IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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くーたん『はーいっ、みーんなのアイドルっ!くーたんだよッ!今夜は~、“北国の農家”さんや“モッピー”さん、“黒うさぎ副隊長”さん“水色特ヲタ”さんその他色々な人からのリクエスト曲を歌っちゃいま~す♡まず始めのリクエストは~っ、じゃじゃ~ん!“Be the One”ですっ!ではっ、ミュージックスタートッ!』
北国の農家「おっしゃあ!おい聞けお前ら、くーたんに名前呼ばれたぞ!……あ、何?時差?うるせぇただ八時間違うだけだろうが!」
モッピー「早朝配信で名前を呼ばれるとはな、今日はいい日になりそうだ…」
黒うさぎ副隊長「!…、これは隊長の出立時に思いを伝えよとの後押しでは…?」
水色特ヲタ「……今度はアニソンとかもリクエストしよっかな…」


第二十一話 『因縁のファイト』

 さわやかな朝に相応しい、はじけるようなメロディが部屋に流れる。

 

 

――――Be the One, Be the One All right!

 

――――明日の地球を投げ出せないから

 

――――Be the Light, Be the Light All right!

 

――――強くなれるよ 愛は負けない

 

――――何かを助け救って抱きしめ 心に触れて 届くよ 伝われ

 

――――Be the One, Be the Light

 

――――メッセージ送るよ 響くよ

 

 

「おあよー……ん?箒。お前ネットアイドルになんて興味あったか?」

「あ、一夏。うむ、まぁプレミアム会員ぐらいにはな」

「意外にどっぷりだな……ってか、あれ?クロエじゃん」

「え……?何、知り合い、なのか?」

「あぁ、惣万にぃのとこに顔出したらな……ってどうした箒、顔怖いぞ?」

「まさか一夏。この子どんなにすごいか知らないのか?」

「?」

「この娘、結構なファンがいて日本でのチャンネル登録者数十万人、いやもしかしたら数百万人超えてるんだが……」

「ファッ!?」

 

 そんな会話をしながら食堂へ行く俺と箒。クロエが、大人気ネットアイドル、ねぇ……?あれ(・・)見てそう思えるヤツ何処にいるんだろ……。

 

「で、一夏。何頼む?」

「んー……んじゃ今日の焼き魚定食にするか、鯵の開きだし」

「あ、じゃあ私もそれで」

 

俺達は食券を持っておばちゃんの前に出す。

 

「「鯵の開き定食で」」

 

 ……ん?被った?隣を見ると、後頭部にぴょんと寝癖が付いたトレンチコートの女性が食券を出していた。

 

「あぁっと、ゴメンね!あーっと……君が例の男子、織斑一夏だね?」

「あ、ハイ。そうっすけど。どうぞお先に」

「おぉ、ありがとー!いやぁ、徹夜続きで食事とる暇もないんだよ~。今年先生兼技術者としてここに就職できたはいいけどさぁ」

「あ、先生だったんですか、えぇと……?(先生に見えねぇ…)」

「あぁ、オレは戦兎。因幡野戦兎だ。前まで記憶喪失者兼てぇん↑さい↓科学者をやってた、よろしく」

 

 スナップを効かせ、フレミングの法則の様な手のポーズをとる先生。って記憶喪失?

 

「それじゃ、クラス代表戦、頑張ってね~……そうだな、何かあったらこの場所に来るといいよ。じゃね~」

 

 俺の手に紙切れをのせて足早に立ち去っていく因幡野戦兎先生。……嵐みたいな人だな。

 

「ソレ、何が書いてある?」

「えぇとな……?教師用IS保管場所?」

 

 

 そんな出会いがあった後の授業、何故戦兎先生がこんなものをくれたのか、理由がよく分かった。

 

 

「そうだ、節無……。お前には専用機が用意される。IS適性が『S』であることによってお前がデータ収集の対象に選ばれた。それ相応の覚悟を持って受け取れ」

「ハイ、分かりました。実力の伴わない若輩者ですが、頑張らせていただきます」

 

 節無はニコッとして千冬姉を見るが……俺ら姉弟は違和感を感じた。なんだか、やっぱりこいつは何処か変だ、と…。何でなんだ?説明できない感じがもどかしい。

 

「専用機?一年のこの時期に?」

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことよね?」

「すごいな~私も早く専用機欲しいな~!」

 

 女子連中があいつのことを羨ましいとか言ってきゃあきゃあ騒いでいた、……そんな中。

 

「それを聞きますと、問題は一夏さんですわね。どちらもISに触れてまだ日が浅い……。その上で節無さんが専用機、一夏さんが訓練機と言うのはフェアではありませんね」

 

 脇からオルコットが口を挟んでくる。俺のフォローをしてくれてるようだ。まぁ何があっても負けるつもりは無ぇんだがな。どうしてか、勝たないといけない。いや……これは節無に勝たせたらマズいってことなのか?

 

「と、いうことで。織斑先生、わたくし一夏さんとアリーナで訓練をしたいのですが……使用許可を頂けませんでしょうか」

「……む。構わないが。……あぁ、そういうことか。分かった。ブルー・ティアーズの稼働テストということで出しておこう」

「感謝いたします」

 

 ニヤリ、と笑うオルコットと千冬姉。……何だ、今のアイコンタクト。ちょっと薄ら寒かったんだが……。これがコネってやつか?

 

 

 

「さて、アリーナの使用許可は取りましたが……問題は一夏さんの練習機ですわね。一夏さん、きっかけは何でも良いのです。上級生で顔を合わせた人物はいませんか?」

 

 昼食をとりながらオルコットが聞いてくる。上級生で知り合い?いるわけないよなぁ……今までISの『あ』の字も関係なかった俺が……。ん?

 

「……一夏」

「……あぁ、一人いたな」

 

 こんなことになるんだったら、からかわないでおくんだった……。

 

「どなたですの?」

「「生徒会長」」

「ほへ?」

 

 

 その後、生徒会に顔を出し、昨日のことを平謝りして訓練機のことを聞いてみた。すると生徒会長曰く「既に上級生たちが春休みの間に予約を取り、貸し出せる訓練機はないわよ」ということらしい。(そのほかに千冬姉が怖かったとか仕事が溜まってお外いけないとか妹が可愛いとか云々言われたけど最初以外俺らに関係無いよな……)

 

「あー……んじゃどうするか……」

「うむ……」

「そうですわねー……」

 

 生徒会室からの帰り、ポケットに手を突っ込み三人で思案していると……カサリ、と手に紙が当たる。

 

「……あ、ちょっと行く当てができたわ、コレ」

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、やって来ると思っていたよ。織斑一夏君」

 

 教員用のIS保管庫にやってきた俺達三人は、目の前の女教師の後ろにあるISを見て驚いていた。

 

「えぇっと……因幡野先生?この打鉄……、形状が違いますよね……」

 

 通常の打鉄と異なり、目の前のものは全身装甲に近くなっている。

 

「ん?あぁ、丁度この打鉄、オーバーホール中だったからね……学園長に直談判して改造させてもらった……君用にね」

 

 楽し気に笑う因幡野先生。どことなく第一世代型に形状が近いが……性能は第二世代を超えているという。……凄くね?

 

「君にはちょっと興味が湧いてね~、是非とも君の戦いってやつを見せてもらいたいんだ(……、ま、マスターとの約束もあるけど)使いたいときに勝手に持って行っていいぞ?オレはここに常にいるわけじゃないからさ」

 

 そう言って慌ただし気にSee you!といって去って行った……セキュリティ大丈夫なの?コレ……。

 

 

 

 そして色々ツッコミどころはあったものの……無事一週間が経った……。

 

 

 

 

 

 

No side

 

「……よぉ、遅かったな」

 

 アリーナの上空で鈍色の機体を纏って一夏は従弟を待っていた。どうやら節無の専用機は搬入が遅れていたらしい。銀色の機体が一夏の目の前に近づいてきた。

 

「それが白式、か……」

 

 使い手を抜きにしても、性能も未知数で驚異であり一夏は警戒を怠らない。

 

「僕とこうやって戦うの、初めてだよね。どっちが勝つと思う?」

「少なくとも……負けるつもりはねぇよ」

 

 一夏は心底どうでも良さげに吐き捨てる。

 

「それだよ。一夏。君が僕の前にいるから、『ママ』が……『ママ』がさぁ……」

「なに……?」

「箒は、僕の『ママ』になってくれるかもしれない()だったのに」

 

 試合開始のベルが鳴る。

 

「…………『ママ』、だとか?何言ってんだお前?」

「うるさい……とっとと終わらせる」

「ッ……何!?」

 

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)によって節無は一夏の目の前に移動し、剣を振るう。二度、三度、四度……連続して斬りつける。

 だが――――、一夏にとってそれは児戯にも等しかった。最早戦闘剣術と化したその斬撃を以って、彼はマッハを越えた高速移動を見切り、そして捉え、節無のシールド・エネルギーを削っていく。

 

「クッ、離……れてよッ!」

「あぁそうさせてもらうぜっ!」

 

 節無も必死になってブレードを振るうも……空しく空を切る。これは彼が未熟と言う訳ではない。少なくとも常人と戦えば十回中十回勝利を収められるレベルである。

 

「っ、ぇえい逃げないでよ!」

「オイオイ、言ってること矛盾してんぞ。それに、ヒット&アウェイは戦闘の基本だ、ろッ!」

 

 片手でアサルトライフル『焔備』を連射し、節無に攻撃の隙を与えない一夏。

 

「銃火器!?いつの間にそんなモノ使えたんだ……!」

「あん?いつ俺が銃火器を使えないって思い込んでいた?」

 

 因みにセシリアにISのライフルの扱いを教えてもらったが、それ以前にも惣万によって撃ち方の手解きはされていた。故に彼は原作の一夏よりも銃火器の扱いには慣れているのだ。

 

「んじゃまぁ……さぁ、かかって来いよ。格の違いを見せてやる、ってか?」

 

 

 

 

 

「すごいですね……一夏君。専用機を持つ節無君とあんなに善戦しています」

「そうだろうな、あいつはISを動かした時間は短いが……戦闘訓練においては並みのIS乗りをゆうに凌駕する」

 

 一夏、見せてみろ……お前があの日、私や惣万に誓った、お前の強さを。

 千冬は彼のたった一人の姉として、彼の勝利を確信していた。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、暗がりの中、クラス代表戦を見に行こうと歩くトレンチコートの女性。そこに金属がこすれるガチャガチャという音が聞こえてくる。

 

「……?このアンドロイド、ファウストの!まさか、コウモリ野郎が……!」

 

 因幡野戦兎は学園に異変が起こったのを感じ、顔を険しくし、腰にある機械を巻きつける。

 そして、暗闇の中で、アンドロイドたちと、二色のヒーローが交戦を開始した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、ファウストの魔の手は其れだけには留まらなかった。

 

 

 一夏のことをピットまで送った箒は廊下を小走りに駆け、観客席に急いでいた。

 

『ホウキ・シノノノだな』

 

 突如として、ノイズ交じりの男性とも女性とも判断がつかない声が聞こえる。慌てて振り返るも、誰もいない。

 

「!?……、誰も……!上か!?」

 

 目を向ければ、天井に逆さまにぶら下がる金色の蝙蝠のバイザーをつけたパワードスーツの怪人がいた。

 

『ご明察だ、だが甘い。そして食らえ』

「なっ!?」

 

 音もなく箒の前に着地すると、箒の首を乱暴につかみ、持ち上げ、首筋にブレードを近づける。

 

 呼吸が妨げられる。痛い、苦しい……辛い、嫌だ、また、こんなに、苦しくて、哀しくて、悲しくて、やりきれなくて、ひとりぼっちで、やるせなくて、なんで、私が、どうして、悪いことなんて一つもしてなかったのに、どうして私だけが、こんなに悪意に曝されて――――。

 今戦っているであろう一夏の顔が思い浮かぶ……。

 

「が……は…っ、貴様…――――っ、いち……か……」

 

【デビルスチーム!……フハハハハハ……!】

 

 そして箒が最後に見たのは、悪魔の笑い声が響くデバイスから噴き出した煙だった……。

 

 




 あぁ……ビルドの最終回が近づいてくる……。やだなぁ……。


※2020/12/11
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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