IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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千冬「ただいまー!元気してたか一夏!」
一夏「あ、千冬姉おかえり。ドイツどうだった?」
千冬「料理は少し、素朴な味付けだった。まぁ美味だったのだが、やっぱり一夏の料理のほうが舌に合うし……な」
一夏「(……ほんとに俺だけなのだか)んじゃ、何か作ろうか?今冷蔵庫にあるのは……惣万にぃから譲ってもらった熊肉と、シシ肉か……」
千冬「ちょっとまて、何でそれが入ってる?というか食えるのか!?」
一夏「最近ジビエ料理出してんだよね、惣万にぃ。つか俺も食わせてもらったけど、熊肉美味いよ、下手な牛肉より」
千冬「へぇー……」
惣万「命を戴くだけに不味い料理を出したら罰あたるしな。因みに兎の肉もあるぞ、――――あとついでに羊の肉も」
千冬「……なんだろう、すごく嫌な予感がする」
一夏「……そ、それってもしかしてハンニバる…」


第十五話 『マッドなナイト バッドなローグ』

 今は夕方。ここはIS学園……そこで書類を整理しようやくコーヒーを買い一息つく女性。

 

「さて、と……コレで、終わりだな」

「あ、織斑先生、仕事納めですか?私もです」

 

 隣から緑髪の幼い外見の教師が訪ねてくる。

 

「あぁ、山田君か……あぁ、これで終わったよ。やれやれ、この分なら何とか閉店時間に間に合いそうだ」

「?どちらか寄られるんですか?」

 

 缶コーヒーを飲みながら手早く身支度を整える千冬。

 

「む、まぁ教えても良いだろう……、そうだ。私の幼馴染がやっているレストランカフェを予約していてな、今夜は落ち着いて食事ができる……」

「へぇ~素敵ですね………………。ところで織斑先生?」

「(ズズッ……)なんだ……、?」

 

 山田先生の眼鏡の奥の目がきらりと光る。

 

「オ・ト・コ・ですか?」

 

―ブフゥッ‼―(Mist match!Fire!)

 

 

 千冬は口に含んでいたコーヒーを宙に向かって噴き出す。それはそれは綺麗な霧状になっていた……いや、どれだけ噴き出す機会があったのだろうか。

 

「…真耶。いや、そんなことはない。あの馬鹿は私がアピールしたところで全く別になんてことも無いような男だ。コーヒーを淹れてもらって料理をおごってもらうくらいの、なんというかーそう幼馴染だ…………そんな男だぞ」

「……そぉですかぁ……」

 

 山田先生はほのぼの……とした目で口元のコーヒーを拭い焦りに焦るチッピーを眺めていた。そして屈託ない笑顔で……。

 

「……ご一緒しても?」

「いや、なんでそうなるんだ」

「やだな~織斑先生、先輩にも春が来たんだな~と思いまして~」

 

 目元を引くつかせながらできるだけ笑顔で努めて返事をする千冬(笑)。

 

「山田君……私が身内ネタでからかわれるのが一番嫌いだと何度言ったら……」

「あー!尻尾を出しましたね!つまり先輩はその人のことを身内だと思ってるわけです!」

「……引きちぎるぞゴラ」

「やだなぁ何をですか……ってあれ、待って下さい……もしかして胸ですか?」

「それ以外どこがある」

「わーすみませんでした!私から巨乳取ったらただのロリになるんでやめてください!」

「自分でロリ巨乳言うな。ったく…」

「ぎゃー、あはは!」

 

 そんな一幕もあったとか。

 

 

 そんなこんなで制裁を受けたヤマヤと顔を真っ赤にしたチッピーはなんやかんやでレストランカフェnascitaに向かっていた。しかし……。

 

「……?先輩?……これ一体どういう事でしょう?」

 

 nascitaの外壁や窓ガラスにはひびが入り、プスプスと煙を上げている。ドアはひしゃげ、花壇の花は火にあぶられていた……。

 

「……ッ!山田君!すぐに周囲の安全確認を!私は惣万や怪我人を探す!」

「……ハイッ!」

 

そう言い切ると千冬は上着を脱ぎ、ワイシャツ姿になると壊れかけているドアを蹴破り中へと突入した……。

 

 

「惣万!オイ惣万っ!何処にいる!返事をしろぉっ‼」

 

 壊れ、火が揺らめく店内を見渡す。メラメラと照らされた自分の影が怪しく動く。千冬の声は、紅蓮の中に空しく響く。

 

『……コレは驚いた。一年前、ドイツのあの施設で会った以来だな、ブリュンヒルデ。まさかネズミと知り合いだったとは思わなかった』

 

 千冬の耳にノイズ交じりの声が届く。彼女は、ドイツでの出来事を思い出し、その声の主がいるであろう場所へ目を向ける。

 

「貴様は……確か、ローグ?」

 

 蝙蝠の様に天井に逆さまになった漆黒の戦士が目に映る。

 

『惜しいな、私の正式な名称はナイトローグだ。さて、チフユ・オリムラ。ソウマ・イスルギが古くの知り合い伝えで保護した“少女”と“パンドラの箱”を我々ファウストに返してもらおう』

「何……?」

 

 “少女”……その言葉が意図するのはすぐに解った。一年前、ドイツの教え子の目の前で回収されていった同型の少女たちのことだろう。だが、“パンドラの箱”?それには聞き覚えが無かった。

 

「……一つ聞きたい、その為に、惣万の店を――――ここを、火の海にしたのは…お前か?」

『無論だ。このまま炙り出そうと思っていたのだが、思わぬ横やりが入った』

「……そうか」

 

 その瞬間、ナイトローグの視界から千冬が消えた。

 

『何…………、ッ横か』

 

 一瞬ナイトローグは驚いたような声を上げるが、慌てること無く腕で脇から放たれた蹴りを受け止める。

 

「……っち、外したか」

『舌打ちしたいのはこちらだ。まさかゼロコンマ三秒の間に垂直になった壁を駆け上り、瞬間時の蹴りの衝撃が十数トンの相手と戦わなければならないとは……』

 

 二人は軽やかな身のこなしで揺らめく炎で照らされた床に着地すると、そのままにらみ合い……。

 

「はっ!」

『フッ!』

 

 千冬は合気道の様な構えで、ナイトローグはキックボクシングの様なファイティングポーズで互いに拳を、手刀を交えて行く。さながら異種格闘技であるが……普通と違う所は、お互いの一撃を常人が受けたならば首が胴から離れたり、拳が体を貫通して死んでしまう……と言う点か。

 

「……っ、そのパワードスーツ、ハイパーセンサーがついているのか?随分と的確に防御しているな……っ!」

『生憎だが、天災の技術を流用するだけのこの世界の技術者と私は違う……!私にはこの世界の人間全ての追従を許さぬ……神の才能があるのだからなァァァァァァァァ‼』

「ぐっ……!」

 

 ナイトローグの、どこか怒りに任せた蹴りが千冬の腹部にヒットし、彼女は椅子や机を倒しながら床を転がっていく。その隙にナイトローグは右手に黒煙を纏わせ、それが晴れるとバルブの付いたブレードを握っていた。

 

『このトランスチームシステムは改良に改良を重ねていてね……原型となったカイザーシステムならばフルボトルの力を九割程度しか使えなかったのだが、私の手によってフルボトルの恩恵を百パーセント以上受けることができるようになったのだ……フフフッ、キヒヒッ、素晴らしいだろう?』

「……ッ、フル……ボトル?」

 

 そして倒れている千冬に赤錆色と銀色で装飾された容器を見せる。そこにはウサギの様な耳を持った蝙蝠が描かれている。

 

『私が使っているバットフルボトルには蝙蝠の成分が入っている。つまり蝙蝠の特徴、エコロケーションを常時発動させ、音波の反響で相手の居場所を掴めるのだよ……それもチューニングしたトランスチームガンの力で場所を掴むだけならハイパーセンサー以上の感度だ』

 

 シャカシャカとボトルを弄ぶが、興が冷めたように煙の中にボトルを放り込む。

 

『さて、哀れで…みじめで、愚かな女。そんな君には、弟と同じものを受け取ってもらおうか……』

 

 そう言ってナイトローグは剣の安全弁を外してからバルブをひねる。

 

【デビルスチーム……!】

 

 濛々と煙を上げる剣を片手に持ち、倒れた千冬に近づいてくる夜の悪党……。

 

「くッ……!」

 

『さて、貴女はどうなるのかな?では、実験を始めよう…!』

 




???『ふむ、ナイトローグの性能を……強くしすぎたか?まぁ変身者である私が……な?それに原作ヒムローグも初期は強キャラだったがスパークリング頃リストラになったしトントンか』
惣万「いや、何かこっちの蝙蝠、千冬軽くあしらってんだけど……。リストラになるか……?」

※2021/01/05
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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