IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N 作:サルミアッキ
戦兎「えー、だってイケメンに名前で呼ばれるのってなんかいいじゃん。女の子の本懐だよ?」
箒「先生貴女って人は!NTRですか!?」
戦兎「いやそんなことないよ?…あれでもなんかいいかもジュルリ。どう~?バストサイズ箒ちゃん以上だよ~?」
箒「もしもし千冬さんこの人叩きのめす許可をください」
一夏「抑えて!抑えてな箒!…あーうん。それとゴメン、戦兎さんにはドキドキしないわ。ひやひやはするけど」
戦兎「ガチトーンやめてよ傷付くから!兎は悲しいと死んじゃうんだよ!?」
一夏「死なない死なない。自然界はもっと厳しいから。死んだ原因は病気か寿命だろ、多分」
箒「お、ネットだと絶食が原因っぽいと書いてある。へぇー、半日で胃腸の活動が低下してしまうと、成程成程…」
一夏「ググるんかい!つーか無視は可哀想だよ!」
戦兎「……(´;ω;`)ブワッ」
箒「……反省しました?」
戦兎「うん、ごめんね…」
一夏「ガチ泣きかよぉ……」
箒「(世話焼きたくなりますね、この人…)はぁ、お詫びに料理でも奢りますよ?」
戦兎「ホント!?ありがとぉぉぉ箒ちゃん大好き‼」
箒「わっぷ」
一夏「……(眼福)」
周りに黒い姿の奇妙な怪人たちが“私”を覗き込んでくる。歯車が付いたもの、コウモリのバイザーが付いたもの。そして、血の様に赤いコブラの男。
『さて、この腕にあるボトルを浄化するバングルだが……こんなISあったかな』
『さぁ~?それに詳しいのはローグじゃない~?とっちゃえ~?』
『分解できないのですか?神の才能(笑)があるのでしょう?』
『ぬぅん?貴様らァ…』
『あ゛ぁ?』
『ど~ど~』
『まぁ良いだろう。一先ず保留なお前ら。いざとなったら……、腕ごと切断して調べりゃいいさ』
そう言ってバルブの付いた剣を振り抜き……。
「…――――ぅあああああっ‼……ァ…、ハァ……ハァ…ハァッ!」
ガタンッ!っとベッドから跳ね起きる。汗でぐっしょりと濡れた額に銀髪がへばりつく。
「大丈夫か?クロエ?」
「あ…――――マスター。ハイ、大丈夫です、ちょっと……夢見が悪くて」
「そうか。無理すんなよ?あー、学園にいる戦兎からスマッシュボトルが届いてるんだが……今日は止しておけ」
「いいえ、私は大丈夫です……やらせてください。戦兎さんの力になりたいんです」
「……そうか、頑張れよ」
そう言ってマスターはくしゃくしゃと頭を撫でてくれる。このレストランカフェのマスター……石動惣万さん。記憶を失った私にクロエ・クロニクルという名前を与えてくれ、ファウストの魔の手からも救ってくれた人……。
私は左手に光る……金色のバングルに触れる。
このバングルはISらしく、その能力は人を怪物『スマッシュ』に変えた物質を安全な物質に変質させるものらしい。マスターの元にやって来たもう一人の人物が戦い、私が清める…。
「……はい、だって……私たちにしかできませんから」
もう、私たちの様な人が生まれない様に……この力を使う。
それを見て、マスターは優しく笑うのだった。
IS学園の休みの日。箒が少し外の空気を吸いたい、と言ったので特別に二日間許可を取って家や惣万にぃのレストランカフェに顔を出すことにしたのだが……。
「さて、出た出たスマッシュ!オレの新・発っ・明っ・品っ!を試す時が来た!」
【タカ!ガトリング!ベストマッチ!】
【Are you ready?】
「変身!」
【天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!】
付き添い兼惣万にぃのレストランカフェに極秘の用事があった戦兎がついてきたのだが、学園を出てすぐに仮面ライダーになって交戦が開始。
「あ、一夏?コレ渡しとく!」
「え?あちょっと?……。ナニコレ?」
俺の方にドリルの付いた剣?を貸してきた。
「……それより、何?このエンカウント率。因幡野先生ってスマッシュホイホイ?」
「アレが、スマッシュ……」
箒が眉をひそめながら、包帯でふさがれていない左目で四角い頭部を持った怪物を見る。
被害を受けた箒も俺達と同じように知る権利がある。戦兎が事情を説明し、ファウストやナイトローグのことを知ることになった。
アレも自分と同じように人体実験や奇妙な煙を受けた人間……いわば被害者。それを見て思う所がない人間では当然無いのだろう。弱々しく俺の手を握って来る。
『カメンライダービルド、ハッケン。ホカ、ミンカンジンニメイ……オソラクハキョウリョクシャ。ハイジョシマス』
「……ってうわぁ!なんかこっち来た!?」
「あ、そいつらは“ガーディアン”って言うらしくてさ、ファウストが所有するアンドロイドだ。舐めてかからない方が良いぞ?」
無機質な声音で俺と箒の近くにやって来たロボット?が俺達に持っていたライフルを向ける。
「一夏!フルボトルを振れ!」
「え?お、おぅ?」
ドラゴンフルボトルを手早く振ると、体から力が沸き立ってくる感覚が生まれる。そして、その勢いで振った手がガーディアンに当たる。すると……。
――――ドォッン!
「えぇ!?」
箒が素っ頓狂な声を上げる。そして引かないでくれ、俺もびっくらこいたけどさ。パンチ一発でロボット壊しちゃったんだから。
「……何だよ、この力!これなら……楽勝!」
そう調子に乗ったのが悪かったのかな……。
――――ザザザッ!
目の前にさらに十数体のガーディアンが勢揃いした。
「……うそーん、増えやがったよ…」
戦兎side
お、あっちなんか騒がしいな?ドリルクラッシャー貸してやってたけど使い方分かんない?
…あ違うわ、何か口走ってフラグ立てたな。
「うわー大変そうだねー、ぷふっ!」
「畜生数の暴力かよ!つーか何で俺まで戦わなきゃいけないんだ?…ハァッ、だらっ!戦兎、ちょ…ッ、おぉい!」
んん?何かほざいてやがる。
「忘れた?一夏、ボトルのアレ!」
「まだ根に持ってんのね!?それに関してはマジでゴメンってば!」
うんうん、宜しい!っとそうそう、スマッシュはっと……。
「グルルルル…」
え?うっそ!?あの四角い頭のスマッシュ、周囲の風景をキューブ状にしてこっちに投げてきた!
「うそーん……。もしかしてあのスマッシュ、空間を切断できるの?ってやばっ!?」
ぬかった!超常現象に目を奪われてスマッシュから目ェ離しちゃった!
「ったく!しょうがねぇ天才科学者先生だなオイ!」
「はぁーっ!?しょうがねぇとか何様ぁ!?オレが追い詰められてんのは視線をお前に移したせいで、つまりはお前のせいだっ!」
「喧嘩は良いからちゃんと戦え二人ともッ!」
「「う、うぃっす…」」
なんか箒ちゃんに頭上がんないんだけど…よし、切り替えよっ!一夏もそうしたみたいだし。む、あいつドラゴンフルボトルを振ってどうした?体を引き絞って…スマッシュにドリルクラッシャーを投げ…、ッ!あぁそういうこと!
「ほら使え!」
「サンキュー!うっひょー二丁拳銃だ!」
ゲット回収大成功!それじゃ、前々から試してみたかった必殺技だ!
「出血大サービス!」
【……セブンティ!エイティ!ナインティ!ワンハンドレッド!フルバレット!】
【Ready go!ボルテックフィニッシュ!イェーイ!】
「……あれ?ちょっと待て、コレ射程圏内……俺も入ってうわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「あ、やべ」
「おぉいィィィィ!?言ったな!?今やらかした的な事言ったなァァァァァァァァ!?」
「い、一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」
一夏side
「あー酷い目に遭った……」
「はは……お疲れさん、はいコーヒー」
「あんがと、惣万にぃ……うん、美味い。にしても……、nascitaの地下がこんなラボラトリに変身してるとはね……」
因幡野先生に連れられて、俺らは昔懐かしいレストランカフェnascitaにやって来た。箒は改修した外見に少し驚いていたが、俺らが驚いたのはカフェがアニメに出てくるような秘密基地と化していた所だった。厨房の業務用冷蔵庫の一部がタッチパネルディスプレイに変化しパスワードを入力すると地下三階の巨大な空間に到着したのだから……。
箒は物珍しさで周囲をきょろきょろ見ながらパネルやフィリップを弄ったりしている。
――――ボーンッ!
鎮座する巨大な装置から爆発音が鳴る。思わず身をすくめた箒は猫みたいだった。ボトル浄化装置と呼ばれていた機械の取り出し口が開き、そこに一本のボトルが見える。そして飛びつくようにボトルをかすめ取る先生。
「おぉ!出来た出来た!コレは……マンガかな?」
そして巨大な浄化槽の様な装置からポテポテ出てくる…――――箒が言うにはネットアイドルのクロエ。
「疲れました、バイト代貰ったら寝ますね……ん?何です、そんな“サンタは本当はいないんだよ”と聞かされた五歳児の様な顔をして」
「…うそぉ」
……あぁ、箒。ドンマイ。
「……もう少し夢を見たかった」
五体投地でorzになっている箒。……なんかかわい(ry。末期だな俺。
(……にしてもこいつホントにネットアイドルなんだよな?アイドルって夢を振りまくのが仕事だろ?ファンの夢ぶっ壊してんだけど。この自堕落なちんちくりん……)
「ぁん?」
ギロッ、と赤い視線を俺に向けてくるクロエ。
――――サッ!
(こっわ!?え、何で今分かったんだ!?千冬姉と同じ人種か!?)
「ねー一夏!マンガとベストマッチなの何かな?やっぱり海賊?一繋がりの財宝?……って反応しないか」
こっちの気持ちも考えず戦兎は戦兎で会話進めてくるし。海賊とマンガのボトルをドライバーに挿し、何の反応もないのを見て落ち込んでやがる。
「おら一夏、なんかないのか?俺的にはスタンド的なフルボトルが良いと思うんだが」
「惣万にぃ…んなのあるのか?えーっと……忍者じゃね?」
「えー、なに?忍ばない忍び的な【ベストマッチ!】当たった!?うそーん……」
ベストマッチの音声が流れると、何も書かれていなかったキャップ部分に「N/C」の文字が刻印される。へぇ、こうなるのか。
「つーか本当にベストマッチって何さ?」
「んー?まぁ理由は分からないけど、フルボトル二つの最も良い相性のことでフルボトルの能力を十二分に発揮できる組み合わせのことかな……。この機能はマスターが入手した壁にある装置の機能をそのままコピーしたモノなんだけどね?」
そう言って壁の緑色の部分を指で指す。
「で、戦兎。ボトルの回収は良いんだが……本来の記憶の方はどう?そっちの方が重要だろ?」
「いやぁ……ま、時々ISの整備を手伝いながらいろんな人と情報交換とかしていて、オレの昔と思しきビルドの活躍とかまとめてくれるし……」
「へぇ……で、昔のこと、何か分かったのか?」
「それについては私が説明する」
片手にタブレットを持ったIS学園の制服の女の子が……って。
「更識簪!?何でここにいるんだよ!?」
「それは知らない方が良いと思う……フフ…」
眼鏡をきらりと光らせて彼女は言う。日本代表候補生ェ……。
「かんちゃ~ん?たっちゃんの真似でカッコつけてるところ悪いけど~。せんぴょんのお部屋でここのマッチ拾っただけだよね~?」
「ちょっと本音!」
また増えた……。
「おいー!?戦兎この子にも正体ばらしたのおいー!?」
「ごめーん!でもこの子いい子なんだよ~!」
頭を抱えて体を反らせる惣万にぃ。戦兎さんは両手を合わせてごめんなさいのポーズ。
「まぁ冷蔵庫の隠し扉空いてたんだけどね~」
のほほんとした口調で爆弾発言を投下する。
「マスター!?」
「俺閉めたよ!?閉め……、閉め…?」
途端に青い顔になる惣万にぃ。
「……ごめん閉めてなかった~!」
「マスタ~!?」
何だこのコメディ……。
「と言うか、業務用冷蔵庫にパスワードを書いた紙が貼ってあるってセキュリティザルすぎ……秘密基地ならもっとちゃんとするべき」
「アッハイ、すいません」
一回り年下のJKにマジレスされてる惣万にぃ。……なんか新鮮だわ。
「で、戦兎さんの過去だけど……」
そして手元のタブレットを操作する更識簪。
「戦兎さんが仮面ライダーとして活動していた時期と、オルコットさんの仮面ライダーの目撃証言が食い違っていた」
「ほぅ?」
「でも戦兎さんはドライバーを石動惣万さん、貴方からもらったと言っていた……。コレはおかしい。…石動惣万さん、貴方はもしかして何か知っているんじゃないですか?…アニメとかじゃ、貴方みたいなのが黒幕だったりするんですが…」
「おいおい、流石にそりゃないだろ。惣万にぃが……」
「俺が……黒幕、ねぇ?」
注目が惣万にぃに集まる。
「……おいおい、こんなイケてる悪役がいるわけないだろ?」
パナマ帽のつばを触れながら面白そうにウインクする惣万にぃ。
「……そうだね、こんな情けない敵だったらすぐ倒せそうだし」
「おい戦兎、そりゃどー言う意味?温厚で通ってる俺も怒るぞ?いや、実際俺結構暗い過去持ってるからね?甘党の万事屋くらいにはかなりアレだと思う!」
「ひょっと、ひふんでネタにひてんひゃん!」
戦兎さんのほっぺをつねりながら口元を引くつかせる惣万にぃ。いひゃいいひゃい‼と言いながらも楽しそうな戦兎さん。千冬姉……、ピンチだぞ。
(はーくしょいっ!?……風邪か?)
「で、何でここに来れたんだよ、更識さんよ?」
「……簪でお願い。お姉ちゃんと紛らわしい」
「あぁ……すまん、んで?」
「仮面ライダーの追っかけ」
「よし帰れ」
「ひーん( ;∀;)」
簪を猫の様に首を吊り下げて外に出そうとする惣万にぃ。面白がってのほほんとした同級生……えーっと、布仏だったか?が『わーい』とか言いながら片側の手にぶら下がる。うん、保父さんだな、アレ。
「まぁそんなに仮面ライダーが好きなら仮面ライダー部でも作れば?顧問オレで!」
「うん、宇宙来たかな?」
「惣万にぃ、どうした?」
「……、早速部活申請書作ってお姉ちゃんの所に持っていく……!」(キラキラ)
そう言って簪とのほほんはまた来ることを戦兎さんと約束して去って行った。確証ないけどこの分じゃ俺の知り合い全員ここに来るんじゃね……?
「戦兎さーん……、またスマッシュ情報が入りました~」
「はーい!んじゃマスターと一夏に箒ちゃん!行ってきます!」ビシッ!(‘’◇’’)ゞ
夕方、またもや出現したスマッシュを追って戦兎さんは慌ただしくレストランカフェから駆け出していった。それを見て、今までの戦兎さんの行動が思い出される。
今、隣で座っている箒のことを無償で救ったこと、ブラッドスタークとの取引で正義の在り方を俺に説いてくれたこと…。あぁ、まさしく戦兎さんは“正しい”を形容した人物だ。でも、その在り方は辛くないのだろうか?
「……なぁ惣万にぃ。何で戦兎さんはあんなに真っ直ぐ善人なんだろうな……記憶も無いのに、何でああも正しくあろうとできるんだ?」
その言葉を聞いた惣万にぃは、少し表情を崩し、悲し気な顔になると、俺達にコーヒーを差し出す。俺と箒はそれを一口口に含む。今まで惣万にぃが淹れたコーヒーでも、苦みがとびきり強かった…。
「……あいつはただ……、不安なんだよ」
首元にかけていたサングラスを手に取り弄ぶ惣万にぃ。
「不安?」
「そう、だから敢えて理想の人間を演じているんじゃないのか?あいつは俺達じゃ計り知れない孤独を抱えている……」
孤独……。前に垣間見た戦兎さんの心の内……。
『……だって普通って……自分が一番薄れることだから。記憶がないオレじゃ……自分が自分で無くなる気がして、怖いんだよ……だからちょっとでも理想の自分でいたいじゃん』
「……」
「戦兎の奴……自分の記憶、取り戻せると良いな」
「……、そうだな、惣万にぃ」
コーヒーを一口、ちびりと啜る。底にたまっていた砂糖が、ほんのりと甘い。
「ただいまー!」
「……、お帰り」
ドアをけたたましく開け、店内に入って来る戦兎さん。惣万にぃが駆け寄り、背中を俺達の方へ向け押す。
「わわ、何々?」
「戦兎さん、お帰りなさい」
「お疲れさん」
「え、何?ホント何?」
「何でもねーよ、な?箒」
「ふふふ……うむ」
「えー、何だよー」
俺達三人は、暖かな気持ちで迎えたのだった……。
浄化したボトルが初めてベストマッチになった時、キャップにベストマッチマークが浮き出る独自設定をつけました。
マスターの『戦兎の記憶が戻る』という願いが叶うと良いね(棒)
※2020/12/12
一部修正
今後の進め方の優先事項
-
瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
-
夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
-
ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
-
全部