IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N 作:サルミアッキ
惣万「それただただ筆者の都合がつかなかったからだろ……」
宇佐美「ま、モチベーションとか、他の方の作品を見て英気を養っていたらしいぞ」
惣万「……っ、宇佐美が……『他の方』って丁寧語話せている……!?」
宇佐美「おい、喧嘩を売っているのか。一般常識は学習しているぞ、檀黎斗テンションが出るのは時々だけだからな」
惣万「……そうなのか……?」
宇佐美「あぁ、TPOは弁えている。読者に嫌われるのは構わんが、惣万に泥を塗りたくないのでな」
惣万「……、え、えと……取り敢えず夏休み閑話ですどーぞ!」
宇佐美「前回とのギャップが凄いな……」
夏休み閑話 『シャルルとラウラと時々クロエ』
まだ夏真っ盛りの季節。朝は涼しいとは言うが、そんな訳はない。
「あ゛あ゛ー、あぢー……んぁ?」
シャルルたちが泊っている用務員室にて。そこでは雑魚寝で扇風機を回しながら寝ているのだが……今日の彼は妙に寝起きが悪かった。タオルケットと身体の間にある妙な異物の所為で目が醒める。……………………その物体がごにょっと動き、もぞもぞと頭が飛び出した。
「よめー……えへへ……」
「……何でコイツ、俺の布団入ってんだ?」
頭を枕から少し起こしてみると、幸せそうな顔で寝ているラウラ。タオルケットからぴょこんと出ている頭が、穴掘りするウサギに思えて仕方がなかったとか何とか。
「おぉい、起っきろー……駄目だ寝こけてやがる」
シャルルは布団に入っている手を動かして、身体を揺らして起こそうとする、が……。
「チッ…とっとと部屋に返すか…ぁああああああああああああああああああああああああああああああッ⁉」
シャルルン、大絶叫。両手で身体を持って立ち上がらせてみたら、丸見えだった。ネイキッドだった。二つの意味で紳士なシャルルは大絶叫ものである。何せ母親に女性に対する扱いをきつくしごかれているからで……口にするのはやめておこう、シャルルが発狂する。
「……んー?何だ嫁よー、もう朝かー?」
「おっま、えっおまッ、…服はどうしたんだゴラ!…あ、見てないッ‼見てませんですよ‼」
顔真っ赤にしながらタオルケットをラウラに向かって投げつける。このぞんざいな扱い、ブラックラビッ党に誅罰下されろ。最近ファウス党やらハザードラビッ党などの対抗政党が上がってるが、ブラックラビッ党のみなさんも結構残ってるはず……え、シャルルなら別にいい?ナジェナンデェス。
「だから見てないっつってんだろ‼頼むよくーたん信じてくれよォ‼」
「……何故叫ぶ?お前は私の嫁だ、……な?」
「ぬぁにが首こてっとしてからの『……な?』だよ銀髪お前‼ッたく腹が冷えるだろ風邪ひくだろ自重しろォ‼」
「…………………ふむ、私の事を思ってくれているのか。奥ゆかしいな」
「ちげーよ‼俺の精神衛生の為だよっ‼」
朝っぱらから
「カシラー、今日は暇でしたよねー、丁度ルージュとジョーヌが買い物……、…」
起きたとみなされ誰かがやってくるのである。割と常識人なブルが目の前の状況を見て固まった。
「「「…………………………………」」」
ラウラはジト目で眉をひそめてシッシと手を払う。しかもネイキッドスタイル。
「(あゝ厄介ごとだな……)…………………………………ごゆっくり」
「うむ、空気が読める副官だな」
「待てやァァァァァ‼オ゛ォォイ゛‼」
何故いつもはまともな三馬鹿の一人が現状を把握できなかったのか……。多分出番が少なかった事があるんだろうな……。(出番くださいby蛸が刻まれたフルボトル)
閑話休題。現状を完全に把握したブルによりラウラは引き離され、シャルルはその他二人に何があったか説明しながら朝食を摂った。……そしてルージュが思いっきり頭を叩かれたことは省略する。理由?……戸締り確認は大事です、ということは言っておこう。
「ッ、あーぁ、折角くーたんに会いに行こうと思っていたのによぉ……ん?」
そうこうしているうちに、シャルルの頭上に
「そうだな……くーたんの服買っていくか。おい銀髪!」
「何だー?」
「お前ちょっと着せ替え人形になれ」
「「「カシラェ……」」」
あんまりな言い方である。余程、モーニングコールショック……別名『突撃隣の嫁裸体』にびっくりしていたのであろう。シャルル人生最大の恐怖体験であった。テキラタイッ‼
「……わーってるよ、こいつにもなんか買ってやるよ……それでいいか銀髪?」
「?(よく分かってない顔)」
……ラウラも一般常識には疎かった為どっこいどっこいであった。誰がこいつらに常識を……無理だわ。常識から遠いところにいるわ、こいつら。
そんなこんなでレゾナンス……なのだが、人集りが出来きていてなかなか先に進めない。周囲から「金髪ガテン系男子と銀髪軍人系女子…はぅ」等の声が聞こえてくるが二人は理解できなかった。
以下当事者たちの心の内。
(シャルルン:んな事よりくーたん……まぁちょっとくらいは銀髪)
(ラウラン:そんな事より嫁、あと教官)
(くーたん:……私に質問をするなぁ!?)
「……ま、カシラとボーデヴィッヒさんが店に来ればこうなるわな……」
「えぇルージュ……見慣れてしまいましたが、どっちも非の打ち所がない美男美女ですしね……」
「何か、ココに居たら金魚のフンみたいw」
「「言うな、哀しくなる……」」
「ど…どっ、どんな服をお探しでしょうかッ⁈」
どもりながらシャルルとラウラに向き合う店長さん。何か手を蜘蛛みたいにワキワキさせているんだが……、憑依されてないよね?
「とりあえずこの銀髪に似合う服を探しているんすけど、おすすめは?あと三着程選んでもらっても?」
「こちらの方ですね!三着と言わず十着程見立てましょう!」
「あとこいつのお姉様にもプレゼントが必要なんで、ラッピング包装でお願いします。あと写真これです」
そう言ってくーたんとのツーショット写真を見せるシャルルン(因みにコレを撮影するのに惣万に一万円払いました)。
「成程……フリルワンピースとかですかね……ですがデニム地のものも似合うかも……」
「えぇ、それも良いっすけど夏ですし風通しの良さそうなシースルー構造の……インナーが見えたりするのもどーでしょうか」
ヒートアップしていく店長とシャルルン。女性モノの服をよく知っているモノだ……ただひとえにくーたんの為であるが。
「……嫁?どれだけ着ればいいのだ?」
「ぁん?常識から考えて買う服の十倍は着てくれ?そーでもしねぇと良いモノ見つけらんねぇからな」
「……い、いやそれは流石に面倒『めんどくせぇは、ナシだ』……むぅ……」
思わずむくれるブラックラビッ兎。……………………まさかシャルルでもシャルロットのセリフが聞けるとは思わなんだ。
(服……、所詮服だぞ?どうしてこんなに着なければならんのだ……)
そんな事を思うラウラちゃん。だが……。
「うーん、コレは……くーたんじゃなくてお前にしか似合わねぇ……。あ、でもこっちも悪くないか?……うん、意外に可愛い系も合うな銀髪お前」
「かわっ……!?な、かわ……!」
「あん?何してんだ、ほら早く入れ」
シャルルは制服姿の彼女を試着室へと乱暴に放り込むのだった。
(……………………嫁が選んでくれた服、か……。……………………ふふっ)
そんなこんなで着替えた一着目、それはハイヒールとワンピースのセットだった。クロエが好んで着用する白いものとデザインが近しいが、こちらは黒がメインカラーになっている。彼女は『似合うかな、どうかな』とか思いながら試着室のカーテンを開けると、一瞬にしてそのフロアの客の視線が彼女に集中する……。
「おぉ、中々似合うじゃねーか」
シャルルは感心したようにラウラを眺めた。いつものつんけんした様子はなく、非常に感心しきりなようで、ラウラも鼻高々な調子で胸を張った。
「はっは!そうだろう、見直したか嫁よ…、ッあっ」
だが、履きなれない靴に思わず姿勢を崩す。咄嗟にシャルルの体にもたれかかっていた。
「あ、ぁ……すまないな嫁……む?」
「……………ッ、……」
シャルルはこわばった顔でラウラを見ていた。何故だ……?と思う。……そして今朝の出来事を思い出す。
「(ッ……もしや……?)あ、本当にすまなかった……!」
シャルルはどうにも自分と接触するのを避けている……………………そう思わずにはいられないラウラ。彼女は申し訳無い気持ちいっぱいで謝った。だが……。
「……、ったくホントだよ……」
「…………………………………………えっ?」
ふん、と鼻を鳴らすとシャルルはたった一言ぶっきらぼうに耳元で囁く。
「……………………気ィ付けろ」
…………………………………因みに二人の体勢、何がどうなったのか知らんがお姫様抱っこである。お姫様抱っこである(大事なことなので二回言いました)。
「え、……あ、え……?」
「……………………っ」
気まずくなったのか、シャルルはそそくさと会計を済ませ……(とは言っても万札をばらまくようにしてカウンターに叩きつけただけだったが)、逃げるように四人を引き連れて店内から出ていった……。なお、この後、服屋が尊みで『福屋』と化していたのはまた別の話……(要するに鼻血が止まらない店長とか泣いて神に感謝する店員とか尊死しかかったお客さんとかがおりました)。
「あー、わりーな急に店出ていっちまって……」
「あ、いや、別に買うモノが買えたのだからよかったではないか……」
どうにもさっきの事が原因でギクシャクしたまま昼食休憩をする二人。因みに三羽烏は背後のテーブルで好き勝手に食っている。
「……………………(あーやっべー!どうしよう朝の出来事が衝撃的過ぎてまともにこいつの顔見られねぇ!?え、俺今の今までコイツとどーゆうふうに付き合ってきたっけ⁉……………………そう言えば結構なおざりにしてきてなかったか?くっそ、めんどくさがらずにもっとちゃんと会話に付き合ってやらんきゃだったな、後の祭りか……)」
「……………………(嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ嫁にお姫様抱っこ……)」
何故だか分からないが頬を染めてそっぽを向き合う二人……。シャルル、意外に純朴だったんだね……。そんなちょっと初心初心な二人組の下にやって来るスーツ姿の女性。
「ねぇ貴方達!」
「んぁ?」
「?」
渡りに船、とばかりにその女性に顔を向けたシャルとラウラ。そしてスーツ姿の女の人はシャルルたち五人に向かって口を開いた。
「バイトしない!?」
「「ん?」」
「「「え?」」」
なんだかんだで彼女が店長であったカフェ、『@クルーズ』にやって来た金髪銀髪以下赤、青、黄色。何でも急に従業員がやめてしまう事態が発生、その上本社の視察やら新メニュー開発で店の裏はてんやわんややら泣き言を宣う店長さん。苦労性のブルに至っては途轍もない親近感が湧いていたとか。
そんな可哀そうな店長の頼む姿に拒否などできるはずも無く。五人まとめて一日バイトの流れになったのだが……。
「ったく……フランスの片田舎のイモ臭ぇ俺が執事って、なぁ……」
シャルルはダルそうに頭を掻きながらネクタイを締める。社交界についても母親にトラウマになる程指導されてきた為、手慣れた手つきでカフスや手袋を身に着けていく。
「……あん?どうしたお前等。……あぁ、似合わねぇってか?知ってるよ」
(((いやいやいや!?似合い過ぎ!?)))
だが、三羽烏は彼の容姿端麗な執事姿に目を奪われていた。長髪を後ろ首で結んだことが、野性的な彼の魅力に上品さを添えている。そしてアメジストの様な瞳に伊達眼鏡を重ねることで、いつもの鋭い視線が知的に冴え返る。めんどくさそうに眼鏡を突く様子さえ様になっていた。
「お、ぉ……似合っているではないか……」
ラウラのその言葉は女従業員の心の内を代弁していた。シャルルは無心に懐中時計を弄りながら使用人姿の彼女に向き合う。
「ぁりがとよ。そー言うお前も……、あぁ。悪くねぇな……」
「!ホントか!」
「ん、あぁ……くーたんほどじゃないが、な」
「……、むー……」
姉の名前を出されてリスみたいにほっぺを膨らませるラウラ。やだ、ヤキモチ……と他のメイドは顔を少し赤らめる。
「で、カシラ……何でウチらまで?」
「別にいーだろ、バイト代出るんだし」
「メイド三羽烏、ですか……」
「ねぇねぇ聞いた!?賄いでパンケーキ食べられるんだって!」
「ジョーヌ、お客さんの分食べないでくださいよ……取り敢えず注文取りに行きますね……」
ちなみに賄いのパンケーキは絶品だとか……なんでも実家が蜂蜜農家で甘い蜂蜜は大量に手に入るからだそうだ。素晴らしきかな、
「いらっしゃいませ、お客様。ようこそ@クルーズへ」
「お嬢様。こちらの席へどうぞ」
「はっ、ひゃい……」
過去最大級の客入りになるカフェ『@クルーズ』。この一日の売り上げは近隣の飲食店も驚かされる程で、某女顔の店主は『くっそ、ならクロエを店先に出すしか……』と血迷っていたとか。ほとんどの客層を捕られた五反田食堂は閑古鳥が鳴いていたとか。その巨大すぎる要因は金髪の執事と銀髪のメイドさんである。
「お嬢様、もしよろしければ一曲弾かせていただきますが……いかがいたしましょうか?」
「あ、はい……じゃあお願いします……♡」
突然カフェの中に響き渡るヴァイオリンの音色。今回シャルルが弾くのは名もない練習曲。母親が好んで弾いていた彼を彼たらしめる思い出の曲。曲名を名付けるならば……『シャルルのエチュード』だろうか。
「……………………美しい曲だな……」
コーヒーを運んでいたラウラも耳を澄ませてシャルルが奏でるメロディーに身を任せる。ヴァイオリンを細やかな指使いで触れ、弓を持つ手が別の生き物になったかの様に滑らかに動く。そんな一挙一動が絵になる金髪の執事……。お客は言わずもがな、店長や従業員たちも穏やかな顔でその音色に酔いしれる。
(お袋はこの曲を夜寝着くまで俺に聞かせていてくれたっけ……そうだ、お袋が遺してくれたヴァイオリン、今日帰ったら触れてみるか。最近触っていなかったし……)
彼の脳裏はコスモスが飾られた昔の家に戻って来ていた。満月が昇る優しい夜、三羽烏になる前の三人娘が寝静まる刻限、母親とシャルルは庭に出て静かな優しい唄を奏でる。母親の指はシャルルの手と重なり、二人一緒になって音楽を紡ぐ…………………。
―ガチャンッッ‼―
……その時だ。突然無粋な声が店内に響いた。
「全員動くんじゃねぇ‼」
「……ん?」
目を閉じてヴァイオリンを弾いていたシャルルは瞼を開けた。ドアを壊さんばかりになだれ込んで来た目出し帽の男たち。見るからに『強盗です』と言った格好で、バックには札束がはち切れんばかりに詰まっていた。
―バァン‼―
そして短気に爆発する手の中の拳銃。一瞬呆気にとられる店内の人間達だったが、即座に今の状況を理解し悲鳴を上げパニックを上げる。
「騒ぐんじゃねぇッ‼黙ってろ‼」
そして窓を蹴破り包囲網を作る警察車両に向け叫ぶ。
「こっちには人質がいる!逃走用の車を一台用意しろ!発信機なんてつけるんじゃないぞ‼」
そしておまけとばかりにサブマシンガンでパトカーへと発砲する。その音に店内の女性客は頭を抱え、涙を流す……。
「……うるせぇな、ったく……」
だが、強盗団は絶望的に不幸にも知らなかった。どー考えても人質になりそうもない出鱈目人間が一人いることを。本当に機嫌悪そうにそのビックリ人間は呟くと、ズカズカと強盗犯のもとに近づいていった。
「ッ、オイてめぇッ!動くなっつったろうが‼」
思わずキレてハンドガンを構える男性犯罪者。そして店内の視線全てが金髪の執事へと集まって来る。真っ青になる女性たち……(一部除く)。彼の無謀にも思える行動と、彼の末路を感じ取り、顔を歪ませ声を押し殺す。
「あー、お客様。店内でのその様な行動は他のお客様の迷惑になるのでやめていただきたいかと。後々店内の備品の請求をさせていただきますが……宜しいっすかぁ?」
淡々と、だが真っ直ぐ強盗を見てシャルルは言う。哀れにも強盗たちは知らない……今対峙している男がどれ程バケモノであるのかを。
「……はぁ?なにいってんだこいつ?頭大丈夫か?」
「構うこたねぇ!殺して見せしめだ‼」
その瞬間、マシンガンが回転する。火花と弾丸が宙を散り……シャルルに向かって飛んで行く。
―ドパパパパパパパパパパパ‼―
だが、説明は今までの活躍を見て来て不要だろう。彼はシャルル・デュノアである。シャルルの手が残像の様にブレ、宙を舞う銃弾が
「……………………えっ」
「……おーいクソお客様……鉛玉が勘定たぁ素敵な教育受けてんな……愉快で腹がよじれそうだぜ?……お前等のな」
「ふんぐぶっ!?」
そう言って三日月の様な笑みを浮かべたシャルルは一人目の腹を蹴り上げ、窓の外へと吹き飛ばす。仲間の末路を強盗たちが呆気にとられて見る事しか出来なかった。
「はっ……?」
そして、彼が握りしめた両手を開くと……。
―ゴトッ、ガラン……―
…………………………………しーん…………………………………
シャルルの両の手からは、情けなく光る『ナニカの残骸』が零れ落ちた。それを見て阿保みたいな顔になる強盗たち。パニックに陥っていた店内の空気が死ぬ……。と言うかこれほど『しーん』というオノマトペが相応しい空間は無かった。
「うむ、流石嫁だ」
「嫁じゃねーから」
シャルルは弾丸を手の中に入れ込んだ瞬間に握り潰し、数十発の玉を両手で一個の鉄塊に変えたのである。
「…………………………………ばっ」
「あん?」
シャルルはサングラスが似合いそうな声色を上げてから強盗犯達を睨むと……其奴らがこの場の気持ちを代弁するかのように叫んだ。
「ばけもンじゃねぇかぁッッッ!?」
「あー……自覚ねぇがやっぱりそうなのか?織斑先公とか鈴とかできそうじゃね?」
「多分できるな。……そう言えば私も最近セシリアに飛んでくる銃弾を撃ち落とす芸当を教えてもらったぞ。だから大丈夫だ!」
「何が?」
キョトンとした顔になる金髪の執事。だが、自分に対するフォローだという事は分かったので頭を撫でておいた、……………………ほんっといやいやながら。その行為に一瞬で頭が沸騰しかける銀髪うさちゃん。いやんいやんと言わんばかりに頬を抑えて顔を振る。
「ごちゃごちゃ何言ってんだァ‼」
「「うるせぇ(さい)‼」」
「げぶらっ‼」
銃を向けた強盗は気を失う羽目になった。見事なコンビネーションキックだったと言っておこう。……だが、追い詰められた男は何をしでかすか分からない。
「……ん?おいおっさん何してんだ……、!」
「ざっけんな……、捕まってムショ暮らしになるくらいなら、いっそ全部吹き飛ばしてやらあぁぁぁぁぁっ!」
「ちっ、短絡思考だなオイ‼」
丁度その時である。
「えぇっとすいません……騒がしいのですけど何かあったんですか……ってアレ?」
「く、くーたぁん!?あ、うっそまじ何でいるの!?」
「げぶっ!」
(爆弾を持った強盗犯の腹にシャイニングウィザードをぶち込みながら)愛しの人の元に走るシャルル。……いや待って、()内がもっと重要だと思う、さらっと無力化しておいてくーたんの方が大事か。
「グリスゥ!?それにラウラ!こっ、この状況は一体!?」
当然彼女は何が目の前に起きているのか理解しきれなかった。当たり前だ、誰だってこんなこと理解できるわけがない。シャルルの後ろではルージュが爆弾を持った強盗犯を気絶させる。……のだが。
「よし気絶‼信管抜いて!」
「信管……ってどれ?ルージュ?」
「爆弾の処理をやった事お忘れですか!?えぇい貸しなさいほら早く‼」
「あ、はーい……あ」
「い゛や゛ぁァァすっぽ抜けたァァァァ⁉」
三馬鹿の声と共に宙を舞うプラスチック爆弾。ギャグマンガの様に綺麗な弧を描いたそれは、窓の向こうの警察の下へと落ちかける……。
「あー……しゃあねぇなァっ!」
「嫁!?」
突然窓へと疾走する金色の影。ラウラの顔が驚きで強張り、目が見開かれた。彼女達を守る為、爆弾をひったくって自分の懐に入れて身を屈めたのは……彼女の愛しい人だった。
―ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァンンンッッッッッッ‼―
凄まじい爆発音が店内に響く。だが、驚いたことに被害は全くない。爆炎が周囲に広がらなかったお陰で、客は誰も傷つくことはなかった。そう客は……。
「…………う、そだろ……嫁……?嫁ェェェ‼」
黒煙の中に倒れ込む一人の影……。その様子に店長もお客も強盗すら口を噤む。その壮絶な自己犠牲に息をのむしかなかった。
「お、おい……。返事をしてくれ……。なぁ嫁ェ!?」
「グリス……?そんな……」
ラウラは涙をこぼしながら、クロエは震える声で散ったその男の事を思う。走馬灯のように今までの出来事が思い返される……。だが、そんな姉妹の思惑は余所に……。
「「「…………………………………あー、うん……(この後のオチ分かった……)」」」
―のそっ…………………………………―
「あー、死ぬかと思った。ちっ、ちょっと火傷しちまったじゃねーか」
「「「「「…………………………………は?」」」」」
上半身がほぼ裸になったシャルルが立ち上がった。
「嫁……か……?プラスチック爆弾を抱え込んで……無事だったのか……?」
「コレが無事に見えるか?店の備品の燕尾服が燃えちまったっつーのに……」
唖然とした表情を目の前の兵士に見せる姉妹。そんな事も気にせずに、あーあ、減給だなこりゃ、とつぶやきながら燃える燕尾服を脱いだシャルルン。無駄に良い身体には煤けた痕があるものの怪我という怪我は一切見られない。……最早コイツ何なの……。
「ま、お前等が無事でよかったよ……」
「よっ、よ゛め゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼」
その言葉に反応するかのようにラウラが彼に向かってダイブした。半裸の彼はドッグタグのみが輝く胸に彼女を埋めさせてやり、彼女をあやした後……。
「…………………………………それに、くーたぁん‼見ていてくれたっ?僕頑張ったよね!」
「ぅぇっ……きしょッ……」
「まぁまぁそう言わず!実は君にプレゼントがあって……」
全てを台無しにした。これが頭クオリティ……そんなカシラに最後までカッコつけなかった天罰なのか。
「……あのーカシラー」
「ぁん?ジョーヌどした?」
「……さっきの爆発で……プレゼント包装した服が……」
―……メラメラ……パチパチッ……―
「…………………………………」
「…………………………………」
「…………………………………」
プレゼントが全焼しておったそうな【SE:キャァァァァァ‼】
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!?」
燃える服を必死こいて火を消してみたが、とても着ることができる品物ではなかった。哀れ、シャルルのコスモス畑の夢が『割れる!食われる!砕け散るゥ!』そしてシャルルも同じように燃え尽きて灰になっていた……。
「…………………………………おい、ゴラ」
「「「「ひぃっっ!?」」」」
そしてゆらりと立ち上がる執事の皮を脱ぎ払った悪魔……。アレ?あくまで執事ですから、なアレ?
「警察行く前に、ちょっと彼岸に行ってみっか?」
手にしていた武器を取られ全身を縛られた強盗犯達はこれから起こることを察した。察してしまったんだね、かわいそう……。ゴキゴキと音を鳴らしながら鬼と化したシャルルは近づいてくる。ってかフランス人なのに彼岸なんて言葉知ってるんだね……(現実逃避)。
「さーて……せぇのォッッッ‼」
「「「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!?」」」」
因みに強盗犯のメンバーみんな綺麗なお花畑を見てきたらしい、みんな、川の向こう側の祖父母に叱られたってよ。
「ところで何でくーたんはあの店にいたんだ?」
なんだかんだあった後、シャルルはとあるクレープ屋でクランベリーソースのクレープをモソモソと食う。因みにラウラはストロベリー、クロエはブルーベリー、三羽烏はワイルドベリーソースだったそうな。……ん、ミックスベリー……?
「……、確か夏休み明け、IS学園は学園祭でしょう?それで色々とコネをつくってまわっていたんです。惣万さん曰く、『学園祭でメイド喫茶は鉄板』とか言って」
お義父さん有難うッ‼︎と心の中のシャルルはガッツポーズをとる。Ciao、という声が何処からともなく聞こえてきた。
「メイド服……ねぇ……ディヒッ♡」
「その……まぁ、感謝はしているので……ちょっと付き合ってもらってもいいですか?あとラウラも」
「?私もか、姉さん……?」
「(えぇっと……これをするのか?姉さん)」
「(貴女は別に良いでしょうがこちとらグリスに追い掛け回されるのは御免なんですよ。だったらこの出来事にかこつけてこうした方が……幾らかマシです……)」
ここはレストランカフェnascita、その個室でゴソゴソ身動ぎする銀髪の二人。……あ、決していかがわしい意味じゃありません。そんな事したらお義父さんが止めます(惣万)。
「お前さんがウチの店に来るの久しぶりだな。出禁食らったと思ってたんだが……えぇと、仮面ライダー……オイルのシャルロットだっけ?」
「グリスですオトーサン。シャルル・デュノアです。……あ、コーヒー美味いっす」
「そりゃどーも。三羽烏の君達もお代わりいる?」
そんなこんなでコーヒーを淹れて回る灰色髪の青年。と、突然冷蔵庫の扉が開き、エレベーターから降りてくる黒装束のローブの二人。
「お、来た来た………妹ちゃんと何してたんだクロ…え……?」
そして、お義父さんは目を疑う。自分の義娘の格好に……………………。
「じゃ…」「じゃーんっ♡どうだ嫁ー!」
二人は胸元はぱっくり開いたハイレグの服を身に着けていた。そして申し訳程度の蝶ネクタイと臀部に付いたぽわぽわした毛玉、ぴょこんと揺れるうさぎの耳。そう、見間違うこと無きバニーガール姿である。姉が白、妹が黒とカラーリングもベストマッチ。(「束さんも入れてー!」「オレもー!」)いや喧しいわディザスターラビットとハザードラビットはお帰り願おうか。
「……何でソレなんだよ……うっ?ハザードラビット……?戦兎?スタッグ……あっ、頭が……!」
「どしたのブル?」
急に頭を押さえて苦しみだしたスタッグハードスマッシュちゃん。安心して、今の状況ならカシラはハザードトリガー使わせないと思うよ。
「か……………………」
一方呆然としながら急に立ち上がった金髪ドルオタ。うわ言の様に口をパクパクし続けている……。
「こっちはこっちでどうしたんだ……?」
「……、かんわいぃぃィィィィィやっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッッ!!!!」
――――ドッガァァァァァァンンン‼
「「……、は?」」
「「「カシラァァァァァァァァ‼」」」
ガッツポーズをした彼は、大ジャンプ……nasitaの天井に大穴を開けた。如何やら感情が身体の限界を超えたらしい、ハザードレベルの急上昇でシャルルンはお星さまになったのでした……。
「アレ?アイツ空調ぶち抜きやがった……?」
…………………………夏場にソレは地獄なんだが……。
惣万「どーしよ、一先ず空調設備工事が終わるまでnascitaは休業として……何処に泊ろうか……はっ!」
次回、お宅訪問編!
今後の進め方の優先事項
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瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
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夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
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ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
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全部