IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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真耶「ちょっ、学園のタワー倒壊しちゃいましたよ!?」
千冬「あぁ、予算が…勘弁してくれ」
戦兎「予算?あのー…オレIS学園教師歴数ヶ月なんだけど、これって給料から引かれたりするの?」
千冬「いや、そんな訳はないのだが…まぁ体裁は悪くなるな。それに伴い各国からの批判が来たり、その結果回される備品とかが…」
戦兎「うわー聞きたくなかったそんな話!」
真耶「(先輩ってば因幡野先生に嘘言ってからかってる…)ところで財団Xの噂、聞きました?なんでもファウストの影響で各国経済が滅茶苦茶になったというのに、今や世界の三分の一の資金を持っているとかいないとか…」
戦兎「うわーいいなー!オレ個人にも資金援助してくれないかなー、そうすればライダーシステムもISも作り放題、むふふふふ…」
千冬「因幡野先生、技術の発展に貢献するのは良いんだがな、学校の限りあるISをバカスカ魔改造していくのはやめてもらいたいんだが。もう七機目だぞこれで」
戦兎「うっ…、取り敢えず第三十八話、どぞ…」


第三十八話 『バトライドウォー開幕』

「誰だ?ここはIS学園生徒以外立ち入り禁止だよ…――――」

 

 軽口を叩きながらも、油断なくカイゾクハッシャーを構えるビルド。それを見て赤髪の『ルージュ』と呼ばれた少女はニヤリと笑い、フランス式指数えで声高に叫んだ。三本の指が空を指す。

 

「ウチらはデュノア三羽烏!おぉっと言っとくがそう簡単に正体は明かさねぇ!」

「……ってオーイ!」

「もう明かしちゃってるしw」

 

 赤いバンダナ少女の言葉にベレー帽の娘は頭を抱え、ニット帽の子は“たはは”と言うように手を広げる。

 

「ッ!デュノア…、…!?」

「おいおい、それってクラスリーグマッチで襲ってきたバーサーカーⅣとか言うのを造ったとこじゃ……」

 

 織斑千冬やビルドは三人組が名乗った会社名に反応せざるを得ない。だが、それよりも何よりも、クローズは頭を掻きながら赤い少女に指をさしてこう言い切る。

 

「つーかよ。自分から正体ばらして、さてはお前……馬鹿だな?」

「んッッだとコラァ!」

「ルージュ……今のは仮面ライダーのセリフが正しいです」

 

 ルージュという少女は両サイドから羽交い締めにされ抑えられていた。頬を膨らませながら反論するルージュ。

 

「ブル、別に大丈夫だろ、カシラ自分の苗字嫌ってっし。コレでデュノア社が倒産すればいいとかも言ってたぞ?」

「あぁもう…!怒られても知りませんからね。極力穏便に済ませたかったのに……」

 

 話が終わったらしい三人組。さっきまでのコミカルな雰囲気はすでに無く、顔つきも決意を固めたものになっていた。それを肌で感じ、臨戦態勢になる仮面ライダーたち。

 

「んじゃ話が終わったところで。取り敢えず……、とっとと済ませるかぁ!」

 

 三人は拳の中に隠し持っていた、赤錆色と銀色の光沢を持つ容器を取り出した。

 

「……ッ、フルボトル!?」

「青いの……ずいぶんナメてくれたじゃねぇか。ウチナメられるの、大っ嫌いなんでね!」

 

【キャッスル!】

 

 ルージュと呼ばれた少女がフルボトルを腕に突き刺すと、彼女の身体を赤い煙が覆う。やがてその煙の中から、赤く城壁の如き巌な異形が現れた。

 

「……!?……スマッシュに……!?」

 

 そのスマッシュは自慢げに腕を回し、どんなもんだとばかりに不敵に笑った。

 

「ウチらはハードスマッシュ。人間を超えたスマッシュの進化態。ウチはキャッスルハードスマッシュだ!」

「自我があるのか……!?」

「ん~じゃ、いっくぜぇ‼フルボトルを渡せ!」

 

 その言葉と共に、彼女は頭部の砲撃ユニット『カタプルタキャノン』からビームを放つ。

 ビルドの近くに着弾したその攻撃は、爆風を生み出す。悲鳴を上げるIS学園の生徒たちの中、仮面ライダーたちは即座に行動を開始する。

 先生が生徒を守らないわけにはいかない。ビルドである因幡野戦兎は、爆風を利用し後方回転宙返りを披露すると、カイゾクハッシャーを振るって生徒達を庇う。

 

「あっぶないな!ちょっと!?まだ避難してない生徒いるんだからね!」

「え?あ、ほんとだわゴメン」

「素直かよ!」

 

 思わずツッコミを入れてしまうクローズ。ビルドの援護に向かおうとする一夏だったが、彼の前にも少女二人が立ち塞がった。

 

「貴方の相手は私たちです」

「ルージュばっかに気を取られていていいのかな~?」

 

【クワガタ!】

【フクロウ!】

 

 ベレー帽の少女は二本の角を持った青いスマッシュに、ニット帽の少女は丸い体の黄色いスマッシュに変化した。

 

「やっぱりそっちの二人もか!」

 

 ビルドはキャッスルハードスマッシュにカイゾクハッシャーを振るいながら、クローズの様子を伺っていた。一夏は戦兎が尋ねているように思えた。オレの手助けは必要か、と。

 

「…――――だけど、結局はスマッシュなんだろ?殴ってダメージが入れば倒せるだろうが!」

「何、そのバカみたいな解決策!?」

「馬鹿言うな、筋肉付けろよ筋肉!」

「それは筋肉馬鹿とは違う!正しくは脳筋って言うんだよ!」

 

 ビートクローザーで青いクワガタのスマッシュの剣戟をさばきながらビルドと漫才を繰り広げるクローズ。随分と緊張感のない戦いである。

 

「はぁ…――――全く。しょうがないな!丁度武器のデータがもっと欲しかったしね!」

「いや、武器ってそれ…『海賊レッシャー』……ねぇ?」

「何だ?文句あんの?」

「いやぁウチが言えたこっちゃねーんだが…そのセンス、どうよ?」

「定刻の反逆者!良いセンスだろ?」

「ただの遅延だろ、それ。フランスじゃ当たり前だからなぁ!」

 

 それぞれの戦いの火ぶたが切って落とされる。ビルドが振るったカトラス部分がスマッシュのシールドに当たり、火花が散った。

 

「ふっは!きかねーよっと!」

「良いのかな?そんなこと言って…負けるフラグかもよ?」

 

 戦兎はそんな軽口をたたきながらも、堅牢な防御能力を持つスマッシュには、手数で責める海賊レッシャーフォームの相性は悪いことに気が付いていた。

 逆にクローズの方も上空から攻撃ができるフクロウのハードスマッシュと二刀流のクワガタムシのハードスマッシュのコンビネーションに攻めあぐねている。

 

 ならば、と仮面ライダーたちは視線を交差させた。

 

「戦兎さんよ!こっち任せた!」

 

【ヒッパレー!ヒッパレー!】

 

「任された!はぁ!」

 

【各駅電車~!急行電車~!快速電車~!】

 

【ミリオンヒット!】

【出発!】

 

「「「うおぉぉぉ!?」」」

 

 放たれた蒼炎と電車が、対峙していたハードスマッシュたちにぶつかった。土煙と衝撃波が発生したことで、思わずたたらを踏む三羽烏。その隙にビルドとクローズは互いに互いの相手を仲間に託す。

 

「けへっ、けへ!も~何なのさ~」

「っ、ジョーヌ!前を見なさい!」

「ほへ?うわぁ!」

 

 さっと身を翻したところを刃が通り抜けていく。青と緑の仮面ライダーは、不意を突いてカイゾクハッシャーで斬りかかってきた。

 

「ちぇっ、外したか。さて、じゃあ自己紹介だ。オホン……オレは『ビルド』。『創る』『形成する』って意味の、『Build』だ。以後、お見知り置きを」

 

 そう言いフレミングの法則のポーズを取るビルド。それを見て対峙する黄色のスマッシュは、同じようにお行儀よく口を開いた。

 

「あ、じゃあボクらも自己紹介するね。ボクはジョーヌ、オウルハードスマッシュ。で、こっちのツッコミがブル。スマッシュとしての名前はスタッグハードスマッシュ。あ、シカじゃ無いよ、クワガタムシだから」

「そのフォローは的確でない……!」

 

 思わず天を仰いでしまうスタッグハードスマッシュ。如何やら一番の心労持ちは彼女のようだ。

 

「あ、こりゃオレにご丁寧にどうも……」

「いや貴女もそれでいいんですか!良いから戦いますよ!」

「えぇー、平和にやろうって言ったのブルじゃない、ねービルド~?」

「え、あ?お、ぉう?」

「ぁぁぁ上げ足とるなぁぁぁぁぁぁ‼めんどくせぇェェェェェェェ‼」

 

 それを見たIS学園の生徒たちはスタッグハードスマッシュを可哀相に思ったとか、思わなかったとか。

 

「……ぅおっほん。まず(ツッコミ要員的にも)厄介なのはフクロウ、か……、空中戦なら!」

 

【タカ!ガトリング!ベストマッチ!】

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ」

 

【天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!】

 

 ビルドはベストマッチフォームのホークガトリングに変身。そして、背後のソレスタルウィングを稼働させ、空中に飛び上がり高速飛行を開始する。

 

「はぁりゃ!」

「うっそぉ、ビルドも飛べるの!なら負けないよ!」

 

 追従し飛行するオウルハードスマッシュ。ISもかくやという高機動戦闘の最中にビルドはホークガトリンガーを撃ち始める。

 だが、天才科学者の導き出すその正確無比な弾道をオウルハードスマッシュな易々と避けていく。

 

「むぅ、流石フクロウ……って言ったところか」

 

 フクロウは耳が左右非対称な位置に付いており、一説ではその音が伝わる差を把握し音の発生源との距離を計算していると言われている。その特徴をオウルハードスマッシュも踏襲しているということらしい。

 

「フフ、ボク聴力には自信があるよ……そ~れ!」

「あ、しまっ……わぁ!」

 

 上空をとられたビルドにオウルハードスマッシュのキックが炸裂した。その下の地面にもう一体のスマッシュが待ち構える。

 

「貰いました、やぁ!」

「う、ぐぅッ!」

 

 見事なコンビネーションでビルドにダメージを与えたハードスマッシュたち。それを見てビルドは、敵ながらも天晴と心の中で称賛を送る。

 

「でも……、その聴力は厄介だね。ちょっと潰させてもらうよ!」

 

 ビルドは右目のアンテナを光らせると、オウルハードスマッシュの長所を潰すためジャミングを開始した。

 

「え……?うぐぅうぅ!?」

「ジョーヌ!何を……?」

 

 突然苦しみだした仲間に青いハードスマッシュは困惑しビルドを見る。

 

「この右目はガンショットフェイスモジュールって言ってね、指向性の音響兵器なんだ。だから今フクロウちゃんの頭にガンガン爆音が鳴り響いてる……。あぁ大丈夫、耳が聞こえなくなるわけじゃないから」

「……くっ、調子に乗らないでいただけますか!」

 

 地面を滑るように高速で移動し、二本の刀『ラプチャーシザース』をクワガタのあごのように構え突進してきたスタッグハードスマッシュ。

 

「おっと……、その攻撃を受けたくはないね……ということで!」

「……?……なッ!?」

 

 突然、ビルドは巻き起こった煙幕に包まれる。

 

「ですが、この程度で…!そこです!」

 

 濛々と立ち昇る土煙に阻まれたスマッシュは、動いた物陰に向かって刃を振るった…――――。

 

 

 

 少し時間は巻き戻る……一方のクローズとキャッスルハードスマッシュの戦いは熾烈の一言だった……。

 

「オォラァァ!」

「でぇりゃァァァ!」

 

 一夏は片手にビートクローザーを持ちながら、システマで磨いた拳を城壁の様な外殻に突き立てる。強固な外皮に阻まれダメージは入っていないものの、慣性に従って背後へ吹き飛ばされる城のスマッシュ。

 

「……ッ痛ってぇなこの野郎!ウチみたいなレディに対して酷くねぇか!?」

「悪ぃが、自分の姉がアレな時点でレディーファーストなんて言葉がまやかしだと分かった!だから俺の敵なら遠慮なくボコらせてもらう!」

「おぉう、この子だいぶ歪んでるぜ……」

(いらんこと言った一夏には後で説教が必要だ……フフフ……(#^ω^))

「「!?」」

 

 戦っていた二人は思わず身震いをしてしまう。自分が小動物になってライオンの前に出てしまった様な……そんな錯覚がして冷や汗が止まらなくなる。

 

「な、なんかいまウチすっげぇ寒気したんだけど…」

「コレがウチの姉だ……な?」

「あ、あぁ……」

「なぁにが『……な?』なのか後で説明してもらうからなぁ一夏ぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 IS学園の生徒の避難誘導をしていた所から勇ましいメスライオンの叫びが聞こえてきた。

 

「遠方から声がしたんだが……」

「……」

「あっ、ご愁傷様」

 

 同情の視線が痛かったので目を背けるクローズ。その時、逸らした目の先には偶然か必然か、ビルドが防戦一方になっていた。

 ビルドに変身した彼女と、視線が合わさった…気がした。

 

 

 

「……あー、んじゃ気を取り直してっと。赤いレディ?これでも食らっとけ……セシリア風に言えば、俺のクローズドラゴン・ブレイズが奏でる円舞曲(ワルツ)で踊ってもらおうか、ってな!」

 

【Ready go!】

 

「は!生憎田舎娘でな!社交界に出たことねぇんだよこっちゃ、マズルカでも踊れってか?」

「それフランス舞踊だったか?まぁ良い、食らいやがれぇ‼」

 

【ドラゴニックフィニッシュ!】

 

 キャッスルハードスマッシュは両肩の可動防壁『グランドランパート』を体の前方に動かす。鋼さえ凌駕するその鉄壁で、『クローズドラゴン・ブレイズ』の突進を受け止めようとした。

 

「…ん?何、それ全力?」

 

 クローズドラゴン・ブレイズはキャッスルハードスマッシュの身体を後ろに後退させただけだった。突撃が終わると、龍は口から火球を放ち土煙を巻きあげる。

 視界不良になるだけに訝しむキャッスルハードスマッシュ。

 

「どこ狙って……――――うぅおぉいってぇ!?」

「え……――――っ!あぁ、すいませんルージュ!」

 

 無防備になった背中に、どこかから剣が振るわれる。

 ルージュが何事かと見てみると、すまなそうにしている青いハードスマッシュがいた。彼女は察する。視界が悪くし、そこにビルドを追って突進してきた仲間をぶつける作戦だったのかと。

 

「ちょ…――――ちょっとルージュ、ブル!上、上!」

「「……え?」」

 

【……エイティ!ナインティ!ワンハンドレッド‼フルバレット‼】

 

――――ギャォォォン‼

 

 土煙の中から青空に向かって巨大な青い龍と橙色の鷹の群れが飛び出してくる。それらはハードスマッシュ三人目掛け突撃してきた。

 

「「「うわ……うわわわわぁ‼」」ってウチを盾にするなぁ‼」

 

 思わずキャッスルハードスマッシュの後ろに隠れ、コブラのミラーライダーがやったガード技を使う二人。そして龍たちの突撃は寸分たがわず彼女らを捉えていた。

 

 青と橙の流星が、IS学園のグラウンドに激突した。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼……――――って何とか大丈夫!?流石ウチ…ッ!ハァ……ハァ…ハァ!」

 

 けたたましい音を立てた爆発を防ぎ切り、膝から崩れ落ちるのは赤いスマッシュ。軽口を叩いているが、それでも体からは濛々と煙が上がっている。

 

「今のが全力かな?ならあっちもフラフラじゃない?」

「それじゃ……私たちが止めをさしてきます…、…ッ!」

 

【鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!】

 

「ところが、どっこい…ッ!んじゃ行くよ…、一夏!」

「ハァ…ハァ、カラ元気だろ、戦兎さんよ……。まぁここで根性見せなきゃ、マズそうだしな……」

 

 片や赤と青の二色となった仮面ライダービルド、そして身体中に蒼炎を纏った仮面ライダークローズ。

 片や青い双剣使いのスタッグハードスマッシュ、黄色い身体に丸い翼を持ったオウルハードスマッシュ。

 

「……ッ、ここで負けたらカシラに顔向けできない……」

「貴女方に勝ち、フルボトルを渡してもらいます……!」

 

 身構え、仮面ライダーを睨むハードスマッシュの二人。

 

「悪ぃが、ファウストにもお前等にも、フルボトルは渡せねぇ…!コレは戦兎さんの記憶を取り戻すのに必要らしいんでね!」

「それに、これがパンドラの箱を開けるカギだ……。だから、絶対にお前たちには開けさせはしない…!」

 

 決意を湛えたビルドの口調は、何かを抱え込んだように硬かった。一夏はふと、それに一抹の不安を覚えながらも、今は敵を戦闘不能にすることが重要でだと頭を切り替えた。

 創造の兎と蒼天の龍はトドメだとばかりにドライバーのレバーを回転させる。

 

【【Ready go!】】

 

 その電子音が鳴ると、ビルドは放物線の様なグラフを、クローズは背後に蒼炎の龍を呼び出し、同時に大跳躍。

 彼らは大空を背後に、足を前へ突き出した。

 

【ボルテックフィニッシュ!イェーイ!】

【ドラゴニックフィニッシュ!】

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」」

 

 赤と青のエネルギーを宿した仮面ライダー達のダブルライダーキックは、ハードスマッシュたちとわずかの時間拮抗する。

 

「「くっ……うっ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」」

 

 

 だが、力の差は明確だった。

 青と黄色のハードスマッシュたちは、キャッスルハードスマッシュのうずくまる場所へ吹き飛ばされる。そしてグラウンドに大きなクレーターが開く。

 

「いよっし!勝利!……あん?」

「一夏、喜んでるところ悪いんだけど、まだだよ…」

 

 ビルドの言葉で、ようやくクローズも気が付いた。キャッスルハードスマッシュの傍らに、IS学園にいるはずのない性別(・・)の人物が佇んでいたことに。

 

 

 

 

 

「……俺に内緒で何楽しんでんだ……ゴラァ」

「「「!カシラァ‼」」」

 

 モッズコートを羽織り、フードを目深にかぶった人物が、溜息まじりに言葉を溢す。顔は見えないが黄金色の長髪がフードの中から零れている。

 ()は鬱陶く思ったのだろうか、乱暴に被っていたファー付きのフードを外す。

 

「「「……っ」」」

 

 それを遠方から見ていたIS学園の生徒たちは不覚にも見入ってしまった。頬を染める少女たちもいる。色の白い肌、金糸の様な髪、それにアメジストの如き瞳。どれをとっても物語から出てきたかのような王子様を思わせる。それほどまでに彼は美男子だったのだ。

 

「てめぇ……。あの時の……――――!」

 

 一夏はハタと思い出す。箒と共にレゾナンスで目撃したモッズコートの人物が、今目の前に立っていた。

 

「俺は『シャルル』。シャルル・デュノアだ。ウチの三馬鹿が世話んなったな……」

 

 そう言ってスマッシュたちに近づいていく。

 

「三馬鹿って……酷いじゃないっすか……」

「どこ行ってたんですかカシラァ……」

 

 口々に不満を言う三羽烏。それに眉をひそめながらも苦笑交じりにため息をつくシャルルと言う青年。

 

「あん?うるせぇ、方向音痴の俺をおいてくお前等が悪いんだろ」

「……――――お前」

「…ぁ?」

 

 三羽烏と言い合いをしている彼だったが、ビルドに変身した戦兎がそれを遮り、一つ尋ねる。彼らのトップということは相応の力を持っているのだろうと予想したらしい、彼女の声には若干の焦りがにじんでいた。

 

「……お前も、スマッシュか……?」

「違う。俺は……――――」

 

 そこで言葉を切り、片手に水色の見たことも無いレンチの付いたドライバー(・・・・・・・・・・・・)を取り出すシャルル。

 

 

 

「 仮 面 ラ イ ダ ー だ 」

 

 

 

 そう言い、腰にドライバーを押し当てる。

 

スクラッシュドライバー!

 

 続けてパウチ型のゼリー飲料アイテムを宙に投げ上げると、それをキャッチしドライバーへと装填した。

 

ロボットゼリー!

 

 力強い電子音と待機音声が鳴り響く。シャルルは挑発するように左指を自分の方へ曲げ伸ばし、右手でレンチを押し下げる。

 それと共に、戦兎や一夏が力持つ者に変わる言葉を同じく呟く。

 

「変身」

 

 すると彼の周囲にビーカーが現れ、機械の潤滑油の様な黒い液体で満たされる。

 

潰れる!

 

ビーカーが絞られるように収縮し、中からゼリー飲料の飲み口の様な頭部を持つパワードスーツの姿が露わになった。しかしそれだけでは終わらない。

 

流れる!

 

 頭部から突然金色にも見える色のゼリーが噴き出し、パワードスーツの頭部や胸、肩に降りかかる。

 

溢れ出る!

 

 ゼリーが固まると余計な部分がはじけ飛び、黄金の仮面ライダーがビルドたちの前に現れた。

 

ロボットイングリス!ブラァァァ‼

 

 烏が啼く。黄金の太陽を求めて、哭き彷徨う。

 

「仮面ライダーグリス、見参」

 

 金と黒を基調とした一本角の仮面ライダー、その名は『グリス』。それがIS学園に降り立った。彼は二人の仮面ライダーを見て、決意や覚悟の表れである言葉を紡ぐ。

 

「心の火……心火だ」

 

 掛け替えないものを奏でる心臓の部分に右手を当て、燃え滾る思いを湛え絞り出す。

 

「 心 火 を 燃 や し て …… 、 ぶ っ 潰 す …… ! 」

 




 シャルロッ党の皆さん、ごめんなさぁぁぁぁぁい!(モモタロス感)

※2020/12/21
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部
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