そうにデジタルに視線を送る。一方サキーは目を大きく見開き、言葉を続けた。

 

『すごいですアグネスデジタルさん。そうです。今の言葉は正しいですが、あくまでも夢を実現するために必要なことであって、夢そのものではありません』

『じゃあ、何?教えてよ』

 

 デジタルは興味津々そうに目線を送り、サキーはひと呼吸おき語った。

 

『私の夢は世界中のウマ娘と、関係者とファンの幸せです』

『ウマ娘ちゃんの幸せ?』

『ウマ娘レースはもっと知ってもらえれば、レース場にお客が入り、グッズも購入してくれます。下世話な話ですが大きな金銭が動き、そのお金はウマ娘とその関係者に入ります。そして人気になれば社会的地位も増してきます。人気になれば多くの人がウマ娘レースという素晴らしいスポーツを見て幸せになってくれます。そんな理想を実現するために4大タイトルに勝つことが必要なのです』

 

 サキーから語られる夢のスケールの大きさにスペシャルウィークは呆気にとられていた。

 

『素敵!素敵で凄い夢だよ!サキーちゃんもウマ娘ラブだったんだね!あたしも手伝うよ!何でも言って!』

 

 一方デジタルは感極まったのか抱きつきながら語りかける。サキーはウマ娘を愛し、幸福を願って行動している。なんというウマ娘愛だ!デジタルは猛烈に感動していた。

 

『ではドバイワールドカップで負けてくれますか?』

『えっと……あたしだってウマ娘だから勝ちたいし、将来のハーレムのために重要だから……』

『冗談です。私が望むのはデジタルさんがレースの100%の力を発揮してもらうことです。見ている人を惹きつけるレースは皆が全力をだすことですから』

『それなら大丈夫!100%、いや120%の力を出すから!』

『はい、楽しみにしています』

 

 二人は抱き合いながら健闘を誓い合う。そこには二人だけの空間ができており、スペシャルウィークはただ見守っていた。

 

 

 

 

『では今日は楽しかったです』

『私も楽しかったです』

「はい、こちらも楽しかったです」

『あたしも楽しかったよ』

 

 予定の時間を迎え、三人は握手を交わし別れの挨拶を交わす。

 

『サキーちゃんこれ』

 

 デジタルは握手する際にサキーの手に何かを握らせた。中には紙が入っており、メールアドレスと電話番号が書かれていた。

 

『必要な時があったらいつでも連絡して。サキーちゃんの夢、あたし本気で手伝うから』

 

 デジタルは真剣味を帯びた瞳でサキーを見つめる。それに応えるようにサキーもデジタルを見つめた。

 

『はい、その時は頼りにさせていただきます』

『じゃあねサキーちゃん、レースで会おうね!』

「シーユーアゲイン」

 

 デジタルは手を振りながら、スペシャルウィークは頭を深々と下げながら、サキーに別れの挨拶を告げる部屋を退出した。

 

 

「それで、サキーとのお茶会はどうだった?」

 

 デジタルとスペシャルウィークはお茶会が終わりホテルに帰ると、トレーナーと一緒に夕食をとる。その席でトレーナーが話を切り出した。

 

「いや~楽しかった」

「はい、いっぱい為になる話を聞けました。これもトレーナーさんが誘ってくれたおかげです」

「いや俺は何もしてへん。それよりデジタルは通訳ちゃんとしていたか?」

「それはばっちりでした」

「そうか、通訳そっちのけで話さないかと心配しっとわ」

「さすがにそこまでしないよ」

 

 トレーナーはからかう様に話すと、デジタルは若干不満げに答えた。

 

「しかし、凄いですよね。夢はウマ娘たちの幸福だなんて、私なんて自分のことだけで精一杯なのに」

「本当だよね!サキーちゃんがあんなにウマ娘ラブだったなんて、ますます好きになっちゃったよ!」

「何か自分の欲を夢と言ったのが、少し恥ずかしくなってきました」

「何の話や?」

 

 トレーナーの質問にデジタルがお茶会でサキーの語った夢を興奮気味に話す。それを聞いたトレーナーは考え込みながら呟く。

 

「スペシャルウィーク君の夢は日本一のウマ娘やったな」

「はい」

「立派な夢や。何も恥ずかしいことはない。むしろサキーのほうがおかしい」

「サキーちゃんがおかしいって、どういう意味白ちゃん!?」

 

 デジタルは隣に座るトレーナーに脊髄反射で食いつかんばかりに顔を近づける。それを宥めながら話を続ける

 

「そんな突っかるな。ええか、夢っていうのは普通なら個人の願望や、スペシャルウィーク君の日本一になりたいって夢や、デジタルのハーレムを作りたいって夢とかな」

「あたしは兎も角スペちゃんは違うよ。スペちゃんの夢は……自身の願望だけじゃないよ!」

 

 デジタルは少し強めに否定する。スペシャルウィークが日本一を目指す理由は、産みの親と育ての親と交わした約束のためと言おうとしたが、言われたくないかもしれないと考え言葉を濁す。

 

「そうか、それはスマン。とにかく夢は個人的な願望や。俺だって日本ダービーや凱旋門賞制覇っていう個人的な夢がある。皆のため他人のためなんて夢は、悟りきった爺さん婆さんが願うもんや。でもサキーは本心でウマ娘と関係者とファンの幸せを願っておる。それは素晴らしいと思う。だが同時に異質さも感じる」

「考えすぎだよ。ただ単純に白ちゃんが年喰ってひねくれた考えているだけだよ」

「それよりサキーについて何か分かったことがあったか?」

 

 トレーナーは話題を変えてデジタルに尋ねる。本来ならお茶会を通してサキーについて探りたかったが、空気を読み同席を避けた。そのかわりにデジタルにサキーを観察しておいてくれと頼んでいた。だが話しに夢中になり怠っているだろうと、ダメ元だった。だが予想に反した返答が帰ってくる

 

「う~ん、いくつか分かったよ」

「ほんまか?何が分かった?」

 

「サキーちゃんは本番では小細工を仕掛けてこない。真っ向勝負で挑んでくると思う」

「根拠は?」

「サキーちゃんはあたしに100%の実力を発揮して欲しいと言っていた。そんな人が小細工を仕掛けると思えないよ」

 

 トレーナーはデジタルの言葉に静かに頷く。相手に力を発揮させない走り、デジタルの言う小細工をするならば、態々そんなことは言わない。サキーが油断させるために嘘を言っている可能性もあるが、それは無いだろう。デジタルの人を見る目はそれなりに確かであり、自分が考えるサキー像にも当てはまらない。

 

 彼女は自分以外の相手が100%の力を望んでいる。それがサキーの言う皆を惹きつけるレースになり、ウマ娘と関係者とファンが幸せになるために必要なことなのだろう。

 レースに勝てば賞金が貰え、ドバイワールドカップは全レースで最高額の賞金がもらえる。人なら誰しも金が欲しいはずだ。だがサキーは勝利よりもっと大きいものを見据え、他人の幸せの為に困難な道を選ぶ。

 どう過ごせばその若さで、その考えに到れる?トレーナーはサキーに末恐ろしさを感じていた。

 

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  サキーはシャワーを浴びるとリビングに戻る。リビングの床はフローリングになっており、中央にはソファーと32インチのテレビ。左端には食卓兼勉強机が置かれており、机の横には書籍が積み重ねられている。

  サキーの部屋の間取りは1LDKで、内装も調度品も普通のものであり、世界有数のチームであるゴドルフィンのトップが住む部屋とは思えないものだった。だがサキーにとっては広さも丁度良く、必要なものが揃っている心地よい空間だった。

 ソファーに腰を掛けるとテレビのスイッチをつけてザッピングをする。番組はレースが近いというだけあって、大半がドバイミーティングの特集を組んでいた。だがある番組は特集ではなくニュースを放送しており、サキーの表情は渋いものとなる。

これでは足りない。もっと注目を高めなければ、ウマ娘と関係者とファンを幸せにすることができない。

 

 サキーはアメリカで生まれ、ごく普通の家庭で育ち、地元のレース場でレースを見て魅了され、自らも同じ舞台に立ちたいと志す。それはウマ娘達がウマ娘レース業界に入る理由としてはポピュラーなものだった。そういった意味ではサキーは一般的なウマ娘だった。

 

 だがその精神は一般的とはいえなかった。

 サキーはウマ娘レースとウマ娘達が好きだった。それどころか、愛しているといえるほどだった。その強すぎる愛はある不満をもたらした。

 ウマ娘レースは極上のエンターテイメントであり、レースに参加するウマ娘やトレーナーや関係者はもっとちやほやされるべきである。

 アメリカにおいてウマ娘レースはバスケットやアメフトなどの4大スポーツに並ぶ位置だが、サキーには少なからず不満だった。そんな日々が続くなか。日に日に不満は募っていく。

 

――――皆どうしてレースの話をしないのだろう?

 

 クラスのあるグループはドラマの話、あるグループはバスケやアメフトの話をしていた。ウマ娘のレースは素晴らしい。この世で最も素晴らしいエンターテイメントだ。何故レースを見ないで、他のものを見てそのことについて話しているのだろう?幼いサキーには全く理解できなかった。

  彼らはきっとレースの存在を知らないだけだ、ならばレースについて教えてあげよう。それはサキーの親切心から生まれた行動だった。そして他の事を話しているグループに声を掛ける。

 

――――ねえ、そんなのものより、ウマ娘のレースを見ようよ

 

 サキーには悪気は何一つ無かった。ウマ娘レースこそ地球上で最も素晴らしいエンターテイメントであり、それを知らない可哀想なクラスメイトに、ウマ娘レースのことを教え、その素晴らしさと楽しさを伝えてあげようという善行のつもりだった。

 その日からサキーはクラスメイトからのけ者にされた。

 ドラマを好む者やバスケを好む者、それぞれがそのエンターテイメントを見て体験し、楽しさや興奮を体感し好きになった。

  サキーがウマ娘レースこそが最高のエンターテイメントだと思うように、ドラマやバスケやアメフトなどが最高のエンターテイメントだと思っている。それをそんなものと言い放った。それは大切な宝物をゴミ同然と侮辱したようなものであり、嫌われるのは当然の事だった。そのことをサキーは全く理解していなかった。

 

 クラスにのけ者にされたサキーだが、自らの主張を変えることはなかった。ウマ娘レースこそ最高のエンターテイメントであり、皆にそれを体感して欲しい。間違っていたのは考えではなく、普及するやり方だ。

 月日が経ち、あることに気付く、人は力や権力が強いものに従うものだと。

 アメリカの学校生活にはスクールカーストとよばれる制度が存在し、地位が上の者ほどクラスでの発言力が高くなっていく。そしてサキーのクラスメイトで、スクールカースト上位者が見たテレビ番組や始めた趣味をクラスメイト達が挙ってやり始めた。それを見てサキーは閃く、私がスクールカーストの上位者になって、ウマ娘レースを見るような環境にすれば良い。

 それからサキーの努力は始まった。美貌、トークの面白さ、社交性。スクールカースト上位になるための要素を研鑽する。それはサキーにとって苦痛だった。

  何故ウマ娘に関係なく、興味が無いことに時間を費やさなければならない。それは嫌いな習い事を親から強制されるような苦しみだった。誰よりもウマ娘とレースが好きな故に、その苦痛は常人の何倍だった。だが皆にウマ娘レースを見せて、その素晴らしさを普及したい。そのウマ娘とレースに対する愛情が生んだ苦痛を愛情で耐え忍び、研鑽し続けた。

 

 その結果スクールカースト最上位者となり、普及することに成功する。この方法ならば皆にウマ娘レースの素晴らしさを伝えられる、サキーは手ごたえを感じていた。だが月日が経ち、この方法の欠陥に気付く。それは効率が悪すぎることだった。

 サキーのクラスでスクールカースト最上位者になり、ウマ娘レースを普及した。だが別のクラスにはそこでの最上位者がいて、別のエンターテイメントが流行っているだろう。そして学年が違うクラスで、違う学校で、違う州の学校で、それぞれのクラスでのスクールカースト最上位者がおり、自分ひとりで、それらの最上位者が作る流れを変えることはできない。

 もっと、もっと良い方法がないのか。頭を悩ましていると、サキーの親からあることを聞いた。親達が学生時代の頃、ある世界的ミュージシャンが活動していた。それは世代が離れて、興味が無かったサキーでも知っており、今でもそのミュージシャンのファンは多い。そして当時は全盛期であり、アメリカ国民、いや世界中が彼らに熱中したらしい。

 それを聞き、サキーは閃く。

 

 そんな存在に自分がなればいい。そうすれば一々スクールカーストの最上位者になり、ウマ娘レースを流行らせるという面倒なことをしなくていい。その当時のように、上位者も下位者も関係なくウマ娘レースに熱中させればいい。それには偉業が必要だ。

 かつて、アメリカクラシックレース三冠を無敗で制したシアトルスルーというウマ娘がいた。そんな彼女でも世界的ミュージシャンのように熱狂させ、世間を振り向かせることはできなかった。

 ならもっと凄い偉業が必要だ。アメリカクラシック三冠を無敗で制し、アメリカウマ娘界最高峰レース、ブリーダーズカップクラシックも勝つ。そして次の年はヨーロッパウマ娘界最高峰のレースである、キングジョージと凱旋門賞も無敗のまま勝つ。ビッグレースに勝ち続けて無敗のまま引退する。そうなれば活躍が話題を呼び、その世界的ミュージシャンと同じように世界中を熱狂させ、世界中のすべての人がウマ娘レースを見るようになるだろう。

 サキーが描いた夢は、夢としてすら思い描くことが無いような途方の無いものだった。だが愛するウマ娘レースを世界中に見てもらうために必要なら、やらなければならない。その日からトレーニングに没頭する。サキーにとって夢ではなく使命だった。

 

 

 月日が流れ、トレーニングの甲斐あってか、サキーは世界有数のチームであるゴドルフィンにスカウトされ、チームに入りヨーロッパで走る事になった。

 まずはチームのレジェンドであるラムタラのように、イギリスダービー、キングジョージ、凱旋門賞を無敗で勝ち。そして来年はブリーダーズカップクラシックに勝つ。それがサキーの予定だった。

 デビュー戦は4着に終わり、早速予定が狂ってしまう。だが気落ちすることなく次のレースに勝利し連勝を4まで伸ばし、欧州最高峰のレースであるイギリスダービーに挑む。結果は2着だった。次走のGIエクリプスSも4着に敗れ、その後のトレーニングで怪我をしてしまい、ジュニアC級のシーズンを終えた。

 

 サキーのこの結果を受けて、頭にはある考えが過ぎる。

 

――――己には人々を振り向かせるような伝説を作るウマ娘にはなれないのかもしれない。

 

 だが、例えそうだとしても、ウマ娘レースを普及するにあたって、やることは腐るほどある。サキーは活動方針を変更する。

 

 ウマ娘レースを普及するには興味がない人すら知っているような、絶対的な象徴の存在が必要である。それと同時に地道な普及活動も必要であると考えていた。

 ある日、自身が通う学校にレースに参加する選手が訪問したとしよう。そこで対応よく接せすれば、ウマ娘レースに興味がない生徒も興味を持ってくれるかもしれない。自身は象徴になれないかもしれないが、そうだとしたら代わりに地道な普及活動をやるべきだ。

 サキーはレースに出られない間、学校や病院への慰問活動、地域のボランティア活動への参加、ローカル番組のメディア出演などをトレーニングに支障が出ない範囲ギリギリに精力的におこなった。幸いにもイギリスダービー2着という看板は効果あり、営業活動の甲斐有ってか、その手の依頼は途絶えることはなかった。

 

 広報活動以外にも、チームメイトのサポートを精力的におこなっていた。

 

 すべてのウマ娘は幸せであり報われるべきである。それがサキーの考えだった。だが矛盾しているようだが、レースである以上、勝者と敗者が存在しすべてのウマ娘が報われることはない。ならばせめてゴドルフィンのウマ娘だけは幸せにさせてあげよう。

 

 ある者がレースに勝ちたいと願えば、トレーニングに協力し、相手を分析し勝機を探し、ある者が好きな作曲家の曲でウイニングライブを歌いたいといえば、三顧の礼で頼み込む。

 自身のトレーニングに広報活動とチームメイトのサポート。活動は多忙を極め、自分の自由時間は全くなかった。だがそれは全く苦痛ではなかった。一人でもウマ娘レースを知ってくれて、一人でも多くのウマ娘が幸せになってくれれば充分だった。

 うら若き少女が自由時間も無く、チームメイトや業界のために奉仕する姿は、ある意味狂気の沙汰である。だがそれはサキーにとって当たり前のことだった。

 

 そして翌年。

 地道なトレーニングの成果か、業界に奉仕する献身性に対する神からの褒美か、サキーはメキメキと実力をつけ、夏のヨーロッパレース界の中距離NO1を決める。芝2100メートルのGIヨークシャーステークスでは2着に7バ身。芝世界最強を決める凱旋門賞では2着に6バ身。ダート世界最強を決めるブリーダーズカップクラシックではハナ差の2着と、現役最強に相応しい成績をあげた。

 この結果を受け、再び自身が伝説を作るウマ娘になれるという希望が芽生える。当面の目標は誰もがなしえていない、ドバイワールドカップ、キングジョージ、凱旋門賞、ブリーダーズカップクラシック制覇だ。これを達成できればメディアもこぞって注目するだろう。

 サキーは伝説のウマ娘になれる位置に上り詰めたが、スタンスは怪我で休んでいた時と変わらない。トレーニングの間に、広報活動や、地域の学校や病院への慰問活動やボランティアに参加し、チームメイトへのサポート、24時間すべてを業界やチームメイトのために費やした。

 そんなサキーが久しぶりに自分のために時間を使った。アグネスデジタルとのお茶会だ。香港での出会いもそうだが、調べていくうちにアグネスデジタルは自分と同じような匂いを感じ。お茶会をセッティングし会話した。

 

 予想は当たっていた。デジタルは本当の夢を見抜き、自身の夢を素敵と言いかけなしの賞賛の言葉を送ってくれた。やはりデジタルも同じようにウマ娘を愛していた。だが方向性は若干異なっている。

 デジタルはウマ娘への愛は内向きであり、可愛いものを可愛いと愛でるような愛情だ。

サキーのウマ娘への愛は外向きであり、母が娘の幸せを願うような愛情だ。

 

 だがサキーは方向性の違いに対し落胆することはない。違うといえど根っこは同じでサキーも愛でる愛情を持っており、デジタルも幸せを願うような愛情を持っている。そのデジタルならサキーの夢の実現のために喜んで手伝ってくれるだろう。

 

 だがレースでは同志のデジタルを倒し、彼女の夢や希望を絶たなければならない。それだけではない。同じチームのストリートクライの、他のウマ娘の夢も同じよう絶たなければならない。ウマ娘達の幸福を願っていながら、その幸福を得ることを邪魔する。

矛盾しているのはわかっている。だがやらなければならない。

 レースに勝ち伝説のウマ娘となれば、ウマ娘達は注目され持て囃され業界は潤う。そうなれば今後の人生に幸福がおとずれるはずだ。

 

 サキーはドバイミーティングとは無関係なニュースが流れる番組を見ながら、決意を新たにした。

 


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