IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N 作:サルミアッキ
一夏「束さん、随分目付き悪くなったなァ……昔も隈だらけで大概だったけど。顔が良いだけに勿体ねぇ…」
箒「…でも何か、雰囲気変わりました?」
束?「さてさて。余計なことを言ってしまっては今後の進行の妨げになる。よって今はまだ語るべきではないな」
箒「…とりあえずアーパーではなさそうですね。ようやく中二病が治まりましたか?話が通じそうで何よりです」
一夏「箒お前、意外に辛辣だなヲイ…」
戦兎「え、篠ノ之束って中二病だったの?」
束?「それには私も興味がある。お前から見た姉のことについて少し詳しく…」
箒「ぶっちゃけファッションセンスもネーミングセンスも笑いのセンスもアレでしたね…。何だろう、そこはかとなく漂う自分凄いよって…」
一夏「はいこの話題しゅーりょーっっっ‼何か箒の触れてはいけないスイッチ入ったッぽい‼」
凄まじい剣戟が繰り広げられる。
既に二十分は続いているだろうか、無人の廊下にて金属が弾かれ、ぶつかり合う音が鳴り響く。
さながら狂騒曲を奏でるが如く振るわれる二人の得物。二人の動きは踊りの様に無駄がない。
「……しッ!」
『おぉっと、オタク、本気だな?勘弁しろよ……な!』
上空から振り下ろされる千冬の剣をブレードで受け止めながら、スタークは体を反らして彼女の股下を通り抜け避ける。
「……ブランクがあるにもかかわらず、私の攻撃を紙一重で躱す貴様に言われたくない」
『ブランクゥ?お前さんにとっちゃないようなもんだろ?』
シャキン、と涼やかな音が鳴った。世界最強はブレードを腰に戻すと、体勢を低く、クラウチングスタートの様な姿勢になる。だが、それも一瞬。
――――ぶわッ
その直後、空気が揺れる。スタークの背後にて戦乙女が剣を鋭く閃かせる。
『うおっとぉッ!?』
とっさに腕でガードしたが、居合切りの要領で振るわれたブレードはトランスチームシステムの防御力を貫通する。
スタークの腕から火花が上がった。思わず彼は溜息をもらす。さすがの彼とは言え、世界最強の力には舌を巻くしかない。
『あーいって……。はぁ……この場で使いたくはなかったんだが……しょうがねぇな』
「何?」
するとブラッドスタークの身体が下から上へワインレッドの炎で覆われ、顔と胸のコブラのクリアパーツが青緑色に輝きだす。
『フェーズ……0.3ってとこか。ドライバー無しじゃ自壊しかねん、とっとと終わらせる』
「……ッ!?」
千冬は両手に持ったブレードを構え、防御姿勢をとるも……。
「ガハァッ!ぐっ!?……ぁっ‼」
『グッ……はッ!やッ!でやぁッ‼』
鋭い痛覚の爆発が千冬の脳裏を焼く。思わず呼吸が乱れ、口から空気が漏れた。
それだけでは終わらない。狭い廊下を縦横無尽に高速移動し、ブリュンヒルデに攻撃を加えていくスターク。
人類最強と言われた人間を一方的に攻めている。攻撃を受けながら千冬は思った。コレはまるで、人間の領域を超えたスピードのようではないか…と。
『……――――っスリー、ツー……ワン、タイムアウトってか…!』
スタークがダルそうに壁に寄りかかり、突然攻撃をやめた。
『あー、しんどい……』
「!」
その隙に、屋上に転がるように退避する織斑千冬。後方に宙返り、態勢を立て直すと、そこからアリーナ内の様子が視界に入って来る。
アリーナのスクリーンには同僚たちの驚愕の様子が映っていた。スタークが近づいているにもかかわらず、千冬には何処か引っかかった。何か、『懐かしいもの』が視界を横切って行った。
それが気になり、思わず視線を向ける。するとそこには……――――。
スーツ姿でウサギ耳カチューシャをつけていないが、『彼女』を見間違うことは無い。
紫色の長い髪。死んだ魚の様な乾いた目……。腐れ縁となった幼い頃からの親友の一人……。
「何…?束、だと……――――!」
『あー、やっぱりそう思うか?』
「スターク……これはどういう事だ!?」
屋上のドアにもたれかかるスターク。未だ混乱の坩堝にいる千冬は敵であるにもかかわらず、スタークに説明を求めていた。
『まぁ、ネタバラシをすれば、“彼女”はお前の親友でなかった……とだけ言っておこうか、ね!』
「っしまった!」
スタークは残像を生みながら接近し、千冬の腹部に手を当てる。一瞬で懐に潜り込まれた嫌悪感と、悪寒が彼女の脊髄を冷たくさせた。
掌底にワインレッドのエネルギーを発生させた彼は、慣性を操ることで彼女をその場から吹き飛ばす。
『ハァッ!』
スタークの裂帛の掛け声と共に、激しい轟音が轟く。音の発生源には、壁に大の字に磔にされた、世界最強の姿があった。
後頭部で束ねた長髪が解け、壁に激突し粉々になったコンクリートと共に崩れ落ちる千冬。
「ぐ、ぬ…!」
だが、即死しなかったのは彼女の肉体の強靭さが為せる技か。即座に口元を拭い立ち上がる。
『わりぃな…………んじゃ、俺は本来の目的地に行かせてもらおう。確か、学園の地下の……、特別区画エリア4だったか?』
血と共に肺の空気を吐き出す千冬は、頭から垂れる血が目の中に入るのにもかかわらずファウストの強襲の目的を察する。
「まさか……パンドラボックスか!?解析もまだ終わていないというのに……」
このままファウストの手に渡るのはまずいと千冬の勘が警鐘を鳴らす。だが、それでも千冬の身体は万全の状態とは言い難い、刀を構えるのがやっとだった。
『ん?そうなのか…――――そうかぁ……、まだなのか』
しかし、その言葉にスタークは残念さを感じさせる声音で呟いた。まるで、計画のずれを嘆くプロジェクトマネージャーのように。
『……予定外だ。ナイトローグの奴、もうとっくに解析は終わってるだろうとか言うもんだからさぁ』
目に見えて落ち込むブラッドスタークは、どうしたもんかね……と言うように空を仰ぐと、ちらりとアリーナを眺める。
『そうだ。良いコト思いついた』
「またしても…!逃がすものか!」
トランスチームガンを構えたのを見て千冬も臨戦態勢に入るも、スタークは怯えるなと暢気なジェスチャーする。
『逃がしてよ。それじゃ、追って来な世界最強?アリーナで会おうぜ、Ciao♪』
霧に紛れてその場から消えたスターク。千冬はブレードを投げつけるも、最早遅かった。
「……くそ!またか‼……――――っ取り敢えず今は、アリーナに……!」
痛む体に鞭打ち、額や口から血をぽたぽた垂らしながら……ブリュンヒルデは重い歩をアリーナに向かわせるのだった。
一方のアリーナ……。
「篠ノ之……束……――――!?」
因幡野戦兎がその言葉を発した瞬間、目に見えて機嫌が悪くなるナイトローグの変身者。
「篠ノ之束……あぁ、勘違いするのも当然か……。確かにこの個体の塩基配列、遺伝子情報はそっくりそのまま篠ノ之束だが……生憎だったな。私には篠ノ之束として活動した記憶は無い」
篠ノ之束とは似ても似つかぬ理知的な口調と鋭い目つきで因幡野戦兎の言葉を訂正するナイトローグの変身者。
「何……?」
「私は宇佐美。
白衣を整え、眉間をおさえる“宇佐美”と名乗った女性。そして、ポンと手を叩くと次のように続ける。
「あぁ、スマッシュを知らない人間がここには幾らかいるな。それに世界に知らしめる良い機会だ。では……質量ホログラムではあるがお見せしよう」
そして、片手に取り出したタブレット端末を操作する宇佐美。幾らかのボタンを操作し、画面に映ったエンターキーをタッチする。
すると突然、各国の要人が座る観客席から悲鳴が響いてきた。戦兎が見てみれば、全身が金属光沢を放つ鈍色のストロングスマッシュ、フライングスマッシュが観客席に出現している。
「な…!」
「あれはスマッシュの強化体でな、スマッシュハザードという。新たな被験体の改造過程で出来た、プロトタイプだ」
タブレット端末をタッチペンで操作し攻撃コマンドを選択すると、宇佐美はSTRATと表示されたアイコンに触れんとする。
「では、実験を始めようか……人間ごときがスマッシュ試作強化体に勝てるかどうかの実験をね」
「お、前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ‼」
『させっかァァァァ‼』
だが、悪巧みには当然正義のヒーローの邪魔が入る。超人クラスの跳び蹴りで、鋼色の体が後方へと倒れ込んだ。
「何!」
「!……あのバカ、ナイスタイミング!」
要人エリアに突入した男子生徒、織斑一夏にサムズアップを送る天才科学者因幡野戦兎。
『オイ戦兎さん聞こえてんぞ!バカじゃねーよ筋肉付けろよ筋肉!っと……確かポケットに……』
避難誘導のため、一夏は代わりに貸してもらったライオンフルボトルを振り、身体能力を向上させる。
――――ドガァァン‼
『『『うわぁっ!?』』』
『っち!ドラゴンフルボトルに比べて力が足りねぇ……、一発で決まらなかった!イチ、ニー、サン!っやっとか‼オラァ‼』
要人の視線など何のその。彼は激しいラッシュを繰り広げる。三発目のパンチでストロングスマッシュハザードのホログラムは爆散し、現実世界から消え去った。
だが、まだスマッシュハザードは残っている。彼はもう一度ライオンフルボトルを小刻みに振り、力を高める。
『オーバーヘッドキッーーークッ‼なんてなぁ‼』
後ろも見ずに飛び上がり、後方宙返りをしながら接近してきたスマッシュにライオン顔の形をしたエネルギーを叩き込む。軽口を叩けるところを見るとまだまだ余裕綽々、途轍もない身体能力である。
その攻撃によって致命的なダメージを負ったらしい。フライングスマッシュハザードもノイズを走らせながら消えてしまった。
『うしっ!勝利!どーよ、俺の大・胸・筋!んじゃ、そっち行くわ!』
「…いやいやいや!?強くなりすぎじゃない一夏!?」
「……、スタークのお陰だろうな。組手でもしたか?ハザードレベル……、3.1か」
一人の科学者はびっくらこき、もう一人は冷静に分析し、特殊なレンズで一夏のハザードレベルを計測していた。これにはIS学園生徒たちもあきれ顔。
「さすが、織斑先生の弟さんですわね…」
「毒されつつあるわねセシリアも…、って!」
その時だった。鈴には、アリーナに息を切らせながら一人の女生徒が入ってくるのが見えていた。
「ちょ…っ、アンタも何で来たの!」
「ッ…!すまん、でも…!」
今がどれだけ危険なのかは分かっていた。今自分がすることはどれだけ我儘なのか、理解していないはずがなかった。だが、一人の大和撫子が己の信条を曲げてでも言いたいことがあった。
宇佐美幻と名乗った怪人の前に、包帯を付け傷つけられた少女が気丈に立ち向かい合っていた。
「…――――お前は。確か…あぁ、イチカ・オリムラの為のモルモットか」
「はぁ……はぁ……、はぁ…。貴女に聞きたいことがあります」
包帯に包まれた片手で宇佐美を指さす篠ノ之箒。
「……なんだ」
「貴女はさっき篠ノ之束として活動した記憶はない、と言っていました……ですが、記憶がないだけで、私の姉さんなのではないですか?」
「……――――だとしたら?」
宇佐美は考え込んだように一拍開けて返答すると、箒は肩の力を抜き少しばかり微笑む。
「貴女には…――――言っておきたいことがあったんです。姉さん………――――今の貴女であっても、昔の貴女であっても……――――」
――――私は………………貴女を許さない
誰かが息を吞む音が聞こえた。
その時の篠ノ之箒の表情は筆舌に尽くしがたい。クラスメイトに見せる時の様な、穏やかで優しい大和撫子の美しさは欠片もなかった。
親の仇を見つけた様な、哀しみと憎しみ……そして並々ならない怒りを宿した、そんな顔。
恐怖、憤怒、憎悪。厭悪、絶望、殺意。失望、破壊。様々な負の感情を濃縮した苦しみに耐え、全てを濯いで心穏やかに努めたが、それでも残り続けた純黒の感情だった。
「……フハッ、篠ノ之束は随分と嫌われているようだな?実の妹にも絶縁をきっぱりと言い放たれるとは!いや、実に面白いよ、篠ノ之束と言うバカは!」
しかしそんな激情を叩きつけられても宇佐美は気にも留めない。むしろ興味深そうに人間関係を分析し、左の手首の回転を利用してバットフルボトルの成分を活性化させ、トランスチームガンを構え、装填する。
【Bat…!】
「もし、私に篠ノ之束の影を見たいのならばやめておけ。私は彼女のガワを被ったただの狂人だ。善人としての心など、燃え盛る“あの日”の炎によって既に蒸発している。故にこう言おう」
彼女の口元に、三日月が浮かぶ。
「蒸血……」
その言葉を呟いた後、彼女はトランスチームガンを振り抜いた。
【Mist match…!】
電子音声が鳴ると、黒煙が宇佐美の身体を覆い尽くす。
【Bat…B-Bat…Fire…!】
花火が撃ち上がる音と共に、漆黒の怪人が姿を現した。彼女の名は『ナイトローグ』。夜に潜み、科学という魔術を振るうもの。悪魔メフィストフェレスに魂を預けた、真理を導かんとする者らの長。
ナイトローグは手を舞台俳優の様に肩まで持ち上げ、箒や戦兎、倒れている代表候補生たちやバーサーカーⅣの搭乗者に向かって歩み寄る。
『花火の様に散るが良い……!』
「とりあえず今は、……オレが戦わないと……グゥ!?」
突然戦兎の身体に激痛が走る。痛みに耐え切れず、地面に倒れ込み、ビルドドライバーをカシャンと取り落とした。
「う……うぐ……!」
『どうやら、キードラゴンフォームでかなりのダメージを重ねていたらしいな。そして先のラビットタンクフォームでの一撃が文字通り“渾身の一撃”となった訳だ』
スチーブレードを構え、一歩一歩ゆっくりと近づいてくるナイトローグ。
「何も…――――出来ないのですか?」
「因幡野先生……うぅ……!」
「…ッ因幡野先生!早く逃げて……!」
「クソックソッ!動きなさいよアタシの脚…ッ‼」
悔し気に這いつくばりながらナイトローグを見つめることしか出来ない代表候補生たち。
『フフ……うん?』
その時。青い炎が巻き熾る。
「……――――。待てよ、偽・束さん、忘れてねぇか」
走って来たのか、その人物は息を整えると、因幡野戦兎が倒れた場所とナイトローグの間に立った。
「……、なあ戦兎さん、一つ答えてくれねぇか?」
「!…――――、一夏……?」
汗を拭いながら織斑一夏はしっかりとした歩調で戦兎の前まで進む。そして彼女の目の前で屈みこむと、前々から気になっていた疑問をぶつけていた。
「何でだよ?誰かに頼まれたわけでもねぇのに、誰に感謝されるワケでもねぇのに……。何でそんなボロボロになるまで戦えるんだよ?」
呆れた様な……だが憧憬の入り混じったこそばゆい視線が戦兎に突き刺さる。逆に純粋な、真っ直ぐな目で彼を見返す戦兎。
「言ったろ……見返りも……称賛もいらない……。オレはただラブ&ピースの為に、戦うって……」
一夏はそれを聞き、一瞬キョトン、と顔から表情が零れ落ちる。その後彼は、はぁ……と呆れたようにため息を吐く。
すると、どこからともなく機械音声が鳴り響いてきた。それは、英雄の誕生を祝福するような讃美歌にも聞こえる。
「……っクローズドラゴン!?何で……っまだ変身プログラムは未完成のはずなのに……!」
「頼む。ちょっと力貸してくれ……」
――――ギャオン!
クローズドラゴンは“任せろ”とでも言うかの様に一声鳴くと、ガジェット形態に変形した。
「戦兎さん。俺のことを馬鹿バカ言ってるが……。アンタこそ馬鹿だろ」
「何……だって……――――あいたっ!?」
一夏は飄々とした口調を崩さない。今までの御返しだと言うように罵倒しながら、スタスタと戦兎に近寄り、デコピンを一発。
彼女が悶えている間に、近くに転がっていた青いボトルをその手に納める。
「痛すぎんだよ、いい歳こいて……ヒーローショーでもそんなこと言わねーぞ?」
彼は心底馬鹿にした口調で戦兎のトレンチコートの土埃を払ってやる。
「惣万にぃも昔言ってたっけな……、確か“正義の味方に憧れることができるのは子供だけ、大人は大事なもんがすり減って、言い出すことができなくなって辛くなる”とかなんとか…」
ボロボロになりながら、称賛も何も貰わずに戦い抜いてきた先輩の仮面ライダーを労わるように、最後に頭をクシャッと掻きまわす。彼女に、よく頑張ったなと言うように。
「だから……、しょうがねぇから、俺も一緒になってやるよ」
地面に転がっていたビルドドライバーを空いた手に持つ一夏。そしてガジェットになったクローズドラゴンにドラゴンフルボトルを装填する。
「……っ力を手に入れるってのは、それ相応の覚悟が必要なんだよ……!半端な覚悟でなろうなんて思うな……、一夏!」
戦おうとする一夏に戦兎は慌てて声をかける。彼までも辛く、険しい道を歩む必要はない。そう思ったうえでの制止だった。
「覚悟……ねぇ?」
ベルトにクローズドラゴンをセットし、天を仰ぐように逡巡するも……――――彼には、一夏にはその答えは決まっていた。
表情を引き締めると、ドライバーのレバーを回転させ、スナップライドビルダーを展開させる。
ドライバーからのその言葉に、一夏は万感の思いを乗せてこう叫ぶ。
すると、一夏の前後に展開された青い装甲が合体した。
しかしそれだけでは終わらない。ビルドでは存在しなかった龍のパーツが背後に合わさり、広げていた翼を彼の肩に纏わせるように閉じ、頭部には龍の顔を模した冠が被さった。
蒼炎が蒼穹を舞う。白い浮雲にまで届けんと、その雄姿は青龍となって産声を叫ぶ。
「背負う覚悟?孤独でも戦い抜く覚悟…?そんなモンな……、とうに出来てんだよ!もうあの時みてぇに、誰も泣かせたくねぇんだよ…‼」
ボトルの力を用いて戦うもう一人の青い戦士。彼がナイトローグの前に立ち塞がる。
「……あのバカ……、やりやがった……!」
「……――――一夏……」
箒は毒気が抜かれた表情になり、戦兎は身体の痛みを我慢しながらも声を絞り出す。
「……一夏。……お前まで背負うことは無かったのに、……だけど」
苦々し気な顔から一転、引き攣り気味だが『クシャッ』っとなった表情になる。
「
ナイトローグと向かい合う青い戦士。
「戦兎さんも……この学校の連中も皆バカばっかだ!」
その言葉と共にIS学園にやってきてから出来た友人たちの顔を思い浮かべる。
貧乏くさい、放浪の旅人の様なイギリス貴族。
元気印だが、黒くがめつい部分を持つ中華娘。
物静かだが、ヒーロー大好き人間だった日本代表候補生。
そこはかとなく残念さがにじみ出る生徒会長。
そして、もう一度再会することができた自分にとって一番大切な幼馴染……。
「……けど、悪くねぇ!俺も、バカだったしな!」
後ろを見る。彼女らが…――――。箒が……――――。そして因幡野戦兎が見ている。彼のことを、信じてくれている。
「俺は…、俺のために戦う!俺が信じた……俺を信じてくれた者の為に戦う‼」
一夏は叫ぶ、彼の……仮面ライダーとしての名を!
ナイトローグの本名、発表!いやぁ……ウサミミカチューシャ→宇佐美、アリス・イン・ワンダーランド→幻想→幻って適当過ぎましたかね……。(二人のローグ、内海成彰と氷室幻徳の名前もイメージしました)
そして、一夏君待望の変身です!駆け足気味でしたが……万丈より焦り等がなくすんなりと変身させられました。
※2020/12/15
一部修正
今後の進め方の優先事項
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瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
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夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
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ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
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全部