IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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一夏「そんなこんなで学園祭だな……」
惣万「よぉ一夏。プレゼントしたコーヒーミルを使ってくれているみたいだな」
一夏「あ、惣万にぃ。いつ来たんだ?……ってか頭に葵突き刺さってるぞ」
惣万「千冬煽ったらコレ貰った」
一夏「ソレか、さっき千冬姉顔真っ赤にしてすっ飛んでったのは……」
惣万「ちっ、メイド服が見たいとか言っただけなのになぁ……」
簪「前回のあらすじ……一夏は生身でISと戦闘ができるくらいには強くなってる……でもでも亡国機業の方も一筋縄ではいかないみたいで……?」
一夏「どわぁ簪いつからいた!?」
簪「ついさっき。更識の隠密術を使えばこの程度の事容易い……」
一夏「簪お前忍者か何か?」
簪「ノーコメント……」
惣万「はっはっは、んじゃコーヒー飲ませてゆったりさせてもらうぜー」
簪「んじゃ私も。冒頭から出てくるけど気にしないでね……」



第六十三話 『地獄からの使者、親愛なるトラップマスター』

 いろんな意味でドキドキな学園祭。ある者は他校からの異性との出会いを心待ちにし、ある者はモトを取る為金儲けに勤しみ……。またある者は特別ステージゲストの『くーたんソロステージ』を心待ちにしているとかなんとか。

 

「一組は織斑君の執事喫茶だって!」

「きゃぁぁー!お帰りなさいませお嬢様って言ってくれるのかな!」

 

 学生達は各々のクラスの利点を活かし、最高の一時(ショータイム)を訪れた人達に提供する。

 

「ってギャァァァァァァァァ!四組から大量のミイラ人間がァァ!?」

「何々?ゲーム同好会で先生に勝てたら賞金が出ます?これはやらなきゃ損ね!」

「お、お手柔らかに……?」

 

 だが、一部ズレている所も存在しているような………特に山田先生なんかは。

 

【Perfect!K.O.!】

 

「瞬殺!?」

「何よあの緑髪の先生、ゲームめっちゃ強い!?」

「ノーコンティニューでクリア!さっすが私!……って、はッ!?ご、ごめんなさい!つい熱中してしまって……、だ、大丈夫ですかっ!?」

「ぐぬぬ……!もーいっかい‼」

 

 山田先生、容赦なし。あらすじの時のような強さを簡単に発揮している。実はゲームセンターで天才ゲーマーMと呼び声が高かったりする。

 

「ぇらっさーい、IS学園文化祭へようこそー、ガイドなどはワタクシ用務員シャルルが承りまーす……」

「気もそぞろだな、大丈夫っすかカシラ?」

「クロエさんのステージパフォーマンスが待ちきれないんでしょう……」

「つまりいつも通りってことで大丈夫だね」

 

 完全に倦怠期のバイト店員のような気の抜けた挨拶をするリーダーを見て、ある意味リラックスしてるからオッケーと思う三人。まぁ、それでいいのだろう。彼女らがそう思うのなら。

 

「一夏。コーヒーお代わり」

「こっちも。……まぁ俺の淹れた方が美味いがな!」

「(イラッ)はい分かりました簪お嬢様……惣万お嬢様」

「オイ待て、誰がお嬢様だ誰が!?」

 

 一方一組の店内は大盛況の一言であった。ただし、執事となった一夏は、簪と惣万に対してだけは塩対応ではあったのだが……。

 

「よぅ一夏。招待どーも、遊びに来た」

「一夏さんお久しぶりですー!」

「お、弾と蘭。来たか……って何で弾そんなにズタボロ?」

 

 【終焉の、一撃……!】そんな言葉が似合うほど、彼の顔は青タンやたんこぶなどで腫れていた。

 

「はい、お兄がゲーム同好会の先生をいやらっしい目で見てたのでちょっと記憶をリセットさせようかと思って」

「そっかー、相変わらずだな蘭」

 

 一夏は戦兎から渡されていたドクターフルボトルで弾を治療してやった。その効能に驚かれたのはご愛嬌。弾は涙目で一夏に感謝の言葉を述べました。

 

「んんっ、それでは二名様ですね?ご案内いたします、どうぞ」

「あ、ちょっと待った。まだ連れ……と言うか一緒に回ろうって言ってくれた人が来てねーんだよ……あ、来た」

「へぇ?……!」

「あ、皆様どうも……」

 

 後ろから声が呼びかけられて振り返る一向、そこに立っていたのは……。

 

「あ、お姉ちゃん……」

「ど、どうも……」

 

 ………しどろもどろになりながら答える、髪も随分と伸びた『刀奈』先輩。傍には妹に支えられて歩く上級生の『布仏虚』の姿もあった。

 

「楯な……じゃない、刀奈さん。お加減は如何ですか?」

「えぇ……と?」

 

 ……一夏は首かしげる先輩を見て、察して申し訳なくなってしまう。

 

「あ、……初めまして(・・・・・)。織斑一夏です」

「コレはどうもご丁寧に……私は更識刀奈、と言うらしいです……」

 

 あたりの雰囲気が少しずつ暗くなるのを感じてたのか、弾は真っ先に口を開いた。

 

「………………とりあえず場所を移そうぜ?はよ中に入っちまおう」

 

 

 

 

 

 

「………………えと、どうもありがとうございます。弾さん……」

「いえいえ……あ、何か食べますか?一夏……適当なものを一つ」

「弾、お前……。何で」

「お前等もお前等で刀奈って人になんかあるんじゃねーのか?」

「……。あんがとな、弾」

「気にすんな親友。それに…IS学園の人たちは蘭を守ってくれたんだろ?それくらいはなんか役に立ちたいんだよ」

 

 五月に起きた誘拐事件で、妹が無事に帰ってきたときの喜びようといったらなかった。助けてくれたのが一夏たちだったというのだから、感謝してもし足りないくらいだった。

 俺とお前の仲だろ、と笑顔で彼の胸を少し小突く弾。自分と遠い人になったとしても変わらない友情が有った。

 

「んじゃこの執事にご奉仕セットってのを……」

「おい馬鹿止めろ」

 

 ……前言撤回しようかと思った一夏なのだった。コーヒーだけを出してそそくさと去る。

 

「……で、どうしてまた学園に?」

 

 チビチビとコーヒーを飲む刀奈におごりのケーキを差し出し、一夏や箒達は本音に質問をぶつけるに至った。

 

「それはね~、お医者さんがエピソード記憶に刺激を与えるのも手だって言って~、具合も安定してるし、文化祭行ってきても良いって許可が下りたの~」

「…………そうか……」

 

(だけど……もしかしたらファウストとかが攻めてくる可能性が高いんだぞ……?大丈夫か……?)

 

 ふとそんな心配が一夏の頭を過る。

 丁度その時、教室のドアが開き、シニヨンにした頭の珍竹林……もとい凰鈴音がよろけながらも入ってきた。

 

「一夏~、箒~」

「あ、生徒会長だ~。書記の仕事さぼってゴメンね~」

「いいわよ別に……アンタいるとアタシ以上に部屋散らかるし……」

「えへー」

「褒めてないわよ……」

 

 あーもう、とか言いながら、『ぐでー』、と机にうつ伏せになる鈴。ツインテールもどことなく元気がない。

 

「……あぁこの後が心配だわ……何とかごり押しでイベント通過させることになるなんて……」

「お疲れ様だな、鈴」

「えぇ……何とか文化祭当日にこぎつけたわよ~……我ながら頑張ったわ~……」

 

 フヒヒ、フヒ……とどんよりした空気で乾いた笑みを浮かべる鈴ちゃん。もういっそ怖いわ……。

 

「鈴、大丈夫か……?」

「あぁラウラ~?うん大丈夫大丈夫~……ただ一週間まともな休眠とってないだけだから~」

「……(副会長たちをジト目)」

 

 完全に白目を剥きながらそう言葉を吐く新生徒会長……。ホラー喫茶で働いたら?需要あるよ。

 

「……いや、うん……いろいろあってな……」

「楯無前会長が考えていたヤベーシンデレラ劇公演をうまくやり繰りして、予算から捻りだして……鈴の頭がオーバーヒートしたのだ」

「それならまだしも生徒会に姉妹の仲直りの手引書とか、生徒から没収した●●(ピー)とか●●(ピー)●●(ピー)。とかがあってその処理が……」

 

 ……。何があったの?

 

「…………以前の私?がすみません……いや、本当に、鈴さん。マジでゴメンなさい」

 

 刀奈さんの純粋無垢な瞳がまぶしい。デフォルメされた大粒の汗が頭の上に乗っているように見えたのは気のせいではないのだろう。

 

「いえいえ……人って字は一人が一人の上に寄りかかってできてますし人間関係面倒ですしおすし」

「割り切れ、そーいうもんだろ。良かったな経験できて」

「シャルル!?」

 

 シャルル、スゲェ暴論である。

 

「ところで、だ。私は教官の茶道部の準備に忙しかったので知らんのだが、生徒会の出し物は何になったのだ?」

 

(しぃん……)

 

 ………辺りが一瞬に真っ暗になったように感じたが、それは気のせいだったかのようにRESTARTして要件を答え始める。

 

「あー…………いやそれがネ……。うん……」

「あらら?歯切れが悪いですわね……」

 

 心配そうな目で見つめるオルコット……。だが、その視線に、まるで真綿で首を締められるような感覚を覚えながら言葉を絞り出す企画者一向……。

 

「その時の俺ら深夜テンションで会議しててな?当然まともな判断ができてるかどうかも怪しいわけでだな……」

「要点をズバリ言えや」

 

 シャルルのその一言に救われたのか、はたまたヤケクソになったのか……ともかく結論を一夏は言った。

 

「…………シャルル、コスプレしねぇ?」

「……はっ?」

 

 

 

 

 

 どやどやと連れ出される一夏とシャルル&ヒロインズ。一方の弾や蘭、それに本音に付き添われた虚と刀奈は、鈴によってアリーナへと送られて行く……。それと入れ違いになるように教室内に入ってきた一団があった。

 

「……。おう、遅かったな?」

「あぁ、来てやったぞ石動」

「ガキが何リーダー気取ってんだ!……あー、すまんな石動。ちったぁ遅刻しちまって」

 

 ハットを目深にかぶった子供と、スーツを着用した赤髪の女が惣万の席にどっかりと座る。コーヒー一つ、と惣万がオーダーし、再び彼女らと向き合った。

 

「構わねーよ巻紙。こっちはこっちでクロエを送り届けたり千冬のご機嫌取りしたり忙しかったからな。ってか『宝生』お前……電車乗れたんだな……」

「……。私が切符買った」

「……あそう」

「ふぬー!」

 

 宝生と呼ばれた少女にポカポカポカと殴られる惣万。

 

((((子供だ……))))

 

 その様子を見ていてクラス内の女生徒たちは思う、やだあの子可愛い……と。まぁそれは兎も角。惣万に『巻紙』と『宝生』と呼ばれた二人組の女。ただし身長は親と子ぐらい離れているが、タメ口で会話しているため違和感がある事甚だしい。

 

「(よくそれで織斑を超えるだの言えたな……)」

「(いや、千冬はタクシー乗れないぞ。それに比べりゃ……マシ……かな)」

「(どっこいじゃねぇか……)」

 

 ぼそっと言葉をこぼす惣万と『巻紙礼子』。エージェントらしく、別な言葉(今回はアラビア語)で聴き取れないように周囲に気を配るが、逆にぎょっとされるのはご挨拶。

 

「店員、追加注文だ。いちごパフェ一つとキッズプレート一つ、旗付き、ピーマン抜きで」

「はい……え?あはい」

「「…………」」

「何だその眼は(もっきゅもっきゅ)」

 

 チキンライスをほおばりながら殺意に満ちた目で見てくる『宝生笑夢』ちゃん。……うんぜんっぜん怖くねぇ。

 

「…………ところで巻紙さんよ。どーやって学園からフルボトルを奪還するつもりだ?俺言ったよな、今の世界情勢を鑑みてIS関係の人間だと逆に怪しまれるって」

ファウスト(お前等)が各国のファクトリーをぶっ潰さなければ良かったんだろうがよ……ま、いいが。考えはある……仕込みもイカレ蝙蝠のお陰で上々だしな」

「ほぉ〜?お手並み拝見といこうじゃないか?……『オータム』」

 

 そう言って、蛇は静かに笑みを浮かべるのだった……。

 

「あ、でもまだ顔バレはマズいからコレ被ってけ」

「……………んだこれ?」

「イタリアに料理修行しに行った時ついでに購入したヴェネツィアンマスク」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わってここはIS学園のアリーナ。とある城をモチーフにしたセットのど真ん中に、一人の美少女が立っていた……。

 

『昔々、ある国に白雪姫と称される美しい王女がいました。名前を、“シャルロット・デュノア”』

 

 おふざけ全快なアナウンスに、怒号が飛ぶ。

 

「おーい待て待て待てーっ!俺男なんだけど‼何で白雪姫(ブランシュネージュ)だ!」

(シャルルン、この脚本書いたの誰か分かる?)

「…………お前か?」

(いや、戦兎さん)

 

 イヤホンから聞こえてきた一夏の声に、こめかみを揉む女装のシャルル(シャルルット)。もう突っ込む気も失せたらしい。

 

『しかし彼女の継母である王妃様は自分こそが世界最強の美女だと言って憚りませんでした。王妃様はいつも魔法の鏡に向かって「この世で一番美しい(強い)のは誰?」と尋ね、鏡はいつも「それは王妃様でーす(笑)」と答えていました』

「戦兎ォッッッ!焼けた鉄の靴履かせてやろぉぉかぁぁ‼」

「教官落ち着いて頂きたくッ…!」

 

 舞台袖がどたんばんたんと騒がしいが、裏舞台で段取りをしてる一夏は素知らぬ顔を決め込んだ。

 

『白雪姫が大きくなった頃、王妃様はいつものように、鏡にいつもの質問を投げかけました。ところがどっこいディアドコイ、魔法の鏡は「この世で一番美しい(強い)のは白雪姫だろJK」と答えてしまいましたからさあ大変』

 

 もはや恐れ知らずすぎるアナウンス(戦兎)。

 

『そろそろお歳で若さがヤバくなってきた王妃様は猟師を雇って白雪姫の命を狙う!さぁ、ここから人類最強(レニユリオン)をかけた血を血で洗う世界大戦が幕を開ける!魔法の鏡に世界最強の美女と認められるのは一体誰か!』

(後で戦兎〆る…絶対〆る)

『Are you ready?Fightッッ!らびたんいぇーい!』

「ザケんな‼」

 

 なお、戦兎はふざけていない。かなりエンターテイメント性にアイデアを割いたと宣っている。

 その天災の説明が、ちょうど終わった時だった。

 

「どぉ⁉なになになに⁉誰だライフル射撃してんのは‼」

 

 女装したシャルの頬を弾丸が掠める。

 

『猟師役には山田真耶先生ちゃんにお頼み申しました!このくらいじゃシャルルン死なないだろーしガンバ!』

「実弾じゃないだけマシ…だけどさぁ!」

(それでも超音速の弾丸を避けられるのはスゲェと思うぞ俺は…)

『なお、学園内であればどこへ逃げようが構いませーん。好きにしてね!あシャルルン、一般人の巻き込まれだけにはご注意を』

「お前ホントに教師か⁉悪魔じゃねぇのか!?」

 

 だがその時、ふと思う。

 

(……いや待て。俺は俺なりに、“自由に”動いていいってことか…?)

 

 しかも念入りに一般人に被害を出さないよう言外に伝えてきた。

 

「ッ、…チクショーとりあえずやってやるよォォ!この後のくーたんライブ見なきゃ割に合わねぇからなァァァ‼」

 

 ひとまずは戦兎の思惑に乗ってやろうと、シャルルはマッハの速度で駆け出した。

 

『あ、それと映像は全校生徒に中継されていまーす。オレの技術の粋を集めて作り上げたドローンがどこまでも追いかけてくのでそのつもりで。生徒のみなさーん、賭け金のレートはもうちょっと待ってね~』

「技術の無駄遣いィ!つか生徒で賭けすんなって!」

(ちなみにこのアトラクション、シャルルを気絶させるなりして勝ったら、何でも言う事を聞かせられるチケットが優勝品になっていたりするんだよな)

「はぁ!?どーゆーことだよ一夏ぁ!?」

(どうもこうも、考えたのが戦兎さんだし。んでアトラクションの勝利条件というのが、白雪姫のクライマックスを飾る行為なわけだ。……つまり接吻である)

「言い直さんでいい!……ってことは、だ!?」

「よぉぉぉぉぉぉめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ‼これで合法的にキスができるぞ‼だから今すぐに眠れェェェェェ‼」

 

 窓の外にはISを展開して白雪姫シャルを追いかける眼帯の王子様がいた。

 

(あーもー滅茶苦茶だよ。何でこのタイミングで白馬に乗った王子様が来るんだよはえーよ。しかもやってることヴィランサイドなんだけど。どうにかしないとマズくない?)

「女にはよっぽどのことが無きゃ手ぇ出さねぇ!」

(男らしいなうぉい。でもこれよっぽどのことじゃね?一応IS一機だけでも大国の国家戦力と同じだからね?お前生身で戦えるけど、忘れるなよ?)

 

 ワイヤレスイヤホンから漏れる一夏のツッコミを無視し、シャルルは校舎から別の校舎へと跳躍する。それでもスカートの中身を見せないのは流石だった。

 

「っ、何とか撒いたが、すぐに見つかるなこりゃ!」

(まぁ、普通ISを直線距離で走って引き離せるとかおかしいんだけどね……、あ来たぞ)

「ふ、ふふふ……これで嫁と!」

 

 学園の壁をISでよじ登る姿は、もはや王子様というより魔王様だった。ISからのたくるワイヤーブレードも相まって不気味過ぎる。

 

「さぁ嫁、選ばせてやる……スタンガンと子守唄、どちらがいい?」

 

 ISを収納(クローズ)し、頬を染めて片手に帯電するデバイスを持ってじりじり近づいてくる銀髪ちゃん。因みにシャルル、スタンガン程度なら睡眠導入のマッサージ機として使っていたりする。

 

「あー…何頼まれるか分からねぇから捕まりたくねぇのが本音なんだが」

「なに、すぐ私無しでは満足できない体にしてやる……」

「余計捕まりたくなくなった!」

「嫌というのも好きのうちと聞くが、今は私に身を任せるが良い!…っ何ッ⁉」

 

 その時、上空からレーザーの雨が降り注ぐ。

 

「おのれ、私と嫁との逢瀬を…何者だ!?」

(すっかりラウラが悪役ムーヴに入ってやがるよ…、寧ろノリノリじゃね?)

「我ら、ドワッフーセブン!スノーホワイトをお助け申す!」

「いや待てセシリア!何ッッだ、そのふざけたネーミングっ!三羽烏まで‼」

 

 そこには、小人の帽子を被った一年生IS専用機持ち達が大集合していた(一夏除く)。

 

「いやー…こんな機会じゃないと先生と実戦形式で戦えないですし」

「1-2で負け越してんのよこっちは、ついでに遊ばせてよ…ね‼」

「俺の救出が目的じゃねぇのかよ…、あぁ行っちまった……」

「あいつらは全く…」

 

 やれやれ、というふうに首を振る箒。ちなみに帽子の色はそれぞれのISカラーである。

 

「う、ウチらはちゃんと助けに着ましたよカシラ?」

「まぁ、嫌々ながらですが。方向音痴が発揮されては面倒ですし」

「お菓子もらった!」

(赤羽と青羽の帽子が箒とセシリアのヤツと被ってるな……、帽子なだけに)

「喧しいわ。で、どーする銀髪。これだけの増援があってまだ続けるか?」

「ふふ……ふふははは!」

 

 現在シャルルット姫を守る小人は三羽烏のスマッシュ態(赤1・青2・黄)と箒(赤2)、簪(薄緑)。しかし状況は不利になったというのにラウラの表情に焦りはない。

 

「因幡野戦兎教諭!隠し玉を投入だ!さぁ嫁、刮目せよ!」

『ではここで特別ゲストの投入でっす。ぽちっとな』

「……、ん?どぉぉぉぉっ!?」

 

 ラウラがカメラに向かってズビシと指を突きつけると、戦兎の声に従い上空から一本の人参型弾道ミサイルが降って来た。

 ……シャルルの頭に。

 

「いてぇ……」

(いや、よくザクロにならず死ななかったな。つかなんで無傷なんだ?)

「無傷じゃねぇわ。ちょっと腫れができた」

 

 ……、もう人間やめてるシャルルであった。

 

『さぁ、おーぷんざきゃーろっと!』

 

 天災的馬鹿の間の抜けた言葉と共に、ショックアブソーバーが解除され、その有人ロケットが二つに割れる。そこから出てきたのは赤い服を纏ったラウラに瓜二つの少女。

 

「……え、くーたん?な、なんで?」

「憂さ晴らしができると聞いて!赤ずきん印の麻痺毒リンゴパイをお食ヴェェェェェェェェェェ‼」

(いや世界観!)

「食い物で遊ぶんじゃないよくーたん!あぁそこの米国人(ヤンキー)勿体ねーからこれやる、食らっとけ!」

「へぶっ!?」

「お待たせしたッス~…、ってどしたんスか先輩、顔クリーム塗れッスよ?」

「……いや、オレも何が何だか…」

 

 ちょうど露店をぶらぶら歩いていたアメリカ代表候補生にクロエのケーキを投げつけると、再び逃走を開始するシャルルット姫。お供である三羽烏もそれに続いた。

 

「連れ合いが申し訳ないです先輩方…、あ、これ手ぬぐいです(ダダダダダ)」

「あ、どーも…、じゃなくて!」

「…賭け金は千円からだから、よろしく…(バタバタバタ)」

「や、しないッスけど…、えぁ?ちょ…先輩!?どしたんすか先輩‼」

「な、なんか…気ボジワ゛リ゛ィ…」

 

 箒と簪はフォローに回ったが、流石にダリル・ケイシーが倒れたことには気づかなかった。というか関わり合いになりたくなさそうだった。

 

(おいシャルルン、パイセン倒れちゃったぞおぉい!?)

「あ?あの程度の毒物、普通の人類でも大したことねぇだろ?」

人類最強(レニユリオン)のお前と比べられてもな…そもそもお前効かないだろ)

「あぁ、まぁ。地球外由来の毒とか盛られても効かなかったが」

(どんな経験!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方こちらは乱痴気騒ぎの裏舞台。着替え室で独り、黙々とシャルルット姫のナビゲーションを行っている男子がいた。

 

「ちくしょー、なんで俺がシャルルンのナビ役なんだよ、方向音痴対策として他人がいないとダメってポンコツかあいつ…」

「もしもし?織斑一夏様でいらっしゃいますね?」

「あ、何?」

 

 不意に声がかかり、なにごとだろうと振り返る一夏。そこには、奇妙な格好をした女性がいた。

 

「…は?」

 

 いや、女性だとはっきりは分からない。顔はイタリア風マスケラで覆われており、声もボイスチェンジャーを用いていたからだ。

 

「……、良い出来栄えのコスだな。大賞とれんじゃねぇの?けどコスプレ大会なら飛び入り不可だぞ」

「いえいえ誤解なさらぬように……。私の欲しいものは別ですよ。貴方が持つボトルとトリガーを頂こうと思いまして……」

「……。は?」

 

 ヴェネチアンマスクを被った女性と思われる人物は努めて穏やかに提案してくる。だが、その瞳は全く笑っていなかった。急に狂気的な光を放つ彼女の目。そして、彼に突然黒い影が迫ってくる。

 

「いぃがら……とっとと寄越しやれよ!」

「ぬぉっ!?」

 

 紫色の銃弾が頬を掠める。

 

「ッ!それは……カイザーの銃!?」

「カイザー?あぁ、あいつ等か……。ま、正しくはネビュラスチームガン、って言うらしいぜ?」

 

 『ネビュラスチームガン』を弄びながら、余裕綽々と言った態度とゆっくりとした歩調で近づいてくる茶髪の女。

 

「…ん?」

 

 彼女は獲物を嬲るような蜘蛛の目で一夏を見て、その周辺に散らばったボトルを見て、そして哄笑する。

 

「……ッ、はっはァ……!丁度良い!」

 

 つま先に振れた黒いデバイスを手に取った。一夏の懐から零れた、黒い変身用のデバイスを……。

 

「!……返せ……!それは俺のドライバーだ……!」

「確か……こぉだったよなァ?」

 

 一夏の声が届くことは無く、彼女は腰にベルトを巻き付けた。そして……『紫色の蜘蛛のレリーフが刻まれたボトル』と、近くの『白い冷蔵庫のボトル』を手に取り、にやりと笑う。彼女は片手で二本のボトルを振り、そしてネビュラスチームガンを構えながらも器用にスロットにそのボトルを挿入した。

 

 

 

スパイダー‼︎

 

「ッ!」

 

 一夏の持っていたドライバーに、毒蜘蛛の成分が注がれる。

 

冷蔵庫‼︎

 

 凍てつくような冷気がドライバー内部へ成分を送り込む。

 

ベストマッチ‼︎

 

 『S』と『R』が組み合わさったマークがドライバーの前方に浮かんだ。女の手によってハンドルが何度も何度も回され……、そして、彼女の前後に紫と白のファクトリーが出来上がった。

 

【Are you ready?】

 

 無情にも、一夏の耳にその言葉が届く。本来ならば、『仮面ライダー』にしか許されないその言葉。

 

「変っ、身……!」

 

 一夏の事を見下ろし、嘲る様な口調で『その言葉』を吐き捨てる。正義のヒーローを否定するかのように、頬を引きつらせて哄笑を漏らす闇の住人……。そして、『正義の力』は只の『暴力』になり下がる。十年前の、ISの誕生と同じように。

 

 

冷却のトラップマスター!スパイダークーラー!イェーイ!

 

 

 前後から装甲に包まれる。眩い光と、激しい蒸気が周囲を覆う。そして……。

 

「あッははは……!はぁ~ぁ……はぁ!」

 

 一夏の身体を変身の余波が吹き飛ばす。変身が完了した彼女の瞳が白と紫に輝いた。冷たく光る白い冷蔵庫、絡みつくような光沢の紫の蜘蛛の巣……。

 

 

 

「……ッ何で、てめぇがビルド(・・・)に!……ナニモンだお前!?」

「オータム様だよ……悪の組織の一人、とか言ったら納得かぁ?」

 

 その姿は正しく仮面ライダービルド。だが、戦兎が使用することのなかったベストマッチの一つ、スパイダークーラーフォーム……。オータムと名乗った女は、片手にネビュラスチームガンを、もう一方の手にドリルクラッシャーを出現させて、一歩、また一歩と近づいてくる……。

 

「さぁ……始めるとしようぜ。ライダー同士による、とんでもねぇ戦争ってやつをさぁ‼」

 

 オータムが叫べば、冷たい蜘蛛の背中から、紫と白のアームクローが迫り出してきた……。




惣万「秋姉……お前バカ兄憑依してない?」
オータム「ぁん?私女だぞ?なんのこっちゃだよ」
宇佐美「何故トランスチームシステムがコブラと蝙蝠だけなんだ……ライダーと言ったら蜘蛛が入っていなければ……!コブラ!蝙蝠!蜘蛛!がベストメンバーだろう!」
惣万「つっても最終形態になったコブラもライダーの蜘蛛も蟹にしか見えないんだがな……」
スコール「蠍は次点かしら…」
シュトルム「狼はどうなんでしょうね」
ブリッツ「イカ~」

※2021/02/13
 一部修正

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部
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