IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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戦兎「クソ早く解けろよ、このセキュリティ………⁉︎お、おいなんだコレ!?『マイティ・アクションX』……!?聞いたことも無いぞこのゲーム!?しかも1ステージでもミスったら最初からって………ん?土管……?」
コンティニュー土管……からの宇佐美『私の趣味だ、因みに自作だァァァァァァァァッ‼』(デンジャラスゾンビのSE)
戦兎「またてめぇか宇佐美ィ‼何で毎回息をするように登場するんだお前ぇ‼」
宇佐美『前回は我々ファウストが赤騎士や血の雫などの改造ISを登場させたりしたが…あのドルオタが裏切ってこっちが優勢の戦いは打って変わってしまった……さてさてブラッドなIS嬢たちの活躍が気になる第五十話……とくと見てくれたまえ』
戦兎「画面内であらすじ紹介するなッ⁉︎てか、こっちが正義だからなッ⁉︎……『GAME OVER』あ、ミスった」
千冬「何をしているんだ戦兎先生ッ⁉︎」



第五十話 『二つのゼリー、二つの炎』

「……っ意外にやるのですね、代表候補生……!」

 

 ブレードを振り回しながら箒や鈴の接近を許さない『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』だったが、流石に多勢に無勢が祟り押され始めて来ていた……。

 

「一対多数なんて趣味じゃないんだけど、四の五の言ってられないしね……!」

「いって、山嵐……!」

「ブルー・ティアーズ!」

 

 シールドエネルギーを消耗してきた『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』に、大量のミサイルと偏向射撃(フレキシブル)による光線が殺到する。

 

「……っ!ところがぎっちょん、ですわねぇ!?」

 

 焦ったような顔をしたのもつかの間、『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』の掌から紅蓮の光が放たれた。するとその光にぶつかったミサイルは爆発、レーザーは歪みあらぬ方向へ飛ばされてしまう。

 

「…何をしたのです!?」

「自分で考えなさい?まぁ、未だわたくしはフェーズ1、『完全体』には程遠いので、一日一回限りの奥の手ですが」

 

 周囲に浮かぶ、撃破されていない赤いビット兵器を見て『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』は唸る。

 

「…………。このままでは、わたくしは勝てないでしょうね」

 

 だが、諦めたかのように呟く彼女の瞳には、残虐な欲望が渦巻いていた。

 

「ですが、わたくしと貴女方は違う。わたくしは肉体が損傷しても復活できる……。なら一人でも傷つけて、殺して……!戦力を削いでおきましょうか!」

「……ッ!」

 

 そして……今までの淑女然とした戦い方は打って変わり、暴力的な剣戟が箒や鈴に向かって嵐のように巻き起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方の『赤騎士』と戦うグリスとクローズチャージ。

 

「おら!おらおらおらおらぁッ‼」

「ドライバーの影響か随分と強くなったな……だが!」

 

 ツインブレイカーで殴りつけようとするクローズチャージをいなし、向こうからやって来るグリスに投げつける。

 

世界最強(ブリュンヒルデ)に敵うとでも思ったか?」

「ガハッ!」

「おわぁッと……おい何してんだよ軽々吹っ飛ばされやがって」

「しょーがねーだろ、ぶっつけ本番で変身してんだよこっちゃ」

 

 憎まれ口をたたきながらも、その目は油断なく『赤騎士』を見ている二人。

 

「クッソ……やっぱり千冬姉と同じだけの実力ってことか……」

 

 が、そこにとんでもないグリスの一言が投じられる。

 

「……、見たところなんだが……アレ多分俺達倒せるぞ?」

「……はぁ?冗談言ってるんだったらぶん殴るぞ?」

「こんな時にそんな事言うと思うか?作戦がある……」

 

 耳打ちをすると、その途端にクローズチャージはツインブレイカーから光弾を発射する。

 

「その程度で…、…ッ!?」

「おぉっと……行かせるわけねぇよなぁ?」

 

 いつの間にかISの瞬時加速以上のスピードで接近してきたグリスは、そのままベルトのレンチを下げる。

 

【ロック!ディスチャージボトル!潰れな~い!ディスチャージクラッシュ!】

 

 電子音と共に身体機能を低下させられた『赤騎士』は、グリスの異常性に気が付いた。

 

「貴様……本当に人間か!?ライダーシステムを使っているとはいえボトルを使わずにそんな力を……ッ!?」

 

 そう。フルボトルを使ったとは言え、それは『赤騎士』の動きを鈍らせるためのロックフルボトルもの。

 つまりグリスは身体能力の向上用のボトルを使わずに織斑千冬と同格のISに追いついたことになる。

 

「全くもってその通り、俺ぁ只の人間だァ‼今だやれエビフライ‼」

「だあってろ、イモォッ‼」

 

【スペシャルチューン!ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!メガスラッシュ‼】

【Ready go!レッツブレイク‼】

【スクラップブレイク‼】

 

 右手にはドラゴンフルボトルがセットされたビートクローザーを、左手にはクローズドラゴンが収まったツインブレイカーを持ち、ドライバーを操作した一夏は突如走った途轍もない激痛にうめき声をあげた。

 

「……ッぐ、流石に、キツイな……ッ!だが、千冬姉の偽物に勝つならこれしかねぇ‼」

 

 突然彼の背後に巨大な龍が三匹現れ、雄叫びを上げる。蒼炎をまとったビートクローザーを振り抜き、その直後にツインブレイカーを前に突き出すと、二匹の龍が『赤騎士』に向かって飛び出した。

 

「……、ならば!その力を利用するまで……‼」

 

 そう言うと『赤騎士』は『血染雪片』を出現させ、動きが制限されているのを感じさせないスムーズな挙動で、龍のエネルギーを受け止める。

 

「まだだァ‼おっらぁぁぁぁぁ‼」

 

 足に龍のエネルギーをまとわせたクローズチャージが飛び、ライダーキックを放つ。

 

「う、グゥ……ッ!オォォォォォォ‼」

「ぬぅぅぅぅぅッ‼」

 

 長い拮抗の後、競り勝ったものが雄叫びを上げた。

 

「オラァァ‼」

「クッ……ガハァッ!?」

 

 赤い装甲が彼方に吹き飛び、地面に転がり土煙を上げる。体から青い炎をたなびかせながら、クローズチャージは着地し、拳を握り締める。

 

「いよっし!……勝ったぜぇぇ‼」

「何言ってんだバカ」

 

 ポカンと頭を殴られた。

 

「いって!?なにすんだよ、ぁあ!?」

「千パー俺のアシストのお陰だろ」

「百%のマックス振り切れてんぞ。あり得ねーから、良くて半々だから……、ッ!?」

 

 だが、土煙の中でゆらりと立ち上がる赤い影があった。

 

「感謝する……これで、私の単一仕様能力が使える……」

「どこに行く!……ッ!この野郎‼」

 

 ブラッドスタークがやったように、真紅の残像を引きながら専用機持ちの方向へ高速で移動する『赤騎士』。そして、その中の一人、『包帯を巻いた彼女』に向かって手を伸ばした。

 

「……!させんっ!」

 

 とっさにラウラが箒の前に立ち、AICを展開するも『赤騎士』のブレートがどす黒い光を放ち始めた。

 血みどろのISが、AICの範囲内に入った時、それが起こる。

 

――――パキンッ……!

 

「な、に……っ!?」

 

 小気味の良い音をたてて、『AICの作用している空間そのもの』が切り裂かれた。

 

「……ッ、ラウラァ‼」

 

 目の前で嗜虐的に笑う『赤騎士』の顔。振りかぶられる血染の刀。それが何故か間延びした記憶の中でぼんやりと浮かんでいた。彼女は今の状態を、以前に聞いたことがある、所謂走馬燈という言葉に思い至った。

 

(……、あぁ、ここで……死ぬのか。最後の最後で、答えを見つけられそうだったが……まぁ)

 

 箒の方に目を向ける。突き飛ばしたことで剣の攻撃の範囲外に逃れていたのを見て、何故だかは分からない……しかし、自然に笑みが浮かんだ。

 

――――変われた……かな……

 

 そう思った時だった。

 

 

 

 

 

 

 

「何勝手に諦めてんだ、ゴラァ」

「……ッ!?貴様……ッ!?」

 

【ツインブレイク‼】

 

「がはっ!グリス、貴様…」

 

 ラウラを救ったのは、またもや黄金の精神を持つ『彼』だった。

 

「……、ったく。世話の焼ける銀髪だな。オラエビフライ、ビートクローザー(これ)貸せ。あとロックフルボトル(コレ)も」

 

【潰れな~い!ディスチャージクラッシュ!】

 

「ぉおい!?勝手に取ってんじゃねーよ!」

 

 グリスはロックフルボトルで強制的にアンロックしたビートクローザーを構え、持っていたフェニックスフルボトルをセットする。

 

【スペシャルチューン!ヒッパレー!】

 

「オォラァッ‼」

 

 大きく振りかぶって、紅蓮の炎の斬撃を放つグリス。

 

【スマッシュスラッシュ!】

 

 紙一重で躱すも、『赤騎士』は先頃から動きが劣化していた。

 

「っち、私は活動限界だ。VTシステムのデータごときでは、四割の力すら出せないのか……」

「『赤騎士』さん、肝心なところで……!」

「仕方なかろう?そもそも今回の目的は私を生み出すことだったらしいではないか。戦闘になるなど聞いていない……」

 

 どうやらクローズチャージやグリスとの戦いも、『赤騎士』は本気を出せていなかったらしい。IS学園の生徒たちはブリュンヒルデの秘めたる力に畏敬の念を抱き、声も出なかった。

 そんな、戦闘が佳境になる中、その場にある少女の一言がポツリと聞こえてきた。

 

「……、何故お前はそんなにも強い……」

 

 生徒たちが振り返れば、ラウラを庇うように、彼女に背を向けて立つ仮面ライダーがいた。

 彼女の疑問に、黄金の戦士は口を開く。

 

「強い、強いねぇ?……そんなこたぁねぇよ。人間、皆どっか弱さを抱えてる。それでも強いって言うのなら……。そうだ、一つ良いコトを教えてやろう」

「……何だ」

「例えお前が俺と同じ力を得ても……お前は俺に勝てない」

 

 いつもの調子でそう言った。以前のラウラであったのならば、激昂していた所だろう。しかしそれを黙って聞いている。

 

「前までのお前には心火がなかった。命をかけるべき大事なモノがなかった……張りつめただけの糸はすぐ切れるっつーことだ」

 

 『だが、』と言葉を切り……彼女が身を挺して守ろうとした箒を見て、言葉を付け足した。

 

「俺が言うのも何だが、俺達には誰もいない……――――だがお前には『仲間』がいる、新たに出来た『友』がいる。そいつらからてめぇの心火に、魂をくべてもらえ。そして……命を懸けて、『仲間』と共に闘え‼お前はもう……誰かに認められてんだ」

 

 不意に、ラウラの目から涙がこぼれた。始めはポロリと一滴垂れただけだったが……徐々に池の堰をきったように流れ出す。

 

 止まらない。戦場だというのに止めどなく涙があふれる。慌ててグシグシと目を擦る。今までため込んで来た暗い感情まで洗い流されるかのようだった……。

 その時だ。ふわり、と……不器用ながらも優しく、頭の上に手が置かれた。

 

「泣いて良い……それは本当の弱さじゃねぇ。それが弱さだとしても拒むな。お前は泣きながら進め。涙は誰かが拭ってくれる」

 

 その時の黄金の仮面ライダーは……月の落とし子(ラウラ)の目には眩い太陽のように映っていた。自分では輝くことができない月を、優しく照らしてくれているかのように……。

 心にずっと雨が降っていた。しとしと黒い雨が降っていた。だが、彼女の心に蝙蝠傘が差しだされる。全人類を守らんばかりの傘を、金髪の男は持っていた。

 

「自信を持て銀髪……。いや、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』。弱さを知ってる『人間』だけが前に進めるんだ。だから本当に強くなれんだよ」

 

 そう言って、近づいてきていた『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』にビートクローザーを振るい、膂力を活かして地面に撃ち落とすグリス。

 

「がっは……!?生み出されたばかりとはいえ、星狩りの一族になったわたくしが押し負けるだなんて……。シャルル・デュノア、貴様いったい……何故そうまで……ッ!?」

 

 興味なさげにISを見ると、ビートクローザーを何処かへ放り投げるシャルル。

 

「強さに終わりなんてねぇ。俺は何処までも強くなる……!あいつ等の『カシラ』である限りはなァ‼おら、立てよ……もっと俺を楽しませろぉぉぉぉぉッ‼」

 

 そう言うと荒々しく『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』を脚を掴み、スイングしたのちまた地面に叩きつける。

 

「ガハァ!?」

 

 そして……もう一度彼女にパンチを入れ、蹴りやすい姿勢に動かすと……。

 

「希望!情動!信愛‼」

 

 ハイテンションに告げ、スクラッシュドライバーのレンチを下げた。

 

「これが俺のォ!強さだァァァァァァァァッ‼」

 

【スクラップフィニッシュ‼】

 

 肩のスラスターが後方を向き、黒い翼が金色の身体に映える。そのまま黄金のエネルギーをまとった蹴りが、深々と『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』の腹部に突き刺さる。

 

「ハァァァァァァァァァァッ‼」

「うっぐ……!あぁああアアアァァァァァァァァッ!?」

 

 スライディングするようにアリーナ内に着地するグリス。一方、断末魔に近い叫びをあげた『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』は、空中で手を伸ばしもがいたが……。

 

 

 

『許さん!許さんぞ人間が、人間如きの、下等生物がァァァァァ!?あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッッッッッッッッッ!?』

 

 

 

 業炎が蒼穹を焼き焦がさんばかりに解放される。

 

 

 

 ブラッド・ティアーズを名乗っていた謎のISは、断末魔を残して爆散した。彼女がいた場所に、赤いイヤーカフスがカランと落ちる。

 

『……お疲れさん、おやすみ』

 

 それを拾い上げ、ブラッドスタークは冷淡に言い放つのだった。




―GAME OVER……―
戦兎「だァ‼また駄目だ‼なんだよこのゲームてぇん↑さい↓科学者のオレでもクリアが難しいって!?」
千冬「遊んでる訳じゃないんだよな……?」
真耶「なら……ノーコンティニューでクリアする‼」
千冬「え、キャラ変わった……?山田君……?」
真耶「黙って見てろ‼天才ゲーマーMを舐めるなよ‼」
戦兎・千冬「「えっ、あっ、はい……」」
宇佐美幻神『ほうこれは……何ィ!?ユニークスキル《ハイパームテキ》(一切の効果を受けないスキル)に選ばれるだとぅ!?』
千冬「それなんてチート能力……」
宇佐美幻神『リアルでハイパームテキなおまいう』

亡国のM「はっくちゅ!……なんか名前被った気がする……」

アイデア提供元:ウルト兎様、ありがとうございます!



※2020/12/28
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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