IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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惣万「ついに復活したかァァァァァァァァ⁉」
オータム「何キレてんだよ…お前」
幻「更新二年近く止まっていたからな、それはキレるだろうに」
ブリッツ「二年もたてば色々なことがある~。仮面ライダーは令和二代目のセイバーになったし~、月姫がリメイクされたし~」
シュトルム「月姫は嘘でしょう」
幻「嘘だろうな」
惣万「嘘だな」
ブリッツ「え~…ほんとなのに……」


夏休み閑話 『冬夏青々、千秋万古(ネバーエンディング・ストーリー)

 こんな世界に、神なぞいない。こんな世界に、救いなぞない。それが、私が生まれてきて一番初めに気付いた真実だった。

 

 

 

 誰かからのお恵みなんぞ、慈愛でもなんでもなかった。私らを戦争の駒にする為の甘い囁き、思考力と反抗心を奪っていくだけの、真綿の首吊り縄(ハングマンズノット)

 

『毎度ご注文ありがとうございます。それでは、少年兵部隊(ドローン)の確認をば』

『ふふふ…――――。ん?顔立ちの良い娘がいるな、名は…“アーミア・キー”か』

『おっと、お気をつけを。ソレらを人間扱いなさっては問題になりますよ?ソレは我々が幼少期から鍛え上げた、ただの兵器です』

『あぁ、そうだったそうだった!人間なんてものを使っていたら倫理的に悪趣味でどうもいかんな!ははは!』

『えぇえぇ!このご時世、誰が聞いているか分かりませんからね。では、またごひいきに』

 

 生きている限り何かに騙され玩ばれ、力あるお前らが濁った黒を灰色の白に塗り替えた。過程なんざ、海の向こうで知らん振りした連中にとっちゃどうでもいいんだろうな。最後まで立っていたヤツを英雄だと抜かしやがる。頭沸いてるんじゃねぇか?

 んでもって、はじめっから“何か”を持っていやがるだけで、選ばれた者気取りの馬鹿共が跋扈する。あぁそうだよ、お前らは選ばれていた。偶然というヤツに選ばれていた。

 ただそれだけだった。

 

『…――――けんな』

 

 それ以外に何もねぇだろ、お前らは…――――。何も考えずに私たちを使い捨てのゴミみてぇに扱って、戦争を続けてきたんだろ。ガキだろうと女だろうと関係なく、便利なお道具に銃を持たせて、お前らは高みの見物か。

 

『ざけんな。ふざけんな。私は、生きる。ぜってぇ、死なねぇ…――――!』

 

 

 

 

 

 …――――見たか。私は生き残ったぞ。お前らに戦って死ねと言われようが、私は生き延びた。死ぬわけねぇだろ。自分の名前も知らねぇ頃に誘拐され、人殺しを教え込まれ、神の御前にだとか洗脳されて…――――。それでも死に物狂いで生き永らえてやったぞ。感謝してるよ、ここまで戦いの道具として育ててくださって。おかげで、死ななくて済んだ。あ・り・が・と・ぉ。で、お前らはどうだ?…――――はは、私らに撃たれて死んでやがるじゃねえか。ざまぁみやがれ。

 

 私は生きる。生き抜いてやる。こんなクソみてぇな世界なら、死んで逃げる方が楽かもしれねぇが……――――生きてんだよ、私は。同類が死んだ中で、私みたいなのが生きてる意味があるはずなんだよ。

 やれること、可能性、残せること、選択肢…紛争で削られてった時間で、私が手に入れられなかったもんを、生きることで手に入れられるはずなんだ…。

 

 

 

 

『ぁ、あぁ、あああああ…!やめろなにすんだ放せ‼放しやがれ‼』

『ちっ、戦争上がりの混じった黄色(イエローオーカー)のクソ餓鬼が。顔だけは良いから身体買ってやったのによ!』

『ぎぁっ…!』

『何も持ってねぇお前みたいな馬鹿は、俺らに股開いて媚売ってればいいんだ』

 

 

 

 

 何だよ、これは。毒蜘蛛の巣に引っ掛かったみてぇだ。藻搔いて藻搔いて藻搔きまくってるのに、あいつ等が好き放題飛んでる蒼穹が、ずっとずっと遠くなる。身体の自由を真綿の縄が縫っていく。身体中は欲情と赤に汚れてべとべと。血塗れの身体がもっと酷く、淫蕩な有り様になっていく。

 悪趣味なベッドルームに臭気が充満し、気持ちが悪くなる。自由も、尊厳も、全て踏みにじられ、あらゆるものをオカされる。あの頃と同じ、惨めで無力な自分に吐き気がする。

 

 畜生。畜生、畜生畜生畜生畜生畜生ッ‼またこれだ、またこれだ、またこれだ‼何であっちに行けねぇんだ。這いずり回って、泥啜って、手に入るもん全部費やして、それなのに…――――それなのに。

 

 

 嗚呼、そうか。

 

 こんな世界に、神なぞいない。こんな世界に、救いなぞない。それが、私が生まれてきて一番初めに気付いた真実だった。

 馬鹿だな、私は。心のどこかで救いを求めていたってか?神様ってヤツにお願いしてたのか?馬鹿だねぇ……死んだ奴らと同じだろうが。『死んだら神様の元へ行けますよ』とかいう粗悪な洗脳で、自分の意思なく人を殺して死んだあいつらの道具と、考えてたことが一緒じゃねぇか。

 

 そぉか…――――。私の本質は変わらねぇ。過去が変わらねぇのと同じように。いくら足搔いたところで、変わるわけがねぇ。

 ならよ。私が探し求めていた生きてる意味は、私が望んでいたあいつら糞供みたいな自由は…――――この世界に生まれ落ちた瞬間から、私になんぞ存在してねぇってことじゃねぇか。全てから見放されてた私に、そんなもんがあるわけねぇよなぁ?はは、ははは、ハハハハハハハハ‼

 

 

 

 なんでだよ。願うことさえ、駄目なのかよ。変わりたいと思うことさえ駄目なのか。私はここから、何処へも行けないっていうのか…――――。

 

 …――――畜生。翅もねぇ、跳べもしねぇ、自分の糸に絡まる蜘蛛(ムシケラ)みてぇじゃねぇか。

 

 

 

 何匹もの盛りの付いた雄猿の下で身体を許した。…――――その度に、死にたくなった。仕事があれば何でもやった。人殺しだの産業スパイだの、昔取った杵柄で上手く行った。…――――まだ変われてねぇと、惨めな気持ちになった。あぁ、いつぞやどこぞの輩が私を見て言ってたな、『いつか報いを受けるだろう』とか。そりゃそうなるだろ。戦争で嫌というほど知ってるよ。でもよ…――――。

 平等じゃねぇことが当然だと思ったまま、こっちを見ようとしねぇ連中にだけは、言われたくねぇんだよ。

 

 

 

 

 

 

『ぐっ、あ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

『…――――この女、まったく口を割らんな…』

『おい、これ以上やったら情報を引き出せずに死ぬぞ?』

 

 罰が下ったんだろうな。下手こいちまった。あぁ、嗤える。

 

『…――――。ねぇ、貴女は、何を求めているの?』

『あぁ…――――?』

『どうして、こんな無謀な事を?貴女は何を願ってここに来たの?』

 

 …――――うるせぇ。

 

『何も、…――――ねぇよ…!世界には、何もねぇ!戦争の理由も、続かない平和も、噓っぱちな神も、馬鹿共が縋る救いも!何もかも存在しねぇ!馬鹿な人間共が、どいつもこいつも…!死ぬべき人間共が、自由を謳歌しやがって…!そうするしかねぇ人間を、ゴミみたいに扱いやがって……!』

 

 私の目の前に立った、無駄に豪華なカッコのブロンド女は言う。

 

『そうじゃないわ。貴女が、本当にしたいものは何?私なら、叶える手伝いくらいならできると思うのだけれど』

『…ぁ?』

 

 憐れむような目だった。そいつの瞳は、私の目に反射する自分の姿も憐憫しているみたいだった。

 あぁ、下らねぇ。似てやがる。…――――こいつももしかしたら、思ってるのかもな。生きようとして、死にかけて。信じようとして、裏切られて。変わろうとして、醜くなってしまって。

 世界に救いを求めても、世界に神を求めても。世界は平等でさえない。そんな当たり前で、死が常に隣にあった場所でこそ思い知らされることを、この金髪の女も理不尽だと憤っているのかも、と。

 私はぼんやりと、電気で焼かれ煙を立てる身体で考えた。

 

『貴女は、戦争を知っているでしょう?子供の頃から戦わされてきた、望まれなかった兵士の目…』

『…――――お前も、似たような目をしてやがるな。何かのために戦わされて、報いも救いも無く、全てが無かったことにされたヤツの目だ。私と、一緒だな…』

 

 なら全て、平等にして…――――全てが無意味になってしまえばいいと思う、そんな下らねぇ人間の顔だった。此処にいる奴らは、全員ソレだ。

 

『どうする?このまま死ぬ?それとも、生きる?』

『…――――はん。精々、寝首を搔かれねぇようにな…』

 

 私はその蜘蛛の糸を掴んでみることにした。手から、電気が流れる拘束具が外される。あぁ…――――やっと、自由だ。

 

『私はスコール・ミューゼル。亡国機業(ファントムタスク)のモノクローム・アバターの隊長。貴女は?』

『…――――』

 

 名前、か…。…――――そう言えば、少年兵時代を一緒に過ごした日本人がいたな。そいつから少し日本語教わったっけか。確か餓鬼の頃のコードネーム(『アーミア・キー』)、網秋とか書けるとか、なんとか…。

 

『…――――スコール。日本語で豪雨、か』

『…――――え?』

 

 丁度良い。蜘蛛の網から垂れた糸だ。その先が天国か地獄かなんざ関係ない。この世界に、神も救いもねぇんだから。

 

『私は、晩秋(オータム)。ただの…オータムだ』

 

 アジア系の混ざった黄色い肌に、ちったぁ似合った名前かね。

 

『で?まずは何をしたらいい?夜伽か?経験豊富でな、女でも慣れてるぜ』

『あら…――――。いえ、まだやめておくわ。舌、嚙み切られそうだし』

『はっ、お前ソッチだったか。まぁ偏見はねぇが』

『ふふ。そういう関係は、もっとお互いを知ってからの方が良いでしょう?』

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「…――――んぁ」

 

 

 懐かしい夢を見た。彼女が亡国機業に入るまでの、曰く『下らねぇ人生』が走馬燈のように流れていった。

 

「はぁーあ…。日本(ジャパン)って国は、どうしてこうも平和ボケしてるかね。気が緩み過ぎてて、こっちまで警戒すんのがバカらしくなる」

 

 ホテルの一室で朝食のカップラーメンをすすりながら、乱雑にキャリーバッグの中へ衣服を押し込んだ茶髪の女性。

 彼女はオータム。亡国機業に所属し潜入工作を得意とする、元少年兵のあぶれ者。どんな状況になったとしても必ず帰還すると称された、亡国機業随一の生還者(サバイバー)

 

「(今度の任務は此処に長期滞在してIS学園を見張れ、とはね。あぁ、ったく鈍りそうだぜ)…――――ともかく職でも探すかぁ」

 

 ちらりと手元にある身分証明書を見たオータム。運転免許証には、『巻紙礼子』『平成7年9月30日生まれ』『住所:大阪府中央区難波…』とご丁寧に続いていく。

 日本のコンピュータを気付かれることなくハッキングし、架空の人物を存在していることにするなど、亡国機業にとっては楽な仕事であったらしい。だとしても、この偽名はどうにかならなかったものか。

 呆れながらも片手に持ったキャリーバッグを転がし、踵を返す巻紙礼子(オータム)。早い所日本での活動拠点を確保しなければ路頭に迷う。

 …――――その時だった。人混みの中で肩がぶつかり、紙袋から山盛りにはみ出た食品がバランスを崩す。

 

「あっ、やっべ」

「おっと、すいません…――――って、あ?」

 

 宙を舞う缶詰にバケットを素早くキャッチした二人。顔を上げた先の懐かしく、忌まわしい記憶の友人と視線が合った。かつて同じ戦場を駆け、共に罪を背負ったチャイルドソルジャーが再会を果たす。

 

「…――――Sauma(サウマ)?」

「オー…っと、『アーミア・キー』か。久しぶり~……、でもないか」

 

 麦わら帽子を被った灰色髪の人物が、困り顔で哀し気な笑顔を浮かべていた。トマトの缶詰を片手に持ったままのオータムは、彼女は彼女で複雑怪奇な顔をする。

 

「あ゛、何言ってんだ。クルディスタンでお前らと別れてから、もう十数年近く経ってんぞ」

「まぁその話は追々な。つーか、こんなところで奇遇だな?」

「あー、まぁな…」

 

 急にしりすぼみになる彼女の口調。かつての記憶から逃げたのか、それとも今尚暗い闇の中にいるのか、対面する彼の内心は窺い知れない。どこまで踏み込んでいいものか。

 

「ふぅん。…時間あるならウチ寄ってくか?この近くでリストランテやっててな、コーヒーセットくらいならタダでご馳走してやれるが」

「…そりゃいい。お前、あの頃からレーション旨くすんの得意だったし、期待はしてやる」

「Hum, hum~♪Okey Dokey, Armia Key~♬」

 

 オータムの内心を知ってか知らずか、銀髪の乙男は鼻歌まじりに注文を承っていた。

 

「…――――あぁそれと。今の私は『巻紙礼子』って名乗ってる。くれぐれも変なこと言うんじゃねーぞサウマ」

「ん?まぁ…分かった。けど俺の店に来る客ってば、俺の過去を知ってるヤツが多いからなぁ」

「は?お前ペラペラしゃべってんの?」

「仕方ねぇだろ聞かれたんだし。それに、受け入れられなきゃ逃げるだけだしな」

「ワキ甘過ぎねぇか…大丈夫かよ危機管理」

「つーか、預かってる子どもがエターナ・クロニクルの義理の娘だしなぁ」

「げ、アイツもいるのか…」

「…――――いいや、もういねぇよ」

 

 ぼそり、と罪業を吐露するように。罪過に苛まれた咎人のように。年代記に刻まれることなく、ただ永遠に消えた命があったことを、かつての仲間に告げる青年。

 巻紙礼子は一瞬、目を丸くするも…――――すぐに表情を元に戻した。命とは死んで終わるもの。戦場にいた人間なら更に惨めに脆く死ぬ、それが当たり前だというように。

 

「……そうかよ。はっ、下手()きやがって」

「あぁ、バカな手に引っ掛かったって言ってたよ、あいつも」

 

 ただ、彼女は無言で歩く。葬儀の列に身を連ねるが如き静かな歩調で、麦わら帽子の彼の隣を、昔と同じように歩いている。

 

「…――――んじゃあらためまして、ようこそ巻紙礼子」

「…お?」

 

 目の前にはアンティーク調で、品の良い設えの料亭があった。喧騒な住宅街の一角にあるそれは何とも異質で、しかしながらも憩いの場のような穏やかな空気に包まれている。

 

「この俺、『石動惣万』の経営するレストランカフェ、『nascita』へ…――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただーいまー。…ほら巻紙、上がってくれ」

「あ、惣万にぃお帰り…――――あれ、そちらの方は?」

 

 整った顔の少年が、厨房からひょっこり顔を覗かせる。オータムはその声に聞き覚えがあった。

 

(おいおいおい、ちょっと待て。何で惣万、コイツと知り合いなんだよ…!)

「おぉ一夏。こいつは昔の知り合いで、『今』は巻紙礼子ってヤツだ。で巻紙、こっちが…」

「ッ。…織斑一夏君です、よね?IS学園に入ったっていう…」

「ふはは。一夏、すっかり有名人だな。まぁそれもそうか。今や国民的アイドルだもんなぁ?」

「うぇ…――――もはや俺にプライバシーってあんのかな…」

「ねぇだろうなー。あ、巻紙。こいつはうちの臨時アルバイトだが家族ぐるみの付き合いだ。そんな堅苦しい喋り方は性に合わんだろ、いつも通りでも大丈夫だぜ?」

 

 その言葉を聞いたオータムは、営業スマイルを引っ込めて、昔からの仏頂面で胡乱気に惣万を睨む。

 

「はぁ…わぁったよ。織斑…、もそれでいいか」

「あ、ども。大丈夫ですよ。それとすいませんね。俺はこれで、クロエに朝飯届けなくちゃなんで…」

 

 そう言うと、一夏は手にイタリア風パンケーキを持って、階段を慌ただしく駆け上って行った。

 

「(…マジかよ。早速大当たりじゃねぇか。イチカ・オリムラと接点のある惣万(コイツ)なら……)」

 

 オータムは思わず舌なめずりをした。上からの命令を実行するにあたり、ここは絶好の場所だった。ちらりと、台布巾で机を綺麗にする元悪友に視線を送る。

 

「(…――――迷惑をかけるだろーなぁ。ま、仕方ねぇか。元々クズみたいな溜まり場にいたもん同士、どんなことになっても恨みっこなしって覚悟はした。私も、コイツも。それに…――――)」

 

 その時、オータムの背筋に悪寒が走った。

 

「……ッなんでだ。お前、こんなに平和ボケした国にいるんだろ……?」

「…ん?急にどうした」

「……今も、あの糞溜めで戦わされてるみてぇな目ぇしてんぞ、ってこと、だよ…」

 

 顔を上げた惣万の目は、血のように爛々と輝いて、人の温かみを感じさせないものになっていた。一瞬、彼女が幻視するのは真っ黒なコブラ。毒蜘蛛の網を突き破る暴れ狂う自死の蛇龍。

 

何時(いつ)も、(いつ)も、戦わされている」

「っ」

「……、はは、人生は戦いだーっ!ってね。んじゃ、座ってろ。出来合いのもので悪いが、すぐ作ってやる」

 

 ふにゃりと顔が緩まる惣万。先程までの狂気に満ちた笑みは消えていた。

 

「お前……、何があった……?」

 

 その声に、惣万が答えることは無かった。永遠に応えることが無い問いかけだった。

 

「(……、いや、何だこの違和感?私はアイツを、知っている…?馬鹿か。そりゃ分かるわ、クルディスタンで殺し合いしてたんだから…――――)」

 

 だが、オータムの心に蜘蛛の糸が張り巡らされ始めている。何か、信じがたいナニカが迫り来ると、生存報告が警鐘を鳴らしている。

 ここから先に行けば、自分は死ぬと…――――。

 

「どぅーんっ」

「うぁぁぁぁあっ!?…なっ、ななな、なんだ…!?」

 

 素っ頓狂な声が出てしまった。

 

「ふぁ…――――おあよーまふゅたー…」

「…。お、おい?」

「あれー、まふたー髪伸びたー?染めちゃってまー…」

 

 目をこすりながら頭をぽふぽふしてくるトレンチコートの女。彼女はオッドアイの目を擦り、何度か(しばた)かせてオータムを見た。

 

「…――――え、誰?」

「…――――私はマスターじゃねぇ。今あっち」

「ご、ごめんなさい!なんか、雰囲気似てたから…?マスターのお姉さん?」

「いやんなワケあるか。あんな奴の家族とか吐き気がする…」

 

 オータムはとんでもない勘違いをしてくれた天才科学者に毒を吐く。そしてこの時こそが『因幡野戦兎(仮面ライダービルド)』と『巻紙礼子(仮面ライダー■■■■)』の、戦い合う定めの糸が絡まった瞬間だった。

 

【♪♬♫♩】

 

「あ、ちょ…マスター!スマッ、…あー正義のヒーロー(ボランティア)してくるね!」

「おう、行ってらっしゃい」

 

 スマホ型ガジェットを見た戦兎が、慌ただしく大通りを駆けていく。角を曲がるとあるはずのないバイクの音が聞こえてきた。

 何より正義のヒーロー(ボランティア)という言葉が引っかかった。石動惣万も巻紙礼子も、正義とは無縁の場所で生きていた。だから…――――。

 

「…――――無償の行為?馬鹿らしい。なぁんであんな頭お花畑女を飼ってやがる」

「なんだ、気になるならついていくか?幸い場所は分かってる」

「別に気になってねぇよ…気に入らねぇだけだ」

「そうか?…――――お前には丁度良い獲物かもしれねぇが」

 

 惣万はゆっくりと立ち上がる。しかしその挙動の中には、少年兵時代の殺気だった刺々しさがあった。

 礼子は一度逡巡するも、緩慢な態度でそれに続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ラビット!タンク!ベストマッチ!Are you ready?】

 

「変身!」

 

【鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!】

 

 惣万と礼子は公園の高台から、ヒーローショーのような光景を眺めていた。

 

「おい、アレってまさか…」

「『仮面ライダービルド』。ファウストや亡国機業(ファントムタスク)に対する仮想敵として創られたもの。記憶も信念さえも後付けでしかない、何より可哀想な操り人形だ。…こんな俺でも涙が出てくる。なぁ『オータム』?」

 

 蛇が、蜘蛛に向かって嗤いかける。

 

「!?おま、何で…――――」

「ふふ、ははは、ははははは!」

 

 笑う。嗤う。哂う。何か、酷く愉快だった。深く、醜く痛快だった。狂ってしまった心が、己が所業を嘲っている。

 

【Cobra…!】

 

「蒸、血…」

 

【Mist match…――――!C-C-Cobra…Cobra…!Fire…!】

 

 血煙が吹き荒ぶ。人の心に通う暖かな血が劫火によって消えていく。そこには、人を捨て去った『悍ましいナニカ』がいた。

 

「おいおい…」

「俺がブラッドスタークだ。…――――『馴染みがあるのはこっちの声か?』」

「…――――はっ、お前かよ」

『そういうことだ。で、どうする。俺個人(・・・)としての頼みになるんだが…暫くあいつらの監視を頼めるか?』

「…機業を裏切れってか?」

『ご想像にお任せするさ。まぁ、この程度でお前を消す組織ならたかが知れてるがな』

 

 蛇と蜘蛛が兎を見て牙を砥ぐ。世界を滅ぼす力を振るわんと、共に禁断の箱に手を掛けた。

 

「…――――亡国機業からの指令はIS学園の監視だけだ。その合間で良いならやってやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みにその後の一幕。

 

 

「貴女か。惣万の幼馴染というのは」

「あ、あぁ…――――どうも世界最強(ブリュンヒルデ)

「…――――一つ聞きたいんだが、お前は惣万という人間をどう思ってる?」

「は?」

 

 傍から見れば恋敵のような問答を繰り広げた人間がいたとかいなかったとか。

 

 




巻紙礼子…原作から
平成7年…2022年で滝川紗羽と同じ27歳
9月30日生まれ…9()30(MO)
住所…難波重工

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
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