IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

45 / 97
一夏「何だったんだ、あの金髪モッズコート…――――アイドルの追っかけついでにスマッシュ撃退するような非常識人間とか、嫌な予感しかしねぇんだけど」
クロエ「大丈夫、大丈夫です。そのくらいやってしまいますよドルヲタってやつは。そもそも非常識じゃないとやってられませんよヲタクは。お金だって時間だって無限にあるかのように湯水のようにじゃぶじゃぶ使ってくれますからふふふふふ…――――」
一夏「クロエが黒ぇ!これ大丈夫か?ファン減らない?」
箒「あぁいうのも戦略として必要だぞ?むしろ腹黒アイドルとかはメジャーなジャンルかも知れんな。声優然り俳優然り、腹黒とつけば意外に闇が深くて『あれ?この人のキャラといい話といい面白いんじゃね?』と興味が引かれる人間が一定数いるしな」
一夏「なんつー邪推してんだァ!お前はプロデューサーか‼」
箒「ついでに言えばクロエはトーク力も秀でている。くーたんラジオのファンからは『おしゃべりクソメスガキ』の異名を持っていてな、いやー私も柄にもなく笑ってしまった…」
一夏「それ罵倒じゃねぇの?え、大丈夫なんだよね?ホントに!」
箒「前回の放送のイタリアIS代表とのやり取りは捧腹絶倒ものだったぞ。いやぁ、流石今や世界を股にかけるインフルエンサーだな…」
一夏「どことコラボしてんだ!?人気が海外まで!?」


第三十七話 『黒ウサとクロウ三羽がやって来る』

一夏side

 

 休日明けのIS学園は何時にも増して騒がしかった。ファウストの宣戦布告によって続々と各国からIS操縦者が編入してくる運びとなった。

 千冬姉は病み上がりで顔に絆創膏が残るもののあっちこっちへてんてこ舞い。山田先生は千冬姉に後をひいこら言いながら追いかける……そんな光景が何回も見られた。

 

 さらに学園の生徒全員に、一番ファウストの事に詳しいであろう戦兎さんがスマッシュ、ナイトローグ、ブラッドスタークとかの講義を行っていた。どうやら注意喚起の意味合いが強いらしい。だが、戦兎さんが嬉々として自分の活躍を資料映像として毎時間見せてくるには若干ウザかった……。

 

 そう言えば台湾から代表候補生として鈴の従妹が来るか否かとかいう話もあったな……。でも、それに鈴は難色を示していた。なんやかんやで入学を取り消すよう説得し、先方も渋々ながら受け入れたらしい。そりゃそうだ……この時点でIS学園にやって来る連中は兵士としての訓練を受ける意味合いが強くなっている。それを年上の親戚として黙って見過ごせるものか。

 

「ハァ……近頃物騒だなオイ。それで、今日うちのクラスにも新しく編入してくる奴がいるんだっけ?」

「あぁ、如何やらドイツ軍所属の人間らしい……」

 

 俺の席の近くにたむろする箒とオルコット。俺は片手にフルボトルを持ってキャップを開けたり閉じたりする。

 

「ドイツ……ねぇ?」

 

 モンド・グロッソの時の千冬姉繋がりか?……どうも嫌な予感しかしねぇ。

 

「……時間ですのでわたくしはこれにて。あぁ、前に言っていたお昼ご一緒する件ですが……わたくしはキャンセルで。正体不明機に乗っていた蘭さんのお見舞いに行く予定ですので」

「おう、鈴にもそう言っとく」

 

 その正体不明機に乗っていた少女のことを思い出す。『五反田蘭』。俺や鈴の共通の友人である五反田弾の妹である。弾に似て元気で快活な子だったが、似た者同士の鈴と特に仲が良く、姉妹のように気が合っていた。中学時代は数馬と彼女を加えたメンバーで遊びに行くことが多かったが…――――。

 ファウストに対する怒りがこみ上げ、思わず顔が曇ってしまった。それを見たのか、オルコットは知ってか知らずか話題を変えた。

 

「徐々に彼女も回復に向かってきております。心配せずとも大丈夫ですわ。……それに、何より一夏さんたちと一緒に食事をとると口の中が甘ったるくなるのです」

「え?あ、あぁ……そりゃすまん?」

 

 箒との弁当の交換とかも大概にしろってことなのか?…――――まぁ良いか。その時、教室のスライドドアが開く。

 

「お前たち、席に着け。これよりホームルームを始める」

 

 額に絆創膏を貼り付けたお姉様がやって来た。……そういや千冬姉にあげた絆創膏、惣万にぃから貰ったクマさんプリントのかわいい奴だったんだけど大丈夫だったのかな。

 気が付いて……――――、気が、気…が付いて無いなウチのお姉サマー。山田先生必死に笑いこらえてるし、後ろにチョコチョコついてくる銀髪の編入生は微妙な顔してるし、箒はブハッ……って噴き出しちゃったし。

 

「……?…その前に、挨拶をしろ『ラウラ』」

「……ッはい、教官」

 

 一回咳払いして千冬姉の額から目を背け、キリッ、っと顔を引き締める銀髪。……何か子供が背伸びしてるみたいで微笑ましいな。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 ……うん、完結?

 

「……えぇと、それだけですか?」

「以上だ……、ッ!」

 

 おぉっと、マジでそれだけかよ。思わずボトル落っことしちゃったわ。えぇッと、机の下の……アレ、どこ行った?

 

「貴様は!」

 

 ん?誰か絡まれてるな?何?登校中パン咥えて曲がり角で運命の人とごっつんこした?それよりボトルボトル、箒のボトル……あ、あったあった!

 

――――すかっ……!

 

「……!?……ッ私は認めんぞ、貴様が教官の弟などと……!」

「……――――ん?」

 

 ボトルを手に取り顔を上げるとプリプリしながら自分の席に歩いていく銀髪ちゃん。あんな不機嫌そうな顔をしてどうしたんだ?……ッは!殺気!?

 

―――――バッカ(モォォ)ン‼

 

「あいたァ⁉な、何で今殴られたの俺!?」

「……しいて言えばシリアスムードだったのをぶち壊したからか?ところで織斑(夏)、さっきから私の顔を見て山田先生や小娘共が笑いをこらえているのだが、何か知らんか?」

「あーそりゃアレだ。絆創膏。可愛いクマさん柄だから」

「……?ッ!?……!」

 

 思わず袖口からISブレード『葵』を取り出し刃の部分で絆創膏を確認する我が姉。…――――女子力(物理)、お前お呼びじゃないんだけど。女性らしく手鏡出してくれませんかねぇ。嫁の貰い手がマジで心配だよ。

 

「ソレ惣万にぃから貰ったやつでさ……ってあっぶ!?あっぶねぇ!?何でもいいから絆創膏くれって言ったの千冬姉じゃねぇか!?」

 

 真一文字に『葵』を振る千冬姉。顔がトマトみたいに真っ赤になって若干エロ可愛……ゲフンゲフン。

 

「それが何故クマさんなんだ!?無地とか他にあっただろう‼」

「意外に喜ぶぞって言ったんだよ惣万にぃががっががががっがが!?割れる、食われる、砕け散るぅぅぅぅ!?」

「そぉまァァァァあぁァァぁァぁァあぁぁああぁあぁァァァぁあぁッ‼あいつかァァァァあぁぁあァァあぁぁあ‼」

 

 やっべフルボトル振って身体能力底上げしたのに捕まった!アイアンクローが俺の顔に痛だだだだだ!?

 

「ッえぇいお前たち!一時間目は第二グラウンドで合同実習訓練だ!さっさと教室移動しろぉ!そしてそんな目で私を見るんじゃない!オイ!山田君、その生暖かい目を止めろ!やめろぉ!私をそんな可愛いものを見る目で見るなぁぁぁぁぁぁ……‼うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……――――‼」

 

 そう言って千冬姉は俺を掴んだままギャグマンガのように土煙を上げて教室から出ていったのだった……。

 

 

 そして一限、青空の下一組二組が集まった。目の前にはクマさん絆創膏が可愛らしいジャージの教師……。ほんのり頬に赤みがさしている。

 それを見て一組の生徒たち(副任含む)は温かい目でチッピー(笑)を見る。

 

「……織斑先生、可愛らしかったですわね」

「そうですね~」

「「「うんうん……チッピーはかわええなぁ……」」」

 

――――ほっこり、ほんわか……

 

「?何その目線?」

 

 そして何があったか理解していない鈴や二組の皆さん。

 

「………――――本来は山田先生と専用機持ち二人を戦わせる予定だったが気が変わった。私が三人まとめて直々に相手をしよう。特に山田先生、確か因幡野先生がラファールを改修したのだったな。試運転には丁度良いだろう」

「「「………………ふぁっ!?」」」

 

 頭に青筋を浮かべ、薄ら暗い笑みを湛えながらジャージを脱ぎ、下に着ていたISスーツ一丁になる世界最強……。あ、\(^o^)/オワタ。

 

「何安心しろ、打鉄でブレード一本だけしか使わない。ほら、一対三だぞ。サァカカッテコイハハハハハー」

 

 殺意の波動が溢れてる…。指名されなかった生徒でも青ざめぞっとするのだから、指名されてしまった三人の心境はどうなんだろうな。

 

「せ、センパァァイ!?」

「目、目がマジですわ!?」

「ちょっとセシリアなにしてくれちゃってんの!?馬鹿なの、いやそうなの馬鹿なの!?どーしてアタシがこんな理不尽な目に遭わなきゃなのよ!?」

 

 そして最も可哀想なのが鈴。事情も知らないのにとばっちりで怒り心頭な姉(世界最強)と戦わなきゃいけなくなったその心境や如何に。

 

 

 

 俺?俺はホラ、持ってるのISじゃねぇし……。だからISスーツじゃなく制服のままだ。

 

「一夏、何呑気な顔してんの、この場で正式に仮面ライダーのお披露目でしょ?Are you ready?」

 

 そして俺の傍でソワソワしている戦兎さん。これだよ……玩具貰った子供みたいな顔がすげぇイラっと来る。……と言うのも、ファウストの襲撃があって数日が経ったある日、俺と戦兎さんは千冬姉に呼び出されたのだった。

 

 

 

 

 

『織斑(夏)、先のファウストの襲撃の時、各国要人の保護そしてスマッシュ撃退の行動が高く評価された。そしてIS委員会やそのバックの組織がお前に特別措置を施すことになった……』

 

 俺は千冬姉から何枚もの資料を貰った。白い封筒には“地球から四枚の羽が生えXの文字を思わせるマーク”がでかでかと描かれている。なーんか悪趣味……。

 

『今後、お前は専用機扱いとしてライダーシステムの使用が許可される。因幡野先生と相談しておくと良い』

 

 

 その日の放課後……屋上、らびっとはっちと立て札が立ったプレハブ小屋。

 

『……どうもこの措置はおかしい』

 

 椅子に腰掛け足を組みながら戦兎さんは呟いた。

 

『そりゃ何で?』

『そもそもISはアラスカ条約によって戦争の道具にはならないはずなんだ……。だが今回のIS委員会の措置はそれを根底から覆しかねない……』

 

 そう言うと戦兎さんは封筒を放り投げる。

 

『うまくは言えないが、どうもこの争いを加速させようとしているかのような……。最悪の想定では、IS委員会やそのバックとファウストの間には、何らかの関係性があるのかもしれない』

 

 そう淡々と言い、頭をクシャクシャと掻きまわす戦兎さん。その言葉を聞いて……俺はまるでゲーム盤の上で誰かの手の平の上で転がされているような錯覚を覚えた。

 

『ファウスト、と言えば……』

 

 指を立て、声のトーンを下げ俺に向き直った戦兎さん。

 

『一夏とファウストのアジトからかっぱらったUSB……そこにはプロジェクト・ビルドとは何かが記されていたんだけど。……そうしたら、ファウストを創った人間がご丁寧にもデータ映像を残していた……』

 

 その口調は暗く、そして重かった。

 

『その人間の名前は………………葛城忍』

『葛城……忍?』

 

 ……――――?どこかで聞いたような名前だ。だが、俺の記憶にそんな名前の人間はいなかったはず……?

 

『その顔はオレとよく似ていたんだ。もしかしたらオレも……、何らかの形でファウストに加担していたのかもしれない』

 

――――それこそ……葛城忍本人なのかもしれない

 

 戦兎さんは自分の過去を恐れるように……そう答えた。

 

 

 

 

 

 

 ……鈴たちが一方的にやられているのを見て、俺は戦兎さんから聞いた話を思い出していた。

 

「……終わりだ」

「「「ギャ……ギャァァァァァァァァァァァァ⁉」」」

 

――――ズバババッ‼ドゴォォンッ‼

 

 そして死合い(誤字にあらず)が終わり、千冬姉に何とか食らいついていた山田先生が褒められた後、千冬姉曰く『敬意をもって接するように』、という恫喝にも近いありがたーいお言葉を貰った生徒一同はガクガク首を縦に振ったのだった。

 

「……やりすぎたか?……まぁ良い」

 

(((良くないです))わ)←今戦った人たちの心の声。

 

「では次に、IS委員会からファウストに対抗するための手段として利用が許可された防衛システムのお披露目だ。因幡野先生、織斑(夏)準備しろ」

 

 ん、呼ばれたな……。んじゃ、行くとしますか。それにしても戦兎さん、大丈夫か?ちょっとカラ元気な感じがするんだけど……。

 

「はいは~い、お待たせっ、と!」

「なぁ戦兎さん。ただ変身してライダーシステムを紹介するだけだろ?何で準備運動してるんだ?」

「それはね~、ホレ!」

 

 おぉっと!?顔面狙って投げるな!……ん?コレって。

 

「……おい、これドライバーだろ?俺が先に変身しろってか?」

「チッチッチ!それは一夏用に造ったドライバーさ……オレのはこっち」

 

 そう言って戦兎さんはコートの内ポケットから俺の手元にあるのと同型の黒光りするデバイスを取り出した。

 

「え……?」

「つまりオレと一夏で模擬戦をするのさ!ローグからゲットしたボトルのベストマッチなデータで造った新武器、早く試したかったんだよねぇ……ハァハァ(*´Д`)」

「えぇ……マジかよ…」

 

 頬を手で押さえながらもじもじくねくね気持ち悪く腰を振る変態「てぇん↑さい↓だから!」科学、者……。カッコ外のセリフにまで被せんなよ……。

 

「じゃあ、早速……さぁ、実験を始めようか」

「あーもう!こうなったからには負ける気はねぇ!」

 

 俺達は向かい合うようにしてフルボトルを振り、戦兎さんの背後には数式が実体化する。それを見て(知ってた奴らを除き)どよめくギャラリー。

 

【海賊!電車!】

【Wake up!】

 

 戦兎さんは直接ドライバーに、俺は飛んできたクローズドラゴンにボトルをセット。

 

【ベストマッチ!】

【CROZZ-DRAGON!】

 

 ベストマッチ音声とクローズドラゴンがセットされた電子音が鳴ると、俺達はレバーを回転、プラモデルのランナーみたいなものを展開させる。

 

【【Are you ready?】】

 

「「変身!」」

 

【定刻の反逆者!海賊レッシャー!イェーイ!】

【Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!】

 

 前後の装甲の合体が完了し、俺は仮面ライダークローズに……戦兎さんは仮面ライダービルド、見たところ海賊レッシャーフォームってやつか?に変身した。ギャラリーは「おぉー!」っと大歓声。戦兎さん、「どーもー」とか言ってんじゃねーよ恥ずかしいんだよ、こっちゃ……!うむ、と千冬姉は頷くと、口を開く。

 

「ではこれより、仮面ライダービルド、及びクローズの模擬戦闘を行う。両者、構え……始め!」

 

 ……っし、しゃーねぇ、やりますか!

 

「勝利の法則は……決まった!」

「今の俺は……負ける気がしねぇ!」

 

 そう言うと同時にお互いに得物を呼び出し、振り下ろした……。

 

 

三人称side

 

 クローズがビートクローザーで斬りかかって来るも、ビルドは風に舞うようにジャンプし、遠方へ着地。そして“船の錨に似た形の武器”を弓のように構える。

 

【各駅電車~!出発!】

 

 電車の車内アナウンス風の特徴的な音声が再生され、電車型のエネルギーが射出される。クローズは体を回転させてそれを受け流す。

 

「っとォ!何だよその武器?いや弓ってことは分かるんだけどさ!?」

「コレはカイゾクハッシャー。命名はオレの趣味だ、良いだろう?」

「良くねぇって!?」

 

【各駅電車~!急行電車~!出発!】

 

 ビルドは先程と同じようにカイゾクハッシャーの電車型攻撃ユニット『ビルドアロー号』を弓の要領で引っ張ってから放し、エネルギー体となった電車を発射した。

 

【スペシャルチューン!ヒッパレー!】

 

「……ん、ぐぅ……っらぁ‼」

 

【スマッシュスラッシュ!】

 

 だが、簡単にやられるクローズではない。彼はビートクローザーでエネルギー体となった『ビルドアロー号』を断ち切る。

 

「おぉ、やるぅ♪」

(遠距離攻撃は厄介だな……。なら!)

 

 ビルドがカイゾクハッシャーを射る構えを解いた瞬間、クローズは身体に蒼炎を纏わせ高速移動で彼女に近づく。

 

「!……接近戦に持ち込むつもりか、でもね!」

 

 一瞬ビルドの姿がブレ、カイゾクハッシャーの『カトラスアンカーエッジ』が短い間に何度も振るわれる。何とかビートクローザーでいなし、攻撃に食らいつくクローズ。

 

「……!フェイント……からの連続攻撃かっ!」

「中々鋭いね。この形態の長所はスピードを生かした武器攻撃ができる点だ。……あと、こういうこともできるよ」

 

 肩の海賊船『BLDボヤージュショルダー』の砲門から、銛や弾丸がクローズに向かって発射される。そして肩に付いた『マルチセイルマント』の形も変化し、網の形となってクローズを絡め捕った。

 

「……っちぃ!」

 

 彼は慌てて網を外そうとするも……。

 

「外される前に、ほいッと!そりゃそりゃ!はーいっ!」

「ぅわぁぁっ‼」

 

 海賊サイドの武器の連続攻撃、そして列車サイドの『トレインガントレット』を用いた電磁パンチで攻め立てられて吹き飛ぶクローズ。

 

「……~~っ!ってぇな!アンタ今本気でやったろ!」

「はっはっは~何のことやら~」

 

 20m近く吹き飛んだが、軽口を叩きながらピンピンした様子で戻ってきたクローズ。それにIS学園の人間はそのライダーシステムの頑丈さに驚きを隠せない。

 

「んじゃお礼として……決めさせてもらうかぁ!戦兎さんよ!」

「そうだねぇ……では必殺技、行ってみようか!」

 

 二人はボルテックレバーを回転させ、フルボトルを活性化させ始める。

 

【【Ready go!】】

 

 ベルトから待機音声が流れるも、それだけではなかった。

 

【各駅電車~!急行電車~!快速電車~!海賊電車!】

【スペシャルチューン!ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!】

 

 ビルドはカイゾクハッシャーを、クローズはビートクローザーをフルチャージさせ、目に見えるほどの強大なエネルギーを身にまとう。学園の生徒達が固唾を飲んで見守る中……。

 

【発車‼】

【ボルテックフィニッシュ!イェーイ!】

【メガスラッシュ!】

【ドラゴニックフィニッシュ!】

 

 ビルドはカイゾクハッシャーから矢を放つ。クローズは剣を居合斬りのように振るう。ビルドによって放たれた海賊船と電車が合体したエネルギーと、クローズの『クローズドラゴン・ブレイズ』がぶつかり合う。

 その衝撃の余波が来ると思い身を固めた生徒たち。だが、そこに予想外の介入があった。

 

【キャッスル!】

 

「「!?」」

 

 突然感じた殺気に身をかがめる仮面ライダーの二人。その刹那の後、どこからともなく到達する赤い極太の破壊ビーム。

 二人の放った攻撃とわずかな時間拮抗し、それらを遠方へと弾き飛ばす。

 

 色彩が爆発したような光が生まれる。

 

 彼らの頭上を通り過ぎたビームは、IS学園にそびえる曲線的なタワーを一撃でなぎ倒した。

 呆然とその様子を見ている戦兎や生徒達の耳に、年若い女の声が聞こえてきた。

 

「あーぁ、カシラァ……どこ行っちゃったんですかねぇ。ウチらで始まちゃいますよぉ?」

 

 ビームが放たれたと思しき方向から、気怠そうな足音が聞こえてくる。その数、三人。ビルドとクローズは振り返り、手に持っていた得物を静かに構えた。

 

「ルージュ……カシラに連絡入れたのは貴女のはずでしょう?伝え間違えたのではないですか?」

 

 ベレー帽の青髪の少女がヤンキー風な赤髪のバンダナ少女に聞く。

 

「ん?いや、ちゃんと言ったよ?ウチ」

「途中までは確かに来ていたね……、でも突然いなくなったw迷子だと思うよ」

 

 黄色いニット帽を被った小柄な少女は、彼女ら二人に笑顔で答える。

 

「いつもの事ですか……いやいやいや!?気付いた時に言いましょうよ!?」

 

 ふざけた調子で会話をする少女たち。彼女ら三人は、お揃いのカーキ色をしたジャケットを着て立っていた。

 

 手には、銀と赤錆色のボトルを握りながら…――――。




 最後のシーンはビルドでキャッスルハードスマッシュの初登場シーンをオマージュしました。アレ、少なくとも軍隊とかじゃ対処できない破壊力でしたよね……。ビル群が何棟か倒壊してましたし……。それでもキャッスルロストスマッシュには及ばず、そのロスト化した攻撃と同等の破壊力があるフルボトルバスターって……。

ブリッツ「ならばこちら~。さんさんと宇宙から降り注ぐエネルギーを利用して作りました~、星に願いを~」→ゾディアーツスイッチ

 もし束さんが使ったら兎座→牡羊座になりそう……。

※2020/12/16
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。