IS EVOL A KAMEN RIDER? 無限の成層圏のウロボロス SI-N   作:サルミアッキ

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惣万「えー、投稿百回を超えたので、他ユーザー様からの質問コーナーにバージョンアップしました!ちょくちょくするかもですよ!」
宇佐美「活動報告にてのみ質問は受け付けるぞ。あらすじ紹介のアイデア、もしくはなんでも要望箱に書き込んでくれたまえ。尚、小説を書いてる人はその作品のキャラを使って進行する場合もあるぞ。こういう風に、な!単一仕様能力以下省略(表記めんどい)!」

―コンテニュー土管&デンジャラスゾンビSE―

???「おぉっと、ここは……?」
宇佐美「と、いうわけでいつもお世話になっているユーザー『ウルト兎』様の作品『Re:Game Start』より仮面ライダークロノス、天崎総使だ。ではなぁ……私はネビュラスチームガンの調整をしなければならんのでなァ!ヴァッハハハハハァ‼サラダバー!」
ソウシ「………………ドガミかヤツは……?」
惣万「初めましてだな仮面ライダークロノ……ドガミ?」
ソウシ「I’m a godを逆さまに読んで『Dogami』だ……あ、ども。いつもお世話してます」
惣万「いえいえ、お世話になってます……って人格に筆者が混ざってるから!」
ソウシ「ここはメタ発言が許される場だと聞いたのだが?」
惣万「……本編でもだがな。で?何か質問があったんだろ?この地球外生命体ソーマ様が懇切丁寧教えてやろう!」
ソウシ「(うーん、万力で下のボール二個潰したら惣子ちゃんになるのか……?)とりあえずうちの筆者からの質問は……『赤騎士以外のブラッド・ストラトス達はどうやって産まれるのかそこんところkwsk』だと」
惣万「っ……え、えぇっと…………」
ソウシ「?」
惣万「…………一応俺が身体を女体化させてな?そっから…………」
ソウシ「あっうん、ごっめんもういいですすみません!何か踏み込んじゃいけない感じだったっぽい!?」


ブリッツ「…………マスターク、ゲストが嬉しいからって意地悪してる~……遊んでるな~」
シュトルム「本当はハガ〇ンの『お父様』みたいな感じですよ。体内に取り込んだブラッド・ストラトス用の結晶体……『賢者の時空石(タイム・エリクシル)』に自分のハザードレベルと感情を切り取り体外へ排出して生成されます。赤騎士は別でしたけどね」
ブリッツ「ちなみに~私が見たことがあるのは暴食(グラ)だけなんだけど~、彼女は胸元からボコボコって出てきたよ~?」
シュトルム「私は『血の雫(ブラッド・ティアーズ)』の誕生に立ち会いましたが、額に目が開き、そこから赤い雫が垂れて生まれてきましたね……。それぞれ産まれ方が違うのでしょうか?」
ブリッツ「にしても~……おとーさんでおかーさんなんだね~マスターク~。おめでた~?」
シュトルム「あ、そう言えば出産祝いって必要なのでしょうか……?調べてみましょう」


惣万「…………何かスゲェカオスになってる気がする……」
ソウシ「?取り敢えずうちの筆者も疑問が解決したらしい。ではやるか」
惣万&ソウシ「えーっと…「それでは、第八十七話、どうぞ‼」」


第六十七話 『白と黒のモザイク』

 人一人として見当たらない暗闇に彼等はいた。

 

「『‼』」

 

 IS学園の廊下で、はたまた遥か蒼穹の奥の月面で。二人の災強は只ならぬ波動を第六感で感じていた。学園の暗闇の中、この世界を狂わせた男は眺めていた朱色のボトルから目を外す。

 

「一夏……次の段階に至ったか……」

 

 男の目は虚だった。何の感情も込めていないその目が、彼の現状を物語っていた……。人らしい悪罪の情、それを斬捨てた彼は、一体心に何が残っているというのか……。

 

「さて……」

 

 椅子がわりに腰掛けていた瓦礫から立ち上がった男。彼は手に握ったボトルを懐にしまった後、錆び付いた水晶の様なボトルを取り出し銃に装填する。……そして、引き金を引いた。

 

【Mist match…】

 

 身体を包み込んだ黒い煙、緑の閃光が迸る黒い霧の中で真紅の姿へと汚染されていく灰色髪の美青年。……そして全身に巡る人としての血が蒸発し(変身が終わり)、『悪』があった。

 

【C-C-Cobra…Cobra…Fire…!】

 

 自ら感情を斬り刻み、大切なものと壁を創り、ハザードレベルを下げ、流す涙さえ捨ててきた。だが、それが何だというのか、間もなく仲間と世界を捨てる愚劣な蛇は皮肉気に顔を歪ませる。

 

『んじゃあ、陽動してくれている奴らの陰で、俺もお仕事と行きますか』

 

 

 

 

 

 

 一方、月面……。

 

「……何だ、今のは……?だが……一夏が拙い……そんな気がする」

「よそ見とは余裕だな、ブリュンヒルデェ!ゲームはまだ終わっていないぞぉァ!?」

 

 隕石や第四世代の無人ISを創り出し、彼女に嗾け続ける宇佐美。世界最強が重力六倍の月面戦闘に慣れてきており、徐々に戦況が動こうかと言った時だった。

 

「いいや、終わりだ。未だその力をうまく使いこなせないと見える」

「何……がはっ」

 

 突然、口から血が大量に噴き出した。両の鼻からも鮮血が迸る。

 

「ほらな」

「……成程。私の脳内にデータ化したロストタイムクリスタルが過剰活動し、私の生命活動に異常を来たしているのか」

 

 これはしたり、と言った顔で耳の穴や目から血をドバドバ垂らす神才科学者。それ見たことか、とブリュンヒルデは彼女の事を鼻で笑った。

 

「神だ何だと言ってはいたが、所詮貴様の肉体は人でしかない。我々は何者にもなれはしない……身の程を知った方が良い、世界は願っただけで変わる訳がない」

「クックク……変わるさ。あー、何と言ったかね?君の親友は……『有史以来、世界が平等であったことなど一度もない』……だったか?」

「……………………それが何だ」

 

 途端に二人の口調が冷たくなる。一人は怒りと、一人は憎しみを募らせ口を開く。

 

「とんだお笑い草だ。篠ノ之束……ヤツは科学者より道化の方があっているのではないかね?自覚があるからガキな恰好をしていたのでは?」

「……で?」

 

 努めて端的に言葉を促す世界最強。宇佐美を顎でしゃくってやると、彼女は額に手を当て、ゆっくりと顔を天へと向けた……。

 

「私に比べれば、人間は……否、世界は平等に凡庸だ。私の誕生が、貴様らの凝り固まった偏見の歴史に革命を起こした!アァ……もはや人間に優劣など存在しない。ありとあらゆる存在であろうと、私には絶対に及ばないのだから」

「……」

 

 そして血塗れの顔で両手を広げ、己が才能を誇示するように、神に示すかのように狂声を上げた。

 

「私は神なのだよ。私という超越した存在が只生きるだけでも、全ての生命の進化の追従を許さないのだからなぁ!」

「……言いたいことはそれだけか?」

 

 自己陶酔する宇佐美の視界に入っているか怪しいが、感情がすっぽりと抜け落ちた千冬はゆっくりと近寄り、そう尋ねる。

 

「天才は……努力する凡才のことを言う。蓋を開ければそんなものだ……差し詰め天災は人について努力も理解もできない愚か者ではなかったのかね?」

 

―ズバァッッッ‼―

 

 その時だ。宇佐美の首が……飛んだ。

 

「………………黙れ。いい加減その口を閉じろ」

「おっと、何を興奮している?がふっ……、まさかゴホッ!……あの愚か者に肩入れするのかね?それだけ入れ込んでいた様には思えんが……ゴポォ」

 

 血が噴水の様に迸る宇佐美の胴体が、彼女の月面に落ちた喋る頭(・・・・・・・・・)を拾い上げロボットの様に首に接続する。傷口の細胞が急激に活動し、ボコボコと首筋が泡立ったがソレも一瞬、……見事傷跡無く継いだ。白衣はすでに出血多量で真っ赤になっており、……もはや人として疑わしいレベルである。色々と……。

 

「……………………さて、な。只、隙だらけだったから斬った」

「おやおや、教育者に有るまじき発言だぞ?この暴力教師が……グブッ、ウップ」

 

 首が切断された時の影響でか、単一仕様能力の負担でか、絶えず口から血反吐を垂らす紫髪の天災女性。

 

「生憎私は戦兎や一夏とは違い……『救えない悪』であるならば容赦なくこの剣を振るう。気が変わらん今のうちに私をIS学園へと戻せ」

 

 宇佐美はキョトンとした血塗れの顔で、世界最強の顔を見た。

 

「はっ、はっはははははは!馬鹿かね君は。その身体を覆う鎧は玩具か何かか?」

 

 そして、ただケラケラと彼女の身体の鎧を指し示し、声高に嘲りの声を上げた。だが、世界最強はどこ吹く風……冷静に彼女の煽りを聞き流す。

 

「私は貴様の『全て』を信じていない。故に、貴様を殺し地球に帰還せんとする時、私に致命的な事態が発生しないとも言い切れん。然らば……ここで痛み分けとした方がお前も私も得だと思うが。どうせ、時間稼ぎ(・・・・)も済んだのだろう?」

 

 千冬は何度も何度も激昂を繰り返していく間に、いつの間にかその精神を安定させ当初の目的……敵の狙いを察知することに成功していた。……弟と同じで脳筋なのに。

 

「……存外頭が回る。脳味噌筋肉馬鹿ゴリラだと思っていた認識を改めよう」

「……(やっぱり殺しておくかコイツ?)」

 

 ……でもやっぱり乙女な部分には敏感っぽい。……対応の仕方は殺人鬼のそれっぽいけど大丈夫、ISはコメディだから。

 

「さて婚活のデストロイヤーゴリラモンド(ブリュンヒルデ)、君が今後どんな進化を辿るのか……、『私』になるのか『一夏』になるのか、期待をせずに待っているよ」

「お前絶対何か変な言葉にルビ振ったよな?よしお前絶対斬っとく、そこにナオレ、良いな?」

 

 先程とは違った感情で目の前の人間への殺意で湧く湧くしている千冬は、それはそれはもー怖い笑みだった。

 

「婚活のデストロイヤーゴリラモンドイェーイ!」

「そっちの答えは聞いてねぇぞゴラァ!つかぶった斬る、絶対に殺す‼」

 

 般若の形相がバイザー越しにでも分かる。そして鬼気迫る勢いで突っ込んできた……。千冬姉さんェ……。

 

「私は不滅だぁぁぁぁぁいぁぁぁっっっっはァァァァァァァァッッッ‼」

 

―パチンッ!―

 

 だが、宇佐美が血塗れな顔で指を弾けば、千冬はIS学園へと返還されていったのだった……。

 

―アーオイこのアマ待ちやがれェェ‼聞けェ!オイこんの女郎ォォォォォ!?—

 

 

 そんな言葉が、宇佐美の耳へと届く。クック、と愉快そうに喉を震わせたが、丁度その時横隔膜が破裂した様だ。

 

―ぶっしゃぁ‼―

 

「がっはッ!……あ、駄目だ。完全に身体のキャパシティーを超えた……な、はは……」

 

 血涙、鼻血、吐血、そして耳からの出血と……顔の穴と言う穴から余すことなく赤い色が流れ出る。これには宇佐美も危機感を抱いた。

 

「……あぁ、早く……早くあのバグスターの宿主を見つけなければ……な。くく……。ククク、ヴァハッ、ヴァハハハハハ、ヴェァーッハッハハハハハハハハハハハハハァァ‼」

 

 そして、血を噴き出したまま笑う。嗤う、哂う……。

 

―アァ……楽しみだ。本当に楽しみだ……!私が……この次元から旅立つ日が……‼—

 

 

 

 

 一方の千冬さん。

 

―ひゅー、……どかん!(着地)―

 

「ぐぬぁあ!?」

「ひゃっ!?って織斑先輩……、よくぞご無事で……!」

「フッハッハッハッハッハッハ……アイツコロス、コンドアッタラゼッタイコロシテヤル……!」

「アレ?駄目そうですぅぅぅ!?メ、メディックーッッッ!?」

 

 どーしてもシリアスにならない二人、なのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこちらはアリーナ特設ステージ。クロエのライブは見る影もなく、瓦礫や散乱した椅子、そして怪我人の血の跡が点々と残る悲惨な状況に専用機持ちとグリスは眉をひそめていた。

 

「『モッピーピポパポ』とか言うのは撤退したのか…?しかし、何故私にそっくりだったのだ…」

「……さぁ。辿ろうにもハッキングの痕跡すら消えている……ちょっと心配だから私確認してくる」

 

 ISを待機状態に戻し踵を返す楯無(簪)。どうやら心配なのはそれだけではないだろう……、一足先に会場を離れていた記憶喪失の姉の事を思っているのがありありとわかる。

 

「んじゃシャルルは楯無の護衛ヨロシク」

「お、おぅ?」

 

 その意図を汲んだらしい鈴は、何が一があってはならないと学園最強の用務員に声をかけた。だが、彼女のリーダーシップはそれだけでは終わらない。

 

「箒、あとラウラ。アンタらは瓦礫の撤去作業を手伝いなさい。落盤の可能性のあるところがラウラね、何かあったら停止結界使うのよ。んじゃアタシとセシリアは追撃が無いかアリーナ上空で待機、ほら行くわよ」

「イエス、マム……ですわね?」

 

 その様子を見て、シャルルは一言……。

 

「……意外に生徒会長できてんな……」

「シャルル、アンタアタシを何だと思ってるわけ?」

「珍・竹林」

 

 ふんふん、と首を縦に振るとなりの簪ちゃん。鈴は思わず笑顔になった。……額に特大の青筋を浮かべてだが。

 

「……中国人チックに言っても悪意あるわよねそれ?いいわよこれ終わったら百試合ぶっ続けで相手してあげるから逃げんじゃねーわよつか殴らせろ好きでチビじゃないのよアタシ誰が豆粒ミジンコ女よえぇ?」

「誰も言って無いよ……?」

「おーちょーどいいや、最近喧嘩出来てねぇからなまってたんだよ、明日辺り邪魔するぜぇ?」

 

 …………その場にいた簪ちゃんは思った。『やるなとは言わない。けど生徒会室内で喧嘩しないでね』、と。

 

「ハァ……」

「ん?どした?」

「……何でもない、ほら護衛としてついてきてよライダー」

「りょーかいしましたよっと……んじゃそっちはそっちで頑張ってくれや」

 

 …………彼女は補修工事の予算の見直しを考えながら、シャルルを引き連れその場を後にしたのだった。

 

「ところで一夏はどこに行ったのだ……?」

 

 ふと箒がぽつりとつぶやく。その時だった。

 

 

「ッ!上空に接近する機体……!?」

 

 そして、急激に頭痛が走る。無理矢理感覚が狂わされ、『右の視力』が引きちぎられたかのような苦痛が箒の脳裏を焼く……。彼女の視界の補助をしていた機能が、突然停止したのだ。

 

「……何ッ…ぐぁっ!?」

「箒さん!?」

 

 どうやらセシリアや鈴には何の影響も無い様だ……。急激にハイパーセンサーの感度が落ちたことを疑問に思うも、兎も角何かが来ると察知した箒は上空を見た。

 

「私は大丈夫だ……!それよりも……!」

 

 

 そして、その場にいた人間達の眼が、見開かれた。

 

 

「…………、……あれは……何だ?」

 

 

 

 

 誰が呟いたのかは分からない。だが、誰もが心に抱いた言葉であった。それは、天を覆う黒い翼だった。見ているだけで凶暴な、蒼穹を噛み砕く負の光だった。純黒と紫の全身装甲、怪しく輝く紫のセンサーラインや気味の悪い発光器。装甲各部にはひび割れの様なモールドが入り、人の心に不安を与える……。

 

「ISの背中の……あれは……翼?」

 

 だが、何より目を引いたのは、そのISの背後から蒼穹へと広がる膨大なチカラだった。それは破れた皮膜の様で、太陽に迫りすぎた罰の様で……。堕天使の如く荒々しい、禍々しい巨大なエネルギーウィング。それが半径数百㎞の空域を覆い尽くしている。飛び散る闇色の粒子、それは蝶々(ゼフィルス)の鱗粉のように、絶えず眼下の学園アリーナへ堕ちていく……。

 

「……まさか、この粒子がISの機能を妨害しているのか……?」

『……ふ』

 

 箒への返答とでも言わんばかりに、それはエコーがかかった声を発する。

 

『エクスターミネート……』

 

―Ready?―

 

 そのISを操る者の脳裏に、無機質なコマンドコールが過っていく。そして彼女は宣言した。

 

『ミッションスタート』

 

―Go―

 

「!消、えた……⁉」

「ッ、箒!」

 

 任務開始の言葉と共に、正体不明のIS『ブラック・テイル』は箒達の死角へと移動する。特に箒はハイパーセンサーの補助がないとはいえ、鈴並の動体視力を誇る。そんな彼女が、一切の気配を感じ取れなかった。

 

「ッ!は、早っ……!」

『違う。お前たちが遅い』

 

―ドガァァン!―

 

 箒の背後でけたたましい音が響く。火花と共に煙が晴れると……紫色の結晶刃が彼女の目の前で止まっていた。

 

「ラウラ!す、まん……!」

「ッ、ぐぅ……!(今のは偶然当たっただけだ……、ここまで人間離れした動きができるのか……!?)」

『ドイツのアドヴァンスド……か』

「「「「‼」」」」

 

 ラウラのAICでその攻撃を防ぐが…その後の襲撃者の言葉に息をのむ。彼女の出生を知る一同は、眼前の機体の乗り手が明確な闇の住人だと悟った。

 

「貴様……!」

『弱いな。停止結界とやらはこんなものか』

 

―ズバァッ!―

 

「!?うっそ、でしょ……!?」

「うっぐ!?何故……こうも易々と……!」

 

 軽々と障壁を切裂くと、黒い機体の彼女はラウラの首を掴み、顔の近くへと引き寄せる。

 

『アドヴァンスド。貴様は完璧な強さなど得てはいない』

 

 バイザーで顔が見えない其れは宣言した。憐れむように、そして嘲るようにラウラの強さを無意味と断じる。

 

「私は変わった!そんなもの……私は欲しくない!」

 

 だが…………、ラウラは愛しい存在を思い浮かべて其れを否定した。苦しんだ顔をしていても、その信念だけは歪められないのだろう……はっきりまっすぐ前を見る。そして、その迷いない眼は襲撃者の視線と重なった。

 そのことがどれ程不愉快だったのだろう、黒いISの乗り手は彼女の甘い綺麗事を唾棄せんと力を籠める。

 

『殺戮人形の分際でか?身の程をわきまえろ劣化模造品(デッドコピー)。お前がどう言おうが、ホムンクルスにそれ以外の使用用途など、無い』

「………………がっ!」

 

 その否定をさらに強める様に、声を押し潰す様に言葉を繋げる復讐者。

 

超越の瞳(ヴォータン・オージェ)で得た超人運動神経、……だが、貴様はその反応速度に脳内での判断及び処理が追い付いていない。お前は織斑千冬にも、まして織斑一夏などにも遠く及ばない』

 

 襲撃者は彼女の首を掴んだ手に、更に力を込める。だが、それでもラウラは抗い続ける……。圧迫された喉の奥からその真実を振り絞る。

 

「貴様……もしや……うぐっ」

「っ!ラウラを離してもらいましょうか!」

「セシリア!援護頼む!」

 

 ラウラの苦しむ様子を見て鈴が、箒が空を駆け寄ってくる。……、だが。

 

『遅い、温い。だから動きも読みやすい……』

「!」

 

 箒が剣を振りかぶったその時、眼前に銀髪が靡いた。とっさの判断でその一歩を踏みとどまる赤い機体……。襲撃者はラウラを盾に易々と攻撃を回避していく。

 

「ッ、コイツ……戦いの場だとは言え厄介な事を……!」

 

 箒は万が一の事を考え、刀を振るのを躊躇ってしまう。卑怯だ、等とは言わないが、仲間の情(それ)が有効な手段だと理解され手玉に取られている事に不快感が拭えないようだ。

 

「間違いない……お前は……!」

『……?』

 

 そんな時だ。銀髪の少女が苦しみながらも口を開く。だが……ラウラが零した言葉は少女にとっての禁忌でもあった……。

 

「昔の私だ……!」

『……ほう?』

 

 それは……つまりは『弱さ』だった。真実と言う剣は、寸分たがわず鰐龍の逆鱗へと突き刺さった。

 

―ゴスッ!―

 

「がはっ!?」

『一緒にしてもらっては困る……。これでもまだ同じだと……?……ただ軍隊で鍛えただけのナマクラ風情が思い上がるな』

 

 首から手を離し、ラウラの身体を貫く勢いで蹴りを叩き込んだ純黒の機体。

 

「ラウラさん‼」

 

 悲鳴を上げるセシリア。だがその時だ……ラウラが、嗤った。

 

『……ん?』

「ふ、ぐ……!捕まえたぞ……!」

 

 ラウラ達はさっきまでの攻撃を受け、襲撃機が出力や機動性、機能面のあらゆる面において自分たちのISを凌駕していることを気が付いていた。ならば、どうすれば良いか……。あらゆる攻撃がスピードによって回避され通じない、ならば……強制的に接近させてしまえば良い。ラウラはその身を以て、襲撃者を捕らえていた。

 

「お膳立てはしてやったぞ!やれッ箒、鈴ッ‼」

 

 随分と泥臭い考え方になったものだ、とラウラは思い、掠り傷だらけの顔で笑う。これもあのネットアイドル(姉)にだらしがない嫁の影響だろう。

 

「アンタねぇ‼ムチャして……今度麻婆奢ってやるわよ!」

「拘束もあのパワーでは長くは()たん、この一撃で決めるぞ!」

 

 青龍刀と日本刀が黒い騎士へと迫っていく……。残り十メートル、三メートル、そして肉薄、バイザーに覆われた頭部へと届く。……そう思われた時だった。

 

『ふん……征け』

 

 その途端。箒と鈴は殺気を感じ、首を曲げた。

 

「ッ、あっぶな……!」

「くっ⁉……やはりそのエネルギーウィングには、ッジャミング能力がある、のか!右側の感度が下がっている……っとッ!」

 

 彼女の死角となっている右目に、躊躇なく迫ってくる一本の刃。それを箒は殺気だけを頼りに避けていく。

 

「あれは……!」

 

 頭上をとっていたセシリアには、スコープ越しに親友たちを襲う兵器がなんなのか、見えていた。それはあまりになじみ深い、ただし大いに捻じ曲がった武器だった。

 

「ビット兵器……それも近接格闘用の!誰が創ったのです……!」

 

 各部のスタビライザーが、紫色の光沢持つナイフ形のBT兵器と様変わりした。そしてその瞬間、周囲の空域を縦横無尽に移動し、専用機持ち達を撹乱する。攻撃を当てようとしても残るのは残像のみ……まるで影を追う様だった。

 

「手数が多すぎるでしょ……!」

「ならばこちらも同じ手を使うまで!お行きなさい『ブルー・ティアーズ』!」

『……』

 

 空中で何本の光線がぶつかり、重なり、混じり合う。成層圏にて、爆炎と轟音が鳴り続け、ISは兵器として強く輝く。赤とマゼンタ、青と黒の機体が縦横無尽に空を舞い、攻撃の隙を見極めんと黒翼のISを攪乱せんとする……。だが。

 

『……無駄だと言っているのが、分からないのか』

 

 ラウラの首を絞めていた手が急に無くなった。と、その途端……セシリアの眼前に水色のバイザーのISが迫っていた。

 

「い、いつの間に……!?」

「早すぎますわ!?」

 

 ソードビットを手に持った襲撃者は、空中で足を踏み出すと同時に腕を振る……。

 

『そうまでして死にたいか』

 

 そして……。

 

―ザクッ……―

 

「うっ…?絶対防御を、斬り裂いた…のですか…!」

 

 セシリアの頬を、赤い雫が垂れていく。しかし、頭に上った余計な血が流されたからだろうか、血で塞がった右目を庇いながらもセシリアの顔は凛々しい貴族そのものだった。

 

「アンタ、片目…」

「額を掠っただけです、目は潰されてはいません…!」

 

 どうやら、今度は戦闘対象をセシリアへと移したらしい。襲撃者は片手のライフルソードを前方へと突きつける。

 

青の雫(ブルー・ティアーズ)……下らん。操縦者は良くてもイギリスの技術力はイマイチのようだな』

「お国柄が古いことは認めますが、ね!」

 

 その瞬間、彼女の手に一本の頼りなげなナイフが出現した。

 

『インターセプター……か。その程度の武装で私と戦おうなどと、むっ』

「ハァッ!」

 

 インターセプターを握った手を受け止め、ブラック・テイルは頭を振った。

 

『……無駄なことを…、ッ⁉』

「セイヤァッ!」

「「!」」

 

 ビットソードをいなしながら様子を伺っていた専用機持ち達は目を見開いた。セシリアは、掴まれた手を軸にしてその場で瞬時加速(イグニッション・ブースト)し、音速に近い回し蹴りを叩き込もうとしたのだから。襲撃者は、手を掴んだままでは瞬時加速の勢いでアームが破壊されるのが目に見えたのだろう。たまらず手を放し、距離を取ろうと無意識にビット兵器を向かわせる……。だが、彼女に襲い掛かる刃のビットを冷静な瞳で距離を測り……。

 

 

―ギャリンッッ!―

 

 

『……今のは驚いたぞ』

「…このテの武器は好みじゃないのですがね」

 

 片手にショートブレードを、もう一方の手に飛来したブレードビットを握りしめ、ブラック・テイルの攻撃を捌いたセシリア。無論アクティベートされていない為、ビットブレードは攻撃力が半減するが、刃の特性か絶対防御を貫き(・・・・・・・)黒い装甲に傷を負わせる程度の事はできていた。

 

「……、随分と頑丈なISスーツですわね?今のは斬った、と思ったのですが」

『生憎、特別製だ』

 

 だが、それでも。たった一機だけのISで、『世界全てのISが殲滅可能な最強兵器(無世代機)』には及ばなかったようだ……。セシリアは悔しそうに唇を噛む。

 

「セシリア…アンタマーシャルアーツなんて使えたの……」

「……昔の話です。鈴さんの武勲の様に誇るべきものなんてありはしません」

 

 片目に移った感情は後悔……セシリアの苦い記憶が其処にあると察した箒達はそれ以上何も聞かなかった。

 

『……行け』

「ぐっ…!」

 

 だが、眼前の人間は待ってくれない。待つはずもない。情け容赦なく、彼女の肉を、そして心を抉らんと攻撃を畳みかけてくる。

 

『そうだったな。貴様も私と同類だ。自己満足のために戦争を幇助するテロリスト……クク』

「言い逃れはしません……!ただ、あの子たちに……一滴の水くらいは、与えられるように……!」

 

 片手でライフルを扱い、高速で移動する襲撃者を撃つ。……エネルギーウィングの一枚を散らせるが本体に当たらない。BT兵器を凄まじい集中力で高速機動させ、偏向射撃(フレキシブル)で追撃する。……光線はソードビットに切り裂かれた。向かってくる凶悪な形のBT兵器。瞬時加速(イグニッションブースト)によってその場から離散する四人だったが、青い影を追って襲撃者は手を伸ばす。

 

『喚くな、同じ穴の貉が。その水が……金が血に変わったのが分からん程馬鹿ではないだろう』

 

 ソードビットを両方の手に持ちセシリアへと振り下ろす黒いIS。攻撃を受けた彼女もスターライトMK-Ⅲとインターセプターを巧みに使い、インファイトに持ち込んだ。銃身で周囲を舞うBT兵器ファーミンの側面を叩き、薙ぎ払い、インターセプター一本で何とか食らいついている。

 

「……っ、一緒にしないでいただけますか!わたくしはあの場所で、もっと、手を……!」

 

 鬼気迫る顔でコンバットナイフを振るい、近接格闘の激しさは増すばかり。蹴りやロンダートで翻弄するセシリア。襲撃者にも一歩も引かず、ライフルでの早撃ち(・・・・・・・・・)で黒いISを攻撃する。しかし……。

 

『無駄だ。利き目が見えない狙撃手など、敵ではない』

 

 機体の性能差もあるのだろうが、片手で……さらに左目のみで敵を知覚しトリガーを引く、これで世界最強機と張り合うなどほぼ不可能だ。そう、通常ならば……。

 

「……ょぉやく……。見えてきましたわ!」

『何ッ!』

 

―ドォォォン!ドォンッ、ガァン!―

 

 閃光が黒い体に弾け、追撃と衝撃が襲撃者の身体を震わせる。セシリアは……銃身が長い(・・・・・)不向きそのものの(・・・・・・・・)ライフルの早撃ちで(・・・・・・・・・)利き目も用いず(・・・・・・・)音速飛行するISに被弾させた(・・・・・・・・・・・・・・)のである。

 

「当てた……」

『……やはり、スタークが言っていた通り、お前等は別格であるらしい……なればこそ!』

 

 襲撃者は赤い蛇(スターク)の忠告を思い出す……。彼は言っていた、『代表候補生に気を付けろ。奴らは、この世界(ストーリー)における善の象徴だ』、と……。彼が思い描く妄言や物語などには興味が無いが、自分にとって邪魔であることには変わりがない。

 

『篠ノ之束の妹と共に、片目同士仲良くここから消えろ!』

「やらせはしませんわよッッ‼」

 

 

 

 ……しかし。

 

―パキンッ―

 

 あまりにも気の抜けた音が聞こえてきた。

 

「……………………ぇッ……」

『……、ほぉ?』

 

 現実は無常だった。彼女がまだ戦えても、機体は限界だったのだろう……。インターセプターは、突然に折れた。

 

『慈善家のテロリストが…』

「……、ぁ――」

 

 迫る。四方から黒い光を纏ったビットが……。振り下ろされる。眼前の少女の手に収まる、巨大な紫色の大剣が……。

 

 

 

『  消  え  ろ  ‼  』

 

 

 

―ドッガァァァァァァァァァンッッッ!―

 

「……っ」

「……、ッッ!」

「……セ、セシ……」

 

 

―ぁ、あ……—

 

 細腕の表面に破片が飛び散り、血が滲む。額の切り傷で腫れぼったくなった右目が見開かれ、充血した目で、傷だらけの手で掻き毟る様に宙を薙ぐ……。

 

―また……手が……届かなかった……―

 

「セシリアぁぁぁ!」

 

 アーム部分と右脚部が爆炎を上げ砕け散り、無欲な淑女は破片と共に地上の瓦礫の中へと吸い込まれていく……。

 

『まず一人だ……、そして最後は……奴を殺す……!』

「…………奴?」

 

 

 

 彼女が恨む『奴』。その名は皆にとっての頼もしい仲間にして、箒にとっての大切な人……。 

 

『織斑一夏……!私が私である為の、犠牲となれ‼クハハハハハ……ッ‼』

「‼」

 

 そして、高らかに彼女は嗤う。その野心は煌々と燃え盛る……。

 

「……、一夏の下には……、行かせない……!鈴……私にやらせてくれ」

「馬鹿言うんじゃないわよ!今のアンタ、片目が見えない状況に逆戻りなんでしょ!ここはセシリアを回収して撤収……、!」

『……ん?』

 

 その時だった。

 

 

―ゾクッッッ……!―

 

 

 ステージの下から地鳴りが響く。……それに伴い、途轍もない『虚無の感情』が彼女らを襲った。

 

「!?」

『……何だこれは』

 

 周囲は困惑を隠せない。何もかも飲み込まれてしまうような、戦意や殺意など持ち合わせない……『無の力の奔流』を身体で感じる。空っぽな『黒い孔』の前に立ったような……そんな異質感。そして、何処からともなく、一人の男の声が聞こえてきた。

 

 

―……極光転星—

 

 その後……。

 

 

 

―■■■■■■■■■■■ッッッッッッッッッッッッッ!―

 

 

 

「『⁉』」

 

 襲撃者と少女たちの間に黒い光が通り過ぎ、天へと向かって伸びていく。とてつもない力の奔流が、無限の成層圏を破壊するように押し流す……。だが、何故だろうか。爆音が鳴り響いてもいいはずであるのに……音すらその光に(・・・・・・・)吸い込まれていった(・・・・・・・・・)

 

「っっっっっぶっはぁぁぁぁぁ!?あーぶなかった!今のほんっとあっぶなかったよぉぉ!?おねーさんびっくりしちゃった‼」

「ちっ……以外にしぶっといな……」

 

 そして、爆風の中から出てきた二人の人影。一人はふざけながら……もう一人はゆっくりとその姿を現した……。

 

「……。あれ、どう見ても刀奈先輩のブラッド・ストラトスだよね……簪がここにいなくて良かったわよ」

 

 鈴が血霧の淑女を見てそう呟いたが、箒はそれどころではなかった。

 

「一夏……?その姿、一体何だ……?」

 

 濛々と巻き上がる土煙の中、ゆっくりと歩いてくる白い翼のIS使い……。だが、その姿は、一夏であるが、一夏ではない気がしてならなかった。

 

「下がっててくれ、皆。ここにいたら、俺はお前らを巻き込んじまう」

 

 黒煙を白い身体から立ち上らせ、金色の瞳を揺らす見慣れた男。それを見て、箒は決定的な事を思ってしまう。

 

―……この男は……誰だ?―

 

 外見も……口調も、声も全て一夏だ。だが……何だったのだろうか、この違和感は。一瞬、『虹色の血液が身体を巡る白蛇』が、箒の目に幻影として浮かび上がった……。

 

「一、夏……?」

「……んっ?おぉ、どした?」

「ぇッ……!あっ、いや……何でもないぞ、うん……何でもない」

 

 慌てて首を振れば、そんな姿は見る影もない。彼の雰囲気も、白目が黒いだけでいつもの調子に戻っていた……。

 

「けほっ、さっきのは……ちょっとびっくりしたわ?なぁにそれ?」

 

 ガラン、と赤い槍の石突を瓦礫に乗せ、身体を支える演技をするブラッド・ストラトス……血霧の淑女(ブラッディ・レイディ)。それにすぐさま傷ついた身体を鞭打ち、臨戦態勢に入る専用機持ちだった、のだが……。

 

「ようやく分かった。俺のISの単一仕様能力が」

 

 その行為は一夏の声に遮られた。

 

(単一仕様能力……?零落白夜では……なかったのか?)

 

 上空の安全空域まで回避行動をとっていた黒式のパイロット。彼女は舐め回すような視線で織斑一夏の身体変化を観察している……。だが、見られているにも臆すことなく、彼は真っ黒な刀を突きつけて、声高らかに言い切った。

 

「『零落極夜』は千冬姉の『零落白夜』と違って、エネルギーを消失させる能力じゃねぇ……」

 

 

 

「エネルギー、要は『力』を吸い取って自分の力にする事と同時に、吸収した力場に『孔』を開ける能力だ。だからよ……」

 

 そういって、一夏は雪片無ノ型を真一文字に振るい……前方にあった瓦礫の山の重力を反転させた(・・・・・・・・)

 

「「「「「‼」」」」」

 

 万物に影響を及ぼす重力が『吸収』され、ガラガラと天へと昇って行く崩れ落ちた天井のなれの果て……その中に埋まっていた金髪の淑女が光に瞼を震わせた。慌てて救護に向かうラウラと鈴だったが、一夏と血霧の淑女(ブラッディ・レイディ)は構わずにらみ合いを続けている……。

 

「へぇー……でも、貴方忘れていない?この学園がどんな立地条件下にあるのかを」

「…………っ!?いっ、一夏!?上、上を見ろ‼」

 

 突然、地鳴りが耳へと届く。嫌な予感がした箒は上を見上げれば……空が()に侵されていく。

 

「四方も八方も見渡せば海よねぇ?……貴方達はここにいる限り、私の水の……蒸気の、そして氷の牙から逃れられない!」

 

 龍の様に鎌首をもたげた海水の形態が変化する。ある渦は激しく沸騰する灼熱の気体へ、ある波は内側から凍てつき剣よりも鋭い氷牙に。そして突然、上空からダイヤモンドすら切り刻む高圧水流の一撃が放たれた。それは……容易くIS学園を圧し潰す事が可能な絶対性を持つ攻撃であった。

 思わず箒は目を瞑る……。こんな事しか、今の自分ではできなかった……。

 

 

 

 

 ……だが。

 

「分かんねぇ奴だな」

 

 そこに、真っ白な漢の声が聞こえてきた。いつも私達を守ってくれる、愛おしい男の声が……。

 

 

―『零落極夜』―

 

 

 その途端、あらゆる攻撃は『消滅した』。

 

「……あ、やっぱり?」

 

 どこか得心した雰囲気で、若干諦めムードになってしまった血霧の淑女(ブラッディ・レイディ)。ポリポリと頭を掻きながら、はははーと乾いた笑みを浮かべている。

 

「聞いていなかったのか?俺の『零落極夜』は力、エネルギーを問答無用で吸収する。それが熱だろうが、光だろうが、音だろうが関係がない」

 

 専用機持ちの視線が驚愕に染まる。見れば、一夏の持つ真っ黒な雪片へ、周囲の熱エネルギーや慣性エネルギーが収束されている。あぁ……なんて出鱈目な力だろうか。こんな場面であるから頼もしいが……、彼女らの心の奥に薄ら寒い何かが巣食い始める。

 

「ま、どうにもこの単一仕様能力……白式達に好まれていないみたいでな。十全の力を発動できねぇようになってるんだ。だからあとは俺の戦闘技量で何とかしなきゃなんねーんだとよ」

「へぇ……そう?良かったらおねーさんに貴方の力を見せてくれないかしら?頑張ってる男の子って好きなのよね?」

 

 敵対するブラッド・ストラトスは赤いランス『赫流旋』を構え、赤い霧を発生させ防御態勢を整える。

 

「ヤなこった。敵のペースに巻き込まれると碌なことにならねぇ……んでもってな、吸い取ったエネルギーは、こんな事にも使えんだよ!」

 

 その途端、彼の手に収まっていた『雪片無ノ型』が、白煙を纏った黒光を放ち始める……。

 

『あれは……先程の。……織斑一夏め……』

 

 それは、地下の天井をぶち抜き、青空の彼方まで伸びていったあの攻撃の兆しだった。どす黒い力の奔流がヒーローの横顔を禍々しく照らしていく。

 周囲の温度も低くなる。身震いをした箒は、ふと目の前が暗くなっているのに気が付いた……。そして気が付く。一夏の下へと光が捻じ曲がり吸い取られているのだと。そんな時だ、突如として箒の目元に数字が浮かび上がった。戦兎が追加したエネルギー熱量計測器だった。

 

「……なん…だと……?」

 

 オレンジ色のセンサーライン型バイザーが演算し、その異様さを浮き彫りにした。今の一夏が行おうとしているのは、『零落極夜』で吸収したエネルギーを二乗(・・)させ、それを変質させて放つカウンター。その名も……。

 

天災ノ禍風(カラミティ・ストライク)

「     ッッッ!」

 

 

 

 

 

 そして……無限の成層圏には、断絶した様に黒い、一本の斬撃の跡が残ったのだった…………。




今回のまとめ
・セシリアが意外に超人。
・一夏は人外(意味深)。
・千冬さん、神とタメを張る。

惣万「……、まぁ、この世界における『最強』って、エボルト()でも(宇佐美)でもブリュンヒルデ(千冬)でも天災(駄兎)でもないんだけどな……」
シュトルム「へ?……じゃあ誰なんです……?」
惣万「三人いる……一人はシャルルの母ちゃん(故人)だ。例えるならヘ〇クレス(〇ーチャー)だった」
シュトルム・ブリッツ「「アッ、サッシタ」」
惣万「戦ったとしても、究極態になっても勝てねーよあんなん……。どうやって勝てと?」
ブリッツ「…………うん~、シャルル・デュノアがどーしてあんなに強いのか分かった~……」
シュトルム「単純計算してフェーズ4のパンチ力×50よりも強いって事に……」

 ※シャルルの母を設定集(IS学園side)に追加しました。

惣万「あとガンダム00だったな黒式!」
シュトルム「やめてください似てるとはいえそれは!」

IS白式刹羅

単一仕様能力『零落極夜』
 無尽蔵に周囲のあらゆる『力』を吸収し続ける能力。『力』はISのシールド・エネルギーや絶対防御が含まれる(この為『零落白夜』と同じ効果を発揮する)他、もしかすれば未来や法則を捻じ曲げる『改変能力』や『視力及び聴力』、『効果などの能力』や『魅力』、『成長するという生存能力』などすら該当し、時間経過と共にこの世全てが効果範囲対象となる可能性がある。故に能力解放は長時間使用してはならないよう、精神世界にて『白い女騎士』と『白いワンピースの少女』が食い止めている。


・『極光転星』
 零落極夜で吸収したエネルギーを二乗させ、エネルギーを変質させて放つ斬撃の防御貫通カウンター。どんなエネルギーを吸収しようが、放つ斬撃の色は黒くなる。

今後の進め方の優先事項

  • 瞬瞬必生(本編のみを突っ走れ)
  • 夏未完(消え失せた夏休み編の復旧)
  • ちょいちょい見にくい部分を修正と推敲
  • 全部

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