勇者の記録(完結)   作:白井最強

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勇者と宴#2

 デジタルは宝塚記念に向けてのトレーニングを開始する。メニューも安田記念までは坂路中心だったが、ウッドチップやダートのコース中心のトレーニングに切り替える。

 マイルに勝つために必要なパワーとスピードのキレを養うには負荷が強い坂路が最も適していた。だが今回は2200メートルのレースであり、パワーとスピードよりスタミナとスピードの持続力が必要である。

 内容も途中までそれなりに走りラスト3Fで全力を出す終い重点では無く、道中もスピードを上げてロングスパートをかける内容に変更していた。

 宝塚記念の距離と淀みないペースに対応できる体に仕上げる。それがこのトレーニングの目的だった。

 今日もデジタルはウッドチップコースを3人併せで走る。残り800メートル時点からスピードを上げていき、残り500メートルでスパートをかけて1人抜いていく。そして脚を溜めていた2人目がデジタルを抜き去ろうと猛然とスパートをかける。最後はデジタルがクビ差で凌ぎゴールした。

 今まで距離に応じて坂路とコースでのトレーニングの比重を変えていたが、ここまでコース中心にしたのは初めてである。

 坂路は息を止め一気に駆け抜ける無酸素運動で、ダートやウッドチップコースでのトレーニングは有酸素運動である。どちらもキツイのだが長い距離が苦手なデジタルにとってコースでのトレーニングがキツイだろう。

 

「お疲れさん、あと2本や」

 

 トレーナーは走り終えたデジタルの元へ行き激励すると同時に様子を見る。大量に汗をかいたせいか顔は汗だらけでシャツが体に引っ付いている。

 コーストレーニング中心にしていることで汗をいつも以上にかいている。さらに今の時期は例年より気温が高く7月初旬の陽気で発汗を促している。

 

「どうしたの白ちゃん?」

「メニュー変更や、この後は宝塚記念を走るウマ娘の様子を見てこい。そして俺に報告せい」

「つまり今日のトレーニングは終わりってこと?」

「そうや。しっかり見て報告せいよ」

 

 トレーナーはきょとんとしているデジタルに各チームのトレーニング予定表と双眼鏡を渡す。

 デジタルの身体は少しガレ気味だった。このまま予定通りのトレーニングすれば体を絞りすぎてしまう。それでは宝塚記念にベストの状態で臨めない。

 ここはトレーニング量を減らして体重を増やすと同時にモチベーションアップと敵情視察を兼ねて、他のウマ達の様子を偵察させることにした。

 

「トレーニングしていると他のウマ娘ちゃんのトレーニングをじっくり見る機会が無いんだよね。じゃあ遠慮なくじっくり観察してきま~す。あっ自転車借りていくね」

 

 デジタルはニヤニヤと笑いながら自転車に乗るとペダルを漕ぎ移動する。正直トレーニングがしんどいなと思っていたがベストなタイミングでのメニュー変更だ。

 

「さてと、どう周ろうかな」

 

 各コースに向かう分岐点で自転車を降りて各チームのタイムスケジュールを見ながら計画を立てる。名目は宝塚記念を走るウマ娘の偵察だが、出走するウマ娘全てを見ると時間が足りない。

 どうせならもっと早く言ってくれれば推し活のように綿密な計画を立て効率的に周れたのだが、内心で愚痴を溢しながら泣く泣く見るウマ娘を取捨選択し計画を立てる。

 

「よし、まずはここ」

 

 デジタルはダートコースから少し離れた場所に着くと双眼鏡で目当てのウマ娘を探す。

 トレセン学園ではトレーニングするウマ娘はゼッケンをつけ、チームごとに柄や色も違っており分かりやすくなっている。

 各チームのゼッケンの特徴を記憶しているデジタルは直ぐにお目当てのウマ娘を発見できた。

 

 ヒシミラクル

 

 菊花賞と天皇賞春に勝利したウマ娘である。周囲に幸運を与えるラッキーガールでテストの選択肢問題でヤマ勘が当った。懸賞や応募抽選に当たった。宝くじに当たったなどのエピソードがあり、皆に笑顔と幸福を与えてくれる素敵なウマ娘である。一時期は落ち込んでいたそうだが、現在は復調したと聞いている。

 ヒシミラクルとチームメイト達がスタートの態勢に入り今から走るようだ。双眼鏡の焦点をヒシミラクルに合わせ動きを追う。

 元気が無いという話だったがそんな噂が嘘だったかのように灰色の髪をなびかせ元気溌剌にダートコースを走っている。動きに躍動感が有り何より表情が生き生きしている。

 何本か走るとコースから外れてインターバルに入る。トレーニングに参加していたウマ娘達も同じようにインターバルに入り、ヒシミラクルの元に集まり談笑している。

 何を話しているか気になるところで近づいて会話を聞きたいところだが、存在を気取られず空気に徹するのが観察する際のマナーであり近づくわけにはいかない。

 仕方が無いので双眼鏡で様子を見るだけにしておく、今後はこういう事態を想定して読唇術でも学ぶべきか。様子を見ている限りでは和やかで良い雰囲気であることが分かる。

 するとチームメイト達がヒシミラクルに手を合わせて拝み始め、ヒシミラクルはおどけるように左手のひらを上に向け水平にし、右手の親指と薬指で輪っかを作り仏像のようなポーズをとる。

 幸運にあやかろうというのか、レース中のウマ娘達が見せる感情や表情は尊く素敵だが、日常でふざけ合うウマ娘達の姿も尊く素敵だ。

 いつまでも見ていたいが時間は有限である。ご馳走様でしたと感謝の念とご利益に預かり幸運が訪れればいいなと手を合わせ拝みその場を後にする。

 

 デジタルが次に向かったのはウッドチップコースであり目的はネオユニヴァースである。

 その容姿やパーソナリティについて知ってはいるが雑誌やネットで知ったもので、自分で得たものは1つもない。

 元々世代が違い共通の知り合いが居るわけでは無いので接点が無かった。今日は折角の機会なので、出来る限りネオユニヴァースについて知れればいいなと意気込んでいた。

 デジタルは双眼鏡で探しネオユニヴァースを発見する。腰まであるウェーブの長髪にやたら多く付けている黄色のリボンですぐに分かった。

 ネ既にトレーニングを始め慌てて姿を追う。ネオユニヴァースの左右に2人のウマ娘と前に1人が居て蓋をするような陣形を組んでいる。

 レースはタイムトライアルではなく1人で走ることはない。同じレースを走るウマ娘が居り、時には集団に囲まれ自分の好きなペースで走れないこともある。

 トレーニングの1つとして敢えて囲まれることで精神が乱され掛からないようにする。だがこれはメイクデビュー前のウマ娘がするトレーニングで、2冠ウマ娘が今更するようなトレーニングとは思えない。だがそれは見当違いだったことに気づく。

 左右のウマ娘は必要以上に注意を向けている。これはネオユニヴァースをマークしている。このトレーニングはネオユニヴァースがマークから抜け出し、それ以外はマークして封じ込めるトレーニングだ。

 マークされる側としては細かいフェイントを入れて隙を作り抜け出す。何もしないでジッとして消耗を抑える。これがデジタルの考える取るべき行動だった。

 ネオユニヴァースは自然体で走りフェイントなどせずジッとしている。だが次の瞬間には外から抜け出し上がっていく。

 

 デジタルは思わず手で腿を叩き上手いと称賛する。

ネオユニヴァースがしたことは単純である。減速し左右のウマ娘の後ろに下がり外から捲る。一見簡単そうに見えるが驚くべきは動作の精度だ。

 ウマ娘が加減速しようとすると予備動作が出る。ブロックする側は予備動作を見て加減速してマークするウマ娘をブロックする。だがデジタルの目には減速した際の予備動作が全く見えなかった。

 また減速する距離も絶妙だった。下がり過ぎず最小限の距離まで下がり外から捲っていく。マークする側としては気が付けば横に居たようなものだろう。これはちょっとした恐怖だ。

 トレーニングで予備動作が大きくならないようにし、上のクラスに上がれば上がるほど予備動作は少なくなる。

 だがネオユニヴァースは群を抜いて予備動作が小さい。これはいくらトレーニングしても身に着けられるものではない。まさしく天賦の才によるものだ。

 走り終えるとネオユニヴァース達はトレーナーの元に向かい講評を受け、ネオユニヴァースはポケっとした表情を見せている。うちのチームでそんな表情を見せればトレーナーから怒られているだろう。そしてその表情はグッとくる。

 

 それからブロックする側とされる側を交換しながらトレーニングは再開する。

 ネオユニヴァースはブロックする側になれば完璧に封じ込め、ブロックされる側になれば意図も容易くブロックを抜け出していく。

 宇宙人と言われるだけあってテレパシーで心を読んでいるかと思うほどの見事なブロックだった。デジタルが見る限り相手の予備動作はバレバレというほど大きくなく、自分で有れば何回か抜け出されていた。恐らく相手の予備動作を察知する能力も抜群に高いのだろう。

 トレーニングは休憩に入りチームメイト達は談笑しているなかネオユニヴァースは1人離れて空を見上げている。するとチームメイトが声をかけると強引に輪に入れて会話を始める。喋らないが楽しそうであるのは分かる。

 デジタルには心配事があった。雑誌やネットなどの情報でネオユニヴァースに抱く印象は不思議ちゃんだった。

 個人としては素晴らしい個性なのだが世間的には嫌われる傾向があり、イジメられないにしろ疎外されているのではないかと思っていた。

 だが今の様子を見る限りそんなことはない。きっと良い意味でマスコット的な扱いを受け可愛がられているのかもしれない。脳内でネオユニヴァースとチームメイト達の掛け合いを想像しグフフフと笑い顔をニヤける。

 

「え?もうこんな時間?」

 

 妄想の世界に飛び込んでいたデジタルだが、ふと時計を見て驚く。

 予定時間ギリギリだ、急いで次に場所に向かわなければ、ネオユニヴァース達にご馳走様でしたと心の中で感謝の言葉を述べて次に場所に向かう。

 

「何とか間に合った……」

 

 デジタルは若干息を切らしながら坂路コースの近くにあるベンチに座り込む。

 名目は偵察だが休息も兼ねている。それなのに無駄に体力を使ってしまった。もし報告すればトレーナーに怒られるので黙っておこう。

 双眼鏡を手に取りお目当てであるタップダンスシチーを探すとスタート地点で体をほぐしている姿を発見する。近くにウマ娘が居るので3人併せで走るのだろう。

 トレーニングが始まり最初の2Fは横一線になるが残り2Fでタップダンスシチーはジリジリと2人との距離を離されゴールする。

 トレーニングで先着されたから調子が悪いという訳ではないのだが、身体が重そうで動きも悪い。だが双眼鏡越しでも分かるほど気合いが漲り、走りの内容と気合い乗りの違いに違和感を覚えていた。

 普段は気が良いお姉ちゃん的な感じなのだが、レースに近づくにつれどんどん無口になっていき、刺々しいオーラが増していく。さらに宝塚記念は春の大目標であり勝てば初のGI勝利ということもあってか刺々しさは増している。

 個人的にはゾクゾクするので大歓迎ではある。そして意気込みを見ているだけに何とか調子を取り戻して欲しいという想いもあった。

 その後もタップダンスシチーは坂路を駆け上がるが動きは相変わらず悪く、練習を終えてクールダウンに入る。

 するとチームメイトはタップダンスシチーが脱いだ靴を手に取り何度も腕を上下させて騒いでいる。その様子を見てタップダンスシチーの動きの悪さの原因を察する。

 勝つために全てを尽くす勝負師であるのは知っていたがここまでやるか、その行為に顔を顰める人達も居るだろうが、デジタルの胸中にタップダンスシチーに対する嫌悪はない。勝利の為に全力を尽くす姿にときめきすら覚えていた。

 

「いいね、いいねタップダンスシチーちゃん!例え世間から後ろ指差されようと勝利を目指す!勝利こそ絶対正義!大丈夫だよ。アタシは絶対に後ろ指を差さないからね!」

 

 デジタルは脳内で妄想を展開しながら次の場所である校舎の屋上に向かう。

 そして校舎の屋上に辿り着くと双眼鏡を構える。この時間はシンボリクリスエスが所属しているチームプライオリティが引き運動をしている時間だ。

 コース周辺を周っているシンボリクリスエス達を見るにはここがベストポジションだった。

 ゆっくりと歩く様子が双眼鏡に映る。皆は黙々と歩き続け見ているだけでも締まった空気が漂っているのが分かる。

 和気あいあいとしている姿も良いが厳しい表情を浮かべ黙々とトレーニングしているウマ娘もまた良い。

 デジタルは丁度良い機会だと細部にわたってシンボリクリスエスを観察した。

 

「わっ!」

 

 デジタルは思わず双眼鏡をしまい視線を外す。一瞬目が合った気がしたので反射的に身を隠してしまった。

 此処からシンボリクリスエスまでそれなりに距離があり見つからないように身を伏せながら見ていた。きっと気のせいだろう。気を取り直して双眼鏡を構え観察を再開する。だが気がつくとシンボリクリスエスの姿が列に居なかった。

 トイレでも行ったのだろう。観察対象をチーム全員に切り替える。気が付けばシンボリクリスエスの存在は意識から薄れつつあった。

 

「誰かと思えばアグネスデジタルさんでしたか」

 

 デジタルは後ろを振り向くとそこにはシンボリクリスエスが居た。突然の出現に動揺しながら反射的に双眼鏡を隠していた。

 

「こんにちは、それでどうしたの?」

「トレーニングの様子を盗撮している存在を察知して来ました」

 

 デジタルは目の瞳孔が僅かに開く、やはりあの時に目が合ったのは気のせいでは無かったのか、しかしあの距離から察知するなんてバトル漫画の住人か!?

 

「録画とかはしてないですよね?」

「勿論です!ウマ娘ちゃんを見る時は基本的にリアルタイム、録画や写真ではなく自分の目で見て脳内フォルダで思い出すのが嗜みですので!」

 

 デジタルは捲し立てるように喋る。見ていたのがバレた後ろめたさもあったがシンボリクリスエスの雰囲気が動揺させる。他の人が見ればとてもデジタルのほうが年上には見えない程の貫禄があった。

 

「無断でトレーニングを見られるのは好ましくないので」

「はい!すみません!近くでじっくり見てウマ娘ちゃんを不快にさせるわけにはいかないと、せめてでもの気遣いで遠くから拝見していました。元はと言えば白……トレーナーからの指示で様子を見てこいと言われまして……」

 

 デジタルは背を正し直立不動の姿勢でへりくだりながら謝罪と言い訳と責任転嫁の言葉を紡ぐ。気が付けばいつの間に敬語になっていた。

 

「そうですか、これからは盗見せず事前申請をお願いします。こちらが見せられるものは存分に見せますので」

「はい!申し訳ありませんでした!」

 

 デジタルは45°の角度で頭を下げ、シンボリクリスエスは柔和な笑顔を浮かべながら頷きその場を後にした。

 

「うわ、怖」

 

 デジタルは居なくなるのを確認した後に深く息を吐きながら呟く。言葉は優しかったが両親やトレーナーに怒られた以上に怖かった。あれが漆黒の帝王と呼ばれる所以か。

 シンボリクリスエスから注意されるという貴重な体験をした。そしてこれからはトレーニングを見る際は盗み見せずにマスコミと一緒に紛れるか、事前許可をとることにしよう。

 しかし自分にとっては一向にかまわないがチームメイトの気苦労が知れる。あの威圧感を常に受けるとなると胃に穴が空くウマ娘も居るかもしれない。

 時計を確認するとチームのトレーニングが終わっている頃だった。デジタルは帰り支度してチームルームに向かった。

 

「はい、今日のレポート送ったから」

「どれどれ」

 

 トレーナーはデジタルから送られたメッセージに目を通す。デジタルに他のウマ娘のトレーニングを見てこいと言えば、自分の趣味全開で赴くままにトレーニングを見るのは目に見えていた。

 故にトレーニング内容とその効果などレポートにして送るように課題を与えた。

 

 ヒシミラクルちゃん

 

 ダートコース6F、時計が無いので正確に分からないが3Fから一杯に追う。スピードではなくスタミナ強化、本番でのロングスパートの為のトレーニングか?

 動きは躍動感が有り何より表情が晴れやか!落ち込んでいたと聞いたけど完全に吹っ切れたね!チームメイトとの関係は良好で皆も拝んでいました。アタシもご利益に預かりたい!ナムナム!

 

 ネオユニヴァースちゃん

 

 ウッドチップコース5F 左右と前にウマ娘ちゃんを置いていた。囲まれた際に抜け出すためのトレーニング、また囲む側にまわりブロックするトレーニングをする。

 抜け出す際の動きに予備動作がなく、蓋をするのは困難を極める。また予備動作を察知する力も富んでおり、マークされた場合はネオユニヴァースちゃんから抜け出すのは困難を極める。

 初めて生で見たけど何を考えているか分からない表情がとても魅力的!チームメイト達との関係は良好そう。きっとカワイイ後輩として可愛がられている。よかったよかった。本番では是非宇宙を感じたい

 

タップダンスシチーちゃん

 

 坂路コース6F 3人併せでのトレーニング、併せの相手に遅れてしまう、見た限り動きは良くない。だが……

 凄味というか集中力がますます増して素敵!どれだけ宝塚記念に勝ちたいかってのがまる分かり!白ちゃんも勝負師だって褒められているみたいだけど、真の勝負師はタップダンスシチーちゃんだから!

 

 シンボリクリスエスちゃん

 

 コース周りを引き運動、調子の良さなどは判別できず。チームの雰囲気は引き締まり、名門の風格があった。

 双眼鏡で見ていたけどシンボリクリスエスちゃんに見つかり偵察は中断になりました。めっちゃ怖いです。

 でも漆黒の帝王は伊達じゃないね!もう一度ぐらい怒られてもいいけど、不快にさせるわけにはいかないので自粛!あとトレーニング見る時は盗み見せず事前に許可を得ます。白ちゃんもそんなことしちゃダメだからね!

 

 今日は宝塚記念での上位人気と予想されるウマ娘を観察したようだ。後半は個人的感想になっているが、トレーニングの効果などそれなりにしっかり見てきたようだ。

 

「まずヒシミラクルはスタミナ強化か、これは本番では予想外の位置からスパートをかけてきそうやな。それで拝むってのは何や?」

「知らないの。ヒシミラクルちゃんは今や歩くパワースポット、拝めば幸運が訪れるって評判だよ」

「そうか、それでネオユニヴァースだが、そんなに予備動作がないのか?」

「全くない、見ていてビックリしたよ。多分今の日本で蓋できるウマ娘ちゃんは居ないんじゃない」

「それ程までか、それでタップダンスシチーのだが……部分は何や?」

「タップダンスシチーちゃんの為にお答えできません!ヒントは勝負師、あとは自分で考えて」

「最後にシンボリクリスエスやが、見ているのはバレたのか?」

「一応姿は隠してたんだけどバレちゃった。見てたのは白ちゃんの命令でやりましたって言っておいたから」

「そうか。レポートはまあこれでええやろ。お疲れさん」

「お疲れ」

 

 トレーナーはデジタルがチームルームから出るのを見送ると考え込む。

 シンボリクリスエスの行動、引き運動に敵に知られてマズい要素があるとは思えない。逆に僅かな事でも知られたくないということか、勝利の為にした行動だとしたら恐ろしく徹底している。

 ネオユニヴァースの予備動作の無さは映像を見て薄っすらと察していたが、デジタルの誉め具合で相当なものであることが分かった。

 そしてタップダンスシチーのトレーニングについてのレポート、含みある言葉に勝負師というヒント、どんな謎が有るが知らないが解明してデジタル鼻を明かしてやるか。

 トレーナーはとりあえずホームページにあるトレーニング映像を検索した。

 

─── 

 

 トレーナーはデジタルのトレーニングの様子を見て満足げに頷く。宝塚記念まで残り1週間を切り最後のトレーニングが終わる。

 途中にガレ気味になりながらもトレーニング量を調整し食事を工夫することによって何とか仕上げられた。

 デジタルはよくやっている。だが安田記念から宝塚記念までは約3週間で時間が足りないというのが本音である。

 自身初の2200メートルに阪神内回りというタフなコースに、相手はシンボリクリスエスやネオユニヴァース等の中距離のトップ達を相手だ。もし勝つならば安田記念を回避して宝塚記念に目標を定めトレーニングするのが理想だった。

 正直に言えば不安要素はある。デジタルが目的を叶える為には当日のレースが有利な展開に進む等の外因的要素が味方しないと厳しいと判断していた。

 

 そして宝塚記念当日を迎えた。

 

───

 

 宝塚記念。

 

 上半期の最後を締めくくるGIレース、有マ記念と同じくファン投票で出走メンバーを決めるグランプリレースである。

 2200という距離からステイヤーからマイラーまで幅広いメンバーが集まり、これまでも数々の熱戦が繰り広げられてきた。

 さらに今年は史上最高の豪華メンバーが集結したとあって、多くのファンが阪神レース場に駆けつけていた。

 

『只今より、第11レース宝塚記念のパドックを開始します』

 

 場内アナウンスが流れるとパドック前に集まっていた観客から歓声があがる。トレーナーは他のトレーナー達と一緒にパドック脇で立ちながらウマ娘達が登場するのを待つ。

 18番人気のウマ娘から登場するが、それぞれ他のGIに出走するウマ娘とは違い、人気投票で選ばれたという自負と自信に漲っていた。

 

「6番人気、5枠10番ヒシミラクル」

 

 パドックにヒシミラクルが現れると観客から声援が飛ぶ。勝負服は走りやすいように改造した青と白の袴、額にはひし形の青い水晶と首には白の勾玉をつけている。

 

「ミラクル!今日はミラクルの応援券を買ったぞ!お守りにして大切にするからな~!」

「菊花賞の応援券をお守りにしたら志望校に合格できました!ありがとうございます!」

「そのご利益でサマージャンボを当てさせてくれ!」

 

 観客から続々と激励と感謝の言葉が送られ、場は和やか空気に包まれる。

 ヒシミラクルは現役でも屈指の人気だがそれはレースとは違う要因によるものだった。

 ある人物が交通事故に巻き込まれるが奇跡的に無傷で済んだ。その人物はニュースの取材に対して、ヒシミラクルの菊花賞の応援券を持っていたおかげだと力強く力説し、その映像が全国に流れた。

 それからご利益に預かろうと次のレースからヒシミラクルの応援券は人気となり、次々とご利益があったという報告があがっていた。

 

「ミラクル!そのミラクルでこのレースに勝てよ!」

「任せろお客さん!私は歩くパワースポット!奇跡のミラクルガール、ヒシミラクル!今日もいっちょ奇跡を起こして勝っちゃうぞ!」

 

 ヒシミラクルは観客の応援に応える。その勝利宣言に歓声と笑い声があがり、パドック場はさらに和やかな雰囲気になる。

 トレーナーはその様子をじっと見つめる。デジタルが落ち込んでいたが元気を取り戻したと言っていたが、言葉以上に元気溌剌だ。

 正直に言えば距離が短く厳しいだろうと思っていた、だがパドックを見てその認識が変わる。

 ヒシミラクルは俗に言う持っていると呼ばれるウマ娘だ。その運は自分だけではなく他人にも運を与えているとも考えることもできる。

 運という要素は人がどうこうできない要素だ。それは時に圧倒的な実力すら覆すこともある。そして神風が自分に吹くという確固たる自信が満ち溢れている。

 運は信じる者に引き寄せられる。このレースにおいて一番怖いのはヒシミラクルかもしれない。

 

『4番人気、8枠16番タップダンスシチー選手です』 

「勝てよタップダンスシチー!クリスエスを倒せるとしたらここしかないぞ!」

「日寄るなよ!お前たちの走りを見せてくれ!」

 

 タップダンスシチーは観客の声援に力なく応じる。顔色も悪く動きの節々に重さを感じる。

 勝負服はケブラー繊維の厚手のズボンに上はやたらモコモコしたウインドブレイカーで競艇選手が着るような服で、色はトリコロールカラーである。この季節にこの厚着を見るだけで思わず汗が出てくる。

 その姿に観客は思わずどよめいてしまう。皆が不安がるなかトレーナーにはそれがブラフであることを見抜いていた。

 ただ見抜いたのは様子を見て判別したのではなく、タップダンスシチーというウマ娘の性格と気質を考えての推理だった。

 デジタルのレポートを提出した際の謎かけだが、トレーニング映像を何度も見て謎が解けた。

 

 タップダンスシチーの動きの悪さの正体、それはシューズに重りが入っていたからだ。

 重りが入っていれば動きが悪くなるのも納得がいく。そもそも宝塚記念に標準を合わせたタップダンスシチーが調整ミスするとは考えづらかった。

 今日の動きを見た他の陣営が居れば自分と同じように調子が悪いと判断し、警戒度を下げるだろう。現にデジタルの謎かけがなければ欺かれていた。

 勝負はレースだけで決まるものではない、マスコミへのインタビューで言葉を濁し相手を油断させる。それは勝負師と呼ばれた昔のトレーナー達にとっては常套手段であった。

 だが今のトゥインクルレースはスポーツマンシップが推奨され、レース内での駆け引きは有るにせよ。このような盤外戦術と呼ばれるレース外で周りを欺く行為はするものは少なくなった。

 デジタルからタップダンスシチーは勝ち以外価値が無いと、全ての手を使って勝ちを目指す勝負師と呼ばれる人種と聞いている。自分を鍛えながら相手を騙す一石二鳥の方法をするかしないかと言われれば間違いなくやる。

 しかしこれぐらいの盤外戦術をするウマ娘とトレーナーも今でも少なからず居る。だがタップダンスシチーはそれ以上に徹底し感銘すら覚える程だった。

 

 まずは勝負服、パドックでウマ娘達の調子を見るには筋肉の付き方や肌色を見る。それさえ見れば観客でも大きな変化は分かる。それを意識してかしないか勝負服は露出が多く、スカートやショートパンツを履くなどして足が見えるようなデザインになっている。

 トレーナーであればさらに多くの情報を読み取れる。なかには脚を見ただけでどのようなトレーニングを積んで本人が分からないことすら読み取るという超能力のような洞察力を持つトレーナーも居る。

 

 それを懸念しているのか肌を見せないどころか体のラインが見えないような勝負服のデザインにしている。

 だがそのことを気にして勝負服を肌や体のラインが見えないようにしても実力が発揮できなければ意味が無い。

 勝負服はウマ娘が最も力が出せるデザインと形状で作られるものであり、大概のウマ娘の勝負服は肌や体のラインが見えるデザインと形状になっている。

 そして肌や体のラインが見えないデザインと形状ながら力を発揮できる勝負服を着ている。これは勝負師である証だ。

 

 さらに化粧をして意図的に顔色を悪く見せている。パドックで美しく見せる為に化粧するウマ娘は多いが、自分を醜くみせるために化粧をするウマ娘は居ない。

 パドックではベストドレッサー賞というものがあり、勝負服や身だしなみやパドックでの動きを総合的に見て最も美しかった者に受賞される。

 パドックでも観客を楽しませようと中央ウマ娘協会が考えたもので、今では名誉の1つとして多くのウマ娘が身だしなみを整え受賞しようと気を配っている。だがベストドレッサー賞には欠片も興味が無いのだろう。

 この歳でここまで勝負に徹するとは大したものだ。デジタルは本当の勝負師はタップダンスシチーと言っていたが間違っていないかもしれない。

 

『3番人気、1枠2番アグネスデジタル選手です』

「待ってました勇者様!」

「復活するって信じてたぞ!また夢を見せてくれ!」

 

 デジタルが登場すると、この日1番の声援が飛ぶ。元々人気だったが安田記念の復活劇でさらにファンが増えていた。

 その人気は現役で一二を争い、トレーナーはその様子を感慨深げにしみじみと見守る。

 今まで登場したウマ娘の残り香でも嗅いでいるのか鼻をスンスンと嗅ぎ、少しでもウマ娘を感じようと周りをキョロキョロと見まわしている。

 パドックに現れることで見えることもあるが、今の様子見る限り調子は悪くない。他の人間には細く見えるかもしれないが、コーストレーニングによる有酸素運動を多くした結果であり、中距離仕様の身体に仕上がっている。

 

「流石GI6勝ウマ娘、きっちり中距離仕様に仕上げたな。それに貫禄がある」

「ありがとうございます。ですが貫禄についてはどうでしょう。今でも我儘娘ですよ」

 

 横に居たネオユニヴァース担当の六平トレーナーがトレーナーに声をかける。名伯楽と呼ばれたトレーナーに褒められ些か緊張していた

 

『2番人気、3枠6番ネオユニヴァース選手です』

「クリスエスを倒して世代交代だ!」

「歴史を作れ!」

 

 ファン達の声援に応じるようにネオユニヴァースが現れる。下はスカートと比較的に一般的だが上は宇宙服と異様な姿だった。カラーリングは虎柄に二の腕に青の1本線、さらに宇宙服には大量のテントウムシのマスコットと髪に着けているのと同じようなリボンが着いていた。

 ファン達は送るが次々と尻つぼみになっていく。それは目の前に居るウマが発する空気によるものだった。

ダービーウマ娘は特別だと言われる。そしてネオユニヴァースはさらに特別だ。

 他のダービーウマ娘と違い独自で確固たる世界観を持っているように思えた。

 パドックで声援を受けても影響を受けることなく空を見上げる。その目には他のウマ娘とは別の何かが見えているような気がした。

 

「何というか雰囲気はありますね。私ではネオユニヴァースをおし計れません」

「俺もだよ。長年トレーナーやっているがネオユニヴァースについては分からないことだらけだ。ある意味オグリ以上に計り知れない」

「オグリキャップですか」

 

 トレーナーはオウム返しで呟く。あの名選手であるオグリキャップ以上の器だと言うのか、そんなバカなと否定しようとするが、その姿を見ているとそう思える気がしていた。

 

「最もあのウマ娘に勝てる保証は無いがな」

 

 六平トレーナーの言葉にトレーナーは思わず頷いた。

 

『1番人気、3枠7番シンボリクリスエス選手』

「キャアアアア!クリスエス様!」

「お前が王者だ!勇者も超新星もねじ伏せろ!」

 

 シンボリクリスエスが現れた瞬間、デジタルやネオユニヴァース以上の声援があがる。

 勝負服はシンボリルドルフの勝負服のデザインを踏襲しながら、黒の比率を多く混ぜたようなデザインで、赤色の腰布が特徴的である。

 トレーナーもシンボリクリスエスを生で見るのは初めてだった。

 威風堂々とし勝つのは自分であると自信を滲ませたその姿、かつて皇帝と称されたシンボリルドルフにダブって見える。

 世間では漆黒の帝王と称されているがまさにその姿に相応しいウマ娘だ。トウカイテイオーも皇帝の後を継ぐ帝王と呼ばれているが、その容姿の可愛らしさもあってミスマッチ感があった。

 しかしシンボリクリスエスの眼力や容姿はまさに帝王に相応しい威厳と風格だった。

 去年の秋でも充分に1流の風格がありながらどこか成長の余地を感じていた。そしてトレーナーの予感通り去年よりさらに成長していた。

 

「いや~皆最高です!もう全員に2重マル!」

「それはよかったな。だが少し落ち着け、エネルギーを少しでも溜めておかんか」

「それもそうだね。本番はレースだからね。スゥ~ハァ~」

 

 パドックが終わると各ウマ娘はトレーナーの元に集まり、レース前に最後の言葉を交わす。デジタルは一方的に喋った後にトレーナーの指示に従い興奮を抑え込むように深呼吸を繰り返す。

 シンボリクリスエス等初顔合わせのウマ娘が多いがどのウマ娘も魅力的で刺激的だ。このパドックを見るだけでも宝塚記念に出走した甲斐があった。

 

「デジタル、俺の見立てではレースは淀みのないペースで進むやろ。キツイ展開になるが我慢せい、我慢の先に快感が待っとるぞ」

「了解。我慢は正直苦手だけど、ウマ娘ちゃんの為だからね!」

 

 デジタルはこれから訪れる苦しさなど一切考えていないかのように上機嫌で地下バ道に向かって行く。いつもはスキップ交じりだが、今日はタップダンスのようなステップを交えながら向かって行った。

 

『皆さまお待たせしました。宝塚記念本バ入場です。なお今年の入場行進曲は陸上自衛隊第3音楽隊による生演奏です』

 

 アナウンサーの声の後に入場曲が響き渡る。GIでは関東と関西で2つの入場行進曲が演奏され、京都と阪神では『ザ、チャンピオン』が流れる。

 陸上自衛隊第3音楽隊の卓越した演奏技術はいつもの入場曲とは違った趣を与え、観客達のテンションは一気に跳ね上がり、手拍子でリズムをとる。それに呼応するように出走ウマ娘達のテンションも上がっていく。

 

「府中で起こした奇跡の復活劇!異能の勇者は未だ死なず!この史上最高峰メンバーの宝塚記念で最も実績があるウマ娘です!初の2200を克服できるか?1枠2番、アグネスデジタル」

 

 デジタルは芝の状態を確かめるように踏みしめながらゲートに向かう。

 この入場曲を聞いたのはマイルCSの時以来か、一旦入場行進曲に耳を傾けるがすぐに思考を出走ウマ娘に移す。グランプリには初出走であるがみんな素敵なウマ娘ばかりでまさに宴に相応しい。

 さあどんな素敵な体験をさせてくれる?デジタルは後数分後に訪れる興奮と快感を想像し胸を躍らせる。

 

「半年ぶりに漆黒の帝王が帰ってきました!夏のグランプリに勝利し、中距離最強の座を揺るぎないものにできるか?3枠5番シンボリクリスエス」

 

 シンボリクリスエスは悠然と歩きながら己の状態を確かめる。久しぶりのレースのせいか気持ちが高ぶっている。だが高揚感は要らない。

 宝塚記念に勝利し藤林トレーナーを日本一のトレーナーに押し上げる。勝利はノルマであり仕事だ。そして仕事に必要な事は冷静な判断力だ、惑わず揺るがず仕事を遂行する。

 気持ちを落ち着かせるようにゆっくりと歩きながら自分を抜き去ったウマ娘を見つめていた。

 

「2冠ウマ娘が果敢に参戦してきました。彼女のスケールはいまだに計り知れません。阪神レース場は宇宙空間と化す!3枠6番ネオユニヴァース」

 

 ネオユニヴァースは観客の声援に耳を傾けながらゲートに向かう。

 レースが終わればこの歓声は宇宙を見た興奮による歓声に変るだろう。現時点ではこのレース場に居る全員に宇宙を見せることはできない。だがシニア級のウマ娘と触れ合い飲み込めばブレイクスルーは起り、己の宇宙はさらに広がる確信があった。

 宝塚劇場では劇を見て観客を酔いしれる。そして阪神レース場で行われる宝塚記念という舞台で酔いしれるのは劇ではない、己の宇宙だ。

 

「菊花賞と天皇賞春を制覇した名ステイヤーが仁川の舞台にやってきました。上位人気ではありませんが決して侮れません。2度あることは3度ある。3度奇跡を起こせるか?5枠10番ヒシミラクル」

 

 ヒシミラクルは観客の声援に応えながらゲートに向かう。

 シンボリクリスエス、ネオユニヴァース、アグネスデジタル、有力ウマ娘は順調に仕上がり、宝塚記念に出走する。流石歴戦の猛者だけあって自分の運に食われることなく出てきたか、だが自分の運を疑うことはない。レース中に必ず自分に有利に働く何かが起こる。何故なら自分は強いから!

 ヒシミラクルは確固たる自信を漲らせていた。

 

「有マ記念では伏兵扱いでした。ですが前哨戦に勝利し誰もが認める主役候補に躍り出ました。自分達のリズムを刻めば勝利への道筋は見えてきます。8枠16番タップダンスシチー」

 

 タップダンスシチーは弱弱しい足取りでコースを駆ける。最後まで気を抜かず調子が悪い素振りを見せ続ける。そうすれば周りは侮り油断し警戒心を解くかもしれない。

 トレーニングでも鍛えながらも重りをつけることで仕上がりが良くないように欺いてきた。パドックでも調子が悪そうに演じてきた。勝つために考えられる手段は全てとってきた。

 勝負とはレース場でおこなうものではない、レースが決まった瞬間から始まっている。ならば自分が最も勝負に徹し真摯に向き合ってきた。

 目指すはレースに強いウマ娘ではない、勝負に強いウマ娘だ。ならば自分が一番勝負に強い。

 全ての出走ウマ娘の本バ場入場は終わり、暫くしてスターターが台に上がる。その姿を見ると観客達のボルテージは上がり手拍子でリズムをとる。そして宝塚記念限定のファンファーレが鳴り響き観客達の興奮は最高潮となる。

 

 

『梅雨の一時の晴れ間を縫って今年もあなたの、私の夢が走ります。仁川の舞台に最高のメンバーが集まりました。各ウマ娘が続々とゲートに入ります。前年度代表ウマ娘、漆黒の帝王シンボリクリスエス、2冠を制した超新星ネオユニヴァース、安田記念を制した勇者アグネスデジタル、天皇賞春を制覇した奇跡を呼ぶウマ娘ヒシミラクル、その他にも様々な強豪が集まりました。まさに史上最高の豪華メンバーに相応しいメンバーです。誰が勝ってもおかしくありません。今年の宝塚の主役は誰になるか?今レースがスタートしました』

 

 

 




 ジャパン・スタッド・インターナショナルが8日にアグネスデジタル号が死去したと発表しました。
 今年に入ってトーシンブリザードやサキーが死去し、年齢が近く24歳とサラブレット平均寿命を超えていたのでアグネスデジタルもその時が来るかもしれない覚悟はしていました。
 できればアグネスデジタルが天寿を全うする前に書き上げられればと思っていましたが、間に合いませんでした。

 現役時代の活躍はリアルタイムで見ていませんが、競馬を見始めて調べていくうちにアグネスデジタルの存在を知り、その活躍や調教師や騎手とのエピソードを知り興味が惹かれました。
 北海道に行った際はビックレッドファームに足を運び生前の姿を見ることが出来たのは思い出です。

 せめてもの供養として未完で終わることなく、何としてでもこの作品を書きあげたいと思います。
 アグネスデジタル号のご冥福をお祈りいたします
 

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