IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N 作:サルミアッキ
一夏「……ッぐすっ」
千冬「蒼穹さん、今までありがとうございました。大変お世話になりました…」
惣万「お…?お前まで泣いてくれるとは母さんも喜ぶだろうな…」
千冬「お前がいない日には色々と世話してもらったからな、当然だろう」
一夏「……蒼穹さんのコーヒー、美味しかったなぁ。箒もいたら良かったのに…」
惣万「んじゃ……Ciao、母さん!」
母さんが亡くなってから、俺は高校を辞め、自分でお店を切り盛りすることにした。他人に任せるのも何か違うと思ったし、箒とも約束したんだ……『向こうの俺』は悪の組織の参謀だが、こっちの俺は皆の思い出の場所のカフェぐらいは守ってやるってな。あぁそうそう、カフェnascitaを少しリニューアルして、レストランカフェに路線変更もした。
あとそれと、週に三回ほどの回数になるが……。
「こちらコーヒー一つと、アールグレイ一つになる……ます。パンケーキはお好みで蜂蜜をかけて食べ……お召し上がりください……」
「どうぞごゆっくり」
言葉遣いが若干怪しい世界最強(笑)のフォローに回るのが日課になりつつある……。
「さて、千冬?客相手に若干タメ口が出るの、どうにかしろって前に言ったよね?」
「……っ、面目ない……」
千冬がJKになりアルバイトが解禁になった折に、ウチで雇うことになったのだ。レストランカフェnascitaは、こんな青二才がやっているというのに母がやっていた頃と全く売り上げが変化していない……故にアルバイトでもかなり高額な賃金を千冬に払ってやれている……と思う。
「まぁ?それでも客足は途切れはしないけどさ……」
そう、原因は千冬が第一回IS世界大会で優勝したことだ。大学生になった今でも顔を出してくれるのは全く以ってありがたい。そのおかげで一躍有名人となった彼女のおかげで店はものすんごく繁盛している。
「しかし全く……ろくでもない称号だ……」
唐突に千冬が呟く。
「称号……?あぁ、もしかしてあの戦乙女の……」
「それ以上言うな!」(ソウトウエキサーイエキサーイ♪)
鏡先生!?
「……、何で?カッコイイじゃん。ちょっと厨二臭い感じで、俺は好きだけど……」
「お前なら知っているだろう?ブリュンヒルデとかいうのは、ほら。愛した夫を誓いによって死に追いやってしまうとかいうアレだ」
「あぁ知ってる、シグルドとかって確か…竜の宝の呪いやら拗れた人間関係によって死んだんだったな。で?それがどうしたよ?」
言葉を続けようとした千冬の頬は、薄っすらと桃色に染まっていた。
「はぁ、まるで男運が無いみたいじゃないか…。行き遅れだとか、将来言われかねないな。全く、嫌みな称号だ」
……悪いな。少し揶揄う形でスルーさせてもらおう。
「……だけど俺はそうはならない。何故なら、俺自身がお宝と美人に目が無い、邪な蛇竜だからな!」
「…何言ってるんだ」
「ん?だから俺達は末永く友達だってこった」
………色々と悪いな、千冬。本当にゴメン。
「んぐ……。……くっくく……はははははは……あーぁ……、何だ……色々考えた私が馬鹿みたいだ……」
「馬鹿なんだろ?」
「……」
「痛い痛い痛い!?やめっ、あっ……アイアンクローは止め、って……ぬ゛あ゛あ゛ーーーーッ!?」
あー、痛って……。昼間に受けたアイアンクローという名の万力モドキが翌日になってもまだ痛い……。
―チリンチリン―
「お、いらっしゃいませ~……って一夏か……?そちらさんは……」
「あ、初めまシて、凰鈴音デす」
あぁ、もうそんな時期になったのか……。
「(いらっしゃい、お嬢ちゃん。中国語は余り得意じゃないんだが、聞き取りづらかったら勘弁してくれ。で、ご注文は?)」
俺は昔母さんと世界各国をフラフラしてた時にマスターした中国語で彼女に接する。丁度良かった……上海語とか広東語とか色々覚えておいて……。
「(い、いえ、お上手です……あ、じゃぁ一夏の飲んでいるものを下さい)」
こうして俺は、原作キャラの一人、凰鈴音が一夏を通じて知り合うことになったのだ。
それから場面は巡り変わる。一夏と鈴音は友情を育み、俺は毎日を慌ただしく料理とコーヒーに費やし、千冬は俺の下でアルバイトをして日々を過ごす……。最近鳴りを潜めているが、弱冠一名、俺でさえ予想がしづらいイリーガルも存在するが、顔を合わせてれちょっとずつだが内心が透けて見え始めた。ちょっとヤバそうだが、何とかするとしよう…。
色々な毎日を過ごしてきた。ある時はこんな一幕もあった。
「千冬ゥ、ヤメルォ!その肉は俺が育ててたんだよ!折角ミディアムレアにしたのに!」
「ムグッ食わんお前が悪い!」
「てか千冬姉は自分の肉ちゃんと見とけ!真っ黒こげじゃねぇか何でだ!?」
「うーん、カルビ美味しー」
「あるェちゃっかりしてるな鈴ちゃん!どんだけ食ってんの!」
「何ですか惣万さん、お肉の下拵えにウチの調味料お裾分けしたのお忘れですかもっきゅもっきゅ」
「一夏さん、お水如何ですか?」
「あーもう、肉が勿体ね……お、蘭か、あんがとな」
「ほらおにぃも焼肉対戦に入ってよ、私たちの分なくなっちゃうでしょ!」
「いや、あんな人外魔境に俺を投入するつもりか?」
「骨は拾うから。牛タン、牛タン!」
「割に合わなっ!?おい数馬も何か言って……、ちゃっかり鈴と一緒にスゲェ量食ってる!」
ご近所付き合いの深いメンバーと焼肉大会はカオスな事になった。千冬は分かるんだが、何か人外が数人出てきたぞ。五反田の爺さんと鈴ちゃんの親父殿がとんでもなかったんですが……。
だが、そんな穏やかな日々は続かないのが道理である。
その年の暮れ、レストランカフェnascitaの年内最後の営業を終えると鍵を閉めた。そして、晴れた星空を見上げ息を吐きだす。
「あぁ、世界はまだ美しいまま。だが、もう間も無く醜く変わる。ならその前に、先に終わらせてしまうべきだ……全て、全て」
なーんてな。ドクター真木ならそんなこと言うんだろうな。
「だからさ、千冬……」
俺は希う、俺を止められるのは……そして俺を責められるのは千冬であるべきなのだと。
「『織斑千冬。……白亜のブリュンヒルデとなってしまった可哀想な“人間”の乙女よ。お前がブリュンヒルデなら、シグルドはきっと別にいる。俺はそのきっかけを与えただけのファフニール、つまりは害悪の現象そのものだ』」
まあお前が俺をシグルドだって言うなら別に良い。そんな英雄然とした人間じゃ無いってのは分かっているが……北欧神話に乗っ取って最期の戦いになった時は、お前が俺を殺してくれるよな。いや、彼女は意外に優しいもんな、きっちり殺してくれるだろうか。
あぁ、このしっちゃかめっちゃかになった世界と心中して無に還るなんて――――最高じゃないか?
短いな……まぁすぐ投稿すれば誤魔化せるか……(錯乱)
※2020/12/08
一部修正
今後の進め方の優先事項
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瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
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夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
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ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
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全部