ダンジョンに運命を求めるのは間違ってなどいなかった 短編集   作:アルディア

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思いつきというかずっと書きたい話


戦闘遊戯 ガウェイン編

「なんだ……あれは……!?」

 

【アポロファミリア】との戦争遊戯、功城戦。その最中に異変は起こった。そして空を見上げたベルは目を見開いた

 

晴天に晴れ渡っていたはずの空はまがまがしい程の魔力に覆われていたのである。そして神々の鏡も消えていたのだった。

 

「な、なんなのだこれは!?」

 

一方ベルに吹き飛ばされて決着がついたヒキュアントスも取り乱していた

 

「ヒキュアントスさん…これは………!?」

 

「知らん、しかしこんなことが…迷宮ではあるまいし……!!」

 

思わずベルはヒキュアントスに問いかけるがヒキュアントスは知らんと切り捨てた。冒険者歴が長い彼でもしりえないのだからベルに分かるわけが無かったのである

 

『ヴヴヴヴウヴ……』

 

そして何処からともなく唸り声が聞こえてきたのだった。姿が見えないというのは恐怖心を何倍にも煽る、ベルとヒキュアントスは辺りを見渡しながら声の主を探していた

 

 

そして『ソレ』は現れた

 

『ソレ』は人の形をした巨人だった。『ソレ』に顔は無かった、胴体は長く、足も長かった。何処からともなくあられた。

 

…………ゾクッ

 

 

―――――――――――――『ソレ』を見た瞬間悪寒が止まらない、発汗が止まらなかった

 

 

逃げろ

 

逃げろ

 

逃げろ――――――――――――――!!

 

体の有りとあらゆる細胞が悲鳴を上げて撤退を叫んでいた、このままで食い殺される、身体ではなく()()

 

アレとは戦ってはいけないと……!!

 

 

そんな風に思っていると……『ソレ』はまるで口を開けたかのように闇を広げると……

 

「……え?」

 

一線

 

自分の真横を通りすぎていった…そうそれは丁度ヒキュアントスに当たる軌道だった

 

それに気づいたベルはおそるおそる横をみて…絶句した。

 

「――――――――――」

 

自分の横には汚染された『モノ』があった。汚染された『モノ』はそれだけではない。軌道にいたものすべてが汚染された。どこまで汚染されたのかはわからない。

少なくとも肉眼で確認できる範囲では汚染されている。

 

そして第二射が放たれようとしていた。今度は自分を射ぬく気だ。そうはさせまいと手元に落ちてた槍を手に取り

 

「……せいっ!!」

 

投擲された槍は『ソレ』の頭部に当たる場所を消し飛ばした。頭部を消し飛ばせばある程度ダメージを与えられるだろう…そう思っていた。

 

…しかし

 

「――――――!?」

 

再生。

なんとなくそんな気はしていた。あれは自分の想像以上の化け物だと

 

そして難なく第2射が放れたが……

 

「そのままの姿勢でいてくださいマスター。危ないので」

 

…それを最強の騎士はなんとなく弾いた

 

「ありがとう…《(ガウェイン)

 

「それには及びませんともマスター。私の命はマスターと騎士王に捧げし物ですので」

 

と戦場に似合わないほど爽やかな口調で彼は言った。

 

 

ガウェイン。「アーサー王伝説」に登場する円卓の騎士の一人であり、アーサー王の甥にあたる。もう一人の聖剣の担い手であり、王の影武者。

完全なる理想の騎士。相手を軽んじる事もなく、侮辱する事もなく、相手が力不足であってもその戦意と覚悟を汲み取って、礼節をもって相対した。王に対しては影に徹し、ひとたび号令が下れば颯爽と戦場に赴き涼やかな笑顔で勝利する。そして王の片腕と称されたランスロット卿に並ぶとされる高潔な騎士。月を象徴とするアーサー王に対し、太陽を背負うガウェイン卿。王の影武者を務め、その姿も見目麗しい事もあり、王がもしも倒れた場合の代行候補の一人であると周囲には目されていたこともあるのだが、本人はその評価を意に介することなく、王の右腕であり続けた。

 

そして彼こそがベルに密かに力を貸し与えていたサーヴァントだったのだから

 

「しかしこれは……不浄そのものですね」

 

ガウェインは『ソレ』をみてそう吐き捨てた、そう()()()()()()()()

 

「行きましょうマスター。アレを野放しにすることはできません、放置すればたちまちのまれてしまいしょう」

 

「…大丈夫なのガウェイン?」

 

ガウェインは剣を抜き放ち『ソレ』に剣を向けて睨み付けた。ベルはガウェインの横に並び立つとそう問いかけたのだった。不安はないのかと

 

「もちろんですとも。このガウェイン、不浄を晴らす焔の陽炎となりましょう」

 

そう高らかに宣言するとガウェインにベルは思わず笑みをこぼしてしまっていた

 

「どうかしましたかマスター?」

 

「いえ、頼もしいな…と」

 

笑みを浮かべていたマスターに不思議そうにしていたガウェインはそう聞くとこのような答えが帰ってきたためかガウェインは少し照れ臭そうだった

 

「それじゃあ行こうかガウェイン」

 

「ええ、参りましょう」

 

―――――――――――――――――

 

「はぁぁ………!!」

 

「覚悟していただきます!!」

 

ガウェインの転輪する勝利の剣(ガラティーン)による斬撃のダブルガラティーンで相手を攻め立てていた。

 

 

何故ベルが転輪する勝利の剣(ガラティーン)を使えるかというと、ベルのスキルである【英雄共鳴】の効果である

 

【英雄共鳴】

 

・早熟する

 

・英雄との共闘時効果増加

 

・英雄と共闘時その英雄の一部能力付与

 

・複数の英雄との共闘時は一番親密な英雄の能力を付与

 

 

このスキルからベルはガラティーンとガウェインのスキルである【べルシラックの帯】【精霊の加護】が受け継がれているらしい。ちなみに【聖者の刻】は受け継ぐのは難しいらしい

 

「行きましょう、ガウェイン卿」

 

「ええ、この押し押せる不浄を払うとしましょう」

 

ガウェインとベルのコンビネーションは一つの生き物として作用する。ガウェインの死角からの攻撃をベルが聖剣の余波で防ぎ、ベルを飲み込まんとする暗い闇の顋は焔の陽炎によって消し飛ばされる。

 

 

「しかし攻めても攻めてもまるで手応えが感じられません」

 

聖剣を振るいながらガウェインは優勢ながらも眉をひそめる。聖剣を凪げば闇は砕けちり灰となる。しかし消せども消せども沸いてでる。まるで人の悪意のごとく

 

「くっ……」

 

ベルの方はガウェインのようにはいかないまでも防ぎきりカウンターを食らわせてはいるのもの一向に消える気配はなかったのである。

 

そして「ソレ」は動き出す

 

「…っ!」

 

「マスター!?」

 

認識外からの攻撃によりベルは吹き飛ばされ、意識を失い、転輪する勝利の剣(ガラティーン)を離してしまう。それを見て焦燥に駆られるガウェインもまた一撃を貰ってしまった。

 

「ぬぉぉぉぉぉ!」

 

ガウェインはそれでも突き進む。マスターであるベルを助けるため、騎士王を理解してくれた恩人を助けるため

 

そして何よりも――――――――――

 

肩を並べて戦う戦友として

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「ん…くぅ」

 

思わない一撃から思いの外早くベルは気がついた。あれだけの一撃を食らって生きているのはガウェインのスキルのお陰でもあるだろう。

 

そしてそのガウェインは…

 

「聖剣を託されながら…野に伏すとは」

 

―――――鎧が剥がれ、血を流し、剣を支えにしてなんとか立っていた

 

「ガウェイン!?」

 

あわてて駆け寄るも力が上手く入らずに転びかける、しかしそんなことを気にもせずにベルは駆け寄った。血を流し、力が抜けているガウェインの側へ

 

「すみません。マスター…私が不甲斐ないばかりに」

 

「いいや、僕が悪い…!」

 

なんとか微笑みを浮かべようとして血を少し吐いてしまいながらもガウェインは騎士として振る舞う。そんなガウェインを見てベルは泣き出しそうな顔で首を振りつつガウェインに肩を貸すとなんとかガウェインは立ち上がった。

 

しかし事態は何者も好転してはいないのだ。むしろ悪化している。ガウェインは傷つきベルもスキルが一度切れている。

 

「…ガウェイン。まだ走れる?」

 

「無論ですマスター、このガウェイン。まだ戦えます」

 

ガウェインは再度剣を構えて戦おうとするが…

 

「令呪を持って命ず……」

 

それは…

 

「ガウェイン。全力を持って()()()()()()()()()

 

マスターであるベルが令呪を持って止めたのだ

 

「マスター…なぜ…令呪を…!」

 

令呪の拘束によってガウェインは動けなくなり、命令通りオラリオへと帰投しようとするが強靭な意思によってとどまっている

 

「ガウェイン、今のままじゃ勝てない。少なくともどっちかが死んじゃうから」

 

「そんなことは…!それに死ぬとしてもこのガウェインが盾となるのみ!」

 

そんなガウェインの言葉にベルは首を振った。

 

「それじゃあダメです。()()()()()()はあの人に必要なひとだ」

 

「マスター、それは貴方の方が―――――」

 

「再度令呪を持って命ず。オラリオに帰投次第この件を各地に報告、そして部隊を編成の後此を撃破せよ」

 

ガウェインの言葉はベルの命令によって遮られ、さらに拘束が強まるとガウェインの体がジリジリと下がるがそれでもガウェインは食い下がる。そうしなければいけない。そんな気がする。

 

そもそもなぜ令呪を使う必要があるのか。それは勿論ガウェインを確実に逃がすためである。自分(弱者)ではなく(強者)

 

「………!」

 

その意味を理解しているからこそガウェインはおとなしくしているわけにはいかないのだ

 

「マスター―――――」

 

「最後の令呪を持って命ず。そして必ず勝利せよ。民を守れ…そして―――――――――――――――」

 

もはやベルはガウェインを逃がすことしか考えていなかったのだ。此こそが最善だと、あとに続く為には必要なのだと考えた、何よりも…

 

「――――――――――貴方が叶えられなかった宿願を果たすが良い()()()()()()

 

「……っ」

 

ガウェインはもはや令呪に抵抗するのをやめた。このマスターは自分を逃がすためでも、自分が生き残るためでもない。このマスターが考えていたのは…

 

 

オラリオに住まうかけがえのない「民」の為だったのだと。

 

「ああ、そうだ。ガウェイン卿―――――」

 

ガウェインは悔いた。もしも自分があのとき防げたら、これでは二の舞であると。そしてゆっくりとあるくガウェインにベルは再度()()()

 

「これはマスターの命令でも、戦友としてのお願いでもありません。貴方に憧れた一人の()()のお願いです――――――――――」

 

そしてガウェインの目に写るベルの顔は――――――――――

 

「…どうかアルトリアをよろしく頼む。あの人は存外寂しがりやだ。側に居て支えてあげてほしい―――――」

 

どことなく晴れやかで…そして名残惜しそうな…

 

「――――――――――僕は居なくなっちゃうから」

 

泣き笑いだった(男の顔だった)

 

「……はい、このガウェイン。しかと承りました…っ!」

 

そんなマスターに声を詰まらせながらガウェインは踵を返す。マスターの為に

 

「…貴方に仕えられて本当に良かった」

 

そう呟いたガウェインの声が風に乗り、ベルまで届くとベルは微笑んだような気がした。

 

「行け!ガウェイン卿!」

 

ベルの叱咤にガウェインは駆け抜ける。振り替えることはない。もし振り替えったらこの決意が揺らぐから

 

「…ありがとう、楽しかったよ」

 

 

―――――――――――――――

 

一方オラリオは大混乱だった。

 

突然の神々の鏡の機能停止、そして戦闘遊戯の行われている方角が暗くなっていること。幸いガネーシャファミリアなどの有志のファミリアが民衆の誘導を行っている。

 

「どうなってるんやこれ。こないなことあったことないで」

 

「今年のオラリオは波乱だらけだな…」

 

神々はいつか復旧するだろうと話し合っていた。そんな中。神々のいる部屋に転がり込んでくる人が一人、ガウェインである

 

「無礼は後程…今はお話を…!」

 

「お、お前はドチビんとこの…」

 

ロキはガウェインの気迫に飲み込まれながらも彼の風貌を見て目を細める。

明らかにぼろぼろな鎧。そして顔は傷だらけで血が固まり、ろくな治療もせずにすっ飛んできたのだと

 

「…ええよ。ゆうてみい」

 

「はい、実は――――――――――」

 

そしてガウェインは語り出した。オラリオに未曾有の危機が襲いかかっていると、それを単身防いでるベルが今も危機にあると

 

「マジか…あの小僧が…」

 

「いよいよ持ってラグナロクしちゃう?」

 

「不謹慎だぞ…全く」

 

ざわざわと神々がざわめく。そんなことは一度もなかったと。そんなことはあり得ないだろうと。そう騒いでいると…

 

「神々の鏡。復旧、映像…写します!」

 

ギルドからの報告により神々の鏡が写し出され、そこには…

 

「ま、マスタァァァァァァァァァ!」

 

「ベル、しっかりしろ!」

 

「おいっ。大丈夫なのかあれ!?」

 

血だらけになり、片腕の無くなったベルが写し出され、そこに呼ばれていたアルトリアをはじめとしたベルと契約しているサーヴァントからの悲鳴や怒号等が響き渡る。バベル目下のステージからも悲鳴等が鳴り響く

 

映像に写し出されたベルはもはや動くこともできずに薄く目を開けている。もはや息絶えるのは時間の問題だった

 

「ガウェイン卿!いったいこれはどう――――――――――」

 

アルトリアはガウェインにつかみかかると聖剣を突き立てようとするが…

 

「…王よ。まずはお話を、そしてその後にここでこの不忠義者の首を跳ねてください」

 

ガウェインが自ら首を差し出した。そして伝えたのだ。彼が最後に残した言葉を…

 

そしてそれを聞いたアルトリアは膝から崩れ落ち、すすり泣いている。もはや死は避けられない。もはや助からないのだと…

 

 

『ああ…終わっちゃうか』

 

どこからか声がした。振り替えると映像のベルのベルの声を拾っているようだった

 

ベル・クラネルは死に際にいた。あのあと聖剣もなしに張り合えるわけもなく逃げの一手だったのだがとうとう膝をつき、そして死に伏そうとしていた

 

『ガウェインさんは…大丈夫かな、オラリオに…着いたかな』

 

あの状態になろうとも彼が案じているのはガウェインであり、アルトリアでありオラリオの人々だった…そこには自分は入っていない。そう、入れないのだ。

 

『死んじゃうか…怖いな…』

 

その言葉にガウェインは血が滲むほど手を握りしめる。何億分の一でも痛みを分かれるように

 

『でも…みんな怖いよね…だったら、僕がいかなくちゃいけないし…なんとか出来るの僕だけだったし…。これで少しは返せたかな…』

 

誰もがその言葉に息を飲んだ。あの状況ですら彼はまだ恩返しできていないと。貰ったものは返せてないと。血を流し、死のうと言うのに…彼は感謝していたのだ。オラリオに、そして出会いに

 

『うん…楽しかったなぁ…』

 

噛み締めるが如く彼は言うのだ。まだ年端も行かない子供が、短い人生だったけど良かったと。それを見て大人たちは自然と拳を握る。彼と同じ年代の子供たちは涙を堪えた。

 

そして顋が開き、彼を飲み込もうとするがもはや回避するすべもなく、ただ死を待つのみ

 

『あぁ…でも』

 

だけど

 

『もう一度だけ…』

 

叶うのならば

 

『…あの人の笑顔が見たかったなぁ…』

 

そんな事を思いながら彼は包み込まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ならば生きるが良い。誰かが、誰でもないお前を待っている」

 

 




本編でも書きたいねぇ






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