IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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簪「…このシステムの、あコレ使える。それに戦兎さんが考えてたこのプランが、…最上さんからもらったデータと合体させればもしかして…」
戦兎「へーい簪ちゃん進んでるー?これ先日言ってた部活創部の書類なんだけどー」
簪「あ、ありがとうございます…。部室が実験棟の用具室って…もうちょっと場所なかったんですか…」
戦兎「えー、別にロッカーとかを四次元空間的に広げれば良くない?若しくは空間を繋げて月面基地を部室にしちゃうとか?」
簪「IS学園にオーパーツ造らないで…」


第三十話 『リーダーとなる姉妹』

「で、これが例のブツです」

 

 山田先生と織斑先生にきらりと輝くクリスタルを手渡す因幡野戦兎。

 

「……そうか。感謝する因幡野先生。山田君、解析を」

「は、はい!」

 

 ビルドとして交戦した未確認のISガーディアン。それから入手した貴重なコアだ。学園の千冬に連絡を取った戦兎は即座に解析にまわすことを提案、千冬もそれと同意見だった。

 

「あ、それと。ファウストのブラッドスタークが『篠ノ之束に気を付けろ』、とか言ってたっけな?…――――何か知ってたりする、織斑先生?」

 

 予想していたのか、千冬は苦々し気に、だがそこまで狼狽えるわけでもなく吐き捨てる。

 

「…、いいや、束とは連絡がつかない。そんなことを言われても分からないな」

 

 ふーん、と興味無さそうに視線を泳がせる戦兎は、トレンチコートの襟を正す。

 

「そう、残念。んじゃ、結果が出たら教えてくれよ?オレも一口噛んでるんだから。じゃ、See you!」

 

 足早に学園の地下施設から立ち去っていく天才科学者。その後ろ姿を見送り、千冬は世界を騒がせる天災の友人のことを考える。

 

 

 

「“篠ノ之束に気を付けろ”、か……。……お前はこの世界で一体何をしようとしているんだ……――――束?」

 

 

 

 

一夏side

 

――――ギャオン!

 

「おりむーおはよ~、それに可愛いロボットさんだね~」

「んお……布仏本音さん……だったか?前も思ったが、そのおりむーってのはあだ名か?織斑は三人だぞ?」

「ん~?そだね~……でもおりむーはおりむーがしっくりくる~」

「あぁ、そうかよ…」

 

 そんな一言で新たな一週間が始まった。あぁ、そう言えば俺にとっては喜ばしい出来事があった。週が明けて、クラスを空けていた俺の幼馴染が戻ってきたのだ。俺はしょっちゅう会っていたが、生徒たちの目の前に出るのは久しぶりだ。

 

 だが、箒の外見を見て、クラスメイトの空気は重くなる……。右目を覆うように包帯が巻かれ、左手の甲は火傷が酷かったせいで包帯を巻いたうえで手袋をはめていた。

 

「……では、今日から篠ノ之さんがクラスに戻ってくることになりました」

「今日から復学することになった、今後ともよろしくお願いする。……見舞いの品を持って来てくれた皆には感謝の言葉もない。本当にありがとう」

 

 しかし、その空気を払拭するように優しく、心配してくれた人たちに気遣いを見せる箒を見て、クラスメイトの中を漂っていた嫌な空気は解されていった……。

 

「こうなってしまったが……、私にはいつも通り接してくれると助かる。…………あ、でも一夏との関係は聞くなよ?お察しください」

 

 その後、箒はクラスメイトの黄色い歓声と千冬姉からのありがたいお説教(物理)を頂いていた。

 

 俺?俺はその時の箒の照れ顔→涙目の顔の流れが可愛かったのでクローズドラゴンの脳内メモリに保存して云々「何馬鹿なことを考えているこの愚弟ッ‼」へぶぁ!?

 

 

 

 放課後になった。廊下は人で埋まり、もう少し時間が経ってから移動する方がよさそうだな……。

 

「うーんうーん……あ、一夏君と箒さん…。…ついでにオルコットさん。ちょっといい……?」

「ん?人混みの中から手が……ってどうした簪さん」

 

 見知った顔が人混みに紛れてぴょこぴょこ覗く。

 

「おぉ、カフェ以来だな?」

「あぁ、昨日仰っていた部活の件ですわね?」

 

 オルコット?昨日言っていたこと、だと?簪さんは俺達に紙切れを堂々と見せてくる。……えーっと何々?

 

「うん、仮面ライダー部の活動許可証を生徒会に出しに行くところなんだけど(フンス)」

「「……え。アレマジだったのか?」」

 

 思わず箒とハモってしまった。……うわマジだ。顧問に戦兎さんの名前が書かれてハンコ押されてら。

 

「……お待ちになってください。確か部活動設立の最低人数は五名だったのでは?わたくし、一夏さん、箒さん、簪さん……足りませんわよ」

「そう、だからあと一人なの。誰か仮面ライダー部に入ってくれそうな人、知らない?最悪同好会スタートになるけど……」

「するのは確定かよ……」

 

 彼女の行動力に頭痛がして来た……。まぁ良いんだけどね、ちょっと楽しそうだし。

 

「……――――すみません、わたくしには心当たりが……おや?お二方は、何か意味ありげな顔をして」

 

 ……そういやいたな。突然仮面ライダーの事件に巻き込まれた知り合いが……。

 

 

「鈴……ちょっと頼みがあんだけど『良いわよ』早いなオイ!?」

「いや、一夏の頼みだし。で、何?トレーニング?それとも酢豚奢れ?」

「違ぇよ……、ちょっとこっち来い」

 

 空き教室に箒とオルコットと共に移動した俺達。

 

「お前さ、休みの日変な人間に襲われただろ」

「……、っそうね……。あっという間の出来事で大して覚えていないけど」

「どうもあいつは俺の周りにいる人間をターゲットにしているらしい……現にこうして襲われちまったからなぁ……」

「ちょっと待って、アンタ何抱えてるの?もしかして第二回モンド・グロッソの時のことと関係あるの?」

「……踏み込みたくないなら話を聞かなくていいが『冗談!バッチ来いよ!』っとに早いな決断!?」

 

――――にょきっ!

 

「んじゃここにサイン……」

「うわっ!?にゅいッと出てこないで‼……ってアンタ確か、更識簪ね?よろしく、アタシは凰鈴音よ。鈴って呼んで欲しいわ」

「……更識簪。簪でお願い」

 

 毎回簪氏の登場の仕方、びっくりするよな……。因みに今回は机の下から出てきた。

 

「で、サインね……って何この名簿!?ISを初めて動かした男子に日本とイギリスの代表候補生に剣術大会日本一!?すんごいネームバリューなんだけど!?」

「「「「いや、アンタが言うな」」」ですわ」

 

 満場一致のツッコミである。

 

「それで…この仮面ライダー部?仮面ライダーってアレ?最近日本で都市伝説になってるバイク乗りのヒーロー…、ッ!もしかしてあのパワードスーツの奴と関係があるの?」

「あぁ、多分あいつは仮面ライダーの……んで俺達の明確な敵だ。ならなるべく敵のことを知っておいた方が良いだろ?」

「……分かったわ。どっちにしろ入るつもりだったしね」

 

 はいサイン、と達筆でしたためる鈴。

 

「さて……じゃ、五人集まったな。部長は……多分簪さんだろ。じゃ、生徒会室に持ってってくれ」

 

 因みにIS学園では部活設立の時、部長となる人物が部活申請書を出すことになっている。

 

「よろしく頼む」

「お願いいたしますわ」

「よろしく~……ってどうしたの、顔色が悪いのと違う?」

 

 ?……確かに鈴が言ったように顔が青白いな……。

 

「……いや、ちょっと仮面ライダー部設立の嬉しさとお姉ちゃんに『役立たずでいてね( ̄▽ ̄)』って言われた事に対するトラウマとのジレンマで反吐もどしそうに……ゥエップ」

 

 口からキラキラしたモノ吐き出した簪氏。

 

「おぉい!?ちょっと待て今すんごいこと暴露しなかったか!?姉妹仲ガバガバじゃねぇか!?取り敢えず保健室行け!?」

「エチケット袋いるか?」

「メーディックッ‼どちらにおりますか!」

「何言ってんのよアンタ……」

「……失礼、昔の癖で」

 

 毎回思うがIS学園の生徒のノリって分からんわ……。

 

「でもちゃんと行かないと……私の素敵なアフタースクールライフフフフフ……」

「脂汗出てますわよ?」

「あぁもうっ‼俺達も一緒に行くぞ!いいな?お前等‼」

 

 

 で、生徒会室。

 

「は~いあら、一夏君に箒ちゃん?それにオルコットさんに鈴ちゃん……、に……」

「……、どどどうももも……、ぶかっ、部活申請書をだだ出しニ来ま死た」

「あ、ぁああははいぃ……」

 

 駄目だこいつら。会長は顔面蒼白で白目剝いてるし簪どんは蕁麻疹でてるし……。

 

「……つかぬことを聞くが、どうしてこうもお互いを嫌っているのだ?」

 

 箒ナイス!

 

「えぇっと……それは……」

 

 言い淀む生徒会長と表情が曇るその妹。

 

「……嫌ってる訳じゃない。私はただ苦手意識があるだけ……」

「何が原因ですの?」

 

 オルコットがさらに切り込み、簪さんの重い口を開かせる。

 

「貴女は無能なままでいなさい、と言われた……」

「「「……、会長」」」

 

 

 

 

「見損ないました」

「先輩最低です」

「あらあらウフフ……」ガチャン

 

 女子三名からの容赦ない罵倒。うん?二人だって?オルコット片手でライフル構えてるから。

 

「待って待って!?ゴメンって!これには訳があるの‼あの時は私もテンパって変なテンションになってて自分でもどうかな?なこと言っちゃったのよぉ‼」

「あー……、取り敢えず生徒会長、詳しい経緯を話してくれません?じゃないとアタシら判断がつきませんので」

 

 

 

 

 

「かくかくしかじか!」

 

 少女説明中……――――。

 

「まるまるうまうま……」

 

 

 

 

 

「………………、つまり妹に負担をかけない様に自分が全てをする、自分が妹を守る……という決意表明がお互いにねじ曲がって今に至る、と……。鈴。お前から一言」

「あんたらバカじゃないの?不器用過ぎるのと違う?」

「「グハァ!?」」

 

 血反吐を吐く二人。だがお二人さん、アンタらのソレケチャップだろ……。

 

「原材料100%にこだわってるわよ!」

「うるせぇ知るか……んじゃ俺らはこの辺でお暇します」

「えぇっ!?この状態で帰るの!?助けてくれないの!?」

 

 姉は情けない声を上げ、妹の方は顔文字の((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル←みたいなことになってる。

 

「……もうダイジョブでしょ?第三者が介入して話を整理してお互いの真意を知れたんですし」

「仲直りしろ、だなんて言いませんが。数年の確執にひとまずのピリオドをうつのがよろしいかと」

「……不器用でも良い姉がいるんだ、大切にしろよ。簪」

 

 三人の温かい言葉を聞いて、更識姉妹は互いの事を恥ずかしそうに見つめ合う……。ん、何だお前等?俺も何か言えってか?

 

――――こくこく

 

「あー……、俺も姉がいるけどさ。生徒会長は千冬姉と似てるよ。自分の事をほっぽリ出して、頑張って頑張って……それで時に空回りしちゃうタチなんだろ」

 

 そう……下にいる俺達に完璧であろうとし続けたところなんてそのまんま……。

 

「あぁ付け足すなら、千冬姉は外っ面は良いけど料理に掃除に洗濯に……ダメダメな部分は滅茶苦茶あるしな。完璧である必要はないんだと思う。だからそれをさりげなくフォローしてやるのが妹、弟の役目なんじゃねーかな?」

 

 

 

「ほぅ、人生経験が未熟な割に良いことを言うな、織斑…………――――誰が私生活がだらしないって?」

 

 

 

 んっ?何か俺を見る生徒会室の面々の顔が真っ青に……。いや違う。何で俺の後ろを見て……。

 

――――ガラリ

 

 

 

 

「んぇ、ぎぉ、ぐぶ……あ゛ぁァァァァァァぁぁぁぁぁッ!?」

「「「「「……――――ご愁傷様です……」」」」」

「オイ小娘共、何無関係な顔をしている……」

「「「「「え?」」」」」

 

 

 その日の夕方、生徒会室から絹を裂くようなこの世の終わりの様な悲鳴が響いた……。それは後にIS学園七不思議に数えられることになるとかならないとか。

 




 なんか……、チッピーに続きたっちゃん、かんちゃんまでネタキャラと化してきた様な……。そして……、またチッピーオチ……。

※2020/12/13
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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