IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N 作:サルミアッキ
惣万「お、おう……朝っぱらからランニングか?」
一夏「ああ。あ、惣万にぃ、確かシステマとカラリパヤットやってたよな。頼む教えてくれ!」
惣万「まあ良いけど。お前の身体、多分剣使う筋肉が発展してるからそっちの方も伸ばせよ?」
一夏「了解、んじゃシャワー借りて良い?」
惣万「どーぞどーぞ……。まさか一夏がこうなるとはね。さすがに変化あり過ぎかよ。ごめんまだ見ぬヒロインの皆さん、出来レースになっちゃった」
凰鈴音は周囲の人間から見れば、快活で明るい人物に見られてる。本人もそれを自覚してはいるが……ある時を境に思慮深く行動するのを是とするようになった。
それは親友である一夏や、五反田弾、御手洗数馬と登校していた時だった。
「……んぁ?下駄箱ん中に何か…」
「あー一夏、それラブレターじゃね?」
「ラ……、ラブレター!?」
その頃の鈴は、一夏のことを少なからず憎からず思っていた。故に、一夏がその顔も知らない誰かと付き合う、何てことになれば……原作彼女よろしく、彼女の頭の中に泰山の麻婆豆腐が「オッス俺外道麻婆今後ともよろしく」とか言いながら注がれ、龍砲でヨモツヘグリスカッシュ!する事態になりかねなかった。
だが、こちらの世界の一夏は、幼いころに誓ったある約束を心の中に秘めていた……。
「はぁ…羨ましいんだけど。どうせ付き合えないって言うんだろ?一夏」
ため息交じりに一夏に聞く弾。
「……、ま、そうだな」
丁寧に恋文を読んだ一夏はそっと折りたたむとカバンの中に入れる。
「……?どういう事よ。付き合わないって……」
「そのまんまの意味だよ、鈴」
三人はチラリと視線を一夏に向けると、一夏は興味なさげにそっぽを向く。それを構わない、と言う意味にとった弾は、一夏から聞いた内容を話すことにする。
「一夏はな……。なんつーか……純愛してんだよ」
「……?」
「アイツな、昔馴染みの女の子に操を捧げてるっぽいんだよな……」
その言葉を聞いた鈴は、一夏の照れたような横顔を見て『あぁ……、これじゃ、アタシ入り込めないなぁ……』と本能で直感した。何と言うか……鈴には彼の顔が打算などで恋人を選んだわけでは無く、純粋にその人物の心の奥を知り、傍に居ようとする眩しすぎる笑みに見えた。
場面が変わる。
一騒動遭った第二回モンド・グロッソから戻ってきた一夏は……今までよりも精悍で、何かを決意したような顔になり、毎日走り込みやトレーニングをするようになっていた。
「ねぇ一夏。何必死に自分を追い込んでいるの?」
疑問に思った鈴は地面に這いつくばっていた一夏に尋ねる。生まれた小鹿の様にガクガクプルプル震える足を無理矢理動かし、木の根元に寄りかかると、水を一気に煽りながら息を整え、答える一夏。
「あー、何つーかな……俺は……自分で自分の事も守れない……弱っちい人間だったんだって……気が付いただけだよ」
「……それって……」
「……ま、また誘拐されて銃とか突きつけられて、それで勝てって言われても無理だけど……」
正攻法以外でも戦えるようにならないと……ハハ……、と情けなさそうに告げる一夏。
「石動さんは……何て?」
「惣万にぃか?止めなかったよ……むしろ千冬姉にフォローを入れてくれた。……俺が選んだ道だ……それがどんな道でも、黙って背中を押してくれる……そんな人だよ、あの人は」
今は惣万にぃからシステマ習ってんだぜ?と言ってくる。
「それに、さ……」
「?」
「俺は……俺の為に戦う。……俺が信じた……俺を信じてくれた者の為に戦う。……だから、俺と『また明日』って約束した……
そう言い切った一夏の顔は……愛した誰かを守るための“男”の顔で……鈴に見せる”親友”としての顔では無かった。
(あぁ……)
鈴は自分の恋心が悲しく消えてゆくのを幻視する。
(これが失恋…ってヤツなのね。だけれど、この痛みがむしろ気持ちが良いと感じるのは何故かしら……)
それでも、一つだけ分かったことがある。
(…………うん、そうね……私は一夏のことが……大好き。………………だから、……仕方がないから、……一夏の想い人を守るために手助けをしてあげようじゃない。それが、アタシにできる唯一の……恋って言う気持ちなんだから)
すぅ、っと息を吸い込むと、しょっぱくなった気持ちと共に息を吐きだす。
「……いぃちかぁぁぁぁぁ!何面白いことやってんのよ!アタシも混ぜなさい!アンタをビシバシ鍛えてやるんだから!」
「うおぁ、鈴!?……って……鍛えるっつったってな……、え、鈴?もしかしてなんかやってた?」
「ふっふっふ、聞いて驚きなさい!アタシ、中国にいた頃に赤心少林拳玄海流をマスターしたんだからね!あ、あと星心大輪拳もかじったこともあるし!」
「え……マジか…………?惣万にぃが言ってたけど、玄海流ってさ……達人になればISとタイマンできるやつじゃなかったっけ……?」
「よーし、いっくわよ~~~っ‼」
「わーっ!?待て待て待て!システマでどう戦えと……ギャアァァァァァァァァァッ!?」
(辛いことも、悲しいことも、決して消えて無くなったりしない。だったら……大切な人が傷つくより、自分が傷ついたほうがいい。……そうよね、一夏…… )
ここで、鈴の初恋が終わる……そしてまだ見ぬ、一夏を射止めた撫子のことを考える……。
(だから……絶対幸せになりなさいよ……お二人さん)
ここはイギリス……。豪華な作りの豪邸が夜の闇に紛れ荘厳な印象を与えてくる。その屋敷の一室……。外の造りと対比させて簡素な装飾しかされていない部屋の中に、金髪の少女が窓の外を見ている……。
少女、セシリア・オルコットの瞼の裏には、あの日の出会い……彼女にとっての正義の味方が映っている。列車事故に遭ったと思っていた両親が、まさにヒーローと言う外見のパワードスーツの人物に連れてこられたあの日から……彼女は正義の味方を張り続ける。
『国は君達を見限った……だが私は違う。私は新世界を創り、全ての人間を救う。ただの天才科学者にして、新たな世界の“正義の味方”だ』
何者か、と問うた自分に、紫と黄色の正義の味方がボロボロな服で……だが生きている両親を傍らに置き、そう告げた。
『君の両親は、この国を裏切った……だがそれは……ひとえに君の力になりたかったからだ……だが、それでも、オルコット夫妻は死んだ事にしなければならない』
意味深に正義の味方が告げる……。
『故にこれからは、セシリア・オルコット……君がこの家を束ねなければならないのだ』
チラリと気絶している母親と父親を一瞥すると、覚悟を決め顔を上げる。
『すべてを放棄するのも良し、誰かの為に奔走するのも良しだ……お前の心に従うと良い』
心は既に決まっていた……。両親が何をどう裏切ったのか……それは分からなかったが、それでも自分の家族だ。
『……。良い目だ、若々しいが……矜持と志を持つ者の目だ……私には……もうすでに無いモノだな……羨ましいよ』
『……いいえ、そんなことありません……。わたくしは……あなた様の様な、世界中の愛する人のことを守れる、そんな正義の味方でありたいのです』
そうはっきり言いきった。その時、シュワシュワと音が鳴り、正義の味方の腰についたベルトから煙が立ち上る。
『ん……時間切れか……プロトタイプのドライバーでは……ボトルの成分が抜けてしまうのが難点だな……あのアメーバを逃したのは失敗だった……』
そう呟くと紫と黄色のツートンのパワードスーツの人物は、ベルトのボトルを入れ替え、オレンジと銀色の新たな姿へと変わり、宙を舞い何処かへ飛び去って行った……
『さようなら、セシリア・オルコット。君が、正義の味方になれることを祈っているよ』
その日、セシリア・オルコットは運命に出会った。彼女にはその英雄の在り方が……何物にも代えがたい綺麗なモノとして映った。貴族としての矜持や、人間としての誇りを超えた、……“正義の味方”として。
セシリアの生き方は、その日から……正史からの道を分岐した。だが………………。
『そんな……どうして……?』
『あ、あぁあ………………ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ‼』
どこかの難民キャンプで……。また、どこかの廃れた森の村で……。
爆弾が落ちた、地雷が弾けた、銃弾が飛んだ。
零れ落ちて行く。手を差し伸べようとしても、必ず取りこぼしがある。目の前で……“私”がいたせいで子供が死んだ。
ただ、助けたかった。困っている人たちを助けたかった。そのために自分が自分で募った寄付金で、目の前の救いを求める手を掴み取ろうとした。
ノブレス・オブリージュ……それとは程遠いかもしれないが、自分が信じる正義の味方に、貴族として……立派な人間になろうとしたはずだった……。
『無駄な事だ』
彼女の中で生まれた、空っぽな自分が言う。
『お前はかの“正義の味方”の生き方が綺麗だったから憧れた。だが、お前はその裏に潜む世界の実態を知らなかった。お前の身勝手で行き過ぎた善意が、世界の誰かを不幸にした。お前の目の前のあの子供たちを殺したんだ』
『お前はどうする?そんな心で……そんな脆さで何を守るという?今のお前は……ただの抜け殻だ。再び紛争地帯への旅も、寄付もできなくなったお前が、今度はISに乗り世界を助ける?馬鹿馬鹿しい、それは逃げだ。お前は、己の命すら執着しなくなった……。過剰な自己犠牲だ……。それがまた、新たな犠牲を出すとも知らないで……』
だから、耳をふさいだ。私は……わたくしは、……それが悪いことだとは分かっております。
でも……、それでも――……誰かの為になりたいと思った“私”は、愚かでも……間違ってはいなかったはずです――
「……ッ!」
わたくしは、また、あの夢を見る。自分の過ちと、後悔を混ぜ込んだもう一人の“私”と会話する夢を……。
手に持った新聞記事を見る。そこにはわたくしの両親を助けてくれた……二色のヒーローが映っていた……。
「日本、ですか……。そうですわね……IS学園に入る前に、一度下見をしておきましょうか」
ベッドから起きあがると、エスニックなサンダルを履き、ぼさぼさになった髪を整える……。
「持ち物は……、ちょっとのお金と、明日の下着があれば充分ですわね」
金髪を無造作に垂らし、首にはストール、アジアンテイストの裾の長いジレを着ると、布切れに下着と幾らかの小銭を入れ、三階の窓から飛び降りたのだった……。
「あ゛ぁァァァァァッ‼おぉじょうさまァァァァァァァァッ‼贅沢は言いませんから玄関から出ていってくださいィィィィィッ‼着地点の木を植え替える作業、手間なんですよォォォォォッッッ‼」
メイドのチェルシーが何か言っていましたが、無視しましたわ。ごめんなさい……。
惣万「オイオイ……。チンチクリンがカッコイイ姉御になっちまったぞ?それにチョロコット……コレ色恋沙汰に発展する……?」
???「セシリア、『エージィ!』に。まぁセシリア→貴族→いいとこのボンボン→火野映司……ハッ、繋がった!ということらしい 」
惣万「ヤベェこいつ、脳細胞がデッドヒートだ」
???「それに中の人メズールだしな(白目)」
惣万「それいったら箒だってそうなんですけど」
???「あ、作者曰く『でも恋仲にならないだけでヒロインズは一夏の将来の大親友になる予定です』だそうだ」
※2020/12/08
一部修正
今後の進め方の優先事項
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瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
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夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
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ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
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全部