勇者の記録(完結)   作:白井最強

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勇者と皇帝と求道者、再び ♯6

 セイシンフブキは意識が覚醒すると、体を覆っていた布切れを吹き飛ばす。

 起き抜け特有の倦怠感もなくスムーズに身体が動く、今日は絶好調だ。畳で寝たのは久しぶりで、どう影響するかと心配していたが杞憂だった。

 体を起こし隣で寝ているアジュディミツオーとアブクマポーロを起こさないように忍び足で歩いて窓に近づきカーテンを開けると眩しさに目を細める。

 天気は快晴、予報でも1日中晴れでレースは良バ場で行われるだろう。雨の中不良や重で走るのも嫌いではないが、やはり良の乾いた砂で走るのが一番好きだ。

 

「おはようございます。師匠」

「おはようフブキ」

 

 アジュディミツオーは眠そうに目をこすりながら、アブクマポーロは低血圧気味なのか少し気だるげに起きて挨拶をする。

 

「その感じだと調子は良さそうだね。そして天気は晴れ、良バ場でやれそうだ」

「はい」

「アジュディミツオー君、起きてそうそうすまないが、下の自販機でコーヒーを買ってきてくれないか、ブラックが無ければコーヒーなら何でもいい。フブキは何がいい?」

「水で」

「ではその2つと後は君の分も買ってきてくれ」

「わかりました」

 

 アジュディミツオーはアブクマポーロから小銭を受け取ると勢いよく部屋から飛び出ていき、数10秒後には息を切らせ部屋に戻り注文の品を渡す。

 

「買ってきました」

「ありがとう。でもそんなに慌てなくてもよかったのに」

「1秒でも速く持ってこい、それが師匠の教えですから」

「フブキ、そんなしょうもないことを教えないで、もっとマシなことを教えたらどうだい」

「ちゃんと教えてますよ。見て盗め。姐さん流です」

「私はそんな旧時代的なことはしていない。ちゃんと説明した」

「全然噛み砕いてくれないじゃないっすか。自分で理解するためにすげえ勉強したんですから」

 

 セイシンフブキの言葉にアブクマポーロとアジュディミツオーは思わず吹き出し、場の空気は和やかなものになる。

 

「師匠!今日は絶対勝ってくださいね!師匠の正しいダートの走りで勝つ!今日がダート革命記念日です!」

「朝からうるせえよ。何だよダート革命記念日って」

「ダート革命か、確かにそうだ。私達が考案したこの走りが基礎になり発展しトレンドになっていくだろう。そうなれば私達がダートの歴史を変えるといってもいい」

「革命ね。悪くない」

 

 セイシンフブキは革命という言葉が気に入ったのか笑みをこぼした。

 

───

 

 ヒガシノコウテイは薄暗い部屋のなかで布団から体を起こすと電気も付けずその状態で静止する。今日で全てが決まる。

 南部杯に勝つために全てを捧げてきた。快楽も癒しも地方ウマ娘としての純性も『私達の』ヒガシノコウテイも。勝たなければ全てが無駄になる。

 

 勝ちたい、負けたくない、岩手の皆に落胆されたくない、見捨てられたくない。

 

 ヒガシノコウテイは不安に苛まれて思わず心臓に手を当てる。

 ゴドルフィンでトレーニングを続け、岩手に帰ったのはレース2日前である。その間岩手の寮や実家に帰らず。両親とも、トレーナーとも、メイセイオペラとも、岩手所属のウマ娘との接触を極力避けてきた。

 それは地方を捨てた裏切り者として、冷ややかな目で見られ罵倒されるのを恐怖していたからである。その扱いを受ける覚悟で出たつもりだったが。それでもいざ岩手に帰った時には恐怖で足がすくんでいた。

 ヒガシノコウテイは枕元に置いていたレースのメンバー表を手に取り見つめる。

 

 バンケーティング、トーヨーリンカーン、グローバルゴット、トーヨーデヘア

 

 盛岡で汗を流し同じ釜で飯を食べ語り合った仲間達だ。本当ならチーム岩手として一緒に中央や他の地方ウマ娘を迎え撃つ立場だった。だが今は違う。メンバー表を裏返し、勝利に向けて集中力を高めていく。

 

───

 

「おはよう白ちゃん」

「おはようさん。どうだ調子は?」

「いつもどおりかな」

 

 トレーナーはデジタルの言葉を聞き、安心する。デジタルも多くのレースを走り、そのなかでレース前日はどのように過ごすのがベストか過去の経験から導き出せるようになっている。

 

「じゃあ俺は先に盛岡レース場に行っとるから」

「分かった」

 

 デジタルは返事をするとタブレットに視線を移し、チームプレアデスのメンバーが作ってくれた出走メンバーのインタビューや動画を記録したファイルを視聴している。

 デジタルはこれでいつもテンションを上げてレースに臨む。そして今回トレーナーはメンバーにヒガシノコウテイやセイシンフブキより、ノボトゥルーやスターリングローズの情報を集めてくれと頼んでおいた。

 2人が失速する間にノボトゥルーやスターリングローズが一気に捲ってくるという可能性もある。むしろそっちの方の可能性が高いとさえ睨んでいた。その時の為に相手に興味を持ってもらい勝負根性を発揮してもらうという狙いがあった。

 トレーナーの思惑を知らずデジタルは食い入るように映像を見つめていた。

 

──

 

「うわ、凄い盛り上がり」

 

 アジュディミツオーは入場門を通過し敷地内に入った瞬間思わず感嘆の声を上げる。

 人が集まるのはメインレース頃でレースが始まる前のこの時間は人が疎らなのだが、明らかに人が多く、盛岡レース場は人が集まり活気に溢れていた。

 辺りを見渡せば様々出店があり、来場者がそれらを食べながらレースやパドックを見ている。朝食がまだだったので焼き鳥を購入したが、ちゃんとした店で出るような美味しさでしかもボリュームが有り値段も安かった。

 パンフレットを受け取り見ているとトークショーや芸能人のサイン会も行う予定で、極めつけには空きスペースにリングを設置しプロレスの試合まで予定されている。これは一種の祭りのようだ。

 

「何か凄いっすね。色んなイベントやったりして、船橋でもこれぐらいやればいいのに。明らかに今年のかしわ記念より人が入ってますよ。盛岡ってこんな人気なんですか?」

「メイセイオペラが色々とメディアに露出して注目度が高まり、足を運んだ客が多いのだろう。それに他の業界のイベントも開催することでさらに客を呼んでいる。この客入りは納得だ」

 

 2人は観客席ではなくコースに1番近いスペースに足を運ぶ。理想はゴール板付近に陣取りたかったが、すでにカメラを持ってその雄姿を写真に撮ろうとするファンがすでにいたので、数メートル離れたスペースに移動した。

 

「良いところですね。のんびりしているというか、あそこの芝生で見ている家族連れとかもうピクニックじゃないですか」

 

 2人が居る場所から離れた4コーナー付近には芝生スタンドがあり、そこにはシートを敷き座っている夫婦とその周りを走り回る子供達がいた。

 今日は10月にしては温かく、この山々に囲まれた景色を見ながらレースを見るのは、中央でレースを見るのとは違った楽しさがあるだろう。

 

「確かに初めて来た時はこの景色の素晴らしさに心が洗われて、一瞬レースに来たということを忘れてしまったよ。懐かしい」

「南部杯で走ったんでしたよね」

「ああ、あの時のメイセイオペラは強かった。完敗だったよ」

 

 アブクマポーロは南部杯の思い出を語り始め、アジュディミツオーは耳を傾ける。すると明らかに初めてレース場に来たと分かる集団が隣に来る。その会話が耳に入ってきていた。

 

─これがレース場か、初めて来たけどコースとの距離近いな。でも何でコースが土なんだ?

─芝のコースはお金がかかるんじゃない?メイセイオペラも地方は貧乏だって言ってたし

─何か芝と比べるとしょぼそうだな。まあ泥臭い感じが地方っぽいというか。

─まあ、サイン会が始まるまでの暇つぶしってことで、

 

 アジュディミツオーは思わず睨みつける。ダートは芝よりしょぼくないし、ダートに懸けているウマ娘達の走りを暇つぶしで見るんじゃない。

 その視線を遮るようにアブクマポーロが間に入り目で制すると小声で話しかける。

 

「残念だが、これが現状だ」

「悔しいっすね。でも師匠の走りを見ればダートの素晴らしさに気づいてファンになってくれますよ」

「そうだね。1人のダートファンとして切に願うよ」

 

 アジュディミツオーの言葉にアブクマポーロは頷く。ダートの素晴らしさに惹かれる人間は恐らく少ないだろう。だがセイシンフブキのダートに賭ける情熱は確実に伝わるはずだ。 

 アブクマポーロは未来のダートファンになりそうな人間はどのような人物かと何気なく観察すると有ることに気づく。

 レース場の雰囲気は良い意味で牧歌的なのだが、一部の人間からそれとは無縁なひりついた雰囲気がにじみ出ている。その雰囲気を発する者の目はどこか見覚えがあった。

 

「さて、見たいイベントも有るかもしれないが、私たちの仕事をしよう。レースが始まるよ」

「はい」

 

 2人は僅かな変化を見逃さんと目を皿のようにしてレースを見つめ続ける、レースの間はアブクマポーロが走ったレース映像を見ながらアジュディミツオーに解説し、時間は瞬く間に過ぎていく。第9レースが終了した。

 

「見る限り内外の差もそこまで無く、どのポジションからでも力が発揮できそうです」

「私も同じ見解だ。さてフブキに伝えに行こう」

 

 2人は人込みをかき分けながら選手控室に向かう。すると場内アナウンスが流れる。

 

『皆様こんにちは、元岩手ウマ娘協会所属のメイセイオペラです。まもなく第10レース、南部杯のパドックが始まります。このレースに走る岩手のウマ娘たちに暖かな声援を贈ってくだされば幸いです』

 

──

 

「今日初めてレース場に来ました」

「ありがとうございます。レースを見るのに疲れたら、休憩スペースもありますので、自分のペースで見てください」

 

 メイセイオペラはファンと握手し言葉を交わす。これで何人目だろう?疲労は溜まり笑顔を維持していた表情筋は攣りそうだ。

 だが目の前に見える行列は一向に途絶えない。一瞬表情が崩れそうになるが、即座に笑顔を作った。

 

 メイセイオペラと岩手ウマ娘協会はレース場に人を呼ぶために様々なことを行った。

 メイセイオペラは様々なイベントに出て、メディアに露出することで知名度を上げ盛岡やヒガシノコウテイに関心が向くように尽力をした。

 岩手ウマ娘協会も地元の飲食店やイベント団体に声をかけ、当日に出店を開きイベントをしてもらうように、便宜を図り頼み込んだ。

 交渉は難航したが、ヒガシノコウテイに勝たせるために、地元の誇りを守る為に協力してくれと何度も頼み込んだ。

 その熱意が通じたのか次々と手を挙げ参加してくれた。結果去年と比べて観客動員数は増加していた。

 盛岡を知ってもらえるのは嬉しいがそれが目的ではない。本命は南部杯までに客を留めること。その為にレースまでの間絶えなくイベントを行い、客を引き止める。メイセイオペラの握手会もその一旦だった。

 1時間後、握手会は終了し緊張から解放され思わずため息をつくと目の前に飲み物が差し出される。

 差し出した人物に視線を向け、握手会の時とは違う自然体な笑顔を見せた。

 

「お疲れ、メイセイオペラ。握手会は現役以来だけど疲れるね」

「トウケイニセイさん、今日はありがとうございます」

 

トウケイニセイ

 

 メイセイオペラがレースを走る前から岩手ウマ娘協会に所属し、その強さは盛岡の怪物と賞賛され、連勝記録を作り上げた名ウマ娘であり、メイセイオペラとヒガシノコウテイの憧れでもある。

 そしてイベントの1つである、握手会を行うために盛岡レース場に来ていた。

 トウケイニセイも引退してからは表舞台に上がらず生活していたが突然現れた。その報せを聞いたオールドファン達が再びその姿を見ようとこぞってレース場に足を運んでいた。

 

「しかし、あの時の少女が今や岩手の総大将か」

 

 トウケイニセイは感慨深げに呟く。あのスーパーのイベントスペースで行われたサイン会にヒガシノコウテイが現れた。

 体が弱くて走れないと涙目を浮かべ、自分も体が弱かったと伝えると希望で目を輝かせ、一緒に桐花賞で走ろうと約束した小さな少女の姿は鮮明に覚えている。

 

「そして今ヒガシノコウテイは苦しんでいる」

 

 トウケイニセイは重々しく呟き、メイセイオペラは黙って頷いた。

 メイセイオペラから頼まれた時は依頼に応じるつもりはなかった。もう過去の人間であり表舞台に上がるつもりはない。

 だが真意と握手会を行う本当の意味を聞き、その重い腰を上げた。

 テレビに出たメイセイオペラを通して、南部杯の話を聞いた。自分が虚弱だったばかりに彼女達を悲しませ、そして表舞台に立たせてしまった。

 もう少し体が丈夫で現役を続けられれば、自分の代わりに岩手の総大将として中央と戦い屈辱に塗れることはなかった。

 何より岩手のウマ娘として同胞が苦しんでいるのを黙って見過ごせない。こんなロートルでも力になれるなら、いくらでも力を貸してやる。

 

「すみません。そろそろ時間なので失礼します」

「場内アナウンスをするんだって、大変だね」

「別に大したことではないです。ではパドックではお願いします」

 

 メイセイオペラはトウケイニセイと別れ、アナウンスルームに向う。そして息を整え、声を出す。

 

『皆様こんにちは、元岩手ウマ娘協会所属のメイセイオペラです。まもなく第10レース、南部杯のパドックが始まります。このレースに走る岩手のウマ娘たちに暖かな声援を贈ってくだされば幸いです』

 

 丁寧にゆっくりと発声する。その鈴の音のような声はレース場にいる観客の意識に止まり、パドックに足を運ぶ。

 メイセイオペラは急いでパドックに向かった。

 

───

 

 トレーナーはトレーナー達が集まる部屋のガラス越しからレースを走るウマ娘達を見下ろす。同じように南部杯に出走するウマ娘のトレーナー達もレースを見つめていた。

 

「特に変わった様子はないですかね」

「ええ、どのポジションからでも力が発揮できそうです」

 

 デジタルのトレーナーは隣にいたスターリングローズのトレーナーに話しかける。

 スターリングローズはエイシンプレストンと同じチームのウマ娘である。GIで一緒になるのはプレストンの香港クイーンエリザベス以来だ。

 お互い常にGIに出走するウマ娘がいるチームではない。それが今年2回目、しかも有力ウマ娘が出走するのは珍しいことだった。

 

「アグネスデジタルの調子は良さそうですね」

「ぼちぼちですかね、それなりに走ってくれるでしょう。スターリングローズも良さそうですね」

「プレストンの仇討ちだと意気込んでいます。それにアグネスデジタルに勝てば間接的に自分の方が強いと証明できると」

「なるほど、芝のプレストンとダートのスターリングローズじゃ、勝負できませんからね。両方走れるデジタルは丁度良い相手だ」

 

 デジタルのトレーナーは思わず笑う。さしずめ試し割りの瓦か、そしてデジタルという瓦は割られるかもしれない。

 スターリングローズは出走メンバーで唯一重賞を連勝して勢いがある。

 勢いは自信を産み実力以上の力を発揮させることがある。このレースで一番気をつけなければならないのはスターリングローズかもしれない。

 

「しかし、盛岡には初めて来たのですが、予想以上に賑やかで活気がある。もう少し寂れていると思ったのですが」

「去年はそんなことはなかったのですが、今年はメイセイオペラがメディアに出たことで注目されているようで、その影響で人が来ているようです」

「地方は厳しい現状に立たされていると聞きますが、これならば大丈夫かもしれないですね」

「そうですね。ウマ娘の世界にいる者としては地方にも頑張ってもらいたいものです」

 

 トレーナーは世間話をしながら考える。去年より人が多い、つまりヒガシノコウテイを応援する人間が多いことが予想される。今週の追い切りを見る限り不調を脱出できていない。だが地元の声援を受けて息を吹き返す可能性がある。

 ヒガシノコウテイは地方の総大将として常に期待と声援を受けていた。そして声援を力にする術を持っている。注意しておいたほうがいいかもしれない。

 

『皆様こんにちは、元岩手ウマ娘協会所属のメイセイオペラです。まもなく第10レース、南部杯のパドックが始まります。このレースに走る岩手のウマ娘たちに暖かな声援を贈ってくだされば幸いです』

 

「では私たちもパドックに向かいましょうか」

 

 部屋にも場内アナウンスが流れ、2人はパドックに向かった。

 

───

 

『16番人気、グローバルゴット選手です』

 

 ランウェイに地元岩手のグローバルゴットが現れると、割れんばかりの歓声で出迎えられる。今まで受けたことない歓声を受けて感極まったのか、思わず目を拭う。

 その姿に『そんなところで泣いちゃだめだぞ』『レースで頑張れ』等と暖かな励ましの声援が送られる。その光景は観客たちの心を温め和やか空気が流れる。

 続いて15番人気の同じく岩手のバンケーティングが現れても同じように割れんばかりの声援と暖かな励ましの声で出迎えられる。そして14番人気の地方ウマ娘が現れた時にそれは起こった。

 

静寂、無音。

 

 割れんばかりの声援を送っていたはずの観客たちが声を上げない。

 数少ないその地方ウマ娘のファンも最初は声援を送っていたが、その不穏さと同調圧力のような息苦しさにどんどん声が小さくなり、そして声を出さなくなった。

 その現象は続いた。岩手のウマ娘には大声援、他の地方所属や中央所属のウマ娘には大半は無反応、他のウマ娘ファンもその異様さに恐怖し声援を送れていなかった。そして出走ウマ娘もその異様さに動揺していた。

 

『5番人気、セイシンフブキ選手です』

 

 セイシンフブキが姿を現す。勝負服は上には白色の空手道着に下は緑のハーフパンツ、道着には桜吹雪が散りばめられている。

 その瞬間、凄まじい音量のブーイングを浴びせられる。

 圧倒的な重低音と込められた敵意、そのブーイングは血の気が多く過激な言動で、中央ウマ娘協会を痛烈批判したことのあるセイシンフブキすら動揺させる。

 一瞬驚きで目を見開いた直後に強気の表情を見せていたが、目が僅かばかり泳いでいた。そしてブーイングの音量はどんどん大きくなっていく。

 今日初めてレース場に来る人間はメイセイオペラのメディア露出や岩手ウマ娘協会の努力もあって多かった。観客たちは少し戸惑ったが、そういう文化なのか、皆がやっているから自分もやらなくてはと同調圧力が働きブーイングに参加していた。

 この光景には出走ウマ娘は勿論トレーナー達も動揺していた。トレーナー達は長年業界に携わってきた。その長い月日のなかでもこんなことは初めてだった。

 

「なんやこれは!?こんなんが許されてええんか!?」

 

 デジタルのトレーナーはパドック脇に居るメイセイオペラや岩手ウマ娘協会の関係者を睨みつける。

 ウマ娘に対する無反応は観客の自由だから仕方がない。だがブーイングは明らかに妨害行為だ、これでは公平性に欠けてしまい中央では有り得ない行動だ。

 ファン勝手にしたのならば係員なり場内アナウンスで辞めるように促すだろう。だがそれをやらないということは容認しているということだ。

 全ては地元のウマ娘を勝たせるため、だがここまでエグい手段を取ってくるのか。トレーナーは拳を握り締めて詰め寄りたい衝動を抑える。

 続いて中央のトロットスター、ノボトゥルー、スターリングローズがパドックに現れる。

 この3人にはブーイングは浴びせず無反応だった。だがブーイングを浴びせられるかもしれないという恐怖のせいか明らかに平常心を失っており足取りは重かった。

 

「2番人気、アグネスデジタル選手です」

 

 アグネスデジタルが現れた瞬間、この日最大のブーイングが浴びせられる。

 ヒガシノコウテイは貧乏な地方出身でデジタルは金持ちの中央出身、そして去年南部杯に勝ち岩手の至宝を奪っていった。分かりやすい対立構造と岩手の立場からして悪役的ポジション、その2つの要素がブーイングをより大きく集めることになる。

 トレーナーは苦虫を噛み潰したような表情を見せる。デジタルはそのウマ娘愛のせいで自分の世界に入り込み、環境の変化に強いという長所がある。

 現にドバイワールドカップでの無反応、そしてサキーへの大声援、その大声援は会場にはお前なんて誰も応援していないというメッセージも込められ、普通のウマ娘なら動揺するところだが全く効かなかった。

 だが無反応と他者への大声援と自分へのブーイングは明らかにダメージが違う。

 無反応と他者への声援はその感情がデジタルに向いていない、だがブーイングは全ての感情が向けられている。

 ブーイングとは言葉による他者への攻撃であり、相手への憎しみを言葉に乗せぶつけ、その情念はデジタルの世界の壁を突き破り心にダメージを与える。

 パドックを歩くデジタルは一見いつも通りに見えていたかもしれない。だが耳は僅かに動き、手を握り締めるなど無意識に動揺しているサインを出していた。

 

「1番人気、ヒガシノコウテイ選手です」

 

 ヒガシノコウテイが現れる。勝負服は赤色を基調にしたセーラー服に左右に濃紺の襷、青色に白の横一線が入ったマントはボタンで左肩に縫い付けられている。

 現れた瞬間、今までに岩手のウマ娘達に送られた声援とは比べ物にならないほどの声援が浴びせられる。

 トレーナーはそれを聞いてドバイワールドカップの時にサキーに送られた声援を思い出す。

 レース場に来ている観客はドバイの時に比べれば遥かに少なく、声も小さい。だがその熱量はドバイの時よりも上のように感じられた。

 そしてヒガシノコウテイはその圧倒的な熱量の声援を受けても威風堂々とランウェイを歩く。注目するのはその表情だ。

 絶対に成し遂げるという覚悟と決意が漲る凄みのある表情、あんな顔をするウマ娘は初めて見る。

 次に身体つき、追いきりで調子が悪かったというのは明らかな三味線だ。この鍛え抜かれた体であの体たらくは有り得ない。

 ゴドルフィンの日本支部でトレーニングをしていたと聞いていたが、ここまで成果が有るとは思ってもいなかった。

 トレーナーは認識を改める。このレースで1番気をつけなければならないのはヒガシノコウテイだ。

 パドックが終わるとウマ娘それぞれがトレーナーや関係者の元に集まり言葉を交わす。

 

「なんですかあれは!あんなのありなんですか!師匠にブーイングして!」

 

 アジュディミツオーは血管を浮き上がらせながら怒りをぶちまける。

 それでも怒りは収まらず岩手ウマ娘協会の人間に問い詰めようと向かおうとするが、襟首を掴まれ止められる。

 

「何すんですか師匠!」

「落ち着けバカ、それよりあのブーイングを聞いたか?」

「聞きましたよ!」

「岩手の客はお前よりダートを理解しているぞ」

「はい?」

 

 アジュディミツオーはセイシンフブキの不可解な言葉に怒りを忘れ思わず素っ頓狂な声を出す。

 

「ブーイングを飛ばしたのはアタシとアグネスデジタルだけだ。ブーイングをするのは奴らにとって驚異だからだ。アグネスデジタルが驚異なのは分かる。2番人気だし芝の方がダートより上だと勘違いしているバカもいるし実績もある。そこは分かるな」

「それはまあ」

「そして他の上位人気じゃなくて、帝王賞に負けて5番人気のアタシにブーイングをしたのは何故か?ダートの正しい走り方を身につけたアタシを恐れているからだ。ちょっと盛岡で走っただけなのに見抜きやがった。やるじゃねえか」

 

 セイシンフブキは愉快そうに笑う。この走りを理解している人間がこんなにも多くいたのか、世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

 

「それならばフブキのダートの走りを観客に見せつければいい。きっとダートの素晴らしさと面白さを理解してくれる」

「そうっすね。いっちょ見せてやりますよ」

「あと、ヒガシノコウテイと岩手のウマ娘に気をつけろ」

「相手なんて関係ない。姐さんとミツオーとアタシで編み出した正しいダートの走り方なら誰も負けない」

「それもそうか、行ってこいフブキ」

「師匠のカッコイイところ見せてください!」

 

 2人の言葉にセイシンフブキは手を挙げて答える。ブーイングを浴びて恥ずかしながら動揺した。だが今は何一つ揺らいでいない。最高の精神状態だ。

 今考えることはアジュディミツオーとアブクマポーロの力を借りて編み出した正しいダートの走りと磨き上げた末脚を見せつけ力を証明する。

 そして会場にいる観客にダートプロフェッショナルの強さとダートを理解している者にこの走りを見せることのみ。

 

「ごめん。私なんかの為に……」

「気にしないで、私や皆はテイちゃんが大好きで、少しでもテイちゃんの役に立ちたくてやっただけだから」

 

 メイセイオペラはヒガシノコウテイの手を握りながら優しく語りかける。

 レース数時間前にヒガシノコウテイの元に一通の手紙が送られた。送り主はメイセイオペラだった。

 ヒガシノコウテイはバックの奥底に仕舞おうとしたが、封筒には絶対にレース前に読んで欲しいと書かれており、文字からにじみ出る思いのようなものを感じ封を開けた。そこには衝撃的なことが書かれていた。

 

 他のウマ娘へ慣習として送っていた声援を一切しないこと、セイシンフブキとアグネスデジタルへブーイングすること。

 

 これは何の冗談だ?岩手の皆がそんなことするわけがない。手紙を破り捨てようとするがまだ続きがあり目を通す。そこにはこう記されていた。

 

 岩手の皆は知っている。岩手の誇りを守り皆を笑顔にするために懸命に頑張っていること。『私たち』のヒガシノコウテイと認めてくれないことへの恐怖し苦しんでいること。それでも岩手の為に自分の信念を曲げてゴドルフィンに行ったこと。

 だから1人だけ苦しませない。どんな汚名を着てもかまわない。皆で南部杯に勝とう。

 

 ヒガシノコウテイは涙が流れるのを必死にこらえる。

 岩手のウマ娘と岩手のウマ娘を応援してくれる人々達が大好きだ。その人の為なら頑張れる。

 そして岩手の人達も同じように自分を好きでいてくれて、そのために汚名を着てでも勝たせようとしてくれる。これがどれだけ嬉しいことか。

 そんな大好きな岩手の皆のために絶対に勝って喜ばせる。ヒガシノコウテイの心に火が灯り、今までにない業火となって燃え上がっていた。

 

「私も少しいいかな」

 

 ヒガシノコウテイは思わず背筋を伸ばす。憧れのトウケイニセイが目の前にいる。憧れに会えた喜びと、強さを得るために『私達の』ウマ娘でいられなかった負い目が胸中に過る。

 

「かつて私は南部杯に負けて、メイセイオペラとヒガシノコウテイに悲しい思いをさせてしまった。だから君は私にならないでくれ。負けてしまえば岩手を愛し、ヒガシノコウテイに憧れる未来の岩手のウマ娘が嘆き悲しんでしまう。君が過去の自分を救うんだ」

 

 トウケイニセイはヒガシノコウテイの肩に手を置きながら語りかける。

 南部杯に勝つために苦しんでいた者に勝ってくれと激励する。

 これは余計な荷物を背負わせることになるかもしれない。だが目を見て確信した。この願いも岩手のウマ娘のためにと力に変えてくれる。

 一方ヒガシノコウテイは過去の記憶を思い出していた。

 絶対的なヒーローが敗れ去ったあの日、失意のどん底に落ち何日も嘆き悲しんだ。

 まだまだトウケイニセイやメイセイオペラには及ばないと思っている。だがそんな自分でもヒーローだと思ってくれる人が居る。その人達を悲しませるわけにはいかない。

 また1つヒガシノコウテイの心に燃料が投下された。

 

「絶対に勝ってきます」

 

 ヒガシノコウテイは短くそして力強く言い放ち、コースに向かっていく。

 

「デジタル、あんなブーイング気にするな。いつもどおり好きなウマ娘のことだけ考えておけ」

 

 トレーナーは言葉をかけながらデジタルの様子を観察する。

 いくらかは動揺が収まってはいるが、まだ完全に収まってはいない。あんな熱量と情念が篭ったブーイングを受ければ大の大人だって萎縮する。

 

「サキーちゃんはこんな感じだったのか、これはキツイね」

 

 デジタルは顔を俯かせる。サキーの口から語れたブリーダーズカップクラシックの話を思い出す。

 同じようにブーイングを受け、未知の体験で怖かったと語っていたがまさに同じ心境だ。あれほどの大勢の敵意をぶつけられたのは初めてだった。

 

「でも、サキーちゃんの時のブーイングはもっと酷かった。そして初めてのダート、それでも僅差の2着、一方アタシは1回勝ったレース。これで勝たなきゃサキーちゃんに顔向けできないよ」

 

 デジタルは顔を上げる。これは試練だ、サキーに勝ちたいと思うならばこんな逆境を跳ね除けろということか。

 ならばやってやる。勝って自分の想いを証明してやる。

 

「白ちゃん作戦はある?」

「細かい作戦はない、あとヒガシノコウテイに注意しておけ、昨日まではスターリングローズが対抗だと思っていたが勘違いだった。1番怖いのはヒガシノコウテイや」

「了解。じゃあ行ってくるよ。ダートGI2つ勝てば日本チャンピオンでいいでしょ。チャンピオンとしてブリーダーズカップクラシックに臨んでやる」

「そうや!勝ってチャンピオンになってこい!」

 

 トレーナーが手を出すとデジタルはその手を力いっぱい叩きハイタッチを交わす。

 ブーイングの影響もなく闘志が漲っている。良い精神状態なのだが、どこか違和感があった。

 だがいくら考えても言語化できなかったので、一旦脳の片隅にしまいこんだ。

 

「久しぶりだねメイセイオペラ、フェブラリーステークス以来かな」

 

 各ウマ娘がコースに向かい、トレーナーや関係者が関係者スペースに向かおうとするなか、アブクマポーロはメイセイオペラに声をかける。

 

「こんにちはアブクマポーロさん、セイシンフブキさんに同行していたんですね」

「フブキにブーイングをするように指示を出したのは君だろ」

 

 アブクマポーロは単刀直入に切り出す。その言葉にメイセイオペラは一瞬表情を崩す。だが即座にいつもの柔和な表情を作る。

 

「なんのこと…」

「ここにいるトレーナーでもし2人だけブーイングを浴びせて能力を落としたいというウマ娘がいたら、アグネスデジタルとスターリングローズかノボトゥルーと答えるだろう。帝王賞で無様に負けたフブキを怖がる必要はないし、直前の追い切りも軽く走っただけ、直前で軽く追うなんて不安材料だ」

 

 アブクマポーロはメイセイオペラの言葉を遮り自説を述べる。その喋る姿を見てアジュディミツオーの背中に悪寒が走る。短い付き合いだが明らかに怒っているのが分かった。

 

「だがフブキの追い切りを見て、正しいダートの走り方を身につけていると確信した。だからフブキにブーイングを浴びせた。フブキは岩手の客は見る目が有ると喜んでいたが、見る目が有るのは君だ」

 

 メイセイオペラは無意識に左手の二の腕を右手で握る。まさにその通りである。

 ブーイングは2人に絞るべきだと考えていた。理由として多くのウマ娘にブーイングをすれば、途中で疲れ始め感情が篭もりにくいと考えていた。

 アグネスデジタルは確定として、あと1人は誰にするかと考えていたところセイシンフブキの追い切りを見かけた。

 衝撃が走った。現役時代に朧げに思い描いていたダートの正しい走り方を見事に再現していたのだ。

 これはアグネスデジタル以上の脅威になると確信し、2人にブーイングするように指示を出したのだった。

 

「今日はセイシンフブキという生まれ変わった真のダートプロフェッショナルが走る最初のレースだ。それを地方愛などという不純物を紛れさせないでくれ」

 

 アブクマポーロは睨みつけて語気を強める。ブーイングをしたのは地元のヒガシノコウテイが勝つ確率を上げるためだろう。

 地元だから地元のウマ娘が勝たなければならないなんて下らない。ダートレースは地方でも中央でも関係なく、技術を磨き熱意を持ったダートプロフェッショナルが勝つべきだ。

 

「不純物ですか、私はそうは思いません」

 

 メイセイオペラはアブクマポーロの言葉に冷静にそして明確に反対した。

 

「応援しているウマ娘を勝たせるためにブーイングをするのがいけないことですか?これは謂わばホームアドバンテージです。そして例え良心が痛み蔑まれても応援するウマ娘のためにブーイングする者の気持ちを否定させません。私はどんな汚名を着ようとも愛する者が苦しみ、それを救うためなら鬼でも悪魔にもなります」

 

 アブクマポーロはメイセイオペラの目を見つめる。どんなことが有っても決して揺るがず成し遂げようとする断固たる意志、それがメイセイオペラの目には宿っていた。

 あの目は以前南部杯で一緒に走ったときにも見た。その時は鬼神のように強かったのを今でも覚えている。

 メイセイオペラはヒガシノコウテイに勝ってもらうために心を痛めながらもブーイングをするように指示を出して、多くの者が実行した。

 今思えばあのひりついた雰囲気を出していたのはブーイングをした者達なのだろう。

 この目をしている者は厄介だ、かつてのメイセイオペラとヒガシノコウテイ、そして出走する岩手のウマ娘達も同じ目をしていた。このレースで1番の強敵は岩手そのものかもしれない。

 

「見解の相違だね。君たちの地方への愛はフブキのダートプロフェッショナルとしての矜持と技術が打ち砕くよ」

「打ち砕かせません。南部杯という岩手の誇りは岩手を誰よりも愛し、それ故に苦しみながらも頑張っているヒガシノコウテイが守り抜きます」

 

 お互いはお互いの目から視線を外さず見つめ続ける、数秒ほど見つめ合っているとアジュディミツオーがアブクマポーロの肩を叩き、声をかける。

 視線を外して辺りを見渡すと周囲はこちらを不安そうな目で見つめている。

 喧嘩か何かをしていると勘違いされたか、少しばかり怒りを覚えているか他所で喧嘩するほど我を見失っていない。

 

「ダートプロフェッショナルか地方への愛か、どちらが正しいかはレースで分かる。お互いその結果を見届けよう」

「そうですね」

 

 2人は言葉を交わすと視線を合わさず反対方向に歩き始めた。

 

 

『去年のディフェンディングチャンピオンの登場です!今年も至宝を奪うのか!?1枠2番アグネスデジタル!』

 

 本バ場入場からコースに向かう際はバ場を荒らさないように大外を行くのがルールである。

 つまり立ち見の客がいる近くを通らなければならず、その結果デジタルはブーイングを浴びることになる。

 パドックの時のブーイングと比べれば幾分かマシだが、それでも気持ちいいものではない。心を乱されないように、このレースに勝ち、ブリーダーズカップクラシックでサキーに勝つ瞬間を想像しながら小走りでゲートに向かう。

 

 

『帝王賞は負けたが、ダートマイルGIウィナーを侮ることはできません!南関東4冠ウマ娘!2枠4番セイシンフブキ』

 

 セイシンフブキはゆっくりとコースを歩いていく。それを標的にするようにブーイングを浴びせようと最前列の客は息を吸い込む。だが予想外の光景に唖然としブーイングできなかった。

 ダートに耳を当てる。次に砂を手で掬うと鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。その砂を口に入れて味を確かめ、手に砂を吐き出しそれを絵の具のようにして頬に1本の横線を描いた。

 

「いい仕事だ造園課。最高のダートだ」

 

 セイシンフブキは満足げな表情を浮かべながら小声で呟く。砂を見て、耳をあて、手に取り、匂いを嗅いで、味を確かめ、口入れて泥になった砂を顔にぬる。

 視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の全てを使い、ダートを分析する。これはフブキが正しいダートの走り方を身に付ける際に考案した分析法であり、これでダートの性質が以前より分かるようになった。

 ダートの性質を確認すると感触を確かめるように一歩ずつゆっくりと歩く。

 観客たちは我に返りブーイングを向ける。だが感触を確かめることに神経を向け、ブーイングの声は全く聞こえていなかった。

 

「ついに岩手の皇帝が帰ってきました!頼む岩手の至宝を守ってくれ!6枠10番ヒガシノコウテイ!」

 

 ヒガシノコウテイが入場すると一斉に歓声が上がり、その名を呼ぶ声が響き渡る。

 南部杯に勝つためといえ、岩手を捨てた人間だ。デジタルやセイシンフブキのようにブーイングを浴びせられてもおかしくないと思っていた。だが皆は声援で迎えてくれる。

 純性を捨てても見捨てないどころか、汚名を着てまで自分を勝たせようと行動してくれたメイセイオペラと岩手ウマ娘ファン、そんな人たちに応援してもらえる自分は世界一の幸せ者だ。その世界一のファンの誇りを守るために絶対に勝つ。

 応援してくれるファンの人の顔とその声援を少しでも記憶に刻もうとスタンドに視線を向けながらゲートに向かう。

 

 本バ場入場が終わり、次々とゲートにウマ娘達が入っていく。その後にファンファーレが鳴り響く。

 

『お聞きください、この拍手この大歓声、盛岡レース場はときめきワンダーランドであります。16人の精鋭が揃った大一番であります。岩手の至宝は今年も中央勢の手に入れるのか?地元岩手のウマ娘が守りぬくのか?今スタートしました!』


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