IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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千冬「……その、大丈夫か?いろいろと」
惣万「あぁ、性病にはかかってないぞ」
千冬「そうじゃないだろう!いや、全く……そうか。非童貞で非処女か…」
惣万「カミングアウトしてしまってすまん……でもほら。経験豊富だから大丈夫大丈夫!お前は優しいなぁ…」
千冬「お前墓穴掘りまくるからそれ以降口開くの禁止な。えー、では第六話、始まるぞ」

千冬・惣万((コイツ幸せになるべきだろ……))

一夏「?あれ、どうしたのふたりとも、使命感にみちた顔してー?」
千冬「いや?なんでもないぞ一夏、それでどうしたんだあらすじ紹介まで来て?」
一夏「いやー、何か聞こえたんだけど、ひどーてーとひしょじょってなぁn」
千冬・惣万「「知らなくていい!今は知らなくていいから!」」


第六話 『朴念仁はゼロになる』

 なんやかんやで翌日、ちょっと気まずい雰囲気を纏った千冬は、俺の顔を見たらどこかに逃げ出すように『あぁ、買い物に行ってくる。一夏の傍にいてやれ』とか言いながら転がり出た。

 あー、何というか、昨日は申し訳なかった、色々と。謝罪しておく。おっと、そう言えば俺にとって喜ばしい(?)ニュースがある。

 

「そうだな、これは一夏に試すか」

 

 そう言って俺は、俺の足元でお昼寝する一夏に近寄る。……うん待って。そこ。おまわりさんこいつですとか言わないで?エボルトみたいに顔を変えるとか記憶を消すとかしないから!

 

 話がそれたな、元に戻そう。今までエボルトとしての能力を、俺は憑依しか使えなかったが……ようやく細胞を弄ることができるようになったようだ。

 

「さて、と……。コレをしたら一夏は唐変木系主人公にはならないだろう。んじゃ、ほいっと!」

 

 俺の手から桃色の優しい光が溢れると一夏の身体を包み、そして治まる。

 

 

 俺は生前から一夏の朴念仁さに少なからず疑問を抱いていた。見ていて鈍感ってレベルじゃねぇよな……。理由があるのだったとしたら何か?あそこまで人の好意に気付かないのはどうしてか?

 

 出た結論は『愛』だ。彼が何故ああも原作で朴念仁を発揮させていたのか、その理由が分かった気がする。千冬もそうだが、彼らには両親がいない……。故に二人とも子供のうちに親から与えられる贈り物……愛情が分からないのだろう、と観察の末に分かった……。いいや、分かってしまった、と言えば良いのか。

 親の愛から生まれる人に対して、全く異なった理由で生を得た二人はどちらも欠陥がある。千冬は他人に愛を与えることが出来ても自分が愛を受けることを無意識に拒絶している。一夏はそもそも愛を知ることが出来ない。千冬が面倒を見ていたとしてもそれを『千冬姉に負担をかけている』と引け目に感じている……。

 

「……。ハァ、儘ならないモノだなァオイ……。」

 

 それが拗れて、歪んで原作一夏になるんだろうなー、恋愛にも客観的に見るものしか知らない、自分が分かっていないから……。環境が悪かったのか……、それとも無意識のうちに母性を求めることを封じたのか……。

 要約すれば、一夏は、その生まれ(・・・)故に決定的に愛情を受けるのに慣れていない。ただ一人の姉からの庇護でしか愛というものを知らないのだ。因果なものだ、と思う……。まぁ、俺と言うイリーガルがいるこの世界ではそこまで酷くないモノの……このまま放っておけば取り返しのつかないことになろう。

 

 そこで今俺がやった救済措置だ。一夏の脳内のニューロンに刺激を送った。何も脳の構造をつくり変えた訳では無い。ただ、人を好きになり、“恋”と言う感情を抱きやすくさせた、と言えば良いのか。脳内の信号を一般的な方向へ誘導し、スーパーなI・CHI・KAになってもらおう。一夏ラヴァーズだろうが何だろうが女難の相が擦り切れるほどモテればいい!そして悩め、一夏少年よ!フッハッハッハッハ!あ、俺はワイン飲みながら眺めてるだけだから。

 

 

 

 

 

 …――――なんて。やめよう。噓っぱちを言うのは。最悪の場合を想定した、ただの自殺装置を作っただけだろうが。

 

 

 

 

 あぁそうそう、結局俺は『殺人剣を振るう俺が入るべきではない』と言うと(千冬は反発したが)、俺の代わりにと言っていいのか、一夏が道場に通うことになった……。それ故、一夏と篠ノ之家次女の交流が盛んになり出し……。

 

 

 ある日のこと。俺は義母さんの言いつけで買い出しに出ていたのだが……。

 

「……?おんや?あそこの……ブランコに乗って物憂げな表情をしてんのは……」

 

 ちっこいモッピーじゃないか?リリカルなのはっぽいシュチュだなぁ……お姉さん繋がりか……?

 

 

箒side

 

 私は今、なやんでいる。私の姉のことだ。私の姉、篠ノ之束はどうにも他人のことをみちばたの石ころみたいに扱う性分みたいだった。

 最近やってきた『いちか』……と言う男の子にも薄気味悪がられていた。どうにかしてもらいたいが、のらりくらりと笑顔ではぐらかされる。

 もしかして私のことも石ころみたいに見ているのでは……?そんなことまでかんがえてしまう。

 

 このままでは、い、一夏……にもきらわれてしまいそうだ…。ってなにを考えているんだ、私は?

 急にほっぺがあつくなる。ちがかおに集まってきたのがわかる。落ち着け、私。へーじょーしん、こっき、めーきょーしすいだ!

 ……駄目だ。なんでだ?いつも……ッあ、アイツの顔がちらつく…?

 

「よぉ、あー、急に声かけてわりぃな。篠ノ之箒ちゃん、だったよな?」

 

 ?……ッ!?この人は…!あの時の…。

 

「自己紹介がまだだったよな?俺は惣万。石動惣万だ」

「ど、どうも……。篠ノ之箒……です」

「いやぁ、悲し気にブランコをブラブラッと漕いでたから声かけたんだが……。悩み事か?あ、もしかして……好きな男の子でもできた?」

 

 な、何なんだこの人は?一夏が私と……いや違う、そうじゃない。何と無遠慮な男だ!一夏と私がそんな……ってちっがうッ!

 

「?急にどうした、頬を押さえて首をブンブンと……?」

「な、なんでもないですよ?」

「……?そうか。まぁ、立ち話もなんだ、飲み物でも奢ろう。丁度買い出しの途中だったし」

「い、いえ、そこまでお世話になるわけには……」

「いいっていいって、一人二人増えようと変わらないさ、今頃一夏と千冬もいるだろうし……」

「……そうまで言うなら仕方ありませんねっ!お邪魔させていただきます!」

 

 これはいつもけんどーじょーにいる先輩と、新しくできた幼馴染の顔を見るだけだ……故にたいはない。ないったらないんだっ。

 

 

「はぁ~い、ただいま戻りましたよっと」

「あ、惣万にぃおかえり……あれ、箒?」

「……む、さ、さきほどぶりだな、一夏」

 

 少しぎこちなく私は言う……オイこのひと、私を見てニヤニヤしてわらってるぞ。バレてしまうではないか。注意してくれ店長殿。

 

「あー、惣万?」

「ん?千冬、何か注文か?」

「あぁ……まぁ。このたんぽぽコーヒーと言うのを貰っても?」

「おぉ、お目が高いな。それ、厳密にはコーヒーじゃないんだけど、中々美味しくてな?生薬みたいな効果もあって体に優しいんだよ」

「そうか。まぁ、お前の淹れるモノはどれも美味いんだがな」

「逆にお前が淹れたのは、酷かったなぁ……エボルトコーヒーって名付けようか?お前、nascitaで何シタ?」

「エ、エボ……?……い、いやその節は本当に悪かったと思っていてだな…」

 

 向こう側の席では石動さんと千冬さんが……、何というか少女漫画でよく見るほわほわが飛び交っているみたい。

 

 スッ、と私の前に飲み物がでてきた……。え?

 

「言っただろ、奢るってな。あ、チョイスは俺だが……レモンは嫌いか?」

 

 私の目の前に石動さんによって置かれた飲み物。とてもおいしそうだった。ガラスの中には、プカプカとレモンの薄切りが何枚か浮かび、シュワシュワと泡が弾けている。

 

「グラニータレモンソーダになります。上にのっているのはグラニータ……イタリア風レモンシャーベットだ……。因みに、一夏もこのジュースはお気に入りだぞ?」

「なっ、そ、そうか……」

「おーぉ、わっかりやすいねぇお客様。でだ、何であんなところでなの〇ごっこしてた?」

「な、な〇は?」

「……っとそれは気にせんで良い。悩み、あんだろ?全部話せとは言わねぇが、一欠片でも話せば何とかなるもんだぜ?」

「………………」

 

 どうしてだかこの男は胡散臭いが、良い人みたいと感じた。悩みの一欠片ぐらいははなしてみてもよさそうかも。この飲み物を飲ませてもらう分くらいは。

 

「石動さんは……あまりに頭が良過ぎて、他人のことを石ころと見えてる人とどう接しますか……?自分のことを石ころだと思っているかもしれないその人と……?」

 

 私にしてはすんなりと悩みをうちあけられた、と思う……ひとえにこの人の雰囲気なのだろうか?

 

 彼は驚いたみたいな顔をすると、そうだねぇ……と言いながら口を開いてきた。

 

「そういう場合は、子供をあやすのと同じだろ?」

「こ、子供ですか……?」

「そうだ、人間幾つになっても生意気なガキと同じなんだよ。食って寝て泣いて、自分が良ければ全て良し、心の奥底で必ず思っている。だから、人間でいるにはモラルや常識、良識に縛られなくてはならないんだよなぁ、これが」

 

 スッと目を細めた石動さんは、どこか面白そうに呟く。

 

「自由が欲しい、と言って若気の至りで逃げ出すのも良いが、俺達は結局、自分で此処に戻って来るさ……」

 

 そして言葉をきると、ニコッと微笑み、私にこう続けた。

 

「まあたとえ矯正できなかったとして、俺達の事を石ころと同格に見たとしても……人間、誰も彼も歴史の中の小石だ。ただ、それが信念を持った小石なら、躓いた運命の未来が変わるかもしれない。俺はその可能性を信じている……何てな!」

 

 石動さんはきれいな銀の髪をくしゃくしゃかくと、きげんがよさそうに立ち去って行った……。

 そうか、そういう考えもあるのだな……。石動さんの言葉でほんの少しだけだが、気持ちが軽くなった。

 

 

 

一方の惣万さんは……

 

(うーん、ドライブの名言はやっぱり泣かせるなぁ……平成ライダーって敵味方の名言の汎用性たっけぇ♪)

 

 締まらねぇな……。




 ハイ、一夏がI・CHI・化するのとモッピーがHO・U・KIになり始めております……。

※2020/12/31
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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