IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N 作:サルミアッキ
???「教官、よろしいでしょうか。……?何をやってらっしゃるので?」
千冬「む、ボーデヴィッヒか。丁度良い、あらすじ紹介だ、やっていけ」
ラウラ「は、はぁ…?えー、本官はラウラ・ボーデヴィッヒ少佐であります。現在特殊施設にて警鐘任務を行っており……」
千冬「そーではないんだがな……まぁ取り敢えず第十四話、どうぞ」
ここはドイツ……軍部でもトップシークレットな施設。その施設の内部では眼帯をつけた女性部隊が護衛任務をしていた。
「しかし教官、何故我々はこの地下施設に入ってはいけないのでしょう……。我々が外部に情報を流すことなどの用心、だと言われてしまえばそれまでですが……」
「何だ、ボーデヴィッヒ少佐。お前が私情を表に出すのは珍しいな」
コーヒーを飲みながら答える千冬。彼女らが所属するシュヴァルツェ・ハーゼ隊の隊長であるラウラ・ボーデヴィッヒとその教官である織斑千冬は職員たちが出入りする食堂で休息をとっていた。
「いえ、どうにもこの施設…何と言うか――――どうも落ち着かない…そんな思いが湧き上がってくるのです」
「……」
眉をひそめながら答えるラウラ。それを見て千冬はここの職員の顔を思い浮かべる。……確かに、千冬の目から見てもここの連中は何かをひた隠しにしているような……違和感、異質感を放っているように思う。
(この施設は、責任者が言うにはIS関連の研究、それも操縦者の適性などの向上についての分野においてセンセーショナルな結果を出している……とか何とか言っていたな……。しかし……)
どうにもきな臭い……そう思い目の前のラウラに声をかけようとした時だった。
―ビーッ‼ビーッ‼ビーッ‼―
「!、総員迎撃態勢!」
警報が鳴り響いたと共に、無線を使い指示を飛ばすラウラ。流石はドイツ軍少佐だと感心しながらも、千冬も迎撃に向かうのだった。
「貴様か、侵入者というのは!」
既に、小隊が敵を捕捉していた。
腰に片手を当て、もう片方の手をだらりと下げた血色の怪人が目の前に立つ。胸と顔のコブラのクリアパーツのみが毒々しく緑色の光る……。
『おぉ、もう来たか……流石、ドイツの軍隊は優秀だねぇ……あー何だったか、ドイツの技術は?』
「世界いッ……失礼しました」
(((クラリッサェ……)))
若干ペースを乱されたが黒ウサギ隊の面々は小銃やライフルを構える。それに対して、パワードスーツの人物はめんどくさそうに腕を振ると、目の前には金属製の頭部を持つ、恐らく人型アンドロイドがISの武装を改造した銃を兵隊の様に構えた。
そして後方から隊長と教官が駆けてくる……、そしてようやく火ぶたが切って落とされた。
『これは皆さんお揃いで。この地下にある実験体たちを頂きに参りました』
その血のようなパワードスーツの人物は、恭しく腰を折り頭を下げる。
「何者だ!」
『あぁ。そう言えば自己紹介がまだだったな……一方的にこちらが知っているだけだったか……。んんっ、初めましてブリュンヒルデ。俺はブラッドスターク』
“スターク”、この言葉に千冬は反応する。
「何……?」
『そう、お察しの通り!先のモンド・グロッソでお前の弟を誘拐し、記憶を消したのは、……俺だ』
その途端、千冬から膨大な殺気が噴き出す。それも、隣にいた黒ウサギ隊の面々が一瞬銃口を向けそうになるほどの……。
『オイオイ、落ち着けよ…今回の目的はお前等じゃない。お前になれなかった同系列体たちだよ、C-0037。あぁ、今は識別名“ラウラ・ボーデヴィッヒ”だったか。お前、この施設について知りたくねぇか?』
「……私が?何故?……同系列体?」
『フハハ……まあいい。それじゃ、俺はこれから下に行く、だから、お前たちの任務に従って、俺を追って地下施設に立ち入っても何の不自然も無いだろう?……じゃあな、Ciao♪』
「……!待てッ‼……!?」
ブラッドスタークは片手に取り出した小型の銃から白煙を噴き出すと、その煙に巻かれて周囲のアンドロイドと共に忽然と姿を消した。
「……、まさか、いや……、そんな……?」
スタークが言い残した言葉の意味を反芻し、ラウラの表情が曇りだすのを千冬は見逃さなかった。
―ピンポーン!―
突然エレベーターのロックが解除され、黒ウサギ隊の面々の前で扉が開く……。
「隊長……」
「……行くぞ、ここで教官の汚点となった原因の人物を拘束する……!」
そうして地下施設にやってきた黒ウサギ隊だったが……そこにあったのは、巨大な試験管の様な水槽とそれに繋がる巨大な装置……そしてその中に漂う銀髪の少女たち……。
「……っ、やはりか……!」
「……ッ?隊長……コレは……?」
部隊の副隊長、クラリッサがラウラに聞く。だがそれに答えたのはラウラでは無かった。
『はぁ全く、お前たち
試験管の向こう側から血塗れの蛇が現れた。片手には眠ったようにうなだれる銀髪の少女を抱えている。その少女を足元に置くと、コンコン、と水槽を叩きながら腕組みをして首をかしげる。
「ブラッドスターク……、ここに私を連れてきてどうするつもりだ……?」
『いんや?特になんも』
「何……?」
へらっ、とした口調でラウラに言うスターク。
『別にお前に何か言うつもりは無い……、何かを言う価値も無い』
「……ッ、貴様も……私のことを……」
スタークと今までの研究者たちが重なって映る。ラウラのことを役立たず、失敗作、出来損ない……数々の失望と落胆の目で見てきた大人たちが見える……。
「違う……私には……価値がある……ッ!」
『本当に、そうかァ!?チフユ・オリムラになろうとしているだけのお前に、一体何ができる!?』
オーバーリアクションで両手を広げるスタークに銃弾を一発撃ち込むも、片手で逸らされる。
『おぁぁっと!危ねぇな!水槽に当たったらどうするつもりだよ!?お前の妹たち無事じゃ済まないんだぞ!?』
その場違いな正論に歯噛みしながら銃を下げるが、鋭い視線はスタークに向いたままだった。周囲の目もスタークに嫌悪感むき出しの殺気を飛ばしている。
『ブーステッドだかアドヴァンスドだか知らないが……もっと俺に感謝をしても良いんだぜ?なにせ、俺のお陰でチフユ・オリムラに出会えたんだ、適合失敗作ちゃん?』
やれやれだ、とでも言うかの様に、諭すような口調で言葉を投げかけるスターク。
「……感謝しろだと!?教官の輝かしい力に泥を塗った貴様に感謝だと!?ふざけるな‼」
ラウラの屈辱を込めた怒りの声を、スタークは心底呆れたふうに頭を掻きながら聞き流す。そして突如、大袈裟な舞台俳優の様に体いっぱいを使い言葉を紡ぐ。
『ふざけちゃあいない……お前が教官の経歴に泥を塗ったと憎むイチカ・オリムラ、その誘拐、それによるブリュンヒルデの第二回モンド・グロッソ優勝の棄権……、それぞれの事情が重なり合わなければこうしてお前ら“同類”が……傷の舐め合いをすることはできなかった!そもそもブリュンヒルデが二度の優勝を果たしていたら、貴様は間違いなく“できそこない”のままだった!……あぁ、それさえも理解できないのなら、お前は間違いなく“できそこない”だなァ!ハッハハハハ、フハッハッハッハッハ‼』
自分の腿を激しく叩きながら狂ったように笑う悍ましいコブラ……。それが我慢の限界だった。
「ッ、スタァァァァァァァァクゥゥッ‼」
ラウラは軍用のコンバットナイフを抜き、スタークに斬りかかるが、それを見切っていたスタークは体をひねるようにして急所への刺突を避ける。続けて迫りくる刃も手の甲でいなし、払い、ラウラの手首をつかみ後方へ飛ばす。宙を舞うラウラを千冬が抱き留め、厳しい顔で注意するのを横目で見て、スタークは自分の手を見ながら呟く。
『おっと……成程、怒りによるハザードレベルの上昇……2.2か。イチカ・オリムラに迫る成長の勢いだな……だが、限界値も近いか、おぉい!調整はまだ終わらねぇのかぁ!?』
『今やっているとも』
施設の天井で声がする。思わず声のした方を見上げると、金色のバイザーをつけた漆黒のパワードスーツの人物が空中に展開されたディスプレイを高速で操作していた。
『……よし、これで調整は万全で完璧で完全だ。スターク、回収は任せる』
『オイオイ、ローグ?この数を俺一人でかよ?』
『その間の彼女らの相手は私がしよう』
そう言って天井から宙返りで降り立つローグと呼ばれた人物。そして体の肩や頭に設置された煙突から黒い煙を噴き出すと……そこには……。
『……オイオイ、トリックベントかよ……。忍者フルボトル必要無くないか……?』
「分身、した……?」
五人になった黒いパワードスーツの人物が銃や剣を持って立っていた。
『コレが設計者自らチューニングしたトランスチームシステムの力だ……』
『『『『『さぁ、花火の様に散るが良い……』』』』』
その言葉と共に、黒いコウモリと黒ウサギ隊の戦いが始まった……。
『さてと……俺の方はっと……』
スタークは試験管ベビーたちをガラスケースの中から割って出しながら一か所にまとめていく。そして手元に呼び出した白い聴診器のレリーフのボトルをトランスチームガンにセットする。
【フルボトル!】
『ついでにこれだな、こいつらは生まれたばかりの赤ん坊に近い……なら、ハンコ注射とか色々しないとね~』
【スチームアタック!】
真っ白な煙が彼女らを包み、遺伝子強化体たちの身体の中の抗体などを強化していく。
『……私が完璧に調整した、と言ったはずだが?』
『んお?お帰り、ナイトローグ。もう終わったのか?』
『いいや、まだだ……というよりも足止めが終わった為ワープしなければならない』
その言葉に首をかしげるが……あぁ成程、と納得する。質量ホログラム(?)……所謂コピーとはいえナイトローグ、それもニ体と同時に渡りあっている世界最強が間も無くニ体を倒しこちらに奇襲をかけてきそうだと察知したのである。
『成程……、いいぜ、それじゃなァ?今度は平和に遊ぼうぜぇ!Ciao♪』
「ま、待てぇ!」
その言葉と共に、12人の遺伝子強化体と二人のパワードスーツの人物は、その研究所から立ち去った……その後、新たに赤と青の歯車の付いたパワードスーツの人物によってその研究所は消滅することとなるのだった……
「おぉ~同じ顔がいっぱ~い」
「それで、如何いたしましょう、マスター」
裸で眠る子供たちを見ながら声の主がスタークに聞く。
『回収した遺伝子強化体たちの教育を頼みたい……そうだな、ナンバー・チルドレンとでも呼んでおこうか……。んーじゃ、生存者の識別コードの数が小さい順に……ウーノ、ドゥーレ、トーレ……クアットロに……アレ、C-0037が五番目に数小さいんだけど……チンクは空けとこう……そう言うワケだ、任せたぞ……シュトルム、ブリッツ』
「ハッ」
「へいへ~い、り~」
頭を垂れていた黒いスーツの女性と、白い祈禱師の様な服の女性は顔を上げる。スーツの女性の顔の左半分は機械に置換されており、青いカメラアイが爛々と光っている。和服にパナマ帽の女性の顔には右目にひび割れたような傷がある。二人のその姿は……仮面ライダービルドの世界にいた平行世界の帝王になろうとした、最上魁星を思わせた。
「しかし、因果なモノですね、彼女らのプロトタイプの我々が、本当に年長者として接する機会が与えられるとは」
「む~、十二人もいる~。名前覚えられるかな~、しんぱ~い」
場所は変わり、フランス。
ピッシリとスーツを着こみ、ネクタイを締めた金髪の男性が社長室に入って来る。それを見てほっと一息つく女性と、ソファにどっかりと寝そべる人物……。
『よっ!』
気楽に声をかけてくるパワードスーツの人物……スタークだ。
「……。スタークか……、何をしに来た……」
『やれやれ、数年来のビジネスパートナーに冷たいねぇ。俺達がいなければデュノア社での第三世代機の開発なんて夢のまた夢、出来なかっただろうに』
どっこらしょっ、と起き上がり、デュノア社社長、アルベール・デュノアに向き合うスターク。
「御託は良いんだ、何をしに来たか話せ……」
『そんじゃ遠慮なく!コレを見てくれ』
ポーン、と立体ホログラムを投影できる端末を投げ渡す。それに目を通したアルベール・デュノアは驚愕の表情を浮かべる。
「………………ッ!?馬鹿な…装備の換装無しでの全領域・全局面展開運用可能……!?……即時万能対応機!?」
『そうだ、このISの世代は第四世代、そして将来デュノア社から盗難に遭う予定のISだ』
意味深なセリフを呟くスターク。その意図にデュノア社社長はすぐに気がつく。
「……っ、つまりお前たちファウストの為のIS製作に加担しろ、と……?我々がそう簡単に応じると思うのか……」
『応じると思うよ?アルベール・デュノア、ロゼンタ・デュノア。お前等の忘れ形見……義理の子供を思っているお前等ならな?ま、応じてくれなかった場合、不幸な事故がブドウ農園で起こるかもなァ?』
含みを持たせる言い方をするスターク。その言葉を聞いたデュノア夫妻は、自分の心臓を握りつぶされるかのような錯覚に陥った……。
『ま、そういう事だ、よく考えておいてくれ?Ciao♪』
それだけ言い残すと、スタークは白煙を巻き上げフランスから去って行った……。
「…………スタァァァァァァァァクッッッ!!!」
「スタァァァァァァァァク‼」二連発。
シュトルム→風
ブリッツ→雷
ナンバー・チルドレン→難波チルドレン
難波重工ですねコレ。そしてデュノア社、ファウストのお陰で第三世代ISの開発が進められたよ!やったね!次は第四世代機だ!(脅迫)
※2020/12/09
一部修正
今後の進め方の優先事項
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瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
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夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
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ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
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全部