IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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惣万「カフェの義理の息子として毎日を過ごしている石動惣万。滅茶苦茶勇ましい女の親友と飯食ったりしています、以上」
兎耳カチューシャ「死ねっ!」
惣万「ふんっ!(HIT!『んぐぶっ!』)……ふぅ。それでは第二話、どうぞ」
千冬「お、いつもすまんな。これ回収しておくぞ……さぁ立つんだ」
兎耳カチューシャ「ちーちゃん酷くない!?それと女顔銀髪てめぇふざけんなよ!なんでお前学校の机に催涙トラップ入れてんだよ!しかもこっち細胞レベルでオーバースペックのに涙止まらなくなったんだけど!?」
惣万「毒の調合は得意なんだ。つーか嫌がらせのレベルが低いんだよ、なんだお前、量子化して出現するトラバサミ入れてきやがって」
千冬「……お前そんなことしたのか」
兎耳カチューシャ「え……ちょ、千冬さん?つーかなんだよ名前出てねぇじゃんぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


第二話 『織斑さん家へゴーストレイト』

 ある日の事……。

 

「なぁ惣万、私の家に遊びに来ないか?」

「へ?」

 

 カフェnascitaでピアノを弾いていると偶然道場が休みだった千冬に誘われたのだ。

 

「あら良いじゃない、惣君、友達の家に行くなんて初めてじゃない?私のことは良いから行ってらっしゃい」

「え、いやいや……俺だって友達くら、い……いる、よ……?」

 

 アレ?いたっけ?いたよな……キングクリムゾンでカットしただけで小学生の頃にはちゃんとした友人が…………。

 

「……いなかったわ……」

「「あー……。ドンマイ……」」

 

 母と同級生からの憐みの視線が痛かったです……。

 

 

「へー、いい家住んでるんだな……」

「む、まぁな……。親がいないが何とか金をやりくりしている」

 

 因みに千冬は似た境遇の俺に気兼ねなく自分の苦労話を吐露してくることが多い。それが縁でカフェにやって来るようになったと言っても過言ではない。会話が途切れそうになったので社交辞令として弟の事を聞いてみた。

 

「そう言えば聞いてなかったが、兄弟はいるのか?」

「む、あぁ。お前には言っていなかったな。いるぞ、六つ下に弟と従弟が。あぁ、しかし最近従弟が我儘で言うことを聞かなくて困る……」

「え?」

「ん?どうかしたのか?」

 

 いや、何でも無い、と答えて俺は動揺を隠す。……ISの世界の織斑千冬の家族は一夏(+妹?のマドカ)だけのはずだ。まさかバタフライエフェクトか……。あり得るな……、エボルの状態で過去かなり動いてしまったのだから、新しい血族が出来てしまっていても不思議ではない。

 

 

――――若しくは、千冬は知らないだろうアレ(・・)のことである。昔、俺が■したはずなんだが……、まさか。

 

 

「今帰ったぞ、一夏(いちか)節無(せつな)!」

「あ、おかえりなさいちーねぇ。」

「姉さんお帰り……ん?」

 

 密かに思案する俺を連れて家の中に入っていく千冬。俺もそれに従って靴を脱ぎ家に上がる。そして目に映ったのは二人の園児の姿だった。

 

「あぁ、一夏に節無。こいつは私の友人で石動惣万という。ホラ、家の近くにお洒落なカフェがあるだろう?そこに住んでいる私の同級生だ」

「おいっす、“いちか”に“せつな”ね~。よろしくな。惣万でもそーにぃでも好きに呼んでくれ」

「うんっ!そーにぃ!」

「……宜しくお願い致します」

 

 一夏は原作らしく人懐っこいな……。にしてもこの節無ってヤツ……この年でかなり流ちょうな丁寧語が使えてやがる……。しかもこいつの目……気に入らねぇ、仮面ライダーで言う所の“草加雅人”とか“黒ミッチ”に似てるんだよなぁ。こりゃぁ……俺の予想が当たっちまったかな……?

 

「そうだ、惣万。少しこいつらと遊んでやってくれ。私は夕食の準備をする」

「は?ちょい待ち。俺流石にそこまで世話になるわけにゃ……」

「蒼穹さんは泊ってきても良いと言っていたぞ?」

「あの女狐親め……。わーったよ。流石に泊まりゃしないが、ごちになります」

「宜しい。待ってろ」

 

 そう言ってキッチンに入っていく千冬。さて、それじゃ俺は……。

 

「それじゃ一夏に節無。何がしたい?」

「んーっとね~……」

「僕は結構です。一夏と遊んでてください」

 

 そう言って二階へ去って行く節無。

 

「お、そうか?それじゃー、一夏、俺と遊ぶぞ~」

 

 

 数分後……。

 

 

「腕振りなさ~い振りなさい!早くしなさい飛びなさい!」

「ご飯できだぞー……って何してるんだ?」

「「193〇イズ」」

「は?」

 

 俺は仮面ライダーキバの妖怪ボタンむしり考案のストレッチをしていた。いやぁ、しかし一夏が753役って違和感だなぁ。一夏は……ライダーシリーズで言う所の龍騎とか鎧武とかの主人公か…………。千冬?貴虎ニーサンに決まってるだろうがァ!

 

「それじゃ一夏。ご飯を食べようか」

「うんっ、そーにぃ!」

 

 しかし俺は忘れていた……料理をしたのが原作でも二次創作でも、ずぼらで有名な千冬だったということに。

 

「あっ辛ッ!?カッラァっ!?ちょ、千冬これ何入れた!?」

「ちーねぇ……これ凄く苦い……」

「……(酸っぺぇ……)」

「お、おかしい……。ちゃんと野菜を切って砂糖と塩を入れたのに……。何でこうまで甘いんだ……」

「そこからのレベルかよ!?お前ソレ天の道を往く料理人の前で言ったら豆腐が飛んでくるからな!?」

 

 千冬の手料理に全員悶絶していると、ショタ一夏が俺を見てからポツリと言った。

 

「……ちーねぇ。そーにぃから料理おそわったら?」

「「……ソレだ!」」

 

 

 そんなこんなで数か月……。

 

「おい待て!パスタ茹でるのに塩を入れろとは言ったけどそれ砂糖だからね!?色で間違えるんだったら買うの黒砂糖にしろよ!」

「うっ……すまん……」

「人参とかの根野菜は火が通りにくいから最初に入れるんだ……。はい待って、自分の手切る気かよ。家庭科で猫の手って教わんなかったか?」

「……ぅ、ゴメン……」

「畳んだ衣類はタンスの中に仕切りを設けると楽に片付けられるぞ……って雪崩ェッ!?わぁぁぁぁぁっ!?……オイ。コレを片づけたとは言わねぇよ千冬ゥ……」

「……ごめんなさい」

 

 あれからなぜか俺がハウスキーパーみたいになってるんだけど。それと千冬、お前は学習能力高いはずなのに料理知識とかが無いからプラマイゼロだ……。そんなんじゃ残念姉さん、略して残姉になんぞ。やる気に満ちていた目は次第に死んだような魚の目になり今にも部屋の角に行ってイジイジしそうな雰囲気を纏っている。

 

「はぁ……ったく。こんなんじゃお前、嫁の貰い手つかねーぞ?まぁこの男女平等な世の中でバリバリのキャリアウーマンと専業主夫って夫婦も珍しくないけどさ?一通りの料理ぐらいは出来ておけよ。子供の頃からインスタントだけで食いつないでたら死ぬぞ、病気で」

「……そーにぃ、もうやめてあげて?ちーねぇのらいふはぜろだよ?」

 

 そんな一夏の言葉で俺は千冬の方に顔を向けると、ほんとに膝を抱えて壁に頭をこつんこつんと一定間隔でぶつけていた。……うん、何かゴメン。

 

「さてと、いじけてる残姉は放っておくか、それじゃ一夏、節無を呼んできてくれ。俺は料理を運んでおくから」

「はーい、きょうのでなーは?」

「ディナーね、今日はすごいぞ~?カフェで新鮮なタコが余ったから義母さんから一匹分けてもらってな。バジルと一緒に冷製パスタにしてみた」

 

(因みに俺は原作エボルトの様にタコやパスタが苦手でも淹れるコーヒーが不味くもありません。ウォシュレット?……それは、ちょっと……昔思い出しちゃって……)

 

 おっと、それはともかく。

 

―じゃんじゃじゃーん‼(超人気カフェの息子クオリティ)―

 

「……(ぼーぜん)」

「ん、どうした?」

「そーにぃ……いえ、ししょー!ぼくにもりょーりおしえてくださいっ!」

 

 え゛……ここで一夏の料理好きが覚醒すんのか?まぁ教えてやるか、一夏、原作でも料理上手で通っていたし。それにしたって、弟みたいで可愛いな。

 

 そんなこんなで一夏と約束を結び、千冬たちに夕食を御馳走してあげました(その時に何故かまた千冬は涙目になっていたが……何でだろ?「負けた、負けた」、とか言ってたな……?)

 

 

「「「ごちそうさまでした」」」

 

 三人で挨拶をして食器を片付ける俺。隣では千冬がぎこちなく皿を拭いている。

 

「すまないな、節無は別の場所で友達と食事をとっていたらしく……惣万と顔を合わせたくないというわけでは無いと思うぞ?だから、嫌いにならないでやってくれ」

「ん、大丈夫だ。彼にも彼なりの付き合いってもんがあるんだろ」

 

 まぁむしろアレだった場合、面と向かって話し合いたくないと言うのが本音だが。

 

「そうか……そう言ってもらえると嬉しい、……、それを抜きにしてもお前には感謝しているんだ」

「何?」

「お前が来てくれてから一夏も退屈せずに毎日を過ごしている。最近ではお前が来る前日は大変だぞ?ワクワクして眠れないほどだ」

「遠足前夜の小学生かよ……。それに、大したことはしちゃいない。似た境遇の同級生の頼みだ。“抱えきれる”と思ったから手を伸ばした。そんだけだ」

「お前にとって“それだけ”でも。それで私は救われたんだ。一夏の笑顔を見れて、“こんな私でも”幸せを感じられている……あいつのためなら私は何だってできるだろうな。それに、お前が気兼ねなく相談できる親友だからだろうか、他人の気がしないんだよ」

 

 親友、ね……。本当に俺で良いのかよ。言っていないが、人間じゃない俺に信頼を寄せるなんて……。

 

「だから、言わせてくれ……惣万、本当にありがとう」

 

 こちらに混じりっ気無しの笑みを向けてくる千冬。その純粋な笑顔は俺にとって眩しすぎて、それでいて魅力的過ぎて。

 

「……」

「ん?明後日の方向を見てどうした。……あ、まだ洗ってない皿があったな。今回は私が洗ってやろう。見ててくれ」

 

 ガチャガチャ音を立てて皿を危なっかしくスポンジで擦る彼女の横顔をそっと眺める。

 

―……本当に、それだけだ。コレは、自分のためなんだ……。それを勘違いしてもらっては困るんだがなぁ……―

 

 平静を保てなくなった俺は皿洗いが終わるとキッチンを足早に去る。口からは、そんな憂いに満ちた言葉が零れ落ちていた……。

 




 千冬が可愛い…………何故だ。ナヅェダ(オンドゥル語)!

※2020/12/18
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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