IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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惣万「さて、モッピーちゃんとの対面も済ませた…。それにしても幼稚園児であそこまで理路整然と話せるのは中々頭の良い子だなオイ」
一夏「というか、最近ちふゆねえがコーヒーに嵌り出したんだけど、どうすればいい?」
惣万「え?あのコーヒーを?家で?マジで?」
一夏「うん……、なんか出来上がったブラックコーヒーの表面が渦を巻いて周りに飛んでたハエ吸い込み始めたときなんかどうしようかと……」
惣万「それ、ホントにコーヒー?」
千冬「と、とりあえず第七話、どうぞ!」
惣万「この話にお前出てこないみたいだから、裏でコーヒーの淹れ方きっちり教え込んでやる…」
一夏「あ、じゃあ俺も見にいこっと、箒も来いよ」
箒「む。では、お邪魔します」


第七話 『怒りのリンカー』

――――一つの歪みがあった

 

 それは、“親”に捨てられたが故か、はたまた生誕の頃からの不備か。少なくとも、教えを説いて正しき道に向かわせることが不可能である程度には歪んでいた。

 

――――僕は悪くない こんな事を強制する世界が悪いんだ

 

 そしてそれは、決して表出することのない特異性を持っていた。

 

――――『ママ』は僕を捨てたんじゃない だってこんなにも『ママ』がいるんだもの

 

 歪みの名は織斑節無(おりむらせつな)。織斑姉弟の従弟として引き取られ、彼らと毎日を過ごしている少年である。だが、純粋無垢に育ってきた彼ら姉弟とは、全く別の生物と言えるほど、その内情は悪辣で自覚のない害に満ちていた。

 彼は――――いるはずのない母親を求め、母性を求め、そして全ての女を『ママ』と誤認し続ける怪人である。

 

「ほら、節無。一夏と一緒に遊びに行ったらどうだ?」

「うん、分かったよ。義姉さん(ママ)

 

 彼にとっては従姉であっても、そして年端もいかない幼女であっても母性を感じざるを得ないらしい。そして、その『ママ』に心の中で固執し続ける幼児性はそのままに、天災さえ容易く凌駕するリスクヘッジ能力を天から与えられていた。

 

 さて、そんな子ども(怪物)が小学校に入った。

 織斑一夏と同様に顔も良く、内心はどうあれ穏やかな口調で誰とも分け隔てなく過ごす彼に、シンパができるのは時間の問題だった。

 数々の男と『ママ』に囲まれて毎日を過ごしていた彼だが、いつしか、気付く。織斑一夏の隣にいる少女のことに。

 

(どうして、ママになってくれないの?)

 

 篠ノ之箒という少女は、良くも悪くも自他ともに厳しかった。その性格故に織斑節無と合わなかったのだろう。甘え上手な節無は、箒に対して母性をくすぐる人懐っこい笑みを浮かべてすり寄っていたのだが、彼女は彼をすげなく扱った。

 

――――すまない、なにをそんなに困っているのか知らないが、わたしはおまえの手助けはしてやれない。さすがに一夏の従弟だとしても……悪いな。

 

 それが、織斑節無の逆鱗に触れた。

 

それ(・・)は僕のママになるんだよ?だからなにしても良いのは僕だけなのに、なんで一夏が好き勝手してるんだ?)

 

 怒りの矛先は見当違いの方向へ放たれ、しかし確実に幼い二人を蝕み始めた。

 彼はこう考えた。『ママ』に構ってもらうためには、駄目な子なりに頑張っているようすを見せればいいのかもしれない、と。

 

 

 

 そう考えた節無は、学校で一夏と箒の株を下げる扇動をしてテリトリーを広げつつ、一夏を嬲り、箒を理想通りの『ママ』になってもらおうと画策する。妹が虐めを受けていると察知した彼女の姉にさえ証拠は掴ませず、まさに完璧だった。だが……。

 

『やーい、男女~!』

『何髪結んでんだよ……ん?』

『お前らな……掃除しろよ、邪魔だよ』

 

 またしても一夏だ。だが問題は無い。とっとと喧嘩になれとほくそ笑む節無。そうすれば、箒は自分だけの『ママ』になってくれるのだから。

 

『お前らな……喧嘩とかで解決するのか』

『へっ、こいつびびってんぜ?さっすが~、お姉ちゃんに守られてる坊ちゃんは違いまちゅね~!』

『んぁ?いやそうじゃねぇだろ、何で今千冬姉が出てくる?……まぁ良い。取り敢えずさ、喧嘩ってのは先に手を出した方が負けなんだよ……社会的にも、精神的にもな。だからとっとと馬鹿な真似やめろよ』

『うるっせぇ‼……っ!?』

 

 そう言うと彼らは、自在箒を一夏に向かって振り下ろす。

 だが、そのクラスメイトの言葉は続かなかった。一夏が片手で自在箒を受け止めたのだ。慌てて一夏の手から自在箒を離そうとするも、それはピタリとも動かなくなっていた。

 

 

『どうした?……それで殴ったつもりなのか?違うな……剣を振るうってのは……こうするんだよ!』

 

―バキィンッ‼―

 

 けたたましい音が響く。一夏はクラスメイトが掴んだままの自在箒を自分の頭に振り下ろしたのだ。節無の傍まで折れた自在箒の先端が飛んでくる。

 

『なっ……そ、えっ!?』

『どうだった?人を傷つけた感想は?直接だろうと間接だろうと……お前の所為で血が流された……お前、どう思った?』

 

 ぽたぽたと静まり返った教室に湿っぽい音が響く。箒に絡んでいた三人組はへたり込み、一夏の顔を青ざめた顔で見る。

 

 頭から流血する顔でそれらを一瞥すると、一夏は教室にいるクラスメイトに告げる。

 

『なぁ、お前等……楽しいか?誰かを笑いものにして。……俺はつまんねぇと思う、軽蔑する。子供が、暴力で物事を解決する?冗談じゃない、お前等の目で、耳で、心で……正しいことを判断しなきゃなんじゃないのかよ?』

 

 そう言って、一夏はすたすたと教室を去って行く。その後を思いつめた顔の箒が追い……その後、『どうしようか……』、『あいつの言う通りだろ……』、『謝らないと……』と言う呟きと共に、また一人、また一人と教室を去って行った。

 

 

 

 

(……―――――――――、ムカつく。『ママ』は僕に構ってくれるはずなのに、なんでなんでなんで何でなんでなんで何でナンデ…!)

 

 暴力を振ったとして自己申告した三人組を見ながら、節無な初めて身を悶えるような激情を鎮めていた。時刻は既に夕刻。通りは下校する高校生や帰路を急ぐサラリーマンたちがせわしなく行きかっている。

 

「ッ、てぇな。気を付けろ餓鬼!」

 

 頭の悪そうな女子高生グループに思わずぶつかってしまう節無。普通の思考ならば、一言謝り関わろうとはしないだろう。

 しかし――――。

 

「……――――、『ママ』?」

「はぁ!?どしたんだこの小学生…?」

「あんた、その年で妊娠してたの?ゴムしなさいよ…」

「んなわけねーだろが!おい‼とっととどっか行けよ!」

 

 数人の顔を、母親と認識した彼は、ブツブツと癇癪を彼女らにぶつけ始めた。

 

「虐めるんだ……皆、僕のすることのここがダメだって理由を付けて!僕は悪くない、甘えさせてくれない僕以外のヤツが悪いんだ。『ママ』が守ってくれればこんな事には……――――!」

「な、なあ……――――ヤバくねこのガキ?」

「とっとと行っちゃおうよ?ねぇ…」

 

 それは悪手だった。母親に無視されることは、幼い子供にとっては絶望に等しい。

 

「酷いよ、『ママ』」

「ぇ、――――はンッ!?」

 

 しかも、身体は狂人の域に達している。心は幼児に擬態した怪物だ。

 

「……――――は?ちょ……」

 

 丁度人通りの消えた裏通りに、血飛沫が上がった。

 憐れな女子高生たちが最期に見たのは、眼前に迫るコンクリートブロックのざらついた表面のみだった。

 

 

「『おいおい、これは…まさかな?』」

 

 銀髪の珈琲店の息子が気付いた時には、全てが終わった後だった。

 

 

 

 次の日、織斑一夏たちの住む街に猟奇殺人事件の報道があった。何でも、殺された女子高生たちの乳房に、赤ん坊の如くしゃぶりついたと思われる形跡が残っていた。食い破られたと思しき死骸もあった。

 しかし、現場には証拠が一切出ず、犯人は未だ捕まっていない……――――。

 

「うわ、やだなーこのニュース…」

「一夏、節無。お前たちも気を付けろよ。可愛いからそういった変態に襲われかねん。重々言っているが、防犯ブザーを引っ張るのを躊躇うなよ。わかってるな!すぐに行ってやる!」

「最近の千冬ねぇ、剣道でも荒ぶってるからなぁ…」

 

 姉と弟がTVニュースを見て会話をしている。だが、もう一人は素知らぬ顔。

 

『……――――』

「~♩」

 

 織斑節無は『何か』を聞いていた。ヘッドホンから声が聞こえる。大切な思い出を懐かしむため、今日も彼は耳と心を閉ざす……――――。




千冬「にしても一夏、随分口調変わったよな?」
一夏「ん?そうか?……あぁ、心当たりとしては惣万にぃの口調がうつったとかか?」
惣万「えぇ……、俺のせい……?」
箒「私はそっちのほうがいいと思うぞ」

 猟奇殺人が起きても、いつも通りカフェnascitaは平和だった。


※2020/12/09
 内容修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部
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