IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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惣万「さて、前回はセカンド幼馴染、鳳鈴音ちゃんの登場だ」
鈴音「いやいや惣万さん!初っ端から間違えてます鳳じゃありません凰です!」
千冬「(む。そうだったのか、今後は気を付けよう…)ところで凰、中国茶でもどうだ?」
鈴音「え、や…それはちょっと……結構です、すいません…」
千冬「…そうか」
一夏「いや鈴、それで正解だって。なんでカモミールティー淹れてるのに真っ黒な液体になるわけ、千冬姉?」
千冬姉「いや、知らない…」
惣万「メシマズ属性セシリアから分岐したのか…?」


第十一話 『陰謀のモンド・グロッソ』

某国、某所……。

 

【フルボトル!】

 

【スチームアタック!】

 

 その音声と共に、トランスチームガンからガトリングの様に数十発のエネルギー弾が目の前の武装集団目がけてとび、鮮血と悲鳴を飛び散らせる。

 

「なっ、何だこいつのパワードスーツは!?本当にEOSなのか!?」

 

 その声にカチンときたらしく、言った人間を“バルブの付いた剣”で乱暴に切り裂く夜の悪党。

 

『ハァ……。そんな醜く、愚かしく、無価値な、国連が開発したパワードスーツ(オモチャ)と……私の開発したトランスチームシステムを比較されるのは……全く、実に、非常に不愉快だ……』

 

 きついエコーがかかった声がノイズ交じりに吐き出され、その怪人はトランスチームガンを放り上げる。

 

「……っ、IS部隊が来たぞ!」

「やった……これで……!」

 

 

『勝った、とでも?残念だったな……消えろ』

 

 後ろから赤い残像を残しながら這い寄ってきた血塗れの参謀が腕のチューブを伸ばし、IS操縦者に毒を注入する。

 

「「……!?ぐっ……!ギャアァァァァァッッ!?」」

 

 突如として苦しみだし、黒い粒子となって消えるIS操縦者たち。

 

『ふん……』

 

 漆黒の蝙蝠と血の色の蛇。その二人が並び立つ。

 

 

『ハァ…つまらないな……。この程度か?』

「あらあら、随分と面白い格好の方ねぇ……。まるでエヴァに林檎を授けた蛇ね……」

『おぉ、中々言い得て妙だな?俺はブラッドスターク。こっちがナイトローグ。そしてこれはトランスチームシステムって言ってな?一種のパワードスーツだ。……まぁそんなのはどうでも良い。実は耳よりな商談があってなぁ……一口乗るかい?亡国機業のスコール・ミューゼルさん?』

 

 ここに、亡国機業とファウストが会合する……。

 

「言われた人員は揃えたわよ、ブラッドスターク?」

『おーぉ、サンキュー。フム、コードネーム・オータムに、Mか……。ま、素性なんざ調べりゃすぐに解るが……』

「何……?」

 

 おっと、流石に此処でマドカに出生云々を言うと面倒だ……。

 

『まぁ良いや、早速だが、こいつを見てくれ』

 

 そうして俺は虚空からパンドラボックスを取り出す。

 

『コレはパンドラボックスって言ってな。はっきり言っちまえば異惑星……地球外文明が創り上げたオーパーツだ』

「……は?んな馬鹿なことあるかよ?おいスコール!このコスプレ野郎、ココでぶちのめしちゃ駄目か?」

「まぁ待ちなさいオータム……。それで?それを我々に見せる理由は?」

『なぁに、知り合いの科学者が言ってたんだが、この中には……それこそ地球のエネルギー資源なんざ比べ物にならない程の膨大なエネルギーが秘められている』

「あら……。続けて」

『おぉ、乗り気だな……っつてもこれを開けるにはちょっと手間がいるんだわ。まず六面あるパネル……パンドラパネルに各十本のフルボトルを挿さなきゃならん。つまり六十本のボトルがいる』

「……んだよその……“フルボトル”って?」

『いい質問だオータム。俺が今一本持っている、ホラコレ。シャカシャカ振ってみな』

 

 そう言ってスパイダーフルボトルをオータムに投げる。

 

「……、まぁシャカシャカいって気持ちいいけどさ。結局何だ?……ってオォォォォォォ!?」

 

 そう叫んだ瞬間、壁にもたれていたオータムは、手を支点に重力に逆らって壁と垂直になった。

 

「え、ちょ……、オータム!?」

「ふぁっ……!?」

 

 フハハハハハ!驚いてる驚いてる!つーかマドカちゃん、キャラ崩れてるぞー?

 

『それはスパイダーフルボトル。パンドラボックスから抽出されたネビュラガス由来の物質を詰めたものでな、有機物と無機物の二種類のボトルがある。そしてその特徴は詰められた成分によってその物質の特徴をその身に得られる……。今のオータムは差し詰めスパイダーウーマ〇ってか?』

 

 あ、効果が切れて天井から落ちた……うわー尾骶骨うったな……痛そう……。

 

「……~~ってぇ~~っ!」

 

 涙目で睨んでくる秋姉さん。

 

「……大丈夫か、オータム」

「あぁん?舐めんな、こんぐらい平気だよガキ……」

『せっかくの善意は無下にするもんじゃないぞ~。つーか涙目で言われてもなぁ?』

 

 せっかくなんでスターク節で煽っておこう。あ、真っ赤だなオイ。煽り耐性低すぎじゃね?まだ皮肉を言おうと思ってたんだが……。話を戻そう。

 

『まぁそれは置いといて(無視すんなや!)……それは無視して、(おいゴラァ)本題だ。そんな訳で、もし協力したいなら幾らかのボトルは友好のシルシとして提供しようじゃねぇか。強大なエネルギー資源もお前らに優先してくれてやる……。だが、そうなると此方もカツカツだ……。てなわけで……』

「成程、我々がパトロンになれ、ということかしら……。でも私たちだけでは決めかねるわね……。少し時間をくれないかしら?」

『あぁ、いいとも。だが時間が勿体無い……そうだな、今からお前らのトップにでも会いに行くか?』

 

「「「は?」」」

 

 そう言ってセントラルチムニーから煙を噴き出し、その場からナイトローグと三人と共に立ち去った……。

 

 

 

「……」

 

 

『いやぁ、上手く交渉が出来て良かったぜぇ、つーわけでこれからよろしくな。亡国機業サン?……ん、どした?』

「いや、こちとらボスにアポなしで顔出して首が飛ぶかどうかな気持ちだったんだが!?」

「こーゆーことはこれっきりにしてくれないかしら……」

「……と言うかスターク。ボスに浴びせたあの光は何だ?アレを見た途端、何か、こう……枷が外れたような……」

『あぁあれ……、それはアレだ……ただ交感神経を(多分)興奮させる光だ、交渉事には便利だぜ?』

「ドーピングかよ……?」

 

 まぁ嘘だ。ビルド好きの奴ならわかるだろうが、パンドラボックスの副産物、人間の人格を攻撃的にする謎の光を浴びせた。

 

『まぁ兎も角……。これでファウストとしての計画が進められる……まずは、人体実験だが……』

 

 俺は仮面の下でニヤリと笑い……。

 

『そう言えば、近々第二回モンド・グロッソがあるよなぁ……。お前等、ブリュンヒルデを失脚させようとしてんだろ?だったら……その弟を誘拐してくれねぇか?あいつは丁度良い実験台になりそうだからな……』

 

 

 

 

 よしよし、全ては計画通りだ……。あれから数ヶ月、俺はドイツに来ている。つっても今はどこか分からん廃墟にいるんだがな。そう、一夏が亡国機業に拉致られて千冬が優勝を逃す第二回大会、モンド・グロッソの開催日……。一夏たちには日本にいるということにしているから、遭遇するわけにはいかない……ま、そうはならないだろうけど。

 

【Cobra……!】

 

「蒸血……」

 

【Mist match……!】

【C-C-Cobra……Cobra……Fire……!】

 

『フム、変身完了っと。では囚われの王子様を迎えに行こうか。まぁ、助けるわけじゃないんだけどな……』

 

 

 

 よし、霧ワープってな。……コレ滅茶苦茶便利……。そして視界が開けると秋女とその配下の工作員が勢揃いしていた。

 

『おー、お集り頂き光栄だな。わざわざありがとう、亡国機業の皆様ぁ』

「……ッ、スタークか……というか……ワープ、してきたのか……?」

『それは気にするな、考えるだけ無駄だ。んーじゃ、誘拐された色男を起こすとするか、おーい、起きてるか~』

 

 そう言って俺は一夏の頬をペチペチはたく。

 

「……?……ここは……」

『よぉ、気付いたか?』

「……っ!?」

 

 おぉ、一夏はびっくりしてるなぁ。

 

「……っお前は……何だ?それは……EOS……じゃない……?」

『オイオイ、“何だ?”ってひでぇな、魔法少女ラジカルレヴィにでも見えんのか?若しくはNTR騎士に惚れた面倒な女か?そりゃお前の姉だ。』

「んなわけないだろ!つかそれこそ何だ!?」

 

 いやいや、声優同じなんだわさ。まぁ分からんだろうが。

 

「……オイ、スターク。いつまでふざけてんだ、あぁ?オレらが協力してやって失敗とか言ったらぶっ殺すぞ」

 

オォッと、サンキュー秋姉。ついつい一夏をからかっちゃったわ。うーん、気を付けなきゃいけないのは重々承知してんだが、ぽろっと何か言いそうだ。

 

「……っそうだ……あんた達は何が目的だ……?……!いや……まさか、俺を人質に千冬姉の事を……?」

『おぉ、意外に頭の回転が速いねぇ。そう、協力してるそちらさんの目的はチフユ・オリムラのモンド・グロッソ優勝の阻止だ』

 

 “そちらさん”の言葉と共にオータムに向かって指をさす俺。

 

「っ、……!」

 

 忌々し気にこちらを睨む一夏……やー、こちとらお仕事なんだよね……んな怖い顔するなよぉ……。

 

『まぁ……イチカ・オリムラぁ、そうだな、今から与えられる力を正しく使えるなら逃がしてやらんでもない。まぁコレを注入されて自我を保てていたら、だがな?』

 

【デビルスチーム!】

 

「……!煙……、グッ!?ガッ、ガァァァァアアアアアアアアア‼」

「……!?オイスターク!?何してんだ、殺すつもりか!?そんなことしたらブリュンヒルデがどうなるか…………‼」

『安心しろ、死にゃしねぇよ。ただ記憶を無くすだけだ』

 

 俺は一夏にスチームブレードからネビュラガスを一夏の体内に取り込ませ、ハザードレベルを計測する。……因みに一夏のハザードレベルは子供の頃から興味本位で調べていたんだが……いや、止そう。それで今のハザードレベルはっと……。

 

『フムフム、スマッシュに変化せずにハザードレベル2.3か……。まぁまぁだな』

 

 さて、向こうはどうなっているかな?

 

 

 一方その時、決勝戦を棄権し、一夏救出に向かっていた織斑千冬…………。

 

 

「一夏……一体どこに……、ッ!?」

 

 第六感が危険だ、と自身に告げる。刹那、千冬は暮桜の主武装、雪片を真一文字に振るう。

 

―ドキュンッ‼―

―キンッ‼―

 

『へ~、今のを斬るのか~。ねぇさん、ざんね~ん』

『流石はブリュンヒルデ、ですか……、夫となるシグルドも苦労するでしょうね、ま、そんな人いないでしょうが』

 

 そんな声が聞こえた。銃弾が放たれたであろう地点をハイパーセンサーで確認……だが何の反応もない。千冬は常人離れした視力で目線をそこに向ける……いた。

 

「……!?その姿は……?」

 

 そこにいたのはフルアーマーの二人組だった。一人は顔や体の右側に赤い歯車、もう一人は同じく左半身が青い歯車の様な装甲で覆われ、顔の装甲の奥に光るカメラアイは怪しく青白く輝いていた。

 

『改めまして、お初にお目にかかりますブリュンヒルデ。私はレフトカイザー。こちらは妹のライトカイザー。秘密結社“ファウスト”の専属兵器です』

 

 慇懃無礼に挨拶をする青い歯車の怪人。

 

「……ファウスト……?」

『はい、とある方がこの世界を壊すことを掲げた反政府組織です。あぁ、彼は今日も貴女の決勝戦を楽しみにしていらっしゃいましたよ?ですが、まぁその御様子だと棄権なさったようですね』

『ねぇさん、当たり前~。織斑一夏はスターク様がさらったんだから~』

 

「……っ‼」

 

 その言葉を聞いた瞬間、千冬は二人組に斬りかかった。だが驚いたことに、妹だといった赤い歯車の方……ライトカイザーは世界最強の剣戟を、片手に持ったバルブのついたブレードでうち払う。その隙をついて姉……青い歯車のレフトカイザーが紫色の拳銃の様な機械で援護射撃を行う。それはまさに息がぴったりと合い、ブリュンヒルデにも脅威として映った。正確に乱れ撃たれる銃弾を避けながら距離をとろうとする織斑千冬……だが。

 

『も~らい~。よいしょ~』

「なっ、ぐあぁァァア!?」

 

 いつの間にか高スピードで接近していたライトカイザーは千冬の被っている暮桜を両手でしっかり掴みブリッジの要領で易々と後方へ吹き飛ばした。派手な音が鳴り響き、暮桜のシールドエネルギーは残り少なくなる。

 

「……くッ、私は……私はこんな所で……。私は一夏を……ッ!」

 

『美しい姉弟愛ですね、親がいない者として、シンパシーを感じますよ』

 

 そう言いつつも狙いは外さずに距離をとる二人のカイザー。ライトカイザーは持っていたブレードを分離させ、レフトカイザーの持っていた紫のデバイスに合体させた。そしてそれと同時進行でレフトカイザーはスロットの様な部分にロケットのレリーフがあるフルボトルを挿入する。

 

【フルボトル!】

 

【ファンキーショット!フルボトル!】

 

 その音声と共に千冬に向かって巨大なロケット型のミサイル状のエネルギー弾が発射された。

 

「くッ、オォォォォォォッ‼」

 

 

―ドッガァァンッッ‼―

 

 

『フム、終わりましたか。カイザーシステムの初運用がブリュンヒルデの足止めとは、誇るべきなのでしょうね……』

『……。ねぇさん、まだ終わらない』

『む?……まさか』

 

 妹が発した、野生の勘とでも言うべき危機回避能力からの警告に、二人とも身を固くする。土煙が開けて、ファンキーショットが着弾した場所が見えてくる……。

 

『何!?そんな馬鹿な!』

『……。あぁそう、シールドエネルギーを犠牲に雪片の能力で打ち消した…………』

 

 驚きの声を上げる青い歯車の銃士と冷静に分析する赤い歯車の剣士。目線の先には肩で息をしてはいるが、未だ戦闘の意思は消えていない世界最強の女性が立っていた。

 

「………さぁ、私はまだ戦えるぞ……。貴様らを倒して一夏の元に行かせてもらう……!」

 

『くッ、流石人類最強ですね。……ですがISはおろか生身でこのカイザーシステムに傷をつけられると?』

『……!ねぇさん、スターク様から連絡~。……足止めはもういいって~。やた~、帰れる~、もうスターク様、撤収したって~』

『……む、そうですか。ならマスターの仮説は証明されたんですね。ではブリュンヒルデ、こちらをどうぞ』

 

 そう言ってレフトカイザーはひょいと紙切れを投げる。恐る恐る紙を見る千冬はそこに書かれていたものに眉を吊り上げた。

 

「……ぉい!待て!どういった風の吹きまわしだ!?何故私に一夏の誘拐場所を知らせる!?」

『それはもう織斑一夏君が人質の価値を失ったことを示します。あぁ、殺害したとかでは無いのでご安心を。もうしばらくは貴女方に私達が所属する“ファウスト”は干渉しないでしょう。もう一方は知りませんが』

「もう一方……。(最低で二つの組織が関わっているのか……)……………………それ全てを信じるとでも思っているのか?」

『構いませんよ、しかし、良いのですか?我々の組織は弟君に手を出しませんが、もう一つの方はどうか分かりませんよ?』

「……チッ!」

 

 千冬は舌打ちをすると近くにあった乗用車の窓ガラスをぶち破り、ハンドル近くの配線を引きずり出してエンジンをかけると二人のカイザーに目もくれずに一夏の救出に向かった。

 

『……ふぅ、やはり、といいますか……私が戦闘なんて要員錯誤も良いところではありませんか』

『気にしない気にしな~い』

 

 神経質そうにこぼす青い戦士に呑気に言葉を返す赤い戦士。その途端、彼女らの身体を覆っていた装甲が煙の様に消え、銀髪赤目の二人の女性が現れた。

 

「ではブリッツ、手を繋ぎなさい。ネビュラスチームガンのワープ機能もまだ長距離は出来ませんからね」

「へいへ~い、り~」

 

 そう仲良く言葉を交わすと、ネビュラスチームガンのトリガーを引き、体に悪そうな色の煙に巻かれ、姿を消した……。




 ライトカイザー、レフトカイザーのスペックがよくわからないので描写が難しいですね……。あとマドカが登場。ここら辺、何時亡国機業に加入したのかはスルーでお願いします。惣万が過去色々やってるのでバタフライエフェクトということで……。

※2020/12/08
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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